大阪市鶴見区・守口市 鶴見緑地と国際庭園 | れぽれろのブログ

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大阪府内の緑地公園探訪シリーズ。
少し前になりますが、昨年の12月29日に大阪市鶴見区・守口市にある鶴見緑地を訪れてきました。今回はその写真と覚書です。

大阪市の周辺には4つの大きな緑地公園があります。北に豊中市の服部緑地、北東に大阪市鶴見区~守口市の鶴見緑地、南東に八尾市の久宝寺緑地、南に堺市北区の大泉緑地があり、それぞれほぼ中央環状線(府道2号線)のやや内側に位置しています。
これらの緑地公園は元々は戦前に防空緑地として計画された場所で、1941年の防空法の改正に伴い、空襲の際の延焼防止や避難場所として制定された場所でした。戦後にこれらの場所がそろって公園になり、これらの緑地公園を囲むように中央環状線(府道2号線)が整備されました。
大阪府内には4つの環状道路(阪神高速環状1号線、内環状線(国道479号線)、中央環状線(府道2号線)、外環状線(170号線))があり、同心円状に広がるのこれらの道路を越えるごとに徐々に風景が変わっていくのが大阪府の特徴ですが、このうち中央環状線(府道2号線)はおおよそ都市部と郊外の境目にある道路で、ちょうどこの境界の道路付近に4つの緑地公園がある、という形になっています。

なお、服部緑地(→こちら)、久宝寺緑地(→こちら)、大泉緑地(→こちら)は過去に訪れましたので、今回の鶴見緑地をもって緑地探訪シリーズは最終回となります。全部まわるのに2年もかかっています 笑。

鶴見緑地は大阪市鶴見区から守口市にまたがる緑地公園で、正式な公園としての開園は1972年です。
鶴見緑地を考える上で重要なのは、何といっても1990年に開催された花博(国際花と緑の博覧会)で、この博覧会をきっかけに鶴見緑地は再整備されることになりました。現在も花博時代のモニュメントの一部が残っており、公園の名称も正式には「花博記念公園鶴見緑地」となっています。花博時代の建造物である「いのちの塔」や「咲くやこの花館」などが有名だと思いますが、今回は花博の際に参加各国が造営した国際庭園の跡地を中心に回ってきました。
ちなみに自分は鶴見緑地は花博を含め過去何度か訪れており、今回が初めてではありません。しかし国際庭園をそれなりにしっかり歩いてと写真撮影したのは初めてで、これはなかなか面白かったです。



入口。

ちゃんと表示も「花博記念公園」となっています。


公園内の様子。



真冬の訪問ですので、当然の如く風景は絵になりません 笑。過去訪れた3つの緑地公園は、新緑の季節であったり紅葉の季節であったりで、いずれもそれなりに絵になる写真が撮れていましたが、今回は訪れる時期が悪く、風景が地味です。


ぞれでも緑のある部分はそれなりに良い感じ。



池の周囲をのんびり散策するのもまた楽しいもの。



こちらは山のエリアにある風車。

鶴見緑地は北東にかけて小高くなっており、その山の上部にこの風車があります。この風車は遠くからでも見え、公園の1つのシンボルになっています。


風車近辺にはかろうじてお花が咲いています。



こちらは咲くやこの花館。

花博時代にできた植物園です。今回は入館しませんでしたが、この植物園は世界のたくさんの植物が展示されており、割と面白いのでおすすめです。(しかし名称に反して花はあまり咲いていませんので、注意が必要です 笑。)
この植物園の名称はおそらく日本神話のコノハナノサクヤヒメから取られているものと思われます。コノハナノサクヤヒメはニニギノミコトの妻で、長命だが不美人のイワナガヒメと、短命だが美人のコノハナノサクヤヒメのうち、ニニギは後者を選んだことから人間は短命になったという、現代人から見るとルッキズム的に問題の多い(笑)神話が元ネタになっています。


こちらはいのちの塔。

これも花博時代の塔で、花博の1つのシンボルでした。

現在は入館できなくなっています。おそらく修繕が追いついていないためと思われます。近くに寄るとどことなく廃墟感が漂ってきます。


山のエリアの一番高い場所は、鶴見新山と言われています。
鶴見新山へ登山。



頂上からの風景。

冬なので地味ですね 笑。中央奥にあるのが先ほどのいのちの塔。


池にいたカモたち。



池の周辺にいたサギ。

サギは近寄ってカメラを向けても動じませんでした。



さて、ここからが国際庭園のコーナーです。


国際庭園は花博の見どころの1つで、博覧会への参加各国が花や植物と合わせて建造物などを造営・展示していた場所です。現在は庭園はほぼなくなっており、建造物も劣化して場所によってはほぼ廃墟化している部分もありますが、30年を経た現在に見て回ってもなかなか面白かったです。

国によって手入れが行き届いている国とそうでない国があり、このあたりの差異もなかなか面白い。なるほどこの国っぽいなと思わせる国もあれば、これは何なのかという意味不明な(?)国もあり、楽しく散歩してきました。ちょうど山のエリアの坂の部分にあるため、全部訪れようとするとそれなりに疲労します。
異国情緒漂う建物も残っているため良い撮影スポットとなり、花博から20年を経過した10年代に入るころあたりから、コスプレイヤーが跋扈する場所に変貌しました。訪問時は年末の寒い時期で、かつコロナの時期でもあったため人は少なかったですが、それでも複数名のコスプレイヤーがいました。


まずはアジア諸国から。

韓国。

 

寺院をモティーフにしたと思われる庭園跡地です。

 

韓国エリアは全世界エリアの中で最も手入れが行き届いている印象です。それなりに絵になる写真が撮れます。

こちらは李朝時代の石塔。

意外と貴重なものなのかも。

大阪人権啓発推進協議会による看板が残っています。

大阪は従来このような人権啓発が盛んであった場所です。今の維新による政策はこれの逆張りです。


続いては中国。

こちらも寺院風。韓国と違い中には入れませんでした。整備が行き届いていないものと思われます。

外壁の様子。


中国エリアは遠くから撮影した方が絵になります。



こちらはタイ。

これも仏教寺院のモティーフです。立入禁止の金網が廃墟感を漂わせています 笑。


パキスタン。

パキスタンは花博の開園までに造営が間に合わず、庭園造りの様子を鑑賞するという趣向で展示されたという逸話があるそうです。これは現代美術の展示でもたまにあるパターンです 笑。


イラン。

ペルシャってこんなんだったかな…?


こちらはネパール。
ネパールはアジア諸国の中で、韓国中国に次いで気合が入っているエリアです。


割と綺麗に保存されていました。




ネパールの遺跡を展示しているのか、30年間放置された結果劣化して遺跡風になってしまっているのか、どちらかよく分からなくなっているものもあります 笑。



アフリカに移ります。

エジプト。

我々の知るエジプトのイメージとはちょっと違う…?

この体育座り風のはエジプトの古代遺跡でも見たことあります。



モロッコ。

ヤシの木が良い感じですね。

モロッコも比較的綺麗に残っています。


イスラム風のタイル。



続いては欧州。

こちらはイギリス。

イギリス式庭園風の噴水があったものと思われますが、現在は噴水は非稼働。

ちなみに各国の国名表示は正式名称で書かれていました。イギリスはこう。

子供には不親切な表示です 笑。


アイルランドは古代遺跡風の石造りの庭園でした。



オランダ。



ドイツは鉄骨丸出しで、何やら地味です 笑。

これのどのあたりがドイツなのかな。



イタリアもこんな感じ。

旧枢軸国は何やら地味で、廃墟感が著しいです。


しかしオーストリアは割とイメージ通り。

音楽の都ウィーンのイメージです。


スペイン。



新大陸へ。

カナダ。

ナイアガラ周辺の滝のイメージでしょうか?


メキシコ。

ピラミッド風の外観の中に植物園があったようです。ソーラーハウスのようになり熱帯植物などが展示されていたのかも。今は雑草が生い茂って廃墟感強し。


ということで、主だった国際庭園の建造物等を並べてみました。比較的綺麗に保存されているものと廃墟化しているものがあり、差がどこに由来するのかもなかなか謎です。



最後は恒例のゆるキャラコーナーです。

花ずきんちゃん。

花博時代のイメージキャラクタです。「30th」と書かれているので、比較的最近になって設置されたものなのかも。ゆるキャラが日本各地で大量生産されるようになるのはおそらくゼロ年代以降のことですが、それに伴い過去のキャラが復活してきたということなのかもしれません。

ちなみに鶴見区には「つるりっぷ」というキャラがいますが、こちらは公園内では見かけませんでした。(街中ではよく見かけるキャラです。)


マンホールのふたにも。

汚水の上にも花ずきんちゃん。


いのちの塔(現在入場不可)の入口に貼られていたキャラ。

「ふしぎちゃん」という名前で、有名画家である中島潔によるデザインです。ドアのサビやテープの感じが廃墟感を醸し出しています。


こちらは鶴見緑地の最寄り駅である、地下鉄(大阪メトロ)鶴見緑地駅の壁にあったタイルです。


花ずきんちゃんがデザインされており、綺麗です。大阪の地下鉄駅は近年は割と綺麗に管理されるようになっており、いのちの塔などとの差異を感じます。府市の政策の力点がどこに置かれているのか、このあたりからも考えることができるように思います。



ということで、鶴見緑地と国際庭園の覚書でした。真冬に訪れたので写真が地味でしたが、良い季節に訪れるともう少し綺麗な風景が撮れたのかも。過去に訪れたバラ園は綺麗でしたので、バラの季節に訪れてみるのが良いのかもしれませんね。