狐罠/北森鴻 | mokkoの現実逃避ブログ

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狐罠 (講談社文庫)/北森 鴻
¥780 Amazon.co.jp
サイズ:511P 15cm

店舗を持たず、自分の鑑定眼だけを頼りに骨董を商う
「旗師」宇佐見陶子。
彼女が同業の橘董堂から仕入れた唐様切子紺碧碗は、贋作だった。
プロを騙す「目利き殺し」に陶子も意趣返しの罠を仕掛けようとするが、
橘董堂の外商・田倉俊子が殺されて、殺人事件に巻き込まれてしまう。
古美術ミステリーの傑作長編
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象→犬→麒麟→ミミズク→猫→ライオン→蛇→猫→象ときて
テーマ読み最後を飾るのは「狐」ですぅ~

旗師・冬狐堂シリーズ第一弾。
しかし読むのは3冊目(○ ̄m ̄)
一応、シリーズを読む時は順番に気をつけてます。
しかし、初めましての作家さんに手を出す時
いきなり長編っていうのは躊躇するでしょ~
このシリーズ1、2弾が長編なのよ。

そんな時に頼りになるのが読書家天使の恵さん
第3弾からは出版社が変わり、文芸春秋さんから出ているんだけど
これが短編集で、第3弾から読んでも問題ないとお墨付きを頂いた。
で、緋友禅を読んではまった。

そこで更に天使の囁きがありましてね・・・
第2弾の『狐闇』にはね、香菜里屋や那智先生、犬猿コンビの刑事、
雅蘭堂店主などなど北森オールスターズが総出演なんですよー♪と・・・
そこで北森作品をつまみ読みして、第2弾の『狐闇』を読んで
これまた大喜びしたんですけどね、著者がお亡くなりになられて
途端に読むのが勿体無いと思ってしまったんですね・・・
しかし、テーマ読みだし、特集だし、狐だし・・・
最後はコレだよなぁ~ってことになったわけです。
前置きが長かったですね<(_ _)>
このシリーズは個別に読んでも問題ないです。

本作の主人公は旗師(店舗を持たない美術商)
冬狐堂という屋号を持つ宇佐美陶子(うさみとうこ)。

プロローグは大英博物館から始まります。
美術品の修復と科学鑑定の分野では超一流と言われる
日本人男性が大英博物館を辞めた。
そして場面変わって陶子が橘薫(きくん)堂の主人である橘から
発掘モノを見ないかと誘われ、購入した品を手に
ウキウキしながら自宅に帰り、そして・・・ヤラレタ!
「目利き殺しを仕掛けられた」のである。

この世界では騙される=間抜けである。
ここで素直に引っ込む陶子ではない。
しかし、相手は大狸!
とんでもない大狸なのである。
仕掛け返すために虎視眈々と準備を始める陶子。
そんな時、橘薫堂の外商の女性が殺された。
橘薫堂に出入りしている男がいると密やかに噂される。

そして骨董商や贋作者、大学教授から保険会社の調査員に
博物館の研究員までが入り乱れての壮大な騙し合いに発展する。
陶子の罠は正常に可動するのか?
何故、外商の女は殺されなければならなかったのか?


いやぁ~面白かったぁ~
っていうか、第一弾で既にこのレベル?
何なんですか?この緊張感!
緊迫感と言った方が正解か。

古美術業界というのは百鬼夜行や魑魅魍魎の棲み家といわれる。
「なんて世界なんだ、まったく!」と
旗師である陶子にまでそう言わせる世界である。
魑魅魍魎などの妖怪レベルなら可愛いくらいなのかもしれない。
今回の話は、まさに戦いではないか。
しかも舞台は現実に見せかけた魔境だ!

いつまでも謎やら違和感が付きまとう。
途中で怪しいのはコイツだ!って思うんだけど
考える間を与えずにトラブルが追いかけてきて気を逸らされる。
結局、その思惑がわからないまま解決されてしまった(;^_^A
これはタイトルのごとく『罠』だったわぁ~
殺人が物語の伏線でしかないというか、重要じゃないって作りは
初めてかもしれないわぁ~(^◇^;)
いやぁ~面白かったわぁ~

これから冬狐堂シリーズを読もうという人は
迷わずに本作から読んでください。
長編だからと躊躇する必要はないです。
まぁ~どれから読んでも大丈夫なんだけどね♪

ただ、次巻の『狐闇』を先に読むのはお勧めしない。
「前の事件」ってのが気になるし、次巻を楽しむには
他の北森作品をつまみ読みしてからの方が楽しめると思います。

だって、陶子が結婚していたのは知っていたけど
まさか旦那が出てくるとは思わなかったし
結婚までの成り行きやら当時の事が語られてるし
オーさんとの出会いも語られてるし
練馬署の犬猿コンビも出てくるし
三軒茶屋のアノお店を陶子が知った経緯も書かれてるし
硝子さんは相変わらずカッチョイイし・・・
やっぱり基本は、シリーズは最初から読むってことよねぇ~

そして、偶然にも最初に読んだ「象と耳鳴り」と本作の中に
同じ言葉を発見。
焼き物についての説明で、曜変天目(ようへいてんもく)という言葉が出た。
本作では窯変天目。読みは同じ。
曜変は”窯変”からきている。つまり窯の中の偶然の変化。
これでテーマ読みの最初と最後が繋がった!と思った。
単なる自己満足です(○ ̄m ̄)

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