全日本スクーターレース選手会が活動を開始から2018年1月で1年となりました。

その間に役員本人や様々な選手や関係者からの「提案」や「問題点」を「起案」と言う形にして役員会議(主にライングループ)にて主に情報や意見を出し合いました。
正式な起案は計12件でした。
2017001
FP4-ST ECU規制ついて
2017002
ステップボードについて
2017003
ショートハーネスについて
2017004
ティグラ規制について
2017005
FP4-ST10インチ規制緩和について
2017006
音量規定について
2017007
生駒マルチ杯周回数について
2017008
FNフロントフォークについて
2017009
ケースカバーとファンカバーについて
20170010
ステップ足置きについて
20170011
溶接修理について
20170012
スライダー取り付けについて
2018001
ティグラ規制について
その他起案外案件や折衝事案について
・全国大会会期中のゲートクローズについて
・FNクラス廃盤部品に対する対応の情報発信
役員会の中で却下されたもの、レギュ改定のお願いとして関係団体へ提出したもの。
実際、そこでレギュ案として採用されたものもありますし審議中のものもありますし、今も状況確認出来ていない内容もあります。
(起案書詳細は選手会HPにて)
https://scooterrace.wordpress.com/
今日はそんな選手会役員の活動を通して個人的に思う所や選手会の補足的な説明を思いのまま書いて見たいと思います。
現在選手会の活動は主に7名の役員が行っています。
各人は「スクーター界発展」への「展望」と「責任感」を持ち合わせています。
展望は多くのレース参加経験を土台にしたもので各種判断の根拠となります。
責任感はスクーターレースをライフワークとし、危機感から自ら行動できる意識を有している事となります。
その二つが役員として最低限必要な資格と言えるかも知れません。
経験値だけを言うなら取組濃度も重要とは思いますが、分かりやすく言えば「長く参加している=自身の参加理由が発展の要素である」と理解できていると言えます。
そんな7名で事ある毎に情報の擦り合せを行なっています。
実際のやり取りを例に挙げると選手会役員はラインのグループでつながっています。
A:「現場でこうしたいんだけどどうだろうか?って意見が出た」
B:「じゃあ、主催者へこんな形でお願いしよう」
C:「検証して見た、これはこう言う形にした方が良いんじゃない」
A「それじゃあその方向に修正して書面にして出そう」
そんなやり取りを行い提案や相談の内容精度を高めて行く、そんな「情報出し」する事が現段階での主な仕事です。
また、現在は会員のメリットが存在しない事もあって特に会員登録の仕組みも作ってはおりませんし会員と非会員の線引きは行っておりません。
つまり選手"会"と言っても誰でも選手となる可能性があると言う前提の為、誰からであっても起案や問い合わせを受け付けしております。
ですから、会費的な協力を募ったりしている訳でもありませんので発生する経費などは全て役員や協力頂く選手にシッョプ様などの個人負担であり当然報酬などもない状態です。
さて、私が何を目指して選手会の活動を行っているか?と言いますと、「競技性」の要素を多く備えたスクーターレースを後世に残したいと考えているからです。
シンプルに言うと「技術を競い優劣をつける本気系レースの存続」です。
現在のスクーターレースで言うとマルチ杯がイメージ的に色濃く持ち合わせる特色と思います。
しかしながら「スクーターレースの魅力」(特徴)として語られる部分は「競技性」の高さではなく、「コスト」や「手軽さ」などが多いです。
当然この部分は大切で欠かすことは出来ませんが、「継続して参加」する要素としては「競技性」も同等に重要であると自身は考えています。
この競技性はコストや手軽へ「他に無い価値を付ける事」が出来ます。
私はここが発展の重要なポイントと考えています。
この私の考える「競技性」とはやはり「技量の総量によっての勝敗が左右される」事。
単純に言うと「頑張った者が勝てる可能性が高い」事です。
そこで重要となるのが「出来る限り平等なルール」の存在となります。
この部分で最近重要な起案を提出いたしました。
※2018001-2PGO/ティグラ規制について参照
起案の理由として、車両間の性能差からスクーターレースの持つ「特徴」と「競技性」が危機に瀕していると危惧しての事です。
この性能の差、特に直線での加速力の差は私の20年以上に及ぶサーキット走行経験から同クラスを走る車両としては到底容認出来る差ではありません。
MクラスとSPクラス程のスピード差が当てはまります。
この差から現場で起きる大きな問題として「ティグラが有利 → 車両の選択肢が狭くなる」事です。
タイヤ1個分前に進ませる為に選手は様々な努力を重ねますが、そんな努力を帳消しにする車両格差の認知が広がれば新規参加者はティグラを選択しますし、勝利を目指す既存参加者は流通量が少ないティグラへの乗り換えの出費が求められます。
この現象はコストや手軽と言ったスクーターレースの屋台骨に反する事であり、スクーターレース界の未曾有の危機と言っても過言ではありません。
水面下ではすでにヤバイ状態に突入しており早急に対策を取らないとスクーターレース業界が大きな痛手を受けてしまうと危惧しています。
また競技性と言う面に置いては、私はこのティグラとは過去何度か各地のレースで競り合った事もあります。
車両差が有るとは言え私は展開次第で勝てる場合もありました。
しかし、ライダー同士の技量の応酬や高いレベルでの駆け引き、プライドのぶつけ合いなど私の望む質の競技性はそこには存在せず、自身のFP4-STレースに対する情熱が日々小さくなるなどの心境の変化が危機感を強く感じさせたりしています。
「だったら皆ティグラに乗れば良いだろ?」と言われる方もいます。
しかし、繰り返しになりますが絶対的流通量が多い車両(現在はシグナスX)を軸としてクラスを成立させる事が「お手軽、コストと言うスクーターレースの魅力を最大限発揮する方法」で門戸を広く発展の可能性を高めます。
ですので、FP4クラスに置いてティグラが軸となる事は避けなければいけませんし、ティグラだけではなく毎年新型車両が市場に出されるスクーターですので、「毎年新型車両に乗り換えないと勝てない」などと言う状態は絶対に避けなければいけません。
「じゃあ、ティグラを別レースにすれば良い」と言われる方もいますし個人的にはそれが一番簡単なので良いとも思うのですが、逆にティグラや今後まだまだ現れる可能性のある新型車両などスクーターレースの多様性を否定する事にもつながる為にそこも安易であると言えます。
「乗り換えた場合でのティグラの車両作りに自信が無いのじゃない」と思われる方もいるかも知れません。
確かに簡単では無いとは思います。
しかし、JOG/FN.FP、アドレスV125/FN、XR100M.AP100/ST、NSR50/M、NS50R/M.SP、NSF100/M、リモコンJOG/FP、RACING125/ST、シグナスFI仕様にシグナスキャブ仕様/STと私は過去より最前線で戦える車両を作って来た経験を根拠にシグナスXより速くLAP出来る車両を作れると思っています。
以上の思いから上記の起案を行なう事に至りました。
ただ、今年一年の起案だけでも見返して分かるのですが選手会の議決事項であっても主催団体側での判断で全てが採用され訳ではありませんので当起案がどうなるかは予測できません。
役員会の「起案自体」の議論が足りない、情報が足りないなど完璧ではない事は理解していますので説得力不足は当然あると思っていますので。
しかし、誰しも納得出来るデータを揃える「検証」には膨大なお金がかかりますし、気軽に応えて頂ける第三者機関なども存在しませんよね?
ですので、選手会は「現場情報」を元に「経験」からの「予測」を意見として戦わせる事でコストを一気にカットし有効性の出来る限り高い提案を形にしていると思っています。
つまり、根拠無く個人的な思いを形にしている提案では無く、選手会の起案は現時点では最低限の信頼を担保出来る仕組みからの提案だと言えるのです。
以上が選手会活動の補足的な個人見解です。
昔は参加台数も多く、主催団体自体のレースへの意気込みも高く、しかもライダーであり主催関係者であったサーキット秋ケ瀬の川田さんが様々な意見を自身で吟味し、主催者への都度働きかけなどを行って頂いていた為に本当にバランスが取れていたレース環境を作って頂いていたと思います。
後は「売れている車両=性能が高い」との図式が当てはまっており、性能もバランスが取れていたとも言えると思います。
良い時代であり、本当に良いレース環境を経験させてもらっていたと古参な私は感謝しかありません。
しかし、現在でもスクーターレースは本当に「初心者誘致」や「技術向上」のカテゴリとしての高いポテンシャルを秘めており「日本のモーターサイクルレース発展への起爆剤である」と私は断言いたします。
そんなレース環境を何としても残しながら発展させていきたい・・・
それは私が出来る恩返しと思っています。
付きまして、選手だけでなく、主催者様、サーキット様、ショップ様、等各種団体様は何かあれば是非とも有用なツールとして選手会をご利用頂ければと思います。
それがスクーターレースの発展へとつながるのであれば全力で尽力させて頂きたいと思います。
以上。
素敵なオチが降りるといーよ。
タミケンでした!