先日出させていただいた勉強会の動画がYoutubeに上がっておりました。
公開勉強会/森山高至「真国立競技場へ」




ここで使ったレジメ等は主催された「神宮外苑と国立競技場を未来へ手渡す会」さんの方からpdfファイルが配布されると思います。

動画の内容は現在起きていること、その背景をわかりやすくダイジェストでお送りしっています。特に!「キールアーチ」について、どういうものか、何が問題か、小学生から建築の専門家ではない、おじいちゃんおばあちゃん、主婦の方、お兄さんお姉さん、勤労青年から、飲んだくれの新橋や新宿ゴールデン街のオヤジ連中にまで伝わるよう、念入りに面白おかしくやっております。

ぜひご覧くださいませ


で、そろそろこの「真国立競技場計画」のまとめをおこないと思っているのですが、

以下の報道がありましたね。

下村文科相、新国立競技場整備問題「最終判断近い」
http://www.hochi.co.jp/topics/20150619-OHT1T50275.html

2020年東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場の整備問題で、下村博文文部科学相(61)は19日の会見で、現行の計画案をゼロベースに戻すか、継続するかなどについて、「トータル的に考え、最終判断を近々しなければならない」と述べた。

 自民党の行革推進本部では、17日に世界的な建築家の槙文彦氏(86)を招き、会合を開いた。監修者としたザハ・ハディド氏の契約を解除して、屋根は客席部分を覆う形にするなどの提案があった。

 下村文科相は、19年ラグビーW杯の新国立開催が「絶対条件」とし、競技場デザインの変更については「国際オリンピック委員会(IOC)がコストの問題だけで、別の形になることは理解してもらえるのか?」と、会見で自問自答していた。

2015年6月20日6時0分  スポーツ報知


なるほど~、自民党、終に槇先生を呼んで話聞きましたか!

で、槇先生は、
「ザハ・ハディド氏の契約を解除し、屋根は客席部分を覆う形にしろ」とおっしゃった。

いいね、いいいね、これで今の新国立競技場がなぜ出来ないか、なぜ金をいくら注ぎ込んでもどうしようもないか、を政府は理解したことでしょう。

デザインがどうとか、コンペの経緯がどうとか、そんなことの前に物理的問題だった。
今の新国立競技場計画が、真に新しい技術的挑戦といったような爽やかなチャレンジ、乗り越えるべきプロジェクトX的なものではなく、

自動車でいえば、「スポーツカーだけど、家族全員で乗りたいから8人乗りのワゴンで、オーディオ完備、荷物も載せたいので荷台があって、ミニクレーンも付けて、F1レースで勝て!」といったような、本末転倒な本来ならあり得ない要望。

与えられたテーマの互いの技術的追求、早く走る、大勢乗せる、貨物を運ぶ、が互いの技術的成果をないがしろにするような矛盾した要望、克服すべき技術的価値もない建築であったことも理解されたでしょう。

同時に、デザインがいつの間にか、竹やり出っ歯、意味のないエアロパーツをデコったヤン車、痛車であったことも理解されたことでしょう。


だからこその下村文科相の自問自答、いいんだろうか?これまではいったいなんだったんだろうか?という煩悶、懊悩、倒懸。

すいません!審査した建築家が馬鹿でした。
すいません!コンペ要綱を作成した有識者会議が阿呆でした。

となればいいんですが、

今のままでは下村文科相が悩むのも無理もありません。
さっさと連中を呼び出して叱り飛ばしてください。

それと、下村文科相!IOCも別の形になっていいと言ってます。
また!コンペ案は覆せる!
一年半前の記事ですが、以下をぜひお読みになってください。


ただ、まだまだ予断を許しませんよ。

3000億かかっても4000億かかってもやらなきゃならん!っていう、ハチミツおじさんが東京都知事の舛添さんところに、自慢のハチミツを持参して懐柔に向かいました。


一体、ひと瓶いくらのハチミツか知りませんが、高くても数千円ですよね。そんなハチミツの小瓶ひとつで、数千億の税金出動を認めるわけにはいかないですよ。

で、こうなってくるとですね、JSCが出していた新国立競技場における収支見込ってやつも、もはや破綻していることは明らかですよね。

1625億円のときに、彼らは目一杯の楽観論と希望的観測ででっちあげた収支見込だったわけです。


新国立競技場の収支見込み等[PDF:148KB]
※公表内容は、現段階での設定及び見込みであり、実施設計及び今後の進捗により変更等が生じます。
http://www.jpnsport.go.jp/newstadium/Portals/0/shushimikomi/20140820_shushimikomi.pdf

これちょっと精査してみましょうか

これが収入予定とやらです。

続いて、使う予定のお金ですね。


そして!この収支目論見書には次のようなただし書きがあります。

注目すべきは、この黄色のラインを引いたところです。
まず、一番目。
法人内(JSC内ということ)の他の事業、代々木競技場、JISS、NTCの運営と一体だから、、
というところ。

つまり、出店してるのは、国立競技場だけじゃないぞ、代々木競技場もだぞ、JISSもだぞ、NTCもだぞ、というところ

JISSって何?て思われたでしょう?
JSCの中に設けられた組織、
国立スポーツ科学センター、なかなか立派な組織です。
http://www.jpnsport.go.jp/jiss/home/tabid/36/Default.aspx

JISSとは!HPによれば以下のように書かれていますね!

「この国のスポーツを強くすること。それがJISSの目標です。

JISSは(公財)日本オリンピック委員会(JOC)・競技団体・大学・国内外のスポーツ研究機関と連携し、日本の国際競技力向上への支援を行っています
。」

そして、多くのスポーツ選手からのメッセージが

モーグルの上村愛選手
「自然体で競技に打ち込むことができるのが、JISSの魅力です」


ショートトラックの酒井裕唯選手
「世界の選手に勝つために」


競泳の松田丈志選手
「JISSはいっしょに戦ってくれる仲間です」


新体操日本代表女子チーム
「JISSは、強さの源です」


体操上山容弘選手
「JISSは自身に足りなかったものを埋めてくれた場所」


フェンシング日本代表統括コーチOleg Matseichuk
「JISS is one of most important part of us」




いろんなアスリートたちが寄せる文書
ここに居たんだ!アスリートたち

今回、新国立競技場問題で、実際にそこでプレイし我々を楽しませてくれたり、夢を与えてくれるはずのアスリート達の意見が、まったく聞こえてこなかった、見えてこなかった、その理由とは!

選手たちが頼みとするJISS国立スポーツ科学センターが、JSCの下部組織に組み込まれていたからなんです。

実際の現場の声が上がってこないはずだ、これでは!

その結果、JSCと有識者が決めたといわれる妄想の競技場、施設要望にコンサート使用が優先的に盛り込まれているという摩訶不思議な欠陥競技場計画、破綻した新国立競技場計画の構造的欠陥が、この現場の声を抑え込んでしまえる組織システムだったというわけです。

このJISSについてもう少し見ていきましょう。

そして事業紹介
JISSでは、スポーツ科学・医学・情報など先端的な研究のもと、充実した最新施設、器具・機材を活用し、各分野の研究者、医師等の専門家集団が連携しあって我が国の国際競技力向上のための支援に取組んでいます。

「メディカルチェック」
競技特性、種目特性に配慮した評価とアドバイスを目指します。
「医・科学サポート」
医・科学的知見に基づいてコーチと選手をサポート。課題を発見・解決し、さらに強く。

「競技研究」
各競技種目特有の課題や問題点を抽出し、競技力向上に直接的かつ即時的に貢献する。
「基盤研究」
ハード面・ソフト面における強みを生かしオリジナリティの高い研究・開発を行う。

「競技者を支える最先端医療」
トップレベル競技者のスポーツ外傷・障害及び疾病に対する診療、アスレティック・リハビリテーション、心理カウンセリング、栄養相談を、競技スポーツに通じた専門家が実施します。
診療科目としては、内科・整形外科・歯科・眼科・皮膚科・耳鼻科・婦人科があります。

事業収支報告書がありました。

アスリート支援と強化を通じて、スポーツ医学の発展を目指すという素晴らしい組織です。このような組織の下支えというものはなかなか目にすることがありません。TVの特集番組等で選手密着取材のときにチラっと登場するメディカルチェックの様子等、JISSがおこなっていたんですね。



続いて、NTC。
http://www.jpnsport.go.jp/ntc/
これはナショナルトレーニングセンターの略です。
HPによれば

味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)はスポーツ医・科学・情報研究機関であるJISSと一体となった国際競技力向上のための強化活動拠点。

味の素トレセンは、競技別の専用練習場である「屋内トレーニングセンター」、「陸上トレーニング場」、「屋内テニスコート」及び宿泊施設の「アスリート・ヴィレッジ」から構成され、競技者が同一拠点において集中的・継続的に強化活動を行うことが可能になりました。また、ジュニア競技者の育成等、長期的な強化事業への活用も期待されます。

冬季競技、海洋・水辺系競技等については、日本各地の専用施設が「ナショナルトレーニングセンター競技別強化拠点」に指定され、ナショナルレベルのトレーニング施設の充実とネットワークの構築が図られることとなります。

味の素トレセンの管理・運営は、隣接する国立スポーツ科学センター(JISS)を運営する独立行政法人日本スポーツ振興センターが一体的に行い、これにより、選手や競技団体は、両センターのトレーニング施設とJISSのスポーツ医学・科学・情報サポートを十分に利活用しながら、高質なトレーニングを実施することができます。


味の素トレセン施設の主体的運用は、公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)が行います。

なお、施設の性格上、利用対象は基本的にJOCの強化指定選手及び各中央競技団体の推薦を受けた強化選手に限られます。

ということですので、ここはもうオリンピック強化選手に特化した活動施設と考えていいんでしょう。

で、JSC全体での決算書というものもありました。
http://www.jpnsport.go.jp/corp/koukai/zaimu/tabid/194/Default.aspx

収入の部



TOTOの売り上げ金が突出して大きいですね。

支出の部


やはり、国立競技場改築事業費が大きい。
スポーツ助成事業費よりも大きいですね。

どうやら、JSCは収入が1800億円くらいあり、そのうち1100億円くらいがTOTOの売り上げであり、国からの助成金は300億円、競技場はじめ施設収入は30億円に過ぎないことがわかります。

いわゆるTOTO法、スポーツ振興投票の実施等に関する法律というのがありまして、このクジの売り上げ1100億円の使い道は法律で定められております。


で、これまではTOTOの売り上げの5%を新国立競技場の建設費に充てていいとなっていた。5%といっても50億円ですよ。
それを!キールアーチの銭が足らんからといって、10%に拡大しようとしている!今。
さらには!JSCはTOTOの扱いをプロ野球にまで、その強欲の触手を伸ばそうとしているんです。

本来スポーツの振興というなら選手への支援に集中するべき、同時に次世代の小中学生に対して応援していくべき。

前述の国立スポーツ科学センターJISSに出している費用が20億円、そしてナショナルトレーニングセンターへの費用は8億円でしかない。

スポーツ助成金の配分もこのような感じです。


もう少しわかりやすい資料はこちら


はなしを整理すると、JSCという組織には1年間で1800億円くらいの収入があります。
そのうち1000億円はTOTOの売り上げです、300億円は国からもらっています。

で、30億円くらい職員に給料を払っています。
TOTOの運営費に200億円使っています。
TOTOの当たりクジに535億円払いました。
もうかってるんで、国に92億円を戻しました。
新国立競技場関係で300億円使いました。

選手の支援には30億しか出していません。
オリンピック関係で20億円使いました。
全国のスポーツ整備支援費で90億円
子供たちの支援に9億円

細かい数字は丸めましたが、大体上記のような感じです。
さらに精査の必要はありますが、、、、

本来のスポーツ振興に使っているのが150億円くらい。
収入の1割弱ですね。

にもかかわらず、建ちもしない新国立競技場計画へTOTOの売り上げをさらに突っ込もうかという、プロ野球も巻き込もうかという、策謀をめぐらせているんですよ。

どう思います?