運動反射発達の順番として

 

橋・延髄・脊髄の原始反射

    ⬇︎

中脳の立ち直り反射(反応)

などの姿勢反射

    ⬇︎

大脳新皮質の平衡反射(反応)

などの姿勢反射

 

という順番で成長していきます。

 

今回の中脳は 

 

橋・延髄・脊髄の原始反射の

 

次に成長する部位になります。

 

中脳は 体を動かすときの

 

統合的な調節や姿勢の

 

保持などに関与するため

 

とても重要な部位になります。

 

~中 脳 とは~

 

中脳は 脳幹の部分のひとつで

 

脳幹の最も上の部分にあたり

 

上は間脳、下は橋に繋がります。

(図を参照)

中脳の働きとしては

 

身体のなめらかな動きを

 

可能にする錐体外路性運動系

(錐体外路性運動系=大脳皮質から出る運動の意思(随意運動)をすみやかに全身の筋肉に伝える神経伝導経路を錐体路といい、それ以外の無意識的な運動(不随意運動)の伝達路を錐体外路といいます。錐体外路性運動系は随意運動が起こるとき、全身の筋をバランスよく動かし運動を円滑にしてくれる働きがあります。 たとえば歩こうとしたとき、随意運動(意識)は足にいっていますが、同時に「無意識に」腕を振ったり体幹をひねったりしバランスをとる運動もおこなっています。 このような運動調節を錐体外路性運動系が担っています。)

 

の重要な中継所を含むほか

 

対光反射、眼球運動反射などの

 

視覚の反射作用や

 

眼球の運動に関わる

 

反射作用の中枢や

 

姿勢反射(立ち直り反射など)の

 

体の平衡感覚・姿勢の

 

維持をしてくれる中枢、

 

聴覚刺激に対し反射的に眼球や体の

 

運動をおこす中枢などがあり

 

それらの活動・抑制も行っています。

 

このように中脳は

 

無意識に運動する神経系と

 

密接に関わっており

 

思わず座ったまま居眠りを

 

してしまった時などに

 

体が「カクッ」として

 

姿勢が崩れそうになると

 

体が「ビクッ」となり

 

体を元の姿勢に戻そうとします。

 

このように同じ姿勢を

 

保とうとする働きは

 

中脳の機能のひとつで

 

無意識に運動する神経系と

 

密接に関わっていることで

 

そうした体の動きの反応を

 

可能にしてくれています。

 

また 中脳には脳神経の

(脳神経とは12対の神経で構成され、脳から直接出て頭部、頸部、体幹の様々な部位へと伸びており脳に直接出入りする末梢神経のことをいいます。脳神経の12神経には 1)嗅神経 2)視神経 3)動眼神経 4)滑車神経 5)三叉神経 6)外転神経 7)顔面神経 8)内耳神経=聴神経 9)舌咽神経 10)迷走神経 11)副神経 12)舌下神経があります。)

 

12対のうちの眼筋に関与する

 

滑車神経(第4脳神経)や

(滑車神経とは目を内下方に動かす上斜筋を支配する脳神経の一つで脳神経の中で最も細い神経であり脳の背側から走行している唯一の脳神経でもあります。体を滑らかに動かすために必要な神経の一つになります。)
 
動眼神経(第3脳神経)

(動眼神経とは主に眼球に付着する外眼筋のうち、上直筋、下直筋、内直筋、下斜筋の4種と瞼の動きに関わる上眼瞼挙筋を支配しています。また、動眼神経は目に光が入ったときに瞳孔を収縮させる対光反応や、眼の遠近の調節、瞼や角膜の反射などを調節しています。)

 

の起始核があり

 

内耳神経(第8脳神経)

(内耳神経とは側頭骨内にある前庭神経と蝸牛神経とで構成される混合神経で、平衡感覚や聴覚を伝達する神経です。)

 

の通り路でもあります。

 

また、不随運動に関係する

(不随運動=自らの意志や意図とは関係なく自動的に動く)

 

赤核

(赤核(せきかく)とは、中脳にある卵円形の神経核で大脳皮質や小脳からの情報の入力を受け、それを赤核延髄路や赤核脊髄路に出力し不随意の運動の調節を行います。)

(図を参照) 

や意識のメカニズムに関係する

 

脳幹網様体

(脳幹には、神経線維が網の目のように張り巡らされ、その間に神経細胞が豊富に分布されており、この放射状に分布している神経系を脳幹網様体といいます。脳幹網様体の主な役割は、①運動調節(筋の緊張・姿勢や運動に関するニューロンの連絡統合を行う)、②意識の保持(網様体には、身体全体から感覚情報、運動皮質からの運動情報などさまざまな情報が送られこれらの情報に基づいて意識下の活動が制御される)などの役割があり、姿勢や筋緊張の改善、痛みの抑制から自律神経系や睡眠、覚醒などにも関わる重要な部位になります。)

(図を参照) 

などがあり

 

とても重要な部位になります。

 

中脳レベルの反射(反応)としては

 

前回のブログに書かせて頂いた

 

・立ち直り反射(反応)の5種類

1)視覚性立ち直り反射(反応) : ORR

(大脳皮質レベルとする場合もある)

2)迷路性立ち直り反射(反応) : LRR

3)体に働く頸の立ち直り反射(反応) : NOB

4)頭に働く体の立ち直り反射(反応) : BOH

5)体に働く体の立ち直り反射(反応) : BOB

・ランドー反射(反応)・両生類反射(反応)

などがあります。

 

 

そして

 

この中脳を活性化する

 

方法としては

 

『 背面開放座位 』

 

という姿勢があります。

 

背面開放座位とは

 

できるだけ背面を

 

支持しない空間を

 

つくった状態で

 

背筋を伸ばし

 

脊柱の自然な

 

S字カー ブを

 

損なわない姿勢で

 

ベッドの端や椅子に座り 

 

足底をきちんと

 

接地した状態の

 

姿勢をいいます。

 

(図を参照) 

 

この背面開放座位は本来

 

寝たきりの高齢者の方や

 

意識障害者の方に提供された

 

大脳皮質の興奮に最も有利な

 

姿勢である立位に近い座位

 

ということで

 

介護やリハビリなどに

 

用いられている姿勢で

 

比較的安全で楽な

 

姿勢ではありますが

 

基底面積が狭く

 

平衡を維持するのが

 

難しいことから

 

中脳の姿勢反射

(姿勢反射=身体の空間的な位置を把握し姿勢を保持するには頸筋の筋紡錘、前庭器官(半規管と耳石器)、眼(網膜)、皮膚などからの情報を脊髄や脳幹が統合し身体の平衡をすばやく調節する反射をいいます。 また姿勢が変化する際には、視線を保つための眼球運動も同時に起こります。)

 

を最も刺激する体位

 

姿勢といわれておりますので

 

一般的健康な方や

 

お子さまでも

 

中脳を活性化する

 

方法としても

 

有効的だと思います。

 

背面開放座位の効果としては

 

○意識レベル(脳活動)の向上・改善

○頚部の自力保持の向上・改善

○呼吸機能の向上・改善

などや

 

また 寝たきりの高齢者の方や

 

意識障害者の方の場合には

 

○日常生活動作(ADL)の向上・改善

(日常生活動作(ADL)とは、Activities of Daily Livingのことで、ADLのAはアクティビティー(動作)、DLはデイリーリビング(日常生活)を指し日常生活を送るために最低限必要な日常的な基本動作で、「起居動作・移乗・移動・食事・更衣・排泄・入浴・整容」などの動作のことをいい、日常生活動作(ADL)には、基本的日常生活動作(basic ADL=BADL)と手段的日常生活動作(instrumental ADL=IADL)とがあります。)

ちなみに

・基本的日常生活動作(BADL)とは、一般的に日常生活動作(ADL)のことを指し、日常生活における基本的な「起居動作・移乗・移動・食事・更衣・排泄・入浴・整容」動作のことを指します。

・手段的日常生活動作(IADL)は、基本的日常生活動作(BADL)の次の段階を指します。「掃除・料理・洗濯・買い物などの家事や交通機関の利用、電話対応などのコミュニケーション、スケジュール調整、服薬管理、金銭管理、趣味」などの複雑な日常生活動作のことを指します。)

 

などの

 

効果もあるという

 

研究結果がでています。

 

また 背面開放座位の

 

有効的なやり方としては

 

1 回の姿勢10分~30分位を

 

1 日 1 回以上

 

行うようにすると

 

意識改善などに有効と

 

言われております。

(基本は 疲れない程度でおこなってください。)

 

また 背面開放座位を

 

おこなっている際に 

 

音楽などを

 

聴きながらおこなうと

 

なお効果が出やすい

 

ともいわれております。

 

そして

 

中脳をさらに有効的に

 

トレーニングしたい方は

 

バランスボールや

 

椅子にバランス エアーパッド 

などを敷いておこなうと

 

より効果的です。

 

あと お子様の場合

 

ふつうの背面開放坐位では

 

なかなかじっとするのが

 

難しかったりするので

 

大人の補助・監視の下での

 

バランスボールや

 

椅子にバランス エアーパッド

 

などを敷いてお遊び感覚で

 

おこなってあげてください。

 

おこなう方法としては

 

必ず足底をきちんと

 

接地した状態で

 

3~5分程度位を1回として

 

一日に何回か 

 

おこなってあげれば

 

よいと思います。

 

このように座り方を

 

少し意識するだけで

 

中脳を活性化することが

 

できますので ぜひ

 

お試しください。

 

 

あと 注意点として

 

お子さまの中脳(姿勢反射)の

 

トレーニングとして

 

おこなう際に

 

氣を付けていただきたい

 

ことが あります

 

小さなお子様にとっては

 

あくまでも中脳レベルの

 

刺激、促進方法ですので

 

中脳レベルの反射・反応が

 

出現しはじめてから

 

おこなってあげてください。

 

原始反射が

 

多く残存している

 

状態で いきなり

 

乳幼児に対して

 

成長を早めようと焦り

 

乳幼児にとっては高度な

 

背面開放座位などの姿勢や

 

高度な運動を強引に行ってしまうと

 

本来ならば原始反射で獲得する筈の

 

筋肉や神経がうまく育ちきらず

 

後に変な歩行癖や姿勢癖などが

 

つくおそれがありますので

 

ご注意して下さい。

 

子供の運動成長過程には

 

順番・順序がありますので

 

焦らずにその子の状態に合った

 

運動などをさせてあげてください。

 

急がば回れです。

 

一段一段ゆっくりでいいので

 

成長の階段を飛ばさずに

 

上らせてあげてください 

 

焦って段飛ばしなどを

 

させてしまうと

 

成長過程で つまずいたりなど

 

しやすくなりますので^^

 

 

次回も姿勢反射(反応)について

 

書いていきたいと思っております。

 

皆様のお役に少しでも立てれば幸いです。

 

【お読み頂きまして ありがとうございました】