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mixiのコミュニティでこんなの見つけました。
脳まで溶かす!? “ハゲ&ショック”シャンプーの笑撃!
(↑著作権侵害の関係からか既に削除されています↑)
P&G社が販売する「H&Sシャンプー」は非常に有名ですね。
そのH&Sシャンプーに配合される「ジンクピリチオン」という成分に端を発し、
ネット上ではさまざまな議論がされています。
なんでも
「ジンクピリチオンはタンパク質分解酵素だから
地肌のタンパク質を溶かしてハゲにしてしまう」
という話がインターネット上に蔓延していますが、
(そのため「H&S=ハゲ&ショック」と呼ばれているとか…)
しかしこの記事によると、
「これはデマで、実際にはジンクピリチオンは
フケ症を緩和する薬だ」
という風に話が始まっています。
さらに
「ラウリル硫酸ナトリウム」についても
シャンプー解析サイトは、単に成分名だけを挙げ連ねて「危険だ/安全だ」と決めつけていますが、それは机上の空論に過ぎません。
毒性学の基本に「あらゆる物質には多少なりとも毒性があり、有害か無害かはその量によってのみ決まる」という原則があります。私たちが日常的に摂取している食塩やカフェイン、アルコール、さらには生命維持に必要不可欠なビタミンやミネラル、水や酸素さえも、摂り過ぎれば障害や中毒をおこして死に至ります。シャンプー解析サイトは、最も重要なファクターである、量の検討が完全に欠落しているのです。
などなど、、、
まぁ面白い具合に某解析サイトが叩かれまくってますね(苦笑)
というわけで、
少しこれについてかずのすけも意見を述べたいと思います。
◎「ジンクピリチオン」はタンパク質分解酵素?
これは、完全に誤りです。
ジンクピリチオンにはタンパク質を分解する働きはありません。
そもそも酵素ではないです(^_^;)
これの情報源は確か某美容師のブログですね。。
全くすごいこと言ってますね・・・(苦笑)
ジンクピリチオンは上記のような構造を持った
亜鉛イオンの錯体です。
簡単に言えば亜鉛イオンを抱え込んだ物質です。
まぁ亜鉛イオンがどうのというよりはこの配位子である
「ピリチオン」に抗菌活性があるんですね。
まぁベンゼン環のCが一個Nになっているというだけで、
電気的な安定性がかなり崩れているように見受けられますね・・・
こういう不安定な分子は細菌類には非常に強力なダメージを与えます。
ただ人間にはその程度がしれているということです。
フケは「でんぷう菌」というカビ菌の過剰繁殖が原因で起こりますので、
このでんぷう菌を殺菌するという意味で強力にフケを抑えることができます。
しかし、
こういう対症療法的な「殺菌」シャンプーは
本当に地肌の健康を保つためには
あまりいいものではないのは間違いありません。
→殺菌剤は逆効果?~地肌ケアに必要なもの~
上記で紹介してるでんぷう菌も皮膚常在菌の一つです。
本来は皮脂を食べることで皮膚表面の弱酸性を作る働きをしてくれています。
(皮脂分泌量が増えることで食料が増え過剰繁殖してしまいます)
まぁそういう意味では、
某解析サイトの言い分はあながち外れたものではないのです。
(美容師のブログは大間違いですが)
◎ラウリル硫酸Naについて
ラウリル硫酸Naには「毒性」は無い!
という話はずっと前からしていますね。
上の記事では毒性学の原則を持ち出して解析サイトの言い分を批判しています。
確かに、僕も毒性という観点で言えばラウリル硫酸Naの毒性は完全否定します。
これを食べて死のうと思ったら、
大人の人なら200gくらいいっぺんに飲み込まないと無理です。
確かに言っていることは正しいようにも感じますね。
しかし残念なことに、
この記事におけるこの記述は完全に誤解を招く表現だと言わざるを得ません。
化学物質に関する毒性を語るならば、
確かにその経口致死量などは重要なポイントではあります。
しかし実際のところ、
シャンプーに関する毒性の判断は
経口致死量などの「一般毒性」ではなく
皮膚刺激性などの「特殊毒性」を評価する必要があります。
→化粧品成分における安全性と刺激性について
一般毒性と特殊毒性は全く別。
この記事における毒性学の考え方は完全に一般毒性のもの。
皮膚刺激は動物実験から算出される致死量などでは
全く評価出来ない複雑なものなのです。
ちなみにラウリル硫酸Naは多くの研究の末
特に一次刺激の強い洗剤であることが立証されています。
洗剤としては皮膚に対して負担を与えるものであることは確実なのです。
(ちなみにジンクピリチオンも特殊毒性では一次刺激性と内分泌かく乱作用が認められています)
◎シャンプーでハゲることはない
しかしこれは確かです。
僕も記事で扱っていますね。
→シャンプーを変えたら抜け毛が・・・「抜け毛」とは
いかに強力な刺激のある洗剤だとしても、
皮膚を溶かすようなことはありません。
毛根を根絶やしにするようなこともありません。
皮膚角質に対して洗剤が微妙な影響を与えようとも、
毛はそのはるか下から生えてくるものです。
毛髪の発育に対して洗剤が影響しようというのは、
少々無理がある話です。
刺激の強いシャンプーによって起こるのは
一次刺激による皮膚炎や
過脱脂による皮脂分泌過多です。
このような症状が出ていないようであれば、
現在お使いの高刺激シャンプーでも(ハゲ的な意味では)何の問題も無い・・・
ということになりますね。
もちろん数十年単位で見たら何らかの違いはあるかもしれませんが、
今のところ洗剤でハゲが促進するということについては
科学的な根拠はありません。
ジンクピリチオンにしてもラウリル硫酸ナトリウムにしても
脳まで溶かす!とかいうことはありえません。
数百年使ったとしてもです。
ですが
ジンクピリチオンには環境ホルモン作用があるため
環境負荷が大きいという点や、
(魚に対する催奇形性が非常に強いことで知られています※)
※
シャンプー液10万倍希薄濃度で100%の魚介催奇形性
100万倍希薄液でも50%の確率で背骨の曲がった稚魚が孵化したというデータがあります。
(国立環境研究所調べ)
ラウリル硫酸ナトリウムが洗剤中では最も大きい一次刺激性を持つ
という点を鑑みると、
このシャンプーが良いシャンプーであるかどうかは議論の余地がありません。
環境負荷の小さい抗菌剤としてはピロクトンオラミンなどが知られていますし、
洗剤だってまだラウレス硫酸Naの方が刺激は小さいことは確実ですしね…。
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