反核とその異論の対立、そして、その先にあるAKIRAとナウシカ
核をめぐる言説 1980-1984

瀧本 往人

スリーマイルの事故の後、1980年代前半は、「反核」の時代である。そして、吉本隆明を筆頭とした「反核」異論の時代でもある。さらには、AKIRAとナウシカの出現により、ポスト「反核」の時代でもある。

大江健三郎に代表される「反戦」「反原水爆」の文学者たちは、この時期には「反核」運動という表現へと移行しており、岩波書店や朝日新聞といった出版社や新聞の協力もあり、この運動は、第五福竜丸事件以後の「反原水爆」運動に匹敵する署名を集め、そうした、文学者や知識人と生活者が連帯する「運動」の頂点となった。核兵器による脅威、そして原発による生活へのプレッシャーは相当高まっている時期である。そして、まだここでは十分には名指しされない対象がぼんやりと姿をあらわしはじめている。それは、1980年代後半のチェルノブイリ事故以降まで待たねばならないが、要するに、放射能汚染への恐怖感が、より一層明瞭さをもちかけてくる。核兵器は、殺戮、殲滅ということだけではなく、生き延びた場合の世界においても、その後の地上は、生活が営めなくなるほどの影響を環境に与え続けるであろうことが、予期されはじめたのである。おそらくこの切迫感が、文学者をはじめとした表現者たちの意識を、政治的活動に差し向けた直接的原因であっただろう。

しかし、そのような動きに対して一人、大きくたちはだかったのが、吉本隆明だった。

これまでの「原水爆反対」や「反戦」といった運動の流れを継承した「反核運動」は、政治的な色彩も含みこんでおり、大ざっぱに言えば米国を中心とした資本主義体制を批判し、ソ連や中国などの社会主義国家を支持していた。吉本隆明は当時自主管理を掲げてソ連の敷いた体制から独立しはじめたポーランドの「連帯」を支持する立場から、この反核運動が、結局は米国を非難する一方でソ連のこうした示威活動を正当化させる隠れ蓑になっていると、強く批判し、もし「反核」運動が正当化されるとすれば、ソ連の核をも米国の核と同等に避難しなければならない、と吉本は主張し、反核運動が、普遍的なもので、きれいごとのように語られていることに注意を向けたのである。

実際問題この、「核」に対する態度と、政治的イデオロギーとの連接は、運動の求心力を弱める間接的な原因になった。この「反核声明」は、翌年に2回目が開催されたが、そのあと一気にトーンダウンすることになる。

それは実際、「反核」運動を行う人びとの暮らしが、すでに「原発」による発電によって成り立ていることを棚上げにしていたことと、決して無関係ではなかったのではないだろうか。つまり、「反核」の運動は、自分たちが被害者になることへの拒否と、加害者として加担したくないという両面があったと思うのだが、これは、核兵器のみならず、原発にも共通していたはずである。しかし、原発については、自分たちは被害者であるかどうかよりも、その享受者として、加害者的な立場にあることへの洞察が脆弱だった。

また、吉本が反核運動を揶揄した文章のなかに、「ヤマト」よりも稚拙な表現しかできない、というものがある。「核戦争が起こると世界が滅んでしまう」というイメージをよりどころにしたことは、文学者というイメージ生産のプロが行うこととしては、吉本には不満があった。反核への異論とは、党派性に翻弄されるような政治行動を起こすくらいならば、世界線において、「核」に対する表現作品を仕上げてみろ、と吉本が文学者たちを挑発したものだと、私は考えている。

残念ながらこの挑発に対して、間接的に道筋を創りだしたのは、文学作品ではなく、「ナウシカ」と「AKIRA」であった。この両作品はいずれも、世界は滅ぶことなく存在している。そのなかでいかに生きるべきか、その現実とは何なのか、徹底的に「その後の世界」のイメージを生き生きと描いている。そして、これもまた、スリーマイル原発事故や核戦争への恐怖といった「核」のもたらしたプレッシャーによる産物であると言えるだろう。



▼1980年

スリーマイル島原発事故の衝撃 1979年3月28日そして…  高木仁三郎:編 社会思想社 1月

日独比較原子力法 第1回日独原子力法シンポジウム 金沢良雄:編  第一法規 1月

レーザー光線 限りなき可能性を探る 山中千代衛 東海大学出版会 1月

アイソトープの工業利用 小林昌敏 学会出版センター 1月

ラジオアイソトープ 基礎から取扱まで 日本アイソトープ協会 丸善 1月

原発の挑戦 足で調べた全15ヵ所の現状と問題点 豊田有恒 祥伝社 1月

鯉城'90 原爆の彷徨 歌集 広島短歌入門の会:編 文化評論出版 2月

エネルギーアナリシス 茅陽一 電力新報社 2月

エネルギー 未来への透視図 槌田敦 日本書籍 2月

原発事故の手引 小野周、安斎育郎 ダイヤモンド社 3月

人類と核エネルギー 伏見康治:監修 日本原子力文化振興財団:編:刊 3月

光の祭場 蒿里行 桂芳久 晧星社 3月

原子力裁判 マシュー・マクルア:編  大井幸子、綿貫礼子:訳 アンヴィエル 3月

原子炉の理論と設計 安成弘 東京大学出版会 3月

核燃料サイクルのシステム 三神尚 共立出版 3月

答えのない時代をどう生きるか 武田修三郎 ごま書房 3月

原子核エネルギー(エネルギー科学叢書6) 山室信弘、高橋亮一 共立出版 4月

未来からの遺言 ある被爆者体験の伝記 伊藤明彦 青木書店 4月

スリーマイル島原発事故報告  アメリカ合衆国大統領特別調査委員会  ハイライフ出版部 4月

原子核エネルギー 山室信弘、高橋亮一 共立出版 4月

世紀への黙示録 吉原公一郎 ダイヤモンド社 5月

エネルギー大論争 われわれは何を選択すべきか  バリー・ コモナー  富館孝夫:訳 ダイヤモンド社  5月

核燃料工学 三島良績 同文書院    5月

低レベル放射線計測 山越和雄 共立出版 5月

核メジャー 石油以後を制する者    日本経済新聞社:編・刊   5月

ひろしまのピカ 丸木俊:作・絵 絵本 小峰書店、6月
 ヒロシマの絵本といえばこの絵本。少女が家族と一緒に原爆の地獄から逃げ続け、気がついたら箸を握ったまま手が開かなくなっていたという痛ましいお話。

慟哭 酒井乙女 私家版 6月

原子力と設計技術 大河出版:編 大河出版 6月

80年代原子力開発の新戦略 ポストINFCEの展開(現代エネルギー選書6) 田宮茂文:編著 電力新報社 6月

世界のエネルギーと原子力開発 藤村理人 サンケイ出版 6月

原子力 繁栄への道か破滅への道か (環境問題シリーズ5) 小野周 文新社 7月

原発の現場 東電福島第一原発とその周辺 朝日新聞社 朝日ソノラマ 7月

エノラ・ゲイ ドキュメント原爆投下 G・トーマス、M・モーガン TBSブリタニカ 7月

原爆と一兵卒 泰恒雄 
旺史社 7月

原発事故はなぜ起きたか エネルギー革命への試練 伊藤英司 東京新聞出版局 7月

核燃料サイクルと法規制 塩野宏:編著 第一法規 7月

ドキュメント東京電力 山本忠利 労働旬報社 7月

「科学者の社会的責任」についての覚書 唐木順三 筑摩書 7月

原爆歌集 竹内一作 私家版 7月 

長崎を忘れない 渡辺千恵子 草土文化 7月

桜隊全滅 ある劇団の原爆殉記 江津荻枝 未来社 8月

原爆孤老 「
原爆孤老」刊行委員会:編 労働教育センター 8月

夏の刻印 小久保均 昭和出版 8月

太陽の落ちた日 来栖良夫:編 労働教育センター 8月

原子力の安全性 核燃料再処理をめぐって ロバート・ゲルウィン  石井保、菅野義彦:訳 日刊工業新聞社 8月

電力百年史 (前・後) 中山伊治郎:総監修 政経社 8月

核拡散は防げるか ストックホルム国際平和研究所:編 木村繁:訳 共立出版 8月

日本よ国家たれ 核の選択 清水幾太郎 文藝春秋社 9月
 戦後の「現代思想」を牽引してきた一人である氏の「転向」表明。それまで反米、平和運動を進めてきたが、本書において、ソ連の核兵器増強における危機的状況に対して、むしろ被曝した日本こそ核兵器を選択するという選択肢があると主張し物議をかもしだした。しかし現在読んでみるとその主張はそれほど酔狂ではなく冷静な状況分析があったと考えられる。とはいえ、今やそのソ連が消滅している。コメントはこちら

エナジーフューチャー    R・ストーボ、D・ヤーギン 芦原義重:監訳 日本経済新聞社    9月

放射線化学(基礎原子力講7) 近藤正春、篠崎善治 コロナ社 9月

放射線の話 核からのメッセージ 大槻義彦 日本放送出版協会 9月

核融合とプラズマの制御(上) 内田岱二郎、井上信幸 東京大学出版会  9月

韓国の被爆者 富村順一 JCA出版 10月

原子力の虚構と真実 小野満雄 石油評論社 11月

電源立地シャトル 辛島修郎 ナショナルピーアール 11月

ヒロシマの光 大江健三郎同時代論集2 大江健三郎 岩波書店 12月

人類は原子力と共存できるか 放射性廃棄物への総合戦略(現代エネルギー選書8) 村田浩:編著 電力新報社 12月

エネルギーと社会 竹下寿英 共立出版 12月


▼1981年

エネルギーへの挑戦 日本への手紙 日米文化を比較する 吉川庄一 サンケイ出版 1月

放射線( 実験物理学講座 26) 山崎文男:他編 共立出版 1月

日本の原子力技術 エネルギー自立への道 自主技術研究会:編 石川欽也他 日刊工業新聞社 1月
 著者の一人である石川欽也は、当時、毎日新聞の編集委員。
 
生物科学のためのアイソトープ実験法 松平寛通:編 東京大学出版会 1月

原子炉の理論と解析(下) ルイス・J・ハミルトン 成田正邦、藤田文行:訳 現代工学社 1月

原子力発電 (電気・電子工学大系)   大山彰    コロナ社 1月

生存への契約 田原総一朗 文芸春秋 1月

エネルギー危機と日米関係 日米エネルギー関係特別委員会 電力新報社 1月

エネルギー経済 武井満男 共立出版 1月

核時代と世界平和 平和運動30年記念委員会:編 大月書店 1月

絵でみる原子力エネルギーのひみつ 林喬雄 日刊工業新聞社   2月

東京に原発を! 新宿1号炉建設計画 広瀬隆 JICC出版局 3月

茶の間のエネルギー学 生田豊朗 日本経済新聞社 3月

私も原子力が怖かった あることの危険性・ないことの危険性 竹村健一 サイマル出版会 3月

原発・最後の賭け 西尾漠 アンヴィエル 4月

保健物理(基礎原子力講座 6) 永原照明 コロナ社 4月

核エネルギー その原理と応用 R・L・マレイ 遠藤雄三:訳 コロナ社   4月 Nuclear Energy

原子力発電とはなにか そのわかりやすい説明 緑の会:編 野草社 4月

岐路にたつ原子力 平和利用と安全性をめざして D・E・リリエンソール 古川和男:訳 西堀栄三郎:監訳日本生産性本部 4月 David E Lilienthal, Atomic Energy

沖縄の被爆者 癒されぬ36年の日々 福地曠昭 沖縄県原爆被爆者協議会 5月

原子力その神話と現実 リチャード・カーチス、エリザベス・ホーガン  高木仁三郎他:訳  紀伊国屋書店 5月 Nuclear Lessons: An Examination Of Nuclear Power's Safety, Economic, and Political Record 

エネルギー危機克服へのシナリオ フォード財団特別研究チーム報告書 ハンス・H・ランズバーグ:編 生田豊朗:監訳 日本経済新聞社   5月

ソフトエネルギーパスを考える 長洲一二 学陽書房 5月

エネルギー強国への道    大阪科学技術センター他:編   日刊経済新聞社    6月

太陽光発電入門    浜川圭弘著    オーム社    6月

原爆文学と戦後ナショナリズム 長岡弘芳 歴史学研究 6月

無きが如き 林京子 講談社 6月

HIROSHIMA 小田実 小説 講談社 6月
HIROSHIMA (講談社文芸文庫)/小田 実

木の葉のように焼かれて 新日本婦人の会広島県本部:編 労働教育センター 6月

少年のひろしま 大平数子:詩 竹本三郎:絵 草土文化社 6月

核戦争の論理 来栖弘臣 二見書房 7月

踏まれ草 千田夏光 汐文社 7月

「原爆一号」といわれて 吉川清 筑摩書房 7月

広島文学ノート 川村盛明:編 渓水社 7月

米ソ核戦争が起こったら 米国技術評価局 西沢信正、高木仁三朗:訳 岩波現代選書 7月

女性として科学者として    猿橋勝子    新日本出版社    7月
 海洋における人工放射性物質の調査研究などで知られる氏の研究の歴史をたどる。

草饐(くさずえ) 評伝太田洋子 江刺昭子 大月書店 7月

ヒロシマの母の遺産 石田明 労働教育センター 8月

闇に消される原発被曝者 樋口健二 三一書房 8月

ヒロシマの心を若い世代に 高橋昭博 原爆資料保存会 8月

自然を恋う 林京子 中央公論社 8月

長崎の怒りと祈り 鎌田定夫 福音と世界 8月

原爆年号の併記を ささやかな提案 岡本正 書簡 8月

ヒロシマを語る10冊の本(正・続)  ヒロシマを知らせる委員会:編 労働教育センター 8月

原子力の経済学 くらしと水土を考える 室田武 日本評論社 8月
 原子炉関連事故の世界史略年譜がある。

核放射線と原爆症 庄野直美、飯島宗一 日本放送出版協会 8月

スリーマイル島 中尾ハジメ 野草社 9月

スリーマイル・パニック 核時代最悪のシナリオ マーク・スティーブンズ 淵脇耕一:訳 社会思想社 9月

原爆関係資料目録 県立長崎図書館:編・刊 9月

原子力用語辞典    原子力用語辞典編集委員会:編 コロナ社 9月

原子炉の蟹 長井彬 講談社 9月
 江戸川乱歩受賞作。建屋内で連続殺人事件が起こる。原発労働の実態も描かれている。コメントはこちら
新装版 原子炉の蟹 (講談社文庫)/長井 彬

いのち育くむふるさと 窪川原発反対闘争の記録    北あきら    太平洋文学会 9月

プルトニウムの恐怖 高木仁三郎 岩波新書 11月

危機の科学 高木仁三郎 朝日新聞社 11月

原子力戦争 田原総一朗 講談社文庫 11月

核燃料サイクル工学 鈴木篤之、清瀬量平 日刊工業新聞社 11月

イスラムの核爆弾 中東に迫る大破局 スティーブ・ワイスマン、ハーバート・クロスニー 大原進:訳 日本経済新聞社 11月

原子力を追って 一記者の回想 菊江栄一 中日新聞本社 11月

ジャーナリストの証言 原子力25年の軌跡 原子力ジャーナリストの会 電力新報社 11月
 この「原子力ジャーナリストの会」は、日経 佐々木孝二、読売 中村政雄、毎日 石川欽也で構成されている。いずれも当時の肩書は、編集委員である。中村政雄については、原子力と報道という単著もある(コメントはこちら)。

知っておきたい原子力の常識 崎川範行:編 サンケイ出版 11月

原子力船むつ消失事件    西村京太郎    角川書店 11月

原子力とその周辺 知られざる側面 岡本和人 ナショナルピーアール 11月

ここまで来た日本の原子力発電 松田博雄 経済往来社 11月

いま原発現地から    80年代編集部:編    野草社 12月

日本ソフトパス エネルギー問題からの試論 室田泰弘 東洋経済新報社 12月

丸木位里・丸木俊 水俣・原発・三里塚 1981年 絵画
 「フォトドキュメント 原発」「(樋口健二)の伊方原発1号機の外観を参照している。


▼1982年 はボリュームの都合で分けました。こちらへどうぞ。
風の谷のナウシカ 1 (アニメージュコミックスワイド判)/宮崎 駿

アトミック・カフェ [DVD]/
風が吹くとき デジタルリマスター版 [DVD]/森繁久彌,加藤治子,ジョン・ミルズ
AKIRA(1) (KCデラックス 11)/大友 克洋

「反核」異論 (1983年)/吉本 隆明


▼1983年

乱離骨灰鬼胎草 野坂昭如 小説、『乱離骨灰鬼胎草』所収、福武書店 1月
 「山師の死」も収録。 コメントはこちら

原子・分子の発明発見物語 デモクリトスから素粒子まで (発明発見物語全集 (4)) 板倉聖宣 国土社 1月

いのちの危険信号 市川定夫 技術と人間 1月

原発推進のカギ 熊谷太三郎 日刊福井 1月

核燃料管理の方法と解析 三神尚 現代工学社 1月

アトムとラドン 放射能の社会史 山縣登 全国出版 1月

核燃料サイクルの化学工学 マンソン・ベネディクト 清瀬量平:訳 日刊工業新聞社 1月

核燃料 対話:原子力入門  石原健彦 共立出版 1月

原子力委員会の闘い 石川欽也 電力新報社 1月

日本の原子力 竹内均:監修 講談社 1月

第3世代のエネルギー戦略 エネルギー政策の総点検 通商産業省資源エネルギー庁 電力新報社 1月

放射化学概論 富永建、佐野博敏 東京大学出版会 1月

原子力を考える 中島篤之助、安斎育郎 新日本新書(新日本出版社) 1月

ジョンウェインはなぜ死んだか 広瀬隆 文藝春秋 2月

図説 世界のエネルギーと原子力開発 山本賢三、藤村理人 丸善 2月

放射線計測学 長哲二 南山堂 2月

放射性廃棄物処理処分に関する研究開発 天沼倞 産業技術出版 2月

原子力の政治学 労働運動と反原発 デイブ・エリオット:編著 田窪雅文:訳 現代書館 2月 The Politics Of Nuclear Power

医療のための画像工学 最近の進歩と将来展望 放射線医学総合研究所:編 実業公報社 2月

第二回反核文学者の集い 3月2日

反核の詩人 峠三吉 没後30年に思う 好村冨士彦 中国新聞 3月6日

原発のある風景(上・下) 柴野徹夫 未来社 3月

放射線管理 辻本忠 日刊工業新聞社 3月

低線量電離放射線の被曝によるヒト集団への影響 アメリカ研究審議会、アメリカ科学アカデミー 放射線医学総合研究所:監訳 ソフトサイエンス社 3月

エネルギー/戦争 非核未来への道 エイモリー・ロビンス、ハンター・ロビンス  室田泰弘、槌屋治紀:訳 時事通信社 4月 Energy/War: Breaking the Nuclear Link 

スリーマイル島原発事故報告 ハイライフ出版部:編・刊 4月

エネルギーのゆくえ 原子力問題と社会主義 原野人 大和書房 4月

原子力船工学 その安全性・経済性 (改訂版)  竹村数男 成山堂書店 4月

北斗の拳 原作:武論尊、作画:原哲夫 フレッシュジャンプ(集英社) 4月、6月
 以降、週刊少年ジャンプ(集英社)連載 1983年9月~1988年9月。199X年、核戦争後の世界を舞台。

超不死鳥の飛び立ち 原子力の国際戦略 近藤鉄雄 電力新報社 5月

巻町に原発が来た 小林伸雄 朝日新聞社 5月

電力産業の新しい挑戦 激動の10年を乗り越えて 鈴木建 日本工業新聞社 5月

新・核戦略批判 豊田利幸 岩波新書 5月

原爆とことば――原民喜から林京子まで 三一書房 6月

核の目撃者たち 内部からの原子力批判 レスリー・J.フリーマン 中川保雄、中川慶子:訳 筑摩書房 6月 Nuclear Witnesses:Insiders Speak Out

物理学最前線 大槻義彦:編 共立出版 6月

ウォー・ゲーム 監督:ジョン・バダム 米、映画 6月
 シミュレーションゲームが実際の核戦争を引き起こしそうになる。

ウォー・ゲーム [DVD]/マシュー・ブロデリック,アリー・シーディ,ダブニー・コールマン


非核護憲都市宣言運動のすすめ 西田勝 編 オリジン出版センター 1983年6月

ピカドンたけやぶ 作・絵:はらみちを 絵本、岩崎書店 7月
 広島市牛田地区ではこの本を元にした歌を合唱することが一時流行。竹やぶに避難した人たちの様子を描いている。

図解原子力用語辞典 第3版    原子力用語研究会:編    日刊工業新聞社 7月

核時代を生きる 生活思想としての反核    高木仁三郎    講談社 7月

グローバルエネルギーパス 持続的な未来への道 国際応用システム分析研究所 電力新報社 7月

放射性同位元素等取扱者必携 放射線取扱者教育研究会:編 オーム社 7月

黒い卵 占領下検閲と反戦・原爆詩歌集(完全版) 人文書院 栗原貞子 7月

日本潰滅 198X年世界核ミサイル戦争勃発 檜山良昭 小説、光文社 7月
 第三次世界全面核戦争を描く。

何とも知れない未来に 大江健三郎:編 集英社 7月
 収録作品: 心願の国/原民喜、夏の花/原民喜、かきつばた/井伏鱒二、或るとむらい/山代巴、ほたる/大田洋子、雲の記憶/石川耕治、手の家/井上光晴、色のない画/佐多稲子、儀式/竹西寛子、人間の灰/小田勝造、死の影/中山士朗、空罐/林京子、対談解説:長岡弘芳、大江健三郎

原発のいま!  西尾漠 三一書房 8月

日本の原爆文学(全15巻) 「核戦争の危機を訴える文学者の声明」署名者 ほるぷ出版 8月

世界核戦争が起ったら 人類と地球の運命    スウェーデン王立科学アカデミー    岩波書店 8月

被曝国アメリカ 放射線災害の恐るべき実態 ハーヴィ・ワッサーマン他 茂木正子:訳 早川書房 8月

原発のいま!  西尾漠 三一書房 8月

広島TODAY ウィルフレッド・バーチェット 成田良雄、文京洙:訳 連合出版 8月

長崎にて――未来にかかわる 小田実 筑摩書房 9月

核医学概論    舘野之男    東京大学出版会 9月

この子を残して 監督:木下惠介、原作:永井隆 加藤剛、十朱幸代、大竹しのぶ、山口崇、淡島千景:出演 松竹 邦画 9月
 長崎を舞台

海水ウラン採取 (海洋科学 1983年11月号) 海洋出版:編 海洋出版 11月

切手でつづる原子力 三島良績 サンケイ出版 11月

ザ・デイ・アフター ニコラス・メイヤー:監督 米ABC系列、TVドラマ 11月
 核ミサイルが爆発する前後の数日間を描く。

エネルギー戦国時代 エネルギー資源問題研究会 電力新報社 12月

死の灰のゆくえ 放射能を追って30年 葛城幸雄 新草出版 12月

燃料再処理と放射性廃棄物管理の化学工学 マンソン・ベネディクト 清瀬量平:訳 日刊工業新聞社 12月

電気事業21世紀への展望 総合エネルギー研究会 政経社 12月

原子力 いまアメリカでは 水口哲:編著 大島恵一:監修 東洋経済新報社 12月

シルクウッド 監督:マイク・ニコルズ メリル・ストリープ、カート・ラッセル、シェール、クレイグ・T・ネルソン:出演 米、映画 ヘラルド 12月
 プルトニウム工場から放射能が漏れるなど内部不祥事を告発しようとしたカレン・シルクウッドの実話に基づいた物語。
シルクウッド [DVD]/メリル・ストリープ,シェール,カート・ラッセル

最後の子どもたち グードルン・パウゼヴァング 独、小説、Die Letzten Kinder von Schewenborn
 核戦争後の生活


▼1984年

炭酸ガスで地球が温暖化する EPA予測報告書 ハイライフ出版:編・刊 1月

原子核工学概論 岐美格 理工学社 1月

原子力安全の論理 あなたにとって原子力とは 佐藤一男 日刊工業新聞社 1月

エネルギーの経済学 室田泰弘 日本経済新聞社 1月

市民の電気料金 その性格と仕組み 電気料金問題研究会 電力新報社 1月

遺伝学と核時代 ムラサキツユクサの警告 市川定夫 社会思想社 2月
 本書に対してその後、賛否両論、大きく議論を呼ぶ。

民衆による平和 平和的ジェノサイドとジェンダー (シリーズ・プラグを抜く4) フォーラム・人類の希望:編 新評論 2月
 イリイチは原子力について、「ああ」という呻き、叫び、言葉にならない言葉でしか、言いえない、と述べる。コメントはこちらこちら。 討論ならびにコメントは、イバン・イリイチ、前野良、西尾昇、伊藤るり、中村尚司、高木仁三郎、前田祐幸、里深文彦、市川定夫、綿貫礼子、栗原彬、中村達也、室田武、宇井 純、玉野井芳郎、神島二郎、青木やよひ、鶴見和子、バレンティーナ・ボレマンス、片岡陽子、永畑道子、山本哲士、樺山紘一らが参加。

もう一つのエネルギー危機 第3世界からの報告 NHKラジオ日本取材班 日本放送出版協会 2月

火力原子力発電 益山正人 東京電機大学出版局 3月

放射線健康管理学 吉澤康雄 東京大学出版会 3月

核燃料材料の化学工学 ベネディクト・マンソン 清瀬量平:訳 日刊工業新聞社 3月

原子力発電プラントの構造設計 設計者・ユーザーのための実務ハンドブック 林喬雄 日刊工業新聞社 3月

原潜回廊 第三次世界大戦は日本海から始まる 小川和久 講談社 3月

虹のカマクーラ 平石貴樹 小説、『虹のカマクーラ』所収、集英社 4月
 すばる文学賞受賞作。登場人物の一人は日本の原発で働きに来た米国の黒人。コメントはこちら

原子核放射線による化学計測 氏平祐輔 日刊工業新聞 4月

放射線と医学 菅原努、二階堂修 共立出版 4月

放射線機器工学 村上晃一 南山堂 4月

エネルギーと地球の未来 竹内均、長谷川慶太郎、中村桂子、堤清二 河出書房新社 4月

エネルギーの安全保障と経済性 矢野俊比古、天谷直弘 第一法規 4月

原子力安全委員会安全審査指針集 科学技術庁原子力安全局 大成出版社 5月

放射線計測技術 河田燕 東京大学出版会 5月

放射線管理のやり方考え方 吉澤康雄 東京大学出版会 5月

環境放射能 挙動・生物濃縮・人体被曝線量評価 佐伯誠道:編 ソフトサイエンス社 5月

放射能を考える 危険とその克服 森永晴彦 ブルーバックス(講談社) 5月

恐怖の2時間18分 柳田邦男 文芸春秋 5月

絵とき放射線のやさしい知識 飯田博美、安斎育郎:編 オーム社 5月

核戦争の危機に文学者はどのように対するか 文学的立場:編著 不二出版 5月
 参加者:堀田善衛、加藤周一、小田切秀雄、小中陽太郎、小田実、羽仁五郎、武谷三男、李恢成、中野孝次、西田勝、伊藤成彦他

反原子力運動の社会学 未来を予言する人々(社会運動と社会学 2) アラン・トゥレーヌ他 伊藤るり:訳 新泉社 6月 La prophtie antinuclaire

回想 アトミックコンプレックス 核をめぐる国際謀略 バートランド・ゴールドシュミット 一本松幹雄:訳 電力新報社 6月 Le complexe atomique

核廃絶は可能か 飯島宗一 岩波書店 6月

越山会へ恐怖のプレゼント 放射性廃棄物 広瀬隆 広松書店 7月

ヒロシマは昔話か 原水爆の写真と記録 庄野直美 新潮社 7月

広島巡礼 亀沢深雪 新地書房 短編集 7月

2万5千年の荒野 ゴルゴ13  223話 さいとうたかを  ビッグコミック 小学館 掲載 7月
 原発がテスト運転中に急な停電が起こり圧力と温度が上昇するなか、実は、にがし弁にひびが入っていたため作動しなくなる。この難局にゴルゴのライフルが火を吹く。

カレン・シルクウッドの死 リチャード・ラシキー 三輪妙子、井上礼子:訳 社会思想 8月

生きものと放射線 江上信雄 東京大学出版会 8月

被曝 日本人の生活と放射線 菅原努:編 マグブロス出版 8月

使用済燃料とプルトニウムの化学工学 ベネディクト・マンソン他 清瀬量平:訳 日刊工業新聞社 8月

市民のための科学論(人間と科学技術ゼミナール2) 中山茂 社会評論社 8月

放射線技術用語辞典 放射線技術用語辞典編集委員会:編 日本理工出版会 8月

平和の夢を追いつづけて 原田東岷 (双書・人間の航跡)影書房 8月

SIOP アメリカの核戦争秘密シナリオ ピーター・プリングル、ウイリアム・アーキン 山下史:訳 朝日新聞社 8月

原子力王国の黄昏 伊原辰郎 日本評論社 9月

原水爆禁止運動の原点 金子満広 新日本出版社 9月

電力需給の概要 昭和59年度 通商産業省資源エネルギー庁公益事業部 中央印刷 9月

エレクトリックパワー21 電気事業・未来へのチャレンジ 東京電力 日本工業新聞社 9月

微生物・放射能(改訂版) ジョセフ・ハンドラー、加藤富三、篠塚純子:訳 講談社 9月

原発ジプシー 堀江邦夫 講談社文庫 10月
 文庫化。

エネルギー最前線 加納時男 日本放送出版会 10月

The Unforgettable Fire(焔) U2 ユニバーサル、楽曲とアルバムタイトル アイランドレコード 10月
 広島・長崎への原爆投下を生きのびた被爆者達が描いた絵画のタイトル(ウィキぺディアより)。
Unforgettable Fire/U2

三界の家 林京子 講談社 11月

湯川秀樹 桑原武夫、井上健、小沼通二:編 日本放送出版協会 11月

同位体分離の化学工学(原子力化学工学5) ベネディクト・マンソン他 清瀬量平:訳 日刊工業新聞社 11月

原子力レクチャーノート 村上悠紀雄他 日刊工業新聞社 11月

日本エネルギー戦争の現場 内橋克人 講談社 11月

電気事業法令集 昭和60年版 通商産業省資源エネルギー庁公益事業部計画課:監修 東洋法規出版 12月

アイソトープ便覧 改定3版 日本アイソトープ協会:編 丸善 12月

レーガンの宇宙戦略と軍事衛星 毎日新聞社外信部 築地書館 12月

ミュータント・タートルズ 作:ケヴィン・イーストマン&ピーター・レ アード 米コミック
  放射能を浴びて突然変異した亀の物語。

レッド・オクトーバーを追え トム・クランシー 米、小説  The Hunt for Red October
 冷戦時代のソ連の原潜が亡命を画策。1990年に映画化、ジョン・マクティアナン:監督 ショーン・コネリー、アレック・ボールドウィン:出演。日本語版は、井坂清:訳 文藝春秋社 1985年。

環境放射性物質に関する最近の分析測定法とその将来 放射線医学総合研究所編集 実業広報社

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