
318P 16cm
「あたくし、象を見ると耳鳴りがするんです」
退職判事関根多佳雄が博物館の帰りに立ち寄った喫茶店。
カウンターで見知らぬ上品な老婦人が語り始めたのは、
少女時代に英国で遭遇した、象による奇怪な殺人事件だった。
だが婦人が去ったのち、多佳雄はその昔話の嘘を看破した。
蝶ネクタイの店主が呟く彼女の真実。
そしてこのささやかな挿話には、さらに意外な結末が
待ち受けていた…。(表題作)
ねじれた記憶、謎の中の謎、目眩く仕掛け、そして意表を衝く論理!
ミステリ界注目の才能が紡ぎだした傑作本格推理コレクション。
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ミステリー処【love knot】の翠香さん主催

テーマ読み「いきものがたり」参加作品第1弾です。
完全に読むタイミングを外していた作品だったので
テーマ読みという企画の有難さを感じますねぇ
引退した裁判官・関根多佳雄が主人公の短編集。
知る人ぞ知る「六番目の小夜子」に登場した関根秋くんの
お父さんだったりするのだ。
残念ながら秋(しゅう)君の出番は無し(/□≦、)
でも、兄の春(しゅん)と姉の夏が出ております。
秋と春・・・( ̄▼ ̄)
読み方変えれば薬屋みたいだ(○ ̄m ̄)
全部で12編収録されているんだけど
ほとんどの作品が20ページ前後しかない。
だから下手に作品紹介ができない。
でも、いろんなタイプの話があって
しかも事件が起こって解決っていう話ではない。
推理マニアの秋君パパが見たものや聞いた話や
持ち込まれた話なんかを勝手に?推理する。
春や夏がメインの話もあったけど、こういうのは初めて。
優秀なのは元判事の秋君パパだけかと思ったけど
どうやら秋君ママも観察眼やら洞察力に長けている血筋らしい。
どちらの家系も優れている血筋らしく
その二つが合わさって検事の春や弁護士の夏のような
立派な子供が生まれるのねぇ~
秋君がどんな道に進むのかも書いて欲しいわぁ~(〃∇〃)
ちょっとミーハーしました<(_ _)>
「曜変天目の夜」
「新・D坂の殺人事件」
「給水塔」
「象と耳鳴り」表題作
「海にゐるのは人魚ではない」
「ニューメキシコの月」
「誰かに聞いた話」
「廃園」
「待合室の冒険」
「机上の論理」
「往復書簡」
「魔術師」
話の途中でアレ?と思う瞬間があって
もしかしてそれって・・・と怖くなってみたり
予想外の方向に話がいってみたりと
それぞれの話が全く違う話なので飽きない。
基本的に、推理のできない人間です。
小説の中でいかに振り回されるかを楽しむタイプです。
まさか!えぇ~!そんなバカな!有り得ない!
心の中で叫びたいのですよぉ~
事件やら現象を楽しめるのって小説くらいのものでしょ♪
できるなら思いっきり振り回して欲しいんです。
本作は短編集だから、深く入り込む時間は少ないけど
コンパクトなりに、楽しめましたよ。
ゾクっとする妖しい話では
「給水塔」「海にゐるのは人魚ではない」が好きかな?
他の話では「机上の論理」
春と夏の推理合戦なんだけど、二人の目の付け所が面白い。
従兄弟も検事だってのには呆れたけど(○ ̄m ̄)
「魔術師」なんて最初は意味がわからなかった。
章に分かれて書かれてはいるけど、何がいいたい?って・・・
ところが最後には見事に繋げてくれたもんねぇ~
この話は関根多佳雄を主人公にした長編として
構想していたものを短くしたものらしい。
それはそれで読んでみたいけど・・・
なんか振り回されながら読んでいて
恩田作品に夢中になっていた頃の気分になりました。
懐かしい感じっていうのかなぁ~。
楽しませていただきました♪
***追加***
『給水塔』に出てくる時枝満。
この名前を見たとき、どこかで同じ名前を見たと思ってたら
『MAZE』に出ていたと翠香さんが教えてくれた。
思い出したぁ~!!
あの三人組の1人だわよぉ~
神原恵弥の印象が強すぎて忘れてましたぁ~
MAZE (双葉文庫)/恩田 陸

そして、兄の春は『puzzle』に出てましたぁ~
『puzzle』の印象が良くなかったので
すっかり忘れてたけど、確かに検事がいたわ!
puzzle (祥伝社文庫)/恩田 陸

更に、姉の夏は『図書室の海』に出てましたぁ~
これは『六番目の小夜子』の続編に当たる作品。
年代は違うけど・・・
図書室の海 (新潮文庫)/恩田 陸

同じキャラが別の作品に出てるのって
楽しいねぇ~о(ж>▽<)y ☆
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