法律大好きのブログ(弁護士村田英幸) -32ページ目

法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

民間の調停によっては紛争が解決されないときに裁判所における法的手段を開始する旨の合意がある場合において、当該民間の調停の手続を経ずに提起された訴訟が、訴訟要件に欠けるものではないとされた事例

 

東京高等裁判所判決/平成23年(ネ)第330号

平成23年6月22日

損害賠償請求控訴事件

【判示事項】    民間の調停によっては紛争が解決されないときに裁判所における法的手段を開始する旨の合意がある場合において、当該民間の調停の手続を経ずに提起された訴訟が、訴訟要件に欠けるものではないとされた事例

【参照条文】    民事訴訟法2編1章(訴)

          裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(平16法151号)26

【掲載誌】     判例時報2116号64頁

 

裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律

(訴訟手続の中止)

第二十六条 紛争の当事者が和解をすることができる民事上の紛争について当該紛争の当事者間に訴訟が係属する場合において、次の各号のいずれかに掲げる事由があり、かつ、当該紛争の当事者の共同の申立てがあるときは、受訴裁判所は、四月以内の期間を定めて訴訟手続を中止する旨の決定をすることができる。

一 当該紛争について、当該紛争の当事者間において認証紛争解決手続が実施されていること。

二 前号に規定する場合のほか、当該紛争の当事者間に認証紛争解決手続によって当該紛争の解決を図る旨の合意があること。

2 受訴裁判所は、いつでも前項の決定を取り消すことができる。

3 第一項の申立てを却下する決定及び前項の規定により第一項の決定を取り消す決定に対しては、不服を申し立てることができない。

 

小学校教員の期限付任用が適法とされた事例

 

 

              行政処分取消請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/昭和36年(オ)第1308号

【判決日付】      昭和38年4月2日

【判示事項】      小学校教員の期限付任用が適法とされた事例

【参照条文】      地方公務員法22

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集17巻3号435頁

 

地方公務員法

(条件付採用)

第二十二条 職員の採用は、全て条件付のものとし、当該職員がその職において六月の期間を勤務し、その間その職務を良好な成績で遂行したときに、正式のものとなるものとする。この場合において、人事委員会等は、人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則。第二十二条の四第一項及び第二十二条の五第一項において同じ。)で定めるところにより、条件付採用の期間を一年を超えない範囲内で延長することができる。

 

法人税法施行令六九条一項(過大な役員報酬の額)が規定する内容からは、相当と認められる金額の予測が不可能であるから、法人税法三四条一項(過大な役員報酬の損金不算入)は憲法八四条に違反するとの上告人会社の主張が、右施行令が定めている当該役員の職務の内容、当該法人の収益及び使用人に対する給料の支給の状況という判断基準は上告人会社自身において把握している事柄であり、同業種・類似規模の法人の役員報酬の支給状況についても入手可能な資料からある程度予測ができるものであることなどから、相当であると認められる金額を超える部分であるか否かは、申告時において上告人会社においても判断可能であるとして排斥された事例

 

 

              法人税更正処分取消等請求上告事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/平成7年(行ツ)第110号

【判決日付】      平成9年3月25日

【判示事項】      法人税法施行令六九条一項(過大な役員報酬の額)が規定する内容からは、相当と認められる金額の予測が不可能であるから、法人税法三四条一項(過大な役員報酬の損金不算入)は憲法八四条に違反するとの上告人会社の主張が、右施行令が定めている当該役員の職務の内容、当該法人の収益及び使用人に対する給料の支給の状況という判断基準は上告人会社自身において把握している事柄であり、同業種・類似規模の法人の役員報酬の支給状況についても入手可能な資料からある程度予測ができるものであることなどから、相当であると認められる金額を超える部分であるか否かは、申告時において上告人会社においても判断可能であるとして排斥された事例

【判決要旨】      省略

【掲載誌】        税務訴訟資料222号1226頁

 

憲法

第八十四条 あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。

 

法人税法

(役員給与の損金不算入)

第三十四条 内国法人がその役員に対して支給する給与(退職給与で業績連動給与に該当しないもの、使用人としての職務を有する役員に対して支給する当該職務に対するもの及び第三項の規定の適用があるものを除く。以下この項において同じ。)のうち次に掲げる給与のいずれにも該当しないものの額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

一 その支給時期が一月以下の一定の期間ごとである給与(次号イにおいて「定期給与」という。)で当該事業年度の各支給時期における支給額が同額であるものその他これに準ずるものとして政令で定める給与(同号において「定期同額給与」という。)

二 その役員の職務につき所定の時期に、確定した額の金銭又は確定した数の株式(出資を含む。以下この項及び第五項において同じ。)若しくは新株予約権若しくは確定した額の金銭債権に係る第五十四条第一項(譲渡制限付株式を対価とする費用の帰属事業年度の特例)に規定する特定譲渡制限付株式若しくは第五十四条の二第一項(新株予約権を対価とする費用の帰属事業年度の特例等)に規定する特定新株予約権を交付する旨の定めに基づいて支給する給与で、定期同額給与及び業績連動給与のいずれにも該当しないもの(当該株式若しくは当該特定譲渡制限付株式に係る第五十四条第一項に規定する承継譲渡制限付株式又は当該新株予約権若しくは当該特定新株予約権に係る第五十四条の二第一項に規定する承継新株予約権による給与を含むものとし、次に掲げる場合に該当する場合にはそれぞれ次に定める要件を満たすものに限る。)

イ その給与が定期給与を支給しない役員に対して支給する給与(同族会社に該当しない内国法人が支給する給与で金銭によるものに限る。)以外の給与(株式又は新株予約権による給与で、将来の役務の提供に係るものとして政令で定めるものを除く。)である場合 政令で定めるところにより納税地の所轄税務署長にその定めの内容に関する届出をしていること。

ロ 株式を交付する場合 当該株式が市場価格のある株式又は市場価格のある株式と交換される株式(当該内国法人又は関係法人が発行したものに限る。次号において「適格株式」という。)であること。

ハ 新株予約権を交付する場合 当該新株予約権がその行使により市場価格のある株式が交付される新株予約権(当該内国法人又は関係法人が発行したものに限る。次号において「適格新株予約権」という。)であること。

三 内国法人(同族会社にあつては、同族会社以外の法人との間に当該法人による完全支配関係があるものに限る。)がその業務執行役員(業務を執行する役員として政令で定めるものをいう。以下この号において同じ。)に対して支給する業績連動給与(金銭以外の資産が交付されるものにあつては、適格株式又は適格新株予約権が交付されるものに限る。)で、次に掲げる要件を満たすもの(他の業務執行役員の全てに対して次に掲げる要件を満たす業績連動給与を支給する場合に限る。)

イ 交付される金銭の額若しくは株式若しくは新株予約権の数又は交付される新株予約権の数のうち無償で取得され、若しくは消滅する数の算定方法が、その給与に係る職務を執行する期間の開始の日(イにおいて「職務執行期間開始日」という。)以後に終了する事業年度の利益の状況を示す指標(利益の額、利益の額に有価証券報告書(金融商品取引法第二十四条第一項(有価証券報告書の提出)に規定する有価証券報告書をいう。イにおいて同じ。)に記載されるべき事項による調整を加えた指標その他の利益に関する指標として政令で定めるもので、有価証券報告書に記載されるものに限る。イにおいて同じ。)、職務執行期間開始日の属する事業年度開始の日以後の所定の期間若しくは職務執行期間開始日以後の所定の日における株式の市場価格の状況を示す指標(当該内国法人又は当該内国法人との間に完全支配関係がある法人の株式の市場価格又はその平均値その他の株式の市場価格に関する指標として政令で定めるものに限る。イにおいて同じ。)又は職務執行期間開始日以後に終了する事業年度の売上高の状況を示す指標(売上高、売上高に有価証券報告書に記載されるべき事項による調整を加えた指標その他の売上高に関する指標として政令で定めるもののうち、利益の状況を示す指標又は株式の市場価格の状況を示す指標と同時に用いられるもので、有価証券報告書に記載されるものに限る。)を基礎とした客観的なもの(次に掲げる要件を満たすものに限る。)であること。

(1) 金銭による給与にあつては確定した額を、株式又は新株予約権による給与にあつては確定した数を、それぞれ限度としているものであり、かつ、他の業務執行役員に対して支給する業績連動給与に係る算定方法と同様のものであること。

(2) 政令で定める日までに、会社法第四百四条第三項(指名委員会等の権限等)の報酬委員会(その委員の過半数が当該内国法人の同法第二条第十五号(定義)に規定する社外取締役のうち職務の独立性が確保された者として政令で定める者((2)において「独立社外取締役」という。)であるものに限るものとし、当該内国法人の業務執行役員と政令で定める特殊の関係のある者がその委員であるものを除く。)が決定(当該報酬委員会の委員である独立社外取締役の全員が当該決定に係る当該報酬委員会の決議に賛成している場合における当該決定に限る。)をしていることその他の政令で定める適正な手続を経ていること。

(3) その内容が、(2)の政令で定める適正な手続の終了の日以後遅滞なく、有価証券報告書に記載されていることその他財務省令で定める方法により開示されていること。

ロ その他政令で定める要件

2 内国法人がその役員に対して支給する給与(前項又は次項の規定の適用があるものを除く。)の額のうち不相当に高額な部分の金額として政令で定める金額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

3 内国法人が、事実を隠蔽し、又は仮装して経理をすることによりその役員に対して支給する給与の額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

4 前三項に規定する給与には、債務の免除による利益その他の経済的な利益を含むものとする。

5 第一項に規定する業績連動給与とは、利益の状況を示す指標、株式の市場価格の状況を示す指標その他の同項の内国法人又は当該内国法人との間に支配関係がある法人の業績を示す指標を基礎として算定される額又は数の金銭又は株式若しくは新株予約権による給与及び第五十四条第一項に規定する特定譲渡制限付株式若しくは承継譲渡制限付株式又は第五十四条の二第一項に規定する特定新株予約権若しくは承継新株予約権による給与で無償で取得され、又は消滅する株式又は新株予約権の数が役務の提供期間以外の事由により変動するものをいう。

6 第一項に規定する使用人としての職務を有する役員とは、役員(社長、理事長その他政令で定めるものを除く。)のうち、部長、課長その他法人の使用人としての職制上の地位を有し、かつ、常時使用人としての職務に従事するものをいう。

7 第一項第二号ロ及びハに規定する関係法人とは、同項の内国法人との間に支配関係がある法人として政令で定める法人をいう。

8 第四項から前項までに定めるもののほか、第一項から第三項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

 

法人税法施行令

(過大な役員給与の額)

第七十条 法第三十四条第二項(役員給与の損金不算入)に規定する政令で定める金額は、次に掲げる金額の合計額とする。

一 次に掲げる金額のうちいずれか多い金額

イ 内国法人が各事業年度においてその役員に対して支給した給与(法第三十四条第二項に規定する給与のうち、退職給与以外のものをいう。以下この号において同じ。)の額(第三号に掲げる金額に相当する金額を除く。)が、当該役員の職務の内容、その内国法人の収益及びその使用人に対する給与の支給の状況、その内国法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの役員に対する給与の支給の状況等に照らし、当該役員の職務に対する対価として相当であると認められる金額を超える場合におけるその超える部分の金額(その役員の数が二以上である場合には、これらの役員に係る当該超える部分の金額の合計額)

ロ 定款の規定又は株主総会、社員総会若しくはこれらに準ずるものの決議により、役員に対する給与として支給することができる金銭その他の資産について、金銭の額の限度額若しくは算定方法、その内国法人の株式若しくは新株予約権の数の上限又は金銭以外の資産(ロにおいて「支給対象資産」という。)の内容(ロにおいて「限度額等」という。)を定めている内国法人が、各事業年度においてその役員(当該限度額等が定められた給与の支給の対象となるものに限る。ロにおいて同じ。)に対して支給した給与の額(法第三十四条第六項に規定する使用人としての職務を有する役員(第三号において「使用人兼務役員」という。)に対して支給する給与のうちその使用人としての職務に対するものを含めないで当該限度額等を定めている内国法人については、当該事業年度において当該職務に対する給与として支給した金額(同号に掲げる金額に相当する金額を除く。)のうち、その内国法人の他の使用人に対する給与の支給の状況等に照らし、当該職務に対する給与として相当であると認められる金額を除く。)の合計額が当該事業年度に係る当該限度額及び当該算定方法により算定された金額、当該株式又は新株予約権(当該事業年度に支給されたものに限る。)の当該上限及びその支給の時(第七十一条の三第一項(確定した数の株式を交付する旨の定めに基づいて支給する給与に係る費用の額等)に規定する確定数給与(ロにおいて「確定数給与」という。)にあつては、同項の定めをした日)における一単位当たりの価額により算定された金額並びに当該支給対象資産(当該事業年度に支給されたものに限る。)の支給の時における価額(確定数給与にあつては、同項に規定する交付決議時価額)に相当する金額の合計額を超える場合におけるその超える部分の金額(同号に掲げる金額がある場合には、当該超える部分の金額から同号に掲げる金額に相当する金額を控除した金額)

二 内国法人が各事業年度においてその退職した役員に対して支給した退職給与(法第三十四条第一項又は第三項の規定の適用があるものを除く。以下この号において同じ。)の額が、当該役員のその内国法人の業務に従事した期間、その退職の事情、その内国法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの役員に対する退職給与の支給の状況等に照らし、その退職した役員に対する退職給与として相当であると認められる金額を超える場合におけるその超える部分の金額

三 使用人兼務役員の使用人としての職務に対する賞与で、他の使用人に対する賞与の支給時期と異なる時期に支給したものの額

 

第8部 施行日
1.株主総会資料の電子提供制度の創設
8.その他(会社の支店の所在地における登記の廃止)    2022年施行予定
(公布日から3年6か月以内)
2.株主提案権の濫用的な行使を制限するための措置の整備
3.取締役の報酬に関する規律の見直し
4.会社補償および役員などのために締結される保険契約(D&O保険)に関する規律の整備
5.社外取締役に関する規律の見直し
6.社債の管理に関する規律の見直し
7.株式交付制度の創設
8.その他    2021年3月1日施行
(公布日から1年6か月以内)

 

鹿児島県熊毛郡屋久島町が利用不可能な土地を高額で購入したとして,住民の町に対する合併前の町長への損害金の返金措置請求住民訴訟について,監査請求前置の要件(地方自冶法242条の2第1項)を欠く不適法な訴えとして却下した事例

 

鹿児島地方裁判所判決/平成20年(行ウ)第4号

平成21年10月16日

住民訴訟請求事件

【判示事項】    鹿児島県熊毛郡屋久島町が利用不可能な土地を高額で購入したとして,住民の町に対する合併前の町長への損害金の返金措置請求住民訴訟について,監査請求前置の要件(地方自冶法242条の2第1項)を欠く不適法な訴えとして却下した事例

【掲載誌】     LLI/DB 判例秘書登載

 

地方自冶法

(住民訴訟)

第二百四十二条の二 普通地方公共団体の住民は、前条第一項の規定による請求をした場合において、同条第五項の規定による監査委員の監査の結果若しくは勧告若しくは同条第九項の規定による普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関若しくは職員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条第五項の規定による監査若しくは勧告を同条第六項の期間内に行わないとき、若しくは議会、長その他の執行機関若しくは職員が同条第九項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第一項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもつて次に掲げる請求をすることができる。

一 当該執行機関又は職員に対する当該行為の全部又は一部の差止めの請求

二 行政処分たる当該行為の取消し又は無効確認の請求

三 当該執行機関又は職員に対する当該怠る事実の違法確認の請求

四 当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを当該普通地方公共団体の執行機関又は職員に対して求める請求。ただし、当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方が第二百四十三条の二の八第三項の規定による賠償の命令の対象となる者である場合には、当該賠償の命令をすることを求める請求

2 前項の規定による訴訟は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める期間内に提起しなければならない。

一 監査委員の監査の結果又は勧告に不服がある場合 当該監査の結果又は当該勧告の内容の通知があつた日から三十日以内

二 監査委員の勧告を受けた議会、長その他の執行機関又は職員の措置に不服がある場合 当該措置に係る監査委員の通知があつた日から三十日以内

三 監査委員が請求をした日から六十日を経過しても監査又は勧告を行わない場合 当該六十日を経過した日から三十日以内

四 監査委員の勧告を受けた議会、長その他の執行機関又は職員が措置を講じない場合 当該勧告に示された期間を経過した日から三十日以内

3 前項の期間は、不変期間とする。

4 第一項の規定による訴訟が係属しているときは、当該普通地方公共団体の他の住民は、別訴をもつて同一の請求をすることができない。

5 第一項の規定による訴訟は、当該普通地方公共団体の事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に専属する。

6 第一項第一号の規定による請求に基づく差止めは、当該行為を差し止めることによつて人の生命又は身体に対する重大な危害の発生の防止その他公共の福祉を著しく阻害するおそれがあるときは、することができない。

7 第一項第四号の規定による訴訟が提起された場合には、当該職員又は当該行為若しくは怠る事実の相手方に対して、当該普通地方公共団体の執行機関又は職員は、遅滞なく、その訴訟の告知をしなければならない。

8 前項の訴訟告知があつたときは、第一項第四号の規定による訴訟が終了した日から六月を経過するまでの間は、当該訴訟に係る損害賠償又は不当利得返還の請求権の時効は、完成しない。

9 民法第百五十三条第二項の規定は、前項の規定による時効の完成猶予について準用する。

10 第一項に規定する違法な行為又は怠る事実については、民事保全法(平成元年法律第九十一号)に規定する仮処分をすることができない。

11 第二項から前項までに定めるもののほか、第一項の規定による訴訟については、行政事件訴訟法第四十三条の規定の適用があるものとする。

12 第一項の規定による訴訟を提起した者が勝訴(一部勝訴を含む。)した場合において、弁護士、弁護士法人又は弁護士・外国法事務弁護士共同法人に報酬を支払うべきときは、当該普通地方公共団体に対し、その報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払を請求することができる。

 

 

自衛隊法59条にいう「秘密」の意義

 

              自衛隊法違反被告事件

【事件番号】      東京地方裁判所判決/昭和43年(特わ)第250号

【判決日付】      昭和46年1月23日

【判示事項】      自衛隊法59条にいう「秘密」の意義

【判決要旨】      自衛隊法59条にいわゆる「秘密」とは、たんなる指定秘を意味せず刑罰によつて保護されるに足りる実質秘をいう。

【参照条文】      自衛隊法59-1

             自衛隊法118-1

             自衛隊法52

             秘密保全に関する訓令(昭和33年防衛庁訓令第102号)

             国家公務員法100-1

             国家公務員法109

【掲載誌】        判例タイムズ259号138頁

             判例時報620号14頁

 

自衛隊法

(服務の本旨)

第五十二条 隊員は、わが国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身をきたえ、技能をみがき、強い責任感をもつて専心その職務の遂行にあたり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に努め、もつて国民の負託にこたえることを期するものとする。

 

(秘密を守る義務)

第五十九条 隊員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を離れた後も、同様とする。

2 隊員が法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表する場合には、防衛大臣の許可を受けなければならない。その職を離れた後も、同様とする。

3 前項の許可は、法令に別段の定がある場合を除き、拒むことができない。

4 前三項の規定は、第六十五条の八第一項において準用する国家公務員法第十八条の四の規定により権限の委任を受けた再就職等監視委員会が同項において準用する同法第十八条の三第一項の規定により行う調査に際して、隊員が、職務上の秘密に属する事項を陳述し、若しくは証言し、又は当該事項の記載、記録若しくは表示がされた書類その他の物件を提出し、若しくは提示する場合については、適用しない。

 

第百十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

一 第五十九条第一項又は第二項の規定に違反して秘密を漏らした者

二 第六十二条第一項の規定に違反した者

三 第六十五条の四第一項の規定に違反する行為(職務上不正な行為をするように、又は相当の行為をしないように要求し、又は依頼する行為に限る。)をした再就職者

四 第六十五条の四第二項の規定に違反する行為(職務上不正な行為をするように、又は相当の行為をしないように要求し、又は依頼する行為に限る。)をした再就職者

五 第六十五条の四第三項の規定に違反する行為(職務上不正な行為をするように、又は相当の行為をしないように要求し、又は依頼する行為に限る。)をした再就職者

六 第六十五条の四第四項の規定に違反する行為(職務上不正な行為をするように、又は相当の行為をしないように要求し、又は依頼する行為に限る。)をした再就職者

七 第三号から前号までに掲げる再就職者から要求又は依頼を受けた隊員であつて、当該要求又は依頼を受けたことにより、職務上不正な行為をし、又は相当な行為をしなかつた者

八 正当な理由がなくて自衛隊の保有する武器を使用した者

2 前項第一号に掲げる行為を企て、教唆し、又はそのほヽうヽ助をした者は、同項の刑に処する。

 

国家公務員法

(秘密を守る義務)

第百条 職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。

② 法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表するには、所轄庁の長(退職者については、その退職した官職又はこれに相当する官職の所轄庁の長)の許可を要する。

③ 前項の許可は、法律又は政令の定める条件及び手続に係る場合を除いては、これを拒むことができない。

④ 前三項の規定は、人事院で扱われる調査又は審理の際人事院から求められる情報に関しては、これを適用しない。何人も、人事院の権限によつて行われる調査又は審理に際して、秘密の又は公表を制限された情報を陳述し又は証言することを人事院から求められた場合には、何人からも許可を受ける必要がない。人事院が正式に要求した情報について、人事院に対して、陳述及び証言を行わなかつた者は、この法律の罰則の適用を受けなければならない。

⑤ 前項の規定は、第十八条の四の規定により権限の委任を受けた再就職等監視委員会が行う調査について準用する。この場合において、同項中「人事院」とあるのは「再就職等監視委員会」と、「調査又は審理」とあるのは「調査」と読み替えるものとする。

 

第四章 罰則

第百九条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

一 第七条第三項の規定に違反して任命を受諾した者

二 第八条第三項の規定に違反して故意に人事官を罷免しなかつた閣員

三 人事官の欠員を生じた後六十日以内に人事官を任命しなかつた閣員(此の期間内に両議院の同意を経なかつた場合には此の限りでない。)

四 第十五条の規定に違反して官職を兼ねた者

五 第十六条第二項の規定に違反して故意に人事院規則及びその改廃を官報に掲載することを怠つた者

六 第十九条の規定に違反して故意に人事記録の作成、保管又は改訂をしなかつた者

七 第二十条の規定に違反して故意に報告しなかつた者

八 第二十七条の規定に違反して差別をした者

九 第四十七条第三項の規定に違反して採用試験の公告を怠り又はこれを抑止した職員

十 第八十三条第一項の規定に違反して停職を命じた者

十一 第九十二条の規定によつてなされる人事院の判定、処置又は指示に故意に従わなかつた者

十二 第百条第一項若しくは第二項又は第百六条の十二第一項の規定に違反して秘密を漏らした者

十三 第百三条の規定に違反して営利企業の地位についた者

十四 離職後二年を経過するまでの間に、離職前五年間に在職していた局等組織に属する役職員又はこれに類する者として政令で定めるものに対し、契約等事務であつて離職前五年間の職務に属するものに関し、職務上不正な行為をするように、又は相当の行為をしないように要求し、又は依頼した再就職者

十五 国家行政組織法第二十一条第一項に規定する部長若しくは課長の職又はこれらに準ずる職であつて政令で定めるものに離職した日の五年前の日より前に就いていた者であつて、離職後二年を経過するまでの間に、当該職に就いていた時に在職していた局等組織に属する役職員又はこれに類する者として政令で定めるものに対し、契約等事務であつて離職した日の五年前の日より前の職務(当該職に就いていたときの職務に限る。)に属するものに関し、職務上不正な行為をするように、又は相当の行為をしないように要求し、又は依頼した再就職者

十六 国家行政組織法第六条に規定する長官、同法第十八条第一項に規定する事務次官、同法第二十一条第一項に規定する事務局長若しくは局長の職又はこれらに準ずる職であつて政令で定めるものに就いていた者であつて、離職後二年を経過するまでの間に、局長等としての在職機関に属する役職員又はこれに類する者として政令で定めるものに対し、契約等事務であつて局長等としての在職機関の所掌に属するものに関し、職務上不正な行為をするように、又は相当の行為をしないように要求し、又は依頼した再就職者

十七 在職していた府省その他の政令で定める国の機関、行政執行法人若しくは都道府県警察(以下この号において「行政機関等」という。)に属する役職員又はこれに類する者として政令で定めるものに対し、国、行政執行法人若しくは都道府県と営利企業等(再就職者が現にその地位に就いているものに限る。)若しくはその子法人との間の契約であつて当該行政機関等においてその締結について自らが決定したもの又は当該行政機関等による当該営利企業等若しくはその子法人に対する行政手続法第二条第二号に規定する処分であつて自らが決定したものに関し、職務上不正な行為をするように、又は相当の行為をしないように要求し、又は依頼した再就職者

十八 第十四号から前号までに掲げる再就職者から要求又は依頼(独立行政法人通則法第五十四条第一項において準用する第十四号から前号までに掲げる要求又は依頼を含む。)を受けた職員であつて、当該要求又は依頼を受けたことを理由として、職務上不正な行為をし、又は相当の行為をしなかつた者

 

商法二八〇条ノ三ノ二に定める公告又は通知を欠くことと新株発行の無効原因

 

 

新株発行不存在確認、新株発行無効請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/平成5年(オ)第317号

【判決日付】      平成9年1月28日

【判示事項】      商法二八〇条ノ三ノ二に定める公告又は通知を欠くことと新株発行の無効原因

【判決要旨】      新株発行に関する事項について商法二八〇条ノ三ノ二に定める公告又は通知を欠くことは、新株発行差止請求をしたとしても差止めの事由がないためにこれを許容されないと認められる場合でない限り、新株発行の無効原因となる。

【参照条文】      商法280の3の2

             商法280の10

             商法280の15

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集51巻1号71頁

 

会社法

(募集株式の申込み)

第二百三条 株式会社は、第百九十九条第一項の募集に応じて募集株式の引受けの申込みをしようとする者に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない。

一 株式会社の商号

二 募集事項

三 金銭の払込みをすべきときは、払込みの取扱いの場所

四 前三号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項

2 第百九十九条第一項の募集に応じて募集株式の引受けの申込みをする者は、次に掲げる事項を記載した書面を株式会社に交付しなければならない。

一 申込みをする者の氏名又は名称及び住所

二 引き受けようとする募集株式の数

3 前項の申込みをする者は、同項の書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、株式会社の承諾を得て、同項の書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。この場合において、当該申込みをした者は、同項の書面を交付したものとみなす。

4 第一項の規定は、株式会社が同項各号に掲げる事項を記載した金融商品取引法第二条第十項に規定する目論見書を第一項の申込みをしようとする者に対して交付している場合その他募集株式の引受けの申込みをしようとする者の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合には、適用しない。

5 株式会社は、第一項各号に掲げる事項について変更があったときは、直ちに、その旨及び当該変更があった事項を第二項の申込みをした者(以下この款において「申込者」という。)に通知しなければならない。

6 株式会社が申込者に対してする通知又は催告は、第二項第一号の住所(当該申込者が別に通知又は催告を受ける場所又は連絡先を当該株式会社に通知した場合にあっては、その場所又は連絡先)にあてて発すれば足りる。

7 前項の通知又は催告は、その通知又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。

 

 

 

法人税法一三二条(同族会社等の行為又は計算の否認)の適用に当たり、原告会社が支払った役員所有の生コンクリート製造設備の適正賃料の算出方法は、課税庁が採用した、対象資産の取得価格に期待利回りを乗じ、その金額に諸経費等を加算する積算式評価法が合理的であるとされた事例

 

 

法人税更正処分取消請求事件

【事件番号】      名古屋地方裁判所判決/平成8年(行ウ)第10号

【判決日付】      平成11年5月17日

【判示事項】      (1) 重加算税と過少申告加算税との関係

             (2) 重加算税の賦課は、過少申告加算税として賦課されるべき一定の税額に加重額に当たる一定の金額を加えた額の税を課する処分として、過少申告加算税の賦課に相当する部分をその中に含んでいるものと解するのが相当であるから、加算税の変更賦課決定において過少申告加算税が増額していたとしても、重加算税の額が減少し、加算税総額が減少している場合には、その処分は全体として加算税を減額する一つの処分とみるべきであり、同変更賦課決定処分の取消を求める訴えの利益はないとされた事例

             (3) 重加算税賦課決定処分について異議申立て及び審査請求をしなかった場合、同処分の取消しを求める訴えは、不服申立前置(国税通則法一一五条)の要件を欠き、不適法であるとされた事例

             (4) 法人税法一三二条(同族会社等の行為又は計算の否認)の趣旨及び適用要件

             (5) 法人税法一三二条(同族会社等の行為又は計算の否認)の適用に当たり、原告会社が支払った役員所有の生コンクリート製造設備の適正賃料の算出方法は、課税庁が採用した、対象資産の取得価格に期待利回りを乗じ、その金額に諸経費等を加算する積算式評価法が合理的であるとされた事例

             (6) 原告会社が支払った役員所有の生コンクリート製造設備の賃貸料は、課税庁が右資産の取得価格に期待利回りを乗じ、その金額に諸経費等を加算して算出した適正賃料の額を上回り過大であるから、課税庁が過大賃料部分を法人税法一三二条(同族会社等の行為又は計算の否認)を適用して否認したことは適法であるとされた事例

             (7) 原告会社が支払った役員所有の生コンクリート製造設備の賃貸料のうち、課税庁が算定した適正賃料を上回る金額は、右役員に対する経済的利益の供与であるから役員報酬であると認められるとされた事例

             (8) 生コンクリートの製造販売を営む原告会社の取締役に対する報酬額の一部を法人税法三四条一項(過大な役員報酬等の損金不算入)の規定により損金不算入とした課税庁の処分は、原告会社と同業法人でその事業規模が類似する六社の代表取締役以外の一人当たり役員報酬の平均額を基礎として、類似法人の売上金額、売上総利益の金額、個人換算所得及び使用人給与最高額の平均比率を加重平均して算出した金額を上回る金額を損金不算入としていることから適法であるとされた事例

【判決要旨】      (1) 国税通則法六五条の規定による過少申告加算税と同法六八条一項の規定による重加算税とは、ともに申告納税方式による国税について過少な申告を行った納税者に対する行政上の制裁として賦課されるものであって、同一の修正申告又は更正に係るものである限り、その賦課及び税額計算の基礎を同じくし、ただ、後者の重加算税は、前者の過少申告加算税の賦課要件に該当することに加えて、当該納税者がその国税の課税標準又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出するという不正手段を用いたとの特別の事由が存する場合に、当該基礎となる税額に対し、過少申告加算税におけるよりも重い一定比率を乗じて得られる金額の制裁を課することとしたものと考えられるから、両者は相互に無関係な別個独立の処分ではなく、重加算税の賦課は、過少申告加算税として賦課されるべき一定の税額に前記加重額に当たる一定の金額を加えた額の税を賦課する処分として、右過少申告加算税の賦課に相当する部分をその中に含んでいるものと解するのが相当である(最高裁昭和五八年一〇月二七日第一小法廷判決・民集三七巻八号一一九六ページ)。

             (2)・(3) 省略

             (4) 法人税法一三二条(同族会社等の行為又は計算の否認)は、同族会社が小数の株主ないし社員によって支配されているため、当該会社またはその関係者の税負担を不当に減少させるような行為や計算が行われやすいことに鑑みて、税負担の公平を維持するために認められたものであり、税負担を不当に減少させるような行為や計算とは、純経済人として不合理・不自然な行為・計算のことをいうと解すべきであり、租税回避以外に正当な理由ないし事業目的が存在しないと認められる場合または独立・対等で相互に特殊関係のない当事者間で通常行われる取引と異なっている場合に否認し得るものと解すべきである。

             (5)~(8) 省略

【掲載誌】        税務訴訟資料242号602頁

 

法人税法

(同族会社等の行為又は計算の否認)

第百三十二条 税務署長は、次に掲げる法人に係る法人税につき更正又は決定をする場合において、その法人の行為又は計算で、これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、その法人に係る法人税の課税標準若しくは欠損金額又は法人税の額を計算することができる。

一 内国法人である同族会社

二 イからハまでのいずれにも該当する内国法人

イ 三以上の支店、工場その他の事業所を有すること。

ロ その事業所の二分の一以上に当たる事業所につき、その事業所の所長、主任その他のその事業所に係る事業の主宰者又は当該主宰者の親族その他の当該主宰者と政令で定める特殊の関係のある個人(以下この号において「所長等」という。)が前に当該事業所において個人として事業を営んでいた事実があること。

ハ ロに規定する事実がある事業所の所長等の有するその内国法人の株式又は出資の数又は金額の合計額がその内国法人の発行済株式又は出資(その内国法人が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額の三分の二以上に相当すること。

2 前項の場合において、内国法人が同項各号に掲げる法人に該当するかどうかの判定は、同項に規定する行為又は計算の事実のあつた時の現況によるものとする。

3 第一項の規定は、同項に規定する更正又は決定をする場合において、同項各号に掲げる法人の行為又は計算につき、所得税法第百五十七条第一項(同族会社等の行為又は計算の否認等)若しくは相続税法第六十四条第一項(同族会社等の行為又は計算の否認等)又は地価税法(平成三年法律第六十九号)第三十二条第一項(同族会社等の行為又は計算の否認等)の規定の適用があつたときについて準用する。

第2章 取締役に関する実務への影響

取締役に関する規律の変更が多く行われたため、この点についての実務的な影響を検討します。

 

今回の改正では取締役の報酬について、個人別の取締役報酬の決定方針を定める必要があるとされました。

決定方針として定めるべき範囲としては、会社法施行規則改正98条の4によると、以下の事項が含まれる予定です (このほか詳細は会社法施行規則改正案98条の4各号を参照してみてください)。

①取締役の個人別の報酬等の額又はその算定方法の決定に関する方針

②取締役の個人別の報酬等のうち、利益の状況を示す指標、株式の市場価格の状況を示す指標、 その他の当該株式会社又はその関係会社の業績を示す指標を基礎としてその額又は数が算定される報酬等(「業績連動報酬等」)がある場合には、 当該業績連動報酬等に係る業績指標の内容及び当該業績連動報酬等の額又は数の算定方法の決定に関する方針

③取締役の個人別の報酬等のうち、金銭でないものがある場合には、当該非金銭報酬等の内容及び当該非金銭報酬等の額若しくは数又はその算定方法の決定に関する方針

 

会社法改正以前も、有価証券報告書において、報酬額・算定方法の決定に関する方針の内容およびその決定方法について開示が求められていました。

したがって、報酬の決定方針について一定の指針がある会社は多く存在するものと思われますが、現在の決定方針の内容が今後会社法施行規則により定められる決定方針の内容と合致することになるのか、という点について検討することが必要です。

 

次に、取締役の報酬関連の改正として、株式等を報酬とする場合の規律の変化がありました。

旧法下の実務においては、取締役の報酬債権を現物出資する運用や、取締役が会社から受領した金銭を払い込み、株式等を受け取るような運用が行われていました。

今後は、取締役の報酬について株式・新株予約権を付与する場合には、払い込みが不要となるのでこれまでのような迂遠な処理は不要となります。

 

上場会社においては、株式や新株予約権を報酬の内容とする業績連動型報酬の採用についてより簡単に採用することができ、これまで以上の業績連動型報酬の導入が進むとともに、株主にとっても旧法のような金銭を形式的にと取締役に交付することによる取締役の報酬の内容の分かりにくさを解消することができ、双方にとって有益な、簡便な制度となりました。

 

職務執行の対価として払い込みなしに株式が発行される場合、労務出資禁止の原則に、なお抵触するのではないかという懸念も考えられますが、会計処理についてこれまでのストック・オプション等に関する会計基準にならった処理をすることで、債権者利益が害されることのないような処理がなされる予定です。

 

取締役に関連して、ここで補償契約・D&O保険契約の改正における実務的な影響についても検討します。

補償契約・D&O保険契約については、法務省の法的論点に関する解釈指針(脚注2)にも示されているような要件の下、これを締結している会社も存在していました。

今回、制度が明文化され新設されたことを踏まえ、自社の締結していた補償契約・D&O保険契約についてその内容を見直し、新制度におけるものと内容が適合するかを検討する必要があります。

 

社外取締役の活用についてです。

改正により、社外取締役設置の義務付けが行われましたが、社外取締役の設置自体は、上場会社のほとんどが行っているものであり、特に対処の必要はないものと考えられます。

 

社外取締役の業務執行への委託制度については、取引構造上利益相反関係の生まれるMBOを行うような場面での利用が期待されます。この際、都度取締役会決議により委託をすることが必要なので、注意が必要です。

今後は、社外性要件との関係で、社外取締役のどこまでの関与が許されるのか、といった点も検討課題となってくることになります。

 

青森市が郊外型大規模施設の建設を規制する条例を制定したため,土地の売却代が安くなったとして,味噌醸造会社の青森市に対する損害賠償請求訴訟

 

青森地方裁判所判決/平成19年(ワ)第135号

平成21年10月16日

損害賠償等請求事件

【判示事項】    市が郊外型大規模施設の建設を規制する条例を制定したため,土地の売却代が安くなったとして,味噌醸造会社の市に対する損害賠償請求訴訟において,条例は,今回の商業施設の建設計画とは関係なく制定されたもので,規制は違法とはいえないとして,請求を棄却した事例

【掲載誌】     LLI/DB 判例秘書登載

 

国家賠償法

第一条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。

② 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。