バイパー / メガマソ | 安眠妨害水族館

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バイパー/メガマソ
 

1.バイパー

2007年3月24日、ZeppTokyoにて行われた「メガマソLIVE-TOUR 2007 ~しんげつのみずたまり~」のファイナル公演で配布されたCD。
収録された「バイパー」は、直後にDr.優太さんが脱退してしまう影響もあってか、ライブDVDを除けば、一般流通された音源には収録されていません。

重さを意識した演奏に、荒々しいボーカル。
彼らの中でも、初期と位置づけされる時期での楽曲なわけですが、この頃は、まだVo.インザーギさんが、ヴィジュアル系シーンに馴染んでいないせいか、初々しさがありますな。
既に、美しく歌い上げるタイプのナンバーでは、圧倒的な歌唱力で存在感を示していたものの、この手のがなり続けるタイプの曲では、どうしてもぎこちなさが残る。

全体的には、ライブ感を重視した構成なのでしょう。
実際に、煽り曲のようなスタンスで披露されることが多かったのですが、シャウトでの迫力に欠けてしまうため、当時は、発表するのが早すぎた、という印象でした。
コーラス隊の掛け合いの声に、メインボーカルが負けているのだよなぁ。

しかしながら、そんな激しさを押し出した楽曲の中にも、Gt.涼平さんらしい難解さも兼ね備えているから、振り返って聴く分には、これはこれでアリだとも思えてきます。
例えるならば、アヤビエ時代の「台形の底に溜まった、半透明の澱に顔を長く漬け込みすぎました。」を、シンプルな暴れ曲として再構築したような。
というか、メロディに似ている部分があるのか。
その辺は、オマージュなのか、リメイクなのか、単なるマンネリなのか、どう捉えるかでイメージは変わってきそうですが、なんだかんだでキャッチーさがあり、暴れ曲であっても、メロディが立っているのは良いですね。

歌詞に、深読みしたくなる要素があるところも、メガマソならではのお楽しみ。
主観が入れ替わる部分があるので、様々な解釈が生まれてきそう。
愚直に解釈すれば、涼平さんの作曲スタイルを詩的に表現したのでしょうか。

ライブ向けということで、コンセプチュアルなアルバムに入れるような楽曲ではなかったのだろうから、配布曲というのは妥当だったのかな。
手に入りにくいCDではありますし、インザーギさんがV系シーンにハマってきた今だからこそ、再録があっても面白いとは思いますけれど。

<過去のメガマソに関するレビュー>
動かなくなるまで、好きでいて。
雪はまだ降り注いでいるか?
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