『 知っているようで 知らない ” 呼 吸 ” の知識 』その2

正しい呼吸で 運動能力や学習能力・ストレス耐性などを上げる『 呼 吸 の仕方 』

 

前回のブログの続きが 遅くなりまして

 

すみませんでした m(_ _)m

 

勉強したいことがあり

 

そちらに集中していました(汗

 

 

前回のブログで 二酸化炭素の

 

重要性について

 

書かせて頂きました

 

その続きになります

 

深呼吸や口呼吸は

 

必要な二酸化炭素も

 

排出されるため

 

これらの呼吸法は

 

心身に対して

 

ストレス耐性も弱くなり

 

疲れやすい身体になる可能性や

 

体力と集中力にも影響が

 

でやすいといわれております

 

そのため二酸化炭素を必要以上に

 

排出させないことが 重要であり

 

身体にとって二酸化炭素は

 

必要なものになります

 

しかし その身体に必要な

 

二酸化炭素なのですが

 

体内で二酸化炭素が

 

一定以上増えてしまうと

 

私たち人間にとっては

 

苦痛を感じてしまうものに

 

なってしまいます

 

この二酸化炭素は

 

体内で 増加すると

 

様々なセンサーが感知し

 

酸素不足として

 

息切れを感じ

 

息苦しくなります

 

これらの息苦しさは

 

前回のブログ記事にある

 

延髄にある二酸化炭素の

 

センサーなどが関わっており

 

これらのセンサーの

 

低酸素状態や二酸化炭素に対する

 

耐性が低いと 息苦しさを

 

感じやすくなるといわれています

 

この 息苦しさは 苦痛や

 

ストレスなどと関連しており

 

ストレス耐性が低い人

 

苦痛、ストレスを感じやすい人などに

 

共通してみられる傾向として

 

「 二酸化炭素に弱い 」

 

ということが いわれており

 

ストレスを感じる事で

 

呼吸が浅くなっていきます

 

そのような状態では

 

二酸化炭素が

 

増え続けるため

 

延髄にある二酸化炭素のセンサーが

 

過敏に反応してしまい

 

どんどん息苦しくなっていきます

 

そうすると二酸化炭素を

 

すぐに吐き出したくなったり

 

息を思いっきり

 

吸い込みたくなります

 

いわゆる一種の過呼吸状態です

 

過呼吸をよく起こす人

 

ため息をよくついてしまう人などは

 

この延髄の二酸化炭素に対する

 

耐性が低いため

 

延髄の二酸化炭素のセンサーが

 

過敏に反応してしまいやすい

 

状態になっている

 

ということになります

 

逆にストレスに強い人は

 

低酸素状態や二酸化炭素に対する

 

耐性が高く 二酸化炭素の濃度が

 

上昇しても平気な方が多い

 

といわれています

 

そのためストレスに弱い人と強い人の

 

息を止める長さを測ると

( 息を止めると酸素が入ってこなくなり

体内の二酸化炭素も排出されません。

そのまま息を止めていると、肺と血液の中で

二酸化炭素が増えて酸素が減るため

低酸素で二酸化炭素の増えた状態になります。)

 

共通してストレスに弱い人は

 

息を止められる時間が「短 く」

 

ストレスに強い人は

 

息を止められる時間が「長 い」

 

といった結果が 出ているそうです

 

また 強いプレッシャーの中

 

高いパフォーマンスを

 

発揮させないといけない

 

トップ アスリートの多くは

 

低酸素で二酸化炭素の増えた状態でも

 

パフォーマンスを発揮できるぐらい

 

二酸化炭素への耐性が高く

 

息を止められる時間が

 

普通の人より長いそうです

 

このように

 

二酸化炭素の耐性の高さは

 

延髄の二酸化炭素への

 

耐性によって決まります

 

ちょっとやそっとのことで

 

動揺せず 平常心でいられるために

 

または 運動能力・学習能力など

 

身体・脳のパフォーマンスを

 

十分に発揮させるためには

 

二酸化炭素への耐性を高めることが

 

重要になり そのための二酸化炭素への

 

耐性トレーニングが 必要になります

 

 

そこで 二酸化炭素への耐性を上げるための

 

トレーニングを行う前に

 

まずは 自身の今の二酸化炭素の耐性の

 

基準を把握しておくことが大事になります

 

その二酸化炭素の耐性を知るテストとして

 

BOLTスコア(体内酸素レベルテスト) 

 

というテストがあります

 

このBOLTスコアのテストは

 

息を止めてから最初に息をしたいと

 

感じるまでの時間を測るテストになります

 

しくみとしては

 

息を止めると

 

肺に酸素が入り込まず

 

二酸化炭素の割合が増えていき

 

酸素が少しずつ減っていきます

 

そうすると延髄の二酸化炭素センサーが

 

二酸化炭素の増加に反応して

 

呼吸を誘発します(換気反応)

 

この息を止めれている時間は

 

二酸化炭素の耐性で決まります

 

その二酸化炭素の耐性が

 

どのくらいなのかを

 

知るためのテストになります

 

息を止めれている時間が

 

10秒、20、30、40秒・・と

 

増えれば増えるほど呼吸量が減り

 

ごく少ない呼吸で過ごせることになります

 

これによって通常時の呼吸の量と

 

運動時の息切れの時間の目安が分かります

 

快適に息を止められる時間は何秒か

 

このテストで出た数値を

 

Body Oxygen Level Testの

 

頭文字を取って BOLT

 

ボルト スコアと呼びます

 

ボルトスコアが低いほど

 

通常時の呼吸の量が多い

 

二酸化炭素耐性が低い

 

ということが分かります

 

そして 呼吸量が多いほど運動時の

 

息切れが早くなりますし

 

ストレスに対する耐性が低い

 

ということになります

 

 

【 BOLTスコアの測定方法 】

 

まず BOLTスコアを測定する前に

 

10 分間くらい安静にして下さい。

 

その後 タイマーを手元に用意し

 

椅子に座るなどある程度

 

リラックスできる状態で行って下さい。

 

*食後など心拍数が上がってる状態では、正確な数値を測ることができませんので注意してください 。

 

【 手 順 】

 

1. 口を閉じ鼻から軽く息を吸い

  鼻から軽く息を吐きます。

 これを3回行います

 

2. 手順1の3回目の息を軽く吐いた瞬間に

  肺に空気が入らないように指で鼻をつまみ

  息を止めます。

 

3. タイマーを開始し、そのままの状態で

 「息をしたい」という最初の欲求を感じるまで、

   または、呼吸を促す最初の体のストレスを

   感じるまでの時間を計ります。

( つばを飲み込みたくなったり、気管が収縮するような感じになったりしたら、欲求が出たサイン。また、腹部や喉の呼吸筋などが勝手に収縮する場合もあります。)

 

4. 欲求を感じた時点でストップウォッチを

  止めて鼻から手を離し、鼻で呼吸を再開します。

 

5. 通常の呼吸に戻します。

 

【 注意点として 】

・静かに息を吐いてから息を止める。

・息を長く止めようと思って大きく

 吸わないようにしてください。

・テストは、息を止めてから最初に

 呼吸筋が反応するまでの時間になります。

・呼吸筋の反応がない場合は、

「息をしたい」という強い欲求が出た

 時点までの時間になります。

・あくまでもテストであり、呼吸法を

 改善するためのものではありません。

・呼吸を再開したときに大きく息を

 しなければならない状態は、息を止める時間が

 長すぎてしまっているためボルトスコアの計測に

 失敗しております。再度、落ち着いてから

 計測し直してください。

 

 

【 BOLTスコアの評価基準 】

 

10秒未満 息を止められた人

呼吸回数が非常に多く、呼吸がとても浅くなっている状態で、適切に酸素を体に供給できていない可能性が高いです。その為、ため息やあくびなどが多くなり、慢性的な疲労や息苦しさ、肩や首の凝り、冷え症や手足のしびれなどの症状や喘息などの健康面に問題が見られる場合があります。

 

10~20秒未満 息を止められた人
呼吸回数が多く、呼吸が浅くなっている状態。運動をしたり精神的なストレスがかかると息切れしやすく、二酸化炭素に対する耐性や気力、集中力なども低下しています。口呼吸、鼻詰まり、喘鳴、咳により呼吸が妨げられている可能性があります。

 

20~40秒未満 を止められた人
一応の合格ラインになります。通常の呼吸は静かで穏やかな状態。二酸化炭素の耐性もまずまずで、細胞呼吸もスムーズです。ただし、運動に大きな支障はないですが、呼吸過多の傾向も有り理想的な酸素の供給が出来ている状態とはまだ言えず、改善の余地があります。

 

40秒以上止められた人
理想的です。無理のない呼吸ができている状態。深い呼吸が身についており、二酸化炭素の耐性も高く、細胞や脳にも酸素を安定的に供給できています。

 

 

このようにボルトスコアの基準は

 

まず 20秒を超えられるかどうかが

 

健康の一つの判断基準になります

 

20秒よりも短ければ 

 

かなりストレスへの抵抗が

 

低いと考えられます

 

身体的にはきつい肩こりや慢性的な腰痛

 

鼻づまりなどがあったり

 

喘鳴、咳により呼吸が妨げられたり

 

睡眠障害、激しいいびき、うつ的な症状などを

 

抱えている人が多いといわれています

 

ですが ご安心ください!

 

二酸化炭素に対する耐性を高める

 

レーニングを行えば

 

ボルトスコアは何歳からでも

 

伸ばしていくことができます^^

 

 

『 二酸化炭素に対する耐性を高める

 レーニング方法 として』

 

【 呼吸の回復エクササイズ ① 】

 

歩きながら又は足踏みをしながら行います。

 

1)歩行又は足踏みを始めます。

 

2)鼻から息を軽く吐いて、軽く吸います。

 

3)次に軽く息を吐いて鼻をつまみ

   息を止めます。

   息を吐き切らない様に氣を付けて下さい。

 

4)そのまま息を止めながら歩きます。

   又は足踏みをします。

 

5)息を止めていられる限界の手前または

   中程度の息苦しさを感じたら鼻から手を離し

   必ず鼻から息を吸い、鼻からゆっくり

   息を吐きます。

 

6)また1の状態のまま2~5を繰り返していきます。

 

7)最初は、これを3回程度行い

   慣れてきたら回数を増やして下さい。

 

8)エクササイズを終了する時は

   必ず鼻呼吸でゆっくり吸ってゆっくり吐いてを

   繰り返して呼吸を整えてから終了して下さい。

(図を参照) 

 

【 呼吸の回復エクササイズ ② 】

 

BOLTスコアの評価基準が、20秒未満の方や

呼吸の回復エクササイズ①が辛い方は

こちらのエクササイズ ②を行い

慣れてきたらエクササイズ①を行って下さい。

 

1)必ず鼻呼吸で行って下さい。

   息を軽く四秒間かけて吸います。

 

2)息を軽く四秒間かけて吸ったあと

   鼻をつまみ息を四秒間止めます。

 

3)息を四秒間止め終わったら

   息を吐き切らない様に氣を付けて

   息を四秒間かけて吐いていきます。

 

4)息を四秒間かけて吐いたあと

   鼻をつまみ息を四秒間止めます。

 

5)また1に戻り4までを繰り返します。

   息を吸って→息を止める→

   息を吐いて→息を止める→

   息を吸って→息を止める・・・

   のサイクルを繰り返し行います。

   最初は1分間繰り返して行い

   慣れてきたら時間を少しづつ

   増やして行って下さい。

 

 

これらのエクササイズのように

 

息を止めることで

 

二酸化炭素の耐性を

 

高めると同時に

 

息を止めている間に

 

一酸化窒素を鼻腔に溜め

 

一酸化窒素を体内に

 

吸い込むことで

 

ストレス耐性をさらに

 

上げる事もできます

 

そうすることで

 

血圧の安定や血管の修復

 

動脈硬化の予防

 

自律神経やホルモンの

 

バランスの改善などの効果も

 

期待できますので

 

是非 行ってみて下さい

 

注)これらの効果はエクササイズを日々続けていくことで期待できる効果になります。

 

また 小さいお子さまや

 

呼吸が浅い、辛い方などの場合は

 

まず 図の様に肋骨と鼻先から眉間

 

後頭部を軽く撫でてあげるだけでも

 

呼吸が しやすくなりますので

 

試してみて下さい

(図を参照) 

 

あと鼻呼吸と口呼吸についてですが

 

口呼吸では

 

前回のブログで書かせて頂いたように

 

必要以上に二酸化炭素を排泄してしまい

 

血液中の二酸化炭素の濃度が

 

低下してしまいがちになります

 

また 幼少時に口呼吸を続けていると

 

顎や舌の発育に影響し

 

歯並びが悪くなりますし

 

外気を直接吸い込むので

 

喉・気道の炎症を起こしやすく

 

免疫系が不安定となる恐もあります

 

また 代謝の低下、疲れやすく取れにくい

 

といった症状や睡眠障害、不安症などを

 

招きやすくなるともいわれております

 

ですが 鼻呼吸の場合では

 

吸い込む空気に適当な湿度・温度を与え

 

空気中の微細なゴミや細菌などの

 

体内への侵入を防ぎ

 

気管や肺を保護してくれます

 

また 鼻の奥は脳の底部と接しており

 

鼻腔に空気が通ることで

 

脳の過熱を防ぐなどの

 

役割もしてくれています

 

このように鼻呼吸を行うことで

 

健康維持、病気のリスクの軽減など

 

様々な利点がありますので

 

鼻呼吸を心掛けて

 

頂ければと思います

 

 

そしてこの鼻呼吸を常に行うには

 

「無意識にでも口が閉じている」

 

ことが必要であり

 

その為には くちびる周囲の筋肉

 

口輪筋の筋力はももちろん

 

鼻腔の土台となっている上顎や

 

下顎についている筋肉である

 

舌の筋力も重要になります

 

鼻呼吸を常に行うようになるための

 

トレーニング方法としては

 

舌を使ったトレーニングが

 

いつでもどこでもできますし

 

鼻腔を広げたり脳の活性化

 

眼球運動の改善などの効果も

 

ありますので良いかと思います

 

また 美容、ほうれい線の改善にも

 

つながりますので下図を参照し

 

トレーニングを行ってみて下さい 

 

また 小さいお子さまの場合は

 

以前に書かせて頂いたブログの

 

探 索 反 射吸 啜 反 射

 

統合を促すブラッシングを

 

行ってみて下さい

 

子供の口の発達については

 

なめる、しゃぶる、かじる

 

これらの行為をきちんと

 

経験した子供たちは

 

鼻呼吸へと自然に育っていきます

 

また 呼吸や咀嚼・嚥下運動・発語運動

 

歯並びなどに特に影響してきますので

 

幼少時にたくさん経験させて上げて下さい^^

 

正しい呼吸をおこなうだけで

 

健康の維持、改善や運動、学習能力など

 

を上げることが出来ますので

 

是非、試してみて下さい。

 

皆様のお役に少しでも立てれば幸いです。

 

【お読み頂きまして ありがとうございました】

久しぶりの投稿になります

 

前回のブログでお伝えしていた

 

姿勢に関するブログの続きで

 

出力系を予定していたのですが

 

パソコンのトラブルがありまして

 

違う内容のブログになります

 

予告と違って申し訳ありませんが

 

今回は 生命を維持させるための

 

基本である機能「呼吸」について

 

知っているようで 知らない

 

大切な呼吸の知識についてになります

 

 

テレビやメディアなどを含め

 

一般的な呼吸の解説として

 

よく見かける内容は

 

鼻や口から吸いこんだ

 

空気中にある酸素は

 

気管や気管支を通って

 

肺の肺胞まで運ばれ

 

毛細血管から

 

血液中の赤血球

 

ヘモグロビンに

 

酸素が取り込まれます

 

その後 酸素は 血管を通って

 

全身の細胞に運ばれます

 

そして細胞の方では

 

酸素を使った代わりに

 

細胞で消費し

 

老廃物となった二酸化炭素を

 

血液中に放出し

 

その二酸化炭素を受け取った血液は 

 

肺胞に戻り肺胞で

 

二酸化炭素を取り出し

 

気管を通って体外に排出されます

 

という感じの解説や

 

呼吸には外呼吸と内呼吸というのがあり

 

「外呼吸」とは

 

口や鼻から入った空気は

 

気管を通って肺に入り

 

空気中の酸素を肺の肺胞で

 

取り入れて血液に送り込み

 

逆に血液中の

 

いらなくなった二酸化炭素を

 

肺胞で受け取り体外に

 

排出させるといった

 

肺でのガス交換のことをといいます

 

「内呼吸(細胞呼吸)」は

 

外呼吸で得られた酸素を

 

細胞で 受け取り

 

細胞は 取り入れた酸素を使って

 

栄養を燃焼させ

 

エネルギーを生み出します

 

その際に出た老廃物や

 

二酸化炭素を排出し

 

血液中に放出するといった

 

細胞レベルでの

 

ガス交換のことをといいます

 

など これらのような解説は

 

間違いでは ないのですが

 

上記だけの解説だと

 

呼吸という行為は

 

「酸素を吸って要らない二酸化炭素を出す行為」

 

といったイメージや

 

「二酸化炭素は老廃物」

 

といったイメージが つきやすく

 

二酸化炭素というのは

 

エネルギーを生み出す過程で

 

排出される燃えカスのような物、

 

体には 必要のないものであり

 

体には よくないもの、

 

だから たくさん酸素を吸って

 

いらない二酸化炭素を

 

たくさん吐き出そう

 

といったような

 

誤解されたイメージが

 

付いてしまいがちで

 

なにかと不要扱いされやすい

 

二酸化炭素ではありますが

 

実際は 人体にとって

 

とても重要な役割を持った

 

大切な物質になります

 

 

この二酸化炭素が

 

どのような重要な働き

 

役割を果たしているのか

 

また 呼吸の呼気(息を吐く)で

 

本当に二酸化炭素をたくさん

 

吐き出しているのか

 

などについて解説していきます

 

 

まずは 実際に呼吸の呼気で

 

二酸化炭素をたくさん

 

吐き出しているのか?

 

については

 

普段の呼吸で息を吸った時の

 

空気に含まれている成分と

 

吐いた時の息に含まれている

 

成分を観てみると

 

吸う時の空気の

 

成分の割合としては

 

窒素(約78%)酸素(約21%)

 

その他 (約1%)の内

 

二酸化炭素は(約0.04%)になります

 

窒素と酸素でほぼ 99% 構成されており

 

 二酸化炭素の割合は

 

わずか 0.04% になります

 

次に 吐く時の息の

 

成分の割合としては 

 

窒素(約78%)酸素(約16%)

 

二酸化炭素は(約4%)

 

*備考( 呼気中の二酸化炭素濃度(約4%)の大体の内訳としては、約3%がエネルギー代謝によって生産され、約0.5%が筋肉運動によって生産されます。その他の0.5%は、呼吸やその他の過程で生産されます。エネルギー代謝とは、体内の細胞が酸素を利用してエネルギーを産生する過程です。この過程で、二酸化炭素が発生します。筋肉運動では、筋肉細胞が酸素を利用してエネルギーを産生する過程でも、二酸化炭素が発生します。呼吸では、肺で空気中の酸素を取り込み、二酸化炭素を排出します。その他には、消化や排泄など、さまざまな過程で二酸化炭素が発生します。主な排出経路は呼吸になりますが、一部は 汗や尿などにより体外へ排出されます。)

 

その他(約2%)になります

(水蒸気、窒素酸化物、一酸化炭素など)

 

(図を参照) 

 

このように 実は

 

吐き出した二酸化炭素(約4%)より

 

入ってきた酸素(約21%)に対して

 

吐き出す酸素は(約16%)と

 

入ってきた酸素(約21%)のほとんどが 

 

そのまま排出されており

 

呼吸の呼気(息を吐く)で

 

二酸化炭素を吐き出す

 

イメージが 強い

 

二酸化炭素よりも

 

酸素の方が多く

 

吐き出されています

 

これは 血液中のヘモグロビンという

 

赤血球に含まれるタンパク質が

 

酸素と二酸化炭素を

 

運んでくれるのですが

 

そのヘモグロビンは

 

通常 肺の疾患などの病を

 

患っている方でもない限り

 

普通に呼吸をしていれば

 

96~99%は酸素と結合し

 

全身に酸素を運んでくれています

 

そのため 血液中の酸素の量は 

 

常にほぼ満タンな

 

状態で保てており

 

これは トップアスリートでも

 

運動不足の人でも

 

高齢者の方でも同じで

 

病なく健康な人であれば

 

既に完璧に近いレベルで

 

酸素を取り込めています

 

そのため血液中の酸素は

 

不足しているわけではなく

 

常に十分に行き届いている状態なので

 

空気をたくさん吸って

 

たくさん酸素を取り入れたとしても

 

それだけ多くの酸素を

 

体内に取り込むことが出来ないため

 

入ってきた酸素のほとんどが 

 

そのまま排出されてしまいます

 

実際 私たちが普通に

 

生活している程度の活動では

 

血液中の酸素が

 

不足することはほとんどなく

 

むしろ体内では酸素が

 

余っていることの方が

 

多いといわれています

 

また 仮に 吐く時の息の成分が

 

酸素より二酸化炭素の量の方が

 

多かったとすると

 

人工呼吸のような

 

自分の力で呼吸ができない

 

傷病者に対し

 

酸素を供給しようとしても

 

二酸化炭素を供給してしまう

 

という事になるので

 

人工呼吸の意味が

 

無くなってしまいます 

 

また たまに見かける

 

健康を目的とした呼吸法などで

 

深く吸って深く吐くといった感じの

 

呼吸の仕方の説明で

 

二酸化炭素を出し切らないと

 

体に必要な酸素が

 

たくさん入ってこない

 

といった感じの説明文を見かけますが

 

吐く息の成分は

 

二酸化炭素より酸素の方が多く

 

また 深くたくさん息を吸って

 

たくさんの酸素を得たとしても

 

体内に取り込める酸素量は

 

決まっていますので

 

このような呼吸の仕方の説明文は

 

誤りになりますし

 

ある程度の健康な方が

 

健康維持を目的として

 

たくさんの酸素を

 

取り込もうとする

 

行為や呼吸の仕方には

 

あまり意味がないといえます

 

本来 呼吸で大切なことは

 

その血液中の酸素が

 

細胞内にどれだけ

 

取り込まれているか になります

 

 

では 私たちは どのようにして

 

酸素を体に取り込んでいるのか

 

そして 二酸化炭素が 

 

体にとってどんな重要な働き

 

役割を果たしているのかを

 

解説していきます

 

 

まず 一般的に知られているように

 

呼吸は 吸いこんだ酸素を

 

気管、気管支、肺の肺胞まで送り

 

そこから血液中の赤血球

 

ヘモグロビンによって

 

*備考(ヘモグロビンとは、ヘモグロビンは赤血球の主成分で、鉄を含む「ヘム」とたんぱく質である「グロビン」が結合したもので、酸素と二酸化炭素を運ぶ役割を担っています。特にヘモグロビンは、酸素と結合する性質を持っており、ヘモグロビンが酸素と結合すると「酸素ヘモグロビン」となり、酸素ヘモグロビンから酸素が離れると「ヘモグロビン」になります。この ヘモグロビンは、酸素の多いところ(肺など)では、酸素と結びつきやすく、酸素が少ないところ(組織など)では、酸素を手放すといった性質を持っています。また、 体内の鉄分が不足するとヘモグロビンの量が減り、全身に運べる酸素の量も少なくなります。)

 

酸素は全身の各細胞へ運ばれ

 

細胞に供給されるのですが

 

この酸素を細胞に供給する際

 

赤血球のヘモグロビンは

 

血液中の二酸化炭素と引き換えに

 

酸素を手放すことで

 

細胞に酸素を供給します

 

これは 酸素を運ぶ

 

赤血球のヘモグロビンには

 

酸素濃度が 低く 

 

二酸化炭素濃度が 高い場所で

 

酸素を手放すという性質があり

 

その赤血球のヘモグロビンが

 

手放した酸素を

 

細胞が 受け取ることで

 

細胞に酸素が 供給されます

 

そのため 血液中に

 

二酸化炭素が ないと

 

細胞に到着しても

 

酸素を手放すことなく

 

酸素と結合したまま

 

再び血液中を漂うことになり

 

せっかく酸素が血液中にあるのに

 

細胞には酸素が行き渡らない

 

といった現象が起きます

 

そうすると細胞での呼吸の効率は

 

著しく落ちてしまい

 

細胞は酸欠を起こしてしまいます

 

そのため 細胞に

 

酸素を供給するには

 

二酸化炭素が必要となり

 

血液中の二酸化炭素濃度に比例して

 

細胞への酸素の取り込まれる

 

供給量が 決まってくることになります

 

このような現象を

 

「ボーア効果」といいます

 

 

ボーア効果とは

 

血液中の二酸化炭素濃度が増加すると

 

ヘモグロビンが

 

酸素を解離しやすくなる

 

現象のことをいい

 

血液中の二酸化炭素濃度が

 

増加すると

 

赤血球内のpHが

 

*備考(pHとは、水素イオン濃度指数といい水溶液中の性質(酸性、アルカリ性)の程度をあらわす単位になります。pHは、血中の酸素量(O2)が減少し、二酸化炭素量(CO2)が増加すると二酸化炭素が水(H2O)に溶け炭酸(H2CO3)に変化します。二酸化炭素量が増加すると炭酸の量も増加し炭酸は水素イオン(H+)を放出します。水素イオンが増加するとpHは、酸性を示します。

二酸化炭素量 CO2(増) → 炭酸 H2CO3(増) → 水素イオン H+(増) → 酸性

逆に、血中の酸素量が増加し、二酸化炭素量(CO2)が減少すると炭酸(H2CO3)の量が通常よりも少なくなり、それに伴って水素イオン(H+)の量も減少するとpHは、アルカリ性を示します。

二酸化炭素量 CO2(減) → 炭酸 H2CO3(減) → 水素イオン H+(減) → アルカリ性 

そして、このpHは、0~14の数値で表され、pH7を中性とし、7より小さい場合は酸性、大きい場合はアルカリ性となります。通常 血液は弱アルカリ性で PH 7.35から7.45 という 狭い範囲で調整されています。また、赤血球のpHは、ヘモグロビンの酸素親和性に影響を与えます。pHが低くなると、ヘモグロビンは酸素を解離しやすくなります。一方、pHが高くなると、ヘモグロビンは酸素をより強く結合します。このため、赤血球のpHが変化すると、組織に酸素を供給する能力が変化します。)

 

 

低下してしまうことで

(酸性方向へ)

 

ヘモグロビンは 

 

酸素との結びつきが弱くなり

 

ヘモグロビンは

 

酸素を解離しやすくなります

 

逆に 二酸化炭素の少ない環境では

 

赤血球内のpHは上がり

(アルカリ性方向へ)

 

ヘモグロビンは 酸素との

 

結びつきが強くなるため

 

酸素と結合しやすくなります

 

 

具体的に解説すると

 

二酸化炭素量が増えれば 

 

水素イオンが増加し

 

pHが低下します 

 

pHが低下する要因は

 

二酸化炭素量の他にも

 

激しい運動や体温上昇などでも

 

pHは低下するのですが

 

pHの正常範囲の中央値である 

 

pH 7.4よりも低下し

 

酸性に傾くことで

 

酸素はヘモグロビンに

 

くっつきにくくなり

 

ヘモグロビンは

 

酸素を手放しやすくなります

 

そうなると酸素は

 

ヘモグロビンから

 

離れていくことができ

 

細胞は 酸素を受け取ることができます

(図を参照) 

 

このように細胞に酸素を届けるには

 

二酸化炭素が 必要となり

 

二酸化炭素量が多ければ

 

その分 多くの酸素を細胞へ

 

供給することが出来るようになります

 

逆に体内の二酸化炭素が少なければ

 

細胞へ供給される酸素量も

 

少なくなります

 

そのため 二酸化炭素を

 

多く吐き出しすぎていたり

 

体温が 低下していると

 

pHは上昇していき

 

pH7.45以上になると

 

ヘモグロビンは酸素を

 

がっちりとつかんで

 

離さなくなってしまいます

 

そうなると 細胞内に酸素が

 

届けられにくくなり

 

細胞内の酸素不足が起こります

 

二酸化炭素が

 

不足してしまうということは

 

各細胞に酸素が届きにくくなり

 

脳などの重要な細胞にも

 

十分な酸素が供給されなくなります

 

そのため頭痛やめまい、倦怠感などの

 

症状が現れやすくなります

 

また 本来 二酸化炭素濃度には

 

平滑筋を

(心臓、血管、気道、消化管などの内臓を構成する筋肉)

 

弛緩させる作用もあるため

 

二酸化炭素が ある程度高いと

 

気道や血管が広がり

 

呼吸や血液循環が

 

促進されることで

 

臓器の血流が改善し

 

機能が向上したりするのですが

 

二酸化炭素濃度が低下し

 

二酸化炭素不足だと

 

平滑筋が緊張し

 

気道や血管が狭くなるため

 

心臓病や脳卒中などのリスクも

 

高まると言われております

 

また うつ症状やパニック障害

 

不安感や過呼吸発作などの

 

精神的症状も

 

体内の二酸化炭素不足が

 

影響しているとも言われております

 

そして ヘモグロビンが

 

酸素をがっちりとつかみ

 

解離できなかったなどで

 

体内で使われなかった酸素は

 

利用されずに体内に留まりやすく

 

そのため 使われない酸素が 

 

体内で増加してしまうと

 

使われずに余った酸素の一部は

 

血液中にとどまっている間に

 

毒性の強い活性酸素になって

 

自分の細胞を傷つける原因にもなり

 

ガンや心筋梗塞、脳卒中、糖尿病などの

 

生活習慣病を引き起こす要因にもなります

 

また アトピー性皮膚炎や

 

お肌のシミ、シワの原因にもなったり

 

老化のスピードを早めたりする

 

ともいわれております

 

*注意(二酸化炭素も必要以上に増えると毒になります)

 

 

つまり 私たちの身体には

 

一定量の二酸化炭素が

 

必ず必要という事になります

 

このように二酸化炭素は

 

不要の老廃物どころか

 

体にとって酸素と同様に

 

非常に大事な物質である

 

ということが分かって

 

頂けるかと思います 

 

また 呼吸の調節をするための

 

血液中の酸素と

 

二酸化炭素の濃度を

 

監視(モニター)する

 

化学受容器(センサー)があるのですが

 

血液中の酸素濃度を

 

主に監視(モニター)する

 

化学受容器(センサー)は

 

首の頚動脈の分岐部にある

 

頸動脈小体(舌咽神経系)と

 

心臓の上の大動脈弓近くにある

 

大動脈小体(迷走神経系)になります

 

そして 血液中の二酸化炭素濃度を

 

主に監視(モニター)する

 

化学受容器(センサー)は

 

脳幹の延髄にあります

 

延髄は 脳の最も下位の部分で

 

呼吸中枢や循環中枢などの生命維持に

 

とても重要な中枢神経が

 

存在している場所になります

 

どちらもとても重要な

 

センサーになりますが

 

二酸化炭素のセンサーは

 

酸素のセンサーよりも

 

呼吸をコントロールしてる

 

脳の中枢の近くにあるため

 

いかに二酸化炭素が

 

重要であるかが うかがえます

 

因みに 化学受容器の働きとしては

 

血中の酸素濃度が高くなると

 

呼吸中枢は呼吸を

 

抑制します(呼吸回数が減る)

 

逆に 血中の酸素濃度が低くなると

 

呼吸中枢は呼吸を

 

促進します(呼吸回数が増す)

 

 

二酸化炭素濃度の場合は

 

血中の二酸化炭素濃度が高くなると

 

呼吸を促進し

 

二酸化炭素濃度が低くなると

 

呼吸を抑制します

 

また pHの場合は

 

pHがアルカリ性(7.4より高い)になると

 

呼吸中枢は呼吸を抑制します

(呼吸を減らして二酸化炭素濃度を増やすことで、酸性側に戻す)

 

逆に pHが酸性(7.4より低い)に傾くと

 

呼吸中枢は 呼吸を促進します

(呼吸数を増やして二酸化炭素を体外に排出することで、アルカリ性側に戻す)

 

このように これらの化学受容器は

 

呼吸を調節するための

 

重要な役割を果たしています

(図を参照) 

 

以上のようなことを踏まえて

 

深呼吸などの

 

深く吸って深く吐くといった

 

呼吸法を考えると

 

大きく息を吸って

 

酸素をたくさん取り込もうとしても

 

体内では 酸素量が 十分なので

 

血中の酸素濃度の改善には働かず

 

返って過剰な酸素が

 

細胞の酸欠を誘発しやすくなり

 

そして 余った酸素の一部が

 

毒性の強い活性酸素となって

 

細胞を傷害する確率も上がります

 

また 大きく息を吸った分

 

吐く息の量も多くなるので

 

必然的に排出される

 

二酸化炭素の量も

 

多くなってしまいます

 

通常の呼吸で 息を吸い込むとき

 

二酸化炭素の量は 約0.04%ですが

 

呼気中では 約4%の二酸化炭素が

 

排出されるため

 

1回の呼吸で 吸気(息を吸う)の

 

約100倍の二酸化炭素の量が

 

吐き出されることになり

 

深呼吸や浅く早い呼吸を

 

すればするほど二酸化炭素は

 

血液中から減っていくため

 

体に必要な二酸化炭素までも

 

過剰に吐き出してしまいます

 

そのことにより血中の

 

二酸化炭素濃度が低下し

 

細胞レベルでの酸欠や

 

気管、血管等が収縮し

 

高血圧症、心臓疾患を発症する

 

リスクまでも高くなってしまいます

 

このようなことから

 

深呼吸をやりすぎると

 

体にとって悪影響を及ぼす恐れが

 

あるということになります

 

あと 常に口で呼吸をしていると

 

深呼吸のやりすぎと同様な状態に

 

陥りやすくなるので 

 

なるべく氣をつけて

 

” 鼻 ”で 呼吸するようにして下さい

 

また 呼吸は 速くて深いと

 

二酸化炭素の排出量が

 

増加してしまうので

 

氣を付けてください

 

次回はこの続きで

 

正しい呼吸で運動能力や

 

学習能力なども上がる

 

『 呼 吸 の仕方 』について

 

書いていきたいと思っております。

 

皆様のお役に少しでも立てれば幸いです。

 

【お読み頂きまして ありがとうございました】

 

前回の子供の姿勢反射⑦

 

姿勢制御のメカニズムその5

 

体性感覚③からの続きで

 

「感覚の重み付け」になります

 

 

前回にも少し書きました

 

感覚の重み付けについてですが

 

まず 姿勢制御を行う上で

 

必要な感覚入力情報の

 

主軸となる感覚が

 

「視 覚」「前庭覚」「体性感覚」

 

の3つのシステムになります

 

この3つの感覚入力の

 

姿勢制御に関連する

 

簡単な解説、特徴としては

 

◯ 視覚入力

視覚は、周囲にある物体の相対的な位置関係などの情報を脳に提供することで 空間と自分の位置を把握し、頭部の位置や移動に関する情報源になります。例えば、地面や床の水平、壁や柱の垂直、奥行きを知覚し、これらの情報から垂直、平行、距離感などに関する感覚基準が 形成されます。(あくまでも感覚的な垂直、平行、距離感になるためマジックアートや騙し絵などで 誤認識してしまいます。) 視覚入力に基づく 感覚基準は 姿勢の定位において最も重要であるとされています。

( 姿勢の定位とは = 動作に関与する身体と環境との間の関係を適切に保持する能力で 重力、支持面、視覚環境、および内部表象( 身体の状態把握 )に対する身体のアライメントと筋緊張の調整制御のことをいい、質や方向性をコントロールし、予測的に行われる制御になります。)

 しかし、視野の移動や回転などの視覚外乱の振幅が増加してしまう状況だと視覚入力の信頼性が低下してしまいます。また、先天盲者も立位姿勢を保持できることや健常者が閉眼状態、暗所で視覚を遮断されても立位姿勢を保持できること等から、視覚入力は 立位での姿勢保持には 必ずしも必要ではないといわれています。

 

 

◯ 前庭感覚入力

頭部の垂直と傾き、加速度に関する情報源となり 特に重力加速度の情報から鉛直に関する感覚基準が形成されます。 前庭は 耳石器と三半規管の受容器で構成されており 半規管は頭部の回転加速度の受容器になり、歩行などの移動時やスリップやつまずきなどでバランスを崩した際の比較的素早い頭部の運動などに敏感に反応します。 耳石器は 直線加速度に対する受容器で、比較的ゆっくりとした頭部の運動に鋭敏に反応することから 耳石器からの入力は 特に重力に対する頭部の定位に重要になります。これらの前庭感覚入力は 頭部の位置と移動について直接的な情報を提供する 一方で、単独で空間内の身体運動についての正確な情報を提供することはできません。 例えば 頭部のみで頷く場合と 腰を折ってお辞儀をする場合では 身体運動は異なりますが 頭部の傾斜に関する 前庭感覚入力は全く同じなので, 前庭感覚入力単独ではこれらの身体運動の違いを区別できません。

 

 

◯ 体性感覚入力

身体と支持基底面(身体を支えている底面のことを言います。立っている状態であれば、両足の底と、その間の面積が支持基底面となります。)との相対的な空間的位置関係についての情報源となり また、身体部分間の位置関係(筋肉や関節の状態)についての情報源にもなります。 通常の水平で堅い床面上で立位姿勢を保持する場合、下肢からの体性感覚入力による情報から水平に関する感覚基準が形成されます。 しかし、足元が 軟らかく不安定だったり 揺れるボートの上などで支持基底面が不安定な場合などでは 体性感覚入力に対する信頼性は 低下してしまいます。

 

 

このように 

 

姿勢制御を行う上で

 

必要な3つの感覚ですが

 

単独での感覚入力だけでは

 

情報が 偏ってしまい

 

色々な環境や状況下での

 

姿勢保持が 困難になるため

 

これら3つの感覚情報は

 

中枢神経系で

 

整理、統合されることで

 

色々な環境や状況下でも対応できる

 

安定した姿勢や立位と

 

歩行、運動などが

 

可能になります

 

このように 中枢神経系で 統合された

 

3つの感覚システムは

 

姿勢制御を行う上で

 

環境や状況などに応じて

 

どの感覚情報が 信頼性が高く

 

どの感覚情報を

 

主体とするのがよいのかの

 

振り分けがあり

 

その感覚入力情報全体の

 

振り分けの割合を

 

「感覚の重み付け」

 

といいます

 

この感覚の重み付けの

 

割合の例として

 

通常 健康な成人で

 

しっかりとした

 

支持基盤のある

 

明るい環境での

 

感覚の重み付けとしては

 

・視 覚  約10%

 

・前庭感覚 約20%

 

・体性感覚 約70%

 

といわれており

 

この場合の環境と状況では

 

体性感覚の情報の方が 

 

高い信頼性が 得られるため

 

感覚の主体は

 

体性感覚になります

(図を参照) 

 

また 感覚の重み付けは

 

何らかの感覚に

 

異常をきたす障害、疾病などや

 

環境の変化、状況に応じて

 

重みづけも変化するため

 

この重み付けの変化を

 

「感覚の再重み付け」といいます

 

感覚の再重み付けは

 

中枢神経系で

 

周囲の光量や身体に加わる加速度など

 

身体の内外や周囲の環境、状況に応じて

 

感覚入力された どの感覚が 信頼でき

 

どの程度の信頼性があるのかを

 

選定し 再重み付けされます

 

再重み付けの例としては

 

床が平坦時の場合

 

通常 主体になるのが

 

体性感覚ですが 

 

雪道などで足元が

 

滑りやすい状況下などの場合では

 

体性感覚情報に対する信頼性が

 

低下してしまうため

 

周囲にある物体の

 

相対的な位置関係などの

 

情報を扱う「視覚」と

 

頭部の垂直と傾き

 

加速度に関する情報を

 

扱う「前庭感覚」で

 

環境、状況により

 

どちらかの

 

信頼度が 高い方を

 

主体に切り換え

 

感覚の再重み付けを

 

行うことで

 

姿勢や歩行を

 

安定させようとします

 

 

このように感覚の重み付けは

 

常に脳がこれらの感覚情報を

 

モニタリングしながら

 

身体にリスクの少ない

 

選択をすることで

 

環境に対して身体がどうあるべきかを

 

柔軟に変化しながら

 

安定した姿勢や立位、

 

歩行、運動などが 行えるように

 

姿勢制御を行っており

 

とても大切なシステムになります

 

 

また 感覚の重み付けの

 

発達過程に関しては

 

姿勢制御にかかわる

 

感覚入力が 成人と同様に

 

中枢神経系で 統合し

 

利用できるようになるのは

 

7 歳から10 歳位といわれており

 

乳児では 前庭系が 

 

優位な状態であるため

 

重心の高低差などに敏感で

 

高い高いなどの動作が

 

大好きな時期になります

 

そして 乳幼児になるにつれて

 

基本的な移動運動を獲得する

 

生後18ヶ月から21ヶ月位では

 

主に視覚情報に頼っており

 

視覚の重み付けが大きく

 

視覚優位の姿勢戦略となりますが

 

歩行経験の増加とともに

 

感覚運動経験が強化され

 

体性感覚系が 優位な

 

重み付けへと変化していき

 

4才から6才位で バランス維持に対する

 

視覚、前庭、および体性感覚入力を

 

統合し始めるといわれています

 

そして 感覚の再重み付けに関しては

 

4才位で 視覚外乱の振幅の増大に応じて

 

視覚入力に対する重み付けを

 

低下させることができ

 

視覚外乱の振幅が大きい状態から

 

小さい状態に戻ると

 

8 才以上の子どもでは

 

成人と同様に視覚入力に対する

 

重み付けが 緩やかに高まりますが

 

4才児位では即座に

 

高まるといわれており

 

まだ 微調整が利かない

 

オンかオフかの状態でいます

 

このように視覚重視の重み付けから

 

異なる感覚との再重み付けが

 

できるようになっていき

 

完全な異なる感覚入力間での

 

感覚の再重みづけは

 

10才以降になるといわれています

 

また 高齢者の重み付けにおいても

 

加齢が進むことで

 

筋力低下が見られ始めたと

 

同時に体性感覚系の退化が始まり

 

体性感覚優位であった重み付けから

 

視覚系への移行が起こり

 

視覚入力に対する重み付けが

 

高くなるといわれております

 

しかし 高齢者の

 

感覚の再重み付けに関しては

 

若年成人と一般高齢者および

 

転倒の危険性が高い高齢者での

 

感覚の再重み付けには

 

差は 無いといわれております

 

ただ 高齢者では若年成人よりも

 

感覚の再重み付けに時間が

 

かかるといわれており

 

そのため 急な環境や状況などの

 

変化に対応しづらくなり

 

転倒などの危険性が 

 

上がりやすくなると

 

いわれています

 

このように環境や状況の他にも

 

年齢などによる

 

感覚の優位性でも

 

重み付けは 変化します

 

そして

 

この感覚の優位性や

 

感覚の偏りを知るための

 

感覚の重み付けの

 

簡易的なテスト方法としては

 

以下の方法があります

 

「感覚の重み付けテスト方法 ①」

* 平面で固い床面で 裸足か 生地のなるべく薄い靴下で 行って下さい。

 

◯  通常立位の視覚、前庭覚、体性感覚の3つの感覚が 活性化している状態での立位を診ます。

 

1)両腕と両足を閉じ、顔は正面を向き両眼を開けて 正中位(身体を真っ直ぐ)にして立ちます。

 

2)上記の状態で 身体が大きく動き、揺れてしまうなど 明らかに不安定である場合は 以下が考えられます。

 

・3つの感覚とも機能低下している

・骨格、筋肉などの問題

・姿勢反射など反射の問題

・脳や自律神経などの問題

などが 考えられます

(図を参照) 

 

「感覚の重み付けテスト方法 ②」

◎ 視覚の重み付け簡易的なテスト方法

* 平面で固い床面で 裸足か 生地のなるべく薄い靴下で 行って下さい。

 

◯  視覚が低下、体性感覚と前庭覚が活性化している状態での立位を診ます。

 

1)感覚の重み付けテスト方法 ①の状態から 両眼を閉じます。

 

2)上記の状態で 

・身体が大きく動き、揺れてしまう

   ⇒ 視覚への重み付けが 大きい

 

・身体が 安定又は 眼を開けている時とほぼ変わらない

   ⇒ 視覚にあまり依存していない

(図を参照) 

 

「感覚の重み付けテスト方法 ③」

◎ 体性感覚の重み付け簡易的なテスト方法

* 裸足か 生地のなるべく薄い靴下で 行って下さい。

 

◯  体性感覚が低下、視覚と前庭覚が活性化している状態での立位を診ます。

 

1)座布団や折り畳んだバスタオルなどの上に立ち 床面が不安定な状態で 両腕と両足を閉じ 顔は正面を向き両眼を開けて 正中位(身体を真っ直ぐ)にして立ちます。

 

2)上記の状態で 

・身体が大きく動き、揺れてしまう

   ⇒ 体性感覚への重み付けが 大きい

 

・身体が 安定又は 眼を開けている時とほぼ変わらない

   ⇒ 体性感覚にあまり依存していない

(図を参照) 

 

「感覚の重み付けテスト方法 ④」

◎ 前庭覚の重み付け簡易的なテスト方法

* 裸足か 生地のなるべく薄い靴下で 行って下さい。

 

◯  視覚と体性感覚が低下、前庭覚が活性化している状態での立位を診ます。

 

1)座布団や折り畳んだバスタオルなどの上に立ち 床面が不安定な状態で 両腕と両足を閉じ 顔は正面を向き両眼を閉じて 正中位(身体を真っ直ぐ)にして立ちます。

 

2)上記の状態で 

・身体が大きく動き、揺れてしまう

   ⇒ 前庭覚への重み付けが 小さい

 

・身体が 安定又は 動きや揺れが小さい

   ⇒ 前庭覚への重み付けが 大きい

(図を参照) 

 

上記のテストで

 

視覚か 体性感覚の

 

重み付けが 大きい

 

又は 前庭覚の重み付けが

 

小さい場合は

 

姿勢制御を行う上で

 

環境や状況の変化の

 

仕方によっては

 

対応しづらくなり

 

また 急な変化では

 

転倒などの危険性が 

 

上がりやすくなります

 

例えば

 

視覚の重み付けが 大きく

 

視覚に依存しすぎていると

 

視覚情報が 入り難い

 

暗い夜道や場所などでは

 

明るい場所より

 

極端に歩行がしづらかったり

 

転倒し易かったりします

 

また 視覚以外の前庭覚や体性感覚の

 

感覚能力が 低くくても

 

同じようなことが起こりますので

 

一つの感覚に依存せず

 

なるべく満遍なく使える状態が 

 

好ましいといえます

 

 

感覚のトレーニング方法としては

 

以前に書いたブログを

 

参考にしてください

 

* トレーニングを行う際の注意点ですが、一つの感覚に集中して行わないようにして下さい。感覚依存になりやすくなりますので 出来るだけ各感覚を満遍なく日替わりでもいいので行って下さい。

 

視覚と前庭覚は

子供の姿勢反射④ 姿勢制御のメカニズムその2

 

体性感覚は

子供の姿勢反射⑦ 姿勢制御のメカニズムその5 

 

体性感覚の足底トレーニングの補足

「下図の部分」を意識して足の人差し指を使ってタオルを引き寄せる(タオルギャザー)を行って下さい。重心が安定し脚が 疲れにくくなりお尻の筋肉を使って歩けるようになるので ヒップUPにも繋がりますので 試してみてください

(図を参照) 

 

また 上記のような

 

レーニングを行うのも

 

効果的なのですが

 

本来の感覚のトレーニングとしては

 

大人も子供も

 

色んな環境・状況下がある

 

山や海、川などの自然の中で

 

出来るだけ裸足に近い状態で

(靴底や中敷が柔らか過ぎない履物で)

 

全身を動かし

 

楽しんで 遊ぶ

 

これが 本来の感覚

 

トレーニングになります

 

 

 

現代社会では

 

大人になるにつれて

 

ほぼ同じ環境下で

 

過ごす時間が 長くなる為

 

感覚低下や感覚依存が

 

起こりやすくなります

 

また 子供たちも

 

外で遊ぶ場所が 限られ

 

屋内での限られた

 

環境の中での過ごす時間が

 

増えているため

 

なかなか感覚が 育ち難い

 

環境ですので

 

たまには 大人も子供も

 

自然の中で

 

自然に触れ

 

身体を動かす時間を

 

作ってあげてください

 

脳も活性化しますので^^

 

 

次回は 入力系が 続きましたので

 

出力系について

 

書いていきたいと思っております。

 

皆様のお役に少しでも立てれば幸いです。

 

【お読み頂きまして ありがとうございました】

前回の姿勢制御のメカニズムその4で

 

体性感覚②の続きの

 

一次体性感覚野とは?

 

からになります

 

 

一次体性感覚野(S1)とは

 

大脳皮質の一部であり

 

感覚刺激を知覚する

 

大脳皮質の領域のことをいい

 

触覚、痛み、温度などの

 

表在感覚(皮膚感覚)や

 

筋肉・関節などの

 

深部感覚 (固有感覚)などの

 

感覚情報を

 

体性感覚伝導路を介して

 

末梢の感覚器・受容器から

 

直接的に投射を受けている

 

領域になります

 

一次体性感覚野は

 

末梢からの体性感覚情報を処理し

 

二次体性感覚野、頭頂連合野、

 

運動野等に対象物の触識別や

 

運動制御に必要な体性感覚情報を

 

出力する非常に重要な

 

大脳皮質の領域になります

 

 

この一次体性感覚野は

 

脳の番地を示した

 

ブロードマンの地図でいう

 

3野(3a・3b野)、1野、2野の

 

領域にあたります

(図を参照) 

 

この一次体性感覚野の3野は

 

体性感覚皮質の主要な領域

 

として考えられており

 

視床中継核を経由して

 

入力される 末梢からの

 

体性感覚情報の大部分を

 

直接受け取ります

 

受け取った体性感覚情報の

 

最初の処理はここで行われ

 

・3野の3a野は

 

深部感覚からの情報に反応し

(筋や関節の受容器(固有受容器))

 

 ・3野の3b野は

 

触覚・皮膚感覚の情報に反応します

 

また 3b 野は

 

1野と2野と密に接続されており

 

3b 野の触覚・皮膚感覚の情報は

 

さらに複雑な処理のために

 

1野と2野にも送信され

 

3b野から1野への投射は

 

3b 野より広範囲の皮膚からの情報

 

主に物の表面の質感・手触りなどの

 

情報を受けとります

 

2野への投射は

 

1野より広範囲の皮膚からの情報

 

主に大きさや形状に関する情報と

 

関節、運動方向など

 

固有受容器からの

 

情報を受けとります

 

この1野と2野は

 

3野と違い

 

・3野の3a 野は 深部感覚(固有受容器)

 

 ・3野の3b 野は 触覚・皮膚感覚の情報

 

というように受容器(情報)が

 

限局されておらず

 

複数の異なる受容器の情報を

 

複合的に受けとっており

 

3野の情報は 1野、2野で

 

より情報の認識が細かくなっていきます

 

そのため1野と2野は 3野よりも

 

高次な情報処理をしている

 

といわれております

 

また 1野、2野は

 

その複合的機能から

 

感覚に注意や意識を向けることで

 

より入ってくる感覚情報の

 

識別に関わるといわれています

 

このように 3野→1野→2野と

 

情報が進むことで

 

さまざまな感覚が統合され

 

複合的な情報へと処理されます

 

このように処理された情報は 

 

頭頂連合野へと送られます

(頭頂連合野 = 外界に関する情報を集める領域で、体性感覚、視覚、聴覚、平衡感覚など空間、運動知覚や認識と運動の制御などに関わっています。)

(図を参照) 

 

また 一次体性感覚野の

 

主に3野にあたる部位の底部 には

 

ペンフィールドマップという

 

身体の各部位からの入力が

 

感覚皮質のどの部分に

 

投射されているかを

 

示したものが あります

(図を参照) 

 

このペンフィールドマップは

 

感覚野( 一次体性感覚野)と

 

体を動かすための指令を出す部分

 

運動野(一次運動野)の

 

脳領域にあります

 

今回は 感覚野( 一次体性感覚野)の

 

ペンフィールドマップに関してですが

 

一次体性感覚野のペンフィールドマップには

 

主に深部感覚(固有受容器)の

 

情報が 投射されていると

 

いわれております

 

因みに 表在 (皮膚) 感覚の情報は

 

主に一次体性感覚野3野・1野・2野の

 

表層部で 処理されていると

 

いわれています

 

 

この大脳における感覚野の地図

 

一次体性感覚野のペンフィールドマップは

 

身体の各部位から入力された情報の

 

大脳皮質での投射部位を

 

示し描かれています

 

各部位の大きさは

 

大脳皮質の表面積の比率にしたがって

 

体の大きさを変形して表した図になり

 

体の各部位の機能を受け持つ範囲が

 

大脳でどのくらいの割合を

 

占めているかを示しています

 

特長として手や顔面の領域は

 

広くとられており

 

感覚が敏感なことを表わしています

 

 

 

このようにして

 

身体の各それぞれの部分からの

 

感覚情報が 伝えられます

 

この 感覚神経の

 

多くは皮膚上に存在しており

 

全身のあらゆる場所にあります

 

体性感覚は 

 

「身体外」と「身体内」の

 

情報を伝えてくれる

 

とても大切な感覚器官になります

 

 

そして この体性感覚を

 

活性化する方法として

 

体性感覚には

 

神経線維(感覚受容器)の一つに

 

CT線維(C-Tactile/触覚線維)という

 

感情に関わる神経線維が在ります

 

このCT線維は

 

神経線維の末端が 枝分かれし

 

皮膚に入り込むかたちで

 

触覚を直接 知覚している

 

神経線維の束になります

(図を参照) 

 

このCT線維は

 

皮膚に優しく触れたり

 

ゆっくり撫でる無害な刺激に 反応し

 

中枢(視床下部)からオキシトシンという

 

物質を放出します

 

このオキシトシンは

 

ストレスを軽減したり

 

幸福感を感じる神経伝達物質で

 

別名「幸せホルモン」や「愛情ホルモン」

 

などともいわれています

 

このオキシトシンは

 

快適な触覚刺激が 脳に伝わることで 

 

視床下部の室傍核と視索上核の

 

神経分泌細胞で合成され

 

下垂体後葉から分泌される

 

ホルモンになります

 

オキシトシンが分泌されると

 

副交感神経が優位にはたらくようになり

 

血圧や心拍数などが下がり

 

心身ともにリラックス状態になることで

 

ストレスを軽減させることが

 

できるといわれています

 

また 脳内での オキシトシンは

 

感情のコントロールや

 

神経の安定に深く関わっている

 

脳内の神経伝達物質

 

セロトニンの活動を

 

活性化させる働きもあり

 

不安や興奮した状態から

 

元の安定した心の状態に戻す

 

はたらきにも関与しており

 

特にうつ病の患者では

 

セロトニンの分泌が 少ないと

 

いわれているため

 

セロトニンを増やすことで症状を

 

改善できるともいわれております

 

また オキシトシンの分泌は

 

自閉症の対人関係に関わる症状を

 

軽くし症状を軽減させる効果もあると

 

といわれています

 

そして このオキシトシンの分泌を促す

 

CT線維(C-Tactile/触覚線維)は

 

毛の生えている有毛皮膚には

 

存在しておりますが

 

手のひらや足裏などの

 

毛の生えていない

 

無毛皮膚には存在しておらず

 

その為 オキシトシンの分泌を促すには

 

有毛皮膚に対して軽い圧で優しく触れ

 

ゆっくり撫でる無害な刺激を

 

入れることが 大切になります

 

効率よくオキシトシンを誘発

 

放出させる撫で方としては

 

撫でる速さを

 

1秒間に平均5cmくらいで

(秒速 5 cmのストロークで)

 

手の平全体で 優しく圧をかけ 

 

撫でるのが 良いといわれています

 

そして 触れ始めの身体部位としては

 

普段から人に触れられることが多い

 

肩や背中、腕といった身体の外側の

 

触れられることに抵抗の少ない部位から

 

行うと良いそうです

 

勿論、触れるだけでも

 

オキシトシンは放出されますので

 

上記のような撫で方が 難しければ

 

ただ優しく 愛情を込めて

 

触れたり撫でてあげるだけでも

 

十分に効果がありますので

 

試してみて下さい

 

 

また 体性感覚の

 

姿勢や歩行制御に関わる

 

大切な感覚受容器が 

 

集まっている部位の一つに

 

足底(足裏)があります

 

この足底の皮膚の感覚受容器は

 

身体の位置感覚と

 

支持面に対する情報の提供や

 

姿勢反射などに大きく関与しており

 

立位時では 唯一の支持面である

 

足底内に存在する 感覚受容器から

 

姿勢の変化や地面の状況を感知し

 

素早く姿勢調整を行います

 

その際 足底の皮膚の感覚受容器は

 

体の支持基底面の端に向かって移動する

 

足圧中心の動きを

 

検出できるだけでなく

 

より安定した立位を促すために

 

姿勢反射にも働きかけてくれます

 

[ 備 考 ]

・支持基底面とは

体重を支えるために必要な床面積の事を言います。 これは足の裏が床に接している面積だけではなく、立っている状態であれば、両足の底と、その間の面積が支持基底面となります。この支持基底面は、広いほど物体は安定します。

 

・圧の中心点とは

身体の重心(立位では骨盤のあたりに、座位では胸骨の裏側あたりに位置するといわれています)から下ろした垂直線と支持基底面との交わる点の事を言います

 

・足圧中心(center of pressure:COP)とは

床反力作用点、圧力中心とも表現され、床と足底との接触面に働く力の分布の中心点の事を言います。

 

 

例えば 人から押されたりして

 

バランスを崩した場合

 

頭を前に倒したり

 

両手を上に上げたりして

 

倒れないように努力します

 

その際 頭や手の重みを

 

前に持っていき

 

重心の落ちる位置

 

すなわち圧中心点が

 

支持基底面から

 

外れないようにします

 

そして この時に

 

より安定した体位を促すために

 

姿勢反射が働きます

(図を参照) 

 

このように足底の皮膚の感覚受容器は

 

日常生活や運動時などでの

 

あらゆる姿勢制御に

 

大きく関与しており

 

足底への体性感覚入力の統合は

 

姿勢や身体バランスなどに

 

とても重要な感覚機能になります

 

そのため 足底の体性感覚機能が

 

低下してしまうと

 

感覚受容器からの

(機械受容器・メカノレセプター )

 

情報が脳にうまく伝わらなくなるため

 

姿勢制御の指令が弱くなり

 

足などの筋肉がうまく使えず

 

転倒するリスクが高くなったり

 

姿勢の調整やバランス・運動能力なども

 

低下してしまいます

 

また 足などの筋肉がうまく使えなくなると

 

足底アーチの変形から膝・股関節、骨盤・背骨、

 

首・肩・腕などと身体に様々な

 

悪影響を引き起こすため

 

慢性肩凝りや腰痛などの症状の

 

要因にもなりますので

 

ても大切な感覚機能になります

 

 

そして この足底にある

 

姿勢調整のための

 

感覚受容器の

(機械受容器・メカノレセプター )

 

分布割合としては

 

1)足 趾(母指以外の指部分)

2)外側アーチ

3)踵(かかと部分)

 

に感覚受容器が とくに多く

 

存在しています

(図を参照) 

 

そして 足底の体性感覚を

 

活性化する方法として

 

この感覚受容器が 

 

多く存在している部位に

 

手で 軽く圧を加えて

 

擦って刺激を入れてあげるだけでも

 

効果的で

 

特に外反母趾や扁平足の方は

 

この3箇所の部位を

 

重点的に刺激を入れてあげると

 

良いかと思います

 

また 手で足の指を

 

内側へ巻き込むようにしながら

 

足の指と踵(かかと)を

 

お互いに近づけるように曲げ

 

足裏に刺激を入れてあげるのも

 

効果的です

(足裏の刺激方法は下図を参照して下さい)

*小さなお子さまの場合は 親御さまが

   お子さまに行ってあげて下さい

(図を参照) 

他の方法としては

 

・裸足でいる時間を多くする

・足裏で色々なものに触れ感じる

・足の指を使ってタオルを引き寄せる

(タオルギャザー)

・足の指と足裏全体を使ってのグー・パー

などがあります

 

このように

 

足裏に刺激を入れてあげることで

 

身体バランスの向上や

 

転倒予防にもなり

 

肩コリや腰痛、膝痛などの

 

予防・改善にも繋がります

 

また 小さなお子さまなどの場合は

 

原始反射や姿勢反射の統合の

 

手助けにもなりますので

 

試してみて下さい^^

 

 

これらの体性感覚は

 

姿勢や歩行制御に関与し

 

感情・ホルモンなどにも

 

関与している大切な感覚になります

 

 

そして これまでお伝えした

 

姿勢制御を行う上で必要な感覚情報

 

「視 覚」「前庭覚」「体性感覚」

 

この主となる感覚神経系の3つのシステムは

 

それぞれ単独で機能しているのではなく

 

視覚・前庭感覚・体性感覚の

 

3つが中枢神経系で

 

統合されることで

 

安定した姿勢や立位と

 

姿勢を保持した歩行や運動が

 

可能になります

 

また この感覚神経系の3つのシステムには

 

姿勢制御を行う上で

 

どの感覚を主とするかの

 

割合があります

 

この割合を「感覚の重みづけ」といいます

 

このつづきは

 

次回投稿予定の「感覚の重みづけ」で

 

詳しく書いていきたいと思っております。

 

皆様のお役に少しでも立てれば幸いです。

 

【お読み頂きまして ありがとうございました】

前回の姿勢制御のメカニズムその3

 

体性感覚①の続きになります。

 

 

体性感覚の伝導路について

 

まず 初めに

 

伝導路(神経回路)とは

 

身体の外部・内部の情報を

 

神経の本幹である

 

脊髄を経由し

 

脳や他の部位との間での

 

情報のやり取りをする際の

 

経路のことをいいます

 

簡単に例えると

 

機械や電化製品などの

 

電気回路や電車の

 

鉄道路線などの構図を

 

イメージして頂けたら

 

わかりやすいかと思います

 

そして 

 

伝導路に流れる身体情報を

 

伝達してくれる神経細胞を

 

「ニューロン」といいます

 

このニューロンには

 

大きく分けて3種類の

 

ニューロンがあり

 

 

外からの刺激を受け取る

感覚ニューロン

 

刺激を筋肉に伝える

運動ニューロン

 

ニューロン間での情報伝達をする

介在ニューロン

 

この介在ニューロンは

 

脳などの中枢神経系を形成しています

 

(脊髄とニューロンの図)  

 

これらのニューロンによって

 

情報が伝達される経路

 

伝導路には

 

「上行性(求心性)」と

 

「下行性(遠心性)」の

 

2種類に大別されます

 

上行性(求心性)

 

抹消の感覚器官で受けた刺激を

 

中枢まで伝える伝導路になり

 

感覚系になります

 

下行性(遠心性)

 

中枢から興奮を抹消に伝える

 

伝導路になり

 

運動系になります

 

 

今回の体性感覚は

 

感覚系の上行性(求心性)になります

(図を参照)

 

この上行性の体性感覚に関わる

 

神経伝導路には

 

①後索路系(内側毛帯路)
②脊髄視床路系(前側索経路)
③脊髄小脳路系

 

の3つの伝導路系と

 

・三叉神経伝導路

・脊髄網様体路

 

の2つの伝導路があります

 

これらの伝導路には

 

感覚受容器から大脳皮質に

 

情報が伝わるまでに

 

3種類のニューロン

 

かかわっており

 

このニューロンを

 

末梢から順に

 

・一次ニューロン

・二次ニューロン

・三次ニューロン

 

といいます

 

 

後索路系(内側毛帯路)

後索路は、触られた部位や物体の性状がわかるような精密な触圧覚(識別性 触圧覚)と意識にのぼる深部感覚(意識型 深部感覚)を伝える経路で、脊髄の後索を上行します。この後索路は、主に上肢と上半身からの神経線維である( 楔状束 )と、主に下肢と下半身からの神経線維である( 薄束 )からなります。感覚受容器としては、マイスネル小体やパチニ小体などが あります。

(後索路 下図を参照)

 

脊髄視床路系(前側索経路) 

脊髄視床路は、脊髄から発している感覚伝導路になり痛覚、温度覚、触覚、圧覚といった情報を視床に伝達します。脊髄視床路系には、前脊髄視床路と外側脊髄視床路の2つがあり、前脊髄視床路は、粗大な触圧覚(何かが触っているのは分かるが、何かは分からない はっきりしないといった大まかな感覚)に関与する伝導路で、外側脊髄視床路は、痛覚温度覚に関与する伝導路になり、痛みと情動の関係にも関わるといわれております。

(脊髄視床路 下図を参照)

 

脊髄小脳路系

脊髄小脳路系は、意識にのぼらない深部感覚(非意識型 深部感覚)を脊髄から直接、小脳に伝えます。感覚受容器としては、筋紡錘ゴルジ腱器官からの情報を伝えます。この脊髄小脳路系は、姿勢や運動などの調節に関係しているといわれており、身体が静止しているときや運動中の筋肉、腱、靱帯、関節包などの緊張の状態(収縮や伸展の状態)をたえまなく小脳に伝え、身体がどのような位置にあるかを随時モニタリングすることで、姿勢や運動の修正、調節、同側の体幹・下肢の伸筋群などの強化、などを行うとても重要な役割をしています。また、手や足から入ってくる小脳路を介した「無意識な感覚情報」は、網様体脊髄路や前庭脊髄路を活性させ姿勢の安定に働いてくれます。 

 

脊髄小脳路系には、以下のようなものがあります。

 

1. 前(腹側)脊髄小脳路

・下肢からの深部感覚を対側小脳虫部の皮質に伝える(交叉性)

(仙尾骨領域に由来する前(腹側)脊髄小脳路のごく一部は、下小脳脚(非交叉性)を経由して小脳に入るともいわれております。)

・下肢の全般的な感覚情報と活動情報の入力

 

2. 後(背側)脊髄小脳路

・下肢からの深部感覚を小脳中間部の皮質に伝える(非交叉性)

・下肢の深部感覚受容器から得た位置覚や正確な運動情報の入力

 

【 前(腹側)脊髄小脳路は、脊髄レベルでの運動情報を小脳に送り、実際に起こった運動のフィードバックを後(背側)脊髄小脳路を通じて小脳に送ることで「意図した運動」と「実際に起きた運動」の照合・修正を補助しているといわれています】

 

3. (副)楔状束小脳路

上肢からの深部感覚を小脳中間部の皮質に伝える(非交叉性)

 

4. 吻側脊髄小脳路

上肢からの深部感覚を小脳虫部の皮質に伝える(非交叉性)

 

(脊髄小脳路 下図を参照)  

 

三叉神経伝導路

三叉神経伝導路は、顔面部(耳より前の部分)の皮膚感覚(痛覚・温度覚・触圧覚)口腔や舌の感覚(一部味覚)を伝えます。これらの感覚は脳神経である三叉神経によって伝えられ、三叉神経核は主知覚核と脊髄路核に分かれます。

 

⚫︎三叉神経 主知覚核の経路

主知覚核は、識別力のある識別性触圧覚および顎の意識的な深部感覚受容(固有受容)に関する情報を伝える経路になります。これらの情報は、三叉神経節から橋へ入り、腹側三叉神経視床路(三叉神経毛帯)を通り、正中線を越えて対側の内側毛帯とともに上行し視床の反対側の後内側腹側核 (VPM)に伝え、その視床と同側の大脳皮質中心後回(感覚野)へと情報を伝えます。また、一部の情報(口腔情報など)は、同側の背側三叉神経視床路を通り同側の視床 (VPM)に伝え、同側の大脳皮質中心後回(感覚野)へと情報を伝えます。

 

⚫︎三叉神経 脊髄路核の経路

脊髄路核は、痛覚・温度覚・識別力のない触覚などに関する情報を伝える経路になります。これらの情報は、三叉神経節から橋へ入り、一度、三叉神経脊髄路を通って同則を下行し脊髄路核へ、その後 腹側三叉神経視床路(三叉神経毛帯)を通り対側の視床(VPM)に情報を伝え、その視床と同側の大脳皮質中心後回(感覚野)へと情報を伝えます。また、一部の情報は、三叉神経脊髄路を通らずにそのまま腹側三叉神経視床路(三叉神経毛帯)を通り対側の視床(VPM)に情報を伝え、その視床と同側の大脳皮質中心後回(感覚野)へと情報を伝えます。

「三叉神経脊髄路は一度脊髄まで下降して左右交差してから再度上行する」 という奇怪な走行をきたす脳神経の中でもかなり特殊な経路になります。

(図を参照)

  

 

脊髄網様体路

脊髄網様体路は、触覚、痛覚、温度覚などの情報を脳幹網様体に伝え、意識水準の維持・調節や姿勢の維持・歩行など自動運動の調節などに関与しています。また、内因性鎮痛反応、否定的感情、不安・怒り・恐怖が関連した情動行動などの誘発にも関与しおり、この脊髄網様体路は自律神経系の活動に大きく影響を及ぼすといわれています。

脊髄視床路の図を参照下さい

 

 

このように体性感覚には

 

多くの経路があり

 

感覚情報が 入ると

 

これらの伝導路を通り

 

主に視床や小脳へ向かいます

 

この視床と小脳は

 

心身共に関わる

 

とても大切な器官になります

 

 

視 床

視床とは、間脳の一部を占める部位で、脳のほぼ中央に位置しており、嗅覚を除く感覚情報(体性感覚、視覚、聴覚、味覚など)の感覚入力を大脳新皮質へ中継する重要な働きをしています。

また、視床にはたくさんの神経核が存在し、小脳、基底核、脊髄、延髄、橋からの情報を大脳皮質へと繋ぐ中継部としての役割も持っており、感覚情報の中継や運動機能の調節などの補助的な役割を担っています。そして、視床の数多く有る神経核のなかには、感覚に基づく情動や記憶(短期、長期、エピソード)、感情記憶、情動形成などや聴覚、空間認知などにも関わる神経核もあります。因みに視床には、120個の核があるとも言われています。下図の視床の神経核は、代表的な核になります。

(図を参照) 

 

小 脳

小脳とは、後頭葉(大脳)の下側、脳幹の後ろ側、後頭蓋窩に位置しており、深部感覚(筋、腱、関節受容器)や内耳からの平衡感覚(前庭覚)、大脳皮質、などからの情報を受けて、運動の強さや力の入れ具合、バランスなどを計算して調節をするなど運動の調節機能の役割をしています。また、小脳は、運動制御だけでなく、感覚識別、短期記憶(作業・作動記憶)、言語学習と記憶、意味的連想、注意力、情動の制御、意識的・無意識的な感情処理、高度な認識力など これら言語や思考などを含む高次認知機能にも関与しているといわれています。そのため、統合失調症(分裂病)、自閉症、ADHD、失読症、特定の言語障害などの疾患に、小脳が関係している可能性もあるともいわれており、これらの疾患では、個人差はあるものの運動障害も伴って持っていることが多いとも報告されているようです。また、小脳は、重要な機能を数多く担っている大脳の次に大きな脳でもあり、神経細胞の数では、大脳よりもはるかに多いといわれております。

このように重要で高度な機能をもった小脳は、機能的区分に基づいて3つに分類することができ、前庭小脳、脊髄小脳、大脳小脳の領域に区分されます。

 

1)前庭小脳(古小脳)前庭系

・片葉小節葉(小脳虫部に隣接する)

前庭小脳とは、主に視覚情報および頭部の動きに関する前庭感覚情報を処理します前庭小脳のプルキンエ細胞(小脳皮質における唯一の出力神経細胞)は、前庭神経核に直接投射してニューロンを抑制します。外側前庭神経核からは、内側および外側前庭脊髄路が発し、体幹の筋や四肢の伸筋(抗重力筋)の働きを調節します。また、前庭神経核の一部は外眼筋核に作用して前庭動眼反射や視運動性反 応を誘発します。前庭小脳は、眼球や頭部の運動、平衡感覚や体幹の抗重力筋の制御、調節に関わっています。

 

2)脊髄小脳(旧小脳)脊髄系

・小脳虫部および小脳虫部の傍の部分

脊髄小脳とは、主に三叉神経、視覚、聴覚系および体性感覚(脊髄後索・脊髄小脳路など)からの固有知覚に関する情報を受けとりますそして、室頂核を経由し大脳皮質および脳幹領域に出力し、体幹と四肢の近位筋群を制御します。また、脊髄小脳には感覚地図が存在し、身体部位の空間的位置データを受け取っています。そのため脊髄小脳は、運動の最中に、身体のある部位がどこへ動くかを予測することで、固有受容入力信号の詳細な調節を行うことができます。脊髄小脳は、静止時および運動の実行中の姿勢維持や四肢の運動の協調、体幹運動の制御・調節に関わっています。

 

3)大脳小脳(新小脳)大脳皮質系

・小脳半球の側面部分

大脳小脳とは、主に大脳皮質(特に頭頂葉)から送られてくる情報(実際に起こった感覚ではなく、大脳皮質の運動前野で作られた運動プログラムのコピー情報)を橋核を経由して受けとりますそして、脊髄小脳路を通して伝達されてきた筋骨格からの無意識的な感覚情報と運動前野で作られた運動プログラムのコピー情報を照らし合わせて運動の予測を立て誤差補正した情報を視床外側腹側核に出力し、出力された情報は、一次運動野及び運動前野に投射されます。大脳小脳は、運動を実行する前の運動の計画や実行に関わっています。また、大脳小脳は、学習、記憶、認知機能などにも関与しているといわれています。大脳小脳は、橋核を介して連絡しているため別名「橋小脳」とも呼ばれてもいます。

 

(図を参照) 

 

また、小脳は、3つの小脳脚で脳幹とつながっており、身体に存在している感覚受容器からの情報を小脳脚を介して受け取っています。3つの小脳脚は、上小脳脚(結合腕)・中小脳脚(橋腕)・下小脳脚(索状体)と呼ばれており、上小脳脚は中脳と、中小脳脚は橋と、下小脳脚は延髄と結合しています。

 

 上小脳脚:中脳との連結路

・前脊髄小脳路(求心性)

・小脳視床路、小脳赤核路、小脳前庭路(遠心性)

 

中小脳脚:橋との連結路

・皮質橋小脳路(求心性のみ)

 

下小脳脚:延髄、脊髄との連結路

・後脊髄小脳路、前庭小脳路、オリーブ小脳路、網様体小脳路(求心性)

・室頂延髄路、小脳網様体路、小脳オリーブ路(遠心性)

 

(図を参照) 

 

 

このように体性感覚には

 

多くの伝導路があり

 

身体を動かしているときは勿論

 

身体を動かさなくても

 

ただ 触れたり

 

触れられるだけでも

 

常にこれらの伝導路を通して

 

体性感覚情報は

 

脳に伝えられており

 

姿勢の維持や

 

感覚情報だけではなく

 

感情などにも

 

関わっているため

 

とても大切な

 

伝導路になります

 

 

このように体性感覚は

 

脳と密接な関係にある為

 

自分や他の方の身体に

 

優しく触れたり

 

触れられることで

 

脳が 喜んだり

 

活性化してくれます 

 

身体が疲れている時などは

 

ご自身の身体に

 

感謝の氣持ちを込めて

 

さすってあげるだけでも

 

身体が 楽になりますので

 

試してみて下さい

 

 

また 伝導路は

 

身体の不具合が

 

どこで どのように

 

起こっているのかを

 

知る為の重要な

 

手掛かりにもなる

 

とても大切な神経回路になります

 

 

次回は この体性感覚の続きで

 

大脳皮質中心後回

 

一次体性感覚野などについて

 

書いていきたいと思っております。

 

皆様のお役に少しでも立てれば幸いです。

 

【お読み頂きまして ありがとうございました】

前回の姿勢制御のメカニズムその2

 

の姿勢を制御するための

 

重要な3つの感覚システム

 

視覚・前庭・体性感覚の

 

前庭システムからの続きで

 

体性感覚システムになります。

 

 

[ 体性感覚システム ]

 

人間の感覚は 

 

大きく分けて

 

○ 特殊感覚

視覚・聴覚・嗅覚・味覚・平衡感覚(前庭覚)

 

○ 体性感覚

触覚・温度感覚・痛覚・運動感覚(固有受容覚)

 

○ 内臓感覚

臓器感覚(空腹、尿意、便意、吐き気など)・内臓痛

 

の三つになります

 

体性感覚は

 

この三つに大別された感覚の

 

一つになります

 

また 五感の

 

視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚

 

の内の触覚を含む感覚で

 

視覚、聴覚、嗅覚、味覚といった

 

頭部に局在する特殊感覚器と違い

 

全身に広がる感覚器になります

 

人間の感覚器官の中で

 

最も大きいものといえます

 

この体性感覚は

 

痛みや温度などを感じたり

 

身体の表面や内部の変化に反応し

 

適切な運動反応、動作や

 

姿勢のバランスの保持など

 

にも関与しており

 

とても大切な感覚器になります

 

また 脳の発育過程の中で

 

最も重要な土台となる

 

感覚器でもあります

 

 

体性感覚とは

 

体性感覚とは、 皮膚、粘膜、筋、腱、靭帯、骨膜、関節嚢などの身体を構成する組織にある受容器の興奮により生じる感覚のことをいい 受容器のある部位により表在 (皮膚) 感覚深部感覚に分けられます。

 

表在 (皮膚) 感覚は、皮膚あるいは粘膜に存在する受容器により刺激を受け取る感覚のことをいい 触覚・圧覚・痛覚・温覚、冷覚などがあり 主に皮膚表面における感覚になります。

 

深部感覚は、骨膜・筋・腱・関節嚢・靱帯に存在する受容器により刺激を受け取る感覚 または その運動から起こる感覚のことをいい 手足などの相対的な位置(位置覚)や運動の方向(運動覚)がわかる運動感覚、物体などの振動刺激を感じる振動覚、骨 膜・筋・腱などに強い圧迫や持続的な刺激が加わって生じる痛みの感覚(深部痛覚)などがあり 主に身体内部の感覚になります。深部感覚には「意識性深部感覚」と「非意識性深部感覚」があり、意識性深部感覚、身体動作時に身体の位置や方向、さらに運動の程度を認識・意識している大脳皮質が関わる感覚のものをいい非意識性深部感覚は、身体動作時に意識にのぼらない繊細な関節や筋・腱の情報(筋肉や腱、皮膚がどれくらい伸びているか、関節がどれくらいの内圧・角度で動いているかなど)を小脳レベルで、常に筋肉や関節などの状態をチェックし、姿勢保持や関節運動の調整に働いている感覚のものをいいます。

 

 

また、体性感覚には 複合感覚という感覚が 有り 複合感覚、触っている物が何なのか、手の中にコインが何枚入っているか、などの具体的な感覚情報を感じることができる感覚になります。複合感覚には、物を触ったり握ったりすることで そのものを判断出来るような感覚(立体認知覚)や、皮膚の上を二点同時に触れた事を認識出来る感覚(二点識別覚)、皮膚上に書写された文字を認識出来る感覚(皮膚書字覚)、物の重さなどを感じる感覚 (重量覚・重量認知覚)などがあり 表在、深部感覚などの複数の体性感覚が頭頂葉で統合し、感覚として変換されることで、重さ・形など複雑な感覚情報を具体的に認識することが出来る、知覚を含む高度な感覚になります。

 

[ 体性感覚 ]

1. 表在 (皮膚) 感覚(superficial sensation)

・触覚

・圧覚

・痛覚

・温度覚

・皮膚痛覚

 

2. 深部感覚(deep sensation)

・位置覚

・運動覚

・振動覚

・深部痛覚(圧痛)

 

3. 複合感覚(combined sensation)

・立体認知覚

・二点識別覚

・皮膚書字覚

・局在覚

・重量覚 (重量認知覚)

 

 

体性感覚の感覚受容器について

 

表在 (皮膚) 感覚受容器

 

大きく分けて 

 

・機械受容器 (メカノレセプター)

・温度受容器 (温度感覚器)

・自由神経終末 (侵害受容器)

 

の3つがあります。

 

機械受容器 (メカノレセプター)

外部の物体との接触や運動・姿勢の変化によって起こる圧迫・伸展など 組織の機械的変形を検出する細胞になり 動きや力を感じ、表在 (皮膚) 感覚の触覚や圧覚を受け持ちます。この機械受容器には、指腹部や手のひらなどの無毛部にメルケル細胞・マイスネル小体・パチニ小体・ルフィニ小体などの細胞と有毛部には毛包受容器、真皮や口腔にはクラウゼ小体(クラウゼ終棍) などの細胞があります。これらはずべて触覚・圧覚を感じる機械受容器ですが、感じることができる範囲(受容野)の広さと刺激に対する応答のなれ(順応速度)の速さなどがそれぞれ違い、異なる性質をもっております。 

 

【備 考】

・体性感覚系の機械受容器の順応速度とは、刺激に対して慣れる速さのことをいい、順応速度が速いということはその刺激にすぐ慣れて感じにくくなることで、順応速度が遅いということはその刺激になかなか慣れずに敏感な状態が続くということになります。生体にとって危険な刺激に対する感覚ほど順応は遅く敏感な状態が続きます。順応速度は、順応速度が遅い「遅順応:Slowly Adapting(SA)」の受容器と 順応速度が速い「速順応性:Rapidly Adapting(RA)」の受容器に分かれます。

 

・体性感覚系の機械受容器の受容野とは、皮膚あるいは器官の一領域で、感覚処理系の個々の細胞が、外界あるいは体内に生じた刺激に対し、感覚受容器を通じて、反応することのできる範囲になり機械受容器の小さな受容野を「Ⅰ型:受容野が小さく、境界が比較的鮮明 」大きな受容野を「Ⅱ型:受容野が広く、境界が不明瞭 」とに分類されます。

 

 

⚫︎ メルケル細胞 (メルケル盤)

(順応速度:SA・受容野:Ⅰ型)

メルケル細胞とは、表皮と真皮の境界に位置しており、機械受容器の中で最も皮膚表面に存在しています。有毛皮膚と無毛皮膚の両方に存在しており、特に指先や唇などに多く存在します。メルケル細胞は、受容野が狭く、境界がはっきりしているため、繊細な触覚や物の感触・質感・手触りを感知します。また、刺激の位置を正確に特定する軽い圧力・識別性触覚に特に応答します。点字を読む際などに決定的な役割を果たします。

 

メルケル細胞は、刺激の開始時に高い頻度で応答し 静的な刺激にも応答し続け 軽い接触や圧力など皮膚の変形を感受する感覚受容器になります。

 

 

⚫︎ルフィニ小体 (ルフィニ終末)

(順応速度:SA・受容野:Ⅱ型)

ルフィニ小体とは、有毛皮膚と無毛皮膚の両方の表皮の深部に位置しており、皮膚の引っ張る方向や大きさの検出、と皮膚と深部組織との間の緊張の検出をしています。この受容器は、皮膚の押し込みよりも引っ張りに強く応答するため、特に手で把握された大きな対象物の形などに感受性があります。また、関節内の皮膚の引っ張りや変形を検出することで、指やその他の関節の運動を符号化することができるため、運動感覚(関節運動)を制御する上で重要な器官になります。これにより物を握る時の強さを自動的にコントロールすることが出来ると考えられています。掌や足の裏に多く存在し、触圧覚情報の他に温感受容器としての役割も持っています。

ルフィニ小体は、静的な刺激にも応答し続け 関節内の皮膚の伸長や変形を感受する感覚受容器になります。

 

 

⚫︎ マイスネル小体 (マイスナー小体)

(順応速度:RA・受容野:Ⅰ型)

マイスネル小体とは、手掌、足底、手指先、足指先や唇、舌尖などの無毛皮膚に存在し、皮膚の中でも真皮と表皮の境界である皮膚の浅層の真皮乳頭に位置しております。繊細な触覚や物の感触・質感・手触り・圧力や低周波の振動などを感知します。

マイスネル小体は、動的な刺激に応答し低周波振動の感度が高く触覚情報を処理する感覚受容器になります。

 

 

⚫︎ パチニ小体

(順応速度:RA・受容野:Ⅱ型)

パチニ小体とは、無毛皮膚と有毛皮膚の両方に存在し、皮下組織や深部組織に存在しており、皮膚や粘膜の深層、骨膜、関節包、内臓、生殖器などに見られ、あらゆる圧の変化と高周波振動を感知しています。

パチニ小体は、動的な刺激に応答し 高周波振動の感度が高く圧の変化を感受する感覚受容器になります。

 

 

⚫︎毛包受容器 (柵状神経終末)

(順応速度:速い)

毛包受容器とは、毛根には神経が豊富に分布し 毛包に神経終末が柵状に巻きついたものが毛包受容器になりす。

毛包受容器は、毛幹の傾きの変化・動き感知して、有毛部の触覚情報を処理する感覚受容器になります。毛は鋭敏な触覚器官になります。

 

 

⚫︎クラウゼ小体 (クラウゼ終棍)

(順応速度:非常に遅い)

クラウゼ小体とは圧覚や触覚、冷覚などを感知する感覚受容器になります。 真皮、結膜、口腔、鼻腔粘膜下に存在しています。

 

 

自由神経終末 (侵害受容器)

自由神経終末は、侵害受容器ともよばれ 痛みを感じる受容器になります。自由神経終末は、触覚、嗅覚、味覚などのように特殊な受容器や特定の構造を持たない受容器で、Aδ線維(有髄)、 C線維(無髄)などの末梢神経の神経線維の先端にあり 先端が細くなっている状態で存在しています。終末部が刺激を受容するための特殊の構造をしていないことから、この名前が付けられたとされています。この自由神経終末は、表皮、真皮、皮下組織をはじめ、筋肉の腱や靱帯、骨膜(骨を覆っている膜)、筋膜(筋肉を覆っている膜)、神経を覆う膜、椎間板の一部(正確には線維輪の外側2層まで)など多数の自由神経終末が存在しており、それらに異常が生じた場合に危険信号として 脳へと痛みを伝えます。自由神経終末 (侵害受容器)には、機械的侵害受容器、熱侵害受容器、冷侵害受容器、ポリモーダル侵害受容器などがあります。

 

【備 考】

有髄Aδ線維と無髄C線維とは

末梢神経の神経線維には、髄鞘の有無、線維の太さ、伝導速度、機能などにより、Aα(アルファ)・Aβ(ベータ)・Aδ(デルタ)・B・C線維に分類されており、Aδ線維とC線維は、そのうちの一つになります。

 

Aδ線維、細い有髄神経で、伝導速度は、比較的速く、痛み感覚や冷感覚などの情報を伝える神経線維(感覚受容器)になり 部位のはっきりする鋭く速い痛み「チク」や「ピリ」などの鋭い痛みを伝えます。Aδ繊維は、C繊維より伝導速度が速いため、受傷した瞬間に鋭い痛みとして伝えられます。

「速く鋭い痛み」は、識別性、局在性がよく、同じ部位の刺激では最初に(速く)感じられるので「一次痛」といわれており 一次痛の侵害受容器には、強い機械的刺激のみに応じる機械的侵害受容器(高閾値機械受容器)などがあります。 

 

C線維、細い無髄神経で、伝導速度は、遅く、痛み感覚、温感覚などの情報を伝える神経線維(感覚受容器)になり 鈍く遅い痛み「ジンジンする」などの鈍い痛みを伝えます。

「遅く鈍い痛み」は、局在性が悪く、一次痛よりも後に感じられるので「二次痛」といわれており  二次痛の侵害受容器には、すべての侵害刺激(機械的、化学的、熱的)に応じるポリモーダル侵害受容器などがあります

 

(図を参照) 

 

温度受容器 (温度感覚器)

温度受容器とは、外界の温度に関する情報、温度刺激を感じ脳に伝える受容器で、温かさに反応する温覚の温受容器(温点)と、冷たさに反応する冷覚の冷受容器(冷点)とがあり 冷覚のほうが温覚に比べて受容器の数が多く、より表面に近く分布しています。この冷覚と温覚を司る温度受容器には、自由神経終末、クラウゼ小体(冷覚)、ルフィニ小体(温覚)とされています。また、温度覚は、大きく分けて 冷覚の「冷」と「涼」と温覚の「暖」と「暑」という4 つの異なる感覚があり、これらの感覚は、外気温あるいは身体と接触している対象物表面の温度と、通常約 32°Cの皮膚温度との温度差に起因して生じます。この温度覚は、皮膚温度の急激な変化にきわめて敏感ですが、体から熱を放出したり 体熱を保持したりするために行われる皮膚の血管開閉によって生じる皮膚温度の大きな変化には気がつかないといわれています。また、3 1 ~ 36°C の範囲内で皮膚温度がゆっくり変化する場合も、その変化に気がつかず、31°C以下の場合、温度低下に伴って生じる感覚は、「涼」から「冷」に移行し、最終的に10 ~ 15°C まで低下すると「痛み刺激」に変わり 36°C以上の場合は、温度上昇に伴って生じる感覚は、「暖」から「暑」に移行し、そして45°C以上に上昇すると「痛み刺激」に変わといわれております。この「痛み刺激」には、自由神経終末が関与しています。

 

(図を参照) 

 

深部感覚 (固有感覚)受容器

 

深部感覚とは、

 

身体の動きに関する情報を

 

伝えてくれる大切な感覚で

 

身体がどのように動き

 

変化しているのかを

 

知覚するために重要な

 

役割を担っています。

 

深部感覚の受容器には 

 

関節の動きに関連する

 

受容器として

 

関節包にある

 

ルフィニ小体・パチニ小体

 

関節靭帯にあるゴルジ受容器

 

などがあり

 

筋、腱に存在する受容器には

 

筋紡錘ゴルジ腱器官

 

などがあります。

 

また 深部痛覚は

 

筋の血管周囲や関節包にある

 

自由神経終末になり

 

意識性深部感覚の受容器は

 

パチニ小体、マイスネル小体

 

非意識性深部感覚の受容器は

 

筋紡錘、ゴルジ腱器官

 

になります

 

 

筋紡錘とは

筋紡錘は、錘内筋線維ともよばれ骨格筋(錘外筋線維)に内包されている感覚受容器で、筋線維に沿うように多数、配置されており、筋肉が伸ばされると筋紡錘も一緒に伸ばされます。この筋紡錘は、筋の長さとその変化速度を検出する感覚受容器になります。筋の長さの変化はその筋が関わる関節角度の変化と密接に連関しているため 非常に重要な感覚器になります。また、筋肉が急に伸ばされた際、筋肉を守るためにブレーキの役割も果たします。

 

 

ゴルジ腱器官(受容器)とは

ゴルジ腱器官は、骨格筋と腱の移行部にあるコラーゲン線維の皮膜に覆われた構造を持つ腱の感覚器になります。また、ゴルジ腱器官は、2種類の役目を持っており、一つは関節への負荷や曲がり方などを感知して運動感覚を得ることと、 もう一つは過剰な力によって腱や靱帯が損傷しないための安全装置になります。

 

(図を参照) 

 

体性感覚に関わる原始/姿勢反射

基本的にどの原始/姿勢反射にも関わってきますが、皮膚感覚受容器でいくと特に口唇、舌、手掌、足底が 敏感で、様々な反射がみられます。

 

探索反射吸啜反射

(口の周りや口唇を指で触ると、その方向に顔を向け、指を吸おうとする)

 

・足底把握反射・手掌把握反射

(赤ちゃんの足の裏や、手のひらを指で押さえると指を握りしめようとする)

 

・起立反射・自動歩行反射

(赤ちゃんの腋の下を持って立たせると、足を床につけて起立し、前に傾けると数歩、歩行する)

 

などの反射があります。

 

 

このように体性感覚には

 

色々な感覚を

 

受け取る受容器が

 

たくさんあります

 

そして 体性感覚の触覚は

 

胎児が 子宮内での生活で

 

最初に現れる感覚といわれ

 

口の周囲から指先などの順に

 

出現するといわれています

 

妊娠約7~8週頃では

 

口元の刺激に対して顔を向け

 

妊娠 約14週頃では

 

手を口に持っていき

 

妊娠 約20週を過ぎると

 

指しゃぶりが

 

みられるようになり

 

満期になると

 

触覚だけではなく

 

痛覚、温度覚、圧覚も

 

備わっていくといわれています

 

他の感覚の視覚や聴覚は

 

約24週頃から機能し始めると

 

いわれているため

 

生まれてすぐの

 

赤ちゃんの感覚の中で

 

最も発達している部分が

 

体性感覚の触覚になります

 

 

このように最初に発達する感覚

 

触覚は 外界で生活する上で

 

とても重要な感覚だといえますね

 

 

次回は この体性感覚の続きで

 

体性感覚の伝導路について

 

書いていきたいと思っております。

 

皆様のお役に少しでも立てれば幸いです。

 

【お読み頂きまして ありがとうございました】

前回の姿勢制御のメカニズムその1

 

の姿勢を制御するための

 

重要な3つの感覚システム

 

視覚・前庭・体性感覚の

 

視覚システムからの続きで

 

前庭系システムになります。

 

 

  前庭系システム

前庭系は、特殊感覚のひとつで 平衡感覚に必要なシステムになり 主に頭の位置と動きについての情報を集めている器官で 耳石器と三半規管で 構成されています。耳石器は、球形嚢・卵 形嚢で構成されており 頭部の重力に対する定位および直線加速度を感知する受容器で 球形嚢は 垂直性を卵形嚢は 水平性の加速度を感知しています。耳石器は、空間での頭部の位置をモニターすることで 姿勢の制御をおこなっており 頭部の静的位置をおもに検出しています。 三半規管は、頭の回転運動を感知する受容器で 前(上)半規管(前後回転)・後半規管(左右回転)・外側(水平)半規管 (水平回転)で構成されており 各半規管が 3次元空間内で互いに直交するように配置されることで 各方向の回転加速度を感知する仕組みになっています。三半規管は、つまづいたときなど、突然に頭部や身体が動いたときなどに平衡を保持する制御をおこなっており 頭部の動的位置変化にともなう加速度を検出しています。

(図を参照)

 

このように 前庭システムは、自分の身体の傾きやスピード、回転を感じる感覚になり、その感覚情報を脳が利用することで、身体のバランスを保ち適切な動作を行うための重要な器官になります。また、前庭システムには姿勢に関わる大切な反射「前庭脊髄反射」、「前庭頸反射」、「前庭動眼反射」や自律神経に関わる「前庭自律神経反射」などがあります。

 

 

⚫︎ 前庭脊髄反射( VSR ):Vestibulo Spinal Reflex

頭部の位置や加速度の変化に対して、頸部や体幹の筋緊張を制御し 安定した姿勢を維持するための反射になり 前庭の刺激情報が脊髄を通り 下位頚髄、胸髄、腰髄を介することで 頚部や四肢の伸展筋を調節し、姿勢保持と平衡維持などをおこなう働きをしています。例えば、転びそうになった時などに同側の手足や体幹などの伸展筋群を緊張させ、転倒しない様に自然と踏ん張るなどの動作をします。

 

○前庭脊髄反射が上手く働かないと

・姿勢が維持できない、崩れやすくなる

・すぐに寝転がりたがる

・転倒しやすい

などの症状が起こりやすくなります。

 

○関わりのある原始・姿勢反射

立ち直り反射(迷路性、体性、頸筋性、視覚性) 

緊張性迷路反射

 

⚫︎ 前庭動眼反射( VOR ):Vestibulo Ocular Reflex

頭が動いたときに頭の方向と反対方向に眼球を動かすことで、網膜に映る外界の像のぶれを防ぎ、頭が動いているときにも対象物が見えにくくならないように視野を安定化させる反射で、頭の動きによる三半規管刺激と視覚刺激による眼球運動により起こる協調視線制御になります。この前庭動眼反射は、内耳中の前庭器官の三半規管が頭の動きを検出し前庭神経核を介して延髄に送られ、前庭核で中継された後、眼球を動かす外眼筋の運動ニューロンへと伝えられます。前庭核内の中継ニューロンには興奮性と抑制性の2種類があり、一つの筋肉が収縮すると同時にこれと拮抗する筋肉が弛緩して眼球が一方向に動く仕組みになっています。

(前回のブログ記事で説明した視覚システムの視線安定化に関わる反射になります。)

 

○前庭動眼反射が上手く働かないと

・動くものを目で追う「追視」ができない、苦手

・ものをじっとみる「注 視」ができない、苦手

・集中力が持続しない

などの症状が起こりやすくなります。

(図を参照)

 

⚫︎ 前庭頸反射( VCR ):Vestibulo Collie Reflex

頭頚部や上半身の位置が地面に対して大きく傾いた際に、三半規管が頭部の傾きを感知し、頭部を地面に対して垂直になる様に安定させる反射になります。例としては、つまずいて倒れそうになった時などに頭を上げることで 頭部を垂直な位置に保ち身体を安定させようと働きます。この前庭頸反射は、半規管ー前庭神経ー前庭神経核ー前庭脊髄路ー頸筋運動ニュ-ロンの経路で頭部を安定させるのと同時に頸動眼反射(COR:Cervico Ocular Reflex = 頸部からの入力によって引き起こされる眼球運動で、上部頸椎からの情報が前庭神経核を経由し 動眼神経核、滑車神経核から 外眼筋を支配して眼球運動を調整する反射になります。また、前庭動眼反射とも関係が深く 相互に影響しあっている反射といわれています。) とともに 眼球のブレを調整します。

 

○前庭頸反射が上手く働かないと

・転倒しやすい又転倒時に顔を打ちやすい

・運動が苦手

・バランス感覚がよくない

などの症状が起こりやすくなります。

 

○関わりのある原始・姿勢反射

迷路性立ち直り反応/頚性立ち直り反応

(図を参照)

 

⚫︎ 前庭自律神経反射

平衡感覚を脳に伝える前庭神経に過度な刺激が入ると、過度な刺激で引き起こされた前庭神経の強い活動が 循環、血圧、呼吸などをコントロールする自律神経系の反応を誘発し、動悸、吐き気、嘔吐、顔面蒼白、冷や汗などの自律神経反射をひき起こす反射で、非日常的 または 過大な前庭刺激による空間情報の混乱に対する生体への警告反応と考えられており、感覚混乱による反射といわれております。

 

○前庭自律神経反射が上手く働かないと

・乗り物酔いをしやすい

・ゆれをひどくこわがる

・不慣れな姿勢を極端にこわがる

などの症状が起こりやすくなります。

 

 

次に前庭システムの前庭情報の伝達としては

 

前庭器官(半規管+耳石器)で検知した

 

情報(前庭感覚)は

 

前庭神経節を経て

 

脳幹の橋と延髄の移行部にある

 

前庭神経核に伝えられます。

 

また、前庭器官の情報の一部は

 

下小脳脚を通って直接小脳に達し

 

そして 前庭神経核へと出力されます。

 

このように前庭神経核を中心とした

 

神経回路を総称して

 

前庭神経路(前庭系)といいます。

 

この前庭神経路の中心となる

 

前庭神経核は 

 

4つの核で構成されており

 

外側前庭核、内側前庭核

 

上前庭核、下前庭核

 

になります。

 

⚫︎ 外側前庭核(外側核)

外側前庭核は、前庭器官のすべての部分および前庭小脳(前庭小脳とは、おもに片葉小節葉からなり 内耳の前庭器から平衡覚の入力を受け 前庭神経核に出力します。頭部と眼球の運動を調節し 身体の平衡を保つ働きがあります。)からの入力(求心性線維)を受け取ります。前庭小脳からの入力は、頭の傾きと重力に関する情報(抑制性)が伝えられます。また、外側前庭核からの出力(遠心性線維)は、主に「外側前庭脊髄路」になります。外側前庭脊髄路とは、主に耳石器(卵形嚢・球形嚢)からの入力を受け、腰髄までの脊髄全域に同側性にのみ投射しており、頚部・体幹・上下肢の全てに影響を及ぼし、上下肢を含む全身の前庭脊髄反射に関係しています。また、外側前庭脊髄路の細胞は、興奮性細胞のみになり、主に頚部および四肢の伸筋群活動を促進し、四肢の屈筋群の活動を抑制します。例としては、頭部が左に急に大きく傾くとその情報は前庭器官から前庭神経核に伝えられ、外側前庭脊髄路を経て左側の下肢の伸展筋を活動させることで、左足が伸ばされ踏ん張ることで 身体を支えバランスを保とうとする働きをします。

 

[ 入 力 ]

・耳石器・半規管・小脳

[ 出 力 ]

・外側前庭脊髄路(同側の頸髄・胸髄・腰髄の全ての脊髄)

[ 働 き ]

・頸部や体幹、四肢の抗重力筋の賦活

前庭脊髄反射

 

⚫︎ 内側前庭核(内側核)

内側前庭核は、主に半規管(外側半規管)からの入力(求心性線維)を受け取ります。内側前庭核は、上行線維と下降線維があり、上行線維は 内側縦束(MLF)という線維を介して正中線を横切り反対側の傍正中橋網様体(PPRF:橋にある水平眼球運動の中枢で注視などに関わります)および外眼筋の反対側の運動核(外転神経、動眼神経、滑車神経)を神経支配しています。 この経路は前庭動眼反射に関わり 垂直および回転運動中の明瞭な視界に重要になります。下降線維は、両側に分かれて内側縦束を下行し 大部分は頚髄および上部胸髄レベルで終了します。この経路を「内側前庭脊髄路」といいます。この内側前庭脊髄路は、前庭頚反射など頭と首の姿勢を安定させる役割があります。また、内側前庭脊髄路の細胞には興奮性のものと抑制性のものがあり、原則として興奮性のものは対側の脊髄を下行し、抑制性のものは同側の脊髄を下行しますが、対側の脊髄を下行する抑制性細胞も少数存在するといわれており、主に頚部や背筋群の運動の抑制や興奮に関わります。例としては、頭部が左に急に大きく傾くとその情報は前庭器官から前庭神経核へ伝えられ、内側前庭脊髄路を経て右側頚部の伸展筋を収縮させることで頭部を右に傾けバランスを保とうとします。また、 内側前庭核は、片葉小節葉および小脳虫部の前部と後部を含む、小脳のいくつかの部分にも投射しています。

 

[ 入 力 ]

・主に半規管

[ 出 力 ]

・内側前庭脊髄路

・小脳

[ 働 き ]

・頸部筋群制御による頭部と眼球の相互調整

前庭動眼反射/前庭頸反射/頭部立ち直り反射

 

 

⚫︎ 上前庭核(上核)

上前庭核は、主に半規管(前半規管と後半規管)からの入力(求心性線維)を受け取ります。 上前庭核の出力(遠心性線維)は、内側縦束 (MLF) に入り 滑車神経核および動眼神経核の同側に投射します。また、上前庭核は、下前庭核からの線維と結合して、前庭小脳の片葉小節葉内の室頂核に向かいます。 片葉小節葉はバランスの維持に関与しており、反射性眼球運動への適応に重要です。また、上前庭核は、視床の核にも投射しています。

 

[ 入 力 ]

・主に半規管 

[ 出 力 ]

・同側の動眼、滑車神経核

・小脳、視床

[ 働 き ]

・頭部可動時の注視(眼球運動)の安定に関わります。

前庭動眼反射

 

⚫︎下前庭核(下核)

下前庭核は、主に卵形嚢と球形嚢からの入力(求心性線維)を受け取ります。 下前庭核の出力(遠心性線維)は、他の3つの前庭神経核と小脳への投射があります。下前庭核および内側前庭核からの下降投影は、血流、呼吸数、および心拍数に影響を与える前庭交感神経反射(前庭系を介した交感神経の活性化で、頭の傾きと重力の情報を受け取り、その結果、起立時の血流、呼吸数、心拍数に影響を与えます。)を調節します。 さらに、内側前庭脊髄路と外側前庭脊髄路の両方に、下前庭核に由来する線維があります。

 

[ 入 力 ]

・主に卵形嚢と球形嚢

[ 出 力 ]

・小脳

・内側前庭脊髄路の一部

・外側前庭脊髄路の一部 

[ 働 き ]

・姿勢調節(体幹•四肢の筋緊張の調整。身体の平衡機能を担う。)

前庭脊髄反射/前庭動眼反射/前庭頸反射/頭部立ち直り反射

 

(図を参照)

 

 

このように前庭系は、とても複雑なため

 

解明されていない事柄も多く

(前庭系だけに限らずですが)

 

未知数な感覚器官ですが

 

前庭器官の入力は 多くの運動応答の

 

協調にとって とても重要であり

 

眼の安定や 立位・歩行の姿勢安定の

 

維持などに重要な働をしてくれます

 

ですので、前庭機能が異常を起こすと

 

眼の焦点を合わせることや

 

バランスを維持することなどの

 

身体の平衡保持が困難になり

 

眩暈や乗り物酔い・メニエール病などの

 

症状をおこしやすくなります

 

また、平衡感覚は自己意識とも

 

関係することが分かっており

 

前庭感覚器系の機能低下や

 

障害のある方などは

 

無意識下で 身体感覚が 

 

不安定になるため

 

身体像や自己認識が

 

脅かされ

 

強い不安感に

 

陥るといわれております。

 

前庭感覚は

 

自己意識にも関わる

 

重要な感覚器になります。

 

 

視覚と前庭覚のトレーニング方法

 

⚫︎ 眼球を動きやすくする方法

 

1)眼球運動の検査

正面を向き眼で、アルファベットの『H』の文字をなぞるように動かしていきます。

1、眼を平行に右へ(右横方向へ)移動させ、その位置から上へ移動、そこから下へ移動させます。左方向も同じように行って下さい。

2、左右平行移動後からの上下で、眼球が、動かし辛い方向を見つけます。(無ければ正常です。)

 

2)眼球運動の調整

1、眼の動かし辛い方向に眼を向け舌を出来るだけ強く押し出します。

(例:眼を左斜め上に 動かし辛い場合は、舌を左斜め上に出来るだけ強く押し出します。)

2、回数は、2,3回でも動きやすくは なりますが、疲れる位まで行うと身体的にも効果(姿勢の改善など)が 出やすくなります。

(もし上記で効果がない場合は、舌が出にくい方向に舌を出して行ってみて下さい。)

(図を参照)

 

⚫︎ 前庭覚のトレーニング方法

 

A)眼 球 トレーニング

両手に力ードを持って肘を伸ばし

顔の前におきます。

頭は動かさずに

2 つの力ードを交互に見ます。

左 右 •上 下 1 0 往復 1 日2 回位。

(図を参照)

 

 A)頭位 変換 トレーニング

カードを持って肘を伸ばし

顔の正面におきます。

カードを見たまま

頭を左右•上下に動かします

各 1 0 往復 1 日2 回位。 

(図を参照)

 

B)眼 球 トレーニング

カードを持って肘を伸ばし

顔の正面におきます。

頭は動かさずに

ゆっくり動かしているカードを見続けます

左 右 •上 下 1 0 往復 1 日2 回位。

(図を参照)

 

B)頭位 変換 トレーニング

カードを持って时をイ申ばし

顔の正面におきます。

カードをゆっくりと左右•上下へ動かし、

カードを見たまま

頭を力ードと同じように

左右•上下 に動かします。

各 1 0 往復 1 日2 回位。

(図を参照)

 

C)眼 球 トレーニング

カードを持って肘を伸ばし

顔の正面におきます。

頭は動かさずに

早く動かしているカー ドを見続けます。

左右・上 下10 往復1 日2 回位。

* 眼球トレーニング B)の早いバージョンになります。

 

C)頭位 変換 トレーニング

カードを持って肘を伸ばし

顔の正面におきます。

カードをゆっくりと左右・上 下 へ動かし、

カードを見たまま

頭をカードと反対に 左右・上下 に動かします。

各 10 往復 1 日2 回位。

(図を参照)

 

 

小さなお子さまの場合は

 

カードではなく

 

お気に入りのおもちゃなどを

 

使用してみて下さい。

 

また、回転する椅子を使い

 

顔を正面に向かせたまま

 

椅子を回転させる方法や

(図を参照)

 

 

棚の上の物を取り

 

床に置いたり

 

その逆の床の物を取り

 

棚の上に物を置く運動でも

 

前庭覚のトレーニングになります。

 

小さなお子さまの場合は

 

上記のような動作を取り入れた

 

遊びを行うと良いと思います。

 

このような視覚と前庭覚の

 

トレーニングを行うことで

 

姿勢が 改善されたり

 

バランス感覚の向上

 

などの効果が 期待されます。

 

また、脳も鍛えられますので

 

ぜひ試してみて下さい。

 

 

次回は 今回の続きで体性感覚

 

について書いていきたいと思っております。

 

皆様のお役に少しでも立てれば幸いです。

 

【お読み頂きまして ありがとうございました】

今回は 原始・姿勢反射の重要性や

 

発達しょうがいについて理解する

 

ためにも とても大事な

 

姿勢制御のメカニズムになります。

 

また 姿勢制御のメカニズム内の

 

何処かで 問題があると

 

頭痛、めまい、ふらつき

 

などの症状や歩行障害

 

身体麻痺, 認知機能障害などを

 

引きを越す要因でもあり

 

身体を動かすためには

 

とても重要なメカニズムになります。

 

 

姿勢制御とは?

 

姿勢をコントロールする能力で

 

人間が 静的・動的運動動作を行う際に

 

常にその動きに合わせて

 

身体バランスなどを無意識下で

 

コントロールしており

 

日常生活の歩いたり

 

座る、立つなどの

 

基本的な生活動作はもちろん

 

スポーツなどで行う投げる動作や

 

走る・ジャンプ・打つ・泳ぐなど

 

あらゆる動作において

 

必要とされる能力です

 

この姿勢制御は 2つの要素から

 

構成されているといわれており

 

・姿勢の定位(postural orientation)

( 定位 = 動作に関与する身体と環境との間の関係を適切に保持する能力で 重力、支持面、視覚環境、および内部表象( 身体の状態把握 )に対する身体のアライメントと筋緊張の調整制御のことをいい、質や方向性をコントロールし、予測的に行われる制御になります。)

 

・姿勢の安定((postural stability) 

( 安定 = バランスや平衡と同義とされており身体各部の位置を他の部位や環境に対して適切に保ち身体の重心を安定させるための感覚運動調整のことをいい強さや速さをコントロールし、与えられた刺激に対して起こる制御になります。)

 

の要素になります。

 

これらの姿勢を制御するためには

 

感覚情報が必要になります。

 

この感覚情報を得るための

 

重要な3つの感覚システム

 

視覚・前庭・体性感覚 があります。

 

視 覚システム

視覚は、視力(対象物の形態を識別する能力)だけではなく、物体との距離感や姿勢、動作、痛み、思考などの心身に至るすべてに影響を与える非常に複雑かつ重要な器官になります。視覚は、姿勢のバランスを維持するための感覚情報の主要なシステムの一つであるため、視覚環境を改善することで姿勢の安定性が向上します。

 

そして 視覚の制御には、2つの機能分類があり視覚対象物を見るときに眼と頭を同時に動かすことによって視線を制御する機能「視線安定化」と、眼球を動かすことにより視線を制御する機能「視線移動」があります。

(図を参照) 

 

視線安定化

視線安定化は、眼と頭を同時に動かすことによって視線を制御する機能で、眼と頭を同時に動かし対象物を見る際に網膜に映る対象物の映像がぶれないようにする働きがあり 歩いている時など頭部が上下 左右に揺れていても対象物を明瞭に見ることができる機能になります。この視線安定化は、頭の動きによる前庭(三半規管刺激)と眼球(視覚刺激)により起こる眼球運動(前庭動眼反射)の協調による視線制御になり 頭を動かした時に頭の運動方向と加速度を前庭系にあるセンサー(半規管と耳石) が捉え、頭が動いた時には目を頭と反対方向に動かし(例:頭が右に動くと、眼球は左に動く) その後眼球は反対方向に急速に動き目を正面の位置に戻す(例:頭の動きが止まると、眼球は左から右に動き正中の眼位に戻そうとする) 働きを行うことで 頭を動かしながらでも視標を視界の中央にとらえ続けることにより 網膜上の映像を固定しようとする眼球運動になります。また、視線を安定するには、両眼が同じ方向に動く共同運動が必要になってきます。

(図を参照) 

 

視線移動

視線移動は、眼球を動かすことにより視線の制御をする機能で、視覚対象が変化・移動したときに視線が制御され視覚対象を追い 焦点に合わせ捕らえ続ける働きや 対象物が静止している時には、眼球が動かないようにし視覚対象を焦点に合わせ捕らえ続ける働きなどをする機能になります。この眼球運動系には 追従眼球運動(パスート)・輻輳開散眼球運動・跳飛性眼球運動(サッケード)の3つの眼球運動システムがあり身体動作にも関わるとても重要な運動になります。

 

3つの眼球運動システム

 

⚫︎ 追従眼球運動(滑動性眼球運動やパスートとも呼ばれます)

視覚対象物の動きに合わせて視線を外すことなく滑らかに対象物を目で追いかけるために必要な運動になります。これができないと視線を正しい位置に維持できず、 目と身体のチームワークも行えなくなります。

 

⚪︎ 追従眼球運動の例として

・転がっている ボールを目で追う

・書き順を目で追う

・ものをじっと見る

など

 

また 追従眼球運動の動きが悪い状態だと

・本を読む時に文字を読み飛ばす

・文字を綺麗に書くことが出来ない

・ハサミ、折り紙など指先を器用に使うことが出来ない

などの症状が起こりやすくなります。

 

⚫︎ 輻輳開散眼球運動

両目を同時に内側に向ける運動で 遠くのものから近くのものに視線を移すときなどに両目の間の角度を変えることで前後の焦点を合わせ、視覚対象物からの距離の変化を調整し正確な距離を認識するために必要な運動になり近くを見るときに両眼が寄ることを「輻輳」と呼び、遠くを見るときに両眼が離れることを「開散」といいます。

 

⚪︎ 輻輳開散眼球運動の例として

・黒板とノートを交互に見る

・人物や風景などを描写する

・視覚対象との距離感を測る

など

 

また 輻輳開散眼球運動の動きが悪い状態だと

・手元の作業が苦手

・板書が遅い、 うまくできない

・集中力が持続しない、気が散りやすい

・運動全般、特に球技が苦手

などの症状が起こりやすくなります。

 

⚫︎跳飛性眼球運動(衝動性眼球運動やサッケードとも呼ばれます)

右から左、上から下と注視点を素早く変えるときに働く眼球運動で 視線を素早く動かす際に発生する網膜の映像の「ブレ」を認識しないように抑制する眼球運動になります。視覚対象物を追いかけている際に 眼球の動きが途中で停止する時間がありそこから瞬時にまた対象物に視線を向けるということを繰り返す運動が特徴になります。身の回りにある多くのモノから、素早く正確に自分の必要な情報だけを得るために必要な運動になります。

 

⚪︎ 跳飛性眼球運動の例として

・速く飛んでる虫を見る

・本の文字を目で追い、改行する

・人混みの中から人を探す

など

 

また 跳飛性眼球運動の動きが悪い状態だと

・読んでいる文字や列をすぐ見失う

・黒板の文字を写すのが難しい

・キャッチボールが難しい

などの症状が起こりやすくなります。

 

(図を参照) 

 

これらの眼球運動が正しく機能することで

 

情報を目から取り入れることができます。

 

 

そして この目から取り入れた

 

視覚情報を脳へ伝達する

 

視覚伝導路という

 

情報伝達経路があり

 

網膜→視交叉→視索→外側膝状体→

 

視放線→視覚野の順番で

 

視覚情報が入力され

 

脳の後頭葉にある大脳皮質

 

視覚野の一次視覚野で

 

情報処理されていきます。

 

この一次視覚野に入力された情報は

 

「腹側視覚経路」と「背側視覚経路」に

 

向かう二つの経路に分かれます。

 

また 視索の繊維のうち大部分は

 

外側膝状体に達っしますが

 

一部の視索繊維は視覚伝導路の

 

中継核ではない中脳の

 

上丘や視蓋前域に向かい

 

視蓋脊髄路から

 

眼球運動神経核や顔面神経

 

小脳と連絡していきます。

 

視蓋脊髄路は頭と体幹の運動を

 

眼球運動と協調させる役割を持っており

 

視覚性の運動反射などの

 

眼球や頭部の動きに関わり

 

特に対象物を視覚の中心で

 

とらえるときなどの動きに

 

重要な働きをします。

 

また 眼球に入る光の量の反射的調整

 

瞳孔反射など 瞳孔の大きさや

 

水晶体の厚さの調整にも関与しています。

 

(図を参照) 

 

そして外側膝状体から

 

一次視覚野に伝えられた

 

視覚情報は 色や明るさ・形など

 

物体の形状の情報を

 

主に処理している

 

「側頭葉」に向かう経路

 

腹側視覚経路」と

 

物体の位置や動きの情報を

 

主に処理している

 

「頭頂葉」に向かう経路

 

背側視覚経路

 

とに分かれます。

 

 

腹側視覚経路

この経路は 一次視覚野から「側頭葉」へ向かう「what経路(なに系)」といわれ、視覚対象が「何なのか」を理解し認知するための経路になります。腹側視覚経路の役割は、主に視覚対象の色や明るさ・形状を認識し、顔や文字・風景などの視覚情報を海馬に投射し 記憶からそれがどんな意味を持つのか分析・理解します。また前頭眼窩野にも投射されることで感情などの処理や、物の形に合わせて何かをするか などの判断がされるといわれており 左脳は言語的に、右脳はそのものが今置かれている環境に対して対象物が持つ意味について理解をしているといわれております。このように腹側視覚経路 は、物体の認識や表象(意識に上らせること)に関与するとされています。

 

(前頭眼窩野 = 感覚情報や記憶情報の統合、強化子 (reinforcer:報酬によって生じやすくした行動) の感情価 (affective value:快を求め,また不快をさけるべく行動) の表現、意思決定や期待に関連しているという考えが提唱されており 特に、ヒトの前頭眼窩野は報酬と罰に対する感受性に関連した行動計画を制御していると考えられております。) 

 

 

背側視覚経路

この経路は 一次視覚野から「頭頂葉」へ向かい その途中で下頭頂小葉へ向かう「腹背側視覚経路」と上頭頂小葉(主に頭頂間溝)へ向う経路「背背側視覚経路」とに分かれます。

 

⚫︎腹背側視覚経路

where経路(どこ系)」といわれ、視覚対象物が 3次元空間の中で「どこにあるか」といった対象物の位置についての空間的な情報と対象物の動き・運動方向や速さを知覚し分析・処理するための経路で 視覚対象物の「存在を意識する」といった意識的な認知に関与しています。

また、この経路は視覚情報を運動に変換する働きににも関わっており、コップをつかむためにコップの形状や持ち方に合わせて手や指の形を変えたりするプレシェーピング「Preーshaping」という到達把持動作があり、このプレシェーピングは、対象物を把持するまでに視覚情報による物体形状や特徴に応じて手や指の形を形態変化させ把持の準備する動作になり、このプレシェーピング動作に強く関わっている経路と言われております。

 

そして頭頂葉の下頭頂小葉が損傷や機能低下などが起こると半側空間失認という損傷の反対側の空間が認識できなくなる症状(右下頭頂小葉損傷の場合は,左側半分に見えているものを見えていないわけではないが、無視する 認識出来ないという症状です。)や構成失行という簡単な図柄の模写ができなかったり、立体的な図柄を描いたり、積み木がつめないなどといった運動ができなくなります。

 

 

⚫︎背背側視覚経路

HOW経路(どのように系)」といわれ、視覚対象物の形や位置、動きの情報を無意識的に分析・処理をし その視覚情報から対象に向けた行為(対象物に手を伸ばすといった到達運動)を無意識的にコントロールし「どのように」動作を行えば うまく行為を遂行することができるのかといった対象物にたいしての適切な行為を引き起こすための運動・動作に関与しおります。

また、この経路は前頭前野の「運動プログラム」を生成している領域につながることで、状況に則した「運動プログラムの作成」にも関与しおります。

 

そして頭頂葉の上頭頂小葉が損傷や機能低下などが起こると自分の体の一部を無視する認識出来ないという身体失認(例:自分の手が自分の手だと認識できない)という症状や複雑な一連の動作やその模倣ができないといった観念運動性失行(例:手を振る動作をするように言っても手を振れない、料理をする手順が解らない、道具を使った工程作業ができないなどの症状)・対象物に向かって手を正しい方向に動かせない視覚性運動失調といった症状が出現します。

 

(図を参照)

 

視覚の情報処理システムを 

 

簡単にまとめると

 

コップを取ろうとするときに

 

私たちが 行う行為としては

 

まず 物体がコップであることを認識し

 

手をコップに向けて動かし

 

コップをつかむといった一連動作になり

 

 「物体がコップであることを認識する」

 

ために必要な視覚情報路は

 

「腹側視覚経路」によって担われ

 

「手をコップに向けて動かす」運動を

 

到達運動といい

 

この到達運動に必要な視覚情報は

 

「背-背側視覚路」によって担われます

 

そして「コップをつかむ」は

 

把持運動といい

 

把持運動に必要な視覚情報は

 

「腹-背側視覚路」によって担われます

 

このように腹側視覚経路は

 

物体を知覚するためのシステムで

 

背側視覚経路は

 

行為をするためのシステムになります

 

これらの視覚情報処理のおかげで

 

うまく確実にコップを手に取る行為が

 

できる重要なシステムになります。

 

 

また このシステムの

 

発達に関してでは

 

「背側視覚経路」は

 

「腹側視覚経路」よりも

 

先に発達する。

 

といわれる一方で

 

発達の過程で選択的に

 

障害を受けやすいのは

 

腹側視覚経路より

 

背側視覚経路路の方が

 

障害を受けやすい

 

といわれており

 

背側視覚経路の脆弱は

 

身体を動かしながら

 

見ることが難しくなるため

 

さまざまな発達障害にも

 

関係してくるといわれています。

 

 

視覚システムは視空間認知機能や

 

運動機能「目と体のチームワーク」

 

記憶力などにも関連する

 

とても重要な機能になります。

 

そして 視覚の発達は

 

赤ちゃんのときから始まり

 

およそ12~13歳位で

 

大人と同じようになると

 

いわれており

 

視覚システムに

 

課題がある場合には

 

・探している本を本棚から見つけること難しい

・ぬり絵をするとき、枠からはみ出たり、すきまだらけになってしまう

・人の顔をなかなか覚えられない

・文章の中から特定の単語を探し出すことができない

・文字(漢字やひらがな・アルファベットなど)がなかなか覚えられない

・図形の問題が苦手

・見て覚えたり、まねしたりするのが苦手

・飛んでくるボールをうまくつかむことができない

などがあり

 

また 幼児が言語を獲得する際には

 

よりよく言葉を聞き取るために

 

口もとに注目する必要があると

 

いわれており

 

そのため視覚システムに

 

課題があると

 

言葉の獲得にも

 

遅れがみられると

 

いわれております。

 

 

視覚システムに関わる

 

原始反射としては

モロー反射

緊張性迷路反射

対称性緊張性頸反射

非対称性緊張性頸反射

などが あります。

(上記の原始反射については

ブログに書いておりますので

宜しければ 読んでみて下さい)

 

このように視覚システムは

 

とても複雑で 見るだけではなく

 

身体操作にも深く関わるため

 

とても大切なシステムの一つになります。

 

 

次回は 今回の続きで前庭系の解説と

 

視覚と前庭のトレーニング方法について

 

書いていきたいと思っております。

 

皆様のお役に少しでも立てれば幸いです。

 

【お読み頂きまして ありがとうございました】

運動反射発達の順番として

 

橋・延髄・脊髄の原始反射

    ⬇︎

中脳の立ち直り反射(反応)

などの姿勢反射

    ⬇︎

大脳新皮質の平衡反射(反応)

などの姿勢反射

 

という順番で成長していきます。

 

今回の中脳は 

 

橋・延髄・脊髄の原始反射の

 

次に成長する部位になります。

 

中脳は 体を動かすときの

 

統合的な調節や姿勢の

 

保持などに関与するため

 

とても重要な部位になります。

 

~中 脳 とは~

 

中脳は 脳幹の部分のひとつで

 

脳幹の最も上の部分にあたり

 

上は間脳、下は橋に繋がります。

(図を参照)

中脳の働きとしては

 

身体のなめらかな動きを

 

可能にする錐体外路性運動系

(錐体外路性運動系=大脳皮質から出る運動の意思(随意運動)をすみやかに全身の筋肉に伝える神経伝導経路を錐体路といい、それ以外の無意識的な運動(不随意運動)の伝達路を錐体外路といいます。錐体外路性運動系は随意運動が起こるとき、全身の筋をバランスよく動かし運動を円滑にしてくれる働きがあります。 たとえば歩こうとしたとき、随意運動(意識)は足にいっていますが、同時に「無意識に」腕を振ったり体幹をひねったりしバランスをとる運動もおこなっています。 このような運動調節を錐体外路性運動系が担っています。)

 

の重要な中継所を含むほか

 

対光反射、眼球運動反射などの

 

視覚の反射作用や

 

眼球の運動に関わる

 

反射作用の中枢や

 

姿勢反射(立ち直り反射など)の

 

体の平衡感覚・姿勢の

 

維持をしてくれる中枢、

 

聴覚刺激に対し反射的に眼球や体の

 

運動をおこす中枢などがあり

 

それらの活動・抑制も行っています。

 

このように中脳は

 

無意識に運動する神経系と

 

密接に関わっており

 

思わず座ったまま居眠りを

 

してしまった時などに

 

体が「カクッ」として

 

姿勢が崩れそうになると

 

体が「ビクッ」となり

 

体を元の姿勢に戻そうとします。

 

このように同じ姿勢を

 

保とうとする働きは

 

中脳の機能のひとつで

 

無意識に運動する神経系と

 

密接に関わっていることで

 

そうした体の動きの反応を

 

可能にしてくれています。

 

また 中脳には脳神経の

(脳神経とは12対の神経で構成され、脳から直接出て頭部、頸部、体幹の様々な部位へと伸びており脳に直接出入りする末梢神経のことをいいます。脳神経の12神経には 1)嗅神経 2)視神経 3)動眼神経 4)滑車神経 5)三叉神経 6)外転神経 7)顔面神経 8)内耳神経=聴神経 9)舌咽神経 10)迷走神経 11)副神経 12)舌下神経があります。)

 

12対のうちの眼筋に関与する

 

滑車神経(第4脳神経)や

(滑車神経とは目を内下方に動かす上斜筋を支配する脳神経の一つで脳神経の中で最も細い神経であり脳の背側から走行している唯一の脳神経でもあります。体を滑らかに動かすために必要な神経の一つになります。)
 
動眼神経(第3脳神経)

(動眼神経とは主に眼球に付着する外眼筋のうち、上直筋、下直筋、内直筋、下斜筋の4種と瞼の動きに関わる上眼瞼挙筋を支配しています。また、動眼神経は目に光が入ったときに瞳孔を収縮させる対光反応や、眼の遠近の調節、瞼や角膜の反射などを調節しています。)

 

の起始核があり

 

内耳神経(第8脳神経)

(内耳神経とは側頭骨内にある前庭神経と蝸牛神経とで構成される混合神経で、平衡感覚や聴覚を伝達する神経です。)

 

の通り路でもあります。

 

また、不随運動に関係する

(不随運動=自らの意志や意図とは関係なく自動的に動く)

 

赤核

(赤核(せきかく)とは、中脳にある卵円形の神経核で大脳皮質や小脳からの情報の入力を受け、それを赤核延髄路や赤核脊髄路に出力し不随意の運動の調節を行います。)

(図を参照) 

や意識のメカニズムに関係する

 

脳幹網様体

(脳幹には、神経線維が網の目のように張り巡らされ、その間に神経細胞が豊富に分布されており、この放射状に分布している神経系を脳幹網様体といいます。脳幹網様体の主な役割は、①運動調節(筋の緊張・姿勢や運動に関するニューロンの連絡統合を行う)、②意識の保持(網様体には、身体全体から感覚情報、運動皮質からの運動情報などさまざまな情報が送られこれらの情報に基づいて意識下の活動が制御される)などの役割があり、姿勢や筋緊張の改善、痛みの抑制から自律神経系や睡眠、覚醒などにも関わる重要な部位になります。)

(図を参照) 

などがあり

 

とても重要な部位になります。

 

中脳レベルの反射(反応)としては

 

前回のブログに書かせて頂いた

 

・立ち直り反射(反応)の5種類

1)視覚性立ち直り反射(反応) : ORR

(大脳皮質レベルとする場合もある)

2)迷路性立ち直り反射(反応) : LRR

3)体に働く頸の立ち直り反射(反応) : NOB

4)頭に働く体の立ち直り反射(反応) : BOH

5)体に働く体の立ち直り反射(反応) : BOB

・ランドー反射(反応)・両生類反射(反応)

などがあります。

 

 

そして

 

この中脳を活性化する

 

方法としては

 

『 背面開放座位 』

 

という姿勢があります。

 

背面開放座位とは

 

できるだけ背面を

 

支持しない空間を

 

つくった状態で

 

背筋を伸ばし

 

脊柱の自然な

 

S字カー ブを

 

損なわない姿勢で

 

ベッドの端や椅子に座り 

 

足底をきちんと

 

接地した状態の

 

姿勢をいいます。

 

(図を参照) 

 

この背面開放座位は本来

 

寝たきりの高齢者の方や

 

意識障害者の方に提供された

 

大脳皮質の興奮に最も有利な

 

姿勢である立位に近い座位

 

ということで

 

介護やリハビリなどに

 

用いられている姿勢で

 

比較的安全で楽な

 

姿勢ではありますが

 

基底面積が狭く

 

平衡を維持するのが

 

難しいことから

 

中脳の姿勢反射

(姿勢反射=身体の空間的な位置を把握し姿勢を保持するには頸筋の筋紡錘、前庭器官(半規管と耳石器)、眼(網膜)、皮膚などからの情報を脊髄や脳幹が統合し身体の平衡をすばやく調節する反射をいいます。 また姿勢が変化する際には、視線を保つための眼球運動も同時に起こります。)

 

を最も刺激する体位

 

姿勢といわれておりますので

 

一般的健康な方や

 

お子さまでも

 

中脳を活性化する

 

方法としても

 

有効的だと思います。

 

背面開放座位の効果としては

 

○意識レベル(脳活動)の向上・改善

○頚部の自力保持の向上・改善

○呼吸機能の向上・改善

などや

 

また 寝たきりの高齢者の方や

 

意識障害者の方の場合には

 

○日常生活動作(ADL)の向上・改善

(日常生活動作(ADL)とは、Activities of Daily Livingのことで、ADLのAはアクティビティー(動作)、DLはデイリーリビング(日常生活)を指し日常生活を送るために最低限必要な日常的な基本動作で、「起居動作・移乗・移動・食事・更衣・排泄・入浴・整容」などの動作のことをいい、日常生活動作(ADL)には、基本的日常生活動作(basic ADL=BADL)と手段的日常生活動作(instrumental ADL=IADL)とがあります。)

ちなみに

・基本的日常生活動作(BADL)とは、一般的に日常生活動作(ADL)のことを指し、日常生活における基本的な「起居動作・移乗・移動・食事・更衣・排泄・入浴・整容」動作のことを指します。

・手段的日常生活動作(IADL)は、基本的日常生活動作(BADL)の次の段階を指します。「掃除・料理・洗濯・買い物などの家事や交通機関の利用、電話対応などのコミュニケーション、スケジュール調整、服薬管理、金銭管理、趣味」などの複雑な日常生活動作のことを指します。)

 

などの

 

効果もあるという

 

研究結果がでています。

 

また 背面開放座位の

 

有効的なやり方としては

 

1 回の姿勢10分~30分位を

 

1 日 1 回以上

 

行うようにすると

 

意識改善などに有効と

 

言われております。

(基本は 疲れない程度でおこなってください。)

 

また 背面開放座位を

 

おこなっている際に 

 

音楽などを

 

聴きながらおこなうと

 

なお効果が出やすい

 

ともいわれております。

 

そして

 

中脳をさらに有効的に

 

トレーニングしたい方は

 

バランスボールや

 

椅子にバランス エアーパッド 

などを敷いておこなうと

 

より効果的です。

 

あと お子様の場合

 

ふつうの背面開放坐位では

 

なかなかじっとするのが

 

難しかったりするので

 

大人の補助・監視の下での

 

バランスボールや

 

椅子にバランス エアーパッド

 

などを敷いてお遊び感覚で

 

おこなってあげてください。

 

おこなう方法としては

 

必ず足底をきちんと

 

接地した状態で

 

3~5分程度位を1回として

 

一日に何回か 

 

おこなってあげれば

 

よいと思います。

 

このように座り方を

 

少し意識するだけで

 

中脳を活性化することが

 

できますので ぜひ

 

お試しください。

 

 

あと 注意点として

 

お子さまの中脳(姿勢反射)の

 

トレーニングとして

 

おこなう際に

 

氣を付けていただきたい

 

ことが あります

 

小さなお子様にとっては

 

あくまでも中脳レベルの

 

刺激、促進方法ですので

 

中脳レベルの反射・反応が

 

出現しはじめてから

 

おこなってあげてください。

 

原始反射が

 

多く残存している

 

状態で いきなり

 

乳幼児に対して

 

成長を早めようと焦り

 

乳幼児にとっては高度な

 

背面開放座位などの姿勢や

 

高度な運動を強引に行ってしまうと

 

本来ならば原始反射で獲得する筈の

 

筋肉や神経がうまく育ちきらず

 

後に変な歩行癖や姿勢癖などが

 

つくおそれがありますので

 

ご注意して下さい。

 

子供の運動成長過程には

 

順番・順序がありますので

 

焦らずにその子の状態に合った

 

運動などをさせてあげてください。

 

急がば回れです。

 

一段一段ゆっくりでいいので

 

成長の階段を飛ばさずに

 

上らせてあげてください 

 

焦って段飛ばしなどを

 

させてしまうと

 

成長過程で つまずいたりなど

 

しやすくなりますので^^

 

 

次回も姿勢反射(反応)について

 

書いていきたいと思っております。

 

皆様のお役に少しでも立てれば幸いです。

 

【お読み頂きまして ありがとうございました】

姿勢反射 (Postural Reflex) とは

 

身体の姿勢や運動中の平衡を保とうと

 

調整、維持したりする無意識の

 

反射(反応)のことをいいます。

 

姿勢反射は原則として

 

脳幹、脊髄のレベルで現れ

 

中脳の参加によって

 

統合されていきますが

  

大脳皮質も

 

関与する場合があります。

 

生後2ヶ月までの新生児では

 

脊髄や脳幹などの神経発達が

 

主になる原始的な反射運動

 

原始反射が活発になりますが

 

生後2・3か月頃になると

 

中枢神経系の随意運動や

 

思考などを司る大脳皮質や

 

姿勢保持、眼球運動などを

 

司る脳領域が発達することで

 

原始反射は徐々に抑制されていき

 

姿勢反射が出現し始めます

 

そして中脳や小脳の発達が進むことで 

 

さらに原始反射が抑制されていき

 

赤ちゃんが 自分の意志で

 

寝返りなどをする運動

 

随意運動などができるように

 

なる時期の生後

 

5か月頃になると

 

姿勢反射と原始反射の

 

パフォーマンスが逆転し

 

高度な姿勢反射に

 

取って代わっていきます。

 

姿勢反射は 原始反射と

 

混合して述べられている

 

場合もありますが 

 

原始反射と違い

 

基本的には獲得したら

 

消失することはない

 

とされています。

 

また 原始反射が何かの原因で

 

抑制が起こらずにいると

 

この姿勢反射への発達が遅れ

 

脳の発達も遅れてしまうことになります。 

 

そして 姿勢反射がきちんと

 

発達しなかった場合は

 

脳が体の防御などのための

 

高度な姿勢反射を

 

うまく使用することができず

 

後退した反射、原始反射を

 

使用するようになってしまうため 

 

脳の発達は妨げられてしまいます。

 

姿勢反射がきちんと

 

発達していない場合の症状例として

・物事や環境に適応できない。

・問題解決に既存の概念を応用できない。

・相互関係が良く分からない。

・並行的な考え方ができない。

・段階的な考え方ができない。

・ たくさんの情報を処理できない。

などの

 

高等教育には不可欠な資質が

 

欠けてしまう場合がありますので

 

姿勢反射はとても重要な

 

反射(反応)になります。

 

このように姿勢反射が遅れている

 

または欠損しているということは

 

脳の発達が未成熟という

 

サインにもなります。

 

 

姿勢反射の代表的なもとして

 

 

中脳レベルの姿勢反射

 

◯立ち直り反射(反応)

立ち直り反射は姿勢が崩れた時に正常な位置に姿勢を戻そうと働く反射です。寝返りや四つ這い移動、お座りの安定性に重要な役割を果たします。立ち直り反射は視覚性・迷路性・頸筋性・体性に分けることができます。

 

1)視覚性

⚪︎視覚性立ち直り反射(反応)

(optical righting reflex(reaction) : ORR)

乳児の体を前後や左右に傾けても視覚刺激の誘発による視覚からの情報で頭部は垂直にして直立姿勢で保とうとする反射です。お座りができるころから見られ、座らせて前後や左右に傾けると頭を垂直にして立ち直ろうとします。(大脳皮質レベルとする場合もある)

・腹臥位と背臥位:生後3ヵ月位に出現

・座位と立位:生後5~6ヵ月位に出現

~腹臥位、座位、立位ともに生涯継続 

 

2)迷路性

⚪︎迷路性立ち直り反射(反応)

(labyrinthine righting reflex(reaction) : LRR)

目隠しをして視覚からの情報をなくしても視覚性立ち直り反射(反応)と同様に乳児の体を前後や左右に傾けると迷路(耳石)の働きによる前庭機能からの情報で頭部を垂直に戻す反射のことを言います。

・腹臥位と背臥位:生後3~5ヵ月位に出現

・座位と立位:生後6~7ヵ月位に出現

~腹臥位、座位、立位ともに5歳位まで(生涯継続するとすることもある)

 

 3)頸筋性(頸の立ち直り反応)

⚪︎体に作用する頸の立ち直り反射(反応) 

(neck righting reflex(reaction) on the body : NOB)

頸部と体感がねじれている場合に頸筋群の固有感覚受容器が刺激されて、頚部の位置を起点に頚部・胸部・腰部・骨盤がその方向に丸太様に全体的に回転し体幹の回旋しねじれを解消する反射です。体を頭と同じ方向に保持するのに役立ちます。

・生後4~6ヵ月位に出現し、5歳位まで 

 

4)体 性

⚪︎体の立ち直り反射(反応)

(body righting reflex(reaction))

 

1)頭に作用する体の立ち直り反射(反応)

(body righting reflex(reaction) on the head:BOH)

体の一部が支持面に触れることで、固有感覚受容器、触覚受容器からの刺激によって、頭部の位置を正常位にする。

・生後4~6ヵ月位に出現し、5歳位まで 

 

2)体に作用する体の立ち直り反射(反応)

(body righting reflex(reaction) on the body:BOB)

頸部と体幹がねじれている場合に頚部の立ち直り反射の逆で体幹の骨盤を起点に骨盤・腰部・胸部・頸部の順に回旋しねじれを解消する。

・生後4~6ヵ月位に出現し、5歳位まで 

 

 ◯ランドー(ランドウ)反射(反応)

(Landau reflex(reaction))

乳児をうつぶせの状態で腹部を抱えて水平にすると、頭を挙げて水平を保とうとし頭を下げると腰を曲げてハイハイをするような恰好をする反射(反応)。また、ランドー反射は緊張性迷路反射(TLR)を抑制する反射で、筋肉を強くし、視覚と平衡感覚の同調をさせるために発達していきます。

・生後約6ヵ月位に出現し、18ヵ月位まで 

 

◯両棲類反射(両棲動物的反応) 

(Amphibian reflex(reaction))

両生類反射は、片側の骨盤を上げると、同じ側の腕、股関節、膝が自動的に屈曲する反射(反応)で、この反射は、まずうつぶせの状態(お腹)で、次に仰向けの状態(背中)で発達します。

両生類反射は、非対称性緊張性頸反射(ATNR)の統合が ある程度進み、腕や脚の動きが頭の位置 に依存しなくなったときに初めて発達しはじめます。子供が横這いを覚える前に両生類反射を発達させる必要があり、この反射は子供が足を曲げたり、手と膝で立ち上がったりするのを助けます。両生類反射の発達は脊髄ガラント反射を統合するのに役立ち、この反射が発達しない場合、脊髄ガラント反射、場合によっては ATNR反射が統合されていないことを意味することがあります。両生類反射が発達していない成人は、しばしば下半身が不器用になり、脚に緊張を感じるようになります。

・生後4~6ヶ月に出現し生涯継続 

 

大脳皮質レベルの姿勢反射

 

◯傾斜反応(tilting reaction)

地面(支持面)が傾斜、不安定で身体の軸を崩すほどの状態の際に傾きとは逆の方向に身体が立ち直ろうとする反応で臥位、座位、四つん這い、立位があります。

 

・臥 位:腹臥位・背臥位で傾斜台を一方向に傾けると傾斜の上側の手足を伸ばし、床面を抑えようとする。体幹と頭部は上側へ回旋し、顔面を上側へ向ける。下側の肢は体重支持のために筋緊張の増強が起こる。腹臥位で傾斜反応が出現すると肘を伸展して両手に体重を負荷できるようになる。約7~8 ヵ月位で発現し、生涯継続

 

・座 位:椅子に腰掛け傾斜台を一方向に傾けると傾斜の下側の上肢が外転、伸展し、体幹と頭部は上側へ回旋し、下側の下肢は外転し体幹の支持面を広げようとする。支持なしで座位がとれるようになるには背臥位と座位での傾斜反応が必要になる。約7~8 ヵ月位で発現し、生涯継続

 

・四つん這い:四つん這いで傾斜台を一方向に傾けると傾斜の下側の上、下肢が体重支持のために筋緊張の増強が起こり外転、伸展する。四つ這いでの移動ができるためには、座位でのバランスが十分とれ、四つ這い位での傾斜反応が出始める必要がある。約9~12ヵ月位で発現し、生涯継続

 

・立 位:傾斜台を一方向に傾けると傾斜の下側の下肢が伸展し、体重を支えるのに十分な筋緊張を示し、上側の下肢は股、膝で屈曲し、上側の骨盤の上昇が起こり、体幹と頭部が上側へ回旋する。歩行のためには、四つ這いでの傾斜反応が完全に出現し、立位での傾斜反応が必要である。また、走ることができるためには、立位での傾斜反応が完全になることが必要である。約12 ヵ月位で発現し、生涯継続

 

◯パラシュート反応(保護伸展反応 )

( parachute reaction)(腕と手に関する姿勢反射) 

乳児の両脇を持った状態で体を水平に保ち急に頭を下げるか もしくは座位で前方・側方・後方に倒すと手を広げて体を支えようとする姿勢反応です。パラシュート反応は転んだときとっさに手が出せるようになるための基礎となります。

・前方:6~7 ヵ月位で発現し、生涯継続

・側方:7~8ヵ月位で発現し、生涯継続

・後方:9~10ヵ月位で発現し、生涯継続

 

◯ホッピング反応

( Hopping reaction)(足に関する姿勢反射)

立位における傾斜反応で 立位にした乳児を支え前後左右に傾け倒そうとすると倒れないように足を踏み出し平衡を保とうとする姿勢反応です。伝い歩きが今現在できていなくてもホッピング反応が現われているともうすぐ伝い歩きができる状態だと判断することもできます。約15~18ヵ月位で発現し、生涯継続

 

◯ステッピング反応(足踏み反応)

(Stepping reaction)

両足に体重をかけ立位保持にした乳児を前後左右の一方向から押す(又は引く)と、左右の場合は一方の足が押された側に交叉して体重を支え、前後では、押された側に一歩足を踏み出し体重の移動をスムーズにする反応。つかまり立ち、つたい歩きができるようになるころより出現し始め、歩行がころばないでできるようになる。18ヵ月ごろに前後・左右ともに完成し、生涯継続 

 

◯背屈反応

(dorsiflexion reaction)

子どもの腋窩を後方から支えて、後方へ体を傾斜させると、足関節が背屈し体を垂直に保とうとする反応。約10~12 ヵ月位に発現し、生涯継続

 

◯シーソー反応

(see-saw reaction)

子どもを立位にし、同則の片足・片手とを握り、握った足を床から持ち上げ、片足で立たせる。

握った手を前方に引き、さらに側方へ引くと、平衡を保つために、力を入れて踏ん張り姿勢を保とうとする反応。約15 ヵ月位に発現し、生涯継続 

 

姿勢反射(反応)の反射(反応)名は 日本と海外 又は 専門医等で呼名が 異なる場合があります。また、同様に姿勢反射(反応)の発生期間なども若干異なる場合がありますので、あくまでも目安として参考にして下さい。また子供の発達のペースには個性などの違いもあり 早い遅いがあって当然ですので、あまり神経質になったり氣にし過ぎてしまうと お子さんにとってよくない影響を与えてしまう可能性もありますので 氣をつけてください。優しく見守ってあげることも大切です。

 

 

以上のような姿勢反射(反応)が

 

たくさんありますが

 

姿勢反射(反応)が出現

 

発達するためには

 

原始反射の発達統合が

 

重要な鍵になってきます。

 

 

次回は今回と重なる部分があるかもしれませんが

 

もう少し詳しく姿勢反射(反応)について

 

解説をしていきたいと思っております。

 

皆様のお役に少しでも立てれば幸いです。

 

【お読み頂きまして ありがとうございました】