ナウシカ、AKIRA、そして「反核」異論
核の言説史 1982 

瀧本 往人

ボリュームの関係で収まりきらず、1980-1984のうち、1982だけ別にしました。

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▼1982年

北の天使 南の天使 作:吉本直志郎 画:おおた慶文 ポプラ社 1月
 広島原爆投下後の生活を描く。

ヒロシマ・ナガサキの証言 ヒロシマ・ナガサキの証言の会:編・刊 1月

無事 西暦1981年・原爆37年 林京子 群像 1月

核戦争の危機を訴える文学者の声明 1月20日

原子力の社会学 現代エネルギー選書12 田中靖政 電力新報社 1月

高速増殖炉   安成弘   同文書院 1月

核融合入門 高温プラズマの閉じ込め 吉川庄一 共立出版 1月

生命を考える 遺伝子・進化・放射線 近藤宗平 岩波書店 1月

ルポ原発列島 剣持一巳 技術と人間 1月

世界一の電力会社 東京電力の実体 小竹即一 政経社 1月

核時代の地政学    コリン・S・グレイ 小島康男:訳 紀尾井書房 1月

共通の安全保障 核軍縮への道標(パルメ委員会報告書)  パルメ委員会 森治樹:監訳 日本放送出版協会 1月

原子力発電はいらない    内野悳郎    らくだ出版 1月

死にすぎた赤ん坊 低レベル放射線の恐怖    E・J・スタ-ングラス 肥田舜太郎:訳 時事通信社 1月

原発のないふるさとを 続・窪川原発反対闘争の記録 北あきら 太平洋文学会 1月

ソ連圏のエネルギー経済 協力の諸問題と展望 イゴーリ・コズロフ 梅津和郎:訳 電力新報社 2月

核ジャック部隊 プルトニウム千億円を奪え! ジェイムズ・ロウ 新庄哲夫:訳 光文社 2月

学長の平日と休日    向坊隆    東京大学出版会 2月

反原発(フォー・ビギナーズ・シリーズ4) スティーヴン・クロール:文 カイアンダーズ・センプラー:イラスト 田窪雅文、真下俊樹:訳 現代書館 2月

エネルギーを考える (改訂版)    藤井清光、武安義光 日本放送出版協会 2月

原爆に夫を奪われて 広島の農婦たちの証言 神田三亀男 岩波新書 2月

核兵器 素人の心配 尾崎一雄 読売新聞 2月13日

〈反核〉に合流した文学者の肉声 中野孝次 朝日ジャーナル 2月25日

風の谷のナウシカ 宮崎駿 アニメージュ(徳間書店) 1982年2月号~1994年3月号(全59話)
 核汚染後の世界を生きる物語。今から約1000年後、「火の7日間」と呼ばれる戦争が起こり「有毒物質」がばらまかれ、地球が荒廃するが、それでも生き延びた人類は、一方で高度な技術を断片的に利用しつつ同時に質素な暮らしをしているが、最大の問題は「腐海」など、汚染された地域が無数に広がっていることだった。映画よりも原作の方が深みがある。
風の谷のナウシカ 1 (アニメージュコミックスワイド判)/宮崎 駿

反核文学者の集い 反核 私たちは読み訴える 3月3日

核時代の童話 栗原貞子 詩集刊行の会 3月

言ってください どうか 大岡信 朝日新聞 3月10日
 82・3・3「反核文学者の集い」の発言

The Atomic Cafe 監督:ケヴィン・ラファティ 米、ドキュメンタリー映画 3月
アトミック・カフェ [DVD]/

〈終末〉への挑戦 黒古一夫 教育国語 3月

平和への演劇人の訴え 3月

原子力vsソーラー ハイライフ出版:編・刊 3月

核と平和 自由世界は生き残れるか    ローレンス・W・ベイレンソン 室山正英:訳 学陽書房 3月

原発の町から 東海大地震帯上の浜岡原発 森薫樹 田畑書店 3月

海はだれのものか 沿岸開発を糺す 西尾建 リサイクル文化社 3月

人間が危ない 核のはなし 服部学    水曜社 3月

核の栄光と挫折 巨大科学の支配者たち ピーター・プリングル、ジェームズ・スピーゲルマン 浦田誠親:監訳 時事通信社 3月 The nuclear barons

核兵器廃絶のうねり ドキュメント原水禁運動 岩垂弘 連合出版 1982年3月

「核」を超える倫理と論理の創成へ 小田実 朝日ジャーナル 3月26日、4月2日

核よ驕るなかれ 豊崎博光 講談社 4月

反核 私たちは読み訴える 核戦争の危機を訴える文学者の声明 岩波ブックレット 4月
 82・3・3「反核文学者の集い」の発言集:それぞれの場で、やれることを/佐野洋、とくに、若い人々へ/中野好夫、核兵器は「戦争」ですらない/井上ひさし、声明までの経緯と趣旨/中野孝次、平和への演劇人の訴え」のこと/木下順二 
日本の原発地帯 鎌田慧 潮出版社 4月

熊野漁民原発海戦記 芦原原発反対闘争の回想 中林勝男 技術と人間 4月

原子力工学(標準機械工学講座 25) 鳥飼欣一、秋山守 コロナ社 4月

停滞論 吉本隆明 海燕 4月号 
 後に『「反核」異論』(深夜叢書社、1982年12月)に収録。コメントはこちらこちらこちらこちら

現代と若者 吉本隆明+三浦雅士 平凡パンチ 19(14) 4月
 三浦雅士との対談。後に『「反核」異論』(深夜叢書社、1982年12月)に収録。コメントはこちらこちらこちらこちら

原子力の社会学 田中靖政(現代エネルギー選書12) 電力新報社 5月

デイトンの空軍博物館 加賀乙彦 潮 増刊号 5月
 82・3・3「反核文学者の集い」の発言

核の大火と「人間」の声 大江健三郎 岩波書店 5月

明日 1945年8月8日・長崎 井上光晴 集英社 5月
 まったくの何気ない1日。あの瞬間までは。

天の羊 被爆死した南方特別留学生 中山士朗 三交社 5月

放射線(改訂版) (基礎原子力講座 2) 小川岩雄 コロナ社 5月

原子力の社会学(現代エネルギー選書12) 田中靖政 電力新報社 5月

核 知る、考える、調べる 日本科学者会議:編 合同出版 5月

Die Energie5.2☆11.8 三原順 LaLa(白泉社) 6-8月号
  スリーマイル島原子力発電所事故後のアメリカを舞台にした作品。「事故を起こしても損害賠償のほとんどは国が…つまり私達の税金で支払わせるんでしょう? 電力会社の負担分は電気料金に上のせしてまた私達に支払わせるんでしょう?」というセリフがある。蓄電を重要視している点が興味深い。

原爆を読む 水田九八二郎 講談社 6月

赤ん坊をおそう放射能 ヒロシマからスリーマイルまで アーネスト・J・スターングラス 反原発科学者連合:訳 新泉社 6月

原爆の絵アメリカを行く 松原美代子 TV番組 NHK 1982年6月7日放送
 書籍: 松原美代子・ヒロシマを知らせる委員会:編 NHK出版 1983年8月

加速器(実験物理科学講座) 熊谷寛夫:他編 共立出版 6月

放射線はどこまで危険か 菅原努 マグブロス出版 6月

核兵器と放射能    三宅泰雄    新日本新書(新日本出版社) 6月

日本の原子力発電 安全な開発をめざして 中島篤之助、安斎育郎 新日本新書(新日本出版社) 6月

現代の核兵器 髙榎尭 岩波新書 6月

核融合とプラズマの制御(下) 内田岱二郎、井上信幸 東京大学出版会 6月

診療放射線技師のための放射線管理学 放射線管理学編集委員会 コロナ社 6月

赤ん坊をおそう放射能 ヒロシマからスリーマイルまで E・J・スターングラス 反原発科学者連合:訳 新泉社 6月

恵子ゴーオン Shigeko Go On 笹森恵子 同時代叢書(汐文社) 6月

原爆を読む 広島・長崎を語り継ぐ全ブックリスト 水田九八二郎 講談社 6月
 関連書籍1,300点

太田洋子集(全4巻) 大田洋子 三一書房 7月

原爆文献を読む 長岡弘芳 三一書房 7月

すべてのリベラリズムが動きだした 小中陽太郎 朝日ジャーナル 7月9日

反核運動と科学思想 核をのりこえる科学への模索 菅孝行 破防法研究 7月

日本のエネルギー計画 エネルギーと公害編集部:編 エネルギー・ジャーナル社 7月

ウラルの核惨事 ジョレス・A・メドベーシェフ  梅林宏道:訳 技術と人間 7月

核軍縮への新しい構想    湯川秀樹    岩波書店 7月

新未知への挑戦 先端技術研究開発の最前線 米盛幹雄 時評社 7月

核爆弾ジャック 檜山良昭 講談社 7月

広島・原爆災害の爪跡 蒼林社 中野清一 7月

はばたけ千羽鶴 豊田清史 (ちくま少年図書館)筑摩書房 7月

原発症候群 アトミック・インフェルノ 西山明:訳 批評社 8月

核時代を生きる ヒロシマ・死の中の生 栗原貞子 三一書房 8月

きのこ雲 佐木隆三 中央公論社 8月

アトミックソルジャー ハワード・L・ローゼンバーグ 中尾ハジメ、アイリーン・スミス:訳 社会思想社 8月

放射線障害を語る 吉澤康雄 東京大学出版会 8月

原子炉の理論と解析(上) J・J・ドウデルスタット、L・J・ハミルトン 成田正邦、藤田文行:訳 現代工学社 8月

ヒロシマを壊滅させた男オッペンハイマー ピーター・グッドチャイルド 池澤夏樹:訳 白水社  8月

あの日のこと 美川きよ 朝日ジャーナル 36年後に甦る幻の原爆文学 8月6日
 1946年にGHQにより全面発禁を受けた作品。『日本の原爆文学 10 (短篇 1)』(ほるぷ出版、1983年)に収録。

終わりに見た街 原作・脚本:山田太一 TVドラマ、テレビ朝日系列 8月16日
 タイムスリップ、核兵器、家族をテーマとしたドラマ。

広島巡礼 亀沢深雪 文学界 8月

反核のアメリカ 袖井林二郎 潮出版社 8月

「反核」運動の思想批判 吉本隆明 読書人 1445号~1447号 8月
 後に『「反核」異論』(深夜叢書社、1982年12月)に収録。コメントはこちらこちらこちらこちら

崩壊の検証 「反核」をめぐる〈戦後〉理念の終焉 吉本隆明+鮎川信夫 現代詩手帖 8月号後に『「反核」異論』(深夜叢書社、1982年12月)に収録。コメントはこちらこちらこちらこちら

緋の喪章 生口十朗(川本信幹) 近代文芸社 小説 8月

ヒロシマ連禱 石川逸子 詩集 土曜美術社 8月

ちいちゃんおかげおくり(あかね創作えほん11) あまんきみこ:作 上野紀子:絵 あかね書房 絵本 8月

反核・日本の音楽 ノーモア・ヒロシマ音楽読本 芝田進午、矢澤寬、木下そんき:編 汐文社 8月
 約400点の楽曲リスト

各国の環境法 環境調査センター:編    第一法規出版 9月

核医学入門 基礎から臨床まで 日本アイソトープ協会 丸善 9月

原子の火燃ゆ 未来技術を拓いた人たち 木村繁 プレジデント社 9月

情況への発言 「反核」問題をめぐって 吉本隆明 試行 59号 9月
 後に『「反核」異論』(深夜叢書社、1982年12月)に収録。コメントはこちらこちらこちらこちら

電力需給の概要 昭和57年度 通商産業省資源エネルギー庁公益事業部:編 中和印刷 9月

中性子爆弾と核放射線 安斉育郎 連合出版 9月

WHEN THE WIND BLOWS(=風が 吹くとき)  原作:Raymond Briggs 10月
 1982年に描かれた絵本の映画化。片田舎に住む老夫婦が核戦争に遭遇、政府が用意したマニュアル通りに対策を行うが、はたして。。。音楽にロジャー・ウォーターズ、主題歌はデビット・ボウイ。日本語版吹き替えは森繁久彌と加藤治子。コメントはこちら
風が吹くとき デジタルリマスター版 [DVD]/森繁久彌,加藤治子,ジョン・ミルズ

Future War 198X年 監督:舛田利雄・勝間田具治 アニメ映画 10月
 米ソが核ミサイルを撃ちあう。
テレビマガジンデラックス15 劇場用長編アニメ FUTURE WAR 198X年 メカニック・.../著者不明

「反核」運動の思想批判 番外 吉本隆明 読書人 1453号 10月
 後に『「反核」異論』(深夜叢書社、1982年12月)に収録。コメントはこちらこちらこちらこちら

ヒロシマの証 土田ヒロミ、杉原正、兼口芳成 岩波グラフィックス(岩波書店) 1982年11月

君はヒロシマを見たか 広島原爆資料館 勝部領樹他 高橋昭博、NHK取材班:編 NHK出版 11月

原子力 秘められた巨大技術 NHK取材版(勝部領樹他) 日本放送出版協会 11月

固体と放射線 格子欠陥のふるまい アントニ-・エルウィン・ヒュ-ズ デレク・プ-リ- 佐野尚武:訳 共立出版 11月

原子動力((基礎原子力講座5) 都甲泰正 コロナ社 11月

僕と彼女と週末に 浜田省吾 楽曲 PROMISED LAND ~約束の地 収録  CBSソニー 11月
 一見ラブソングに聞こえるが、文明論的な批判を展開する、きわめて政治的なメッセージソング。父親が警察官として広島で被爆している。

震災・原爆の業火を超えて 私の人生 新井嘉之 文献出版 自叙伝 11月

エネルギー経済学 エネルギー資源の効率的配分 ウィリアム・D・ノードハウス 室田泰弘:訳 東洋経済新報社 12月

核戦争と放射線 ジョセフ・ロートブラット 小野周:監訳 東京大学出版会 12月

エネルギー化学 早川宗八郎、岡本真実 共立出版 12月

世界の研究所要覧 1983 日刊工業新聞社 にっかん書房 12月

AKIRA 大友克洋 週刊ヤングマガジ ン(講談社) 1982年12月20日号~1990年6月25日号(全120話)
  おそらく「核」関連と思われる新型兵器の使用により第三次世界大戦が終焉した後の物語であると同時に、「AKIRA」や「徹雄」といった登場人物たちが、核爆発のごとき存在として登場する。
AKIRA(1) (KCデラックス 11)/大友 克洋
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「反核」異論 吉本隆明 深夜叢書社 12月
 文学者たちによる反核の訴えに対する批判。コメントはこちらこちらこちらこちら
「反核」異論 (1983年)/吉本 隆明

これからの原子力政策のポイント その見方と考え方 向坊隆、川上幸一:対談 原通

Dark Circle 監督:Chris Beaver, Judy Irving ドキュメンタリー映画

Dark Circle [DVD] [Import]


洪水のあと P.C.ヤシルド 瑞、小説、Efter floden
 「洪水」とは「核戦争」を意味する。日本語版は、山下康文訳、岩波書店、1986年。

丸木位里・丸木俊 原爆の図 第 14 部《からす》 1982年 絵画
 「菊とナガサキ――被爆朝鮮人の遺骨は黙したまま」(石牟礼道子「朝日ジャーナル」1968年8月11日号)に触発されて作成。


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