【マンガ感想】
『怪異いかさま博覧亭 4巻 (小竹田貴弘)』
怪異いかさま博覧亭 4巻 (IDコミックス REXコミックス)
一迅社 2009-11-09 by G-Tools |
【あらすじ】
第4巻は、算盤小僧・柏のちっちゃな恋物語や、近所の見世物小屋で働く蛇姐さんの意外な過去&新キャラ・蛇姐さんの妹・茜の登場、榊が羽織る着物に宿る"小袖の手"の心温まる話等々前巻以上ににぎにぎしく、ほろりときちゃうお話満載でお届けいたしやす!
江戸時代を舞台とした妖怪コメディマンガ。
妖怪を捕まえて、妖怪の『見世物小屋』を運営している『博覧亭』が舞台の作品です。
ただ、残念ながら、肝心の妖怪を捕まえる事が出来ていないので、閑古鳥が鳴いている状態。
傘張りや春画を書いて日々の金銭を稼いでおり、いつか『見世物小屋』を流行らせるために
妖怪探しを色々と繰り返しているドタバタコメディマンガです。
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ここからは、4巻の感想。
4巻では、表紙を飾った『空木』・『石蕗』のコンビの日常を描く話から、妖怪達の元日の過ごし方、
『蛇姐さん』こと『苺ちゃん(笑)』の素性が明らかになり、それと同時に妹・『茜』が新登場したり、
居候妖怪・『五徳猫』と主人公・『榊』の出会いのエピソード、そして、着ている羽織に何故“小袖の手”と
いう妖怪がとりついていて、何故主人公・『榊』がそれを持っているのかが明らかになる話まで、
非常に多くの話が描かれております。
そんな4巻の中で注目話は、やはり主人公・『榊』の羽織のエピソードですね。
この話は、いつものメンバーで百物語(8割がた『榊』が担当)をすることから始まった話でして、
この話を通して、主人公・『榊』と“着ている羽織”のエピソードが描かれる事となりました。
ちなみに、百物語とは、その場にいる全員で百の怪談話をしていくという夏の風物詩でして、
1話話し終えるごとにろうそくの火(合計100本)を一つずつ消していき、最終的にラスト一本を
残して終える定番イベントだそうです(全部消してしまうと怪異現象が起こってしまうらしい)。
本編でこのイベントが描かれるのは初めてですが、以前から何度もこの百物語をやっているそうで、
あの怪異マニアの主人公・『榊』でさえネタ切れで困っているそうです(笑)。
で、話を戻して、羽織エピソード。
この話は、『榊』が子供の頃に医者の力で瀕死状態から直してもらったことがありまして、
その様子を見ていた『葛』という若侍が「医学って凄い」と感じたことから始まりました。
その後、その『葛』は、剣を捨てて医学の道を突き進むようになり、より医学を学ぶために長崎に
行くこととなったものの、以後の消息が途絶えてしまい、数年(数十年?)が経ってしまいます。
そんなある日、主人公・『榊』は、上方から来たという行商人から“羽織”を買います。
その“羽織”は『葛』が長崎に旅立つときに『医者の師匠』から貰ったモノでして、
湯灌場買い(死者を棺に納める前に死者の衣服を荼毘に付す前に商人が買い付ける)から
流れてきたもののようで、このことから『葛』が死んでしまっていたことが判明しました。
そのことに気付き悲しむ『榊』でしたが、何故か、その“羽織”から手が生えてきます。
ナント、その“羽織”に『葛』の念が宿ってしまったようで、妖怪となってまで『榊』たちがいる両国へ
帰ってくることとなったようです(笑)。
その後は、その“羽織”を『榊』が所有することとなり、便利な“羽織”として活躍、現在に至るようです。
このエピソードはこの作品らしくない良い話でして(笑)、この作者はこういうしんみりとした話が
書けることに驚きつつも、「あの羽織にはこんなエピソードがあったとは!」とも驚きました。
最近は、主人公達にスポットを当てた話よりも、周りの人々にスポットを当てた話が多いので、
個人的には、主人公ファンなので、この話は非常に面白く、楽しませてもらいました。
次巻も、こういうエピソードを読んでみたいです。
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【総評】
安定した出来。
作者のブログに、「もうそろそろ打ち切り(!)になるかもよ」というような言葉が書かれていたので、
恐らく、次巻あたりで終了となるのかな? 単行本が売れれば状況が変わるかもしれないそうですが
まあ、さすがにいきなり売れるようなことはないでしょうからね~。 面白い作品だとは思うですけど・・・。
点数的には
88点
です。
では、ここまで。