組立望遠鏡の限界?(画像等追記) | 池袋駅北口の「ぐんまのやぼう」

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ここのところ毎日のようにお月様の写真を組み立て望遠鏡+PENTAX Q(直焦点)で撮っています。ただどうしてもピントがきっちり合った感じがしません。

撮影した画像をピクセル等倍で切り出すとこんな感じです(トリミング以外の処理はしていません)
池袋北口事情

上の画像は「雨の海」で、左には大きなクレーター「コペルニクス」が、右側には「虹の入江」が見えています。マーキングしたクレーターは「ルヴェリエ」で直径20kmです。

この画像はだいたい1ピクセルが角度の1秒になります。「ルヴェリエ」はこの画像ではだいたい直径10ピクセルに見えています。つまり画像の1ピクセル、角度の1秒、月面上の距離2kmが等価ということになります。

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一方組立望遠鏡の対物レンズは40mmですので解像度(エアリーディスクの半径)は約3秒になり、この画像では3ピクセルに相当します。

とするとこの画像より鮮明な画像はいくらがんばっても得られないような気がしてきました。ピントが合っていないのではなく対物レンズの光学的限界にほぼ達しているようにも思えます。

ところでコペルニクスのところを210mm反射で撮影した画像(ただし拡大撮影)があります。

3104さん
  「月面

この画像については3104さんから

  焦点距離もこれだけ長くなると大気の影響が大きくてピント位置もユラユラしてます。
  適当にえ~い!ってシャッター切ったので…

というコメントをいただいたのですが、それでもさすがに解像感がまるっきり違います (^^;;
3104さんの画像を見ると半径は10km以下と思われるクレーターもたくさん写っています。
(その後ImageJ/GIMPによる鮮鋭化を試みられたそうで、現在記事にある画像はさらに解像感がよくなっています。直径数キロのクレーターも識別できるほどだと思います。 2013.01.25)

なお実際の月面のようすは「かぐや」が撮った映像で見ることができます。

「かぐや」HDTVによるコペルニクス

月周回衛星「かぐや」のHDTVが観測したコペルニクス (C)JAXA/NHK

「かぐや」HDTVによる雨の海と虹の入江

月周回衛星「かぐや」のHDTVが観測した雨の海と虹の入り江 (C) JAXA/NHK

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対物レンズの外周での回折に起因する“ぼけ”は計算が可能なはずです。とすればそれを使ってImageJでデコンボリューションを行えば(そして大気の状態がそんなに悪くなければ)これよりもう少しはまともな画像になりそうです。

ImageJについては
  「シャキッとしたお月様がほしい
にあります。

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参考

ImageJで処理した画像。ただし使っているのは“Gaussian PSF 3D”です。
池袋北口事情

単純にWaveletSharpenで鮮鋭化した画像です。
池袋北口事情

木星。ほんとにピントの山がつかみにくいです。数秒おきに撮った画像のなかから比較的ましなものを四枚選んでスタックしました。もう少しはよくなるかも....
池袋北口事情

太陽(黒点)。原画像にWaveletSharpenを適用し、縮小した上で再度軽くWaveletSharpen。
池袋北口事情

撮影
  星の手帖社:組立望遠鏡(倒立・15倍) \1,580._
    対物レンズ(f=273mm)、接眼レンズ(f=18.2mm、使用せず)
  PENTAX Q 直焦点
  太陽は ND800 x ND8 x R1 使用

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