彫刻家 笠原 鉄明さん 第7回 ~生きている感触の中で~ | みんなの学び場美術館 館長 IKUKO KUSAKA

みんなの学び場美術館 館長 IKUKO KUSAKA

生命礼賛をテーマに彫刻を創作。得意な素材は石、亜鉛版。
クライアントに寄り添ったオーダー制作多数。主なクライアントは医療者・経営者。
育児休暇中の2011年よりブログで作家紹介を開始。それを出版するのが夢。指針は「自分の人生で試みる!」

みなさま こんにちは。

彫刻工房くさか 日下育子です。


今日は素敵な作家をご紹介いたします。

彫刻家の笠原 鉄明さんです。

 


アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館

笠原 鉄明さん(ポートレイト)


前回登場の渡辺 忍さんからのリレーでご登場頂きます。

  彫刻家 渡辺 忍さん  

第1回  第2回  第3回  第4回  第5回  第6回   

 

 

彫刻家 笠原 鉄明さん

 第1回  ~ 共鳴できるものを探ってみたい~
第2回 ~自分の原風景からテーマを探る~
第3回 ~ 作品制作の想い、人と人の狭間について ~作品「蒼い月」~
第4回  ~素材と制作の思い 作品「記憶のはざまに」~

第5回 ~素材と制作の想い 木の扱い方について~
第6回~制作の思い 作品「黄金伝説」「蒼い筐」~

第7回〜生きている感触の中で〜

 

第7回で最終回の今日は、社会との接点、今後の活動予定、リレー作家紹介
「あなたにとってアートとは?」といろいろなお話をお聴かせ頂きました。

 

どうぞお楽しみ頂ければ幸いです。

 

************************


アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館

伝説の森
H195cm×W320cm×D140cm
樟(クス)・アクリル彩色・金箔
1990年

 


 


アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館-晴れた日
晴れた日
H160cm×W215cm×D130cm
樟(クス)・アクリル彩色
1994年

 

 

 

 

アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館-再会
再会
H178cm×W330cm×D330cm 
樟(クス)・欅(ケヤキ)・鉄・石 ・アクリル彩色・金箔
1997年

 

 



アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館-水に浮かぶ月
水に浮かぶ月
H180cm×W235cm×D80cm
樟(クス)・アクリル彩色
2004年


 


 

 

アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館-蒼い月2

蒼い月 2
H94cm
樟(クス)・アクリル彩色
2006年

 

 

アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館-時を超えて

時を超えて
H160cm×W220cm×D75cm
樟(クス)・アクリル彩色・金箔

2007年

 

 

 

アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館-蒼い筐
蒼い筐
H115cm×W115cm×D115cm
樟(クス)・アクリル彩色
2010年



 


アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館-光さす彼方へ
光さす彼方へ
H223cm×W90cm×D90cm
樟(クス)・アクリル彩色
2011年

 

 

 

日下
彫刻でずっと人間をテーマに制作していらっしゃるということですが
そこでお聴きしてみたいことが社会との接点についてなのですが。

 


笠原 鉄明さん
直接的な捉え方というよりも僕にとって
作られた作品は、今の時代に僕自身が生きていて
感じているものを出して行きたいんです。
いろいろな問題が社会的にあった時に
重なる部分があればと思います。
ああそういう背景があるのかなと感じさせるといいなというふうに思います。

 


日下
では、何か個別の社会的な事象、ニュースや出来事から
出発することはあまりないということですね。

 


笠原 鉄明さん
一つの出来事ではなく、そのさまざまな思いが重なるようにしたいですね。
東日本大震災があり多くの方が亡くなられ、大変な思いを今もされている。
そして原発の事故があり住民の方達は住んでいた土地から離れざるえなくなってしまいました。
そういう社会の矛盾をすごく感じました。
去年はそんな思いを背景に、自分の在り方を通して
作品の中でそれを共有できる普遍的なものにつなげていきたいと思いました。

 


日下
そうですか。
今は表現の内容から、作品と社会の接点について
お話頂いたと想うんですけれども。

 

彫刻は空間に関わるものなので、
展覧会の展示空間で見せて行くのか、公共空間に設置していくのか
生活空間で見せていくのか、という、どんな空間に関わるかという意味での
社会との接点もあるかと思います。
そういう事では意識されることはおありでしょうか。

 


笠原 鉄明さん
ありますね。
それはやはり置かれている場所によって作品の発する言葉も違ってくるかもしれません。
素材自体の置き方も違ってくるように思います。

 

木の場合は外に置く事もありますが、
たいがいはやはり外に置くわけにはいかず、どうしても風雨があたらない室内空間になるわけです。

 

ただ、公共性の強い場所にあるというのは
伝わる言葉が違ってインスピレーションが広がる事もあるのではないかと思いますね。
やっぱりそういう事はとても大切だと思います。
「記憶のはざまに」の5体や他の作品も、
公共的なスペースに展示していただく機会があればうれしいですね。

 


日下
屋内の公共的なスペースに置くということについては
意欲がおありということですね。

 


笠原 鉄明さん
そうですね。
ただ木の場合は管理というか、やっぱり触ると汚れたり傷がついたり危なかったりしますね。
そういう管理が必要です。難しいところですが。
いろんな意味でそういう公共的な所に置かれると、見方も接点もまた違ってくる事もあるでしょうね。


以前、幼稚園のホールに作品が設置されたのですけれど、
それが修理で戻ってきたときに汚れで真っ黒になっていたんです。

 


日下
ええ~!?真っ黒ですか?

 


笠原 鉄明さん
それで「どうしたんですか?」ってききましたら
幼稚園の園児が触るんですって。

 

そうすると作品の顔や手、服など着色されていたんですけど
真っ黒になって、脂でギトギトしているような色の濃さなんです。
最初見たときはエッで思ったんですけれども、
ある意味でそういう接し方もすごくいいかもしれないですね。

 

遊んでくれていっしょに子供が触ってくれたんだと思うんですよ。
それで手が折れたり足が傷ついたって、
それはそれで楽しんで触ってくれたと思うと、とてもいいなーって。(笑)
そう思うとなんだかうれしい気持ちになりました。
それで改めて修理して汚れを落とし、設置してあるんですけども。

 


日下
そうですか~。とってもいいですね~。(共感)
それから素晴らしいなと想ったことの中に、
文化庁買上優秀美術作品というものがおありですよね。
今回送って頂いた写真の中にその作品はありますでしょうか。

 


笠原 鉄明さん
「記憶のはざまに」の一番手前のグリーンの服を着た人体です。
買上げ作品は、未発表で個展に出品した一点なのです。
それを買って頂いて、収まっているんですけども。

 


日下
素晴らしいですね。
ではこの芸術院会館と言うところに行くといつも見られるのでしょうか。


 

笠原 鉄明さん
普段は文化庁の倉庫に保管してあり、
文化庁の展覧会の企画の中であっちこっち出ているそうです。
必要な時に出品されているようです。
今年5月にたまたま高崎市タワー美術館で買上げ作品の展覧会があったんです。
それで改めて自分の作品を13年ぶりに見てきました。

 


日下
ああ~そうですか~。


 

笠原 鉄明さん
やっぱり僕もいろんなところで見られるといいなと思います。
管理はちゃんとして下さっていて、自分の仕事場にあるより、
大切にしていただいて、うれしいです(笑)。

 


日下
笠原さんのご経歴の中で、美術館及びパブリックコレクションがたくさんおありですが
この中で常時作品を拝見出来る場所はありますでしょうか。

 


笠原 鉄明さん
笠間日動美術館には展示していただいていますが、
他の美術館は美術館の企画以外は収蔵のようです。
テラコッタの作品なのですが、土岐市の公共的な所に展示してあるようです。
千葉県立美術館は改装が終われば美術館の企画等で見られると思うんですけど。

 


日下
そうですか。ありがとうございます。
笠原さんの近年の活動内容、今後の発表予定など
お聴かせいただけますでしょうか。


 

笠原 鉄明さん
僕は主に国画会に出品をしていますが、
来年は久しぶりに個展をする予定です。
来年の9月からなんですけど。
銀座の GALERIE SOLという画廊です。


 

日下
次回のリレー作家を紹介いただけますでしょうか。

 


笠原 鉄明さん
私の古くからの友人で岡村 光哲さんです。
自由美術協会会員で金属の作家です。

 


日下
ありがとうございます。
では最後の質問ですが「あなたにとってアートとは?」


 

笠原 鉄明さん
難しいですね。
自分が生きている感触と同じように作品が伝わればと思います。

 

彫刻家である以上はどんなものでも作ったものは僕の分身であるはず
その時作品から語るべき何かを伝えられればいいなと思うんですね。

 

ですので、自分が生きている中で
他の人たちと共有できるものが彫刻との出会いであればうれしいです。
様式を超えた表現の中での出会いがあればいいんじゃないかなと思います。

 


日下
そうですか~。とっても素晴らしいです。(感動!)
とっても素晴らしいお話をありがとうございました。

 

 


 

アーティストを応援する素敵な彫刻工房@日下育子の学び場美術館-月に遊ぶ

月に遊ぶ
H205cm×W50cm×D90cm
榎(エノキ)・アクリル彩色
2013年


 

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今回、渡辺 忍さんのご紹介で
初めて、笠原 鉄明さんをさせて頂きました。

 

私は、以前、国画会展を見ていた時に笠原 鉄明さんの作品を拝見していました。
ご自身の肖像なのかな、と想像されるような人物像が
生活の一場面を切り取ったようなプレゼンテーションで印象に残っていました。

 

今回、お話をお聞かせ頂いて、それが笠原 鉄明さんの
自分がそこに介在したものがあるという捉え方をして制作をされたい
という想いから来ていたのだと分かりました。

 

笠原 鉄明さんは、本当に真摯な姿勢で制作をなさっていて
作品を作ったご自身のお気持ちと鑑賞者のお気持ちが
お互い接するものがあれば面白いな、と仰っていたのが
印象に残りました。

 

皆さまも笠原 鉄明さんの作品をご覧になって見てはいかがでしょうか。


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◆笠原 鉄明さんの展覧会情報

 ◇YEAR END EXHIBITION OF MINI SCULPTURES

 2013年12月9日(月 )~12月21日(土)
 ギャラリーせいほう
 東京都中央区銀座8-10-7東成ビル1F
 

◇笠原 鉄明さん 個展
  2014年9月15日(月)~20日(土)
 
GALERIE SOL 
 
 東京都中央区銀座1-5-2 西勢ビル6F

  笠原 鉄明さんHPの展覧会案内

 

◆笠原 鉄明さんの登場するWEBページ

 ◇国画会 
 

うしく現代美術展公式ホームページ

 (笠原 鉄明さんは第2,3回展にご出品されました。)

 

 

◆笠原鉄明さんの略歴 

■個 展
1990年 「個展 -伝説の森-」 ギャラリーなつか (東京・銀座)
1999年 「小品個展」 日本橋高島屋彫刻コーナー (東京・日本橋)
1999年 「個展 -記憶のはざまで-」 ギャラリー青羅 (東京・銀座)
2003年 「個展 -記憶のはざまに-」 GALLERY inos(東京・目黒)
2006年 「個展 -蒼い月-」 ガレリア・グラフィカ bis (東京・銀座)
2008年 「個展 -彼方の雲-」GALERIE SOL(東京・銀座)

■グループ展・団体展等
1977年 「国展」以後毎年出品 2006年まで東京都美術館(東京・上野)2007年から国立新美術館(東京・六本木)
1990年~1992年 「昭和会」招待出品 日動画廊(東京・銀座)
1994年 「第6回現代日本具象彫刻展」 千葉県立美術館(千葉県千葉市)
1995年 「’95富山の美術」 富山県立近代美術館(富山県富山市)
1997年 「可視化の構造-11の空間」 富山県立近代美術館(富山県富山市)
1997年 「第1回ユーモア陶彫展」 セラトピア土岐(岐阜県土岐市)
1999年 「いなみ国際木彫キャンプ’99」 富山県井波町(現南砺市)
2000年 「文化庁買上優秀美術作品披露展」 日本芸術院会館 (東京・上野)
2000年 「那須野が原国際彫刻シンポジウムin大田原2000」(栃木県大田原市) 
2002年 「つくば彫刻展2002」 茨城県つくば美術館 (茨城県つくば市)
2002年 東日本-彫刻 39の造形美」 東京ステーションギャラリー (東京・東京駅)
2004年 「安達博文 笠原鉄明 開光市 3人展」 美術サロンゆたか (石川県金沢市)
2005年 「第4回現代茨城作家美術展」 茨城県近代美術館 (茨城県水戸市)
2006年 「収蔵品展021:素材と表現」 東京オペラシティアートギャラリー (東京・西新宿)
2009年 Life展 #4 GALERIE SOL (東京・銀座)
2011年 明日への希望昭和会受賞作家選抜展 笠間日動美術館(茨城県笠間市)
2012年 三次元→二次元 #2彫刻家によるドローイング GALERIE SOL (東京・銀座)
2013年 スパーク 文化庁買上優秀美術作品展 高崎市タワー美術館(群馬県高崎市)

■受賞等
1992年 「第27回昭和会」日動美術財団賞受賞
1993年 「第67回国展」会員推挙
1994年 「6回現代日本具象彫刻展」優秀賞受賞 
1997年 「第1回ユーモア陶彫展」奨励賞受賞

■その他
1953 年 富山県利賀村(現南砺市)生まれ
1968~1973 年 二代目南部白雲に師事 欄間社寺彫刻を学ぶ
1973年 井波町立木彫工芸高等職業訓練校(現南砺市)卒業
1973~1977年 太平洋美術学校修学
1977~2002年 鈴木実に師事
2008~2011年 愛知県立芸術大学非常勤講師
2010~2012年 女子美術大学非常勤講師 
2010年 天彦五男詩全集に彫刻作品写真掲載

■美術館及びパブリックコレクション等
文化庁・千葉県立美術館・富山県立近代美術館・笠間日動美術館・富山県南砺市・岐阜県土岐市・
東京オペラシティアートギャラリー(寺田コレクション)

■現在 国画会会員 日本美術家連盟会員


 

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