神の力ではない、人の力が生み出した奇跡。
私は奇跡に感じる。
こんなひとがアイドルとして活動していた。
それと同じ時代に生き、それをずっと見続けることができた。
須田亜香里、という名の奇跡。
この奇跡に感謝します。
この奇跡にたどり着いた、須田亜香里というひとに感謝します。
SKE48運営ゼスト渾身の、日本ガイシホールでのライブセット。
近年の48Gコンサートにはなかった、圧倒的な演出設備群。
私はコンサートの満足度は会場の設備ではなく、その中身だ、という考え方です。
だがここまでやられれば、その空間に身を浸す者の心が高揚しないわけがない。
スタンディング可、も結果からすると当たり前かつ必須の判断だったように思う。
私もこのコロナ禍で、黙って座っておとなしく見る、というライブに随分と慣らされてきた。
そしてこのライブを終わって思う。
このコンサートは、スタンディングでやるしかなかった。
これを見せられて、ここまでやられて、
座ってペンライト振るだけ、なんてあり得ない!
俺達に声を出させろ!
頼むから、須田亜香里の名を叫ばせろ!
SKE48のコンサートの熱量。
それは変わらない。
声が出せなくとも絶対に失われない、
SKEファンの、SKEメンバーの、SKE運営の、
SKE48コンサートに対するプライドだ。
運営は、採算を度外視でそれを作りに来た。
メンバーは、持てる力の全てを出し切ろうとする。
僕らファンが、それに応える方法とは、なんだ?
最初に披露された、須田亜香里のソロ。
「今の私じゃダメなんだ」。
以前からあった、須田のソロ曲。
そしてこれは、あの頃の須田亜香里。
泣きながら、無理やりに口角を上げようとして、変な顔をしていた頃の須田亜香里。
須田が、始めにこれを歌う。
伏線、とは言えない明らかな構成。
そう、これは彼女が人として生きることよりも、アイドルとして生きることに、
その身と心を削って、命を捧げていた頃の歌。
日本ガイシホール、 暗転。
場内に轟くOverture。
激しく明滅するビームライト。
2022年9月24日の須田亜香里、によるコンサートがここから始まる。
恋を語る詩人になれなくて。
今でもSKE48の代表曲のひとつ。
センターは、最新シングルでのセンター、
青海ひな乃。
須田の姿がない。
どこだ? いないのか? と感じるのは一瞬。
須田は、須田亜香里のオリジナルポジションにいる。
3列目、最上手。 舞台の後ろ端。
後に「ダースーポジ」と呼ばれるようになった、須田亜香里の活動初期の指定席。
須田は、きっとその頃と変わらないであろう、誰よりも全力のパフォーマンスを見せる。
自身の卒業コンサートも、須田はこのポジションからスタートした。
M06、ソーユートコあるよね。
須田亜香里初の、そして唯一の、シングルセンター曲。
もちろん、須田がセンターで披露。
ここまでがオープニングパート。
3列目端、の曲から、シングルセンターの曲、へ。
続くユニットパートでは、
キメまくりカッコ付けまくりの「1994の雷鳴」からスタート。
他の4人がチームE公演オリジナルの衣装なのに対し、須田はそれをアレンジしたブルーのフロントプリーツを持つスカートのスペシャルバージョン。
メンバーは須田を含めたチームEの4人に加え、荒井優希が参加。さすが荒井はこの曲に似合う。
そしてユニットパートのラストは「天使のしっぽ」
場内が須田以外の2人は誰だ?と見つめる中、
モニターにアップで映し出された、斉藤真木子と都築里佳に、場内爆苦笑。
だがさすがにSKEのトップパフォーマーの3人。
30歳の須田をセンターにブリブリの笑顔でやり切った。 拍手しかない。
そして松村香織を呼び込んでの、
ここで一発。
それであれば当然、谷真理佳が登場しての、
恋よりもDream。
オリジナルの3人での恋よりもDreamを久し振りに見たが、この曲は良い曲だと改めて感じる。
そこから中盤のヤマ場。
孤独なバレリーナ、のソロダンス(バレエ)。
この曲から、FreFlowという名のシステムコントロールのペンライトが起動。
ガイシホールは須田の衣装と同じ、白一色になる。
そして須田亜香里の総選挙の歴史を追うパート。
2011年、36位、抱きしめちゃいけない
2012年、29位、なんてボヘミアン
2016年、7位、LOVE TRIP
終盤、SKE48曲のパート。
8曲続くこのパートのラストは、
パレオはエメラルド。
この曲が、このコンサートのハイライトだった。
メンバーパフォーマンスも、
全員が横一列に並んでスカーフを振る、初出場の紅白で見せたパフォーマンスを再現。
いや、再現ではない。
あの時よりも大きなステージと、
SKE48メンバー全員でのパフォーマンス。
そして、須田亜香里のパフォーマンス。
きっと、彼女にとってこれが最後のパレオ。
こんなにも、誰の目にも分かりやすく、
こんなにも大きく、
こんなにも力強く、
こんなにも美しい、
須田亜香里が見せた、 パレオはエメラルド。
僕らは見た。
これが史上最高の、パレオはエメラルド。
コンサートラストの曲は、キンモクセイ。
SKE48劇場でのこの曲と同じ、オレンジのペンライトで染められる日本ガイシホール。
この曲は、現在も行われているチームE「SKEフェスティバル」公演のラスト曲。
この夏に行われた、ZeppツアーのチームEライブのセットリストでも、最終曲に使われた。
その花の色は、SKE48のグループカラー。
偶然じゃない。
慰めの言葉は求めてなんかいない、
生きているその意味知りたかった。
存在するだけで誰かのためになる、
命の花になりたい。
この歌詞は、須田亜香里の言葉なのだろう。
須田はこの歌詞を僕らに改めて伝えてコンサートを終了した。
アンコール。
ネイビーのトップにピンクのロングフレアのドレスで現れた須田。
卒業のソロ曲、「私の歩き方」
私の歩き方でまっすぐに道を行く。
そう、誰とも比べない自分らしいペースで。
あの時に、「今の私じゃダメなんだ」と歌った彼女は、もう自分を否定しない。
須田亜香里は須田亜香里の道を行く、と決めた。
アイドルであろうとして、
自分の命すら削ろうとした彼女は、
それをやめる。
自分の人生を生きることにした。
だから、彼女はアイドルをやめる。
エレキギターを抱いて歌う、
前しか向かねえ、と。
SKE48の全員と歌う、
君のことが好きだから、と。
それは、須田亜香里自身。
彼女が自身の力で切り開き、自身の力で起こしてみせた奇跡。
僕らはずっとそれを見ていただけだ。
須田が僕らへ「ありがとう」と言う。
僕らも須田へ「ありがとう」と伝える。
それは本当に奇跡だと思う。
須田亜香里と、
彼女に出会って、彼女に惹かれた僕らの、
奇跡を紡いだ思い出です。






