緋友禅/北森鴻 | mokkoの現実逃避ブログ

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緋友禅 (文春文庫―旗師・冬狐堂 (き21-4))/北森 鴻
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古物、骨董品を専門に扱う旗師・冬狐堂こと宇佐美陶子は、
銀座の画廊で見たタペストリーに魅せられ、現金で
全作品を買う約束をする。
しかし作者は死に、作品は消えていた……。
騙しあいと駆けひきの骨董業界を生き抜く
美貌の一匹狼を描く古美術ミステリー。
表題作他「陶鬼』「『永久笑み』の少女」

「奇縁円空」の三篇を収録

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これは、恵さんのレビュー を読んで

購入を決めた作品で、初めての作家さんです。
そしてシリーズ第3弾(前2作は講談社から出されてます)


今回はミスしてないです!
だって、最初から読んでる恵さんに
本作から読んでも大丈夫というお墨付きを貰っている。
しかも前2作は長篇らしく、更に短編の方が面白いかも?
とレビューには書かれている。
(Y)o\o(Y) フォッフォッフォッフォ ミスは重ねないわぁ~


本作の主人公は旗師(店舗を持たない美術商)
冬狐堂という屋号を持つ宇佐美陶子(うさみとうこ)。
古美術に骨董品・・・
あぁ~なんてステキな響きなんでしょう
(旗師に対して、店舗を持つ美術商は箱師という)


知らない世界を覗き見てるみたいで始終ワクワクしました。
そして登場する作品達のなんと魅惑的な事。
それに反して取引に纏わる裏の世界のなんと恐ろしい事。
人間の欲の深さと執念は、まさに魑魅魍魎。
作品の作り手の思いもまた時に純粋で時に悪意に満ちている。


しかしジっと動かずに獲物を狙う冬の狐のごとく
ずるく、賢く立ち回り、陶子がその思いを拾い上げる。
古美術に対する陶子のブレナイ姿勢がなんとも凛々しい。


そしてカメラマンの硝子さんもいいねぇ~
「悪巧みも、年季が入ってきたね、狐さん」
「ウブじゃ、生き抜いていけないもの」
こんな会話が出来るっていいわぁ~(〃▽〃)ポッ♪



「陶鬼」
昔の師匠とも言える弦海(ツルミ)の死を知った陶子は、
彼の遺骨を引き取りに萩に向かう。
そこで、彼の死が“秋霜萩”と呼ばれる名人の
遺作を壊したことを詫びての自殺と知った陶子は、
死の理由に疑問を覚え真相を探り始める・・・。


「永久笑み」
某作家宛てに綴られた陶子のファンレター。
古狸と名乗る掘り師(遺跡から盗掘した遺物を売りさばく人)から
埴輪を預かった陶子。
その後、その堀り師が死んだと単独で伝えに来る刑事。
刑事は掘り師から失踪した娘の捜索を依頼されていた。
埴輪と失踪した娘との関連は・・・?


「緋友禅」
無名の作者のタペストリーに惚れこみ、全作品を
買い上げることを即決した陶子。
しかし作品は届かず、作者のアパートを訪れた陶子は
彼の死体を発見する。
半年後、意外な場所でタペストリーを再び目にする事になる。


「奇縁円空」(中篇)
遺品を処分するというコレクターの家を訪ねた陶子は、
コレクションの中から円空仏を手にする事になる。
調べていくうちに鬼炎円空と呼ばれる贋物に辿り着き
30年前に業界を騒がせたトラブルに巻き込まれる事になる。



「緋友禅」が一番興奮したかもしれない。
相手を追い詰めていく過程がドキドキしました。
そして、ここにきて思いっきり勘違いしていた事が判明。
mokkoったら、緋色って紺系の色かと思っていた。
赤系の色だったのね( ̄▽ ̄;)ゞ


好きなのは「奇縁円空」
真作と贋作を見分ける手がかりを求めて動き回ったり
円空自体に焦点を当てて迫っていくところは
ものすごく興味深いです。

最後の呟きにグっときた!


扱うモノや背景が違うけれど、建築探偵を連想しました。
建物に纏わる人の思いや執着から生まれた捻れを
時に設計者の生い立ちから仮説を導き出し検証し
時に罠を張って真相を読み解く。
そういうところが部分的に似てるなぁ~って思った。


もしかしたら長篇だと、もっと近い印象を持つかも?
あくまでも個人的な思いですので、これはスルーしてね。
ファンに怒られるかもしれないから・・・(^◇^;)
これは気に入ったわぁ~
ちなみに、続編の「瑠璃の契り」は購入済み(o^-^o) ウフッ


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