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法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

(共同の取引拒絶)
1 正当な理由がないのに、自己と競争関係にある他の事業者(以下「競争者」という。)と共同して、次の各号のいずれかに掲げる行為をすること。
一 ある事業者から商品若しくは役務の供給を受けることを拒絶し、又は供給を受ける商品若しくは役務の数量若しくは内容を制限すること。
二 他の事業者に、ある事業者から商品若しくは役務の供給を受けることを拒絶させ、又は供給を受ける商品若しくは役務の数量若しくは内容を制限させること。
東京高判昭和28年3月9日高等裁判所民事判例集6巻9号435頁
ⅰ、公正取引委員会が、事件について審判手続の一部を行わせるため、審査官を指揮監督し得る審査部長をその審判官に指定しても、違法ではない。
ⅱ、新聞の販売にあたり、各販売店が新聞発行本社と個個に一定の販売地域を定めて契約を結び、各販売店が互いに自己の地域外には販売しないことを相互に認識しているときは、これらの契約が相集って取引分野を細分された地域に分割し、各地域に1販売店をおき各販売店は自己の地域内で排他的地位を得るもので、このような方法に従う販売店の間には、新聞の販路および顧客の制限を内容とする共同行為がある。
ⅲ、独占禁止法における共同行為は、それ自体同法所定の不当な取引制限に進むおそれのある行為として、すでにその段階で禁止されるものであり、共同行為と不当な取引制限とは、その程度段階に差異はあるが本質は同一に帰着する。
ⅳ、旧独占禁止法第4条にいわゆる共同行為とは、相互に競争関係にある独立の事業者が、共同して相互に一定の制限を課しその自由な事業活動を拘束するところに成立し、その各当事者に一定の事業活動の制限を共通に設定することを本質とする。
ⅴ、旧独占禁止法第4条の共同行為にたんに加功した者は、同条の共同行為者または事業者ということはできず、公正取引委員会は、当然にはこれについて審判し排除措置を命ずることはできない。
ⅵ、旧独占禁止法第4条の共同行為の場合において、右行為が公共の利益に反しないとの事由は、同条第2項の一定の取引分野における競争に対する当該共同行為の影響が問題とする程度にいたらないとの事由とはならない。
ⅶ、新聞販売店間の地域協定は、公共の利益に反する。
ⅷ、公正取引委員会の審決に対する不服の訴において、裁判所は、審決の基礎となって事実が審決後に変更もしくは消滅したことをもって、審決の取消変更をすることはできない。
 

第12章 土地所有者の探索と土地所有者等情報の提供について
土地所有者等関連情報の利用及び提供
地域福利増進事業、収用適格事業及び都市計画事業の実施の準備のため、事業を実施しようとする区域内の土地の土地所有者等(※1)を知る必要があるときは、その探索に必要な限度で、土地所有者等関連情報(※2)の利用・提供が可能に。
(1) 都道府県知事及び市町村長は、その保有する土地所有者等関連情報を、内部で利用することができる。
(2) 都道府県知事及び市町村長は、地域福利増進事業等を実施しようとする者から提供の求めがあったときは、土地所有者等関連情報を提供するものとする。(請求者が国・地方公共団体以外の場合は、求めを受けた都道府県知事・市
町村長が、土地所有者等本人の同意を得た上で提供。)
(3) 国の行政機関の長又は地方公共団体の長は、土地に工作物を設置している者等に対し、土地所有者等関連情報の提供を求めることができる。
※1 土地又は土地にある物件に関し所有権その他の権利を有する者
※2 土地所有者等と思料される者に関する情報のうちその者の氏名又は名称、住所その他の国土交通省令で定めるもの
・ 省令では、氏名・名称・住所以外の土地所有者等関連情報として、本籍、生年月日、死亡年月日及び連絡先を規定。【省令第53条】
①提供の求め
事業者
(2)行政主体が保有する情報の外部提供
(第39条第2項~第4項)
(1)行政主体が保有する情報の内部利用(第39条第1項)
事業を実施する部局
情報を保有する部局
(例:税部局)
土地所有者等
① 提供の求め
② 同意の求め
③ 同意
④ 情報提供
②情報提供 ① 請求
国の行政機関の長
工作物の設置者等
(インフラ事業者等)
②情報提供
(3)工作物の設置者等が保有する情報の外部提供
(第39条第5項)
① 提供の求め
② 情報提供
※同意を要するのは、請求者が国・
地方公共団体以外の場合のみ
地方公共団体の長
(都道府県知事・市町村長)

探索の対象となる書類
探索の対象となる書類 請求先 請求の根拠規定 得られる可能性がある情報
固定資産課税台帳 土地の所在地を管轄する市町村の長
(特別区の場合は都知事) 法第39条第1項・第2項 固定資産税の納税義務者の氏名・名称、住所
地籍調査票 土地の所在地を管轄する都道府県の知事又は市町村の長 法第39条第1項・第2項 地籍調査時に所有者として立ち会った者の氏名、住所農地台帳
〈農地である場合のみ〉
土地の所在地を管轄する市町村の長 法第39条第2項・第5項 農地所有者の氏名・名称、住所
林地台帳
〈森林の土地である場合のみ〉
土地の所在地を管轄する市町村の長 法第39条第1項・第2項 林地所有者の氏名・名称、住所
閉鎖登記簿
〈変則型登記 の土地である場合のみ〉
土地の所在地を管轄する登記所の登記官
不動産登記法第119条
第1項
記名共有地や字持地となる前の土地の所有者の氏名
土地台帳
〈変則型登記の土地である場合のみ〉
土地の所在地を管轄する登記所の登記官 -
記名共有地や字持地となる前の土地の所有者の氏名

探索の対象となる書類 請求先 請求の根拠規定 得られる可能性がある情報
住民基本台帳 所有者と思料される者の住所地を管轄する市町村の長
住民基本台帳法
第12条の2第1項・第12条の3第1項第3号・第7項
土地の所有者と思料される者の住所、戸籍の表示、出生の年月日、死亡の年月日、転出先の住所
戸籍又は除籍簿 所有者と思料される者の本籍地を管轄する市町村の長
戸籍法第10条の2第1項第3号・第2項
土地の所有者と思料される者の本籍、出生の年月日、死亡の年月日
所有権登記名義人等の法定相続人の氏名、本籍、出生の年月日、死亡の年月日
戸籍の附票 所有者と思料される者の本籍地を管轄する市町村の長
住民基本台帳法第20条第2項・第3項第3号
土地の所有者と思料される者やその法定相続人の現住所、住所の履歴、戸籍の表示
法人の登記簿
〈土地所有者と思料される者が法人である場合のみ〉
最寄りの登記所の登記官 商業登記法第10条第1項等
法人の名称、本店・主たる事務所の所在場所、代表者の氏名・住所、解散の有無、清算人・破産管財人の氏名・名称、住所
認可地縁団体台帳
〈土地所有者と思料される者が法人である場合のみ〉
認可地縁団体の所在地を管轄する市町村の長
地方自治法第260条の2第12項
認可地縁団体の事務所の所在地、代表者の氏名・住所
探索の対象となる書類

土地所有者等関連情報の利用及び提供(手続の流れ)
A.固定資産課税台帳、地籍調査票、林地台帳 B.農地台帳 C.住民基本台帳、戸籍簿・除籍簿、戸籍の附票
請求者が、市町村(※)の情報提供担当部局に対し、土地所有者等関連情報の提供を請求
※ 固定資産課税台帳・地籍調査票に記録されている情報の提供を求める場合は、都道府県となる場合があります。
請求者が、市町村の情報提供担当部局に対し、土地所有者等を知る必要があることの証明書の交付を請求
情報提供担当部局が、都道府県警に対し、請求者が暴力団員等に該当しないかどうかを照会
情報提供担当部局が、事業の実施の準備のため所有者を知る必要性があるかどうかを判断
情報提供担当部局が、情報保有部局(税務部局、地籍調査担当部局、林務担当部局)から土地所有者等関連情報を取得
情報提供担当部局が、農業委員会から土地所有者等関連情報を取得
情報提供担当部局が、本人の同意を取得
情報提供担当部局が、請求者に土地所有者関連情報を提供
情報提供担当部局が、請求者に対し、土地所有者等を知る必要があることの証明書を交付
請求者が、情報保有部局(住民基本台帳担当部局、戸籍担当部局)に対し、土地所有者等関連情報の提供を請求
情報保有部局が、請求者に土地所有者関連情報を提供

情報提供担当部局が、都道府県警に対し、請求者が暴力団員等
に該当しないかどうかを照会

情報提供担当部局が、事業の実施の準備のため所有者を知る
必要性があるかどうかを判断

・ 請求者が国・地方公共団体以外の者である場合の土地所有者等関連情報の提供の手続の流れは、以下のとおりです。

照会の対象となる者 照会の趣旨 照会が必要となる場合
土地を現に占有する者
土地を現に占有する者自身が土地の所有者である可能性がある。
また、土地を現に占有する者は、土地の所有者との間で何らかの関係を有していると考えられ、契約の相手方として所有者に関する情報を保有している可能性がある。
現地を訪問し、土地を占有する者の存在が判明した場合
土地に関し所有権以外の権利を有す者
土地の所有者との間で契約関係を有していると考えられ、契約の相手方として所有者に関する情報を保有している可能性がある。
土地の登記事項証明書の交付の請求の結果、土地に関して所有権以外の権利(抵当権、地上権等)を有する者が判明した場合
土地にある物件に関し所有権その他の権利を有する者
土地の所有者との間で契約関係を有していると考えられ、契約の相手方として所有者に関する情報を保有している可能性がある。
現地を訪問し、土地に建物・立木等の物件が存在し、当該物件の登記事項証明書の交付の請求の結果、当該物件の権利者が判明した場合
政令第1条第5号の措置の対象者
政令第1条第5号の措置の対象者となる者(土地の所有者と思料される者)は、別の所有者に関する情報を保有している可能性がある。
政令第1条第1号~第4号の措置によって判明した土地の所有者と思料される者に対し書面を送付した結果、当該所有者と思料される者が所有者ではない事実又は所有者と思料される者以外の共有者の存在が判明した場合
土地の所在地を管轄する市町村の長
〈字持地・記名共有地・共有惣代地である場合のみ〉
土地の所在地の地域に所有者と思料される自治会や地方自治法第260条の2第7項に規定する認可地縁団体があるかどうか、土地が同法第294条第1項に規定する財産区の所有であるかどうかを確認する必要がある。
土地の登記事項証明書の交付の請求の結果、当該土地が字持地・記名共有地・共有惣代地であることが判明した場合
親族〈土地の所有者と思料される者が個人である場合のみ〉
所有者と思料される者の現住所や死亡の事実等を把握している可能性がある。 戸籍謄本等の交付の請求の結果、土地所有者と思料される者の親族が判明した場合
在外公館の長
〈探索を行う者が国の行政機関の長又は地方公共団体の長である場合のみ〉
海外に在留している日本人については、その住所・連絡先が在外公館の保有する資料に記録されている可能性がある。 住民票の写しの交付の申出の結果、土地所有者と思料される者が海外に転出していることが判明した場合
法人の代表者
〈土地の所有者と思料される者が法人である場合のみ〉
法人の所在地宛てに書面を送付したが、宛先不明として返送された場合は休眠会社となっている可能性が高く、法人の代表者の追跡調査を行う必要がある。
土地所有者と思料される者が法人であり、当該法人の所在地宛てに書面を送付したが、宛先不明として返送された場合
清算人又は破産管財人
〈土地の所有者と思料される者が法人である場合のみ〉
法人が合併以外の事由により解散している場合、清算人又は破産管財人が残余財産の分配等を行うこととされていることから、清算人又は破産管財人は法人が所有していた土地の所有者に関する情報を保有している可能性がある。
土地所有者と思料される者が法人であり、法人の登記事項証明書により当該法人が合併以外の事由で解散していることが判明した場合
照会の対象となる者

情報提供担当部局 地域福利増進事業等を実施しようとする者
(民間事業者)
地域福利増進事業等を実施しようとする者
(国又は都道府県※ )
土地所有者等関連情報の提供スキーム
地籍調査
担当部局
【地籍調査票】
市町村
林務担当部局
【林地台帳】
税務部局
【固定資産課税台帳】
固定資産課税台帳、地籍調査票、林地台帳に記録された情報の提供の場合
都道府県警
本人
事業の実施の準備のため所有者を知る必要性の判断等
情報提供担当部局
地域福利増進事業等を実施しようとする者
(民間事業者)
地域福利増進事業等を実施しようとする者
(国又は都道府県※ )

農業委員会
【農地台帳】
市町村

都道府県警

本人

事業の実施の準備のため所有者を知る必要性の判断等
農地台帳に記録された情報の提供の場合


住民基本台帳
担当部局
【住民基本台帳】
α市町村
地域福利増進事業等を実施しようとする者
(民間事業者)
β市町村
情報提供
担当部局
戸籍担当部局
【戸籍簿・除籍簿、戸籍の附票】
住民基本台帳、戸籍簿・除籍簿、戸籍の附票に記録された情報の提供の場合
土地所有者等関連情報の提供スキーム
都道府県警
事業の実施の準備のため所有者を知る必要性の判断等
α:事業を実施しようとする土地を管轄する市町村
β:情報を有すると思料される市町村
※ 事業を実施しようとする者が国・地方公共団体である場合には、上記のように証明書を取得することなく、これまでの公共事業と同様に、
情報を取得することになります。

土地権利者、物件所有者、物件権利者の探索
「相当な努力が払われたと認められるものとして政令で定める方法により探索を行ってもなおその所有者の全部又は一部を確知することができない一筆の土地」【法第2条第1項】
・ 相当な努力が払われたと認められる方法=土地所有者確知必要情報を取得するために①~④の全ての措置をとる方法【政令第1条】
① 土地の登記事項証明書の交付を請求すること。
② 当該土地の占有者その他の土地所有者確知必要情報を保有すると思料される者に対し、当該情報の提供を求めること。
③ 土地の所有者と思料される者が記録されている住民基本台帳その他の書類を備えていると思料される市町村長又は登記所の登記官に対し、当該情報の提供を求めること。
④ 土地の所有者と思料される者に対し、書面の送付その他の土地の所有者を特定するための措置をとること。
所有者不明土地
「相当な努力が払われたと認められるものとして政令で定める方法により探索を行ってもなおその所有者の全部又は一部を確知することができない物件」【法第10条第1項第2号】
・ 相当な努力が払われたと認められる方法=物件所有者確知必要情報を取得するために①~④の全ての措置をとる方法【政令第6条】
① 物件(建物・立木に限る。)の登記事項証明書の交付を請求すること。
② 当該物件の占有者その他の物件所有者確知必要情報を保有すると思料される者に対し、当該情報の提供を求めること。
③ 物件の所有者と思料される者が記録されている住民基本台帳その他の書類を備えていると思料される市町村長又は登記所の登記官に対し、当該情報の提供を求めること。
④ 物件の所有者と思料される者に対し、書面の送付その他の物件の所有者を特定するための措置をとること。
所有者不明物件
「土地又は当該土地にある物件に関し所有権以外の権利を有する者であって、相当な努力が払われたと認められるものとして政令で定める方法により探索を行ってもなお確知することができないもの以外の者」【法第10条第3項第2号ニ】
・ 相当な努力が払われたと認められる方法=土地等権利者確知必要情報を取得するために①~④の全ての措置をとる方法【政令第7条】
① 土地等(物件にあっては、建物・立木に限る。)の登記事項証明書の交付を請求すること。
② 当該土地等の占有者その他の土地等権利者確知必要情報を保有すると思料される者に対し、当該情報の提供を求めること。
③ 土地等の権利者と思料される者が記録されている住民基本台帳その他の書類を備えていると思料される市町村長又は登記所の登記官に対し、当該情報の提供を求めること。
④ 土地等の権利者と思料される者に対し、書面の送付その他の土地等の権利者を特定するための措置をとること。
特定所有者不明土地等の確知権利者

○ 裁定の申請に当たっては、土地の所有者に加え、土地の権利者の探索を行う必要がある。また、土地に物件が存在する場合は、物件の所有者、物件の権利者の探索を行う必要がある。
○ 土地の権利者、物件の所有者、物件の権利者の探索の方法は、基本的には土地の所有者の探索の方法と同様。

・ 土地・物件の占有者・所有者・権利者は、探索の対象者に応じて、対象となるかが下表のとおり異なる。
※ ◆は、思料される者を含む。
・ 上記以外の者(親族、在外公館の長、法人の代表者、清算人又は破産管財人)は、土地の所有者の探索と同様に照会の対象となる。
・ 土地の所有者の探索において探索の対象となっている固定資産課税台帳、農地台帳は、探索の対象者に応じて、対象となるかどうかが下表のとおり異なる。
・ 土地の所有者の探索において探索の対象となっている地籍調査票、林地台帳、閉鎖登記簿、土地台帳は、物件の所有者、土地の権利者、物件の権利者の探索においては探索の対象とはならない。
・ 上記以外の書類(住民基本台帳、戸籍簿又は除籍簿、戸籍の附票、法人の登記簿、認可地縁団体台帳)は、土地の所有者の探索と同様に探索の対象となる。
土地権利者、物件所有者、物件権利者の探索
探索の対象者
探索の対象となる書類 土地の所有者 物件の所有者 土地等の権利者
土地の権利者 物件の権利者
固定資産課税台帳 ○ ○ ○ ×
農地台帳 ○ × ○ ×
探索の対象者
照会の対象となる者 土地の所有者 物件の所有者 土地等の権利者
土地の権利者 物件の権利者
土地の占有者 ○ ○ ○ ○
物件の占有者 ○ ○ ○ ○
土地の所有者 ◆ ○ ○ ○
物件の所有者 ○ ◆ ○ ○
土地の権利者 ○ ○ ◆ ○
物件の権利者 ○ ○ ○ ◆
探索の対象となる書類
照会の対象となる者
○ ただし、探索の対象者に応じて、探索の対象となる書類や照会の対象となる者が一部異なる。

 

北海道拓殖銀行事件

商法違反被告事件
【事件番号】    最高裁判所第3小法廷決定/平成18年(あ)第2057号
【判決日付】    平成21年11月9日
【判示事項】    銀行の代表取締役頭取が,実質倒産状態にある融資先企業グループの各社に対し,客観性を持った再建・整理計画もないまま,赤字補てん資金等を実質無担保で追加融資したことが,特別背任罪における取締役としての任務違背に当たるとされた事例
【判決要旨】    銀行の代表取締役頭取が、実質倒産状態にある融資先企業グループの各社に対し、客観性を持った再建・整理計画もなく、既存の貸付金の回収額をより多くして銀行の損失を極小化する目的も明確な形で存在したとはいえない状況で、赤字補てん資金等を実質無担保で追加融資したことは、その判断において著しく合理性を欠き、銀行の取締役として融資に際し求められる債権保全に係る義務に違反し、特別背任罪における取締役としての任務違背に当たる。
          (補足意見がある)
【参照条文】    平成9年法律第107号による改正前の商法486-1
【掲載誌】     最高裁判所刑事判例集63巻9号1117頁


刑法
(背任)
第二百四十七条 他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

会社法
(取締役等の特別背任罪)
第九百六十条 次に掲げる者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該株式会社に財産上の損害を加えたときは、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 発起人
二 設立時取締役又は設立時監査役
三 取締役、会計参与、監査役又は執行役
四 民事保全法第五十六条に規定する仮処分命令により選任された取締役、監査役又は執行役の職務を代行する者
五 第三百四十六条第二項、第三百五十一条第二項又は第四百一条第三項(第四百三条第三項及び第四百二十条第三項において準用する場合を含む。)の規定により選任された一時取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役)、会計参与、監査役、代表取締役、委員(指名委員会、監査委員会又は報酬委員会の委員をいう。)、執行役又は代表執行役の職務を行うべき者
六 支配人
七 事業に関するある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人
八 検査役
2 次に掲げる者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は清算株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該清算株式会社に財産上の損害を加えたときも、前項と同様とする。
一 清算株式会社の清算人
二 民事保全法第五十六条に規定する仮処分命令により選任された清算株式会社の清算人の職務を代行する者
三 第四百七十九条第四項において準用する第三百四十六条第二項又は第四百八十三条第六項において準用する第三百五十一条第二項の規定により選任された一時清算人又は代表清算人の職務を行うべき者
四 清算人代理
五 監督委員
六 調査委員



 

政治団体である派閥の会計責任者の供述の信用性が肯定され、派閥の会長代理であった被告人に、会計責任者との共謀による政治資金規正法違反の罪が成立するとされた事例

 

東京高判平成19年5月10日 判例タイムズ1240号141頁 判例時報1984号115頁

政治資金規正法違反被告事件

【判示事項】 政治団体である派閥の会計責任者の供述の信用性が肯定され、派閥の会長代理であった被告人に、会計責任者との共謀による政治資金規正法違反の罪が成立するとされた事例

【参照条文】 刑法65-1 、60

       政治資金規正法(平18法113号附則14条改正前)25-1 、

12-1

 

刑法

(共同正犯)

第六十条 二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。

 

(身分犯の共犯)

第六十五条 犯人の身分によって構成すべき犯罪行為に加功したときは、身分のない者であっても、共犯とする。

2 身分によって特に刑の軽重があるときは、身分のない者には通常の刑を科する。

 

政治資金規正法

(報告書の提出)

第十二条 政治団体の会計責任者(報告書の記載に係る部分に限り、会計責任者の職務を補佐する者を含む。)は、毎年十二月三十一日現在で、当該政治団体に係るその年における収入、支出その他の事項で次に掲げるもの(これらの事項がないときは、その旨)を記載した報告書を、その日の翌日から三月以内(その間に衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙の公示の日から選挙の期日までの期間がかかる場合(第二十条第一項において「報告書の提出期限が延長される場合」という。)には、四月以内)に、第六条第一項各号の区分に応じ当該各号に掲げる都道府県の選挙管理委員会又は総務大臣に提出しなければならない。

一 すべての収入について、その総額及び総務省令で定める項目別の金額並びに次に掲げる事項

イ 個人が負担する党費又は会費については、その金額及びこれを納入した者の数

ロ 同一の者からの寄附で、その金額の合計額が年間五万円を超えるものについては、その寄附をした者の氏名、住所及び職業、当該寄附の金額及び年月日並びに当該寄附をした者が第二十二条の五第一項本文に規定する者であつて同項ただし書に規定するものであるときはその旨

ハ 同一の者によつて寄附のあつせんをされた寄附で、その金額の合計額が年間五万円を超えるものについては、その寄附のあつせんをした者の氏名、住所及び職業並びに当該寄附のあつせんに係る寄附の金額、これを集めた期間及びこれが当該政治団体に提供された年月日

ニ 第二十二条の六第二項に規定する寄附については、同一の日に同一の場所で受けた寄附ごとに、その金額の合計額並びに当該年月日及び場所

ホ 機関紙誌の発行その他の事業による収入については、その事業の種類及び当該種類ごとの金額

ヘ 機関紙誌の発行その他の事業による収入のうち、特定パーティー(政治資金パーティーのうち、当該政治資金パーティーの対価に係る収入の金額が千万円以上であるものをいう。以下この条及び第十八条の二において同じ。)又は特定パーティーになると見込まれる政治資金パーティーの対価に係る収入がある場合においては、これらのパーティーごとに、その名称、開催年月日、開催場所及び対価に係る収入の金額並びに対価の支払をした者の数

ト 一の政治資金パーティーの対価に係る収入(報告書に記載すべき収入があつた年の前年以前における収入を含む。)のうち、同一の者からの政治資金パーティーの対価の支払で、その金額の合計額が二十万円を超えるものについては、その年における対価の支払について、当該対価の支払をした者の氏名、住所及び職業並びに当該対価の支払に係る収入の金額及び年月日

チ 一の政治資金パーティーの対価に係る収入(報告書に記載すべき収入があつた年の前年以前における収入を含む。)のうち、同一の者によつて対価の支払のあつせんをされたもので、その金額の合計額が二十万円を超えるものについては、その年における対価の支払のあつせんについて、当該対価の支払のあつせんをした者の氏名、住所及び職業並びに当該対価の支払のあつせんに係る収入の金額、これを集めた期間及びこれが当該政治団体に提供された年月日

リ 借入金については、借入先及び当該借入先ごとの金額

ヌ その他の収入(寄附並びにイ、ホ及びリの収入以外の収入で一件当たりの金額(数回にわたつてされたときは、その合計金額)が十万円以上のものに限る。)については、その基因となつた事実並びにその金額及び年月日

二 すべての支出について、その総額及び総務省令で定める項目別の金額並びに人件費、光熱水費その他の総務省令で定める経費以外の経費の支出(一件当たりの金額(数回にわたつてされたときは、その合計金額)が五万円以上のものに限る。)について、その支出を受けた者の氏名及び住所並びに当該支出の目的、金額及び年月日

三 十二月三十一日において有する資産等(次に掲げる資産及び借入金をいう。以下この号及び第十七条第一項において同じ。)について、当該資産等の区分に応じ、次に掲げる事項

イ 土地 所在及び面積並びに取得の価額及び年月日

ロ 建物 所在及び床面積並びに取得の価額及び年月日

ハ 建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権 当該権利に係る土地の所在及び面積並びに当該権利の取得の価額及び年月日

ニ 取得の価額が百万円を超える動産 品目及び数量並びに取得の価額及び年月日

ホ 預金又は貯金 預金又は貯金の残高

ヘ 金銭信託 信託している金銭の額及び信託の設定年月日

ト 金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第一項及び第二項に規定する有価証券(金銭信託の受益証券及び受益権を除く。) 種類、銘柄及び数量並びに取得の価額及び年月日

チ 出資による権利 出資先並びに当該出資先ごとの金額及び年月日

リ 貸付先ごとの残高が百万円を超える貸付金 貸付先及び貸付残高

ヌ 支払われた金額が百万円を超える敷金 支払先並びに当該支払われた敷金の金額及び年月日

ル 取得の価額が百万円を超える施設の利用に関する権利 種類及び対象となる施設の名称並びに取得の価額及び年月日

ヲ 借入先ごとの残高が百万円を超える借入金 借入先及び借入残高

2 政治団体の会計責任者は、前項の報告書を提出するときは、同項第二号に規定する経費の支出について、総務省令で定めるところにより、領収書等の写し(当該領収書等を複写機により複写したものに限る。以下同じ。)(領収書等を徴し難い事情があつたときは、その旨並びに当該支出の目的、金額及び年月日を記載した書面(第十九条の十一第一項において「領収書等を徴し難かつた支出の明細書」という。)又は当該支出の目的を記載した書面及び振込明細書の写し(当該振込明細書を複写機により複写したものに限る。)。以下同じ。)を併せて提出しなければならない。

3 政治団体の会計責任者(会計責任者の職務を補佐する者を含む。第十九条の四及び第十九条の五において同じ。)は、第一項第一号ヘからチまでの特定パーティー又は政治資金パーティーの対価に係る収入のうち、同項の規定により報告書に記載すべき収入があつた年の前年以前において収受されたものがある場合において、当該特定パーティー又は政治資金パーティーに係る事項について同項の規定により報告書を提出するときは、当該報告書に記載すべき収入があつた年の前年以前において収受されたものについて同号ヘからチまでに掲げる事項を併せて記載しなければならない。

4 第一項の報告書の様式及び記載要領は、総務省令で定める。

 

第二十五条 次の各号の一に該当する者は、五年以下の禁錮こ又は百万円以下の罰金に処する。

一 第十二条又は第十七条の規定に違反して報告書又はこれに併せて提出すべき書面の提出をしなかつた者

一の二 第十九条の十四の規定に違反して、政治資金監査報告書の提出をしなかつた者

二 第十二条、第十七条、第十八条第四項又は第十九条の五の規定に違反して第十二条第一項若しくは第十七条第一項の報告書又はこれに併せて提出すべき書面に記載すべき事項の記載をしなかつた者

三 第十二条第一項若しくは第十七条第一項の報告書又はこれに併せて提出すべき書面に虚偽の記入をした者

2 前項の場合(第十七条の規定に係る違反の場合を除く。)において、政治団体の代表者が当該政治団体の会計責任者の選任及び監督について相当の注意を怠つたときは、五十万円以下の罰金に処する。

 

 

 

 

 1 本件は、いわゆる1億円ヤミ献金事件に関する控訴審判決である。

  2 本件事案の概要は、次のとおりである。被告人は、C党の1派閥の会長代理の地位にあったものであるが、政治団体であるその派閥の会計責任者と共謀の上、派閥が別の政治団体から1億円の寄附を受けたにもかかわらず、それを派閥の平成13年分の収支報告書に記載せず、平成14年3月29日ころ、東京都選挙管理委員会を経由して総務大臣に提出した、という政治資金規正法違反の事実で起訴された。このうち、収支報告書に記載すベき寄附を派閥が受けた事実、及び派閥の会計責任者がその寄附を記載せずに収支報告書を提出した事実は当事者間に争いがなく、本件争点は、会計責任者がそのような収支報告書を提出するについて、被告人との間で共謀があったか否かであった。

検察官は、その共謀の内容となる具体的事実関係として、「寄附をした政治団体からの領収書発行の要請を受けて平成14年3月13日に開催された派閥の幹部会において、被告人を含む4名の派閥幹部議員が、会計責任者同席のもとで、問題の1億円の寄附につき、領収書を発行すべきか否かについて協議を行い、その結果、領収書を発行せず、派閥の収支報告書にもその寄附を記載しないことを決定したのであり、被告人は、その協議に当たって、会長代理としてその場を取りまとめたほか、会計責任者に対し、寄附をした政治団体に出向いて領収書不発行の決定を伝達してその承諾を取り付けるように指示した」旨主張した。

被告人は、そのような協議、取りまとめ、指示の事実を否認したのに対し、会計責任者は、第1審公判において、検察官の主張に沿う供述をした。

したがって、1審、控訴審を通じて、審理・判断の対象となったのは、その会計責任者の1審公判供述の信用性いかんにある(なお、会計責任者自身は、被告人との共謀を含む同じ事実により起訴され、1審で事実を認めて争わず、禁錮10月・4年間執行猶予に処せられ、確定している)。

  3 1審判決は、会計責任者の供述の信用性について、記憶喚起過程が不自然で、重要事項に関する供述の変遷があり、供述内容が不自然で、補強証拠がないなどの理由を挙げて、その信用性に疑問を差し挟まざるを得ない事情がある、とした。

その上で、会計責任者が虚偽性を帯びる供述をした理由について、派閥の会長など本件発覚当時の現役国会議員であった幹部議員に累が及ぶのを阻止して派閥への打撃を最小限に食い止めるとともに、C党本部経理部長兼事務局長に捜査の手が及んでC党全体あるいはC党の資金団体に事件が波及し、その不透明な献金処理方法が白日のもとにさらされるのを阻止するために、殊更に本件発覚当時既に落選や引退をしていた被告人を含む幹部議員の名前を挙げるなどして信憑性の高さをうかがわせる虚偽の供述をした可能性がある、とした。

  4 これに対し、本判決は、まず、1億円の寄附がなされた状況、その後の1億円の流れ等の証拠上明らかに認められる客観的事実関係に照らし、問題の寄附は、形式的にも実質的にも派閥に宛てられたものであるとの事実を確定し、したがって、問題の寄附について、実質的には派閥会長が個人的な立場で受けたものであると取り扱われた可能性も否定できないとし、あるいは、C党経理部長兼事務局長がその事後処理を実質的に差配したかのような1審判決の認定は是認できない、とした。

その上で、会計責任者の供述の信用性を検討すると、その内容自体、客観的な事実経過に照らして自然で合理的である上、被告人の関与を含め、具体的に供述されており、その根幹部分において逮捕直後から一貫しており、会長秘書の供述とよく符合しており、他の誰かをかばい、殊更、幹部会に参加していた4名の派閥幹部に刑事責任を負わせるおそれの高い虚偽の供述をする理由はないと考えられることなどから、極めて信用性が高いと認められる、なお、会計責任者の述べる本件発覚後の記憶喚起の過程は不自然であるが、この点の不自然さが、供述の根幹部分の信用性に影響を及ぼすものではない、として、その信用性を肯定した。

外国倒産処理手続の承認の決定がされた後、同一の債務者について他の外国倒産処理手続の承認の申立てがされた事案において、いずれの外国倒産処理手続が、「外国主手続」、すなわち債務者の「主たる営業所」がある国で申し立てられた外国倒産処理手続であるかの認定判断がされた事例

 

東京地方裁判所決定/平成23年(承)第3号、平成23年(承)第5号

平成24年7月31日

外国倒産処理手続承認申立事件

【判示事項】    外国倒産処理手続の承認の決定がされた後、同一の債務者について他の外国倒産処理手続の承認の申立てがされた事案において、いずれの外国倒産処理手続が、「外国主手続」、すなわち債務者の「主たる営業所」がある国で申し立てられた外国倒産処理手続であるかの認定判断がされた事例

【判決要旨】    ある債務者(株式会社)について、A国の外国倒産処理手続の承認の決定がされ、その後にB国の外国倒産処理手続の承認の申立てがされた場合において、いずれの外国倒産処理手続が、「外国主手続」、すなわち「主たる営業所」がある国で申し立てられた外国倒産処理手続であるかを判断するにあたり、①「主たる営業所」の判断の基準時は、特段の事情のない限り、最初に外国倒産処理手続の開始申立てがされた時点とするのが相当であり、また、②「主たる営業所」は実質的な本店と解するのが相当であり、その判断基準ないし考慮要素としては、国際連合国際商取引法委員会(UNCITRAL)の作業部会において「主たる利益の中心」(COMI)として議論されている諸々の考慮要素を全体として視野に入れて検討し、事案に応じた判断を行うのが相当であるが、なお、これら諸要素のうち、本部機能ないし中枢、あるいは債務者の主要な財産および事業の認められる場所、債務者の経営管理の行われている場所、債権者から認識可能な場所といった要素については、重点的にその所在を斟酌するのが相当である。

【参照条文】    外国倒産処理手続の承認援助に関する法律21

          外国倒産処理手続の承認援助に関する法律62-1

          外国倒産処理手続の承認援助に関する法律2

【掲載誌】     金融・商事判例1410号45頁

          判例時報2174号61頁

          金融法務事情1961号99頁

 

外国倒産処理手続の承認援助に関する法律

(定義等)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一 外国倒産処理手続 外国で申し立てられた手続で、破産手続、再生手続、更生手続又は特別清算手続に相当するものをいう。

二 外国主手続 債務者が営業者である場合にあってはその主たる営業所がある国で申し立てられた外国倒産処理手続、営業者でない場合又は営業所を有しない場合にあっては、当該債務者が個人であるときは住所がある国で申し立てられた外国倒産処理手続、法人その他の社団又は財団であるときは主たる事務所がある国で申し立てられた外国倒産処理手続をいう。

三 外国従手続 外国主手続でない外国倒産処理手続をいう。

四 国内倒産処理手続 日本国内で申し立てられた破産手続、再生手続、更生手続又は特別清算手続をいう。

五 外国倒産処理手続の承認 外国倒産処理手続について、これを日本国内において第三章の規定による援助の処分をすることができる基礎として承認することをいう。

六 承認援助手続 次章以下に定めるところにより、外国倒産処理手続の承認の申立てについての裁判並びに債務者の日本国内における業務及び財産に関し当該外国倒産処理手続を援助するための処分をする手続をいう。

七 外国管財人 外国倒産処理手続において債務者の財産の管理及び処分をする権利を有する者であって、債務者以外のものをいう。

八 外国管財人等 外国倒産処理手続において外国管財人がある場合には外国管財人、外国管財人がない場合には債務者をいう。

九 承認管財人 第三十二条第一項の規定により債務者の日本国内における業務及び財産に関し管理を命じられた者をいう。

2 民事訴訟法(平成八年法律第百九号)の規定により裁判上の請求をすることができる債権は、日本国内にあるものとみなす。

 

(外国倒産処理手続の承認の条件)

第二十一条 次の各号のいずれかに該当する場合には、裁判所は、外国倒産処理手続の承認の申立てを棄却しなければならない。

一 承認援助手続の費用の予納がないとき。

二 当該外国倒産処理手続において、債務者の日本国内にある財産にその効力が及ばないものとされていることが明らかであるとき。

三 当該外国倒産処理手続について次章の規定により援助の処分をすることが日本における公の秩序又は善良の風俗に反するとき。

四 当該外国倒産処理手続について次章の規定による援助の処分をする必要がないことが明らかであるとき。

五 外国管財人等が第十七条第三項の規定に違反したとき。ただし、その違反の程度が軽微であるときは、この限りでない。

六 不当な目的で申立てがされたことその他申立てが誠実にされたものでないことが明らかであるとき。

 

(他の外国倒産処理手続の承認がされた場合の承認の条件等)

第六十二条 裁判所は、外国倒産処理手続の承認の申立てがされた場合において、既に承認の決定がされた同一の債務者についての他の外国倒産処理手続の承認援助手続があるときは、次の各号のいずれかに該当する場合にも、当該申立てを棄却しなければならない。

一 当該他の外国倒産処理手続が外国主手続であるとき。

二 前号に掲げる場合以外の場合において、当該申立てに係る外国倒産処理手続が外国従手続であり、かつ、当該外国倒産処理手続について第三章の規定により援助の処分をすることが債権者の一般の利益に適合すると認められないとき。

2 外国倒産処理手続の承認の決定があった場合において、同一の債務者につき外国倒産処理手続の承認の決定がされた他の外国従手続があるときは、当該外国従手続の承認援助手続は、中止する。ただし、次条第一項の規定による中止の命令が発せられているときは、この限りでない。

 

 

日本音楽著作権協会の社交場(銀座の高級クラブ)経営者に対する管理音楽著作物の著作権侵害に基づく損害賠償請求が認められた事例

 

東京地方裁判所判決昭和62年10月26日

著作権侵害差止等請求事件

【判示事項】 日本音楽著作権協会の社交場経営者に対する管理音楽著作物の著作権侵害に基づく損害賠償請求が認められた事例

【参照条文】 著作権法114-2

       著作権ニ関スル仲介業務ニ関スル法律

【掲載誌】  判例タイムズ657号213頁

       判例時報1259号118頁

 

著作権法

(損害の額の推定等)

第百十四条 著作権者等が故意又は過失により自己の著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者(以下この項において「侵害者」という。)に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、侵害者がその侵害の行為によつて作成された物(第一号において「侵害作成物」という。)を譲渡し、又はその侵害の行為を組成する公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。同号において「侵害組成公衆送信」という。)を行つたときは、次の各号に掲げる額の合計額を、著作権者等が受けた損害の額とすることができる。

一 譲渡等数量(侵害者が譲渡した侵害作成物及び侵害者が行つた侵害組成公衆送信を公衆が受信して作成した著作物又は実演等の複製物(以下この号において「侵害受信複製物」という。)の数量をいう。次号において同じ。)のうち販売等相応数量(当該著作権者等が当該侵害作成物又は当該侵害受信複製物を販売するとした場合にその販売のために必要な行為を行う能力に応じた数量をいう。同号において同じ。)を超えない部分(その全部又は一部に相当する数量を当該著作権者等が販売することができないとする事情があるときは、当該事情に相当する数量(同号において「特定数量」という。)を控除した数量)に、著作権者等がその侵害の行為がなければ販売することができた物の単位数量当たりの利益の額を乗じて得た額

二 譲渡等数量のうち販売等相応数量を超える数量又は特定数量がある場合(著作権者等が、その著作権、出版権又は著作隣接権の行使をし得たと認められない場合を除く。)におけるこれらの数量に応じた当該著作権、出版権又は著作隣接権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額

2 著作権者、出版権者又は著作隣接権者が故意又は過失によりその著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、当該著作権者、出版権者又は著作隣接権者が受けた損害の額と推定する。

3 著作権者、出版権者又は著作隣接権者は、故意又は過失によりその著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者に対し、その著作権、出版権又は著作隣接権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額を自己が受けた損害の額として、その賠償を請求することができる。

4 著作権者又は著作隣接権者は、前項の規定によりその著作権又は著作隣接権を侵害した者に対し損害の賠償を請求する場合において、その著作権又は著作隣接権が著作権等管理事業法第二条第一項に規定する管理委託契約に基づき著作権等管理事業者が管理するものであるときは、当該著作権等管理事業者が定める同法第十三条第一項に規定する使用料規程のうちその侵害の行為に係る著作物等の利用の態様について適用されるべき規定により算出したその著作権又は著作隣接権に係る著作物等の使用料の額(当該額の算出方法が複数あるときは、当該複数の算出方法によりそれぞれ算出した額のうち最も高い額)をもつて、前項に規定する金銭の額とすることができる。

5 裁判所は、第一項第二号及び第三項に規定する著作権、出版権又は著作隣接権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額を認定するに当たつては、著作権者等が、自己の著作権、出版権又は著作隣接権の侵害があつたことを前提として当該著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者との間でこれらの権利の行使の対価について合意をするとしたならば、当該著作権者等が得ることとなるその対価を考慮することができる。

6 第三項の規定は、同項に規定する金額を超える損害の賠償の請求を妨げない。この場合において、著作権、出版権又は著作隣接権を侵害した者に故意又は重大な過失がなかつたときは、裁判所は、損害の賠償の額を定めるについて、これを参酌することができる。

 

包括一罪と認められない1事例 

最高裁判所第3小法廷決定/昭和28年(あ)第4883号 
昭和30年10月18日 
商標法違反被告事件 
【判示事項】 包括一罪と認められない1事例 
【判決要旨】 被告人が単一の犯罪意思によるものではなく、別個の犯罪意思にもとずき、犯罪の期間および場所を異にし別の共犯者とともに同一の犯罪構成要件に該当する数個の行為をしたときは、被害法益が同一であるからといって1個の犯罪が成立するものとはいえない。 
【参照条文】 商標法34 
【掲載誌】  最高裁判所刑事判例集9巻11号2245頁 

商標法
(質権)
第三十四条 商標権、専用使用権又は通常使用権を目的として質権を設定したときは、質権者は、契約で別段の定めをした場合を除き、当該指定商品又は指定役務について当該登録商標の使用をすることができない。
2 通常使用権を目的とする質権の設定、移転、変更、消滅又は処分の制限は、登録しなければ、第三者に対抗することができない。
3 特許法第九十六条(物上代位)の規定は、商標権、専用使用権又は通常使用権を目的とする質権に準用する。
4 特許法第九十八条第一項第三号及び第二項(登録の効果)の規定は、商標権又は専用使用権を目的とする質権に準用する。

 

第11章 地域福利増進事業の手続きの流れ

土地使用権等の取得についての裁定(第13条第1項)

事業者 都道府県知事 事業の内容について住民の意見を反映させるために必要

な措置を実施(努力規定) (第10条第5項)

関係市町村長の意見を聴取するとともに、必要があるときは関係行政機関の長の意見を請求(第11条第2項・第3項)

裁定申請に係る事業が要件に該当するか確認(第11条第1項)

裁定申請書、添付書類を都道府県知事に提出し、土地使用権等の取得について裁定申請(第10条第2項・第3項)

裁定申請を却下し、その旨を事業者に通知(第12条第1項・第3項)

要件に該当する 要件に該当しない

異議の申出があったとき

裁定申請を却下し、その旨を事業者に通知(第12条第2項・第3項)

上記の場合以外

補償金の額について収用委員会に意見を聴取(第13条第4項)

土地使用権等の取得(第15条)

土地使用権の始期までに補償金を供託(第17条第1項)

裁定した旨を公告、事業者等へ通知(第14条)

⑴事業計画、補償金額等について土地等の権利者で異議のある者は申し出るべき旨等を公告し、裁定申請書等を縦覧(6月)(第11条第4項)

⑵公告をしようとするときは、あらかじめ、土地等の権利者で知れている者に対し、裁定申請があった旨を通知(第11条第5項)

 

<裁定事項>

・ 特定所有者不明土地の所在、地番、地目及び面積

・ 土地使用権等の始期・存続期間(最長10年)

・ 損失の補償金の額

原状回復・返還

(第24条)

存続期間延長の申請

(第19条第1項)

※①~⑩と同様の手続を踏むこととなるが、

⑤⑴の縦覧期間は3月となる。

事業終了 引き続き事業実施

 

 

地域福利増進事業の裁定申請に必要な書類

裁定申請書

• 事業者の氏名又は名称及び住所

• 事業の種別

• 事業区域

• 裁定申請をする理由

• 特定所有者不明土地の所在、地番、

地目及び地積

• 特定所有者不明土地の所有者の全部又は一部を確知できない事情

• 土地使用権等の始期

• 土地等使用権の存続期間 等

(法第10条第2項)

事業計画書

• 整備する施設の種類、位置、規模、構造及び利用条件

• 事業区域

• 権利取得計画(事業区域内のその他の土地・物件の権利の取得に関する計画)

• 資金計画

• 原状回復措置の内容 等

(第1号)

添付書類 (法第10条第3項)

補償金額見積書

• 特定所有者不明土地の面積

• 特定所有者不明物件の種類及び数量

• 確知所有者の全部の氏名又は名称及び住所

• 確知権利者の全部の氏名又は名称及び住所並びにその権利の種類及び内容

• 補償金の見積額及びその内訳 等

(第2号)

行政機関の意見書

※事業区域の利用に法令の制限がある場合

※事業の実施に許可等が必要な場合

(第3号、第4号)

• 暴力団員でないことの誓約書等

(第5号)

その他国土交通省令で定める書類

○ 所有者不明土地の使用権を取得するには、都道府県知事の裁定を受ける必要がある。裁定を申請するには、裁定申請書のほか、事業計画書や補償金額見積書等を作成する必要がある。

○ 申請に必要な書類の作成等に当たっては、司法書士、行政書士、不動産鑑定士、弁護士、土地家屋調査士、補償コンサルタント等の専門家の協力を得ながら進めることが有効。

○ 申請に当たっては、内容やスケジュール等について、都道府県・市町村とあらかじめ協議をしておくことが望ましい。

○ 都道府県知事は、裁定申請のあった事業が法第11条第1項各号の要件に該当するか確認する。申請内容に不十分な点等があった場合であっても、法第26条に基づき、事業者に対して、必要な報告を求めること等が可能となっているので、直ちに裁定申請を却下するのではなく、申請書類の補正等を促すことが望ましい。

 

測量等のための土地への立入り、障害物の伐採等

○ 申請書類の作成のため測量や調査を行う必要があるときは、判明している所有者の同意を得て土地に立ち入ることとなる。

○ 全ての所有者が不明で同意を得ることができない場合等には、都道府県知事の許可を得た上で、特定所有者不明

土地等への立入りや、特定所有者不明土地にある障害物の伐採等を行うことができる。

○ 立入りや伐採等に当たっては、当該土地が特定所有者不明土地であることが求められるため、土地の所有者の探

索を行う必要がある。

許可に当たっての確認の観点

特定所有者不明土地への立入り等

(法第6条)

・ 事業が、法第2条第3項各号に掲げる事業に該当するものであること。

・ 土地が特定所有者不明土地であること。

・ 立入りの目的が、地域福利増進事業の実施の準備のための測量又は調査

であること。

※ 事業実施に行政機関の許認可等が必要な場合であっても、当該許認可の取

得等は確認不要。

※ 法第11条第1項第3号~第8号の要件についても、確認不要。

障害物の伐採等

(法第7条)

・ 法第6条の許可の申請手続がなされていること。

・ 他人の土地に立ち入って測量又は調査を行うに当たり、障害物の伐採等を

行うやむを得ない必要があること。

・ 申請書により対象となる障害物の数量や範囲が特定されており、障害物の

伐採等の方法、範囲、期間が、測量又は調査の必要性、所有者が受ける不

利益の程度等からみて、妥当であること。

※ 法第7条第3項の「障害物の現状を著しく損傷しないとき」とは、例えば、植物のごく一部を伐採する、垣や柵のごく一部を取り外すといった場合が該当すると考えられる。

 

住民の意見を反映させるために必要な措置

○ 地域福利増進事業は地域のための事業なので、事業者は、事業の内容に住民の意見を反映させるための措置を

講じた上で、事業計画を作成することが望ましい。

○ この措置は、事業の賛否を問うための手続ではないので、対象とした範囲内の全ての住民の意見を聴く必要はない。

○ 住民のほか、判明している所有者や権利者に対しても、裁定申請の前に事業の内容を説明しておくことが重要。

住民の意見を反映させるために必要な措置

協議会の開催

・ 広報誌等で参加を呼びかけ、事業に対して自由に意見や提案を表明してもらう。

・ 普段開催されている自治会や町内会の集会で意見を聞くことも考えられる。

意見募集の実施 ・ 事業計画案とともに、事業計画案に対する意見の提出方法、提出期限、提出先等を、広報誌等で公表し、意見や提案を募集する。

措置の対象となる「住民」の範囲

・ 事業の種別・規模に応じて、事業の実施により影響が及ぶ範囲を考慮して設定することが考えられる。

(例)小規模な広場(ポケットパーク) : 自治会・町内会や街区の範囲

(例)小規模な購買施設(コンビニエンスストア) : 概ね半径500mの範囲

 

補償金額見積書(損失の補償)

補償金の額 = 1年間当たりの借賃等相当額(①) × 年金現価率(②)

・ これらを踏まえると、土地使用権の取得の対価の額は、宅地等の場合には、次式により得られる。

・ 近傍類地に賃借の事例があるときは、次に掲げる率を土地の価格に乗じて得た額を参考としつつ、当該事例に基づ

いて定め、近傍類地に賃借の事例がないときは、当該額とすることを基本とする。

• 宅地、宅地見込地及び農地 4パーセント

• 林地及びその他の土地 3パーセント

・ 土地の価格については、特定所有者不明土地は、所有者が登記手続を適時に行っておらず、相当な努力を払ったと認められる方法により探索を行っても所有者を確知できないことに起因し、その使用の方法は地域福利増進事業に限られることから、正常な価格から、最有効使用に対する利用価値の減分を考慮して求めることを基本とする。

・ 地域福利増進事業の実施によって、土地所有者は本来行うべき土地の維持管理費用(廃棄物処分費、清掃費、除草費等)を免れることになるため、1年間当たりの借賃等相当額からこれらの維持管理費用相当額を控除する等の考慮をし、補償金額を求める。

①1年当たりの借賃等相当額

②年金現価率

・ 元本を一定利率で複利運用しながら毎年一定額を取り崩す場合に、必要となる元本を求めるために当該一定額に乗じる率のことであり、次式により求められる。

年金現価率 = r : 年利率(民事法定利率(3%)を用いることが考えられる) n : 年数

 【機密性2】

発出元 → 発出先 作成日_作成担当課_用途_保存期間

1 − (1 + 𝑟)−𝑛r

 【機密性2】

発出元 → 発出先 作成日_作成担当課_用途_保存期間

土地使用権の取得の対価の額

= 土地の正常な価格− 最有効使用に対する利用価値の減分 × 0.04

− 1 年間当たりの維持管理費用相当額 ×

1 − 1 + 0.03

−存続期間の年数

0.03

○ 土地使用権の取得の対価の額に相当する補償金の額は、次式により算定することを基本とする。

 

関係市町村長の意見の聴取

都道府県

・ 「関係市町村長」には、事業区域内の土地の所在地を管轄する市町村の長が該当する。

・ 地域住民その他の者の共同の福祉又は利便の増進を図る見地からの意見の内容としては、例えば、以下のようなものが想定される。

・ 市町村の各種計画との整合性等に係る意見

・ 施設の必要性等に係る意見

・ 施設の利用条件等に係る意見

・ 地域住民の反対運動の有無やその内容

・ 意見の聴取に当たっては、例えば計画との整合性について意見を聴取する場合は計画の名称や内容を明らかにする等、意見を聴取したい内容を意見聴取書に具体的に記載する。

市町村

・ 意見は、法第11条第1項第1号の要件に該当するかについて都道府県知事が確認をする際に参考とするものであり、市町村長は、当該要件に該当するかについてまで判断して意見を述べる必要はない。

・ 意見聴取を受けた市町村の部局は、その旨を情報提供担当部局に共有し、情報提供担当部局が情報提供について同意をしなかった土地所有者と思料される者に対し、裁定申請があった旨の連絡をすることができるようにすることが考えられる。

○ 都道府県知事は、要件の確認に当たって、地域の住民のためになるかといった観点からの関係市町村長の意見を聴取する。

 

公告及び縦覧

公告

・ 公告の方法は、広報以外の手段(ウェブサイトへの掲載、新聞への掲載等)によることとしても差し支えない。

・ 公告の内容を掲示する際、特定所有者不明土地に確知所有者が存在する場合は、確知所有者の同意をとって、特定所有者不明土地において掲示をすることが望ましい。

・ 掲示の期間は、縦覧の期間と同様に6月間とすることを基本とする。

縦覧

・ 都道府県知事は、補償金額見積書に記載された確知所有者又は確知権利者に被支援措置者が含まれる場合において、補償金額見積書に被支援措置者の現住所が記載されているときは、当該現住所について塗抹処理等の措置をとった補償金額見積書の写しを縦覧する。

・ 縦覧の場所は、都道府県の庁舎のほか、必要に応じて、事業区域の付近の出張所・事務所等とすることが望ましい。

特定所有者不明土地の所有者等の申出等

・ 都道府県知事は、異議の申出があった場合(特に、不明であった所有者からの異議の申出があった場合で、当該申出によっても土地の所有者の全部を確知することができない場合)は、直ちに裁定申請を却下するのではなく、異議を申し出た者と事業者とで話し合いをするよう、あっせんすることが望ましい。話し合いの結果、異議の申出が取り下げられた場合は、異議の申出がなかったものとして裁定をすることができる。

・ 「権原を証する書面」としては、土地の登記事項証明書、戸籍謄本、遺産分割協議書の写し、公正証書遺言の遺言書の写し 、売買等の契約書の写し等が想定される。

○ 都道府県知事は、事業が全ての要件に該当すると認める場合には、所有者不明土地であるかどうかや、反対する権利者がいないかを確認するため、公告・縦覧を行う。

○ 公告は、公報等によって行うほか、現地での掲示も必要。

通知

・ 裁定申請通知書には、特定所有者不明土地の所在・地番・地目・面積、公告日、縦覧場所、縦覧期間を記載し、通知を受け取った確知所有者・確知権利者が申請内容を縦覧により確認できるようにする。

 

収用委員会の意見聴取

都道府県

・ 都道府県知事は、縦覧期間満了後速やかに裁定を行うことができるよう、収用委員会の会議の開催の方法も勘案しつつ、適切な時期に収用委員会の意見を聴取することが望ましい。

・ 意見聴取に当たっては、都道府県知事が適切と考える補償金の額を記載した意見照会書に、以下の書類を添えて収用委員会に送付する。

• その算定の根拠を記載した書類

• 事業者から提出のあった裁定申請書、補償金額見積書、補償金の見積額の積算の基礎を明らかにする書類の写し

収用委員会

・ 都道府県知事が精査した補償金額に特に問題がない場合は、その旨を回答する。

・ 都道府県知事が精査した補償金額と異なる額にするべきと判断する場合は、その額と算定の根拠を回答する。

・ 回答に当たっては、土地収用法における補償金の額の算定の考え方ではなく、本法における補償金の額の算定の考え方に沿って補償金の額を確認することに留意が必要。

・ 収用委員会は、裁定主体ではなく、都道府県知事が精査した補償金額に特に問題がないかを確認する立場であることを踏まえ、土地収用法の裁決とは異なり、意見回答に当たっては、委員が参集して会議を開催せずとも、持ち回りによる開催とすることも考えられる。

○ 都道府県知事は、裁定をしようとするときは、補償金の額について、収用委員会の意見を聴取する。

 

裁定等

裁定申請の却下

裁定

裁定の通知・公告

・ 事業者は、法第12条第3項の通知を受けたときは、特定所有者不明土地等の確知所有者及び確知権利者にその旨を通知することが望ましい。

・ 事業者は、裁定申請の却下に不服があるときには、行政不服審査法に基づく審査請求を行うか、行政事件訴訟法に基づく行政訴訟を提起することができる。

・ 損失の補償金の額は、裁定時の価格として定める。(事業者は、裁定申請時の価格として算定しているため、都道府県知事は、事業者が算定した額で問題がない場合でも、物価変動を考慮して裁定することが求められる。)

・ 所有権登記名義人が死亡し、土地が相続人の共有状態となっているが、遺産分割協議が未了のため各相続人の持分が不明である場合には、確知している相続人の異議がない場合に限り、法定相続分で補償金の額を裁定する

ことができる。

・ 公告の方法は、公報以外の所定の手段としては、ウェブサイトへの掲載、新聞紙への掲載が考えられ、公報の代わりにこれらの手段をとることとしても差し支えない。

・ 事業者は、裁定事項の内容が裁定申請書等の内容と異なる場合において、これに不服があるときには、行政不服審査法に基づく審査請求を行うか、行政事件訴訟法に基づく行政訴訟を提起することができる。

・ 税の特例措置の申請のため、事業者から求めがあった場合は、都道府県知事は、受理印を押した裁定申請書の写しを事業者に交付する。

○ 都道府県知事は、要件に該当しないこと等を理由に裁定申請を却下する場合を除き、裁定をする。

 

補償金の供託

○ 事業者は、裁定において定められた使用権の始期までに補償金を供託しなければならず、使用権の始期までに補償金を供託しない場合、裁定は効力を失うこととなる。

 

反対給付の内容

所有者不明土地の利用の円滑化等に

関する特別措置法第17条第1項

・ 特定所有者不明土地の使用権の補償金の供託の場合には、原則として、特定所有者不明土地に関し所有権その他

の権利を有する者(以下「土地所有者等」という。)を被供託者として土地所有者等ごとに1つの供託書により行う。

・ 補償金の供託をした裁定申請者は、速やかに供託書正本の写しを都道府県知事に提出する。

• 土地所有者等の氏名は判明しているが住所が不明である場合には、「被供託者の住所」の欄に土地所有者等の判明している範囲での最終住所地を記載する。

• 土地所有者等の氏名及び住所がいずれも不明である場合には、「被供託者の氏名・法人名等」の欄に「〇〇県〇〇市〇〇町〇〇番〇〇(土地の所在及び地番)の土地の所有者(又は○○権者)」と、「被供託者の住所」の欄に「不詳」と記載する。

• 「供託者は、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法第2条第2項に規定する特定所有者不明土地の使用権の取得を希望する者である」旨、「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法第13条第1項の裁定を受けた」旨、裁定日及び供託する補償金の額を記載する。

• 法第14条に規定する文書(「裁定通知書」)に記載された特定所有者不明土地の所在、地番、地目及び面積並びに土地使用権の始期及び存続期間を転記する。

• 「土地所有者等の所在が不明のため、当該土地所有者等を確知することができない」旨又は「土地所有者等の氏名及び住所が不明のため、当該土地所有者等を確知することができない」旨を記載する。(特定所有者不明土地の共有持分の割合が明らかでない場合には、「共有持分の割合が明らかでない」旨を併せて記載する。)

供託書の記載例(土地の使用権の補償金の供託の場合)

 

・ 事業者は、都道府県知事が裁定の取消事由に該当するかどうかを判断できるよう、事業計画に変更がある場合や事業を廃止しようとする場合には、都道府県知事から法第26条の規定により報告を求められた場合でなくとも、都道府県知事に対して報告を行うことが望ましい。

・ 土地使用権は、公法上の権利であり、登記は不要。

・ 土地使用権の存続期間中に、不明であった所有者が現れ、明渡しや原状回復を要求されたとしても、所有者不明土地に関する土地使用権以外の権利は、事業者による所有者不明土地の使用のため必要な限度においてその行使を制限されるとされていることから、土地使用権に基づき事業を継続して実施することができる。したがって、事業の支障となる事案が生じた場合には、事業者は、土地使用権に基づき妨害排除の請求をすることができる。

使用権の取得

使用権の性質について

その他事業実施中の留意事項

○ 事業者は、裁定において定められた補償金を供託すれば、裁定において定められた使用権の始期において、使用権を取得することができる。

○ 使用権の存続期間中に、不明であった所有者が現れ、明渡しや原状復帰を要求されたとしても、使用権に基づき事業を継続して実施することができる。

 

標識の設置

○ 事業者は、使用権が設定された土地(困難なときは事業区域内の土地)に、必要事項を表示した標識を設置しなければならない。

下記の土地は、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法第15条の規定に基づき、○○県知事の裁定により下記の使用権者がその使用権を取得しており、同法第2条第3項に規定する地域福利増進事業(広場)の用に供されています。

使用権者の氏名又は名称 ○○二丁目自治会

使用権設定土地の所在及び地番 ○○県○○町○○2-1-3

土地使用権等の始期 令和○年○月○日

土地等使用権の存続期間 10年

裁定を担当した都道府県の 部局名 ○○県○○局○○部○○課

部局の名称及び連絡先 連絡先 ○○-○○○○-○○○○

同法第20条第2項の規定に違反して、本標識を使用権者の承諾を得ないで移転し、若しくは除却し、又は汚損し、若しくは損壊した場合には、同法第50条第1項第2号の規定により、30万円以下の罰金に処されます。

・ 「裁定を担当した都道府県の部局の名称及びその連絡先」は、不明であった所有者が現れたときに、自らが所有者である旨を裁定権者である都道府県知事に申し出たり、所有者が都道府県知事から本制度についての説明を受け、供託金の還付を申し出ることができるように記載するものなので、都道府県の担当部局と調整の上、適切な名称・連絡先を記載することが必要。

・ 以下のように、標識を使用権設定土地の区域内に設けることが困難であるときは、事業区域内の見やすい場所に標識を設けることができる。

・ 使用権設定土地が事業により整備する建築物の敷地となっている場合など物理的に標識の設置が不可能な場合

・ 公園等の施設の中心部に使用権設定土地が位置している場合など標識の設置により施設の機能等を損なう場合

 

都道府県

・ 裁定時には不明であった所有者が、使用権設定土地を訪れ、標識によって自らの土地が地域福利増進事業の用に供されていることを確認した場合、標識に記載された都道府県の裁定担当部局に連絡をしてくることが想定される。この場合、裁定担当部局は、所有者に対して以下の事項を説明し、制度に対する理解を得るよう努める。

・ 当該土地は、土地使用権の存続期間満了まで使用できないが、土地等使用権の存続期間の満了時には原則として原状回復がされた上で返還されること

・ 補償金が供託されており、所定の手続を経た上で当該補償金の還付を受けることができることや、その還付手続の進め方

・ 土地等使用権の存続期間の満了後、まだ他に不明である所有者がいる場合には、事業者が存続期間の延長の裁定を申請する可能性があるが、異議を申し出れば、引き続き土地を使われることはないこと

・ 裁定担当部局は、不明であった所有者から連絡があった場合、その旨を事業者に連絡する。

事業者

・ 事業者は、都道府県の裁定担当部局を介して所有者に対する説明の機会を設け、事業内容や返還時の原状回復の方法等について説明し、事業の実施に理解を得るよう努めることが重要。

・ 特に、土地等使用権の存続期間の延長を検討している場合は、その旨も説明し、存続期間の延長の申請時に異議が出ないよう話し合うことが重要。

不明所有者が現れたときの対応

○ 不明であった所有者が現れた場合、都道府県は、トラブル防止のため、使用権の存続期間の満了時に原状回復した上で返還されること、補償金を受け取ることができること等を説明する。

○ また、事業者は、事業の円滑な遂行のため、事業内容等を所有者に説明し、事業の実施について理解を得ることが重要。

 

権利の譲渡

○ 事業者は、都道府県知事の承認を受けて、使用権を別の者に譲渡することができる。したがって、事業の実施中に、事業の実施のための別の法人を設立する場合でも、権利を譲渡することにより、改めて裁定申請をすることなく、継続して事業を実施することができる。

○ 都道府県知事は、権利の譲渡の承認に当たっては、譲渡前から変更となる部分について法第11条第1項各号の要件に該当するかどうかを確認する。

都道府県

・ 権利の譲渡の申請があった場合は、譲渡前から変更となる部分について法第11条第1項各号の要件に該当するかどうかを確認する。譲渡前から変更がない部分については、改めて確認する必要はない。

・ 事業の種別が変更になる等、譲渡人の事業計画からの変更が軽微なものと認められない場合は、申請を却下する。

事業者

・ 譲渡承認申請書とその添付書類は、裁定申請書とその添付書類と同様に作成する。

 

原状回復・返還

○ 事業者は、使用権の存続期間の満了時に、使用権が設定された土地を原状に回復した状態で返還する必要がある。

○ 判明している所有者全員の同意が得られている場合には、原状回復の必要はない。

○ 事業に不要であるとして所有権を取得し除却した物件については、再度設置する必要はない。

・ 「原状」とは、土地使用権等の始期の時点における物理的状態をいう。なお、物件所有権を取得し除却した物件(例:事業実施に不要な雑木)は、再度設置する必要はない。

・ 土地等使用権の存続期間満了時における使用権設定土地の状況が、原状に比べて価値が増加している場合

(例:排水路を設置した場合、舗装をした場合)であっても、原則として、原状に回復しなければならない。

・ 原状回復が不要となるのは、確知所有者(土地等使用権の存続期間中に確知することができた者を含む。)の全ての同意が得られた場合に限られる。ただし、確知所有者の全ての同意が得られなかったとしても、事業による整備の内容が共有物の管理(民法第252条)に該当するような場合(例:元々舗装されていた土地について、事業により再舗装した場合)には、同意を得られた確知所有者の持分が過半数となれば、原状回復は不要。

 

存続期間延長の申請

使用権の存続期間の延長についての手続と使用権の取得についての手続との違い

要件確認に当たっての留意事項

○ 事業者は、使用権の存続期間満了後も、引き続き所有者不明土地を利用して事業を実施したい場合には、使用権の存続期間の延長についての裁定を申請することができる。

○ 使用権の存続期間の延長についての手続は、概ね使用権の取得についての手続と同様であるが、一部の手続が省略される。

・ 住民の意見を反映させるために必要な措置(法第10条第5項)は不要。

・ 都道府県知事による裁定申請書等の縦覧の期間(法第11条第4項)は6月間ではなく3月間。

・ 存続期間の延長についての裁定を申請する場合の土地所有者等の探索は、前回の探索時から事情の変化が想定できない事項については、改めて探索を行う必要はなく、前回探索時の結果を活用して差し支えない。

(例)前回探索時に既に死亡していた登記名義人について、戸籍謄本等を再度請求する必要はない。

要件 留意事項

事業が地域福利増進事業に該当するものであること

(第1号)

・ 法第2条第3項第8号の事業(購買施設・教養文化施設)にあっては同種の施設

が存続期間内に新たに立地する場合も考えられる。ただし、このことをもって存続期間の延長を認めないこととすると、地域住民等の福祉・利便が損なわれることとなるため、新たに立地した施設が撤退する可能性、事業により整備されている施設が果たしてきた役割、地域住民等や地元市町村の意向、新たに立地した施

設と事業により整備されている施設との距離等を踏まえて総合的に判断し、同種の施設が著しく不足しているものとして、地域福利増進事業に該当すると判断することも考えられる。

土地使用権の目的となる土地が特定所有者不明土地に該当するものであること

(第2号)

・ 事業により利用されており、簡易建築物以外の建築物が整備されていることが想定されるため、特定所有者不明土地である必要はなく、所有者不明土地であることが確認できれば、要件に該当する。

 

報告徴収・立入検査

○ 都道府県知事は、事業が適切に実施されているかどうかを把握するため、事業者に対し報告徴収・立入検査をすることができる。

○ 報告徴収・立入検査は、裁定申請中の事業者や事業を行っていた者に対してもすることができる。

・ 都道府県知事は、事業が法第11条第1項各号に掲げる要件に該当しているかどうかを確認するため、年に1回程度、事業者に対し、地域福利増進事業の実施状況等に関する報告を求めることが望ましい。

・ 報告時期は、事業者の事業年度開始時期に応じ、適切な報告が得られる時期を設定することが望ましい。

報告徴収

立入検査

・ 都道府県知事は、報告徴収の結果、事業が法第11条第1項各号に掲げる要件のいずれかに該当しなくなっているおそれがある場合や、裁定申請に係る事業計画に従って事業を実施していないおそれがある場合など、事業の適正な実施のために必要と認められる場合には、立入検査を行うことができる。

・ 立入検査の結果、是正すべき点があった場合には、都道府県知事は、事業者に対してその旨を通知し、是正状況について、改めて報告を求めることが望ましい。

 

裁定の取消し

○ 都道府県知事は、事業者が法令に違反した場合や、事業が要件に該当しなくなった場合等には、裁定を取り消すことができる。

○ 事業者が事業を廃止する場合には、都道府県知事は、事業が要件に該当しなくなったと判断し、裁定を取り消すことになる。

裁定の取消事由 留意点

実施する事業が第11条第1項各号(第2号を除き、第19条第2項

において準用する場合を含む。)に掲げる要件のいずれかに該当しないこととなったとき。

(法第23条第1項第2号)

・ 土地等使用権の存続期間内に、不明所有者の全部が現れた場合は、所有者

不明土地に該当しないこととなり、法第11条第1項第2号に掲げる要件に該当

しないこととなるが、同号は法第23条第1項第2号の取消しに係る要件から除

かれているため、裁定の取消しの対象とはならない。

・ 土地等使用権の存続期間内に、周辺の地域において購買施設又は教養文化

施設が新たに立地して同種の施設が著しく不足していない状況となった場合

であっても、法第23条第1項第2号に該当する(=法第11条第1項第1号に掲げる要件に該当しないこととなった)ものとして、裁定を取り消す必要はない。

・ 都道府県知事は、使用権者から事業を廃止しようとする旨の報告があった場

合は、法第23条第1項第2号に該当する(=法第11条第1項第7号に掲げる要件に該当しないこととなった)ものとして、裁定を取り消すことができる。

正当な理由なく裁定申請に係る事業計画に従って事業を実施していないと認められるとき。

(法第23条第1項第3号)

・ 事業者から事業計画の変更の報告があった場合は、変更となる部分について

法第11条第1項各号の要件に該当するかどうかを確認する。変更がない部分については、改めて要件に該当するかどうかを確認する必要はない。

・ 要件に該当すると認める場合には、裁定を取り消す必要はない。

・ 事業計画の変更の内容が、事業の種別の変更等、軽微な変更と認められないものである場合は、法第23条第1項第3号に該当するものとして、裁定を取り消す。

 

 

申請が相当でないと認めるとき

○ 土地収用法の事業の認定を受けた収用適格事業について、その起業地内にある特定所有者不明土地を収用等しようとするときは、都道府県知事に対し、特定所有者不明土地の収用等についての裁定を申請することができる。

(収用委員会による権利取得裁決・明渡裁決を都道府県による裁定に一本化するとともに、審理手続を省略)

○ 都道府県知事による公告・縦覧の結果、土地所有者等から申出があった場合等には、特例制度による手続は却下され、必要に応じ土地収用法に基づく裁決手続を行うこととなる。

○ 都市計画法の認可等を受けた都市計画事業についても、同様に新法の裁定手続が可能。

所有者不明土地法の裁定手続事業認定の申請

申請書の公告・縦覧

事業認定の告示

収用委員会への権利取得裁決の申請

申請書の公告・縦覧

裁決手続開始の決定審理

補償金の支払等

権利取得裁決

収用委員会への明渡裁決の申請

審理

明渡裁決

地権者との任意交渉

事業実施

土地収用法の事業認定手続 土地収用法の裁決手続

都道府県知事への裁定の申請

補償金の供託

申請が相当であると認めるとき

土地所有者等から異議申出があったとき等以外のとき

起業地内にある特定所有者不明土地を収用等する場合

補償金の支払等

裁定申請があった旨等の公告・事業計画書等の縦覧

(2週間)

裁定手続開始の決定

裁定

土地収用法の特例の概要

収用委員会の意見聴取

裁定申請の却下

土地所有者等から異議申出があったとき等

 

事業者 都道府県知事

裁定申請書、添付書類を都道府県知事に提出し、特定所有者不明土地の収用等について裁定申請(第27条第2項・第3項)

土地収用法の事業認定の告示

申請に係る土地が特定所有者不明土地に該当するかなど、申請が相当であるか確認(第28条第1項)

裁定申請を却下し、その旨を事業者に通知(第29条第1項・第3項)

相当である 相当でない異議の申出があったとき

裁定申請を却下し、その旨を事業者に通知(第29条第2項・第3項)

裁定手続の開始の決定・登記等(第30条第1項)

上記の場合以外

特定所有者不明土地の収用等について裁定(第32条第1項)

権利取得

(第34条においてみなして適用する土地収用法第101条)

補償金の供託

(第34条においてみなして適用する土地収用法第95条)

裁定した旨を公告、事業者等へ通知(第33条) ⑴ 補償金額等について土地所有者等又は準関係人で異議のある者は申し出るべき旨等を公告し、裁定申請書等を縦覧( 2週間)(第28条第1項)

⑵公告をしようとするときは、あらかじめ、土地等の権利者で知れている者に対し、裁定申請があった旨を通知(第28条第2項)

補償金の額について収用委員会に意見を聴取(第32条第4項)

 

土地収用法の特例

 

裁定申請

【法律】

(裁定申請)

第二十七条

2 前項の規定による裁定の申請(以下この款において「裁定申請」という。)をしようとする起業者は、国土交通省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載し

た裁定申請書を都道府県知事に提出しなければならない。

3 前項の裁定申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。

一 土地収用法第四十条第一項第一号の事業計画書に記載すべき事項に相当するものとして国土交通省令で定める事項を記載した事業計画書

二 次に掲げる事項を記載した補償金額見積書

イ 特定所有者不明土地の面積(特定所有者不明土地を含む一団の土地が分割されることとなる場合にあっては、当該一団の土地の全部の面積を含む。)

ロ 特定所有者不明土地にある物件の種類及び数量

ハ 特定所有者不明土地等の確知所有者の全部の氏名又は名称及び住所

ニ 特定所有者不明土地の確知関係人(土地収用法第八条第三項に規定する関係人(ホにおいて単に「関係人」という。)であって、相当な努力が払われたと

認められるものとして政令で定める方法により探索を行ってもなお確知することができないもの以外の者をいう。次条第二項において同じ。)の全部の氏名又

は名称及び住所並びにその権利の種類及び内容

ホ 特定所有者不明土地を収用し、又は使用することにより特定所有者不明土地所有者等(特定所有者不明土地の所有者又は関係人をいう。以下同じ。)が

受ける損失の補償金の見積額及びその内訳

三 その他国土交通省令で定める書類

裁定申請書

• 起業者の氏名又は名称及び住所

• 事業の種類

• 特定所有者不明土地の所在、地番、地目及び地積

• 特定所有者不明土地の所有者の全部又は一部を確知できない事情

• 特定所有者不明土地の所有権その他の権利の取得・消滅時期

• 土地・物件の引渡し・移転期限 等

事業計画書

• 事業計画の概要/事業の開始・完成時期/事業に要する経費及びその財源/事業の施行を必要とする公益上の理由/起業地を当該事業に用いることが相当である理由 等

補償金額見積書

• 特定所有者不明土地の面積/特定所有者不明物件の種類及び数量/確知所有者の全部の氏名又は名称及び住所/確知権利者の全部の氏名又は名称及び住所並びにその権利の種類及び内容/補償金の見積額及びその内訳 等

その他国土交通省令で定める書類

• 起業地・事業計画に関する図面/特定所有者不明土地の所有者探索の過程で得られた、所有者を確知できない事情を明らかにする書類/補償金の見積額の積算基礎 等

 

公告・縦覧

【法律】

(公告及び縦覧)

第二十八条 都道府県知事は、裁定申請があった場合においては、起業者が収用し、又は使用しようとする土地が特定所有者不明土地に該当しないと認

めるときその他当該裁定申請が相当でないと認めるときを除き、国土交通省令で定めるところにより、次に掲げる事項を公告し、前条第二項の裁定申請

書及びこれに添付された同条第三項各号に掲げる書類を当該公告の日から二週間公衆の縦覧に供しなければならない。

四 その他国土交通省令で定める事項

2 都道府県知事は、前項の規定による公告をしようとするときは、あらかじめ、国土交通省令で定めるところにより、裁定申請があった旨を、前条第三項第

二号の補償金額見積書に記載された特定所有者不明土地の確知所有者及び確知関係人に通知しなければならない。

【省令】

(裁定申請があった旨等の公告の方法)

第四十条 法第二十八条第一項の規定による公告は、公報その他所定の手段により行わなければならない。

(公告事項)

第四十二条 法第二十八条第一項第四号の国土交通省令で定める事項は、同項の規定による公告の日から二週間以内に同項第三号の規定による申出

がないときは、都道府県知事が法第三十二条第一項の裁定をすることがある旨とする。

(裁定申請があった旨の通知の方法)

第四十三条 法第二十八条第二項の規定による通知は、文書により行わなければならない。

・ 公告の方法は、規則第40条において、「公報その他所定の手段により行わなければならない」と定めているが、公報以外の

「所定の手段」としては、ウェブサイトや新聞紙への掲載が考えられ、公報の代わりにこれらの手段をとることとしても差し支え

ない。

・ 縦覧場所は、都道府県の庁舎のほか、必要に応じて、起業地の付近の出張所・事務所等とする。

・ 都道府県知事は、補償金額見積書に記載された特定所有者不明土地の確知所有者又は確知関係人に被支援措置者が含まれる場合において、補償金額見積書に被支援措置者の現住所が記載されているときは、当該現住所について塗抹処理等の措置をとった補償金額見積書の写しを縦覧するものとする。

・ 規則第43条の文書には、特定所有者不明土地の所在、地番、地目及び面積、公告日、縦覧場所並びに縦覧期間を記載するものとする。

公告

縦覧

通知

 

異議申出・裁定申請の却下

【法律】

(公告及び縦覧)

第二十八条

三 次のイ又はロに掲げる者は、縦覧期間内に、国土交通省令で定めるところにより、その権原を証する書面を添えて、都道府県知事に当該イ又はロに

定める事項を申し出るべき旨

イ 特定所有者不明土地所有者等又は特定所有者不明土地の準関係人(土地収用法第四十三条第二項に規定する準関係人をいう。)であって、前

条第二項の裁定申請書又は同条第三項第二号の補償金額見積書に記載された事項(裁定申請書にあっては、同条第二項第一号、第二号及び

第四号に掲げる事項を除く。)について異議のあるもの 当該異議の内容及びその理由

ロ 特定所有者不明土地の所有者であって、前条第三項第二号の補償金額見積書に特定所有者不明土地の確知所有者として記載されていないもの(イに掲げる者を除く。) 当該特定所有者不明土地の所有者である旨

(裁定申請の却下)

第二十九条 都道府県知事は、裁定申請があった場合において、起業者が収用し、又は使用しようとする土地が特定所有者不明土地に該当しないと認めるときその他当該裁定申請が相当でないと認めるときは、当該裁定申請を却下しなければならない。

2 都道府県知事は、前条第一項の規定による公告をした場合において、同項の縦覧期間内に同項第三号イの規定による申出があったとき又は同号ロに掲げる者の全てから同号ロの規定による申出があったときは、当該公告に係る裁定申請を却下しなければならない。

3 都道府県知事は、前二項の規定により裁定申請を却下したときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、その理由を示して、その旨を当該裁定申請をした起業者に通知しなければならない。

・ 法第28条第1項第3号の「権原を証する書面」は、土地の登記事項証明書、戸籍謄本、遺産分割協議書の写し、公正証書遺言の遺言書の写し、売買等の契約書の写し等とする。

・ 法第29条第1項の規定による裁定申請の却下についての行政不服審査法に基づく審査請求及び行政事件訴訟法に基づく訴訟に関しては、審査請求及び訴訟についての特例を定める土地収用法第10章は適用されないため、行政不服審査法又は行政事件訴訟法に定めるところによることとなる。

異議申出

裁定申請の却下

 

裁定手続開始の決定

【法律】

(裁定申請の却下)

第二十九条 都道府県知事は、裁定申請があった場合において、起業者が収用し、又は使用しようとする土地が特定所有者不明土地に該当しないと認めるときその他当該裁定申請が相当でないと認めるときは、当該裁定申請を却下しなければならない。

2 都道府県知事は、前条第一項の規定による公告をした場合において、同項の縦覧期間内に同項第三号イの規定による申出があったとき又は同号ロに掲げる者の全てから同号ロの規定による申出があったときは、当該公告に係る裁定申請を却下しなければならない。

3 都道府県知事は、前二項の規定により裁定申請を却下したときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、その理由を示して、その旨を当該裁定申請をした起業者に通知しなければならない。

(裁定手続の開始の決定等)

第三十条 都道府県知事は、裁定申請があった場合においては、前条第一項又は第二項の規定により当該裁定申請を却下するときを除き、第二十八条第一項の縦覧期間の経過後遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、特定所有者不明土地の収用又は使用についての裁定手続の開始を決定してその旨を公告し、かつ、当該特定所有者不明土地の所在地を管轄する登記所に、当該特定所有者不明土地及び当該特定所有者不明土地に関する権利について、特定所有者不明土地の収用又は使用についての裁定手続の開始の登記を嘱託しなければならない。

・ 裁定手続開始の決定は、裁定手続開始の登記の嘱託にあたり、登記原因を証する書面が必要となるので、書面(以下「裁定手続開始決定書」という。)で行うものとする。

・ 裁定手続開始決定書には、起業者の氏名又は名称、事業の種類、裁定手続の開始を決定する土地の所在、地番、地目及び地積等(決定する土地の区域が一筆の土地の一部であるときは、その旨及び当該一部の面積を記載し、図面を添付してその区域を明示すること。)、土地所有者の氏名又は名称及び住所、関係人の氏名又は名称、住所及びその権利の種類(既登記の権利については、その登記の申請書の受付年月日及び受付番号を含む。)並びに裁定手続の開始を決定した年月日を記載するものとする。

・ 二筆以上の特定所有者不明土地について、その土地所有者が同一であって関係人のない場合、又は土地所有者が同一でかつ関係人が同種の権利を有する場合(例えば、関係人が地上権者であるときは、各土地について共通して地上権を有する場合)は、一括して一個の裁定手続開始決定をすることができる。

裁定手続開始の決定

・ 法第29条第1項の規定による裁定申請の却下についての行政不服審査法に基づく審査請求及び行政事件訴訟法に基づく訴訟に関しては、審査請求及び訴訟についての特例を定める土地収用法第10章は適用されないため、行政不服審査法又は行政事件訴訟法に定めるところによることとなる。

裁定申請の却下

 

収用委員会の意見聴取

【法律】

(裁定)

第三十二条

2 前項の裁定(以下この款において単に「裁定」という。)においては、次に掲げる事項を定めなければならない。

五 特定所有者不明土地を収用し、又は使用することにより特定所有者不明土地所有者等が受ける損失の補償金の額

4 都道府県知事は、裁定をしようとするときは、第二項第五号に掲げる事項について、あらかじめ、収用委員会の意見を聴かなければならない。

・ 意見聴取に当たっては、都道府県知事が適切と考える補償金の額を記載した意見照会書に、その算定の根拠を記載した書類、事業者から提出のあった裁定申請書、補償金額見積書、補償金の見積額の積算の基礎を明らかにする書類の写しを添えて収用委員会に送付するものとする。

・ 収用委員会は、都道府県知事が精査した補償金額に特に問題がないかを確認する立場であることを踏まえ、意見回答に当たっては、土地収用法の裁決とは異なり、委員が参集して会議を開催せずとも、持ち回りによる開催とすることも考えられる。

 

裁定

【法律】

(裁定)

第三十二条 都道府県知事は、第二十九条第一項又は第二項の規定により裁定申請を却下するとき及び裁定申請が次の各号のいずれかに該当するときを除き、裁定申請をした起業者が当該裁定申請に係る事業を実施するため必要な限度において、特定所有者不明土地の収用又は使用についての裁定をしなければならない。

4 都道府県知事は、裁定をしようとするときは、第二項第五号に掲げる事項について、あらかじめ、収用委員会の意見を聴かなければならない。

(裁定の通知等)

第三十三条 都道府県知事は、裁定をしたときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、その旨及び前条第二項各号に掲げる事項を、裁定申請

をした起業者及び当該事業に係る特定所有者不明土地所有者等で知れているものに文書で通知するとともに、公告しなければならない。

・ 法第32条に規定する都道府県知事の裁定に基づく収用による所有権の移転の登記は、起業者が不動産登記法第118条の規定により申請又は嘱託するものとし、不動産登記令第7条第1項第6号・別表の第74の項添付情報欄イに該当するものとして、法第33条の文書の正本のほか、補償金が供託されたことを証する情報(供託書正本)、補償金の払渡しがされた場合にあっては当該払渡しがされたことを証する情報を添付するものとする。

・ 法第32条の規定による裁定についての行政不服審査法に基づく審査請求及び行政事件訴訟法に基づく訴訟に関しては、審査請求及び訴訟についての特例を定める土地収用法第10章は適用されないため、行政不服審査法又は行政事件訴訟法に定めるところによることとなる。

・ 公告の方法は、規則第48条において、公報その他所定の手段により行わなければならないと定めているが、公報以外の「所定の手段」としては、ウェブサイトや新聞紙への掲載が考えられ、公報の代わりにこれらの手段をとることとしても差し支えない。

収用による所有権移転の登記

審査請求及び訴訟

裁定の公告

 

補償金の供託

 

反対給付の内容

所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法第17条第1項

・ 補償金の供託は、原則として、特定所有者不明土地の所有者又は関係人(以下「特定所有者不明土地所有者等」という。)を被供託者として特定所有者不明土地所有者等ごとに1つの供託書により行う。

・ 補償金の供託をした裁定申請者は、速やかに供託書正本の写しを都道府県知事に提出する。

• 特定所有者不明土地所有者等の氏名は判明しているが住所が不明である場合には、「被供託者の住所」の欄に特定所有者不明土地所有者等の判明している範囲での最終住所地を記載する。

• 特定所有者不明土地所有者等の氏名及び住所がいずれも不明である場合には、「被供託者の氏名・法人名等」の欄に「〇〇県〇〇市〇〇町〇〇番〇〇(土地の所在及び地番)の土地の所有者(又は○○権者)」と、「被供託者の住所」の欄に「不詳」と記載する。

• 「供託者は、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法第2条第2項に規定する特定所有者不明土地の収用(又は使用)を希望する者である」旨、「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法第32条第1項の裁定を受け、その旨の公告がされたことにより、土地収用法第48条第1項の権利取得裁決(又は土地収用法第49条第1項の明渡裁決)があったものとみなされた」旨、裁定日及び供託する補償金の額を記載する。

• 法第33条に規定する文書に記載された特定所有者不明土地の所在、地番、地目及び面積、権利取得の時期並びに特定所有者不明土地を使用する場合においてはその方法及び期間を転記する。

• 「特定所有者不明土地所有者等の所在が不明のため、補金を受領することができない」旨又は「特定所有者不明土地所有者等の氏名及び住所が不明のため、当該特定所有者不明土地所有者等を確知することができない」旨を記載する。

供託書の記載例

 

土地収用法との関係

【法律】

(裁定の効果)

第三十四条 裁定について前条の規定による公告があったときは、当該裁定に係る特定所有者不明土地について土地収用法第四十八条第一項の権利取得裁決及び同法第四十九条第一項の明渡裁決があったものとみなして、同法第七章の規定を適用する。

(損失の補償に関する土地収用法の準用)

第三十五条 土地収用法第六章第一節(第七十六条、第七十七条後段、第七十八条、第八十一条から第八十三条まで、第八十六条、第八十七条及び第九十条の二から第九十条の四までを除く。)の規定は、裁定に係る特定所有者不明土地を収用し、又は使用することにより特定所有者不明土地所有者等が受ける損失の補償について準用する。この場合において、同法第七十条ただし書中「第八十二条から第八十六条まで」とあるのは「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法(平成三十年法律第四十九号。以下「所有者不明土地法」という。)第三十五条第一項において準用する第八十四条又は第八十五条」と、「収用委員会の裁決」とあるのは「都道府県知事の裁定」と、同法第七十一条中「権利取得裁決」とあり、並びに同法第七十三条、第八十四条第二項及び第八十五条第二項中「明渡裁決」とあるのは「所有者不明土地法第三十二条第一項の裁定」と、同法第八十条

中「前二条」とあるのは「所有者不明土地法第三十五条第一項において準用する前条」と、同法第八十四条第一項中「起業者、土地所有者又は関係人」とあるのは「起業者」と、同項及び同条第二項、同条第三項において準用する同法第八十三条第三項から第六項まで並びに同法第八十五条中「収用委員会」とあるのは「都道府県知事」と、同法第八十四条第二項、同条第三項において準用する同法第八十三条第三項及び同法第八十五条第二項中「裁決を」とあるのは「裁定を」と、同条第一項中「起業者又は物件の所有者」とあるのは「起業者」と読み替えるものとするほか、必要な技術的読替えは、政令で定める。

・ 所有者不明土地法による特例は、収用委員会による裁決手続を合理化するものであり、都道府県知事による裁定を受けた後の手続については、土地収用法が定める通常の手続と異なるものはないため、同法第7章の規定を準用することとしている。ただし、裁定に対する審査請求や異議申立については、土地収用法を準用しないため、行政不服審査法・行政事件訴訟法にしたがって行う必要がある。

・ 収用に伴う損失の補償についても土地収用法を準用することとしているが、対象となる土地が所有者不明土地であることに照らし、所有者からの請求に関する規定については、準用の対象外とされている。

土地収用法の準用

 

土地収用法との関係

【法律】

(土地収用法との調整)

第三十一条 裁定申請に係る特定所有者不明土地については土地収用法第三十九条第一項の規定による裁決の申請をすることができず、同項の規定による裁決の申請に係る特定所有者不明土地については裁定申請をすることができない。

2 裁定申請に係る特定所有者不明土地については、土地収用法第二十九条第一項の規定は、適用しない。

3 裁定申請に係る特定所有者不明土地等については、土地収用法第三十六条第一項の規定にかかわらず、同項の土地調書及び物件調書を作成することを要しない。

4 裁定申請に係る特定所有者不明土地について、第二十八条第一項の規定による公告があるまでの間に土地収用法第三十九条第二項の規定による請求があったときは、当該裁定申請は、なかったものとみなす。

5 裁定申請について第二十八条第一項の規定による公告があったときは、当該裁定申請に係る特定所有者不明土地については、土地収用法第三十九条第二項の規定による請求をすることができない。

6 第二十九条第二項の規定により裁定申請が却下された場合における当該裁定申請に係る特定所有者不明土地についての土地収用法第二十九条第一項及び第三十九条第一項の規定の適用については、これらの規定中「一年以内」とあるのは、「特定期間(当該事業に係る特定所有者不明土地(所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法(平成三十年法律第四十九号)第二条第二項に規定する特定所有者不明土地をいう。)について同法第二十七条第一項の規定による裁定の申請があつた日から同法第二十九条第二項の規定による処分に係る同条第三項の規定による通知があつた日までの期間をいう。)を除いて一年以内」とする。

・ 土地収用法が定める手続と本法が定める特例との関係について、法第31条において、以下のような調整規定が設けられている。

・ 土地収用法の裁決手続と本法の裁定手続は同時に行うことができない(第1項)

・ 裁定申請中の土地については、土地収用法第29条第1項が定める事業認定の失効の規定は適用されない(第2項)

・ 裁定申請に係る土地については、土地調書・物件調書の作成は不要(第3項)

・ 裁定申請について、その公告前に土地収用法第39条第2項に定める裁決申請請求があった場合は、裁定申請はなかったものと見なされ、その公告後には裁決申請請求を行うことはできない(第4項・第5項)

・ 異議申出により裁決申請が却下された場合には、土地収用法が定める裁決申請期限は延長される(第6項)

土地収用法との調整

 

【参考】 事業認定に係る相談窓口を活用してください

「使えない」・「使いづらい」と思われている収用から必要に応じて活用できる収用へ

○収用制度は公共の利益の増進と私有財産との調整を図る手続であり的確な運用が必要であるが、「使えない」・「使いづらい」と思われていることから必ずしも十分な活用が図られていない。このため、事業認定の円滑化のための施策を講じ、収用制度の計画的な活用を促進する。

○ 平成30年4月2日 : 国土交通省土地収用管理室(以下「本省」という。)に相談窓口の体制を整備

○ 平成30年6月12日 : 事業認定申請の手引きを公表、各地方整備局等に相談窓口の体制を整備

○ 令和元年6月17日: 事業認定申請の手引き(第2版)公表

 

【相談・回答例】

○全体計画区間・起業地区間の考え方、事業の公益性の説明方法、添付すべき

書類の作成方法等について幅広く助言している。

○起業者(市)から本省に対し、事業認定庁(県)との相談結果を確認したい旨の相談があるなど、本省相談窓口では、自らが事業認定庁とならない事業を施行

する起業者からの相談も幅広く受け付けている。

 

Q. 主要地方道整備事業の事業区間320mのうち、40mが未整備であり、暫定的に供用している。未整備区間について、車道幅員は確保できているが、歩道部分が整備されていないという理由のみでの事業認定の申請は可能か。

A. 道路構造令に基づき、本件事業において歩道を設置することの合理性について説明することで、歩道部分についても事業認定を受けることが可能である。

○相談窓口一覧は以下のURLから確認可能。 事業認定 相談窓口 検索

( http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/land_expropriation/sosei_land_fr_000463.html )

(各地方整備局等含む)

 

【参考】 「事業認定申請の手引き」の改訂について

【改訂の方針】

相談窓口、アンケート調査等で把握した新たなニーズ等を踏まえ、さらなる予見可能性の向上と負担軽減を図る。

【改訂の内容】

○事例明示が収用活用を意思決定する上で有効との声を踏まえ、ニーズのある説明事例を大幅に追加(45例→63例)

・サービスエリア等の休憩施設

・路線バスの停車帯

・道路幅員など都市計画と事業計画が一致しない場合

・河川堤防の規格をランクアップする場合 等

○自治体の関心の高い小規模な道路事業(歩道整備、局部的な線形改良等)について、「手引き」の随所にある関連記述をわかりやすく再編集し、そのまま活用できる事業計画書の作成例として紹介

○防災・減災や老朽化対策への活用を見据えた記述を追加

・落石等の災害危険箇所の代替経路となる道路事業の説明事例

・地吹雪等の影響を緩和するための防雪柵を設置する場合の説明事例

・老朽化トンネルの代替経路となる別線トンネル事業の説明事例

・がけ崩れの復旧事業に際して、所有者不明土地がある場合に有益な不在者財産管理制度の活用について

・非常災害時の緊急使用制度(法第122条)の解説

「事業認定申請の手引き」の効果

○「事業認定申請の手引き」(以下「手引き」という。)について、

便利だという意見が多数寄せられた

○事業認定件数(本省)が1.5倍に増加(12件→18件)

○これまで収用活用が難しいと誤解されていた砂防事業等について、

具体的な活用の動きが出てきた

「手引き」の改訂内容

※平成30年上期(1~6月)→令和元年上期(1~6月)(30年度申請済み案件を含む。)

被災履歴のない砂防事業に関し、「土砂災害の危険性」の説明については、土砂災害警戒区域に指定されていることを用いても説明できることを「手引き」で提示。

土砂災害警戒区域

 

政治資金規正法6条及び7条所定の届出事項が公知である場合における当該届出義務の存否

 

高松高判昭和45年11月13日 刑集23巻4号769頁 判例タイムズ263号273頁 判例時報633号103頁

政治資金規正法違反被告事件

【判示事項】 政治資金規正法6条及び7条所定の届出事項が公知である場合における当該届出義務の存否

【判決要旨】 政治資金規正法6条及び7条所定の届出は、当該届出事項の内容が公知であると否とに拘らず、同法3条に該当するすべての政治団体に義務ずけられている。

【参照条文】 政治資金規正法6 、7 、8、23

 

政治資金規正法

(政治団体の届出等)

第六条 政治団体は、その組織の日又は第三条第一項各号若しくは前条第一項各号の団体となつた日(同項第二号の団体にあつては次条第二項前段の規定による届出がされた日、第十九条の七第一項第二号に係る国会議員関係政治団体として新たに組織され又は新たに政治団体となつた団体にあつては第十九条の八第一項の規定による通知を受けた日)から七日以内に、郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第六項に規定する一般信書便事業者、同条第九項に規定する特定信書便事業者若しくは同法第三条第四号に規定する外国信書便事業者による同法第二条第二項に規定する信書便によることなく文書で、その旨、当該政治団体の目的、名称、主たる事務所の所在地及び主としてその活動を行う区域、当該政治団体の代表者、会計責任者及び会計責任者に事故があり又は会計責任者が欠けた場合にその職務を行うべき者それぞれ一人の氏名、住所、生年月日及び選任年月日、当該政治団体が政党又は政治資金団体であるときはその旨、当該政治団体が第十九条の七第一項第一号に係る国会議員関係政治団体であるときはその旨及びその代表者である公職の候補者に係る公職の種類、当該政治団体が同項第二号に係る国会議員関係政治団体であるときはその旨、同号の公職の候補者の氏名及び当該公職の候補者に係る公職の種類その他政令で定める事項を、次の各号の区分に応じ当該各号に掲げる都道府県の選挙管理委員会又は総務大臣に届け出なければならない。

一 都道府県の区域において主としてその活動を行う政治団体(政党及び政治資金団体を除く。次号において同じ。) 主たる事務所の所在地の都道府県の選挙管理委員会

二 二以上の都道府県の区域にわたり、又は主たる事務所の所在地の都道府県の区域外の地域において、主としてその活動を行う政治団体 主たる事務所の所在地の都道府県の選挙管理委員会を経て総務大臣

三 政党及び政治資金団体 主たる事務所の所在地の都道府県の選挙管理委員会を経て総務大臣

2 政治団体は、前項の規定による届出をする場合には、綱領、党則、規約その他の政令で定める文書(第七条第一項において「綱領等」という。)を提出しなければならない。

3 第一項の規定による届出をする場合には、当該届出に係る政治団体の名称は、第七条の二第一項の規定により公表された政党又は政治資金団体の名称及びこれらに類似する名称以外の名称でなければならない。

4 第一項の文書の様式は、総務省令で定める。

5 第一項及び第二項の規定は、政党以外の政治団体が第三条第二項の規定に該当することにより政党となつた場合について準用する。

第六条の二 政党は、それぞれ一の団体を当該政党の政治資金団体になるべき団体として指定することができる。

2 政党は、前項の指定をしたときは、直ちにその旨を総務大臣に届け出なければならない。その指定を取り消したときも、同様とする。

第六条の三 政治団体は、その主たる事務所の所在地又は主として活動を行う区域の異動により、第六条第一項各号の区分に応じ、同項の規定による届出を受けるべき都道府県の選挙管理委員会又は総務大臣に異動が生じたときは、その異動の日から七日以内に、当該異動が生じたことにより同項の規定による届出を受けるべき都道府県の選挙管理委員会又は総務大臣に対し、同項及び同条第二項の規定の例により届け出なければならない。

第七条 政治団体は、第六条第一項(同条第五項において準用する場合及び前条の規定によりその例によることとされる場合を含む。次条及び第七条の三において同じ。)の規定により届け出た事項に異動があつたときは、第六条第五項に規定する場合に該当する場合を除き、その異動の日(第十九条の七第一項第二号に係る国会議員関係政治団体に該当したとき又は当該国会議員関係政治団体に該当しなくなつたときにあつては、第十九条の八第一項又は第二項の規定による通知を受けた日)から七日以内に、その異動に係る事項を第六条第一項の規定の例により届け出なければならない。同条第二項(同条第五項において準用する場合及び前条の規定によりその例によることとされる場合を含む。)の規定により政治団体が提出した綱領等の内容に異動があつたときも、同様とする。

2 第六条第三項の規定は、政治団体が前項前段の規定による届出をする場合について準用する。

(政治団体の名称等の公表)

第七条の二 第六条第一項の規定による届出があつたときは、当該届出を受けた都道府県の選挙管理委員会又は総務大臣は、その届出に係る政治団体の名称、その代表者及び会計責任者の氏名、当該政治団体の主たる事務所の所在地、当該政治団体が政党又は政治資金団体であるときはその旨、当該政治団体が第十九条の七第一項第一号に係る国会議員関係政治団体であるときはその旨及びその代表者である公職の候補者に係る公職の種類並びに当該政治団体が同項第二号に係る国会議員関係政治団体であるときはその旨、同号の公職の候補者の氏名及び当該公職の候補者に係る公職の種類を、遅滞なく、都道府県の公報又は官報への掲載、インターネットの利用その他の適切な方法により公表しなければならない。これらの事項につき前条第一項前段の規定による届出があつたときも、同様とする。

2 都道府県の選挙管理委員会は、前項の規定による公表を都道府県の公報への掲載により行つたときは、直ちに当該公報の写しを総務大臣に送付しなければならない。

3 政党が第三条第二項の規定に該当しなくなつたことにより政党でなくなつたとき又は政治資金団体につき第六条の二第二項後段の規定による届出があつたときは、総務大臣は、遅滞なく、その旨を官報への掲載、インターネットの利用その他の適切な方法により公表しなければならない。

(届出台帳の調製等)

第七条の三 第六条第一項の規定による届出を受けた都道府県の選挙管理委員会又は総務大臣は、その届出に係る政治団体の台帳を調製し、これを保管しなければならない。

2 前項の台帳の記載事項その他その調製及び保管に関し必要な事項は、総務省令で定める。

(届出前の寄附又は支出の禁止)

第八条 政治団体は、第六条第一項の規定による届出がされた後でなければ、政治活動(選挙運動を含む。)のために、いかなる名義をもつてするを問わず、寄附を受け、又は支出をすることができない。

 

第六章 罰則

第二十三条 政治団体が第八条の規定に違反して寄附を受け又は支出をしたときは、当該政治団体の役職員又は構成員として当該違反行為をした者は、五年以下の禁錮こ又は百万円以下の罰金に処する。

 

大蔵大臣(平成11年12月22日法律第160号中央省庁等改革関係法施行法による改正以降は財務大臣。以下、同じ)の登録を受けないで製造たばこの卸売販売を業として行った場合には、たとえそれが輸入たばこや偽造たばこであっても、たばこ事業法49条1号(無登録卸売販売業)の犯罪が成立する。

 

東京高等裁判所判決/平成13年(う)第1183号

平成13年9月25日

商標法違反、不正競争防止法違反、たばこ事業法違反被告事件

【判示事項】  大蔵大臣(平成11年12月22日法律第160号中央省庁等改革関係法施行法による改正以降は財務大臣。以下、同じ)の登録を受けないで製造たばこの卸売販売を業として行った場合には、たとえそれが輸入たばこや偽造たばこであっても、たばこ事業法49条1号(無登録卸売販売業)の犯罪が成立する。

【参照条文】 たばこ事業法49

【掲載誌】  高等裁判所刑事裁判速報集平成13年129頁

       東京高等裁判所判決時報刑事52巻1~12号58頁

 

たばこ事業法

第四十九条 次の各号の一に該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。

一 第二十条の規定に違反して、製造たばこの卸売販売を業として行つた者

二 第二十一条において準用する第十七条の規定による営業の停止の命令に違反した者

三 第二十二条第一項の規定に違反して、製造たばこの小売販売を業として行つた者

四 第二十四条第一項(第二十六条第二項において準用する場合を含む。)の規定による条件に違反した者

五 第二十五条第一項の規定に違反して、営業所を移転して製造たばこの小売販売を行つた者

六 第二十六条第一項の規定に違反して、営業所以外の場所に出張して製造たばこの小売販売を行つた者

七 第三十一条の規定による営業の停止の命令に違反した者

八 第三十六条の規定に違反して、製造たばこの小売販売を行つた者