(2024.6.29)
(令和6年6月14日)「令和6年版男女共同参画白書」が閣議決定・公表されました。
タイトルについての内容(白書より抜粋要約)はつぎのとおりです。
コロナの感染拡大は女性の雇用と仕事に大きな影響を与えた。特に、サービス業、ケア・健康などの分野の女性が深刻な影響を受けた。学校や保育施設、介護サービスの運営に支障を来し、通常、無償の育児・介護・家事労働の主な責任を担っている多くの女性が、子供や他の家族の世話をするために、労働市場から退出したり、労働時間を短縮したりすることになった。
また、感染拡大下では、様々な種類や形態のジェンダーに基づく暴力が深刻化すると同時に、女性の経済的安定が脅かされたことや外出制限などの障壁により、被害者が暴力を報告することがより難しくなった。
およそ30年間で、母子世帯は約1.4倍に増加。(母子世帯はひとり親世帯の88.9%)
ひとり親世帯の就業率は8割超と高いが、母子世帯ではそのうち46.5%が非正規であり、平均年間就労収入が236万円と低い。(正規雇用労働者:344万円、パート・アルバイト等:150万円)
なお、父子世帯の平均年間就労収入は496万円(正規雇用労働者:523万円、パート・アルバイト等:192万円)
離婚相手からの養育費受領率は、母子世帯で28.1%にとどまっている。
ひとり親世帯の貧困率を国際比較すると、数値のあるOECD加盟36か国中32位。
「出産・育児のため」、「介護・看護のため」を理由とする離職者は、いずれも女性の割合が高い。
女性の年齢階級別正規雇用比率は25~29歳の59.1%をピークに低下(L字カーブ)。
「L字カーブ」の存在に象徴されるように、様々なライフイベントに際し、キャリア形成との二者択一を迫られるのは、依然として多くが女性であり、その背景には、長時間労働を前提とした雇用慣行や女性への家事・育児等の無償労働時間の偏り、それらの根底にある固定的な性別役割分担意識などの構造的な課題が存在している。
令和5年の男性一般労働者の給与水準を100としたとき、女性一般労働者の給与水準は74.8で、前年に比べ0.9ポイント減少。
また、一般労働者のうち、正社員・正職員の男女の所定内給与額をみると、男性の給与水準を100としたときの女性の給与水準は77.5となり、前年に比べ0.7ポイント減少。
男女の所定内給与の格差を年齢階級別にみると、同じ雇用形態でも男女間に給与差があり、その差は年齢とともに拡大する傾向がある。
男性に比べ女性の方が雇用者に占める非正規雇用労働者の割合が高いことが、女性が貧困に陥りやすい背景の一つとなっている。
末子の年齢が6歳未満の共働き夫婦の妻と夫の平日の生活時間をみると、家事関連時間が女性に、仕事時間は男性に大きく偏っている。
無償の育児・介護・家事労働の女性への偏りは、女性の社会参画への大きな障害であり、無償の育児・介護・家事労働の認識・削減・再分配は、社会全体で取り組むべき課題である。
女性がキャリアを中断しないことは、男女間賃金格差の是正及び女性の経済的自立にもつながる。女性が不本意に離職することなく、キャリアを形成していくためには、仕事と家事・育児等の両立支援に加えて、女性特有の症状を踏まえた健康への理解・支援等の「健康との両立」も求められる。
「昭和モデル」下においては、正規雇用労働者の多くは男性であり、会社に貢献することが美徳とされ、長時間働き、会社の命に従って転勤することは当然であった。「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という固定的性別役割分担意識があり、家事・育児等や自身の健康管理を専業主婦である妻に任せ、夫は仕事にまい進すべきという風潮があった。
依然として根強く残っている長時間労働の是正等、「昭和モデル」の働き方を改め、希望する誰もが、フレックスタイム制や時差出勤、テレワークなどの柔軟な働き方を選択できるようにしていく必要がある。
月経時の不調に対して、我が国では「生理休暇」の制度があるが、取得率は極めて低くなっている。「生理休暇を申請することは、自らの月経周期を明かすことになるため、言い出しにくい」という声があるほか、女性のみに付与された休暇であるため、男性が多い職場ではなおさら取得しにくい、「生理休暇」は必ずしも有給ではないため、年次有給休暇が優先して使用されているなどの理由があるものと推察される。
日本では、労働基準法第68条において「使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。」と規定している。
(生理休暇制度の概要⇒休暇日数の上限:法律上制限なし、有給・無給の別:事業者判断 、医師の診断書等の事実証明の要否:原則不要)
日本における生理休暇の取得率について、厚生労働省「雇用均等基本調査」によると、女性労働者のうち、生理休暇を請求した者の割合は、平成9年度に3.3%であったが、令和2年度においては0.9%に減少している。
管理的職業従事者に占める女性の割合は、諸外国ではおおむね30%以上となっているが、日本は令和5年は14.6%となっており、諸外国と比べて低い水準となっている。
常用労働者100人以上を雇用する企業の労働者のうち役職者に占める女性の割合は、上位の役職ほど女性の割合が低く、令和5年は、係長級23.5%、課長級13.2%、部長級8.3%。
令和5年4月1日現在で、都道府県職員の各役職段階に占める女性の割合は、本庁係長相当職22.2%、本庁課長補佐相当職22.6%、本庁課長相当職14.4%、本庁部局長・次長相当職8.6%。
市区町村職員の各役職段階に占める女性の割合は、本庁係長相当職35.9%、本庁課長補佐相当職30.5%、本庁課長相当職19.5%、本庁部局長・次長相当職11.9%。
女性の8.1%は不同意性交等の被害にあった経験がある。
加害者は、交際相手、元交際相手、職場の関係者、配偶者など、大多数は被害者が知っている人となっており、まったく知らない人からの被害は10.0%。
不同意性交等の被害について、女性の55.4%が、誰にも相談していない。
被害にあったときの状況について、女性は「驚きや混乱等で体が動かなかった」が最も多かった。
不同意性交等の認知件数は、令和5年は2,711件で、前年に比べ1,056件(63.8%)増加。
不同意わいせつの認知件数は、令和5年は6,096件で、前年に比べ1,388件(29.5%)増加。
依然、弱い立場に置かれた子供・若者が、性犯罪・性暴力の被害に遭う事案が後を絶たない。
女性と女児の安全と、平等かつ意義ある社会参加の促進のためには、社会規範を変え、差別的な社会慣習を無くすよう努めなければならない。
以上です。
<備考>
⇒国会議事録などの内容(抜粋要約、時系列)はつぎのとおりです。
○(平成16年11月30日)第161回国会 参議院 厚生労働委員会
▽委員
内閣府による調査によりますと、女性は家庭、男性は仕事という固定的性別役割分担意識が、欧米諸国では賛成、どちらかといえば賛成とする割合は小さく、特にスウェーデンでは男女とも10%以下であるのに対しまして、日本では賛成が男性46.5%、女性が36.8%と割合が大きくなっております。このことからも、日本の社会は女性は家庭、男性は仕事という伝統的意識がまだ強く、このような社会では仕事と子育ての両立は難しいと思われます。
▽国務大臣
固定的性別役割分担意識は縮まってきているとはいえ依然として根強く存在している中で、男性は職場優先の働き方を求められ子育てに十分な時間や力を注ぐことができない一方で、今度は女性の方には出産、育児に伴う負担が極めて大きくなっておりまして、そういう意味で男女とも子育てに対する満足感を低くしているんではないかと、こういうふうに考えるところでございます。
○(平成17年2月21日)第162回国会 参議院 憲法調査会公聴会
▽公述人
男女差別の根本的な要因とは何かという御質問だったかと思うんですけれども、一つは、やはり男性が主とした稼ぎ手、仕事をする、そして女性は補助的な、家事、育児をして補助的に働く、そういった性別役割分担意識と申しますか、そういったものが日本ではまだ色濃く残っているということだと思います。それから、やはり男性の方が女性よりも一人前である、女性の発言なりその人格というのは劣っているという、そういった意識が日本ではまだまだ非常に強い、この二つかなというふうに思っております。
○(平成22年12月17日)第3次男女共同参画基本計画
男女共同参画の実現の大きな障害の一つは、人々の意識の中に長い時間をかけて形作られてきた性別に基づく固定的性別役割分担意識である。このような意識は時代とともに変わりつつあるものの、依然として根強く残っており、特に男性により強く残っている。
○(平成27年6月3日)第189回国会 衆議院 内閣委員会
▽国務大臣
女性管理職の未婚率は男性管理職と比べて高いというふうに私も承知をしております。
さまざまな要因があると考えられますが、いわゆる固定的性別役割分担意識が残る中で、長時間労働により仕事上の負担が大きい場合は家庭生活との両立が困難になるため、結果的に結婚を諦めざるを得なかった、あるいはお子さんを授かるという選択ができにくかった、そういうことも現にあるというふうに思います。はっきり申し上げれば、本人の希望というよりは、事実上の二者択一の選択を迫られてきたという経過があるというふうに思います。
○(平成27年7月31日)第189回国会 参議院 本会議
▽国務大臣
働きたいという希望を持っていても就職できていない女性が約300万人いらっしゃるなど、働く場面において女性の力が十分発揮されているとは言えません。この理由、背景には、男女共に長時間労働であること、子育て環境が十分でないなど、仕事と家庭生活との両立が困難な場合があること、また、ロールモデルとなる女性の管理職が少なくキャリアプランを具体的にイメージしにくいこと、固定化した性別役割分担意識がまだ残っていることなどがあると認識をいたしております。
これまで、我が国においては、家事や育児、家族の介護等の家庭的責任の多くを実質的に女性が担っていることによって、女性が職業生活において活躍することが困難になる場合が多かったと考えます。
○(平成27年12月25日)第4次男女共同参画基本計画
我が国において女性の活躍を阻害している要因には、高度経済成長期を通じて形成されてきた固定的な性別役割分担意識、性差に関する偏見や様々な社会制度・慣行があると考えられる。
我が国においては、固定的な性別役割分担意識や性差に関する偏見を背景に、男性中心型労働慣行が維持されていることなどにより、男性の十分な分担が必ずしも得られず、家事や子育て等における女性の負担が重くなっているのが実態であり、その結果、女性が職場において活躍することが困難になる場合が多い。一方、男性は、家事に不慣れ等の状況や、孤立した介護生活となっている例もある。
○(令和元年5月23日)第198回国会 参議院 厚生労働委員会
▽参考人
根底にあるのは性別役割分担意識です。
育児、介護といった無償のケア労働の多くが女性によって担われています。そのような現状をそのままにし、女性の側だけになお活躍を求めるのではなく、男性の意識、働き方を大きく見直していくことが真の女性活躍、男女平等に欠かせないことを申し添えておきます。
○(令和2年5月28日)第201回国会 参議院 内閣委員会
▽国務大臣
新型コロナウイルス感染拡大の影響によりまして、平時の固定的な性別役割分担意識、これが反映をしまして、増大する家事、そして子育て、介護などの負担が女性に集中することや、生活不安、ストレスからのDV等の増加、深刻化などが懸念されております。
非正規雇用労働者に占める女性の割合が相対的に高いことや、特に大きな打撃を受けている飲食、そして観光やサービス分野では、雇用者に占める女性の割合が高いこと等により、女性がより深刻な雇用の危機にさらされていることも大変懸念をされております。
○(令和2年11月6日)第203回国会 衆議院 内閣委員会
▽国務大臣
現在、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が、女性に強くあらわれています。
○(令和2年11月17日)第203回国会 参議院 厚生労働委員会
▽政府参考人
男性片働き世帯が多い時代に形成されたいわゆる男性中心型労働慣行や固定的な性別役割分担意識を背景に、家事、育児等の多くを女性が担っている実態がございます。
○(令和2年12月25日)第5次男女共同参画基本計画
男性にも女性にも「主たる稼ぎ手は男性である」といった固定的な性別役割分担意識が残っていることを示す調査結果もある。
それ以外にも、無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)の存在により、無意識のうちに、性別による差別・区別が生じることもある。働き方・暮らし方の変革の実現にとって、こうした固定的な性別役割分担意識や無意識の思い込みが大きな障壁となっている。
非常時には、平常時における固定的な性別役割分担意識を反映して、増大する家事・育児・介護等の女性への集中や、配偶者等からの暴力や性被害・性暴力が生じるといったジェンダー課題が拡大・強化される。
新型コロナウイルスによる感染症の拡大は、社会的に弱い立場にある者に、より深刻な影響をもたらしている。また、平時の固定的な性別役割分担意識を反映したジェンダーに起因する諸課題が一層顕在化し、必要な支援も明らかになってきている。
○(令和3年1月28日)第204回国会 参議院 予算委員会
▽国務大臣
新型コロナ感染症拡大によりまして、女性に対しての影響というのは大変深刻だというふうに受け止めております。
特に非正規雇用労働者を中心に、女性の雇用への影響が大きく、昨年4月の女性の就業者数が前月比で約70万人減少しているというような状況であります。
そして生活面で厳しい状況にあると認識しております。
また、DVの相談件数が増加しているということ、女性の自殺者数が大幅に増加しているということを大変重く受け止めております。
○(令和3年2月16日)第204回国会 衆議院 予算委員会
▽参考人
女性活躍推進法が施行されたこともあって、確かに女性の雇用は増えてきたというふうに思います。ただ、増えたものの、その多くはやはり非正規雇用となっています。
その原因なんですが、まず一つは、第一子を出産した女性の約5割が仕事を辞めてしまうという実態があります。仕事を辞めて、結果、しばらく辞めた後、復帰をするときに正社員になれず非正規雇用になるというのが非常に多いです。それから、最初に仕事に就く場合、正社員になれず、非正規でやむなく仕事をせざるを得ない女性たちも30%程度いるというふうに言われています。
ですので、狭き門の中で女性が働かなければいけない、あるいは、仕事と育児や家事を両立するために、日本の社会はまだ男性中心型雇用慣行、労働時間が長いとか、それから固定的性別役割分担意識が強いとかというところがあって、なかなか女性が正社員で働けない環境があるというふうに思っています。
○(令和3年4月13日)第204回国会 参議院 厚生労働委員会
▽参考人
育児休業取得率は、女性が80%台で推移している一方、男性は7%台にとどまっています。これは、根強い固定的性別役割分担意識が、社会、企業のみならず当事者にも影響しているものと思われます。
○(令和3年7月)厚生労働白書(令和3年版)
新型コロナの影響は、非正規雇用の労働者数の減少という形で現れたが、その傾向は、女性に顕著に現れた。
就労と家庭生活の両面で、女性に集中的に負荷がかかることとなり、その結果、女性の精神面にも大きな影響を及ぼしていることがうかがえる。
自殺者の動向を見ても、令和2年7月以降、女性の増加が顕著となっている。
「同居人のいる女性」と「無職の女性」の自殺が自殺率を押し上げており、経済生活問題、DV被害、育児の悩みなど、様々な問題が深刻化している可能性が指摘されている。
ひとり親家庭については、母子世帯が123.2万世帯、父子世帯が18.7万世帯となっている。
元々経済的に厳しい状況にあるひとり親家庭は、新型コロナによって、より深刻な影響を受けたのではないかと懸念されている。
▽コラム「女性の声」
・配偶者と暮らす女性より
コロナでパートの仕事がなくなり、夫からは、怠けるなと毎日怒鳴られる。こんな生活がずっと続くなら、もう消えてしまいたい。
・シングルマザーの母親より
子どもが発達障害で、子育てがとても大変なのに、ステイホームでママ友とも会えず、実家にも帰れない。子どもの検診もなくなって、独りでどうやって子育てをしていけばいいのか分からない。死んで楽になりたい。
・夫が県外に出稼ぎに行っているが、コロナで帰ることができず、出産に立ち会えてもらえなかったことが悲しかった。出産後も夫は帰ってくることができず、育児が不安で、もう死んでしまいたい。
・上の子に障害があり、新たに子どもを出産し、育児をしていた女性より
実家が感染拡大地域となり、子育ての支援に来られなくなってしまった。子育てをする中、急に恐怖を感じるようになり、死んだ方がいいと考えるようになった。
○(令和3年12月16日)第207回国会 参議院 予算委員会
▽国務大臣
令和2年の自殺者数は11年ぶりに増加しておりまして、女性、過去最多となっております。
○(令和4年2月9日)第208回国会 衆議院 内閣委員会
▽国務大臣
女性の自殺者がこのコロナ禍の状況で急増している、これは非常に痛ましいことでございます。
様々な理由があるんですが、やはり経済的な理由、つまり、コロナ禍によって職を失ったり、元々非正規が女性は多いわけですから、そういう中で、とりわけ飲食とかサービス業が閉ざされることによって職を失って、結果としてそこで死を選んでしまう方がいるということを聞きました。
新型コロナが拡大する以前からの平時の問題として、女性は男性に比べて非正規雇用労働者の割合が高い、そして、男女間の賃金格差も、正社員同士、非正規雇用労働者同士で比較しても存在して、同じ職業、勤続年数においても差がある。固定的な性別役割意識を背景に、家事、育児、介護を女性が多く担い、働く場合には家計の補助と位置づけられていたなど、様々な課題が認識されていたんですが、結果として、コロナ禍で緊急事態になったときには、飲食、宿泊業の非正規雇用者を中心として女性の就業者数が減少した。
また、全国一斉休校というのは、子供たちを持つ親からすると、母親と父親がいても、やはり母親が仕事を休んで子供に付き添わなきゃならないというのが平時からの日本の現実なんですね。
そういうことがより明らかになってきたんだと思います。
○(令和4年2月10日)第208回国会 衆議院 内閣委員会
▽国務大臣
引き続き、女性が家事、育児の多くを担っている傾向というのは変わっていません。また、令和二年度のDVの相談件数というのは令和元年度の約1.6倍になっていまして、令和三年度も毎月1万4千から1万5千件台と高水準で推移していますので、この背景には、やはりコロナ禍の生活不安やストレス、外出自粛による在宅時間の増加等があるものと考えられます。
女性の自殺者は例年より大幅に増加し、無職者のうち主婦の自殺も増加したほか、雇用者の自殺も大幅に増加しました。コロナ禍において、人と接する機会や場が少なくなり、経済的にも不安定な生活を強いられる女性が増えていることに加え、今申し上げたように、DVの増加等も原因として考えられます。
また、こうしたことの背景には、コロナによる経済や生活への直接的な影響だけでなく、元々平時において男女共同参画が進んでいなかったこと、これがコロナの影響により顕在化したことがあると考えています。
○(令和4年2月15日)第208回国会 衆議院 予算委員会公聴会
▽公述人
日本の男女間賃金格差は国際的に見ても大きく、その要因は勤務年数や管理職比率の差異となっておりますけれども、その背景には、固定的性別役割分担意識による職務配置や仕事の考え方、キャリア形成による男女の偏り等があります。
○(令和4年3月25日)第208回国会 参議院 厚生労働委員会
▽参考人
男性の育児休業取得が進まない背景には、固定的性別役割分担意識が根源にあると考えられます。
○(令和4年3月31日)第208回国会 参議院 内閣委員会
▽国務大臣
女性はマイノリティーと言われていますけれども、実際に人口でいうと国の51%が女性、有権者に至っては約52%を占めています。決してマイノリティーではないんですが、各分野において指導的地位に就く女性が少ない、この現状が問題であると思います。その要因としては、アンコンシャスバイアスとか、やはりずっと続いている固定的な性別役割分担意識、こういうものが要因であろうと言われています。
○(令和4年6月)男女共同参画白書(令和4年版)
新型コロナ感染拡大の影響は、男女ともに大きいが、特に女性の就業や生活への影響は甚大である。
飲食・宿泊業等をはじめ、女性の就業者が多いサービス業を直撃し、非正規雇用労働者を中心に雇用情勢が急速に悪化したほか、女性の自殺者数が急増した。
DV相談件数の増加や、女性の貧困の問題等が可視化され、我が国において男女共同参画が進んでいなかったことが改めて顕在化した。
こうした問題の背景には、ひとり親世帯や単独世帯の増加等、家族の姿が変化しているにもかかわらず、男女間の賃金格差や働き方等の慣行、人々の意識、様々な政策や制度等が、依然として戦後の高度成長期、昭和時代のままとなっていることが指摘されている。
例えば、男女間の賃金格差を見ると、同じ正社員でも年齢とともに男女間の賃金格差が拡大する傾向があり、また、平均的に見ると、大卒女性の正社員の給与は高卒男性とほぼ同水準である。
実態とかい離した制度・慣行、無意識の偏見を含む固定的な性別役割分担意識等に基づく構造的な問題などが指摘されている。
令和3年の正社員・正職員の男女の所定内給与額は、男性の給与水準を100とした場合、女性の給与水準は77.6。
フルタイム労働者において、男性の賃金の中央値を100とした場合、女性の賃金の中央値は77.5。
○(令和4年8月17日)コロナで自殺者8000人増、20代女性最多、経済的困難が要因の1つか、東大などのチーム試算
チームの東大准教授は「男性より非正規雇用が多い女性は経済的影響を受けやすく、若者の方が行動制限などで孤独に追い込まれている可能性がある」としている。
政府の統計で国内の自殺者は、男性は12年連続で減少する一方、女性は2年続けて増加。
○(令和4年10月2日)コロナ禍で女性だけ自殺が増えている、なぜ?(NHK)
年間の自殺者数は2010年以降減少傾向となり、2021年は2万1007人でした。
東京大学の准教授などのグループは、コロナ禍がなかった場合の自殺者の数を試算し、実際の自殺者数と比較するシミュレーションを定期的に行っています。
公表された最新の分析では、コロナ禍が広がった2020年3月から2022年7月までの2年5か月で、自殺した人の数が約8500人増えたとするシミュレーション結果となっています。
最も多いのは20代の女性で約1100人に上っています。
20歳未満の女性も同じ年代の男性と比べて多く、約300人でした。
▽東京大学准教授
人と人との接触の減少や家庭内で過ごす時間の増加など生活様式の変化が何らかの精神的なストレスにつながっていると推測される。
▽九州大学講師
母親が育児や介護などの役割を引き受ける日本社会の中にある固定的なジェンダーの問題が、コロナ禍の生活の変化で女性へのしわ寄せにつながっているのではないか。
○(令和4年10月27日)第210回国会 参議院 内閣委員会
▽国務大臣
女性活躍、男女共同参画は、全ての人が生きがいを感じられる、個性と多様性を尊重する社会を実現するために極めて重要です。我が国の経済社会の持続的発展にも資するものです。
しかしながら、我が国の女性活躍、男女共同参画は諸外国と比べて立ち遅れており、その背景にある男女間の賃金格差や固定的な性別役割分担意識など、構造的な問題に対応していく必要があります。
○(令和4年10月28日)第210回国会 衆議院 内閣委員会
▽委員
女性の自殺は過去最高を数えています。非正規労働の7割は女性、そして、男女の賃金格差はひどく、一人親の2人に1人が貧困という状態です。その状態の中で自民党政権が繰り返してきたのが消費税増税でした。
○(令和4年11月4日)第210回国会 衆議院 内閣委員会
▽委員
例えばお茶くみであったり受付嬢であったり、様々な職業の中で女性というのは安い労働力ではないかというふうな社会的な風潮というのは昭和の時代から残っていると認識しています。
▽国務大臣
御指摘のとおり、男女共同参画が進まない要因の一つに、固定的な性別役割分担意識や性差による偏見、固定観念、無意識の思い込み、いわゆるアンコンシャスバイアスがあることが挙げられております。
昨年内閣府が行った調査によりますれば、例えば、男性は仕事をして家計を支えるべきだですとか、育児期間中の女性は重要な仕事を担当すべきではないなどの項目で、回答者の多くに性別による無意識の思い込みがあることが分かりました。
○(令和4年11月9日)第210回国会 参議院 憲法審査会
▽委員
女性の貧困と自死が加速。2021年、横浜市が行ったロスジェネ、非正規女性の調査。年収はほぼ2人に1人が200万円未満、貯蓄は10万円未満が最も多い。収入の低さから病院にもなかなか行けないという実態が明らかに。
○(令和5年2月22日)第211回国会 参議院 国民生活・経済及び地方に関する調査会
▽委員
財務省のレポートによれば、出産一年前の収入を基準としたときに、出産一年後の収入は67.8%減少することが分かっております。
○(令和5年3月14日)女性の自殺、3年連続増(共同通信)
2022年の女性の自殺者数が7135人に上り、3年連続で増加したことが、警察庁の自殺統計(確定値)に基づく厚生労働省のまとめで分かった。小中高生は514人と過去最多だった。
○(令和5年6月)男女共同参画白書(令和5年8月)厚生労働白書、経済財政白書
我が国の家族の姿は変化しており、近年では単独世帯が全世帯の約4割を占めるようになった。
2021年、ひとり親世帯のうち母子世帯が約9割を占める。
ひとり親世帯の相対的貧困率は約48%。
離婚した母子家庭が養育費を受けている割合は28.1%にとどまっている。
母子世帯の母自身の平均年間収入は272万円(父子世帯は518万円)であり、児童のいる世帯の1世帯当たり平均所得金額813.5万円と比べて低い水準となっている。
母子世帯の母は86.3%が就業、このうち「パート・アルバイト等」が38.8%、「正規の職員・従業員」が48.8%。
一方、父子世帯の父は88.1%が就業、このうち「パート・アルバイト等」が4.9%、「正規の職員・従業員」が69.9%、「自営業」が14.8%。
同じ雇用形態でも男女間に給与差があり、その差は年齢とともに上昇する傾向がある。
2022年の年齢階級別に男女の年収差をみると、20~29歳の年齢階級で、女性の年収は男性対比で約22%低く、30~39歳では約36%低く、50~59歳では約43%低くなっている。
こうした年収差は、女性の方が男性よりも労働時間が短いだけでなく、女性の時給が男性よりも低いことにも起因している。
時給の男女差が生じる背景としては、第一に、女性の方が正規雇用の割合が低い。
第二に、管理職割合に大きな男女差がある。勤続年数を揃えてみても、月給ベースで男女間賃金格差が残る下で、管理職割合にも大きな男女差が残っている。
内閣府の調査によれば、職場の役割分担に関するつぎの項目については、女性よりも男性の方が「そう思う」「どちらかといえばそう思う」との傾向が強い。
「職場では、女性は男性のサポートにまわるべきだ」
「同程度の実力なら、まず男性から昇進させたり管理職に登用するものだ」
「女性社員の昇格や管理職への登用のための教育・訓練は必要ない」
「男性は出産休暇/育児休業を取るべきでない」
「仕事より育児を優先する男性は、仕事へのやる気が低い」
男女別の1日の時間の使い方のデータを見ると、現在でも有償労働(仕事)時間が男性、無償労働(家事関連)時間が女性に大きく偏っている。
2021年時点で、6歳未満の子供を持つ妻・夫の家事関連時間の妻の分担割合を見ると、妻が無業(専業主婦)の場合は家事関連時間の84.0%、有業(共働き)であっても77.4%を妻が担っている。
家事・育児等の負担が女性に偏ること、長時間労働の慣行が変わらないことで、我が国の女性の社会での活躍の遅れや、男女間賃金格差など、社会に様々な歪みが生じている。
また、生活時間の国際比較を行うと、我が国においては、諸外国に比べて男性の有償労働時間が極端に長く、無償労働時間が極めて短いことが特徴であり、このことが我が国の女性の社会での活躍、男性の家庭や地域での活躍を阻害する一因になっていると考えられる。
女性は男性と比較して正規雇用比率が低く、2022年、女性雇用者の半分以上が非正規雇用労働者となっている。一方で、男性雇用者の約8割が正規雇用労働者となっている。
女性の年齢階級別正規雇用比率は25~29歳の59.7%をピークに低下している。
結婚し、さらに子供が生まれると、女性は家事・育児と仕事を両立することを目的に働き方を変える場合が多く、その結果、我が国では女性の非正規雇用労働者の割合が大きいのが現状である。
現在、我が国の女性においては、子育てを行うことと、キャリアの追求のどちらかを選択しなければならない場合が多く見受けられる。
我が国では、出産後の無償労働時間は、女性で増えやすい。
子供が生まれたことにより、仕事との向き合い方を変え、仕事の時間を制限するのは、男性と比べて女性が多い。
結婚後、特に子供を持った後は、女性がライフスタイルを変え、夕方以降の家事・育児等を一人で担い、男性は労働時間が増える傾向にある。
出産を機とした離職は、女性の勤続年数が男性よりも短くなる一因になっている。
出産を機に、女性の労働供給量が男性に比べ抑制されることで生じうる所得の減少や昇進の遅れは、女性にとってハードルである。
国際比較の観点からは、我が国では家事・育児負担が女性に偏る傾向が強い中で、男性の育休取得率が低く、家計のベビーシッターの利用割合も低い。
「生涯を独身で過ごすというのは、望ましい生き方ではない」という考えを支持する割合は、2015年には男性で64.7%、女性で58.2%であったが、2021年には男性で51.1%、女性で39.3%と、いずれも大幅に低下。
「結婚したら子どもは持つべきだ」という考えを支持する割合も、2015年には男性で75.4%、女性で67.4%であったが、2021年には男性で55.0%、女性で36.6%と大幅に低下。
50歳時点の未婚率は、1970年時点で男性1.7%、女性3.3%だったが、2020年には男性28.2%、女性17.8%まで上昇。
今後も緩やかに上昇し、2040年には男性で29.5%、女性で18.7%になると推計されている。
男性では、年収が下がるほど未婚率が高くなる。
一方、女性では、年収200万円未満と比べると年収200万円以上の方が未婚率が高い。
年収と未婚率の関係には、男女差があることがうかがえる。
管理的職業従事者に占める女性の割合は、諸外国ではおおむね30%以上となっているところ、2022年、我が国は12.9%と、諸外国と比べて低い水準となっている。
中学校及び高等学校の校長に占める女性の割合は1割未満。
大学・大学院の教授等に占める女性割合は2割未満。
我が国では理工系学部の卒業者では、女性割合の低さが際立っている。固定的な性別役割分担意識や無意識の思い込みが、影響を及ぼしている可能性がある。
性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターへの相談件数は、年々増加。
女性の約4人に1人は、配偶者から暴力を受けたことがあり、女性の約10人に1人は何度も被害を受けている。
女性の約14人に1人は無理やりに性交等された経験がある。
加害者は、交際相手、配偶者、職場の関係者など、大多数は被害者が知っている人となっており、全く知らない人からの被害は1割程度。
性暴力被害について、女性の6割程度が、誰にも相談していない。
被害にあったときの状況について、女性は「相手から、不意をつかれ、突然に襲いかかられた」が最も多かった。
新型コロナの流行により、困難な問題を抱える女性の課題は顕在化してきた。
例えば、在宅時間の増加などに伴うDVの問題、外出自粛が求められた中で家庭に居場所がない若年女性の存在、大きく影響を受けた飲食・宿泊業などの非正規雇用労働者等に女性の割合が高いことによる、生活困窮の問題などがある。
女性、特に非正規雇用の女性に大きな影響をもたらしており、解雇や労働時間の減少など雇用に大きな変化が起きた者の割合は、女性は26.3%と約4人に1人となっている。
我が国の自殺者数は、2010年以降は10年連続の減少となり、2019年の年間自殺者数は統計開始以来最小となった。
しかし2020年は、特に女性や小中高生の自殺者数が増え、総数21,081人は11年ぶりに前年を上回った。
2021年には、総数21,007人は前年から減少したものの、女性の自殺者数は増加し、小中高生の自殺者数は過去2番目の水準となった。
そして2022年には、総数21,881人は前年から増加し、女性は3年連続の増加となっている。また、小中高生の自殺者数は514人と過去最多となっている。
○(令和5年10月26日)第212回国会 参議院 本会議
▽議員
男女別の賃金公表制度の結果、日本経団連役員企業の女性の賃金は男性の4から8割と軒並み低く、企業規模が大きくなるほど男女格差が大きいことも判明しています。大企業は、コース別採用や全国転勤等を要件とした雇用管理、派遣、非正規化など様々な形で安上がりの労働力として女性差別を続け、女性の低賃金構造を温存してきました。
○(令和5年12月22日)こども未来戦略~次元の異なる少子化対策の実現に向けて
日本の夫の家事・育児関連時間は2時間程度と国際的に見ても低水準である。
こどもがいる共働きの夫婦について平日の帰宅時間は、女性よりも男性の方が遅い傾向にあり、保育所の迎え、夕食、入浴、就寝などの育児負担が女性に集中する「ワンオペ」になっている傾向もある。
今も根強い固定的な性別役割分担意識から脱却し、社会全体の意識の変革や働き方改革を正面に据えた総合的な対策をあらゆる政策手段を用いて実施していく必要がある。
○(令和6年1月9日)提言書「人口ビジョン2100」人口戦略会議
多くの若者世代が、子どもを持つことをリスクや負担として捉えている状況があります。
その背景の一つには、今や共働き世帯が全体の7割を超えていますが、今なお女性が出産に伴い、退職したり、短時間勤務へ切り替えたりせざるを得ないため、収入が大幅に減少することがあります。
女性が出産退職する理由として多くあげられるのは、非正規雇用の場合は「育休など制度がなかった」であり、正規雇用の場合は「育児と両立できる働き方ではなかった」「職場に両立を支援する雰囲気がなかった」などです。
また、子育て世帯が2人目の子どもを持つことを躊躇する理由として、夫の育児・家事時間が短く、育児参加が期待できないことがあげられています。
このような状況は、いわば“昭和のライフスタイル”を前提とした制度や社会規範が、今日に至るまでそのまま維持されてきたことが背景にあります。
核家族化が進み、地域のつながりも希薄となる中で、孤立感や不安感を抱く妊婦・子育て家庭が増加しています。
ひとり親家庭、特に母子家庭は、貧困リスクが高いのが実情であり、支援施策の抜本的な拡充を図るべきです。