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読書NOTEへようこそ

   独断と偏見で、読んだ本の感想を綴ります。

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読書傾向◆

文庫を中心に(約90%)、新書、絵本、詩集、単行本もたまに登場します。

カテゴリーとしては、ミステリが多いです。恋愛小説はあまり読みません。

SF、ファンタジー、一方的弱者が登場するストーリー(虐待など)も苦手です。



記事の傾向◆

基本的にネタばれはありません。

個々人が作品を楽しんでもらいたいと考えるからです。

時折、必要だと判断した際は注意喚起を行ったうえで、

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2009-11-21

#300 カンナ 天草の神兵  高田崇史

テーマ:-高田崇史
カンナ 天草の神兵
著 者:高田崇史
出版社:講談社ノベルズ
初 版:2009年01月08日
評 価:☆☆☆


カンナ 天草の神兵 (講談社ノベルス)/高田 崇史

¥945
Amazon.co.jp

内容(裏表紙より引用):
伊賀忍者の末裔で出賀茂神社の跡取りである甲斐は、日本史の常識を覆す重要な社伝を持ち去った諒司を捜して、東大生巫女の貴湖たちと九州・天草へ向かう。だが鍵を握るシスターは、何者かに殺されてしまった。事件の真相を追うなか、命の危機に直面した甲斐は、一揆軍を率いた“神の子”天草四郎の謎解きに挑む。


所感:
神社のお気楽跡取りの甲斐としっかり者の現役東大生巫女の貴湖が歴史の謎に迫りながら冒険を続ける歴史アドベンチャーカンナシリーズ第二弾

第一弾の『カンナ 飛鳥の光臨』が軽快で読み易く、また甲斐が追う「見えない敵」の正体が知りたくて本書にすぐに手を伸ばしてしまった。

甲斐が跡を継ぐことになっている出賀茂神社の社伝は、歴史上の敗者である蘇我氏によって記された『蘇我大臣馬子傳暦』。この門外不出の書物を、甲斐が兄のように慕っていた諒司が持ち去った。甲斐は諒司を追って貴湖と共に熊本は天草へと向かい、またもや殺人事件に巻き込まれる。犯人追跡の過程で窮地に陥った甲斐は、天草四朗の謎に行きあたる…。

今回の舞台は天草、歴史上の謎のターゲットは天草四郎時貞だ。

天草四朗といえば、言わずと知れた島原・天草の乱のリーダーである。厳しい年貢の取り立てに蜂起したこの乱は、キリシタンが多く参加していたことから、キリシタン一揆としても知られている。

大江天主堂と崎津天主堂が見たくて天草を訪れたことがある。この二つの教会を見たいと思った理由は、手がけたのが教会建築で有名な鉄川与助だったから。クリスチャンでもなく信仰心でもなくただ建築物としてそれらの教会が見たかったのだ。

しかし…天草市から天草郡へと進むトンネルか何かを抜けたあたりで空気が変わったような気がした。まず降り立ったのが小さな港町・崎津は、週末なのにとても静かで、しかしどこかしら緊張感漂う雰囲気だった。これをきっと「厳か」と表現するのだろう。

続いて訪れた大江天主堂も厳かだった。キリシタン資料館である天草ロザリオ館も訪れた。そしてここも――観光客がちらほらいるのにも拘わらず――厳かだった。キリシタンの迫害の歴史を垣間見たせいか、同行者もわたしも自然と口数が少なくなった。

見たいところを見て天草郡を後にする。車中は同行者もわたしも口数が少ない。話をするような気になれないのだ。そして帰りもまたトンネルを抜ける。そして抜けた―瞬間に、空気が軽くなるのを感じる。あぁ、これがいつもの空気。わたしはあの厳かな空気に完全に飲み込まれていた

「隠れキリシタンの里」や「迫害を受けたキリシタンの末裔」といった先入観が作用して空気を重く感じたのだろう、と言う人もいる。それも一理あるだろう。しかしそれだけではないように思う。天草の空気は重かった。わたしなんかが生半可な気持ちで行くべき場所ではなかったのだ。

キリシタンの里にお住まいの方は「そんなことはない」と仰るだろう。だけどわたしは…真正面からキリシタン迫害の歴史を学ぶ気持ちと一緒でなければもう行けない、と思う。

と話がずいぶんそれてしまったのでここでいつもの魔法の言葉に登場願う。


――閑話休題――。


歴史は常に決まった面だけでは流れない。ひとつの事象も見るひとの立場が違えば見解も理屈も結果も異なる。わたしは数年前の天草訪問以来、島原・天草の乱についてはある一定の角度からしか見ていなかったことに、本書を読んで気付いた。何はともあれまずは「知る」ということが大切。またいつか、天草を訪れてみようと思う。

そうそう、読書感想ブログなのでこの巻に関してもう少しだけ。本書に関しては、QEDの知識を下地にしたライトな歴史アドベンチャーの一言に尽きる。今回も見えない敵の正体に諒司の行方も全くつかめずだけれど、天草四朗の謎はなかなか興味深かったし、現実の事件もQEDに比べれば腑に落ちる。QEDに比べると否定的な意見の多い本シリーズだけれど、わたしはこれはこれで十二分に楽しい作品だと思っている。

本書にQEDと同じものを求めてはいけない。本書はQEDとはベツモノだし、なんてったって歴史アドベンチャーなのだから。




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これまでに読んだ高田崇史の作品
QEDシリーズ歴史ミステリ その他ミステリ 
1『QED 百人一首の呪』 ☆☆☆
2『QED 六歌仙の暗号』 ☆☆☆
3『QED ベーカー街の問題』 ☆☆☆
4『QED 東照宮の怨』 ☆☆☆
5『式の密室』 ☆☆☆
6『QED 竹取伝説』 ☆☆☆
7『QED 龍馬暗殺』 ☆☆☆
8『QED ventus 鎌倉の闇』 ☆☆☆
9『QED 鬼の城伝説』 ☆☆☆
10『QED ventus 熊野の残照』 ☆☆☆
11『QED 神器封殺』 ☆☆☆
12『QED ventus 御霊将門』 ☆☆☆
13『QED 河童伝説』 ☆☆☆

カンナシリーズ歴史ミステリ その他ミステリ 
1『カンナ 飛鳥の光臨』 ☆☆☆


読んだ本の感想
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2009-11-20

#299 家守綺譚  梨木果歩

テーマ:な行の作家(その他)
家守綺譚
著 者:梨木果歩
出版社:新潮文庫
初 版:2006年10月01日
評 価:☆☆☆


家守綺譚 (新潮文庫)/梨木 香歩

¥380
Amazon.co.jp

内容(裏表紙より引用):
庭・池・電燈付二階屋。汽車駅・銭湯近接。四季折々、草・花・鳥・獣・仔竜・小鬼・河童・人魚・竹精・桜鬼・聖母・亡友等々々出没数多…本書は、百年まえ、天地自然の「気」たちと、文明の進歩とやらに今ひとつ棹さしかねてる新米精神労働者の「私」=綿貫征四郎と、庭つき池つき電燈つき二階屋との、のびやかな交歓の記録である。―綿貫征四郎の随筆「烏蘞苺記(やぶがらしのき)」を巻末に収録。


所感:
久方ぶりの梨木さん。Mirokuさんが『村田エフェンディ滞土録』を記事にされたときのコメント欄でティさんが「家守奇譚とセットでお気に入り本にランクイン」と書かれているのに触発されて読んでみた。

亡き友・高堂の生家を賃借りし、細々と文章を発表しながら生計を立てる綿貫征四郎。ある雨の夜、床の間に飾ってある掛け軸を見ると、中のサギを脇へ押しのけボートが一艘近づいてくる。漕ぎ手の懐かしい顔を見て綿貫は思わず問いかける。


――どうした高堂。
――逝ってしまったのではなかったか。



高堂は答える。
――なに、雨に紛れて漕いできたのだ。


綿貫はそれを受け入れる。
――会いに来てくれたんだな。


本書には亡き高堂の他に、人間に惚れるサルスベリや狐にタヌキに河童に竜に小鬼に人魚にと不思議なものがこれでもかというほど登場する。綿貫はそれを当り前のように受け入れる。そして読者も…。

なぜこれほどまでに「不思議」をすんなり受け入れられるのか。それは先に引用した綿貫と高堂の会話のせいだろう。この会話は物語が始まって5ページ目、作品の冒頭に登場する。亡き友との再会を事も無げに受け入れる生ある綿貫。この数行のやりとりによって、読者には綿貫の寛容さにつられた即席の懐の深さが備わってしまう。

なんて不思議な雰囲気。捉えどころがなく、それでいて優しくて安心できる――そんな雰囲気が作品全体を覆う。あぁ、すっかり魅了されてしまった。

好きだなぁ。


でも…好みの大きく別れる作品ではあると思う。



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2009-11-19

#298 カンナ 飛鳥の光臨 高田崇史

テーマ:-高田崇史
カンナ 飛鳥の光臨
著 者:高田崇史
出版社:講談社ノベルズ
初 版:2008年01月06日
評 価:☆☆☆


カンナ 飛鳥の光臨 (講談社ノベルス)/高田 崇史

¥945
Amazon.co.jp


内容(裏表紙より引用):
伊賀忍者の末裔である鴨志田甲斐は、出賀茂神社の跡取りとして気楽に暮らしていた。が、日本史を根幹から揺るがしかねない社伝を盗まれた上、兄と慕っていた諒司が失踪。さらに不可解な密室殺人事件に巻き込まれ、現役東大生巫女の貴湖とともに事件の真相を追う。知られざる真実に震撼する歴史アドベンチャー開幕。


所感:
QEDシリーズの文庫化済み11冊を読破し、ノベルズに手を伸ばしたはいいけれど(参照記事)、既に発行されているはずのQED第14弾が見つからないっ!!!(第15弾は購入済。でも第16弾も見つかってはいない)。

ノベルズの売り場ってどうしてこんなに狭いのっ!!!と今まで気にもしなかったノベルズ売り場に対して一人よがりに憤りながら、目を皿のようにして何度も何度も狭いノベルズコーナーを見るも『QED flumen 九段坂の春 』(=第14弾)は見当たらず。

と!そんなわけでノベルズコーナーで見つけたカンナシリーズに手を出すことした(既にノベルズへの障害は爪先で超えられるほど低い)。

伊賀忍者の末裔である鴨志田甲斐(26歳)は、由緒正しき出賀茂神社のお気楽跡取り。古武道の達人である父・完爾と神社に仕える老人・丹波の二人に幼少期からしごかれるもほとんど身につかず。丹波の孫で現役東大生巫女(休学中)の貴湖(19歳)には「跡を継ぐ決心をされたのですから、もっとしっかり勉強をされた方が良いと思います」と正面切って注意されるほどのお気楽ぶり。

しかしある日、出賀茂神社の社伝『蘇我大臣馬子傳暦』が何者かに盗まれた。また甲斐が兄のように慕っていた諒司が突然失踪。窃盗犯と諒司の行方を追う甲斐は、同行していた貴湖と共に密室殺人事件に巻き込まれる…。

出賀茂神社に伝わる門外不出の書物『蘇我大臣馬子傳暦』。中大兄皇子と藤原氏によって滅ぼされた蘇我氏による中大兄皇子以前の歴史書だ。歴史を残すは勝者のみ――『蘇我大臣馬子傳暦』も蘇我氏の滅亡と共に世から消えるはずだった。

しかしその謄本が一冊だけ処分を免れ出賀茂神社の社伝として後世に伝わる。しかし「敗者の歴史書」が世に出れば、日本の歴史は揺らいでしまう。出賀茂神社は誰にも知られることなく代々『蘇我大臣馬子傳暦』を守ってきた。

しかしその秘伝書が今回、何者かに狙われた。幸いにも完爾の機転から本物の書物を奪いさらわれることはなかったが、何者の仕業かがわからない限りは油断はできない。『蘇我大臣馬子傳暦』の存在を知る者は多くないはず…しかし神社が持つ特異の情報ネットワークをもって調べてるもも犯人の正体は皆目見当がつかない。また、突然失踪した甲斐が兄のように慕う人物である諒司の行方も杳としてわからない。

お気楽な甲斐と秀才かつ忍術の心得のある貴湖コンビは①見えない敵②諒司この二点を追って日本各地を飛び回り、本シリーズは進行していくようである。そして毎回、甲斐と貴湖が訪れる場所に纏わる歴史の謎解きが繰り広げられる。

第一弾の本書では、甲斐は完爾の命により貴湖と共に奈良県は飛鳥へと送られる。そこで遭遇する密室事件。旧友・柏木との再会――本シリーズもQEDシリーズと同じく現実の事件と歴史上の謎解きの二本立てとなっている。といっても、現実の事件はQEDシリーズのそれと比べると「しっくり」度が高い(でも多くを期待してはいけない)。

歴史上の謎として今回、甲斐が挑むのは大化の改新だ。不在説が囁かれる『聖徳太子』『推古天皇』そして『大化の改新』――これらの人物または出来事の正体或いは本質は何だったのか――貴湖に叱咤されながら甲斐が検証していくのだけけれど、その過程における蘊蓄はQEDを比べると格段に少ない。このシリーズは歴史の蘊蓄を求めるよりは、裏表紙にあるように歴史アドベンチャーとして読むのが正しい楽しみ方だろう。

蘊蓄は多くはないものの、ところどころに考えさせられる文章――特に貴湖のセリフに載せて――が登場する。

「それに私たちは、決してたった一人で今この場に立っているわけではありません。連綿と続く歴史の一場面を担うべく、ここにいるんです。ですから、もっと勉強するべきだと思うんです」

或いは、日本の歴史を学ぶには歴代の天皇を覚えるのが一番早いと主張する時の

「歴史は『平安時代』とか『鎌倉時代』などという区分けで変遷するわけではありません。歴史は、その時代の『人』で動き、そして変わって行くんです。それならば『人』を中心にして学ぶというのが、本来あるべき自然な姿だと思いませんか」

このあたりに著者の、歴史に対する考え方が表れているのではないかなぁ…と想像する。

QEDが蘊蓄満載の参考書とすれば、本シリーズは参考書を片手に臨む実践問題。実践ゆえ知識や雑学は少ないがアドベンチャーとして楽しむことを念頭においておけば、十二分に楽しめる。はい、このシリーズも読みすすめることに決定!「ほうろく」という名の忍者犬――でも犬種はミニチュアブリテリア――の活躍も追いかけていきたいし。

そうそう、タイトルの「カンナ」。本書を読む限りはその意がわからず。この答を求めるためにも引き続き読まねばっ!!!なのです。



>tendoさん
高田さんをお読みになるのならば、このシリーズからの方がライトで読みやすいかもしれません。ノベルズですので文庫化された暁にでもよろしければ、ぜひ。



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これまでに読んだ高田崇史の作品
QEDシリーズ歴史ミステリ その他ミステリ 
1『QED 百人一首の呪』 ☆☆☆
2『QED 六歌仙の暗号』 ☆☆☆
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