フロスチ / メガマソ | 安眠妨害水族館

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フロスチ/メガマソ

1. フロスチ
2. オープニングガール(SE)

2015年の活動を終え、冬眠期間に入ったメガマソ。
本作は、活動休止前の最後のツアーとなった「MEGAMASSO-ザファーストラストニムバス-」の会場限定でリリースされたシングルです。

フルアルバム「ニシュタリ」を引っ提げてのツアーということもあり、このシングルについても、表記は半角カタカナとなっている。
世界観のリンクがあるのかはわかりませんが、色々と勘繰りたくなる仕掛けを入れてくる辺り、彼ららしいですね。
紙ジャケット仕様で、こちらも「ニシュタリ」同様、アートワークには大山美鈴さんのイラストが採用されています。

「フロスチ」は、Vo.インザーギさんの伸びやかな歌声が活きるウィンターバラード。
バラードと言っても、終始ドラムがダンサブルに刻まれており、軽快さすら感じさせる。
Gt.涼平さんにしてはストレートな構成ではありますが、このバラードでありながらポップでリズミカル、という雰囲気のギャップが、メルヘンチックな世界観とマッチしているのではないかと。

キャッチーで聴きやすく、いかにも冬といった透明感がある。
そして、たくさんのギミックで深みを作りながらも、ファンに向けたメッセージにも見える歌詞。
ドラマティックな展開ながら、あえてわかりやすさにこだわったのは、この歌詞を最大限に伝えたいと考えたからではなかろうか。
捻くれていた彼らが、区切りとなるタイミングで、ストレートに言葉をぶつけてくる。
こんなの、ズルいと言わざるを得ないでしょう。

「オープニングガール」は、インストナンバー。
冬眠前ラストとなる楽曲なのに、"オープニング"とタイトルをつけてしまうのが、メガマソ流である。
インザーギさんの歌によって締めくくられないのは寂しい気もするのですが、涼平節が凝縮されていて、これはこれで美しい。
ここ最近のメガマソは、インストナンバーに力が入っているようにも見えていたので、その集大成を持ってきたということかもしれません。
復活ライブで、これが登場SEで流れてきたらテンションが上がるだろうな。
そこまで考えて選曲しているのであれば、何手先まで読んでいるのだよ、と呆れてしまうほどの戦略家ですよ。

これがないと「ニシュタリ」が完結しない、ということはなさそうですが、延長線上で聴いておきたい1枚であることは間違いない。
ヴィジュアル系への耐性がなくてもさらりと聴けそうなメジャー感があるだけに、流通していないのはもったいない限りです。
メガマソの強みでもある複雑で難解な楽曲を期待してしまうと、肩透かしになってしまうかもしれませんが、最後の最後で、わざと素直になるあざとさまでを読み取りたい。
彼らが早くシーンに帰ってきてくれることを期待しながら、この「フロスチ」を聴いて春を待つことにしましょうか。

<過去のメガマソに関するレビュー>
ニシュタリ
MISS WAVES/VIPER
動かなくなるまで、好きでいて。
雪はまだ降り注いでいるか?
Loveless, more Loveless
M of Beauty
キスミイチュチュ(メガマチュ)
櫂の目塔の属領
バイパー
ニューロマンサー(神経系亜人性)
涙猫