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「祈り子は大地へと」
焼き払われた街を見ていた、ここはすでに死地だという声、
高台から臨む眼下はいまだ、
燻り続けて悲鳴さえも聞こえるようで、
ピンク色の心臓みたいな、残る野火がさまようイヌを追い払う、
煤にまみれた汚れ猫、そんな気持ちでひた歩く、
生き残れたのか置いてかれたか、
ぐるぐる螺旋を描くよう、
とぐろを巻く蛇のよう、頭のなかはいつも痛い、
悲しみだとかユウウツだとか、淋しいやら虚しいやらの、
そんな感情ばかりが煮詰められた辺境は、
防塵マスクの作業者たちが水を撒く、
その眼は何を見てしまうだろう、
祈りは続く、灰に汚れど、
儚く点々、そう見えども逞しきは緑色、
裸足でぽつりの花探す、
土に刺さったハーモニカ、裾でそっと泥をぬぐって、
小さいころに鳴らしてた、優しい歌の旋律なぞる、
祈り子になる、足跡には花が咲くよう、
一歩ずつを確かめながら、土の感触慈しむ、草木が繁り、
羽ばたく鳥を真似た花びら、ひとつひとつが生き還るよう、
光の南に右手を掲げ、言葉もなく地を進む、
煤にまみれた汚れ猫、それはそれで悪くないって、
目を閉じ俯き両手を重ね、
掬い上げて陽を浴びた、土を地に還らせる、
帰りようも帰れない、精霊たちに捧げる花を、
巡礼にて祈り子は、一輪ずつの無垢の種を蒔いてゆく、
凪いで鎮まる幸福なる大地であれと、
暴るることなくいずれは仔たちが戻れますよう、
調和のなかで呼吸する、草原にて口笛を吹く、
精霊たちの遥か彼方か、かつての大地を瞼に描く、
⇒【シアター・ジャックナイフ】祈り子の季節
【まとめ】2014年2月度自薦
⇒スウィート・タウン
⇒見上げれば鮮やかすぎる
⇒ここではないどこかへ
⇒ピアノガール
⇒豊潤なる実りの季節
⇒ラヴソング
⇒発光
⇒靴磨きのアッシュ
⇒【殿堂入り】草原の人
⇒【胸熱】あと少しだけ
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