★実現可能な国の方向性を示す鮮烈なメッセージ要追加は前記事指摘の通り
1.ムダ遣い
2.子育て・教育
3.年金・医療
4.地域主権
5.雇用・経済
6.消費者・人権
7.外交
前回は、4.地域主権について言及したが、今回は5.雇用・経済に言及する。
参照文献(マニフェスト)
http://www.dpj.or.jp/special/manifesto2009/pdf/manifesto_2009.pdf
5.雇用・経済
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
●中小企業の法人税率を18%から11%に引き下げ、融資に対する
個人保証を見直します。
●不当な値引きや押しつけ販売などを禁止する「中小企業いじめ防止法」
を制定します。
●職業訓練期間中に、月額最大10万円の手当を支給する「求職者支援制度」
を創設します。
●常用雇用を拡大し、製造現場への派遣を原則禁止します。
●中小企業を支援し、時給1000円(全国平均)の最低賃金を目指します。
●同じ職場で同じ仕事をしている人の待遇を均等にして、仕事と生活の
調和を進めます。
●2020年までに温暖化ガスを25%削減90年比)するため、排出量取引市場を
創設し、地球温暖化対策税の導入を検討します。
●太陽光パネル、環境対応車、省エネ家電などの購入を助成し、温暖化対策と
新産業育成を進めます。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ん...どれを見ても根拠も薄く、効果もいつを目標にどれだけ見積もっているのかさっぱりわからない目標ばかりだ。
マニフェスト中項目である雇用、経済を語る前に、これだけは言っておかなければならないという点を2点先に言及するものとする。
第一点は、マニフェスト中項目の中から先に下記の項目を掲げ、言及する。
第二点は、根本的な底上げを考慮した最低限、少額の予算で費用対効果ある景気浮揚策を提案する。
次に第一点の中項目以外の民主党マニフェストの5.雇用・経済の中項目について言及する。
【第一点:今後の日本経済の方向性と大前提】
______________________________
●2020年までに温暖化ガスを25%削減90年比)するため、排出量取引市場を創設し、地球温暖化対策税の導入を検討します。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
民主政権のマニフェストにおける公約である2050年までに温室効果ガス1990年比25%削減を国家戦略の最上位に置き、その上で日本国経済を考える必要がある。
なぜなら、世界における日本の地位、現代の社会レベル、生活レベルを考えるには、日本人が、人類が存続していなくては、何の意味もないからだ。
日本は温室効果ガス(京都議定書で示されたのは5種)の中でもCO2しか言及していないが、温室効果ガスだけでも他に4種類あり、更に気候変動の枠組みに関するCOP(締約国会議)の第15回ということでCOP15が開かれているが、世界の50%以上を占める中国とアメリカの温室効果ガス削減が世界全体の温室効果ガス排出を大幅削減に寄与する事は間違いないが、ここにインドも含まれ、3カ国ともに削減に消極的というより抵抗を示している。
アメリカは、従来のエネルギー産業が政治に多大な影響力を持っている・持ってきた、中国・インドは、米国や日本はバンバン温室効果ガス吐きまくって経済成長してウハウハしてきたくせに、新興国である自分たちの国に強制するな!という思いがある。
以前からこの状況は変わらないが、日本が温室効果ガス1990年比25%削減目標を国連や各種世界会議で連呼している事にも起因してか、欧州も30~40%目標を、パフォーマンスでしかないものの中国・インドも削減目標に見せかけた90年比ではなくGDP比という曖昧な数値を発表した。
中国・インドが今のまま発展を続ければ、逆にCO2が倍増というケースも想定される基準であり、これでは全く意味がない。
他方、京都議定書で調印しながら後に脱退したアメリカは、数字のマジックを利用し、実質、京都議定書で示した目標を下回る90年比2~3%削減という数値を発表した。
日本の目標も実は注釈が付記されており、世界が積極的に削減する場合に2050年までに温室効果ガス1990年比25%削減を努力するというものだ。
つまり、今の世界の経過の一時点である今を見れば、日本も努力しないということを意味する。
環境先進国の間では、排出量取引などのビジネス併用の対策も考えられており、民主党マニフェストにも盛り込まれているが、排出量取引は、中国インドの削減目標と似て根本解決にはならない上、場合によっては、地球資源を破壊して経済成長に寄与するかのような仕組みだ。
・CO2排出量表示を商品に義務付け!?
戦後64年というわずかな時間軸でありながら大量にエネルギーを消費することによって前代未聞の経済発展を遂げた世界の先進国と一部新興国にとって、まだ既存の天然エネルギーに依存している為、温室効果ガス削減は、経済的打撃が大きくなる可能性が高い為、特にアメリカ・中国・インドが抵抗しているのである。
・ホントに必要?大量のモノやエネルギー
しかし、冷静に考えれば、冒頭述べたように人類が存続してこその経済であり、明日地球かもしくは人類が滅びるなら経済なんていらない。
この地球の温暖化問題含む気候変動や多様な生命体の絶滅が続発する自体は、地球46億年の想像を絶する、気の遠くなるような歴史ではなく、第二次大戦後のたった64年という戦争経験者すら今現代生きている時間軸の中で起きたことだ。
・衝撃の事実。。大昔って実は最近!?
もちろん、戦争も地球破壊であるし、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故なども地球破壊であるため、歴史的に人は争うものという話はあるものの戦争あり気の世界の風潮も即刻見直すべきだが、それを語らずとも100年、200年、1000年先を、孫子が生きるはずの時代を見れば地球環境悪化、人類存続の危機といえる。
しかも、この64年間でこの問題の原因になったのは、世界人口63億人の内の一部の先進国、欧州全体人口約5.5億人、アメリカ約3.8億人、日本約1.3億人の10.6億人程度が64年の内、大半の年月に渡り引き起こしたことであり、この人口は、インドの人口(10億人)と等しく、中国13億人より少ない。
しかも、欧州人口でも東ヨーロッパはほとんどが社会主義国であったため、仮に3億人が西側だったとすれば、たった8.1億人で、ほんの64年間という期間で、人間には知り尽くせない地球、自然のメカニズムである自然の摂理、詳細な食物連鎖、生態系を一気に壊し危機にさらしたことになる。
この現実を直視しなければ、これを反省した上で経済活動を考え、行わなければ、人類が存続、ひいては多様な生命体が存続し、共存しつつ、地球のメカニズムを一切破壊しないという視点がなければ、人類は目先の利益に目の眩んだ後先省みない拝金主義者であり、家庭を破たんに導くギャンブラーともいえる。
多様な生命体の中でも叡智を与えられ、自然の摂理の一部として生を与えられた人類が進むべき方向は、多様な生命体を道連れにする事でも自分で自分の首を絞める自業自得になることでも、孫子の時代を無視して目の前にいる孫子を愛でる偽善者として生きる為でもないはずだ。
今年末には中国に追い越されるだろうが、一時でも経済大国、先進国といわれた日本は、そのプライドからしても、倫理観、道徳観を重んじてきた国民性としても、先頭に立って、言葉だけでなく、世界に対して実行を伴う発言をするべきだろう。
来年度予算組みにおける視点にしても同様の事がいえる。
地球に負担となる、人類の存続に弊害となる無理な景気浮揚をしないことだ、前自民党政権が予算組みした今年度(2009年度・平成21年度)は、リーマンショックと呼ばれる世界同時不況下とはいえ、戦後1年後(63年前)以来の税収を上回る借金をして合算で国政を執り行おうとしている。
更に来年度(2010年度・平成22年度)も尚、同じ事をしようとしている民主党政権には憤りしか生まれない。
こうしてマニフェスト見直し提言をしている間にも2次補正予算で総額8兆円、実質2兆円の緊急追加経済対策が決定され来年早々の予算案成立を目指しているようだが、これも相まって赤字国債発行額は、今年度53.5兆まで膨らみ、ここ数日前の52兆円見込みを1.5兆円も積み増している。
税収も38兆円割れ37兆円台かと思われたものが36兆円台になりそうだ。
税収外収入が10兆円あるにしてもこの税収見込みで赤字国債発行額44兆円を目安にする事は時代錯誤も甚だしい。
亀井氏に至っては財務省主導が許せないという感情論からか、無謀な持論か国債発行額44兆円以下を目指す政権において、まだまだもっともっと増発すべきだなどとたわけたことをのたまわっている。
しかし、63年前は、戦後の復興期であり、焼け野原を再生するという状況であり、世界各国も次の戦争はないものと信じて再生に取り組んでいた時世であって、その後日本でも高度成長期時代に入るなど未来は明るい、ゼロからのスタートという状況であった。
だが、今は違う。
どれだけ無神経で、どれだけ感覚が錯誤しているのか、どれだけ金銭感覚がマヒしているのか。
今は、政治的政策的には、こうした状況もあり得るというような状況ではない。
●1.ムダ遣い●民主党政権よ【マニフェストを根本から見直すべし】から3日しか経過していないが、その間2次補正案等含め、今年度の建設国債、赤字国債発行額は、1.5兆円も増え、53兆5000億円にまで膨らんだ。
その一方で税収見込みも38兆円未満、37兆円台と見込み修正したものの、この3日間で36兆円台という数字まで見かけるようになった。
そんな状況下において、来年度予算についても当初のそれすら許されない赤字国債発行額44兆円以内との目標も、44兆円超もやむなしという閣僚発言も出始めている。
まして、どこに向かおうとしているのか旗印も示せないまま、返すめども立たない借金(現時点870兆、全体としては1000兆円以上)を更に積み増すだけとは言語道断。
民主党政権よ、目を覚ませ!
与野党含む政治家・官僚よ!目を覚ませ!
国民よ!目を覚ませ!
こういう事からしてハッキリ言って以下の雇用・経済対策は現状を考えれば重要事項であるものでさえ、取るに足らない、ちっぽけな次元に見えてしまうほど、視野が狭く、小手先論であり、机上の計算にしか見えないし、そもそも、民主党政権マニフェストは、他政策と比べても経済政策面がかなりおろそかになっている感は否めない。
尚、●4.地域主権●民主党政権よ【マニフェストを根本から見直すべし】でも言及しているが、日本の国策からも、地域の在り方からも、日本の観光政策面からも、近代化=経済発展という思考はやめるべきであり、人心の乱れを回復させる観点からも鳩山首相が以前主張していた行き過ぎた市場原理主義、競争原理の抜本的な見直しを図らねばならないことも忘れてはならない。
地球が壊れずとも、人類が滅亡せずとも、人心の乱れは諸悪の根源になり、理解力等の欠如から教育の低下もはらみ、想像力低下も著しく、経済の足を引っ張ることにも直結するのだから。
更に、農業・漁業・畜産業・酪農業等々自然に左右される分野を経済の渦に巻き込んではならない。
農業起業を扇動してはならない。
雇用の受け皿などと妄想を語ってはならない。
前回言及したように林業においては、一時的な雇用受け皿としては見込む事が可能だが、比較的短期間で作業が不要となるので継続雇用は無理だ。
【第二点:根本的な底上げを最低限、少額の予算で達成するための費用対効果ある景気浮揚策】
日本の企業の95%以上は、中小・零細企業である。
他方、売上、利益、納税額ともに、総額比では、残りの5%未満と思われる中堅、大企業が占める事、前自民党政権は経団連や経済同友会を重視した為、国の政策は、そのほとんどが中堅・大企業に注がれたと言っても過言ではないと考える。
しかし、企業数の95%を占める中小、零細企業群は、今のご時世特に無視できないものだ。
政府も政治家も官僚ももしかすると中小企業対策は十二分に行っているというかもしれないが、明らかに手を抜いているか、節穴である。
その理由の第一点は、政府が言う中小企業の規模(売上・経常利益・営業利益・従業員数...etc.)含め、限りなく中堅企業に近い企業しか視野に入っていないように思われる。
そうだとすると、その原因は、数にして5%未満の大企業、中堅企業の法人税が税収として大きく、そこにパワーや救済策を注ぐことで大多数を占める小規模中小・零細企業にパワーを注ぐよりハイリターンだと考えているからだろう。
しかし、それは大きな錯覚である場合も多い。
規模の経済や市場原理、競争原理からいけば、あながち全く以て間違いとは言わないが、政府の視点や姿勢が猪突猛進である為に、先読みをする事を怠っていると思われ、グローバル経済に参加して以降の対策が後手後手に見える。
特に大企業・中堅企業がグローバル経済の中にあって全て規模や利益に応じて正しく期待通りに納税しているかどうかの点がまず挙げられる。
更にそれに便乗するかのように中小・零細、個人の節税対策が度を越して脱税まがい、または脱税となっているケースとグローバル経済への参加によって法令・法規が複雑怪奇となり、誤解が生じることによる納税不足もあるやに思われる。
しかし、大手・中堅もそうだが、特に中小・零細、個人をこの不況下に国税局が重箱の隅をつつくほどに摘発し尽くすのは待った方がよく時期尚早だろう。
次に挙げられるのが、前述の数にして95%以上を占める中小企業・零細企業の景気浮揚策であり、これが今最も重要かつ景気浮揚に効果的なポイントと考える。
市場原理、競争原理が行き過ぎている感は否めない為、是正は当然必要なのだが、好景気・不景気に関わらず、資金力含めた体力のない中小・零細は、大手・中堅に市場を食われる一方であり、常に厳しいのだ。
これまでの日本社会では、下請け、孫請け、ひ孫請けなどの川上、川下的発想でこうした中小・零細企業を川下で仕事が生まれるのだから、そこで存続しなさい的な構造となっていた感は否めない。
そこで雇用・経済の中項目としてマニフェストにも対策を掲げているように中小・零細イジメが横行する構造となっている。
______________________________
●不当な値引きや押しつけ販売などを禁止する「中小企業いじめ防止法」
を制定します。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「中小企業いじめ防止法」.....名称からして幼稚かつ稚拙に見える感は否めないが。。。
金融機関による貸し渋り、貸しはがしの事ではなく、流通におけるメーカーや問屋、小売りの力関係によって実質強制され営利を無視せざるを得ない中小・零細企業救済策となる法律制定という意味のようだ。
確かに悪質なイジメであるし、強者の論理で弱者に有無を言わせず強制するわけであるから、理由はどうあれ、倫理的、人道的には許されない行為である。
・やりがいを持てば好きな仕事なら長時間労働も苦にならないなんて
・「ごくせん」「ルーキーズ」「ハケンの品格」が人気の理由
・「正論」「理路整然」「筋が通った話」は「理想」「偽善」?!
また、これにより破産、倒産を余儀なくされるケースも想像に難しくなく、経済の仕組み上当たり前という冷めた見方もあろうが、この現状は、例えば、そうした流通経路から脱退しても他にも選択し得る仕事がある状況をつくりだす等々、根本的に改善する必要があることは確かだ。
金融機関による貸し渋り、貸しはがしについての話が一切ないが、この件については、郵政・金融担当大臣である国民新党の亀井氏も従前は頻繁に訴えていたが、民主党政権としては、金融機関の財務体質強化上、市場原理上、競争原理上、景気回復しない限り、金融機関のこうした行動は致し方なしという判断なのか。。。
しかし、これをそうした根拠で片付けてしまうのであれば、現代起きている中小・零細企業の苦境は致し方なしということになってしまう。
片手落ちというか、骨抜きというか、本気で中小・零細企業を救済しようという気概が見受けられない。
もっと真剣に取り組むべきだ。
イジメ続けられ下請けに徹するしかないかに見えた中小・零細企業も決して手をこまねいているだけというわけではなく、あらゆる業界、業態で自ら、周辺の中小・零細企業や業界と一丸となって独自ブランドをつくり、川上から川下までを一手に行う第二のユニクロを目指しているともいえる動きも活発になってきている。
まいど2号を造り出し、通信衛星に搭載された大阪町工場の取り組みは記憶に新しいところであるが、染色や織物の下請け企業が下請け脱出を目指していたり、大阪町工場に触発された東京大田区町工場の取り組みも始まったようだ。
まず、こうした中小・零細企業企業群には、積極支援、積極投資していくべきである。
更に現在ネット通販市場が5兆円前後の市場規模となり、独り勝ちしているなどと言われているが、これは、
・Amazon(アマゾン)、楽天、Yahoo!ショッピング
・楽天オークション・Yahoo!オークション
・リアルの実店舗(全国区の有名店)で買っていた人が利便性からネットで買うようになった層
・過疎地、都市近郊に居住する人々が現実には疎遠な店、商品やサービスを利用する層
・全国区となった一部の小規模店、新興店等を利用する層
が、大勢であり、新たに市場が形成されているという性質は極めて限定的。
中小・零細企業、個人を含めたネット通販が成功しているということではなく、むしろ、逆に現実世界以上に集約されてしまっている感さえあるのが実情だ。
他方で小売りに目を移すと
高額品を扱うデパート・百貨店はこの不況もあってリアル・ネットともに軒並み長きにわたって低迷している。
スーパーマーケットは、リアルとネットを二分する形にはなっているが、ネットによって利益が激増しているわけでもなく、ヨーカドーやジャスコなど限られたところのみがなんとか持ちこたえている程度。
コンビニは、一時期タスポ特需(たばこ自販機で購入時必須となったカードが普及せず、自販機ではなくコンビニ店頭でたばこを買う人が増えた)で売上をのばしていたものの、一部下からの突き上げで弁当の期限切れ直前の値引き販売はあるものの基本定価販売という業態であるコンビニ離れも進んでいる上、たばこ税増税によってタスポ効果も薄れると思われる。
更にスーパーやコンビニでは定価とはいえナショナルブランドに比べれば安価なプライベートブランド投入しており、販売も好調な一方、薄利多売状態となっており、デフレである今、売上・利益ともに厳しい状況となっている。
しかし、商店街などの小規模小売店に至っては、それ以前に大量仕入れを前提とした徹底的なコスト削減によるスーパーの戦略や規模の経済を追求し至る所にあるコンビニ、そしてスーパー、コンビニともに様々な買い物が一度で済むなどの利便性から、単独店舗となりがちな小規模小売店は、価格的にも立地的にも、品ぞろえ的にも完敗している状態で苦しい状況はここ20年は顕著であり、継続している。
要するに高額商品ばかりのデパートは別として、スーパー、コンビニ、個人商店はパイの奪い合いで弱者が敗退する構造を浮き彫りにしている。
市場原理上、競争原理上、当然と言えば当然なのであるが、弱者となっているのは日本の企業数に占める95%以上の個人商店・個人事業主・零細企業・中小企業だ。
数の論理でいけば、これらの弱者を救済する方が、助成するにしてもコストパフォーマンスが高いと考える事ができるのではないだろうか?
それを裏付けるかのように不況にある今は特に大手・中堅に助成したところで、この先、景気回復したとしてもこのままでは雇用なき景気回復となる可能性を多分に秘めており、現在でも大手・中堅は従業員カットや報酬カットといったリストラ策で従業員個人に配分されず、市場が厳しいからと先々を考え企業として利益を内部留保すべく躍起になっている。
これでは景気浮揚させようにも賞与・給与ともに下げ止まらない上に、いつ首を切られるかビクビクしてブラック企業であっても転職先の目途もつかず、職場内イジメや自主退職強要が横行しており、個人消費を喚起できない事は明白だ。
この点に着目すれば、こうした小規模店や商店街を活性化させることも必須の政策だ。
なぜ、大手中堅ではなく、個人運営、小規模小売店、商店街等、企業とは認識されにくい零細企業に力を入れるべきかといえば、それは、こうした小規模事業者は、一消費者としても重要であり、店の売上が上がり、なんらかの個人としての税制優遇等があれば、購買層として経済的に優良な消費者になり得るからだ。
しかも、商店主、個人事業主、零細製造業等々といえど社長(代表)や従業員には、家族がいる。
家族を核家族で考えれば、数人だが、親類縁者を含めれば当然、多くの家族がいるケースが多数だ。
個人消費という観点は、景気浮揚からも重要であるから、ここを無視するなんてもったいない。
そしてまた、こうした小規模店、個人事業主は全国に存在、点在している。
ここにパワーを注げば、地域活性化策ともなり、地域主権を実現しやすい基盤ともなる。
これは、零細・中小企業にも言えることだ。
好景気・不景気に関わらず、構造的に苦しい事業者をフォローする策を講じる為に必要となる予算は、それほどかからないはずだ。
例えば、環境省・経産省連携のエコポイントを個人商店・零細中小企業に加重配分し、量販店やスーパーに比べ2倍のエコポイントがもらえるようにする等も良策だろう。
商品・サービス価格面で大手に負ける点は改善できないが、個人商店・零細中小小売り店で物を買ってもいいかな?という選択肢の幅が広がり、弱者の販売増が期待できるに違いない。
そもそも、シャッター街と化す商店街や商店が後を絶たない中、どう見ても売れていなさそうな小規模小売店などでどうやって生計を立てているのだろうと思われる商店も少なくないが、学校と契約し、筆記具はじめ備品を納めている文具店や同じく学校と契約し、制服や体操着等を納めている洋品店、帽子店、同じく学校と契約し、給食事業を請け負っている零細企業、中には仲卸なのか小売店なのか区別が難しい小規模小売店向け優先の八百屋で余剰分は個人にも販売しているケース等々様々な意外ともいえる方法で見た目と異なる業績をあげている個人商店も多い。
また、個人事業主に近い少人数の法人が役所と組んで業務効率化、IT化を進めているところすらある。
これを全国展開すれば、個人に近い個人事業主、小規模法人、個人商店、零細企業が潤い、ほぼ直接的に消費喚起につながる事が期待できる。
更に公共事業とまでは言わずとも市区町村が門戸を開き、個人事業主や零細・中小企業が参入しやすい環境づくりをすれば、大手・中堅企業の利益留保が見えているのだから、個人消費喚起のためにも個人事業主や零細・中小企業に門戸を開く方が個人消費喚起につながる。
たとえば、役所や学校等での外装、内装等々を個人商店の大工や職人、零細企業に委託するという手もある。
もちろん、信用面はしっかりと調査チェックが必要だが、良くも悪くも結果が直接的に跳ね返ってくるため、完全分業化した中堅・大企業よりも真剣に仕事に取り組むものと思われる。
その上、都市一極集中を地方分散し、経済的な平準化を図る為にも効果的であり、地域主権の基盤ができ、消費力のある個人に近い事業主をサポートすれば、少なからず全国で消費が上向き景気浮揚策ともなる。
政治や行政は、「大手・中堅の方が、数が少なく対応が楽な上に効果がある」というような半ば常識とでもいうような感覚が蔓延しているのではないだろうか?
そこで公務員が労力を惜しんではならない、しかも、そんな無駄な常識に縛られていてはならない。
時代の変化に合わせ、臨機応変に対応することで、少額でもっともっと効果的な消費喚起策、個人消費を押し上げるに直結する策、ひいては景気浮揚策となるのだから。
大手・中堅はさておき、商店街、個人商店、零細企業、零細中小企業の救済策を講じよ。
助成、補助、公的事業提供等の全国展開によって同時に地域の活性化を図る事ができる事を認識せよ。
それによって中央集権から地方分権、都市一極集中から地方分散が可能となる道筋を認識せよ。
それによって民主党マニフェストにおける地域主権の地盤固めも同時に可能となる事を認識せよ。
更には個人消費喚起策として有効な手段であり、景気浮揚につながるものと認識せよ。
大手・中堅と中堅に限りなく近い中小に的を絞る方が合理的かつ効率的という認識を捨てよ。
個人事業主、個人商店、零細企業、零細に限りなく近い中小を後押すべく、政治も行政も手を抜かず突っ走れ。
余りに長くなりすぎたので、この雇用・経済については、Part2として記事を拡張する。
Part2では、民主党マニフェスト雇用・経済の残りの中項目(概要)に言及する。
1.ムダ遣い
2.子育て・教育
3.年金・医療
4.地域主権
5.雇用・経済
6.消費者・人権
7.外交
前回は、4.地域主権について言及したが、今回は5.雇用・経済に言及する。
参照文献(マニフェスト)
http://www.dpj.or.jp/special/manifesto2009/pdf/manifesto_2009.pdf
5.雇用・経済
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
●中小企業の法人税率を18%から11%に引き下げ、融資に対する
個人保証を見直します。
●不当な値引きや押しつけ販売などを禁止する「中小企業いじめ防止法」
を制定します。
●職業訓練期間中に、月額最大10万円の手当を支給する「求職者支援制度」
を創設します。
●常用雇用を拡大し、製造現場への派遣を原則禁止します。
●中小企業を支援し、時給1000円(全国平均)の最低賃金を目指します。
●同じ職場で同じ仕事をしている人の待遇を均等にして、仕事と生活の
調和を進めます。
●2020年までに温暖化ガスを25%削減90年比)するため、排出量取引市場を
創設し、地球温暖化対策税の導入を検討します。
●太陽光パネル、環境対応車、省エネ家電などの購入を助成し、温暖化対策と
新産業育成を進めます。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ん...どれを見ても根拠も薄く、効果もいつを目標にどれだけ見積もっているのかさっぱりわからない目標ばかりだ。
マニフェスト中項目である雇用、経済を語る前に、これだけは言っておかなければならないという点を2点先に言及するものとする。
第一点は、マニフェスト中項目の中から先に下記の項目を掲げ、言及する。
第二点は、根本的な底上げを考慮した最低限、少額の予算で費用対効果ある景気浮揚策を提案する。
次に第一点の中項目以外の民主党マニフェストの5.雇用・経済の中項目について言及する。
【第一点:今後の日本経済の方向性と大前提】
______________________________
●2020年までに温暖化ガスを25%削減90年比)するため、排出量取引市場を創設し、地球温暖化対策税の導入を検討します。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
民主政権のマニフェストにおける公約である2050年までに温室効果ガス1990年比25%削減を国家戦略の最上位に置き、その上で日本国経済を考える必要がある。
なぜなら、世界における日本の地位、現代の社会レベル、生活レベルを考えるには、日本人が、人類が存続していなくては、何の意味もないからだ。
日本は温室効果ガス(京都議定書で示されたのは5種)の中でもCO2しか言及していないが、温室効果ガスだけでも他に4種類あり、更に気候変動の枠組みに関するCOP(締約国会議)の第15回ということでCOP15が開かれているが、世界の50%以上を占める中国とアメリカの温室効果ガス削減が世界全体の温室効果ガス排出を大幅削減に寄与する事は間違いないが、ここにインドも含まれ、3カ国ともに削減に消極的というより抵抗を示している。
アメリカは、従来のエネルギー産業が政治に多大な影響力を持っている・持ってきた、中国・インドは、米国や日本はバンバン温室効果ガス吐きまくって経済成長してウハウハしてきたくせに、新興国である自分たちの国に強制するな!という思いがある。
以前からこの状況は変わらないが、日本が温室効果ガス1990年比25%削減目標を国連や各種世界会議で連呼している事にも起因してか、欧州も30~40%目標を、パフォーマンスでしかないものの中国・インドも削減目標に見せかけた90年比ではなくGDP比という曖昧な数値を発表した。
中国・インドが今のまま発展を続ければ、逆にCO2が倍増というケースも想定される基準であり、これでは全く意味がない。
他方、京都議定書で調印しながら後に脱退したアメリカは、数字のマジックを利用し、実質、京都議定書で示した目標を下回る90年比2~3%削減という数値を発表した。
日本の目標も実は注釈が付記されており、世界が積極的に削減する場合に2050年までに温室効果ガス1990年比25%削減を努力するというものだ。
つまり、今の世界の経過の一時点である今を見れば、日本も努力しないということを意味する。
環境先進国の間では、排出量取引などのビジネス併用の対策も考えられており、民主党マニフェストにも盛り込まれているが、排出量取引は、中国インドの削減目標と似て根本解決にはならない上、場合によっては、地球資源を破壊して経済成長に寄与するかのような仕組みだ。
・CO2排出量表示を商品に義務付け!?
戦後64年というわずかな時間軸でありながら大量にエネルギーを消費することによって前代未聞の経済発展を遂げた世界の先進国と一部新興国にとって、まだ既存の天然エネルギーに依存している為、温室効果ガス削減は、経済的打撃が大きくなる可能性が高い為、特にアメリカ・中国・インドが抵抗しているのである。
・ホントに必要?大量のモノやエネルギー
しかし、冷静に考えれば、冒頭述べたように人類が存続してこその経済であり、明日地球かもしくは人類が滅びるなら経済なんていらない。
この地球の温暖化問題含む気候変動や多様な生命体の絶滅が続発する自体は、地球46億年の想像を絶する、気の遠くなるような歴史ではなく、第二次大戦後のたった64年という戦争経験者すら今現代生きている時間軸の中で起きたことだ。
・衝撃の事実。。大昔って実は最近!?
もちろん、戦争も地球破壊であるし、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故なども地球破壊であるため、歴史的に人は争うものという話はあるものの戦争あり気の世界の風潮も即刻見直すべきだが、それを語らずとも100年、200年、1000年先を、孫子が生きるはずの時代を見れば地球環境悪化、人類存続の危機といえる。
しかも、この64年間でこの問題の原因になったのは、世界人口63億人の内の一部の先進国、欧州全体人口約5.5億人、アメリカ約3.8億人、日本約1.3億人の10.6億人程度が64年の内、大半の年月に渡り引き起こしたことであり、この人口は、インドの人口(10億人)と等しく、中国13億人より少ない。
しかも、欧州人口でも東ヨーロッパはほとんどが社会主義国であったため、仮に3億人が西側だったとすれば、たった8.1億人で、ほんの64年間という期間で、人間には知り尽くせない地球、自然のメカニズムである自然の摂理、詳細な食物連鎖、生態系を一気に壊し危機にさらしたことになる。
この現実を直視しなければ、これを反省した上で経済活動を考え、行わなければ、人類が存続、ひいては多様な生命体が存続し、共存しつつ、地球のメカニズムを一切破壊しないという視点がなければ、人類は目先の利益に目の眩んだ後先省みない拝金主義者であり、家庭を破たんに導くギャンブラーともいえる。
多様な生命体の中でも叡智を与えられ、自然の摂理の一部として生を与えられた人類が進むべき方向は、多様な生命体を道連れにする事でも自分で自分の首を絞める自業自得になることでも、孫子の時代を無視して目の前にいる孫子を愛でる偽善者として生きる為でもないはずだ。
今年末には中国に追い越されるだろうが、一時でも経済大国、先進国といわれた日本は、そのプライドからしても、倫理観、道徳観を重んじてきた国民性としても、先頭に立って、言葉だけでなく、世界に対して実行を伴う発言をするべきだろう。
来年度予算組みにおける視点にしても同様の事がいえる。
地球に負担となる、人類の存続に弊害となる無理な景気浮揚をしないことだ、前自民党政権が予算組みした今年度(2009年度・平成21年度)は、リーマンショックと呼ばれる世界同時不況下とはいえ、戦後1年後(63年前)以来の税収を上回る借金をして合算で国政を執り行おうとしている。
更に来年度(2010年度・平成22年度)も尚、同じ事をしようとしている民主党政権には憤りしか生まれない。
こうしてマニフェスト見直し提言をしている間にも2次補正予算で総額8兆円、実質2兆円の緊急追加経済対策が決定され来年早々の予算案成立を目指しているようだが、これも相まって赤字国債発行額は、今年度53.5兆まで膨らみ、ここ数日前の52兆円見込みを1.5兆円も積み増している。
税収も38兆円割れ37兆円台かと思われたものが36兆円台になりそうだ。
税収外収入が10兆円あるにしてもこの税収見込みで赤字国債発行額44兆円を目安にする事は時代錯誤も甚だしい。
亀井氏に至っては財務省主導が許せないという感情論からか、無謀な持論か国債発行額44兆円以下を目指す政権において、まだまだもっともっと増発すべきだなどとたわけたことをのたまわっている。
しかし、63年前は、戦後の復興期であり、焼け野原を再生するという状況であり、世界各国も次の戦争はないものと信じて再生に取り組んでいた時世であって、その後日本でも高度成長期時代に入るなど未来は明るい、ゼロからのスタートという状況であった。
だが、今は違う。
どれだけ無神経で、どれだけ感覚が錯誤しているのか、どれだけ金銭感覚がマヒしているのか。
今は、政治的政策的には、こうした状況もあり得るというような状況ではない。
●1.ムダ遣い●民主党政権よ【マニフェストを根本から見直すべし】から3日しか経過していないが、その間2次補正案等含め、今年度の建設国債、赤字国債発行額は、1.5兆円も増え、53兆5000億円にまで膨らんだ。
その一方で税収見込みも38兆円未満、37兆円台と見込み修正したものの、この3日間で36兆円台という数字まで見かけるようになった。
そんな状況下において、来年度予算についても当初のそれすら許されない赤字国債発行額44兆円以内との目標も、44兆円超もやむなしという閣僚発言も出始めている。
まして、どこに向かおうとしているのか旗印も示せないまま、返すめども立たない借金(現時点870兆、全体としては1000兆円以上)を更に積み増すだけとは言語道断。
民主党政権よ、目を覚ませ!
与野党含む政治家・官僚よ!目を覚ませ!
国民よ!目を覚ませ!
こういう事からしてハッキリ言って以下の雇用・経済対策は現状を考えれば重要事項であるものでさえ、取るに足らない、ちっぽけな次元に見えてしまうほど、視野が狭く、小手先論であり、机上の計算にしか見えないし、そもそも、民主党政権マニフェストは、他政策と比べても経済政策面がかなりおろそかになっている感は否めない。
尚、●4.地域主権●民主党政権よ【マニフェストを根本から見直すべし】でも言及しているが、日本の国策からも、地域の在り方からも、日本の観光政策面からも、近代化=経済発展という思考はやめるべきであり、人心の乱れを回復させる観点からも鳩山首相が以前主張していた行き過ぎた市場原理主義、競争原理の抜本的な見直しを図らねばならないことも忘れてはならない。
地球が壊れずとも、人類が滅亡せずとも、人心の乱れは諸悪の根源になり、理解力等の欠如から教育の低下もはらみ、想像力低下も著しく、経済の足を引っ張ることにも直結するのだから。
更に、農業・漁業・畜産業・酪農業等々自然に左右される分野を経済の渦に巻き込んではならない。
農業起業を扇動してはならない。
雇用の受け皿などと妄想を語ってはならない。
前回言及したように林業においては、一時的な雇用受け皿としては見込む事が可能だが、比較的短期間で作業が不要となるので継続雇用は無理だ。
【第二点:根本的な底上げを最低限、少額の予算で達成するための費用対効果ある景気浮揚策】
日本の企業の95%以上は、中小・零細企業である。
他方、売上、利益、納税額ともに、総額比では、残りの5%未満と思われる中堅、大企業が占める事、前自民党政権は経団連や経済同友会を重視した為、国の政策は、そのほとんどが中堅・大企業に注がれたと言っても過言ではないと考える。
しかし、企業数の95%を占める中小、零細企業群は、今のご時世特に無視できないものだ。
政府も政治家も官僚ももしかすると中小企業対策は十二分に行っているというかもしれないが、明らかに手を抜いているか、節穴である。
その理由の第一点は、政府が言う中小企業の規模(売上・経常利益・営業利益・従業員数...etc.)含め、限りなく中堅企業に近い企業しか視野に入っていないように思われる。
そうだとすると、その原因は、数にして5%未満の大企業、中堅企業の法人税が税収として大きく、そこにパワーや救済策を注ぐことで大多数を占める小規模中小・零細企業にパワーを注ぐよりハイリターンだと考えているからだろう。
しかし、それは大きな錯覚である場合も多い。
規模の経済や市場原理、競争原理からいけば、あながち全く以て間違いとは言わないが、政府の視点や姿勢が猪突猛進である為に、先読みをする事を怠っていると思われ、グローバル経済に参加して以降の対策が後手後手に見える。
特に大企業・中堅企業がグローバル経済の中にあって全て規模や利益に応じて正しく期待通りに納税しているかどうかの点がまず挙げられる。
更にそれに便乗するかのように中小・零細、個人の節税対策が度を越して脱税まがい、または脱税となっているケースとグローバル経済への参加によって法令・法規が複雑怪奇となり、誤解が生じることによる納税不足もあるやに思われる。
しかし、大手・中堅もそうだが、特に中小・零細、個人をこの不況下に国税局が重箱の隅をつつくほどに摘発し尽くすのは待った方がよく時期尚早だろう。
次に挙げられるのが、前述の数にして95%以上を占める中小企業・零細企業の景気浮揚策であり、これが今最も重要かつ景気浮揚に効果的なポイントと考える。
市場原理、競争原理が行き過ぎている感は否めない為、是正は当然必要なのだが、好景気・不景気に関わらず、資金力含めた体力のない中小・零細は、大手・中堅に市場を食われる一方であり、常に厳しいのだ。
これまでの日本社会では、下請け、孫請け、ひ孫請けなどの川上、川下的発想でこうした中小・零細企業を川下で仕事が生まれるのだから、そこで存続しなさい的な構造となっていた感は否めない。
そこで雇用・経済の中項目としてマニフェストにも対策を掲げているように中小・零細イジメが横行する構造となっている。
______________________________
●不当な値引きや押しつけ販売などを禁止する「中小企業いじめ防止法」
を制定します。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「中小企業いじめ防止法」.....名称からして幼稚かつ稚拙に見える感は否めないが。。。
金融機関による貸し渋り、貸しはがしの事ではなく、流通におけるメーカーや問屋、小売りの力関係によって実質強制され営利を無視せざるを得ない中小・零細企業救済策となる法律制定という意味のようだ。
確かに悪質なイジメであるし、強者の論理で弱者に有無を言わせず強制するわけであるから、理由はどうあれ、倫理的、人道的には許されない行為である。
・やりがいを持てば好きな仕事なら長時間労働も苦にならないなんて
・「ごくせん」「ルーキーズ」「ハケンの品格」が人気の理由
・「正論」「理路整然」「筋が通った話」は「理想」「偽善」?!
また、これにより破産、倒産を余儀なくされるケースも想像に難しくなく、経済の仕組み上当たり前という冷めた見方もあろうが、この現状は、例えば、そうした流通経路から脱退しても他にも選択し得る仕事がある状況をつくりだす等々、根本的に改善する必要があることは確かだ。
金融機関による貸し渋り、貸しはがしについての話が一切ないが、この件については、郵政・金融担当大臣である国民新党の亀井氏も従前は頻繁に訴えていたが、民主党政権としては、金融機関の財務体質強化上、市場原理上、競争原理上、景気回復しない限り、金融機関のこうした行動は致し方なしという判断なのか。。。
しかし、これをそうした根拠で片付けてしまうのであれば、現代起きている中小・零細企業の苦境は致し方なしということになってしまう。
片手落ちというか、骨抜きというか、本気で中小・零細企業を救済しようという気概が見受けられない。
もっと真剣に取り組むべきだ。
イジメ続けられ下請けに徹するしかないかに見えた中小・零細企業も決して手をこまねいているだけというわけではなく、あらゆる業界、業態で自ら、周辺の中小・零細企業や業界と一丸となって独自ブランドをつくり、川上から川下までを一手に行う第二のユニクロを目指しているともいえる動きも活発になってきている。
まいど2号を造り出し、通信衛星に搭載された大阪町工場の取り組みは記憶に新しいところであるが、染色や織物の下請け企業が下請け脱出を目指していたり、大阪町工場に触発された東京大田区町工場の取り組みも始まったようだ。
まず、こうした中小・零細企業企業群には、積極支援、積極投資していくべきである。
更に現在ネット通販市場が5兆円前後の市場規模となり、独り勝ちしているなどと言われているが、これは、
・Amazon(アマゾン)、楽天、Yahoo!ショッピング
・楽天オークション・Yahoo!オークション
・リアルの実店舗(全国区の有名店)で買っていた人が利便性からネットで買うようになった層
・過疎地、都市近郊に居住する人々が現実には疎遠な店、商品やサービスを利用する層
・全国区となった一部の小規模店、新興店等を利用する層
が、大勢であり、新たに市場が形成されているという性質は極めて限定的。
中小・零細企業、個人を含めたネット通販が成功しているということではなく、むしろ、逆に現実世界以上に集約されてしまっている感さえあるのが実情だ。
他方で小売りに目を移すと
高額品を扱うデパート・百貨店はこの不況もあってリアル・ネットともに軒並み長きにわたって低迷している。
スーパーマーケットは、リアルとネットを二分する形にはなっているが、ネットによって利益が激増しているわけでもなく、ヨーカドーやジャスコなど限られたところのみがなんとか持ちこたえている程度。
コンビニは、一時期タスポ特需(たばこ自販機で購入時必須となったカードが普及せず、自販機ではなくコンビニ店頭でたばこを買う人が増えた)で売上をのばしていたものの、一部下からの突き上げで弁当の期限切れ直前の値引き販売はあるものの基本定価販売という業態であるコンビニ離れも進んでいる上、たばこ税増税によってタスポ効果も薄れると思われる。
更にスーパーやコンビニでは定価とはいえナショナルブランドに比べれば安価なプライベートブランド投入しており、販売も好調な一方、薄利多売状態となっており、デフレである今、売上・利益ともに厳しい状況となっている。
しかし、商店街などの小規模小売店に至っては、それ以前に大量仕入れを前提とした徹底的なコスト削減によるスーパーの戦略や規模の経済を追求し至る所にあるコンビニ、そしてスーパー、コンビニともに様々な買い物が一度で済むなどの利便性から、単独店舗となりがちな小規模小売店は、価格的にも立地的にも、品ぞろえ的にも完敗している状態で苦しい状況はここ20年は顕著であり、継続している。
要するに高額商品ばかりのデパートは別として、スーパー、コンビニ、個人商店はパイの奪い合いで弱者が敗退する構造を浮き彫りにしている。
市場原理上、競争原理上、当然と言えば当然なのであるが、弱者となっているのは日本の企業数に占める95%以上の個人商店・個人事業主・零細企業・中小企業だ。
数の論理でいけば、これらの弱者を救済する方が、助成するにしてもコストパフォーマンスが高いと考える事ができるのではないだろうか?
それを裏付けるかのように不況にある今は特に大手・中堅に助成したところで、この先、景気回復したとしてもこのままでは雇用なき景気回復となる可能性を多分に秘めており、現在でも大手・中堅は従業員カットや報酬カットといったリストラ策で従業員個人に配分されず、市場が厳しいからと先々を考え企業として利益を内部留保すべく躍起になっている。
これでは景気浮揚させようにも賞与・給与ともに下げ止まらない上に、いつ首を切られるかビクビクしてブラック企業であっても転職先の目途もつかず、職場内イジメや自主退職強要が横行しており、個人消費を喚起できない事は明白だ。
この点に着目すれば、こうした小規模店や商店街を活性化させることも必須の政策だ。
なぜ、大手中堅ではなく、個人運営、小規模小売店、商店街等、企業とは認識されにくい零細企業に力を入れるべきかといえば、それは、こうした小規模事業者は、一消費者としても重要であり、店の売上が上がり、なんらかの個人としての税制優遇等があれば、購買層として経済的に優良な消費者になり得るからだ。
しかも、商店主、個人事業主、零細製造業等々といえど社長(代表)や従業員には、家族がいる。
家族を核家族で考えれば、数人だが、親類縁者を含めれば当然、多くの家族がいるケースが多数だ。
個人消費という観点は、景気浮揚からも重要であるから、ここを無視するなんてもったいない。
そしてまた、こうした小規模店、個人事業主は全国に存在、点在している。
ここにパワーを注げば、地域活性化策ともなり、地域主権を実現しやすい基盤ともなる。
これは、零細・中小企業にも言えることだ。
好景気・不景気に関わらず、構造的に苦しい事業者をフォローする策を講じる為に必要となる予算は、それほどかからないはずだ。
例えば、環境省・経産省連携のエコポイントを個人商店・零細中小企業に加重配分し、量販店やスーパーに比べ2倍のエコポイントがもらえるようにする等も良策だろう。
商品・サービス価格面で大手に負ける点は改善できないが、個人商店・零細中小小売り店で物を買ってもいいかな?という選択肢の幅が広がり、弱者の販売増が期待できるに違いない。
そもそも、シャッター街と化す商店街や商店が後を絶たない中、どう見ても売れていなさそうな小規模小売店などでどうやって生計を立てているのだろうと思われる商店も少なくないが、学校と契約し、筆記具はじめ備品を納めている文具店や同じく学校と契約し、制服や体操着等を納めている洋品店、帽子店、同じく学校と契約し、給食事業を請け負っている零細企業、中には仲卸なのか小売店なのか区別が難しい小規模小売店向け優先の八百屋で余剰分は個人にも販売しているケース等々様々な意外ともいえる方法で見た目と異なる業績をあげている個人商店も多い。
また、個人事業主に近い少人数の法人が役所と組んで業務効率化、IT化を進めているところすらある。
これを全国展開すれば、個人に近い個人事業主、小規模法人、個人商店、零細企業が潤い、ほぼ直接的に消費喚起につながる事が期待できる。
更に公共事業とまでは言わずとも市区町村が門戸を開き、個人事業主や零細・中小企業が参入しやすい環境づくりをすれば、大手・中堅企業の利益留保が見えているのだから、個人消費喚起のためにも個人事業主や零細・中小企業に門戸を開く方が個人消費喚起につながる。
たとえば、役所や学校等での外装、内装等々を個人商店の大工や職人、零細企業に委託するという手もある。
もちろん、信用面はしっかりと調査チェックが必要だが、良くも悪くも結果が直接的に跳ね返ってくるため、完全分業化した中堅・大企業よりも真剣に仕事に取り組むものと思われる。
その上、都市一極集中を地方分散し、経済的な平準化を図る為にも効果的であり、地域主権の基盤ができ、消費力のある個人に近い事業主をサポートすれば、少なからず全国で消費が上向き景気浮揚策ともなる。
政治や行政は、「大手・中堅の方が、数が少なく対応が楽な上に効果がある」というような半ば常識とでもいうような感覚が蔓延しているのではないだろうか?
そこで公務員が労力を惜しんではならない、しかも、そんな無駄な常識に縛られていてはならない。
時代の変化に合わせ、臨機応変に対応することで、少額でもっともっと効果的な消費喚起策、個人消費を押し上げるに直結する策、ひいては景気浮揚策となるのだから。
大手・中堅はさておき、商店街、個人商店、零細企業、零細中小企業の救済策を講じよ。
助成、補助、公的事業提供等の全国展開によって同時に地域の活性化を図る事ができる事を認識せよ。
それによって中央集権から地方分権、都市一極集中から地方分散が可能となる道筋を認識せよ。
それによって民主党マニフェストにおける地域主権の地盤固めも同時に可能となる事を認識せよ。
更には個人消費喚起策として有効な手段であり、景気浮揚につながるものと認識せよ。
大手・中堅と中堅に限りなく近い中小に的を絞る方が合理的かつ効率的という認識を捨てよ。
個人事業主、個人商店、零細企業、零細に限りなく近い中小を後押すべく、政治も行政も手を抜かず突っ走れ。
余りに長くなりすぎたので、この雇用・経済については、Part2として記事を拡張する。
Part2では、民主党マニフェスト雇用・経済の残りの中項目(概要)に言及する。