(2024.6.26)

 

 

 タイトルについての内容(抜粋要約、時系列)はつぎのとおりです。(文末備考の記事等の内容全体をまとめたものです。)

 

○(令和3年8~9月)鹿児島の新型コロナ宿泊療養施設で、県医師会の男性職員が、看護師の女性に複数回の性的行為を行なう。

 

○(令和3年12月1日)被害者の女性の雇用主が、県医師会の男性職員に事実確認し、事件発覚。

⇒後に、男性職員とその父(鹿児島中央署に勤務していた警部補)が鹿児島中央署に相談。

 

○(令和3年12月5日)男性職員が文書を作成し、被害者の女性の雇用主に提示。

⇒男性職員が「罪状」と題して、「自らの理性を抑えることが出来ず、衝動的な行動に至ってしまった事実に対し、刑法第一七七条に規定されております、強制性交等罪であることを認めます」とする手書き文書を作成し、女性の雇用主にその画像だけを送信。

 

○(令和4年1月7日)被害者の女性が鹿児島中央署に告訴状を提出したものの、警察官が受け取りを拒否

⇒後に、国会において、委員「当初、被害看護師が弁護士が書いた告訴状を持って告訴をしようと警察署に行ったところ、対応した女性警察官はむしろ被害女性を責めて、告訴を思いとどまらせるような言動を4時間繰り返しまして、受理しなかったということなんです。この警察署は、加害側の医師会職員の父親が勤務していた警察署なんですね。」

⇒後に、被害者の女性の弁護士「女性が告訴に訪れた際に対応した警察官は挨拶もなく、告訴状を受け取ろうとも、事情を聞こうともせず、散々消極的なこと、「事件にならない」という趣旨のことを言われた」

 

○(令和4年1月17日)被害者の女性が男性職員を強制性交の疑いで刑事告訴。

 

○(令和4年2月)県医師会が調査委員会を設置。

 

○(令和4年9月27日)県医師会が記者会見で「合意があった」と述べ、男性職員の停職3カ月の懲戒処分発表。

 

○(令和4年9月28日)コロナ療養施設で女性看護師と複数回の性的関係 鹿児島県医師会の男性職員を停職3か月(南日本新聞)

 合意の有無を巡り両者に意見の食い違いがあったが、調査委委員の鹿児島県医師会の顧問弁護士は「メールや電話の受発信履歴など客観的証拠を総合的に検討し、合意に基づくものと判断した」と説明した。

 

○(令和4年10月末)男性職員が依願退職。

 

○(令和5年2月1日)女性が男性元職員に損害賠償を求めて鹿児島地裁に提訴。

 

○(令和5年3月8日)第211回国会 参議院 予算委員会

▽委員

 NHK、読売新聞、南日本新聞の記事でございます。コロナの宿泊療養施設での不適切行為についての記事なんですね。鹿児島県医師会の職員が宿泊療養施設のホテルで看護師と何度も性行為を行っていたという記事なんです。しかも、看護師の同意はなくて、性的暴行だとして刑事告訴されているんです。

(省略)

 この報道を受けて鹿児島県が医師会に行った対応を御存じでしょうか。情報公開によりまして、口頭注意、そして報告書提出後の指摘事項の存在が明らかになっています。

▽政府参考人

 議員御指摘の口頭注意としましては、県の医師会の対応につきまして、事案発生後の報告時に謝罪がない等、事態の重大さを真摯に受け止めた上で適切な対応を取るといった姿勢が感じられなかった、関係者からの聞き取りをする前から事案に係る発言があるなど予断を持って調査が進められた、当該発言をした理事を調査委員会の委員としたまま調査を終えており、調査の進め方に問題があったといった内容があったものと承知をしております。

 また、報告書提出後の医師会の対応についての指摘につきましては、医師会が行った記者会見の内容と報告書の内容には齟齬があった、医師会が処分を決定するに当たり、情状酌量の判断として当該職員が一定の社会的な制裁を受けたとしているが、何をもってそのように言えるのか疑問であるといった内容があったものと承知をしております。

▽委員

 ありがとうございます。そのとおりなんですね。

 医師会は、被害者から聞き取りをする前から医師会の理事が県に説明をして、予断を持って調査が進められておりまして、医師会が被害を矮小化している現実が公文書に記されているような状態なんです。

(省略)

 当初、被害看護師が弁護士が書いた告訴状を持って告訴をしようと警察署に行ったところ、対応した女性警察官はむしろ被害女性を責めて、告訴を思いとどまらせるような言動を4時間繰り返しまして、受理しなかったということなんです。

 この警察署は、加害側の医師会職員の父親が勤務していた警察署なんですね。何度も女性警察官は部屋を出て上司の判断を仰いでいたというふうに聞いております。極め付けは、帰り際に、被害女性に対して告訴しませんよねということで念押しをしたということなんです。

 

○(令和5年5月)看護師の女性の雇用主は、面識のなかった鹿児島県警の藤井巡査長(⇐後に、県警の内部文書を第三者に流出した疑いで逮捕される)から突然「会いたい」という申し出があり面会した。職場に訪ねてきた藤井巡査長は、概ねつぎのとおり述べた。「(強制性交事件で)被害に遭われた女性に関しては、本当にうちの警察はよろしくない対応を取って、誠に申し訳ありません。私はいち警察官で、県警を代表する立場の人間ではないけれども、本当に申し訳ないと思う。それを謝りたいと思って来ました」。

 

○(令和5年6月9日)鹿児島県警が県医師会の男性元職員を強制性交の疑いで書類送検。

 

○(令和5年6月12日)藤井巡査長が県警の内部文書を第三者に送信した疑い。

 

○(令和5年10月25日)鹿児島県警、腐敗の証明|背景に「警察一家」擁護と特定団体との癒着(ハンター)

 ハンターが入手したのは鹿児島県警の内部文書「告訴・告発事件処理簿一覧表」2枚。いずれも同じ案件に絡むもので、本筋は昨年男性Sが強制性交の疑いで告訴された事件

 Sの父親は、今年3月まで鹿児島中央署に勤務していた現職の警部補。

 

○(令和5年11月17日)「独自入手」鹿児島県警で組織的隠蔽加速|捜査記録「速やかに廃棄」指示(ハンター)

 鹿児島県警察が、一般の事件も含めた対応の記録を積極的に破棄するよう現場の警察官らに指示していたことがわかった。県警刑事企画課が課員向けの内部文書で「速やかな廃棄」を指示していた。

 ハンター編集部が入手した問題の文書は、鹿児島県警の「刑事企画課だより」(10月2日付)。(⇐藤井巡査長が流出させた資料の一部。)

「現に保管している事件記録の写しについても、保管の必要性を適宜判断し、保管の理由が説明できず、不要と判断されるものは速やかに廃棄しましょう」

「再審や国賠請求等において、廃棄せずに保管していた捜査書類やその写しが組織的にプラスになることはありません!!

「取調べ内容を記録する紙は、必要に応じて組織的に管理する場合があるため、大学ノートではなく、取り外しが可能なルーズリーフを使用しましょう

 

○(令和5年11月)「刑事企画課だより」は、ネットに流出して県警内部でも問題視され、11月に「国賠請求や再審請求への対応に必要な文書は廃棄せずに保管管理する必要がある」といった内容に改められた。

 

○(令和5年12月22日)鹿児島地検が県医師会の元職員を嫌疑不十分で不起訴処分。

 

○(令和6年1月31日)被害者女性が不起訴処分を不服として、鹿児島県検察審査会に審査請求。

 

○(令和6年3月11日)藤井巡査長が県警の内部文書を、再度、第三者に送信した疑い。

 

○(令和6年3月12日)鹿児島県警 性的暴行事件など4つの事件 個人情報流出(NHK)

 鹿児島県警察本部は、新型コロナウイルスの患者の宿泊療養施設で起きた性的暴行事件など、4つの事件の当事者の名前を含む個人情報が外部に流出していたことを明らかにしました。

 鹿児島県警察本部によりますと、流出していたのは「告訴・告発事件処理簿一覧表」と呼ばれる内部文書です。

 この中には、新型コロナの患者の宿泊療養施設で起きた性的暴行事件で、告訴した人や、告訴されたあと不起訴となった人の名前などもあり、去年10月、この事件の警察の捜査に問題があったとするネットメディアの記事で個人情報を黒塗りにした状態で掲載され、流出が発覚したということです。

 

○(令和6年3月28日)鹿児島県警を退職後の本田前部長(⇐後に、国家公務員法違反の疑いで逮捕)が内部告発文書を投函した疑い。

⇒当時公表されていなかった、鹿児島県警枕崎署の鳥越巡査部長の盗撮事件や霧島署員のストーカー事案に関する書類など。

 

○(令和6年3月29日)強制性交事件「もみ消し」の代償(1)|鹿児島県警情報漏洩の真相(ハンター)

 鹿児島県警の捜査資料が大量に流出した。原因を作ったのは、“ある事件”のもみ消しを図ったとみられる井上県警刑事部長による不当な捜査指揮だ。

 “ある事件”とは、2021年に起きた鹿児島県医師会の男性職員を被疑者とする強制性交事件のことである。

 被害を受けたのは、鹿児島県が新型コロナウイルスの感染者を収容するため設置した宿泊施設に派遣されていた女性スタッフだった。

 

○(令和6年4月3日)札幌のジャーナリスト小笠原さんに県警の不祥事隠蔽を告発する匿名の投書が届く。(⇐本田前部長が3/28に投函した投書)

⇒後に、6月5日の法廷で本田前部長は次のように述べた。

「私は、退職後、この不祥事をまとめた文書を、とある記者に送ることにしました。記者であれば、個人情報なども適切に扱ってくれると思っていました。マスコミが記事にしてくれることで、明るみに出なかった不祥事を、明らかにしてもらえると思っていました。私が退職した後も、この組織に残る後輩がいます。不祥事を明らかにしてもらうことで、あとに残る後輩にとって、良い組織になってもらいたいという気持ちでした」

⇒後に、札幌のジャーナリスト小笠原さん。

「結構な厚さがあるんですけれども、1枚目に“闇を暴いてください”と書いてあって」

 小笠原さんは、本田前部長とは面識がなかった。「九州の「ハンター」というサイトに鹿児島県警絡みの記事を書いたことがあるので、それをご覧になって名前を覚えていたんだろうか」

「(文書が届いたのが)4月3日で「ハンター」にメールで送り共有したのも、その日の午後。それから5日後の4月8日に「ハンター」の編集部に、鹿児島県警が強制捜査をかける…いわゆる家宅捜索に入った」

「いろいろな取材の秘密が詰まっているパソコンであるとか、スマホであるとか、その中に私がハンターに送ったデータがあって、今回の本田前部長の逮捕につながったのでは…」

 小笠原さんは、本田前部長が法廷で内部告発の送り先が小笠原さんであると実名をあげた後、報道機関の問い合わせを受けて初めて、差出人が本田前部長であると知った

 

○(令和6年4月8日)強制性交事件「もみ消し」の代償(2)|疑われる鹿児島県警と県医師会の「共謀」(ハンター)

 特に酷かったのは、9月27日に医師会が開いた会見で、池田会長と同会の顧問弁護士が、世間に向けて「合意に基づく性行為」を断言していたこと

 この時期は、まだ具体的な事件捜査が行われておらず、検察でも裁判所でもない医師会が事件の裁定を下すのは法を無視した暴走でしかない。

 

○(令和6年4月8日

▽鹿児島県警が、藤井巡査長を地方公務員法違反(捜査情報など職務上知り得た秘密を漏らした)の疑いで逮捕。

▽鹿児島県警が、強制性交被害を訴えた女性の雇用主のスマホを押収

⇒4月8日、女性の雇用主が鹿児島市内の駐車場で車に乗ろうとした瞬間、バタバタと駆け寄ってきた県警捜査員4、5人に取り囲まれた。「スマホを置いていってください」。令状を示され、スマホを押収された。藤井巡査長の情報漏洩事件の参考人として県警の聴取を受けた。

▽鹿児島県警が、福岡で「ハンター」を家宅捜索し、パソコン、スマホなどを押収

⇒4月8日午前8時半「ガサ」は突然始まった。調査報道を行なうニュースサイト「ハンター」代表、中願寺さんの自宅兼事務所に、鹿児島県警の捜査員10人が現れた。「上がるな」。中願寺さんが言うと、捜査員は「ガサ状がありますから」。令状を読み上げないまま室内へ上がり込んできた。弁護士に電話しようと手にしたスマホは、捜査員に腕を押さえつけられ、取り上げられた。「令状を読み上げ始めたが「こっちは素人じゃない。いいから令状を見せろ」と言った。令状は結局最後まで読み上げられず、手にひらひらと持ったまま、見せてもくれなかった」(中願寺さん)。

 鹿児島では同じ日、県警の捜査情報などを「第三者」に流出した地方公務員法(守秘義務)違反の疑いで、藤井巡査長が逮捕された。中願寺さんはその関係先として家宅捜索され、参考人として取り調べを受けた。

 県警はパソコンも押収した。中には、取材で集めた情報、取材先とやり取りしたメール、ジャーナリストの生命線である「取材源の秘匿」にかかわる情報が詰まっている。中願寺さんは叫んだ。「パソコンすぐに返さないなら業務妨害で訴えるぞ」

 翌日、パソコンは返された。(処理簿などデータが返却時には削除されていた。)パソコン画面のデスクトップに、匿名の内部告発文書(⇐本田前部長が投函した文書)の写しを保存していた。鹿児島県警の職員がストーカーや盗撮など犯罪を疑われる行為を働き、幹部も報告を受けているのに立件も公表も処分もされていない、内部しか知り得ない情報が詳細に記されていた。

 鹿児島県警は、この内部告発文書をハンターで押収したパソコンから見つけたのを端緒に、本田前部長を割り出したとみられる。

 

○(令和6年5月13日)鹿児島県警が枕崎警察署の鳥越巡査部長を建造物侵入などの容疑で逮捕。昨年12月、県内の女性トイレに侵入して個室内の女性を盗撮した疑い。

 

○(令和6年5月31日)鹿児島県警が本田前部長を国家公務員法違反の疑いで逮捕。

 

○(令和6年6月5日)本田前部長が法廷で、鳥越巡査部長による盗撮事件の捜査をめぐり「野川本部長が警察官による不祥事を隠蔽しようとする姿に愕然とした。公益を守るため、記者に捜査資料を送りました」と述べ、内部告発の送り先は、小笠原さんであると実名をあげた。

 

○(令和6年6月6日)鹿児島県警「情報漏洩」の真相(1)|盗撮事件、幹部が「静観」指示か(ハンター)

闇を暴いてください。」差出人不明の郵便物の1枚目には、そう大きく印字されていた。

 鹿児島県警は5月13日、枕崎警察署の鳥越巡査部長を建造物侵入などの容疑で逮捕した。

 取材結果や関係者の証言などによれば、この件は一度内部で握り潰されていた。当事者逮捕により事態が明るみに出る結果となったが、それまで少なくとも半年間は一切が伏せられていたわけだ。

 

○(令和6年6月7日)野川本部長「私が隠ぺいの意図を持って指示を行ったということは、一切ございません」。

 

○(令和6年6月11日)「疑惑の県警」報道機関を強制捜査し、内部告発した取材源を特定!鹿児島県警「前代未聞の暴挙」は憲法違反だ(slow news)

 報道機関に警察が捜索に入って取材資料を差し押さえ、それを端緒に、報道機関の取材源を特定して逮捕する、などということは、言論の自由を保障する民主主義国では通常ありえません。社会における公共情報の流通を大きく萎縮させて、民主主義を機能しづらくすることになるのが明らかだと考えられてきたからです。

 取材源の秘匿は、報道界にあって、「報道機関が何より優先すべき責務であり、個々の記者にとっては、取材活動の根幹をなす究極の職業倫理である」と考えられてきている。

 社団法人日本新聞協会と社団法人日本民間放送連盟は次のように述べている。

「報道機関で取材活動に従事するすべての記者にとって、「取材源(情報源)の秘匿」は、いかなる犠牲を払っても堅守すべきジャーナリズムの鉄則である。隠された事実・真実は、記者と情報提供者との間に取材源を明らかにしないという信頼関係があって初めてもたらされる」

 最高裁は「取材源の秘密は、取材の自由を確保するために必要なものとして、重要な社会的価値を有する」と述べつつ、やや留保を置いている。しかし、最高裁を含め裁判所がどのような判断を出しても出さなくても、それとは無関係に、「上級審等がいかなる判断を下そうとも、取材源を守る姿勢は最後まで貫き通すことを改めて確認しておく」というのが、日本新聞協会と日本民間放送連盟の公式見解となっている。

 法務大臣ら政府当局者は「いわゆるニュース・ソースの秘匿性というようなことにつきましても、検察当局として十分これを尊重しなければならぬ」との考え方を繰り返し明らかにしてきている。

 

○(令和6年6月13日)中願寺さんが、家宅捜索で令状を示されなかったことに加え、同意していない取材データを削除されたとして、弁護士を通じて鹿児島県警に苦情申出書を提出。

 

○(令和6年6月14日)鹿児島県警の報道弾圧に抗議する(下)|2件の公益通報と強制性交事件(ハンター)

 鹿児島県警の警察官による「公益通報」が、2件立て続けに表面化した。1件目は井上前刑事部長の不当な捜査指揮の証拠となる「告訴・告発事件処理簿一覧表」、2件目は野川県警本部長による警察官の犯罪行為隠蔽を告発する内容だった。

 一連の事案の発端となったのは、新型コロナ療養施設内において起きた県医師会の元職員による強制性交事件だ。この件を追い続ける過程で、「告訴・告発事件処理簿一覧表」が不当捜査の証拠として登場し、配信記事を読んでいた本田前部長が本サイトと北海道のジャーナリストに信頼を寄せ、内部通報に及んだものと考える。

 鹿児島県警によるハンターへの強制捜査は報道弾圧である。本稿をもって正式な抗議とするが、筆者がそれ以上に声を大にして訴えたいのは、強制性交事件の事実上のもみ消しがいかに不当なものであるかということ。たしかに報道弾圧は大問題だが、筆者はガサ入れを受けようが逮捕されようが、一向にかまわない。一人でも多くのジャーナリストや政治家が、卑劣な人間たちに踏みにじられてきた女性に救いの手を差し伸べてくれることをお願いしたい。

 

○(令和6年6月14日)「社説」捜査書類の管理 「適宜廃棄」は冤罪を生む(西日本新聞)

 正義に反する言語道断の愚行である。

 問題の文書は昨年10月2日付の「刑事企画課だより」だ。

 鹿児島県警が捜査書類の適宜廃棄を促す内部文書を作成し、捜査員に周知していたことが発覚した。

 再審請求などで、弁護側の証拠に利用されるのを防ぐ目的も書かれている。

 インターネットメディアに「組織的な隠蔽の奨励」などと報道された直後、問題の部分を訂正したというが、責任は免れまい。

 

○(令和6年6月14日)「取材源の秘匿」脅かし「権限のないデータ消去」も…鹿児島県警の捜索(TBS)

 報道機関にとって「取材源の秘匿」は「いかなる犠牲を払っても守るべきジャーナリズムの鉄則」で、日本新聞協会と日本民間放送連盟はその旨を発した2006年の声明で「隠された事実・真実は、記者と情報提供者との間に『取材源を明らかにしない』という信頼関係があって初めてもたらされる。その約束を記者の側から破るのは、情報提供の道を自ら閉ざし、勇気と良識をもつ情報提供者を見殺しにすることにほかならないからである」と表明しています。憲法が保障する「報道の自由」の根幹の一つで、捜査機関も最大限尊重し、慎重に対応してきました。日本は民主主義国家だからです。

 ところが今回、鹿児島県警は家宅捜索で押収した資料から、捜索容疑以外の取材源まで洗い出し、本田前部長を逮捕しました。強制捜査でネタ元を突き止める。明らかに一線を超えたやり方で、こんなことが許されたら、日本は報道の自由が担保されない国になります。

 

○(令和6年6月17日)(社説)捜査書類 廃棄のすすめ 許されぬ(朝日新聞)

 鹿児島県警が、刑事手続きの中で検察庁に送らなかった捜査書類などについて、速やかな廃棄を促す文書を作って職員に呼びかけていた。

 警察に不都合になるおそれがあるものは、なかったことにしてしまおうという趣旨にとれる。

 修正したからいいという話ではない。誰が発案し、どう了承されたのか。反対する声はなかったのか。詳細な説明と、県警として意識を改めるための具体策を示すべきだ。

 自らに不利になりかねない証拠を隠し、捨てようとする姿勢こそが冤罪を招く。

 

○(令和6年6月18日)〈鹿児島県警・情報漏えい〉「警察そのものがよくない」“第一の漏洩”「医師会職員の強制性交事件」の不審捜査で逮捕された元巡査長は被害女性側に謝罪していた(集英社オンライン)

 目を引くのは、初公判も迎えていない藤井被告が既に保釈されていることだ。

「警察組織にたてついた人物の身柄拘束がこれほど早く解かれたことに注目しています。警察や検察が満足する供述を藤井被告がしているということでしょう。公判で本当の動機を言うかどうかはわからなくなってきたと思います」(社会部デスク)

 

○(令和6年6月19日)鹿児島県警「不祥事隠ぺい疑惑」ニュースサイトへの“家宅捜索”も…元生活安全部長の“告発“は、「守秘義務違反」か「公益通報」なのか?(弁護士JPNEWS)

 本稿記者の取材に応じた鹿児島県警は、ハンターへの家宅捜索後、パソコン内のデータを削除したことについて「通常、資料などのデータを消すときは、許可をもらうはず」と答え、「証拠隠滅かどうかは回答を差し控える」とした。

 

○(令和6年6月19日)日本ペンクラブ声明「取材源秘匿・内部通報者保護制度を脅かす鹿児島県警の強制捜査を強く非難する」

 一般社団法人日本ペンクラブ会長

 伝えられるところでは、鹿児島県警は4月に報道機関を強制捜査し、取材情報が入ったパソコン等を押収、そのデータをもとに内部通報者を特定し、5月に国家公務員法違反の疑いで逮捕した。ジャーナリストにとって、情報源の秘匿は最高位の倫理であることはいうまでもないが、公権力も表現の自由を実効的に保障するものとして、強制力を持って取材源を開示させるようなことは控えてきた経緯がある。

 今回の行為は、そうした慣例を毀損するものであり、あわせて、報道機関への情報提供を強制捜査の対象にしたことは、内部通報者保護制度の趣旨からすると、民主主義社会の根幹を脅かす極めて深刻な事態だ。こうした報道機関への脅威を深く憂慮するとともに、各メディアの積極的な取材報道を期待する。

 日本ペンクラブは、今回の警察の行動を強く非難するとともに、事態を決して前例としないことを求めるものである。

 

○(令和6年6月19日)鹿児島県警による「情報源暴き」に抗議する

 日本新聞労働組合連合(新聞労連)中央執行委員長

 公務員による情報漏洩に関連して警察がメディアを家宅捜索し、押収した資料を基に情報源を逮捕する。情報提供者のメディアへの信頼を守り、正確な情報に基づく市民の「知る権利」報道の自由を確保するために必要な記者の職業倫理として「情報源の秘匿」が重要視されてきた民主主義社会では許されない権力の暴走です。メディアを捜査対象とした鹿児島県警と、捜索を許可して捜査権の濫用にお墨付きを与えた裁判官に強く抗議します。

 新聞労連の「新聞人の良心宣言」(1997年)は、公的機関や大資本などの権力を監視し、その圧力から独立するために「情報源の秘匿を約束した場合はその義務を負う」「取材活動によって収集した情報を権力のために提供しない」と規定しています。

 

○(令和6年6月19日)鹿児島県警察による捜査書類の廃棄を促す文書の作成・配布に関する会長声明

 日本弁護士連合会会長

 本年6月、鹿児島県警察が、再審や国家賠償請求訴訟で利用されるのを防ぐために捜査書類の廃棄を促す内部向けの文書を執務資料として作成し、県警察本部や警察署内で配布していたことが明らかとなった。

 本文書は、重要な公文書である捜査書類を、捜査機関の一方的かつ恣意的な判断によって廃棄することを推奨するものであり、刑事訴訟法が定める証拠開示制度を実質的に画餅に等しくするものであって、到底容認することができない。また、本文書の内容は、捜査の違法性・不当性が問題となった場合における真相解明を遠ざけるものでもあり、捜査書類の廃棄が現実になされれば、被告人の公平・公正な裁判を受ける権利という憲法上の基本的人権を侵害することにもなりかねない。

 さらに、本文書の内容は、えん罪被害からの救済を阻害するという点からも極めて問題である。

 捜査書類は、真実発見のために不可欠な公共財である。

 

 

 以上です。

 

 

<備考>

○(令和4年9月28日)コロナ療養施設で女性看護師と複数回の性的関係 鹿児島県医師会の男性職員を停職3か月(南日本新聞)

○(令和5年1月4日)去年6月に書類送検の県医師会元職員 先月不起訴処分に(NHK)

○(令和5年3月8日)第211回国会 参議院 予算委員会

○(令和5年5月25日)第211回国会 参議院 内閣委員会

○(令和5年10月25日)鹿児島県警、腐敗の証明|背景に「警察一家」擁護と特定団体との癒着(ハンター)

○(令和5年11月17日)「独自入手」鹿児島県警で組織的隠蔽加速|捜査記録「速やかに廃棄」指示(ハンター)

○(令和6年3月1日)コロナ療養施設で強制性交捜査 鹿児島県警内部資料が流出か 被害者側「謝罪申し出あった」南日本新聞

○(令和6年3月12日)鹿児島県警 性的暴行事件など4つの事件 個人情報流出(NHK)

○(令和6年3月13日)鹿児島県警の一覧表が漏洩か 捜査を疑問視するウェブメディアが掲載(朝日新聞)

○(令和6年3月18日)刑事事件当事者の個人情報流出 ほかにも内部文書多数流出か(NHK)

○(令和6年3月22日)第213回国会 参議院 内閣委員会

○(令和6年3月29日)強制性交事件「もみ消し」の代償(1)|鹿児島県警情報漏洩の真相(ハンター)

○(令和6年4月8日)強制性交事件「もみ消し」の代償(2)|疑われる鹿児島県警と県医師会の「共謀」(ハンター)

○(令和6年6月6日)鹿児島県警「情報漏洩」の真相(1)|盗撮事件、幹部が「静観」指示か(ハンター)

○(令和6年6月8日)捜査資料の廃棄促す文書作成か 鹿児島県警、照会に「担当者不在」(毎日新聞)

○(令和6年6月11日)松村内閣府特命担当大臣記者会見要旨

○(令和6年6月11日)(社説)鹿児島県警 疑惑の解明と説明を(朝日新聞)

○(令和6年6月11日)「疑惑の県警」報道機関を強制捜査し、内部告発した取材源を特定!鹿児島県警「前代未聞の暴挙」は憲法違反だ(slow news)

○(令和6年6月11日)「内容改め再発出」と国家公安委員長 鹿児島県警の捜査書類保管(毎日新聞)

○(令和6年6月14日)<社説>捜査書類の管理 冤罪招く「廃棄の助長」(東京新聞)

○(令和6年6月14日)鹿児島県警の報道弾圧に抗議する(下)|2件の公益通報と強制性交事件(ハンター)

○(令和6年6月14日)「社説」捜査書類の管理 「適宜廃棄」は冤罪を生む(西日本新聞)

○(令和6年6月14日)「取材源の秘匿」脅かし「権限のないデータ消去」も…鹿児島県警の捜索(TBS)

○(令和6年6月14日)鹿児島県警が不正追及のメディアに強制捜査 踏みにじられた「取材の自由」(上)週刊金曜日オンライン

○(令和6年6月16日)鹿児島県警 書類廃棄促すかのような文書 大崎事件弁護団が抗議(NHK)

○(令和6年6月17日)(社説)捜査書類 廃棄のすすめ 許されぬ(朝日新聞)

○(令和6年6月18日)〈鹿児島県警・情報漏えい〉「警察そのものがよくない」“第一の漏洩”「医師会職員の強制性交事件」の不審捜査で逮捕された元巡査長は被害女性側に謝罪していた(集英社オンライン)

○(令和6年6月19日)新聞労連が「権力の暴走」と抗議声明 鹿児島県警の家宅捜索問題(毎日新聞)

○(令和6年6月19日)鹿児島県警「不祥事隠ぺい疑惑」ニュースサイトへの“家宅捜索”も…元生活安全部長の“告発“は、「守秘義務違反」か「公益通報」なのか?(弁護士JPNEWS)

○(令和6年6月19日)日本ペンクラブ声明「取材源秘匿・内部通報者保護制度を脅かす鹿児島県警の強制捜査を強く非難する」

○(令和6年6月19日)鹿児島県警による「情報源暴き」に抗議する(日本新聞労働組合連合)

○(令和6年6月19日)鹿児島県警察による捜査書類の廃棄を促す文書の作成・配布に関する会長声明(日本弁護士連合会会長)