前回の「天孫降臨に繋がる神」は、すべて二柱の天照に繋がった。

その頃の地上にいた「邪しき神」を祓ったものは。

★前回の記事

 

★目次

☆1 経津主神と武甕槌神

☆2 大己貴命と宗像神

☆3 高良神と神功皇后

☆4 祓いの神

 

  ☆1 経津主神と武甕槌神

 

天孫降臨の前の葦原中国(あしはらのなかつくに)の様子を日本書記は語る。

 

地上は、蛍火のように輝く神、騒々しい邪(あ)しき神あり、草木もことごとくものを話す混沌とした場所であった。

これを高皇産霊尊は「邪しき鬼」と表現している。

それを祓い平らにする者はいないかと、神々に問いている。

 

「多(さは)に蛍火の光(かかや)く神、及び蝿声(さばへ)なす邪(あ)しき神有り。復(また)草木威(ことごとく)能(よ)く言語(ものいふこと)有り。

高皇産霊尊(たかみむすびのみこと)は、八十諸神(やそもろかみたち)召し集へて、問ひて曰(のたまわ)く、

『吾(われ)、葦原中国の邪しき鬼(もの)を撥(はら)ひ平けしめむと欲(おも)う。(以下、略)』

(「日本書紀(一)」岩波文庫より引用)

 

邪しき神を祓う為に、経津主神と武甕槌神(たけみかづちのかみ)が地上に派遣された。

 

経津主神は、布津主神(ふつぬしかみ)であり、石上神宮の饒速日命。

武甕槌神は「高良玉垂宮神秘書」より、高良神と同神。

彼は、物部の祖神の饒速日命であるので、みな同神であった。

 

 

紀の一書で、二柱に最後まで抵抗したのが、天津甕星。

建葉槌神が拘束している。

これも彼らとなる。

 

 

  ☆2 大己貴命と宗像神

 

上記の紀の地上の様子と同じものを見ている。

福岡の楯崎神社の伝承だ。

 

世が未開で混沌として、草木が話していた時代のこと。
北海の浜に「夷の類」という狂暴な鬼神が攻めてきて、人民を殺略した。

 

その時、大己貴命と宗像姫が自ら神軍を率いて、稜威(いつ・畏れを感じるほどの力)を振るって、
楯を立て、鼓を鳴らして、夷賊を防御して、遂には退治した。(楯崎神社由緒書より)

*鼓島は、鼓が変化したもの。

 

ここでは「祓い」を大己貴命と宗像神がしていた。

 

 

大己貴命は大国主神=大神神社の大物主神。

その実は、饒速日命=籠神社の天火明命。

 

 

宗像神は、市杵島姫命であり、籠神社の豊受大神。

豊受大神は、大神神社の摂社の御炊社の神。

彼の后の御炊屋姫が、宗像神であった。

 

宗像大社

 

宗像大社と大神神社の社家は、同じ大神氏(大三輪氏)であった。

元は、夫婦神を祀る物部であったのだろう。

 

二柱は、大和で生を終えているかのような記述もあるが(ホツマツタエなど)、その実、筑紫に来て「祓い」をしていたことになる。

 

この楯崎神社の伝承は、波折神社に繋がる。

神功皇后は鼓島で、瀬織津姫と住吉神、志賀神の三柱と邂逅していた。

同神ゆえだった。

 

  ☆3 高良神と神功皇后

 

筑後国一之宮の高良大社に「高良玉垂宮神秘書」が伝わる。

 

☆高良神は異類を退治。

☆后は神功皇后。

☆同神は、住吉神、志賀神、安曇磯良神、鹿島神、春日神。

 

 

☆1の武甕槌神(鹿島、春日の神)であり、☆2の楯崎神社の住吉神。

彼は饒速日命であるので、

☆1の経津主神(布津主神)であり、☆2の大己貴命と同神となる。

 

筑紫に残る数々の社の伝承からも、彼らに繋がった。

 

 

「高良峰(香春岳)」は「神秘書」に記された、高良神による唯一の異類退治。

彼はツヌガアラシト(祇園神)であり、辛国(からくに)から追って来た神の名を冠する二社のヒメコソ神社より、

饒速日命=高良神

𣑥幡千千姫=市杵島姫命(織女神)=宗像神と繋がっている。

 

饒速日命(大己貴命)と宗像神は☆2の楯崎神社の伝承にも繋がる。

 

 

 

 

 

筑紫の伝承からも高良神=饒速日命に繋がった。

確かに「そこ」に神功皇后が共に在る。

 

  ☆4 祓いの神

 

この国の「祓い」をしたのは、彼らなのだ。

二柱の天照である饒速日命と御炊屋姫。

名を変えられた高良神と神功皇后。

 

彼らが同神と分からなければ、神話や伝承は解かれない。

そこには、彼らが不可欠なのだ。

 

☆1 神話の経津主神と武甕槌神。

   天津甕星と建葉槌。

☆2 伝承の大己貴命と宗像神。

☆3 高良神と神功皇后。

 

社の由緒、配祀の神は、適当にされている訳ではない。

 

祓いの神、住吉神と瀬織津姫(女神天照)(*1)

住吉神と神功皇后

饒速日命と瀬織津姫

饒速日命と御炊屋姫

武内宿禰と神功皇后

 

矛盾は、同神ゆえであった。

 

伝承は神の由緒であり、時にその神の正体を示唆するもの。

しかし、筑紫では彼らの「祓い」の軌跡が垣間見える。

 

この地での「祓い」が、神話の軸の一つとなっていると推測している。

 

「イザナギ神の祓い」の地には、住吉の元宮の現人神社がある。

 

 

大国主神は、国を平にした神として、国平の神とされる。

その理由の一つが、この「祓い」にある。

 

 

 

( つづく )

 

 

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(*1)瀬織津姫と饒速日命

 

瀬織津姫は、大祓いの祝詞に登場する四柱の内の一柱。

内宮の女神天照のこと。

奈良の天河弁財天は、ここから神を勧請している。

天照が、弁財天となる。

弁財天は市杵島姫命と習合=宗像神。

 

天照の別名、撞賢木厳御霊天疎向津姫は、厳島神社の市杵島姫命を意味している。

籠神社の豊受大神は絵馬で、市杵島姫命。

豊受大神は、大神神社の御炊社の神であり、御炊屋姫の社は、弁財天とされる。

 

つまり、饒速日命の后の御炊屋姫が、女神天照、宗像神、豊受大神。

 

彼は、籠神社の天火明命(饒速日命)

大神神社の大物主神、大国主神(=大己貴神)、内宮の男神天照。



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