粗大運動と微細運動とは
私たちが日常生活を送る上で
必要とされる
運動機能は
大きく分けて
粗大運動と微細運動の
二つに分けられます。
この二つの運動は
運動の基礎となるもので
乳児期や幼児期の
運動発達の段階過程を
知る為の目安にもなり
脳の成長、発達の過程も
同時に知ることができます。
「粗大運動(gross motor skills)」とは
日常生活を送るために必要な体の動き
・姿勢の保持・座る・しゃがむ・立つ
・移動・方向転換・ジャンプなど
胴体と四肢(手足)で 大きな動きをする
運動動作のことをいい
平衡感覚、身体バランスなどの
発達に関係してきます。
また 粗大運動は
微細運動より先に
発達する運動機能なので
粗大運動の成長が遅れると
次の微細運動 がうまく発達
しなくなってしまいますので
とても重要な運動スキルになります。
「微細運動(Fine Motor skills)」とは
手や指を使った細かく精密な動作を
必要とする運動機能のことをいいます。
食事の際の箸やスプーン、フォークなどを
上手に使ったり、絵や文字を書いたり
はさみで物を切るや紐を結ぶなどの
日常生活で身の回りのことをするために
必要な運動機能になります。
微細運動は 粗大運動機能が発達し
身体の中心がしっかりしてきた時期に
少しずつ発達していきます。
また 微細運動は
両手間協調運動や
(両手が協調し同時に一緒に働くなどを可能にするための運動機能で 対称的な動き、交互の動き、利き手/支持する手の動きの3つの運動要素が含まれ前庭系と密接に関連しています。)
眼と手の協調運動
(「眼から取り入れた情報に対して、手を使って適切に処理する」といった 眼と手など別々に動く機能をまとめてひとつにして動かす運動のことをいいます。)
などの運動と密接に関わるため
それらに関わる
◦到達運動
(上肢の肩、肘の関節を動かし、手先を目標の位置にもっていく運動で大脳皮質の前頭葉の一次運動野、高次運動野や小脳、大脳基底核が関わる高度な運動技能になります。)
*一次運動野、高次運動野の詳しい説明は原始反射 ⑦:バブキン(手掌おとがい)反射- 脊髄 -をお読みください。
◦視覚情報処理機能
・形態知覚 = 見たいものの色や形などを認識し形を把握する能力
・空間知覚 = 見たいものの動きや距離・位置関係にを把握する能力
◦両眼の運動機能
・跳躍性眼球運動 = ある点からほかの点まで一つずつ視線を跳ばし移動させる機能
・追従性眼球運動 = 見たいものの動きに合わせて眼球を動かす機能
・両眼視 =眼に写った映像を左右の眼で連携し、遠近感や立体感を感じる機能
◦前庭系
(平衡感覚に必要なシステム)
*詳しくは 原始反射 ③:緊張性迷路反射(TLR)- 脳幹 -をお読みください。
などの運動や機能などの
発達にも深く関わってきますので
とても重要な運動スキルになります。
『生後12ヵ月までの粗大運動の発達の段階と成長の遅れのサイン』
◎ 生後1ヵ月~4ヵ月
・両方の目が同調して動くようになる
・うつ伏せ時に頭と上体を持ち上げる事が出来る
・仰向け時に頭を左右に廻す事が出来る
・背中を伸ばして蹴る
・物に手を伸ばして取ろうとする
・音のした方に首を廻す
・手全体で物を掴む
・仰向けからゆっくり起こしてやると頭を持ち上げて起きる
・物を掴んだり離したりする
・サポート付きで座る
・首が据わってくる
・仰向けからうつ伏せに転がることが出来る
など
*成長の遅れのサイン・生後4ヵ月で
(以下のような言動をしていたら注意)
・動いている物を目で追わない
・人に笑いかけない
・首が据わっていない
・「アー」や「クー」 などを言ったり、音を発しない
・物を口に持っていかない
・身体を持ち上げて足を床につけても足を踏ん張らない
・片方又は両方の目が八方向へ動かない
などがサインとされております。
◎ 生後4ヵ月~8ヵ月
・物をつまんで持ち上げられるようになる
・物を手から手に移すことが出来る
・ボトルを持てるようになる
・物を持って遊んだり、振ったり叩いたりする
・何でも物を口に入れる
・動作を真似する
・落とした物を拾う事が出来る
・支えなしに座れる
・ずりばいで這うことが出来る
・聞いた音をまねしようとする
など
*成長の遅れのサイン・生後6~8ヵ月で
(以下のような言動をしていたら注意)
・近くにある物を取ろうとしない
・世話をしてくれる人たちにまったくなつかない
・周りの音に反応しない
・物を拾って口に持っていけない
・母音の音が出せない(あ、え、お等)
・転がれない
・笑わない
・筋肉がとても硬い
・筋力が弱くふにゃふにゃしている
などがサインとされております。
◎ 生後8ヵ月~12ヵ月
・ハイハイが出来る
・長く座っていられる
・自分で食べ物を手で取って食べる事が出来る
・親指と人差し指で 物をつまめる
・物を重ねる事が出来る
・おもちゃや物を手から離すことが出来るが、まだ意識的に物を置いたりは出来ない
・自分で立とうとする
・つかまり立ち、またひとり立ちできる
・助けなしで座れる
・自分の周りの環境、動き、人たちを良く見るようになる
・簡単な指示に従えるようになる
・遠くにあるが見えている手の届かない物に手を伸ばして取ろうとする
・バイバイと手を振れる
・太鼓を叩いたりなどの真似をして遊べるようになる
・物を指差せるようになる
・自分の名前に反応する
など
*成長の遅れのサイン・生後9~12ヵ月で
(以下のような言動をしていたら注意)
・片足に体重をかけられない
・助けてやれないと座れない
・ママ、ダダ、ババなどのような言葉を発しない
・自分の名前を呼ばれても反応しない
・家族や親しい人たちがよく分からない
・親が指を指してもそちらの方を向かない
・おもちゃで遊んでいるとき、片方の手からもう一方の手におもちゃを移せない
・ハイハイをしない
・支えてやっても立てない
・物を目の前で隠しても探さない
・言葉をまったく発しない
・頭を振ったりなどのジェスチャーを学ばない
・物を指差さない
・一回覚えた技能を忘れるこのように吸綴反射は
などがサインとされております。
*日本と海外 又は 専門医等で発達過程や期間なども若干異なる場合がありますので あくまでも目安として参考にして下さい。
『生後12ヵ月までの微細運動の発達段階と成長の遅れのサイン』
◎生後1ヵ月~3ヵ月
・手を口に運ぶようになる
・手のひらに物を置いてあげると反射的に握るようになる
・手のひらに物を置いてあげると、短い間だが意識的におもちゃや物を握るようになる
・手をたたくようになる
など
*成長の遅れのサイン・生後3ヵ月で
(以下のような言動をしていたら注意)
・腕や体が異常にぐにゃぐにゃしている
・腕や脚をある一定の方向にしか動かさない
・服を替えるときに腕や脚の動きが硬い
などが注意とされております。
◎生後3ヵ月~6ヵ月
・物を握り振ったりする
・両手を合わせて遊ぶ
・両腕でおもちゃに手を伸ばす
・自分の意思で物を握る
・水をばしゃばしゃする
・紙をぐしゃぐしゃする
・ボトルを持つようになる
・いろいろな物を口へ持っていく
・自分の足を掴む
・自分の足を口に持ってゆく
・片手で物を掴むようになる
・光る物や動く物を目で追跡うようになる
など
*成長の遅れのサイン・生後6ヵ月で
(以下のような言動をしていたら注意)
・物を掴もうとするときに制限された動きしかしない
・体の片側しか動かさない
・口に物や自分の手を持っていかない
などがサインとされております。
◎生後6ヵ月~9ヵ月
・物やおもちゃを手から手へ移す
・物をテーブルなどに叩きつける
・片方の手からもう一方の手に物を渡す
・紙で遊ぶ
・小さな物が掴めるようになる
・小さな物を手に持ち続ける事が出来る
・中くらいの大きさの物ならば簡単に掴める
・小さな物を手でかき集める
・片手に一つずつ物を持てる
・小さな食べ物などをを拾うことが出来る
・大きな物を持ち上げるときに両手を使える
・ほとんどの時間、手を開きリラックスしている
など
*成長の遅れのサイン・生後8ヵ月で
(以下のような言動をしていたら注意)
・片方または両方の手を拳で握り締めたままにしている
・腕がとても固い
・手の届くところにある物を掴むことがでない
などがサインとされております。
◎生後9ヵ月~12ヵ月
・人差し指で物を指差す事が出来る
・掴んだ物を意識的に放すことが出来る
・前や横に手を伸ばして割合と正確に物を掴む事が出来る
・物をつついて探ろうとする
・自分の手から手へ物を移動させる事が出来る
・ボールを床で転がせるようになる
・クレヨンを握りいたずら書きが出来る
・物を指先でつまむことが出来る
・小さな物をカップなどの容器に入れられる
・新しいジェスチャーを行おうとする
・人差し指で物を突いたり指差しをする
・わざと物を手放す
・おもちゃを落として拾う
・2つの物を一緒に叩ことが出来る
・自分のボトルを持つことが出来る
・バイバイなど手を振ることが出来る
など
*成長の遅れのサイン・生後8ヵ月で
(以下のような言動をしていたら注意)
・物をつかんで再び手放すことが出来ない
・太鼓などを叩いたり出来ない
・体の真ん中で両手を合わせることが出来ない(例えば拍手)
・親指と人差し指を使って物を掴めない
・大きな容器などに物を入れることが出来ない
・自分でボトルを保持することが出来ない
などがサインとされております。
*日本と海外 又は 専門医等で発達過程や期間なども若干異なる場合がありますので あくまでも目安として参考にして下さい。
このように運動発達には
あくまでも目安ですが
発達していく順序があり
いくつかの原則があります
(図を参照)
そして この原則に沿って
産まれた時から
ゆっくり時間をかけて
発達していきますが
発達順序は決まっていても
子供の発達のペースは
それぞれ違いがあり
また 個性もありますので
早い遅いはありますが
その子なりのペースを
優しく見守ってあげることも
大切だと思います。
また 運動能力の発達には
視覚と触覚の発達が
重要になりますので
赤ちゃんの顔の近くで
歌ってあげたり
話しかけたり
笑顔や面白い顔を
見せてあげたり
などをすることでも
視覚機能の発達を
促すことが出来ますし
赤ちゃんの身体の
腕、脚、体幹などの
マッサージも
触覚や触覚の発達を
促すことが出来ますので
スキンシップをかねて
行ってみて下さい。
また 子供の発達順序について
もっと知りたい方は
もお読み頂ければと思います。
今回、前回お伝えしたお題と
異なりまして
すみませんでしたm(_ _)m
次回は原始反射の移行先になる
姿勢反射か それらに関わる脳神経か
どちらかについて投稿して
いきたいと思っております。
( また 変更になりましたらごめんなさい)
皆様のお役に少しでも立てれば幸いです。
【お読み頂きまして ありがとうございました】