【山中教授にノーベル賞】 バチカンも好感か | 再生医療が描く未来 -iPS細胞とES細胞-

【山中教授にノーベル賞】 バチカンも好感か

ことしのノーベル医学生理学賞受賞が決まった山中伸弥京都大教授らが作製した人工多能性幹細胞(iPS細胞)について、カトリックの総本山、ローマ法王庁(バチカン)は人の受精卵(胚)からつくる胚性幹細胞(ES細胞)と違って倫理面で問題視していない。山中教授の受賞について公式コメントはないが、好意的に捉えているとみられる。
山中教授らの成果が発表された2007年11月、当時、バチカン生命科学アカデミー所長だった聖職者のスグレッチャ氏はバチカン放送のインタビューに対し「人(受精卵)を殺さず、たくさんの病気を治すことにつながる重要な発見だ」と歓迎した。
法王庁は、生命は卵子が受精したときに始まるという考え方に立ち、受精卵を壊してつくるES細胞による研究に強く反対してきた。バチカンが08年3月に発表した現代の「七つの大罪」にも、ES細胞研究を念頭に置いたとみられる。
(MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/life/news/121008/art12100822530010-n1.htm

「皆様のおかげです」 京大で山中氏が一声
記者会見の会場となった京都大(京都市)の本部棟会議室では、発表1時間前から100人を超える報道陣らが詰めかけ、発表を見守った。
午後6時半すぎ、ノーベル賞の公式ホームページを確認していた記者らから受賞の一報が伝わると、会場内に「おお」とのどよめきが起き、「やった」「おめでとう」などと歓声が飛んだ。
京大の広報室は受賞の報を受け、急ピッチで会見のセッティングを開始。職員の1人は「準備で手いっぱい。会見で詳しく取材に応じます」と話し、会場は終始、慌ただしさに包まれた。
午後7時半前、京都大に山中伸弥教授が到着。車から降りると深々と礼をし、「おめでとうございます」との報道陣からの問いかけに、「ありがとうございます。皆様のおかげです」と答えた。
(MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/121008/wlf12100819440018-n1.htm

山中氏が会見 「感謝という言葉しかない」
ノーベル医学・生理学賞の受賞が決まった京都大の山中伸弥教授(50)は8日夜、記者会見で「名目上は2人の受賞ということになっているが、受賞できたのは日本という国に支えられたおかげ。一言で表現するなら感謝という言葉しかない」と感想を述べた。
午後7時55分、記者会見場となった同大本部棟5階に姿をみせた山中氏は、グレーのスーツに同系色のネクタイ姿。胸には記章をつけ、穏やかな表情で会見に臨んだ。
会見では、山中氏がマイクに向けて「あの…」と一言発すると、カメラのフラッシュを一斉に浴び、一瞬戸惑った表情もみせたが、その後は淡々と思いを語った。
山中氏は「無名の研究者にすぎなかったが、国や大学、一緒に細胞をつくった同僚や若い研究者、いつも私を励ましてくれた友人や家族にも感謝の意を表したい」と述べ、「80歳を超える私の母に報告できたのはよかったが、(他界した)父もきっと天国で喜んでくれていると思う」と心境を語った。
また、受賞について「喜びも大きいが、同時に大きな責任も感じている。iPS細胞はまだ医学や薬の開発に役立ったといえるところまで来ていない。受賞できたのは光栄だが、一日も早く社会貢献に役立てたい」と話し、「国民のみなさんに私たちの研究に意義を伝えていきたいが、来週からは研究に専念したい。それが私の仕事である」と喜びを押し殺すように語った。
受賞の一報は自宅で聞いた。
「洗濯機がガタガタ音がするので、座り込んで直そうと思っていたら、携帯電話が鳴った。(通話の声が)英語だったので、そうだと思った」と振り返った。
受賞後には、野田佳彦首相からも「日本国民みんなを元気にする受賞で、国の代表としてお祝いの言葉を述べます」と電話がかかり、「総理と直接話すのは生まれて初めてだったので、よく覚えていないが、身に余るお言葉をいただいた」と率直な気持ちを述べた。
共同受賞した英ケンブリッジ大のジョン・ガードン名誉教授(79)について「(iPS細胞の)核の初期化という分野を切り開いたのがガードン先生。これがなければ私たちの仕事もない」と評価し、「真理を明らかにするのが研究者の仕事。何枚ものベールを最初にはがしたのがガードン先生であり、私はある意味幸運だった」と謙虚に語った。
受賞の知らせは母にも報告したが、「キョトンとした様子だった」という。「母は『ああ、よかったね』と言ってくれたような気がしますが、あまりピンときていなかったのでは」と振り返り、会場をわかせた。
iPS細胞は、動物の体を構成するどんな細胞にも分化できる能力を持つ。患者の皮膚などからiPS細胞を作り、そこから必要な臓器を育て、機能不全に陥った臓器の代わりに移植する再生医療への応用にも熱い視線が注がれる。
山中教授は記者会見で「iPSは万能細胞とも言われるが、すぐに病気が治ると誤解を与えている部分もあるかもしれない。でも、実際は時間がかかります」と前置きした上で、「日本、世界中の研究者たちが日夜研究に励み、一歩ずつ前に進んでいる。難病で苦しんでいる方も希望を捨てないでほしい」と力強く語った。
わずかな遺伝子を組み込むことで生命のプログラムを巻き戻せることを示し、生物学の常識を覆したとも言われるiPS細胞だが、山中教授は受賞会見の中で倫理面での問題点にも触れた。
「アメリカでマウスのES細胞の研究を始めたが、受精卵をつかう問題に直面した。iPSではこれを克服できたと思ったが、理論的には皮膚から生命をつくる、新たな課題もつくりだしてしまった。かつて私自身も『倫理的問題はない』と言ったことがあるが、これは間違いだ」
およそ1時間で終了した会見では、若い研究者たちへのメッセージもあった。
「私も若いつもりだが、アイデア一つで、また、努力で、どんどんいろんなものを生み出せる力のある仕事だ。研究成果、知的財産は無限に生み出すことができる。志す人が安心して研究できる環境がつくれるよう、微力ながら貢献したい」
(MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/121008/wlf12100821110029-n1.htm

「受賞はゴールではなく、スタート」 中学高校の同級生ら
山中伸弥教授と中学高校の同級生で、商社を経営する平田修一さん(50)=兵庫県芦屋市=は、「同級生として誇りに思う。山中の技術は再生医療、治療薬開発などこれからも研究が続く。マラソンでいうと、受賞はゴールではなく、スタートになる」と喜びを語った。受賞を確認後、平田さんが「よくやったな」と山中氏にメールを送ると、午後7時ごろに「平修、ありがとう」と返事が返ってきたという。
中高の同級生で、印刷会社を経営する芳武努さん(50)は、ノーベル財団のホームページで受賞を確認。「とにかくうれしい。研究の結果が多くの患者さんに役立つようになることを願いたい」と笑顔をみせた。
山中氏は高校時代はにスポーツ医学を研究して医者になることを目指していたという。奈良先端科学技術大学院大学で研究を進めるようになると、「臨床で目の前の人を救うことも大事だが、自分の研究で多くの人を助けることもできる」と研究者の決意を語ったことがあったという。芳武さんは「誠実で、誰に対しても謙虚。優しい性格の持ち主」と山中氏の人柄を振り返った。
今月3日、芳武さん、平田さん、山中氏と山中氏の妻、知佳さん(50)の4人で大阪市内の和食店で会食をしたといい、山中氏はノーベル賞について、「ないない」と“落選”の見込みを語っていたという。
(MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/121008/wlf12100821030028-n1.htm

山中伸弥教授の会見(1)「日本という国が受賞した賞」
大変お忙しい中お集まりいただき、本当にありがとうございます。ノーベル賞という賞を、何時間か前にスウェーデンからお電話を頂き、受賞の知らせをいただいたが、本当に心の底から思ったことは、この賞というのが、山中伸弥とジョン・ガードン先生の2人ということだが、本当に私が受賞できたのは、日本という国に支えていただいて、本当に日本、日の丸のご支援がなければ、受賞できなかったと心の底から思った。
まさにこれは、日本という国が受賞した賞だと思っている。このiPS細胞の基礎となった研究を奈良先端科学技術大学院大学というところで初めて、研究室を持った30代半ばのころ、非常に無名の研究者に過ぎなかったころだが、国から大きな支援を与えていただいて伸び伸び研究することができた。
これが発展したことにより、京大でさらに研究ができ、文科省の支援も受ける中でできたのがiPSだった。この間、非常に大きな国からの支援をいただいてきた。
こういったご支援がなければ、今日の電話はかかってこなかった。感想を一言で言うと、感謝でしかない。
感謝する人は、国のみなさん、今私たちの研究を支援頂いている京都大総長を初めとしたみなさん、そして、iPS細胞を一緒に作ってくれた高橋和利講師や同僚、若い研究者。分野は違うが、いつも励ましてくれる友達、心の支えになってくれる人。また、家族に心から感謝の意を表したい。私の母が80歳を超えており、その母に報告できたことがうれしい。義理の父は私を留学させるために支えてくれたが、今年早くに亡くなった。この義理の父に報告できていないのが残念だが、25年以上前に亡くなった本当の父とともに、天国で喜んでくれていると思う。
喜びも非常に大きいが、大きな責任も感じている。iPS細胞は、医学や創薬に、非常に大きな可能性を感じているが、本当の意味で役だったといえるところまでは来ていない。早く研究を続け、医学応用を実現させたいと思っている。
この何日間か、いつも支えてくれているみなさんへ、私もできるだけ自分の言葉で伝えたいと思っているが、その後はすぐに研究に戻る。まだ仕事は終わっていないので、来週からは研究に専念して、論文も書かなくてはいけない。学生さんも待っている。
それが私の仕事で、この賞の意味。過去の仕事ではなく、これからの発展に対する意味が大きいので、それに報いるように、これからも現役の研究者としてこれに取り組んでいきたい。
今回、ジョン・ガードン先生と受賞できたのが、これがいちばんうれしい。ジョン先生は、いったん分化した他の細胞が受精卵に戻るということを初めて証明された。私たちが研究している分野を開拓した先生。
これからの研究者の人生として、いまだに活躍されているジョン先生のように私もiPS細胞が再生医学への応用を実現する日まで頑張っていきたいと思う。
少し外国の話になるが、私が京大と並んで所属しているグラッドストーン研究所の推薦ももらっての受賞。大学院を修了してすぐの新米のときにトレーニングを積んだ所。ここは、小さな所ではあるが、毎月渡米しては、グラッドストーンの支えがなければ、今回の受賞はなかった。本当に感謝している。
(MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/121008/wlf12100821270031-n1.htm

山中伸弥教授の会見(2) 「洗濯機直そうとしたときに…」
--受賞の知らせは
「家にいて、洗濯機からガタガタ音がするので直そうとしていたとき、携帯電話が鳴った。ノーベル賞に匹敵する人はもっとたくさんいると思っていたので、本当なのかどうか信じられないというのが正直な気持ちだった。日本の研究者である私が受賞できたのは、国の支援のたまものだと思う」
--どのような点が評価され受賞につながったと思うか
「核の初期化が極めて簡単な方法で起きるというのを示したのが受賞の理由だと思っている。ただ、ガードン先生の研究がなければ成し遂げられなかったと思うし、他にもキーとなる研究が多くあった。そういった研究のおかげでの受賞だとも強く思った。研究者の仕事は『真理を明らかにする』ことだ。しかし、なかなか真理は見えてこない。しかし、たまたまある1枚をめくったら見えるということも研究ではある。私たちのチームがやったのも、ガードン先生がめくった後をめくったら見えてきたということだ。ある意味、幸運とも言っていいのかもしれないが、1枚1枚が等しく大事だということは変わっていない」
--先ほどの野田首相との電話でのやりとりでは、どんな声をかけられたのか
「総理大臣と話をするのは生まれて初めてだったので緊張してしまい、ひとことずつ覚えているわけではないが、野田総理の方からは『おめでとうございます。日本中を元気にするような受賞で、国を代表してお祝いの言葉を述べます』という身に余る言葉を頂いた。私たちも、文科省を初めとして、国の税金で運用させていただいているので、私たちの本当の仕事は、しっかり研究開発を進め、iPS細胞を医療応用させることだと思っている。これからも、その仕事をきちんと続けていきたいと思う」
--首相の具体的な言葉は 「やはり、おめでとうございますという言葉を何度もかけていただきました」
--どのように返事を
「『ありがとうございます』と。言えたかどうかは分からないが、言いたかったのは、国からの支援をいただいたからノーベル賞を受賞できたということ。まず、最初にiPS細胞を作ることができた仕事も、国からの支援があったからできたことなので、その感謝の気持ちを伝えたかった。それが、伝わっていることを願っています」
--ご家族にはどのような報告をしたのか
「受賞の知らせを聞いたとき、家族の何人は家にいたが、このような知らせは伝えてもなかなかぴんと来ないみたいで、なんか呆然としているというか。私自身もそうでしたが。母親にもすぐ電話したのですが、母親もきょとんとしてるような声でした」
--お母様はなんと
「よかったなぁ、と」
--ガードン博士とのエピソードはありますか
「初めて会ったのは成功するかなり前のこと。印象は、ジョン・ガードン先生は、正直なところ、とても美しい髪の毛をされていて、美しいなというのが第一印象。いまだに、現役で自分で研究しているのがすごいなと。常に論文をよみ、ディスカッションしていて、科学者というのはこうでなければだめだな、というのがありました」
(MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/121008/wlf12100821370032-n1.htm

山中伸弥教授の会見(3) 「時間との戦いを感じている」
--これまでの感触では受賞をどうとらえていた
「世界では、沢山の人がノーベル賞級の研究をしているし、日本の研究者にもたくさんいる。その中にいると、まだまだiPSが対象とは思っていなかった」
--実用化を待つ患者へのメッセージを
「iPS技術は、今日、明日に病気が治るとの誤解を与えてしまっている所もあると思う。実際には、まだまだ研究が必要な病気が多いというのが事実だ。しかし、私たちの研究所だけでも200人以上が日夜、一生懸命研究している。一歩一歩前に進んでいる。苦しんでおられる方のために、研究者が一生懸命、研究している。希望を捨てずにいてほしい」
--研究を目指す若者へのメッセージは
「研究というのはアイデアひとつ、努力で色々なものが生み出せる。日本は天然資源が限られている現実があるが、研究成果は無限に生み出せる。それが国の非常に大きな力にもなるし、病気で苦しんでおられる方の役にも立つ。一人でも多くの方が研究に参加してほしい。そのような人が安心して研究できるような環境を、私たちがさらにつくっていきたい。それに微力ながら貢献したい」
--iPS細胞の研究については、自分の体細胞を提供した患者さんもいるが、その患者さんへの思いは
「私も臨床医をしていたて、臨床医のときは常に患者さんの顔が見えている。この患者さんをどうやって治そうか、という仕事。そこから基礎医学者になると、患者さんの顔が見えなくなった。『この研究はこの病気に役立つかも』という病気の名前はわかっていても、患者さんの顔は見えてこない。しかし、iPS細胞は患者さんの細胞をもらって研究しているので、そういう意味では、基礎研究ではありながら、一人一人の患者さんの顔を思い浮かべながらやれていると思う。どんどん進行する病気の時間との戦いを感じているが、私たちにとっての1日が、患者さんには大きいことを心してやっている。やはり、明日すぐ応用できるかという力はないが、応用に向けて、いろいろ工夫して研究している。何度も言うが、患者さんにはどうか希望を持って、治療にあたってほしい」
--話すことや着る服など、どういう準備を
「全く何の準備もしていなかったので、電話が来てから。電話が来てすぐ出発したかったが、ストックホルムからの電話インタビューもあったので、十分な時間がなく、家族ともども狼(ろう)狽(ばい)していた。目の前にあるものをとりあえず着て、目の前にあるものをとりあえずカバンに詰めてきた。車の中でもいろいろな方から電話やメールを頂いたので、それになるべく返事をしようとしていた。本当に、今考えていることを口にしているだけなので、変なところがあれば、ぜひうまく編集してください」
--高橋(和利)講師など、若い研究メンバーらとはどういう話をしたか
「高橋君をはじめ、みんな一人一人が本当にすごいの一言。本当に良くここまで頑張るな、と思う。僕も若いときには実験をかなり頑張ったつもりだが、それよりははるかに頑張っているので、すごいなと。技術員の方や、研究員にとってなくてはならない人。僕が初めて研究室を持ったときから本当に多くのメンバーに恵まれた。奈良に行くまでは、一人で研究しなければならない辛い場面が多かったが、今はメンバーに恵まれてずっと研究できている。iPS細胞研究所で頑張っている二百数十名の仲間のおかげだと思う」
(MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/121008/wlf12100821490033-n1.htm

「研究を間近でみられて幸せ」 京大iPS細胞研究所の高橋和利講師
京都大の山中伸弥教授とともに研究を続けてきた同大の高橋和利講師は、「この偉大な研究者の指導を直接受けられたこと、革新的な研究を間近でみられたことに幸せを感じております。今後は、iPS細胞が少しでも早く世の役に立てるよう、研究所一丸となって全力で研究を進めていきます」とコメントした。
(MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/121008/wlf12100819590020-n1.htm

「ついにやった!」 学生や京大関係者も喜びに湧く
山中伸弥京都大教授(50)のノーベル医学・生理学賞受賞が決まった8日、山中教授が教(きょう)鞭(べん)をとる京都大(京都市左京区)では、受賞の一報が入ると、関係者らから歓喜の声が上がった。
山中教授が所長を務める同大のiPS細胞研究所(CiRA)の技術員、喜多山秀一さん(25)は「『ついにやったんだ!』という気持ち。iPSを臨床に結びつけようという夢が実現に向かいつつある中、本当に喜ばしい」と話した。
受賞の報を聞き、喜びを分かち合おうと、同研究所に駆けつけた学生らも。同大理学部3年の男子学生(21)は「研究成果を発表して間もなくのスピード受賞。それだけインパクトのある成果だったのだと思う」と驚いた様子。
「技術が実用化される前に受賞したことは、それだけすごい成果ということ。欧米に負けている研究分野でもある中で、今回の受賞を誇りに思う」と話すのは、同大院理学研究科修士2年の阪井田賢さん(25)。
工学部1年の男子学生(20)は、「自分が通う大学から受賞者が出たのはすごく名誉なこと。再生医療の進歩につながるのでは」。法学部助手の男性(25)は「すごい。同じ大学から世界的な賞をもらう人が出たことは、自分も分野は違うが頑張ろうというモチベーションになる」と笑顔を見せた。
(MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/121008/wlf12100821550034-n1.htm

「1人の力ではなしえなかったこと」 山中教授の妻の知佳さん、母の美奈子さん
山中伸弥教授のノーベル医学・生理学賞の受賞を受けて、山中氏の妻、知佳さんと母、美奈子さんはコメントを発表した。
妻、知佳さんの話「このような栄誉ある賞を受賞することになり、大変光栄に思っております。iPS細胞の発見は、山中一人の力ではなしえなかったことです。これまで研究を支えてくださった多くの方に、心から感謝を申し上げます」
母、美奈子さんの話「このような栄誉ある賞を受賞したと聞き、大変驚いております。これもひとえに大勢の皆様のお力添えの賜物と思っております。これまで息子を支えてくださった方々に心より感謝申し上げます」
(MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/121008/wlf12100822010035-n1.htm

「その瞬間、『おぉー!』と歓声が上がった」 iPS細胞研究所の戸口田淳也副所長
iPS細胞研究所の戸口田淳也副所長(55)は「研究所の一員として、受賞は本当にうれしい。山中先生も毎年プレッシャーを感じていたと思うので、解放されて良かったのかなと思う。研究所では、みんなで中継の画面を見ていて、名前が呼ばれた瞬間におぉーっと歓声が上がった。実際に人の役に立つ段階までは(受賞は)ないと思っていたので、多くの人が今年はないと思っていたのではないか。先生とは、ランニング仲間でもあり不思議な縁。早く騒ぎがおさまって、一緒に酒を飲みましょうと言いたい」。
(MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/121008/wlf12100822050036-n1.htm

山中氏は「足は遅く、ハンドリングも…」 神戸大医学部ラグビー部50周年誌に記録
山中伸弥教授が所属していた神戸大医学部ラグビー部の「50周年誌」には、学生時代の山中氏のプレーや人柄を語るコメントが残されている。
昭和62年度の主将(当時)による評価は「ポジションはロック一筋。他はできない。足は遅く、ハンドリングもままならないが、なぜかモールの中からボールを持って抜け出てくる変な奴」。
一方、大学3年春という遅い入部のハンディをはねとばすように「ストイックでナルシスト。初めは出遅れたが、研究熱心」という、後の業績につながるような努力家の一面も記されている。
(MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/121008/wlf12100822290037-n1.htm

「欧米とは異なる取り組み方が独創生む」 化学賞受賞者の田中耕一さん
2002(平成14)年にノーベル化学賞を受賞した田中耕一氏は、山中伸弥京都大教授のノーベル医学・生理学賞の受賞についてコ、メントを発表した(以下全文)。
自然科学系ノーベル賞を日本人研究者が同時受賞してからまだ2年しかたっていませんが、早くも新たな日本人が、しかも利根川先生受賞から四半世紀ぶりの医学生理学賞受賞となり、本当におめでとうございます。昨今、日本が自信を失いがちな状況の中、特に日本が得意とする科学・技術の分野から極めて明るいニュースが舞い込んだといえるでしょう。
山中先生は、神戸・大阪・奈良・京都で研究されています。2008年の益川先生、小林先生を含め、また京都にゆかりのある受賞者が増えたということ、同じく京都で研究を続ける私にとって、これもまた喜ばしいことです。
私が子供のころ、日本には「欧米のまねをすれば独創的になれる」という空気がありました。京都は、今も日本古来の伝統や文化が息づいています。個人的な意見ですが、「独創とは人と違う考えを用いて創造すること」であり、「欧米とは異なる取り組み方、環境で研究することが独創を生み出す」。そういった可能性をもっと追求してよいのでは、と最近思えるようになりました。
今回の受賞が、「日本の環境や考え方を生かし、世界に貢献できることがたくさんある」ことを再認識する、日本が自信を持って再び前進する契機になれば、受賞の意義がさらに増すと思えます。
山中先生は、日ごろ、ご自身の研究成果を「一刻も早く医学・薬学へ生かしたい」とおっしゃっています。ノーベル賞設立から現在まで脈々と受け継がれている根幹の精神に呼応する考え方と思います。「創薬・診断への貢献」を目指す最先端研究開発支援FIRSTプログラムを進行中の私も、今回の山中先生の受賞に勇気を得て、さらに貢献できるよう頑張りたいと思います。
(MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/121008/wlf12100820050021-n1.htm

「彼の正義感が原点」 中高校時代の同級生の世耕弘成議員
山中伸弥教授の中学・高校時代の同級生で、参議院議員の世耕弘成氏は、理事長を務める近畿大を通じて「中学・高校時代からの親友が受賞し、心から喜んでいます」とコメントした。
世耕氏は、山中氏と家も近所で、同じ柔道部に所属し、生徒会でも一緒に活動してきたという。「そんな友人の受賞を誇りに思います。中学生のころから正義感が強く、真理を探究するタイプの人物でした」と当時を振り返り、受賞について「患者を救いたいという、彼の正義感が受賞の原点にあるのではないのでしょうか」とたたえた。
(MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/121008/wlf12100820130022-n1.htm

「純国産の快挙」 京大・早石修名誉教授
ノーベル医学・生理学賞候補者のひとりとされる京都大の早石修名誉教授(92)は「医学・生理学賞は日本人として2人目だが、1人目は外国の大学で研究し、大成した。山中教授は日本で研究して、日本で弟子を育ててやったのだから、純国産という意味では日本人初の快挙といっていいと思う」と興奮気味に話した。
さらに「この受賞は日本の医学生物学の草分けとなるだろう。今度会ったら『本当の意味で日本人で初めての受賞、おめでとう』と言いたい。彼の研究は非常にオリジナリティーにあふれていて、彼は誰もやってみなかったことをやった。非常に誇りに思う」と語った。
(MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/121008/wlf12100820200023-n1.htm

「ただただうれしく、すごい」 同級生の藤井睦子さん(大阪府教委教育次長)
大阪教育大学付属高校天王寺校舎時代、勉強だけでなく、スポーツや音楽にも熱心に取り組む山中伸弥教授は同級生の中でも憧れの的だったという。
同級生の間では「今年こそ」という期待が年を追うごとに高まっており、同級生の一人で大阪府教委の教育次長、藤井睦子さん(50)は「ただただうれしく、すごいの一言。本人はいつものように淡々としているかもしれないが、こちらは浮かれてしまう」と大喜び。
山中氏は高校卒業後も、同窓会を開くたびに顔を出すなど、気さくな人柄でも知られている。藤井さんが昨年秋、大阪城周辺でマラソンの練習をしていた山中氏と偶然会ったときも声を掛けられた。藤井さんは「同級生の誉れ。一緒に写真を撮っておけばよかった」と話した。
(MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/121008/wlf12100819510019-n1.htm

「閉塞感のある日本に明るい話題」 建築家の安藤忠雄氏
山中伸弥氏が呼びかけた研究活動への一般公募の寄付に応じたことがあるという建築家の安藤忠雄氏(71)は、受賞について、「研究への評価はもとより、山中さんのようなこれからの時代を切り開こうとする若手の研究者が評価されたことは、閉塞感のある今の日本にとっては非常に明るい話題で喜ばしいこと」と賞賛した。
そのうえで、自らの世界的な活動と重ね合わせ、「社会にインパクトを与える大きな仕事には多くの理解者が必要だ。山中さんをはじめ若手のトップランナーへの支援への取り組みについて、企業など日本社会が当たり前だと思える意識改革や仕組み作りが、技術立国再興を目指す日本に不可欠だ」としている。
(MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/121008/wlf12100819360017-n1.htm

「電話しまくり」 対応に追われる文科省職員
文部科学省では、山中伸弥教授のノーベル医学・生理学賞受賞の一報を受け、職員らが対応に追われた。
文科省では、日本人の受賞に備え、8日午前中から職員が登庁。午後6時半ごろ、山中氏受賞の一報が入ると、17階の振興企画課学術振興係では職員十数人が、田中真紀子文科相登庁の調整や、首相官邸など関係機関との連絡、資料作成など対応に追われた。
女性職員の一人は「良いニュースで良かったが、みんなで関係各所に電話しまくっている状態。電話も鳴りやまない」と慌ただしく話した。
(MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/life/news/121008/art12100819370005-n1.htm

「個人の想像力あふれる発想だ」医学・生理学賞の利根川氏
昭和62年にノーベル賞を受賞した利根川進・脳科学総合研究センター長(73)は喜びのコメントを次のように発表した。
「山中伸弥先生のノーベル生理学・医学賞のご受賞、大変嬉しく思っております。心からお祝い申し上げます。山中先生のご受賞については確信しておりました。いつ頃受賞されるのかと心待ちにしておりました。
先生のご受賞のニュースに接し、2つの思いが胸に去来しました。
そもそも学問・研究の成果には、国境・国籍というものは関係ないのですが、それでもこの20~30年、物理や化学分野で多くの日本人受賞者が出た中で、生理学・医学分野では、受賞者が出ずに参りました。そういう意味でも、今回は日本のために本当によかったと、心から嬉しく思っております。
2つ目は、山中先生のiPS細胞のご研究は、医学・薬学などの応用分野に多大な可能性を提供しておりますが、もともと、先生の基礎研究における傑出した独創的な発見から始まっています。社会に役立つ技術の開発には、基礎研究がいかに大切かということを証明していただいたという点からも、大変嬉しく思っております。
個人的には、数年前、理研の脳科学研究所で講演をしていただいたときのことを思い出します。特に、先生の一連の成果が、先生とわずか2人の若い学生という小チームで行われた初期の研究の大発見に基づいていることを知り、自分のケースにとてもよく似ていたため、感慨深いものがありました。近年多くの科学研究が大規模化していますが、そのおおもとにあるのは個人の想像力あふれる発想だという点で、わが意を得たりと思った次第です。
山中先生がこのご受賞を機会にますますご活躍されることを心から祈っております」
(MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/life/news/121008/art12100820040006-n1.htm

「若い世代が大いに活気づく」化学賞の野依氏
平成13年にノーベル化学賞を受賞した野依良治・理化学研究所理事長の話 「日本人の医学・生理学賞は実に25年ぶりで大変喜んでいる。日本は基礎的な生命科学が非常に強いといわれていたが、受賞でそれが実証された。iPS細胞は大変大きな基礎医学的発見だが、臨床医療に直結する期待が大きく、より素晴らしい業績だ。今後は臨床にどう応用するかという局面を迎える。基礎と臨床が一体として研究が進められる必要があり、政府に総合な取り組みを期待する。日本は経済低迷で薄暗い状況にあるが、これで社会、特に若い世代が大いに活気づくのではないか」
(MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/life/news/121008/art12100820110007-n1.htm

「大変おめでたい」物理学賞の小柴氏
平成14年にノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊氏は、山中伸弥教授の受賞について、「大変おめでたいこと。研究分野は違っても同じ日本人として、私も素直にうれしい。『おめでとう』とお伝えしたい」と喜んだ。
(MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/science/news/121008/scn12100819360010-n1.htm

野田首相コメント全文
野田佳彦首相のコメント(全文)
京都大学の山中伸弥教授に本年のノーベル生理学・医学賞の受賞が決定しましたことに、心からお慶(よろ)び申し上げます。
今般の受賞は、再生医療や新薬開発など、医療全般での応用が期待される「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」の作成に関する御業績が、国際的に高く評価されたものであり、我が国の学術水準の高さを世界に堂々と示すものです。
被災地で復興を目指す方々をはじめ、全国で数限りない方々が受賞に目を輝かせ、勇気づけられることと思います。
先生の受賞に心から敬意を表するとともに、日本人の一人として誇りに思っております。
人類の叡智(えいち)たる科学技術の進歩は、我が国が東日本大震災からの復興や成長力の強化といった課題に取り組んでいく上で不可欠であり、また、国際社会や人類全体の未来のため、我が国ができる大きな貢献です。
先生に続くような、世界に雄飛する人材をしっかりと育んでいくとともに、今後とも、科学技術の振興に努めてまいります。
(MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121008/plc12100820560009-n1.htm

田中文科相「昨日はごちそうさまでした」電話で祝意
文部科学省では、田中真紀子文科相が8日午後8時過ぎに急遽(きゅうきょ)、登庁。山中伸弥教授に電話で祝意とともに、国を挙げて財政支援していく意向を伝えた。
田中氏は前日の7日に、山中氏が所長を務める京都市の京都大iPS細胞研究所を視察。山中氏から最新の研究成果の説明を受けたほか、昼食をともにしたといい、山中氏に祝意を伝える電話の第一声は「昨日はごちそうさまでした」だった。続けて「本当におめでとうございます。役所、内閣をあげて一生懸命支援させていただきます」と財政支援を約束した。
田中氏は記者団に「昨日の今日。感動している。研究成果は身近な医学。人類の幸せに結びつくもので、日本の研究者が貢献できることは素晴らしい」と述べ、財政支援については「国を挙げてやるべきものは予算に強弱を付けないといけない。山中先生の研究はその一つ」と語った。
(MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/science/news/121008/scn12100822030011-n1.htm

前原氏「わがことのようにうれしい」
山中伸弥京都大教授のノーベル医学・生理学賞受賞を受け、前原誠司科学技術政策担当相は8日夜、都内で記者団の取材に応じ、「大変うれしく思っている。iPS細胞が一日も早く実用化され、難病に苦しむ方々の命を救うことを心から期待している」と述べた。
山中氏と5、6年来の交際があるという前原氏は「関西人らしく気さくで、常に人を笑わせてくれる精神の持ち主。私と同じ50歳で、わがことのようにうれしい」と祝福。
さらに「iPS細胞の早期の実用化をバックアップしたい。そのためには予算と人材育成が必要だ。山中教授に続く人たちを育てないといけない」と語り、政府として今後の研究を後押ししていく考えを表明した。
(MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121008/plc12100820210008-n1.htm

「わずかな金額ですが」 iPS細胞研に寄付続々
山中伸弥さんのノーベル賞受賞を受け、ネットを通じ、京都大iPS細胞研究所に続々と寄付が集まっている。1人3万~1千円と小額だが、「更なる医学の発展に」「わずかな金額ですが」などのメッセージ付き。受賞発表から約3時間で10万円以上に及んだ。
ネットでの寄付は「ジャスト・ギビング・ジャパン」という寄付を取り次ぐサイトを通じて行われた。山中さんは今年3月、自身が京都マラソンの完走にチャレンジすることを条件に研究費の寄付を募り、レース前までに900万円を集めた実績がある。
山中さんは同サイトで、公的資金でまかなわれる研究費について、平成26年度以降のめどが立ってないとし、研究には民間の協力が必要と訴えていた。
ノーベル賞受賞後の寄付は「マラソンに挑戦する」とし、閉鎖されずに残っていた山中さんのページを通じて寄せられ、午後7時ごろから集まり始めた。
「ノーベル賞受賞おめでとうございます」「家族そろってお金を出し合って寄付します」「日本の研究を個人の寄付が支えるきっかけになれば最高ですね」などとメッセージが添えられている。
(MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/life/news/121008/art12100822360009-n1.htm

反日の中韓で称賛の声「うらやましい!!」
山中伸弥京都大教授のノーベル医学・生理学賞受賞発表に対し、尖閣や竹島問題で反日感情が高まった中国や韓国でも称賛する声が目立った。ノーベル賞受賞者が少ない両国には、“ノーベル賞コンプレックス”があるとされ、インターネット上には「うらやましい」との書き込みも見られた。
中国共産党機関紙、人民日報のニュースサイト「人民網」は8日夕、日本のニュースを翻訳する形で「山中教授の発明は再生医療に新たな道を切り開いた」などと速報した。
その他、目立った論評などは見られなかったが、短文投稿サイト「微(ウェイ)博(ボ)」上には、「敬服する」と称賛する声や「日本人に強い敵意があるが、彼らの科学研究のレベルには高い敬意を表す」といった書き込みがあった。
韓国のニュース専門YTNテレビは、ネットでも速報するとともに「iPS細胞(人工多能性幹細胞)は受精卵を使わず、倫理的な問題からも自由だ」と意義を強調。聯合ニュースは、山中氏が日本人で19人目の受賞で、西洋人以外の受賞者がほとんどいない医学・生理学賞でも1987年の利根川進氏に続いて2人目になったことにも触れた。
韓国では、平和賞以外でノーベル賞受賞がなく、「いつ科学分野で受賞できるか」に強い関心が集まる。ブログに「ノーベル賞の季節です。また日本人がノーベル賞を取りましたね。ああ、うらやましい!!」と書き込む人もいた。
(MSN産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/world/news/121008/chn12100823270008-n1.htm

ノーベル賞に山中伸弥教授 iPS細胞開発、再生医療へ道開く
スウェーデンのカロリンスカ研究所は8日、2012年のノーベル医学・生理学賞を、あらゆる細胞に分化する能力があるiPS細胞(人工多能性幹細胞)を開発した京都大の山中伸弥教授(50)と英ケンブリッジ大のジョン・ガードン教授の2氏に授与すると発表した。患者自身の細胞を移植して病気やけがを治療する「再生医療」への道を開いた功績が評価された。
日本人のノーベル賞受賞は2年ぶりで、米国籍の南部陽一郎氏を含め計19人。医学・生理学賞は1987年の利根川進氏以来、2人目の快挙となった。
iPS細胞は、あらゆる細胞に分化する能力を持つ万能細胞の一種。これを基に神経や肝臓、心臓などの細胞を作製し、病気や事故で機能を失った患者の臓器などに移植することで、難治疾患を治療する再生医療の実現が期待されている。
研究はまだ安全性評価の段階で、実際に患者に使われたケースはない。医療分野のノーベル賞は広く実用化した段階で授与されるのが通例で、極めて異例のスピード受賞となった。
山中氏は平成18(2006)年、マウスの皮膚細胞に4つの遺伝子を導入することで世界で初めてiPS細胞の作製に成功。19年には同じ手法でヒトの皮膚から作製することにも成功し、世界の第一人者として研究をリードしている。
授賞式は12月10日にストックホルムで行われ、賞金計800万スウェーデンクローナ(約9500万円)が贈られる。
「電話しまくっている状態」 対応に追われる文科省職員
文部科学省では、山中伸弥教授のノーベル医学・生理学賞受賞の一報を受け、職員らが対応に追われた。
文科省では、日本人の受賞に備え、8日午前中から職員が登庁。午後6時半ごろ、山中氏受賞の一報が入ると、17階の振興企画課学術振興係では職員十数人が、田中真紀子文科相登庁の調整や、首相官邸など関係機関との連絡、資料作成など対応に追われた。
女性職員の一人は「良いニュースで良かったが、みんなで関係各所に電話しまくっている状態。電話も鳴りやまない」と慌ただしく話した。
平成13年にノーベル化学賞を受賞した野依良治・理化学研究所理事長の話
「日本人の医学・生理学賞は実に25年ぶりで大変喜んでいる。日本は基礎的な生命科学が非常に強いといわれていたが、受賞でそれが実証された。iPS細胞は大変大きな基礎医学的発見だが、臨床医療に直結する期待が大きく、より素晴らしい業績だ。今後は臨床にどう応用するかという局面を迎える。基礎と臨床が一体として研究が進められる必要があり、政府に総合な取り組みを期待する。日本は経済低迷で薄暗い状況にあるが、これで社会、特に若い世代が大いに活気づくのではないか」
「大変おめでたいこと」ノーベル物理学賞の小柴昌俊氏
平成14年にノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊氏は、山中伸弥教授の受賞について、「大変おめでたいこと。研究分野は違っても同じ日本人として、私も素直にうれしい。『おめでとう』とお伝えしたい」と喜んだ。
(SankeiBiz)
http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/121008/cpc1210082220000-n1.htm




iPS細胞研究の山中氏らにノーベル賞 医学生理学賞
実用化待つ人へ「希望を持って」 山中教授が受賞会見」の追加情報です。