(7)余裕がなくなってきた
目に見えて速くなったわけではありませんが、集中が途切れないように走ります。心なしかペースは戻ってきたように思えます。でも敵はそれだけではありません。次々と襲いかかってきます。
足の重さを感じるようになっていましたが、さまざまな痛みも現れてきました。
まず現れたのは腰痛です。ここ数年苦しんでいる左の腰と尻の痛み。これがジワジワと姿を現してきました。さらに膝も・・・。左膝にいやな痛みが出てきました。そして右足の親指の爪は、すでに黒爪になりかかっているのでしょう、かなり痛くなってきています。
腰痛対策のため、近年はフルマラソン以上の距離を走るときは事前に、あるいはレース中に痛み止めの薬を飲むこともよくあります。今回は薬を飲まねばならないだろうと思って持ってきていたのですが、熊本入りしてから胃腸の調子がよくなかったので、今回は痛み止めの服用を諦めました。中間点付近で吐き気に襲われたところもありましたから、痛み止めを飲んでいたら胃の調子はもっと悪くなっていたかもしれません。
27kmのラップは6分08秒と少し戻しました。このペースなら大丈夫です。私はペースを守って走りました。
相変わらず沿道からは温かい声援をいただきます。手を振って「ありがとう」と応えると、その先の人からも拍手や声援をいただきます。伸びている手にハイタッチで応えると、次々と手が伸びてきます。ときには「あら~!北海道から!」と驚きの声もいただきます。そんな声援のおかげで、失速するかと思っていた私の走りもふたたびよみがえります。すこし元気を取り戻して、最後の折り返し点を回りました。
やはり新川通の直線よりもかなり短いです(笑)。このくらいならば復路も心配ないでしょう。折り返してまもなく28km地点に到達しました。ラップは5分56秒です。大丈夫、戻っています。ただ、前半は自然体で軽く走っていても5分台が出ていましたが、今はちょっと頑張って走ってやっと5分台という状態です。この先、橋のアップダウンも何カ所かあり、最後は二の丸広場に向かう上り坂が待っています。どこまでもつのでしょうか。
しばらくすると反対車線から「Ogamanさん」との声もかかります。マラソン小僧さんでした。私とさほど差はありません。失速すると簡単につかまってしまいそうです。
こうしてレース中に声をかけられるのはとても嬉しいものです。特にこうして遠くまで来ても名前を呼んでもらえるのって、とても嬉しいです。今日もここまで数名の人から「ブログ見てます」と声をかけていただきました。そうして声をかけられると力が湧いてきます。ありがとうございました。
しばらくすると、テーピングのボランティアをしているというブースの案内が出ています。これには驚きました。ゴール後にこうしたケアのブースが出ていることはよくあります。またここまでも、スプレーを提供してくれる私設エイドの方はたくさん見かけました。でもレースの途中でこんなテーピングをしているブースがあるとは・・・。そろそろ30km。勝負どころにさしかかる前にテーピングをしたら、これは効果がありそうです。触手は動きましたが、立ち寄らずに通過しました。このボランティア、サロマの60km過ぎでやってもらいたいなぁ・・・。
29kmのラップは6分04秒です。ペースそのものは完全に戻ったようです。でももちろん、体は大きなダメージを感じています。足と腰の痛みは、その存在感を強く主張しています。徐々に顔をしかめたくなるような痛みとなってきますが、私もここは意地で笑顔をキープします。でも写真を撮る余裕はなくなってきました。前半と比べてペースは変わりませんが、写真を撮る枚数は激減しています。ということは、実際のところ走るペースは前半より落ちているようです。
でも余計なことは考えず、「前半と変わらないラップを刻んでいる」という事実だけを考えるようにしました。
まもなく30km地点です。私の前にはマリオとルイージが走っていました。2人はなにやらポーズをとっています。オールスポーツのカメラがあるわけじゃないのに・・・と思ってよく見ると、そこには動画を撮影しているカメラがありました。
そうでした、スマートランナーズサポートでは、通過地点の動画も配信しているのでした。私は慌ててカメラに向かってポーズをしました。カメラは10km、20km、30km、35km、40km、ゴールと用意されていたようです。レース後もナンバーを入れれば確認できるので見てみましたが、20kmまではカメラを完全に無視して走っていました(笑)。興味のある方は、下記にアクセスをして4030を入力してみてください。
熊本城マラソンスマートランナーズサポートhttp://www.smart-runners-support.jp/kumamoto-j/
30kmのラップは6分18秒でした。この間の5kmは31分ちょうど。こうして5kmラップを見るとまだまだイーブンペースで走れています。
しばらくしてマリオとルイージをとらえて前に出て、カメラを向けます。2人ともまだまだ余裕がありそうです。
しかし私の方はすっかり余裕がなくなってしまい、このあと1時間以上カメラを取り出すことはありませんでした。(つづく)
20km~30km コース動画
http://youtu.be/yXzrOQ1n8_Y
(8)意識も薄れていったへ
(1)空気を読めない
(2)流れに乗った
(3)イーブンペース
(4)カメラン全開
(5)快調に中間点通過
(6)足が重くなってきた