山中氏ノーベル賞:二人三脚で大発見支え 高橋・京大講師 | 再生医療が描く未来 -iPS細胞とES細胞-

山中氏ノーベル賞:二人三脚で大発見支え 高橋・京大講師

山中伸弥・京都大教授(50)の大発見を支えたのは、奈良先端科学技術大学院大で山中さんが自分の研究室を開設した時以来の愛弟子、高橋和利・京都大講師(34)だ。高橋さんは、人工多能性幹細胞(iPS細胞)の発見という歴史的瞬間に立ち会った。
「先生、生えてます!」。05年夏、高橋さんは山中さんの部屋に駆け込んだ。当時、博士号をとったばかりの高橋さんは山中さんの指示で、iPS細胞作りに取り組んでいた。
体から採取した細胞に何の遺伝子を入れればいいか。山中さんたちは24種類に絞り込んだものの、なかなか成果が上がらなかった。その日、実験容器が余ったため、山中さん、高橋さんたちは話し合った。「せっかくだから」と24種類をすべて入れたところ、それだけが塊を作った。塊を見つけた高橋さんは、すぐに山中さんに報告した。24種類の中に、iPS細胞作りに欠かせない4遺伝子が含まれていることが分かった。
高橋さんは、同志社大工学部卒で生命科学とは畑違い。山中さんの研究室に学生が一人もいず、「自分でも大丈夫かもしれない」と志願して以来の二人三脚の成果だった。
高橋さんは8日夜、山中さんの受賞決定について、「とてもうれしく、心からお祝い申し上げます。このような偉大な研究者の指導を直接受けられたこと、革新的な研究を最も間近で見られたことに幸せを感じる。先生と分かち合った感動を後輩に伝えられるよう精進します」とコメントを発表した。
(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20121009k0000m040083000c.html

山中氏ノーベル賞:実用化になお課題 がん化リスク未解決
ノーベル医学生理学賞に決まった京都大iPS細胞研究所の山中伸弥・同大教授(50)が作り出したiPS細胞を医療で利用するには、安全性や倫理的な問題が残されている。
人工的に作り出したiPS細胞には安全性に未知の部分が多く、性質にばらつきがある。無限に増える性質を持つため、作成した臓器の中にiPS細胞が残っていれば、増殖してがんになる恐れがある。
当初、iPS細胞作成に使う遺伝子の中にはがん由来のものも含まれていたため、移植後の「がん化」が最も心配された。その後、がん遺伝子を使わない作成法などが開発され、がん化の危険性は減っている。さらに、山中教授の研究仲間の高橋和利・京都大講師らは今年6月、横浜市で開かれた国際幹細胞学会で望み通りの細胞になりにくくがんになりやすい「低品質」iPS細胞について、見分ける目印遺伝子を見つけたと発表した。
しかし、現段階では、人体に入れても安全な品質を担保する「標準化」は実現していない。それに加え、再生医療のため患者個別のiPS細胞を作成することは、現状では費用も時間もかかるため、現実的ではないと考えられている。
同じ白血球型であれば拒絶反応が少ないこともあり、山中教授は白血球型ごとにiPS細胞を備蓄しておく「iPS細胞バンク」構想を表明。今年7月には「iPS細胞ストック」を構築する意向を発表、基盤整備が始まったところだ。
◇究極の個人情報 倫理確立が急務
倫理面での課題もある。iPS細胞はもう一つの幹細胞である胚性幹細胞(ES細胞)と異なり、受精卵を壊さないが、京都大のチームが今月、マウスのiPS細胞から卵子と精子を作ることに成功、子どもも産ませたことで、幹細胞からの生殖細胞(卵子と精子)作りをどのように規制すべきか早急に検討する必要が出てきた。
そもそも人間の臓器や組織を人工的に作り、道具のように扱う医療行為への疑問もある。患者由来のiPS細胞には、最高のプライバシーとも言われる患者本人の遺伝情報が含まれている。病気の解明や創薬のために作ったiPS細胞の管理や研究結果の取り扱い、細胞提供を受ける際のインフォームド・コンセントの取り方についても、十分な議論が求められる。
勝木元也(かつき・もとや)・基礎生物学研究所名誉教授は「新たな自然の法則を明確にしたのは学問的にすばらしい。今後は、安全に医療に応用できるよう、きっちり実験をしていくべきだ」と話した。iPS細胞を使った基礎研究の第一人者、須田年生・慶応大教授も「安全確認に時間がかかるので、一つ一つ壁を乗り越えていく必要がある」と語った。
(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20121009k0000m040087000c.html

山中氏ノーベル賞:新技術開発にも波及 国も集中的に投資
ノーベル医学生理学賞を受賞することに決まった京都大iPS細胞研究所の山中伸弥・同大教授(50)によるiPS細胞の開発は、他分野の研究を加速させた。中でも注目されているのは、iPS細胞を介さずに、皮膚細胞などから直接、神経や心臓など必要な細胞を作る「ダイレクト・リプログラミング」と呼ばれる技術だ。
研究の歴史はiPS細胞より古いが、成功例がほとんどなかった。しかし、マウスの皮膚細胞に4種類の遺伝子を導入するというiPS細胞の作成方法が刺激となり、複数の遺伝子を組み入れることで、成功例が相次ぐようになった。
慶応大のチームは今年8月、心筋梗塞(こうそく)を起こしたマウスの心臓に三つの遺伝子を入れて、心筋細胞を再生させる実験に成功したと発表した。チームの家田真樹・特任講師は「iPS細胞の論文は、何度も繰り返し読んだ」と話す。京都大iPS細胞研究所の妻木範行教授らは、ヒトの皮膚細胞から軟骨細胞を作り出した。
iPS細胞研究は、世界をリードできる有望な分野と政府も位置づける。今夏まとめた日本再生戦略では、集中的に支援することを明記し、iPS細胞を含む再生医療分野を新産業の柱に育てる目標を掲げた。
国の予算はここ2年、毎年100億円以上計上している。中でも大きな研究の枠組みが、文部科学省と厚生労働省が進める「再生医療の実現化プロジェクト」だ。京都大を筆頭に、慶応大、東京大、理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの4機関を拠点とし、iPS細胞の活用に必要な研究や技術開発を進めている。
患者数が少ないため治療法の研究が進まない難病の原因解明や創薬でも、iPS細胞を使った国のプロジェクトが始まる。病気の種類ごとに4カ所程度の拠点を設置。患者から提供を受けた細胞を使って難病iPS細胞を作り、それを使って創薬を目指す。現在、文科省へ公募のあった研究内容の審査が行われている。
(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20121009k0000m040086000c.html

余録:5年前、山中伸弥京大教授がヒトiPS細胞生成に…
5年前、山中伸弥(やまなかしんや)京大教授がヒトiPS細胞生成に成功したというニュースを聞いた際、小欄はそれを孫悟空(そんごくう)の「身外身(しんがいしん)の術」にたとえた。体の毛を一つかみ抜いてふっと吹けば、たちまちたくさんの小ザルに変わるというあれだ▲むろん皮膚から同じ遺伝子をもつ臓器や筋肉、神経などを再生できるとの話を聞いて思いついた類比である。当時はその意味を深く考えずに、暴れん坊の妖猿(ようえん)や仙人ならずとも身外身の術を操れる時代になるのかと書いたが、術の本当のすごさを知ったのはその後だ▲受精卵をもとにした万能細胞であるES細胞もそれが体の諸組織に成長する身外身の術だ。こちらは受精卵から赤ちゃんになる普通のプロセスを再現するものだ。だが同じ万能細胞たるiPS細胞はいったん分化して出来上がった皮膚の細胞から作られる。逆である▲生命の世界では逆戻りできないはずのプロセスを逆転させるこの術は、人類の知見を一新するものだった。山中さんがその業績発表から異例の早さでノーベル医学生理学賞を受賞するのもいわば当然だろう。開かれた再生医療の扉には世界中の研究者たちが殺到した▲山中さんは臨床研修医のころ、手術の手際の悪さから「ジャマナカ」とあだ名され、研究者としての医学への貢献を志す。米国留学から帰った後は日本の研究環境の劣悪さに絶望し、臨床医に戻ることも考えた。生命の最奥部への道のりは行きつ戻りつの連続だった▲生命は不可(ふか)逆(ぎゃく)のプロセスの中にそっと再帰のループ(輪)を秘めていた。人生も似たようなものかもしれない。今は山中さんが行き着いた栄誉を心から祝福する。
(毎日新聞)
http://mainichi.jp/opinion/news/20121009k0000m070073000c.html

社説:山中氏ノーベル賞 日本の宝物を磨こう
山中伸弥・京大教授のノーベル医学生理学賞の受賞が決まった。いつかは必ずと思われてきたとはいえ、「日本発」のブレークスルーに揺るぎない評価が与えられた意義は大きい。特に山中さんの成果は現在進行形のホットな分野である。日本の現在のバイオ力を世界に示すものとして喜びを分かち合いたい。
私たちの体はどんな細胞にもなれる「万能性」をそなえた1個の受精卵から出発する。いったん神経や筋肉、骨など役割を持つ体細胞になると元には戻れない。それが生物のことわりだと考えられてきた。
この常識をカエルの核移植による「細胞初期化」で覆したのが共同受賞者のガードン博士だ。この技術はクローン動物の作出にもつながった。ただし、核移植には卵子が欠かせない。別の万能細胞として注目されてきた胚性幹細胞も受精卵を壊して作るという倫理問題をはらむ。
山中さんはこれらのハードルを「遺伝子導入」で乗り越え、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作り出した。コロンブスの卵のようなアイデアで生物学の常識を塗り替え、倫理問題までクリアした業績は、社会的意義も大きい。
今でこそ、世界の有名人となった山中さんだが、行き詰まり、研究をやめようと思ったこともあるという。それを救ったのは無名の山中さんを採用した大学や、研究費だ。研究者の潜在力を見抜いて投資する「目利き」の重要性を感じる。
山中さんが成果を語る時、多くの研究者の協力で実現したことを強調する。誠実さを感じると同時に、研究の裾野の広がりの重要性に改めて気づく。優れた成果を増やすには少数のエリートを育てるだけでは事足りない。研究の層の厚さが必要だ。
iPS細胞は、日本発の成果をどう育てるかという難問も突きつけた。特許戦略は重要課題だが、昨年、欧米で京大の基本特許が成立した。国として知財戦略に力を入れたことが功を奏したとみていいだろう。
初期化機構の謎解きも今後の課題だ。医療の現場へ応用するにはがん化リスクの抑制が欠かせない。改良が進んできたが、完全とはいえない。ただ、臨床研究が射程に入ってきた分野もある。より早い応用が期待されるのは病気のモデル化や創薬の分野だ。患者の細胞からiPS細胞を作り、病気の進行を再現したり、薬の効き方を調べることに期待がかかる。
山中さんの成果の背景には、受精卵を使わずに万能細胞を作る、という明確なビジョンがあった。そこから生まれたiPS細胞は宝石の原石のようなものであり、世界が磨きをかけようとしのぎを削っている。日本も全力で取り組みたい。
(毎日新聞)
http://mainichi.jp/opinion/news/20121009k0000m070077000c.html

「山中氏との受賞は喜び」 英ガードン氏
山中伸弥京都大教授とともにノーベル医学生理学賞の受賞が決まった英ケンブリッジ大のガードン名誉教授は8日、英BBC放送に「山中氏は(私の研究成果について)現実的な治療への期待をもたらしてくれた。彼と一緒に賞を受け取れることは大きな喜びだ」と話した。
AP通信によると、受賞決定の発表後に記者会見したガードン氏は「(自身が核移植の技術を使ってクローンカエルを実現した1962年)当時は治療に活用できるかどうか全く分からなかった。光が当たるようになったのはほぼ50年たってからだった」と話した。
(47NEWS)
http://www.47news.jp/CN/201210/CN2012100801002014.html

創造力に富んだ天才 米グラッドストーン研究所
山中伸弥京都大教授へのノーベル医学生理学賞授与決定を受け、山中氏が籍を置く米グラッドストーン研究所(カリフォルニア州)のサンダース・ウィリアムズ所長は8日「山中氏の研究は、創造力に富んだ天才によるスリリングな物語だ。これと決めた目標に集中し、異なる分野の科学の融合に成功した」と称賛するコメントを発表した。
「山中氏の人工多能性幹細胞(iPS細胞)によって、世界中の科学者がこれまで困難だった病気の治療に向けて取り組むようになった」と意義を強調した。
(47NEWS)
http://www.47news.jp/CN/201210/CN2012100801001939.html

傑出した独創的な発見 利根川進氏
1987年にノーベル医学生理学賞を受賞した利根川進・米マサチューセッツ工科大教授の談話 山中先生の受賞は確信していた。iPS細胞の研究は、医学・薬学などの応用分野に多大な可能性を提供しているが、もともと、先生の傑出した独創的な発見から始まっている。社会に役立つ技術の開発には、基礎研究がいかに大切かということを証明していただいた。先生と、わずか2人の若い学生という小チームで行われた大発見に基づいていることを知り、自分のケースにとてもよく似ていたため感慨深いものがある。近年多くの研究が大規模化しているが、おおもとにあるのは個人の創造力あふれる発想だという点でわが意を得たりと思った。
(47NEWS)
http://www.47news.jp/CN/201210/CN2012100801001896.html

受賞に「心から敬意」と首相 被災地勇気づける
野田佳彦首相は8日、山中伸弥京都大教授のノーベル医学生理学賞受賞が決まったことについて「業績が国際的に高く評価され、わが国の学術水準の高さを世界に堂々と示すものだ。心から敬意を表するとともに日本人の一人として誇りに思う」とのコメントを発表した。
同時に「被災地で復興を目指す方々をはじめ、全国で数限りない方々が受賞に目を輝かせ、勇気づけられる」と強調した。
科学技術の進歩は東日本大震災からの復興などに取り組む上で不可欠だと指摘し「先生に続くような世界に雄飛する人材をしっかりと育み、今後も科学技術の振興に努める」と決意を示した。
(47NEWS)
http://www.47news.jp/CN/201210/CN2012100801001847.html

「本当の貢献、これから」=山中さん、笑顔で会見-受賞連絡、洗濯機とともに
ノーベル賞受賞が決まった京都大教授山中伸弥さん(50)は午後8時から京大で記者会見し、「iPS細胞は新しい技術。仕事は終わっておらず、医学への本当の貢献をこれから実現させなければいけない」と決意を語った。
受賞決定の知らせは、大阪市内の自宅で受けた。洗濯機がガタガタと音を立て、直そうと思って座り込んでいた時に携帯電話が鳴った。「家族も私もぴんとこず、ぼうぜんとした。80を超えた母に報告できたことが本当に良かった」と笑顔を見せた。
iPS細胞は難病の原因解明や治療、新薬開発につながると期待されるが、まだ実用化されていない。山中さんは「大きな可能性はあるが、役立つところまで来ていない。まだ受賞はないと思っていた」と振り返り、「これからの発展への期待の意味が大きいと信じている。速やかに現場に戻り、研究に取り組みたい」と意気込んだ。
臨床医だった山中さんは、患者への思いが深い。研究成果を待ち望む難病患者に対し、「たくさんの人が一生懸命研究している。苦しいと思うが、希望を捨てずにいてほしい」と呼び掛けた。
また「私は無名の研究者だった。国の支援がなければ受賞できなかった。日本という国が受賞した」と研究費支援に感謝した。
(時事ドットコム)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc&k=2012100800399

「もっと多くの発見を」=ノーベル賞選考の研究所所長-京都
ノーベル医学・生理学賞を選考するカロリンスカ研究所のハリエット・ウォールバーグヘンリクソン所長は京都市内で8日取材に応じ、「山中教授の発見は非常に意義があった」と受賞決定をたたえた。一方、「彼はまだ若い研究者で、もっとより多くの発見をして貢献していくと思う」とも話し、さらなる期待を寄せた。
同所長は「山中教授が若い研究者にとって目標とすべき人物となったことは、大変大切なことだ」とし、同教授と会った際の印象については、「とても才能がある研究者で、謙虚な人だった」と振り返った。
(時事ドットコム)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012100900014

「優しいが妥協しない先生」=山中さんとiPS開発-高橋さん
ノーベル医学・生理学賞の受賞が決まった山中伸弥さんの研究を支えた京大iPS細胞研究所講師の高橋和利さん(34)は9日未明、米ニューヨークへの出張を前に千葉県成田市内のホテルで取材に応じ、「尊敬する先生が受賞できて、とてもうれしい」と喜びを語った。
奈良先端科学技術大学院大に入った12年前から、ずっと山中さんの指導で研究を続けてきた。「すべて一から教えてもらった。大変やさしい先生」。一方で研究には妥協しない性格で「納得がいかなければ、決して論文は書かない」という。
6年前のiPS細胞発見の際、最初に細胞を見たのは高橋さんだったが、「6年前の発見より2週間前の論文の方が気になる。当時の気持ちは意外と覚えていない」と振り返り、「先生もおそらくそういう気持ちでは」と推測した。
iPS細胞研究の今後について「(受賞で)追い風が吹いた。これから成果を上げなければ『何をやっているんだ』ということになる」と指摘。「早く患者さんの役に立つよう、研究に励みたい」と話した。
(時事ドットコム)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2012100900023

一番の課題は「iPSストック」=山中さん、国の長期支援求める
体のあらゆる細胞になることができる人工多能性幹細胞(iPS細胞)の開発で、ノーベル医学・生理学賞の受賞が決まった山中伸弥京都大教授(50)が8日夜、時事通信社のインタビューに応じ、今後の一番の課題として、多くの人が使えるiPS細胞をあらかじめ用意し、治療での利用に備える「iPSストック」の実現を挙げた。
ノーベル賞に決まった研究者は、行事や取材対応に追われるのが常だが、山中さんは患者の治療に使える技術を一日も早く確立させるため、「来週には研究に専念したい」と語った。
山中さんはiPSストックについて「来年前半には第1号ができるのでは」との見通しを示した。白血球の型が特殊で、他人の体に移植しても拒絶反応が起きにくい細胞を持つ人からiPS細胞を作る計画。1人の提供者から、日本の人口の20%に使えるiPS細胞が作れるという。
今回の受賞決定を「国の支援があってこそ」と話す山中さん。ただ、2007年にヒトのiPS細胞を開発した際に支給が決まった5年分の研究費助成は、間もなく終了する。京大iPS細胞研究所の職員200人のうち180人は、こうした短期の研究費で雇っており、「5年後にポストがあるか分からない状態で、みんなに大変な思いをさせている」と打ち明ける。
(時事ドットコム)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2012100900046

理研研究者も波及効果期待 山中氏にノーベル賞
山中伸弥京都大教授が開発した人工多能性幹細胞(iPS)細胞を使い、目の病気の患者を対象に世界で初めての臨床研究を、2013年度にも理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市中央区)などが計画している。同センターの研究者は受賞決定を喜びながら、「臨床研究の後押しにもなるはず」と波及効果を期待。再生医療への理解拡大につながることを願う声も相次いだ。
同センターは隣接する先端医療センター病院などと共に、iPS細胞から作った目の網膜色素上皮細胞を使い、加齢黄斑変性という病気の患者への臨床研究を計画する。
同センターの高橋政代プロジェクトリーダーは「iPS細胞は、そのおかげで再生医療の実現が加速したといえ、いわば救世主。この日本の宝を大事に育てていく責任を感じる」と話し、喜びとともに今後の責任の重さも痛感していることを強調。「受賞を機に、患者さんや一般の方のiPS細胞への理解も一層広がってほしいし、その現実も認識してほしい」と期待する。
iPS細胞と同じく「万能細胞」と呼ばれる胚性幹(はいせいかん)細胞(ES細胞)を主に使い、世界で初めて網膜組織を作った同センターの笹井芳樹グループディレクターも「日本人の研究仲間として誇りに思う」とし、「iPS細胞は今後、病気の解明や医薬品開発、拒絶反応の少ない移植医療への貢献などが期待できる」と述べた。
(神戸新聞)
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0005437121.shtml

道内からも賞賛の声 ノーベル医学生理学賞の山中教授に
「病気で苦しむ多くの人を救う研究が評価されたのだろう」。さまざまな組織の細胞になる能力がある「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」を開発した山中伸弥京大教授がノーベル医学生理学賞を受賞した8日夜、道民も喜びに沸いた。
「日本人が受賞したと聞きとてもうれしい」と話すのは、運転中にラジオで受賞を知ったという札幌市清田区のタクシー運転手高田健司さん(55)。「山中教授の受賞を励みに、若い研究者たちにも頑張ってもらいたい」
また、山中教授が研究するiPS細胞の将来性に期待する人も多かった。釧路市のアルバイト志賀恵美さん(31)は「医学界がより発展し、難病で苦しむ多くの人々を救えるような未来にしてほしい」と祝福した。
(北海道新聞)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/410215.html

「待ちに待った受賞」 共同研究の自治医大・花園教授も祝福
「夢のような技術を見つけた。待ちに待った受賞」。京都大の山中伸弥教授(50)のノーベル医学生理学賞受賞が決まった8日夜、「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」を共同研究してきた自治医大再生医学研究部の花園豊教授(50)は、再生医療の最前線を共に歩んできた仲間の快挙を祝った。
「そんなばかな」。2006年、花園教授は山中教授がiPS細胞を開発したという一報を聞いて絶句した。サルの「胚性幹細胞(ES細胞)」を研究していた花園教授。iPS細胞の優れた万能性は指摘されていたが、どんなに科学が進歩しても開発は不可能と考えていた。
実際にiPS細胞の研究を始めると、血液の細胞が2、3週間で受精卵の状態にまで戻る。「まるでタイムマシンのようだった。これはかなわない」と脱帽した。
山中教授から誘われ、08年から複数の大学や研究機関が参加する「山中iPS細胞特別プロジェクト」に参加。サルやブタなどの大型動物を使った安全性の検証を担当した。
2人が最初に出会ったのは十数年前。米国で開かれた若手研究者向けの幹細胞学会だった。酒を酌み交わし、再生医療の可能性を語った。「当時は本当に酒が強いという印象。ノーベル賞をとるなんて夢にも思わなかった」と苦笑いする。
山中教授は体育会気質だが、仲間の研究の動向を気遣い、よく声を掛けるなど細かな配慮も忘れないという。研究者としては「先の先の先まで読める人」。発がん性の問題などiPS細胞の開発直後から長期的なビジョンを話し合っていた。
半年ほど前に会った際も患者への思いから臨床応用への展望を議論。花園教授は「安全性の問題はめどが立ちつつある。今後は実用化に向けて、iPS細胞の状態の質をいかに高めていくかが重要」と指摘する。「今回の受賞は同じ研究者して励みにもなった。自らも研究の一端を担い、力になっていきたい」と熱っぽく語った。
(下野新聞)
http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/top/news/20121008/895366

日本人、2年ぶり19人目のノーベル賞
また日本、また京大…
山中伸弥京都大教授にノーベル生理学・医学賞
英ガードン教授と共同受賞

スウェーデン・カロリンスカ研究所のノーベル委員会は8日、ノーベル生理学・医学賞受賞者に京都大学の山中伸弥教授(50)と英国ケンブリッジ大学のジョン・B・ガードン教授(79)を共同選定したと発表した。人工多能性幹細胞(iPS細胞)の開発と応用過程に寄与したことが認められたもの。日本は2年ぶりのノーベル賞受賞に歓喜している。これまでに5人の受賞者を輩出している京大に、もう1人新たな受賞者が加わった。
■日本政府、50億円支援
山中教授は同日の記者会見で「私は無名の研究者に過ぎなかった。(東日本大震災や経済不況という状況の中だが)国の支援がなかったら研究は不可能だったから、まさにこれは日本という国が受賞した賞だと感じている」とあいさつした。日本政府は2010年、同教授の研究が難病治療に画期的な貢献をするものと見て50億円の支援を決定した。山中教授は「来年(iPS研究を)網膜疾患の治療に応用する臨床試験が開始されるだろう。数年以内には心臓疾患の治療にも応用される見通しだ」と語った。
山中教授は1987年に神戸大学医学部を卒業後、整形外科の研修医として勤務していた際、慢性関節リウマチの女性患者が苦しむ様子を見て大きな衝撃を受けたのをきっかけに、難病治療を研究することを決心、93年に米国に留学した。そして2004年からは京大に在職している。日本人では10年にも2人がノーベル化学賞を共同受賞している。しかし、若者たちの理工系離れなどが深刻化しており、このままではノーベル賞受賞者がいなくなるのでは、との懸念もあった。そうした中、比較的若い山中教授が応用分野の広いiPS細胞の開発・研究で受賞することになり、日本中が興奮している。
■日本人ノーベル賞受賞者19人目
今回の受賞で日本人のノーベル賞受賞者は19人に増えた。日本は今後発表される化学賞・物理賞・文学賞などでのさらなる受賞も期待されている。日本人の受賞は基礎科学分野に集中しているのが特徴。今回の受賞者を含め科学分野が16人、文学賞が2人、平和賞が1人だ。科学分野では物理学賞7人、化学賞7人、生理賞・医学賞2人となっている。
今回受賞した山中教授が所属する京大は日本初のノーベル賞受賞者を輩出した大学でもある。京大は東京大学に比べ自由な校風で知られており、独創性を重視する研究が中心ということもあって、ノーベル賞受賞者を出す大学として有名だ。初の日本人ノーベル賞受賞者は京大の湯川秀樹教授だった。湯川教授は1949年に物理学賞を受賞、戦後の廃虚の中にあった日本国民は自信を取り戻した。
■実験中心の教育が源
日本は小学校から実験や興味に基づく科学教育をすることで知られている。ノーベル物理学賞受賞者の南部陽一郎シカゴ大学教授はインタビューで「物理学の面白さはパズルのような謎を解く楽しさ。小学校の理科の時間が一番興味深かった」と話している。こうした科学教育は一般の会社員までもノーベル賞受賞者にした。02年に化学賞を受賞した田中耕一氏は東北大学卒業後、島津製作所に入社、エンジニアとして勤務しながら研究を続け、受賞の栄誉に輝いた。日本は東大・京大のほか名古屋大学・東北大学・北海道大学などからも受賞者を出している。
(朝鮮日報)
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/10/09/2012100900389.html

山中京大教授らにノーベル賞 幹細胞研究で
今年のノーベル医学・生理学賞は、細胞が生体のさまざまな組織になる能力を取り戻す、いわゆる「細胞初期化」の研究に対して英ケンブリッジ大のジョン・ガードン博士と日本の山中伸弥京都大教授の2人に贈られることになった。
この研究は、クローンの作製から病気治療の可能性まで幅広く飛躍的な進歩をもたらしてきた。
日本人のノーベル賞受賞は19人目、医学・生理学賞は、利根川進米マサチューセッツ工科大教授(73)が1987年に受賞して以来、25年ぶり2人目となる。
細胞初期化とは、いったんはある組織へ特化し、それ以上変化しない「成熟」した細胞を受精卵に近い状態まで戻し、それを身体のあらゆる別組織の細胞に変化させるものだ。このように初期化された段階の細胞は幹細胞と呼ばれる。
これは生物学上、生命体の時計の針を元へ戻すようなものであり、近代科学の中でも画期的な偉業の1つといえる。その結果、生物学の教科書は書き換えられ、新たな研究分野が生まれることになった。
「細胞初期化」の発見がなければ、ある羊の体がそっくり複製されたクローン羊「ドリー」やその後のクローン実験は不可能だっただろう。また、以前はヒト幹細胞が受精卵を使ってのみ作れたが、この方法であれば、受精卵を破壊しなくても幹細胞を作ることができるため、倫理上の問題も回避できる。そしておそらく最も重要な点は、患者が自分の成熟細胞を使って新たな組織を作ったり病気治療に使える可能性が飛躍的に進歩したことだろう。
科学者はこれまで、細胞は受精卵から始まり、それが未分化細胞の状態を経て次第に血や骨、筋肉、皮膚など特殊化した細胞に変わる一方通行の変化しかないと考えていた。だが、ガードン博士と山中教授は、細胞は特殊化細胞へ不可逆的に変化するだけでなく、未成熟な状態に戻すこともできることを示した。
ガードン博士は1933年生まれで、現在はケンブリッジ大のガードン研究所に勤務する。山中教授は62年生まれで、現在京都大学教授。サンフランシスコの米グラッドストーン研究所の研究員でもある。
ガードン博士は62年に、オタマジャクシの小腸細胞の核をカエルの卵の核に移植する実験を行った。その結果、卵はオタマジャクシのクローンとなり、カエルに成長した。つまり、成熟した細胞でも、身体のあらゆる細胞に変化するために必要な全遺伝情報を持っているという結論に達した。
だが、細胞核の移植は技術的に難しい。クローン手法を使わなくても細胞の時計の針を戻すことは可能かという問題が残ることになった。
そして約40年後、山中教授が、細胞核を移植しなくても、成熟したヒト細胞にいくつかの遺伝子を入れることで受精卵の状態に戻せることを証明した。そしてその後の実験で、初期化した細胞を心臓や神経、その他のヒト組織に育てられることがわかった。
2007年のウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューで山中教授は、クローン手法とはちがって「細胞の初期化は、分子・細胞生物学の基本的な技術がある科学者なら誰でもできる」と述べている。
(ウォール・ストリート・ジャーナル)
http://jp.wsj.com/Life-Style/node_525950

京都大・山中教授にノーベル賞
スウェーデンのカロリンスカ研究所は8日、2012年のノーベル医学生理学賞を、さまざまな組織の細胞になる能力がある「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」を開発した山中伸弥京都大教授(50)ら2人に授与すると発表した。iPS細胞は再生医療への利用が期待され、生命科学研究の一大潮流をつくった日本オリジナルの画期的な成果。開発から6年のスピード受賞となった。
「感謝という言葉しかありません」。山中教授はは午後8時すぎ、京都市左京区の京大で記者会見し、「研究を続け、一日も早く本当の意味での社会貢献を実現したい」と決意を語った。
グレーのスーツにネクタイ姿の山中さんは、やや緊張した面持ちで大勢の報道陣が待つ会見場に到着した。
会見直前に会場で野田佳彦首相から祝福の電話が入ると「ありがとうございました。国を挙げて支援していただいたおかげです。ますます頑張っていきます」と携帯電話を握りしめた。
会見中は、研究者らしい真剣なまなざしに、時折笑みを浮かべなら質問に答えた。「日の丸のおかげ」「家族に心から感謝」と自分を支えた研究仲間や家族、国へのお礼の言葉を繰り返し「支援がなければこのような素晴らしい賞は受賞できなかった。日本の国が受賞した賞だ」と語った。
連絡を受けたときの様子を問われると「受賞すると思っていなかったので、家にいた」。洗濯機を直している最中に携帯電話に連絡が入ったと明かし、笑いを誘った。
連絡を受け、自身も家族もぼうぜんとしたという。「80歳を超えた母に報告できたことが本当に良かった」と喜びをかみしめた。
受賞については「過去の業績というよりはこれからの発展に対する期待の意味が大きいと感じている」と話した。iPS細胞はまだ新しい技術であると強調した上で「本当の意味で医学応用を実現させたい」と力を込めた。
日本人の受賞は2年ぶり19人目。医学生理学賞は25年ぶり2人目となった。同時受賞は、「クローンカエル」を実現した英ケンブリッジ大のジョン・ガードン名誉教授(79)。
山中教授は、マウスの皮膚細胞に4種類の遺伝子を組み込むと、さまざまな組織の細胞になる能力を持った万能細胞に戻せることを世界で初めて発見。iPS細胞と名付け、2006年に発表した。
研究の評価が確立してから授与されることが多い自然科学系のノーベル賞では、開発から6年というスピード受賞となった。世界の研究の流れを一変させたインパクトの大きさを高く評価したとみられる。
ノーベル賞を創設したアルフレド・ノーベルの遺言では「前年に人類に最も貢献した人」が対象。だが実際には受賞まで数十年ということも珍しくなく、08年に物理学賞を受賞した南部陽一郎・米シカゴ大名誉教授は半世紀前の理論。化学賞の下村脩・米ボストン大名誉教授がクラゲから蛍光タンパク質を発見したのも40年以上前だった。
授賞式は12月10日にストックホルムで開かれ、賞金800万クローナ(約9400万円)が2人に贈られる。
(デイリースポーツ)
http://www.daily.co.jp/gossip/2012/10/09/0005436973.shtml

京都大・山中教授にノーベル賞!大本命候補“3度目の正直”
2012年のノーベル医学生理学賞に「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」を開発した山中伸弥京都大教授(50)が選ばれた。スウェーデンのカロリンスカ研究所が8日午前(日本時間同日午後)発表した。日本人のノーベル賞受賞は2年ぶり19人目で、医学生理学賞は25年ぶり2人目。毎年「本命」とされながら3年目での受賞に「感謝という言葉しかない」と喜びを語った。
山中教授は午後8時から京大で記者会見。開始直前、タイミングを計ったように携帯電話が鳴った。野田佳彦首相からだった。山中教授は「国を挙げて支援していただいたおかげです」と恐縮した様子で謝辞を述べた。その緊張を引きずったまま会見に入り、「日の丸の支援がなければこのような素晴らしい賞は受賞できなかった。日本の国が受賞した賞だ」と謙虚に話した。
09年に「ノーベル賞に最も近い」とされるラスカー賞を受賞し、10年から「最有力候補」と言われ続ける中での“3度目の正直”。20代の半ば、医学の道を勧めてくれた父親を亡くしており「80歳を超えた母に報告できたことが本当に良かった」と喜んだ。
受賞決定の連絡を受けた時の状況を問われると「受賞するとは思っていなかった。家にいて、洗濯機がガタガタと音をするのを直そうとしていた。携帯電話が鳴って、出たら英語だったので(受賞決定を)知った」と笑わせた。
山中教授が06年に開発したiPS細胞は、心臓や脳など、さまざまな細胞になる能力を持つ万能細胞。まだ実用化されておらず、開発から6年での受賞は異例のスピードという。自然科学系のノーベル賞は研究の評価が確立してから授与されることが多いからだ。世界の研究の流れを一変させたインパクトの大きさが高く評価されたとみられる。
山中教授は当初、整形外科医を目指していた。しかし、手術が下手で、研修医時代に教官から「やまなか」ではなく「じゃまなか」と呼ばれた。「どんな天才的な医者も治せないのに、手術が下手な自分に何ができるのか」。こう思い、研究者に転身した。
しかし、転身後に身を置いた医学部ではネズミの世話に追われる日々。周囲から今度は「やまちゅう」と呼ばれ、研究を理解してもらえず、うつ状態になった。研究者としての歩みは挫折の連続だっただけに「心の支えになって助けてくれた人たちに感謝したい」と話した。
日本人のノーベル賞受賞は、10年化学賞の鈴木章・北海道大名誉教授と根岸英一・米パデュー大特別教授以来。医学生理学賞は87年の利根川進・米マサチューセッツ工科大教授以来。授賞式は12月10日にストックホルムで開かれ、賞金800万クローナ(約9400万円)が贈られる。
▼利根川進教授 山中先生の受賞は確信していた。iPS細胞の研究は、医学・薬学などの応用分野に多大な可能性を提供しているが、もともと、先生の傑出した独創的な発見から始まっている。社会に役立つ技術の開発には、基礎研究がいかに大切かということを証明していただいた。先生と、わずか2人の若い学生という小チームで行われた大発見に基づいていることを知り、自分のケースにとてもよく似ていたため感慨深いものがある。
◆山中 伸弥(やまなか・しんや)1962年(昭37)9月4日、大阪府東大阪市出身の50歳。神戸大医学部卒業後、国立大阪病院で臨床研修医。93年に大阪市立大大学院博士課程を修了。米グラッドストーン研究所へ留学後、奈良先端科学技術大学院大教授を経て04年、京都大再生医科学研究所教授。10年から京大iPS細胞研究所所長。ロベルト・コッホ賞、ラスカー賞、ウルフ賞、ガードナー国際賞など受賞。
(スポニチ・アネックス)
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2012/10/09/kiji/K20121009004287400.html

山中教授、開発6年のスピード受賞 研究のインパクト評価
山中伸弥京都大教授が人工多能性幹細胞(iPS細胞)の作製を初めて発表したのは2006年で、研究の評価が確立してから授与されることが多い自然科学系のノーベル賞では、開発から6年というスピード受賞となった。世界の研究の流れを一変させたインパクトの大きさを高く評価したとみられる。
ノーベル賞を創設したアルフレド・ノーベルの遺言では「前年に人類に最も貢献した人」が対象。だが実際には受賞まで数十年ということも珍しくなく、08年に物理学賞を受賞した南部陽一郎・米シカゴ大名誉教授は半世紀前の理論。化学賞の下村脩・米ボストン大名誉教授がクラゲから蛍光タンパク質を発見したのも40年以上前だった。
近年のスピード受賞は06年、遺伝子の働きを制御する「RNA干渉」という現象に与えられた医学生理学賞で、発見から8年後の受賞。10年の物理学賞となった炭素シート「グラフェン」は発見から6年後だった。
過去には1983年に発見された素粒子や、86年に発見された高温超電導物質が、それぞれ翌年に物理学賞を受賞したことがある。
(スポニチ・アネックス)
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2012/10/08/kiji/K20121008004286180.html

21世紀の国内ノーベル賞受賞者 米国に次いで2位
京大・山中教授ノーベル医学生理学賞受賞

21世紀に入って日本のノーベル賞受賞者は計10人になった。医学生理学、物理学、化学の科学系3賞の受賞者数は米国に次ぐ2位。トップの米国は43人。英国が9人、フランスとドイツが各5人と続く。
(スポニチ・アネックス)
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2012/10/09/kiji/K20121009004292090.html

京大・山中教授「iPS細胞」でノーベル医学生理学賞
スウェーデンのカロリンスカ研究所は8日、2012年のノーベル医学生理学賞を、山中伸弥京大教授(50)ら2氏に授与すると発表した。山中教授は様々な細胞になる能力を持つ「iPS細胞」を開発し、近年は毎年有力候補に挙げられていた。日本人のノーベル賞受賞は、10年化学賞の鈴木章、根岸英一両氏以来2年ぶり19人目で、医学生理学賞は87年の利根川進氏以来、25年ぶり2人目の受賞。21世紀の日本人受賞者は計10人で、科学系3賞受賞者数が米国に次ぐ2位となった。
「日の丸の支援がなければ、受賞できなかった。日本という国が受賞した賞だと感じています。『感謝』という言葉しかありません。80歳を超えた母に報告できたことが本当によかった」。受賞を受け京大で開かれた会見で、山中教授は喜びとともに、感謝の気持ちを何度も、口にした。
白いワイシャツにノーネクタイのスーツ姿で大学に到着。ほほ笑みを浮かべながら、会見場に入った。受賞連絡時の状況を問われると「受賞するとは思っていなかった。家にいて洗濯機がガタガタ音がするのを直そうとしていました。携帯電話が鳴って、出たら英語だったので、(受賞を)知りました」と答え、笑いを誘った。
再生医療、新薬開発等への応用が期待される“夢の万能細胞”iPS細胞を開発。06年にマウスでの開発に成功し、07年にはヒトでも実現させた。功績から数十年後に受賞という例が珍しくないノーベル賞で、開発からわずか6年での受賞。そのスピードが、世界に与えたインパクトと功績の偉大さを物語る。
会見では国への感謝を口にしたが、決して研究資金が潤沢だったわけではない。iPS細胞そのものが対象ではないが、09年には、科学技術関連事業の予算が「事業仕分け」され、削減や見直しが相次いだ。その際、山中教授は批判と不安の気持ちを述べている。今年3月には、研究資金の“カンパ”を訴え、アピールするため、京都マラソンに自ら出場した。
現在も年10回ほど渡航し、資金面など環境が整っている米国で研究している。この日、会見場では野田首相から祝福の電話が入り、教授は「国を挙げて支援していただいたおかげです」と答えていたが、胸のうちには複雑な思いがあったのかもしれない。
同時受賞は英ケンブリッジ大のジョン・ガードン名誉教授(79)。1962年にカエルのクローン誕生を実現させ、iPS細胞につながる道を切り開いた先駆者だ。山中教授は、まさにその62年に生まれた。教授は会見で「ガードン先生は、いまだに現役で研究をされている。私もがんばっていきたい」と万感の思いを口にした。
iPS細胞は、安全性の評価など、今も実用化への研究が続けられている。「受賞はこれからの発展に対する期待の意味も大きいと信じている」と気持ちを引き締めるように語った教授。「これから何日間かは、国民の皆様に自分の言葉で(研究などを)お話ししたいが、来週には研究現場に戻って、専念したい」と決意を新たにしていた。
授賞式は12月10日にストックホルムで開かれ、賞金800万クローナ(約9400万円)が2人に等分して贈られる。
◆ノーベル賞 ダイナマイトの発明で知られるアルフレド・ノーベルの遺言により1901年に始まった賞で、世界最高の栄誉。ノーベルの意向で、医学生理学賞は「前年に人類に最も貢献し」「医学・生理学の分野で最も重要な発見をした人」に贈られるが、過去の業績の場合もある。
(スポーツ報知)
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20121008-OHT1T00277.htm

まだ50歳!京大・山中教授の略歴
スウェーデンのカロリンスカ研究所は8日、2012年のノーベル医学生理学賞を、「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」を開発した山中伸弥京都大教授(50)ら2氏に授与すると発表した。日本人の受賞は19人目。
◆山中伸弥(やまなか・しんや)1962年9月4日、大阪府東大阪市出身。神戸大医学部卒業後、国立大阪病院で臨床研修医。93年に大阪市立大大学院博士課程を修了。米グラッドストーン研究所へ留学後、奈良先端科学技術大学院大教授を経て04年、京都大再生医科学研究所教授。10年から京大iPS細胞研究所所長。ロベルト・コッホ賞、ラスカー賞、ウルフ賞、ガードナー国際賞など著名な国際賞を多数受賞。大阪市在住、50歳。
(日刊スポーツ)
http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20121008-1029827.html





iPS細胞研究の山中氏らにノーベル賞 医学生理学賞
実用化待つ人へ「希望を持って」 山中教授が受賞会見
【山中教授にノーベル賞】 バチカンも好感か
山中教授「まさに日本という国が受賞した賞」
iPSは「細胞のタイムマシン」 常識覆した山中氏」の追加情報です。