低用量ピル・経口避妊薬と便秘:ピルによる便秘の予防と治し方
「便秘の解消法:女性の便秘解消対策、便秘・慢性便秘の予防と治し方」 低用量ピル・経口避妊薬が認可されて13年。今では、多くの女性が低用量ピル、経口避妊薬を服用しています。でも、低用量ピル・経口避妊薬を常用するとひどい便秘になりませんか? 多くの女性が、低用量ピルの服用に伴う便秘に悩まされています。吐き気、嘔吐、頭痛やめまいとともに、便秘は低用量ピルの代表的な副作用です。今回は、低用量ピル・経口避妊薬と便秘:ピルによる便秘の予防と治し方についてお話します。
経口避妊薬のピルは、1960年代、欧米にて開発されましたが、有効成分の用量が多かったため副作用に問題がありました。その後、ピルの低用量化がすすめられ、1985年以降は欧米において、低用量ピルが経口避妊薬として主流となりました。日本においては、その14年後の1999年に、当時の厚生省が経口避妊薬としての低用量ピルを認可し、現在に至っています。
現在、約50万人の日本人女性が低用量ピルを服用しており、女性全体の約14%が低用量ピルの服用者またはその経験者であるといわれています。海外において、低用量ピルの服用者が最も多いのは中国やインドなどのアジア地域の女性で約3,000万人、次いで欧州の女性2,400万人、南米の女性1,000万人、アフリカの女性780万人、北米の女性630万人、などとなっています。欧州では、ドイツやフランスを中心に低用量ピルを用いた避妊法が主流となっています。中国では、計画生育政策(一人っ子政策)を背景として避妊が拡大していますが、IUD(子宮内避妊器具の挿入)や女性不妊手術による避妊法が主流となっています。しかし、経済成長とともに、中国沿岸部や都市部の富裕層を中心に、低用量ピルを用いた避妊法が急増してきました。日本では、コンドームを用いた避妊法が主流となっていますが、近年、低用量ピルを用いる女性も増加しています。
低用量ピルは、医師の処方箋が必要な医療用医薬品で、薬局やドラッグストアでは購入することができません。日本で許可されている低用量ピルの適応症は、全ての医薬品製品で「避妊」となっています。しかし、子宮内膜症や月経のトラブル(生理痛、多い月経出血、不安定な生理周期、生理前のイライラ、PMS)にも、低用量ピルが適応外使用として多用されています。その他、子宮体がん、卵巣がん、乳腺良性腫瘍や、肌荒れやニキビ対策にも低用量ピルが用いられることがあります。低用量ピルの使い方として、海外ではもっぱら避妊を目的としたものとなっていますが、日本においては、このような避妊以外の適応外使用の頻度が高くなっているのが特徴となっています。
低用量ピルには、トリキュラー、マーペロン、オーソM、シンフェーズなどとよばれる商品名の医薬品があります。これらの低用量ピルは、卵胞ホルモン剤の一種であるエストロゲン(エチニルエストラジオール)と黄体ホルモン剤の一種であるプロゲステロン類似ホルモン(ノルエチステロン、デソゲストレル、レボノルゲストレル)の2つの有効成分が配合されています。エチニルエストラジオールは脳に作用し、卵胞刺激ホルモンの分泌を抑制します。また、プロゲステロン類似ホルモンも脳に作用し、黄体形成ホルモンの分泌を抑制します。低用量ピルは、これら卵胞刺激ホルモンや黄体形成ホルモンの分泌を抑制することによって、排卵を阻害することになります。これによって、受精することが不可能となり避妊につながることになるのです。
低用量ピルの使用にあたっては、さまざまな使用制限が設けられていますので、全ての女性が服用できるお薬ではございません。以下の女性は、低用量ピルを内服してはいけないことになっています。①エストロゲン依存性悪性腫瘍(乳がん、子宮内膜がん)、子宮頸がん及びその疑いのある方(腫瘍が悪化する)、②診断の確定していない異常性器出血のある方(性器がんの疑いがあるため)、③血栓性静脈炎、肺梗塞症、脳血管障害、冠動脈疾患を有する方(低用量ピルには血液を凝固させる作用があるため、これらの病気を悪化させる)、④35歳以上で1日15本以上の喫煙者(心筋梗塞等の心血管障害が起こりやすくなる)、⑤前兆を伴う片頭痛の方(脳卒中などの脳血管障害が発生しやすくなるため)、⑥肺高血圧や心臓弁膜症の方(血栓症が起こりやすくなる)、⑦糖尿病性腎症または糖尿病性網膜症の方(血栓症の危険)、⑧血栓性素因のある女性(血栓症の発現と悪化)、⑨手術前4週以内、術後2週以内、産後4週以内の方(血液凝固能が高まり、血栓症が発現する)、⑩肝障害や肝がんの方(症状の悪化)、⑪脂質代謝異常や高血圧の方(血栓症が発現するため)、⑫妊婦、妊娠している可能性のある女性、授乳婦、などです。このように、低用量ピルの使用に際しては、さまざまな適用制限がありますので、注意が必要となります。
低用量ピルを服用しますと排卵が止まるために、更年期障害に似た副作用が現れます。吐き気、嘔吐、乳房痛、頭痛、不正出血、倦怠感、腹痛等が代表的な副作用ですが、頑固な便秘もしばしば発現します。
低用量ピルは女性ホルモン製剤です。低用量ピルを服用することによって、体内のホルモンバランスが崩れ、それによって便秘が引き起こされます。問題となるのは低用量ピルに含まれている黄体ホルモンです。低用量ピルを服用しない女性でも、生理の前や妊娠初期には便秘になりやすいものですが、この原因も黄体ホルモンが関与しています。黄体ホルモンが、体の水分や塩分を溜め込むように指示を出しますと、大腸の腸管からの水分吸収量が高まって、その結果、便が硬くなり便秘が引き起こされます。また、女性ホルモンは、腸の蠕動運動を抑制しますので、これによっても便秘が引き起こされます。このように、低用量ピルで引き起こされる便秘は、低用量ピルに含まれる女性ホルモンの影響によるものなのです。
低用量ピル・経口避妊薬によって引き起こされる便秘の解消に、便秘薬や下剤を用いることは不適当となります。低用量ピルは、飲み忘れのないよう連続して長期に服用するお薬です。これは、低用量ピルを飲み忘れますと、避妊に失敗してしまい、望まない妊娠が生じてしまうためです。便秘薬や下剤は、反復使用しますとその効果が消えてしまうという欠点があります。ですので、低用量ピルと便秘薬あるいは下剤との、薬の飲み合わせは不適当ということになります。
ニンニク、ゴボウ、アスパラなどにはイヌリンとよばれる水溶性の食物繊維が、微量ですが含まれています。イヌリン食物繊維は食品成分となりますが、大腸内のビフィズス菌や乳酸菌などの健康に有益な善玉菌を増やす作用があります。また、増えた善玉菌には、便を軟らかくする効果と腸を刺激して蠕動運動を高める作用があり、これによって、排便が促進され、便秘が解消されます。イヌリン食物繊維は、生理前の便秘や妊娠初期などの女性ホルモン変動によって引き起こされる便秘の解消にもよく用いられています。また、食品成分ですので、繰り返しの摂取による便秘解消効果の減弱化という問題もありませんので、低用量ピルによって生じる便秘についても、イヌリン食物繊維は適しているということになります。今では、スティムフローラのように、不純物を含まない極めて高純度のイヌリン食物繊維が、健康補助食品として市販されています。このような健康補助食品を活用することも、ピルによって引き起こされる便秘の予防や改善に有用です。
避妊は、基本的には性病予防の観点からコンドームの使用となります。しかし、コンドームの使用においても、望まない妊娠が生じる場合があります。低用量ピルの避妊に対する有効率(成功率)は非常に高いので、低用量ピルを用いた避妊法も、適宜、望まない妊娠を避けるためにも、適切に取り入れていく必要があるものと思われます。低用量ピルと便秘薬とのお薬の飲み合わせは不適当です。低用量ピルによって引き起こされる便秘には、低用量ピルとの飲み合わせに問題のない、食品成分であるイヌリン食物繊維が適切な便秘解消の手段となります。
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