フランスの歴史3 荘 園 | ろくでなしチャンのブログ

フランスの歴史3 荘 園

               フランスの歴史3 荘 園

 

 

王国の隆盛と脆弱化

 

 5世紀の終わりフランク王国がガリアを統一しますが、ガリア全域の対抗勢力を自己の軍隊のみで抑え込んだわけではないと思われます。各地方の有力者の協力(軍事力)を得てガリアを統一したのではないでしょうか。  

 王が直接統治する王領は別として、協力して対抗勢力と戦ってくれた各地の実力者にその所領(場合によっては対抗勢力から奪った土地を含め)や特権を保障(領主たる身分を与える)し、その代償として自らの家臣団に組み込んで軍事的奉仕を求め、その地位を強化していったものと思われます。


 フランク王国が隆盛を極めたのはシャルルマーニュ大帝の時代(在位768年~814年)と言われており、各地の領主が統治する領地に対しても、国王の官吏が立ち入り、裁判や課税などを行ったようです。

 しかし、封建制(荘園制)の発展とともに、その権限が荘園の領主の手に渡り、国王の官吏は荘園に立ち入ることも出来なくなり、徴税も行えなくなっていったようです。

 領主(貴族)は王に対して臣従の礼はとるものの実質は独立国と言えるほどになります。


 

 やがてフランク王国も3分割され、987年には現在のフランスにあたる国土は西フランク王国となり、カペー朝が創設されますが王は諸侯の推挙によって選ばれたとされますので、王の権力基盤は脆弱なものとなっていたのではないでしょうか。

 

 

自給自足農村経済と荘園

 

 ローマ帝国が滅び去り、ゲルマン民族の移動によってヨーロッパの未開の森に移り住みはじめた人々にとっては、かっての地中海貿易により商業活動が活発だった時代は遠い昔の話です。

 外敵に怯える日々であり、交通網も未発達ですから外部から食料や物品を入手する手立てもありません。

 結果的に農村で自給自足の暮らしを行うことしかなかったようです。

 

 10世紀までのヨーロッパの農業は、ローマ時代や民族移動期に比べても大きな進歩はなく、耕地を毎年転々と変えていく焼畑移動農業が主であり、一部で二圃制が行なわれている程度のものだったとされます。

 

 初期の村落形成は次のようなものではないでしょうか。牧畜を伴う焼畑農業を行っていた人々は、新たな畑を求めて移動しなければならないと言う宿命を負います。移住地に求められるのは肥沃な土地と水と森です。構成員は血縁で結ばれた数家族の人々。

 恵まれた地に住むことが出来た人々の元には、十分な収穫を得られず流浪の民となった者や野盗の襲撃で流浪の民となった者、病気で家族を失った者たちが救いを求めます。

 労働力や防衛力の強化を望む者にとっては、これらを受け入れ村落が形成されていく。このような村落にあって経済力や武力を持ちはじめた者が小領主となり地域住民を保護し,支配下に置いて各地に割拠していったものと思われます。


 

 領主は、こうした村の中の、一部の農民を支配下に置いただけだったので、領主の直営地、農奴保有地、自由農民保有地の区分があったのでしょう。そのような部分的支配を複数の村で集めたものが、古典荘園の発生とされているようです。

 西ヨーロッパでは、8~9世紀頃までに、封土の授受によって結ばれた主従関係による階層組織である荘園制を基礎とするの封建制度が確立していったようです。

 

 荘園は、領主の館(大諸侯の場合は城)・教会・農民の住居などが中心にあり、その周辺に領主の直営地、農奴保有地、自由農民保有地からなる耕地と農民が共同で使用できる牧草地や森林が広がり、水車小屋やパン焼き小屋などの施設もあった。 鍛冶屋や蜂蜜とりの人々もいたでしょう。

 このように、領主や騎士は封土として与えられた土地を所領として、領地内の農民を支配するようになります。

 また、中世ヨーロッパでは教会や修道院も寄進や開墾によって多くの荘園を持つようになり、大司教や修道院長らの聖職者も領主として荘園の農民を支配します。  

 11世紀後半には、外敵からの脅威も消え、封建制度である荘園が広範囲に出来上がり、領主の経済力も増し社会の安定期を迎えます。

 また、気候も安定した世紀に入り、11世紀後半から13世紀前半までは、大開墾時代に突入します。


 この時代になると、荘園領主は不輸不入権(インムニタス)と呼ばれる権利を王から捥ぎ取ります。役人の立ち入り拒否、徴税義務の免除です。荘園領主には教会も含みますので、貴族(地方を治める領主は爵位を受ける)や教会は税金が免除されたと記述されている場合もあります。

 結果的に封建社会の分権化が進み、王権は弱いものとなってしまいます。

 

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