タンニン | ろくでなしチャンのブログ

タンニン

                         タンニン

 

 

高級バーにて。

 

 ろくさん、酸は解ったわ。やっぱり必要なのね。

   でもね、あの渋いやつ。あれは要らないでしょう!!


 馬鹿こくでない!ビールからホツプ取ったらどうなるの!シャンパンから炭酸取ったらどうなるの!ろくチャンからリコ取ったらどうなるの!赤ワインに渋みは必要なの!!

 

 判ったわ!だからどうして必要なのか説明してよ!

 

 あのね。赤ワインに苦みがなかったら甘ったるい葡萄ジュースにアルコールが入っているだけになっちゃうよ。

 まず、苦味についてだけど、苦味は複雑で、多種多様なんだけど、ワインに含まれる苦み(渋み)はポリフェノールという物質であるとされているんだ。

 ポリフェノールはワインの色や苦み・渋みを作っている本体で、成分はカテキン、フラボノイド、アントシアトン、タンニン等と言われているようだよ。ポリェノールは日本茶、渋柿、栗の渋皮、チョコレートに多く含まれているんだって。

 

 そうなんだ。それじゃー赤ワインは体に良いってことね?

 

 そうだよ。リコが今の若さと美しさを保つには赤ワインが良いんだ。


 ゴマすってるでしょう。まあーいいけど、そのポリフェノールはどこから来るの

また、葡萄に含まれているの?


 うん。一般的には、葡萄の果皮、種、果梗より抽出されると言われており、また、木樽からも抽出されるようだよ。古い樽よりも新樽から多く抽出されるし、葡萄果汁と葡萄の果皮、種に長い時間浸けておくとポリフェノールがたくさん抽出されることになるね。だいたいワイン1ℓあたり1~3g含まれていると言われているようだね。

 

 ねえ、ろくさん、リコは渋さについて聞いてるのに、なんで苦いって言葉が出てくるの?


 鋭いね。単に胸がでかいだけの女じゃないところが良いね。ワインの苦味は、苦み単体では存在するものではなく必ず渋みを伴って存在するんだって。

 渋みは味ではなく収斂(シュウレン)作用によるものであって、この収斂(性)は、タンニンによってもたらされるとされているんだ。ワインを口に含むと口や喉の粘膜を保護している唾液中のムチンと呼ばれるたんぱく質の混合物が凝固してしまうんだ。

 結果的にタンニンの多いワインは、口中の潤滑油ともいうべき唾液が流れなくなり、粘膜組織が収斂して口の中が乾いた感じになったり、ざらついた感じになるんだ。ティステングコメントで「口の中がカラカラになる」と表現されるのはタンニンが強いことを表している事となるよ。

 実際は、苦みと渋みの合わさったものを味(渋みは味ではないが)として感じていることになり、タンニンが強いとかタニックと表現しているようだよ。渋柿を食べたら歯ぐきのあたりがおかしくなるでしょう?

 

 ろくさん、いまどき渋柿なんて売ってないよ。年寄!


 そうなんだ。それじゃ、ティッシュを用意して歯ぐきの水分をとってみたら雰囲気が判ると思うよ。タンニンは味わいの骨格をなしていて、多すぎると「えぐみ」があると言われ、タンニンのしっかりしたワインは「上手く構築された」「骨格のしっかりした」と言われるようだよ。

 

 それじゃー赤ワイン用の葡萄の皮や種や葡萄の実の軸に沢山あって、長いこと浸けておいて、新しい樽をどんどん使えば良いってことにもならないの?


 うん、実はそこが難しいところなんだ。例えば、カベルネ・ソーヴィニョン、シラー、ネッビオーロはタンニンが多く、雨が少ない年は果皮が厚く果肉が膨れタンニンが多いと言われているんだ。タンニンはたんぱく質を沈殿させ、酸化防止の働きもする。偉大な赤ワインを生き生きと長生きさせる役目を果たしてくれるのがタンニン。ワインが長命化するためには必要なものなんだ。

 果皮から得られる色素がタンニンと反応してワインをやわらかくする。タンニンは瓶の中で分解して他の成分と結合して、理想の熟成状態にワインを導く助けをしてくれる。
 このようにタンニンは素晴らしい働きをするんだけど、
タンニンには、良質タンニンと不良タンニンがあるんだ。

 良質タンニンは、しなやかで柔らかい骨格を作り、ワインの味わい全体をしなやかにする。飲んだ時に攻撃的に感じられても、口の中に引っかかった感じや、張り付く様な渋みを感じないやわらかなタンニンであって、「丸いタンニン」とも呼ばれるようだよ。
 対して、不良タンニンは、硬く、ぎくしゃくした骨格を作り、ワインの味わいをとげとげしくし、攻撃的とします。硬く、飲んだ後に喉に絡みつく感じ。

 この良い子ちゃんと悪い子ちゃんの違いは葡萄の完熟度によるとされているんだ。

 

 結局、完熟した葡萄の場合はジャンジャン、タンニンを抽出させるのね。


 極端な言い回しだけど、そう言う事になるのかな。良質の葡萄が収穫できた時は、長期熟成タイプのワインを目指し、タンニンを強めにしますね。プレスワインは原則少なくすると思うけど、マセレーション期間を長くするだろうね。

 一般的には、収穫後3年以内のワインはタンニンがはっきりと味として残っているので、果実のほのかな香りなどは微塵も感じられず、タンニンの強さに思わず口をすぼめる事とになると言われているようだよ。

 このようにタンニンが多く、強くても、時間とともに減っていくんだ。最初荒々しいワインも時を経てまろやかになり、角が取れていく。ワインの熟成とともに、タンニンは少しずつ姿を消し、柔らかい味わいになる。初めにあった果実味は微妙で複雑な組成に吸収される。そして、ワインが熟成のピークになった時にすーっと消えるのが理想。タンニンが消える前に果実味が消失すると単に甘ったるいワインとなるといわれ、様々な要因を考えて醸造家はワイン造りをするようなんだ。

 

 難しいんだね。だから早飲みするなとか言われるのね。それで失敗したらどうなるの?


 そうだね。結果としてタンニンが多すぎる状態を指して「硬い」と表現する場合もあるようだし、タンニンの多少・良否による表現として、


 ビロードのような⇒口当たりの良い⇒滑らかな⇒柔らかい⇒喉越しの良い⇒骨格のしっかりした⇒苦渋味のある⇒タンニンを感じる⇒荒々しい⇒ざらついた⇒えぐい⇒張り付く様な渋み

 

これらは、褒め言葉から順に並べてみたけど、

 

 骨なしの⇒はっきりしない⇒ぼやけた⇒喉越しの良い⇒口当たりの良い
といった好ましくない順に並べる方法もあるね。 だけど、

 口当たりの良い⇒滑らかな⇒柔らかい⇒喉越しの良い

 

 と言う人もいるようで、表現方法はいろいろあるようだし、場合よっては序列も異なるかも。

 

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