引きこもり6つの対応

 

お子さんがひきこもり状態にあるご家庭では、お子さんへの関わり方に悩みがあるのではないでしょうか。

 

「学校や仕事のことは言ってはいけない」「友達のことは話題にしてはいけない」と思い込まれているご家庭も多いです。従来の考え方とは異なるひきこもり対応について学んでいきましょう。

この記事でわかること

▶︎ひきこもりについて

▶︎従来の対応の問題点

▶︎ひきこもり対応6つのヒント

この記事を書いた人:なかがわひろか
▫️発達障がい・不登校・ひきこもり専門カウンセラー
▫️学校・PTA・自治体での不登校・ひきこもり講演多数
▫️何年、何十年にも渡るひきこもり対応の実績を持つ

 

▶︎ひきこもりとは

厚生労働省によるひきこもりの定義としては以下のように言われます。
"様々な要因の結果として社会的参加(義務教育を含む就学,非常勤職を含む就労,家庭外での交遊など)を回避し,原則的には6ヵ月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態(他者と交わらない形での外出をしていてもよい)を指す現象概念(厚生労働省)"
「他者と交わらない形での外出をしていてもよい」とされているのは、例えばコンビニなどには行く、ということを指します。ただし、友達と遊びに行く、という場合は他者との関わりになり、家庭外での交遊となりますので、当てはまりません。
 
つまり「ニート」と呼ばれる方とは厳密には異なると考えられます。ニートとひきこもりの大きな違いは「他者との関わりがあるかないか」になります。ニートは仕事はしないけれども、友達とは出かけたりします。ひきこもりは他者との関わりがほとんどない状態になります。
 
ただ「うちはひきこもりじゃなくてニートだから大丈夫」と思われるご家庭はないと思います。私の事業においてはひきこもりはニートも含みます。また家事手伝いなどのように、家庭の中で家事はやるけれど就労はできていない方で、かつ親御さんとして心配されているケースも含みます。
 

▶︎ひきこもりの何が問題か?

 
ひきこもりは「hikikomori」と海外でも訳されます。つまり日本発祥のものです。世界的にみても日本はひきこもりの最先進国と言っても過言ではありません。しかしそもそもですが、どうしてひきこもりは「問題視」されるのでしょうか?
 
一番の問題は、「親が亡き後の生活」です。ひきこもり生活を続けるということは、生活の糧を得る仕事をしない、ということにつながります。
 
親が生きている間は生活はできるかもしれません。しかし親世代の方が早く亡くなります。親がなくなってからの約数十年間をどうやって生活していくのか。生活保護を受給することも考えられますが、生活保護の受給要件は厳しくなってきている傾向があります。簡単に受給できるものでもありません。
 
今のままの生活を続けると、いずれ行き場を失ってしまうかもしれません。親が亡き後、誰も面倒を観てくれない状態になったとしても自立して生活していく基盤を整えられていないことが「問題」とされています。
 
「8050問題」と言われる、40代〜50代のお子さんを、70代〜80代の親御さんが貯金や年金で生活の面倒を観る状態があります。こちらでも一番に問題にされるのが「親が亡き後のお子さんの生活」なのです。
 
しかしながら、私はもっと大きな課題が存在していると考えています。それが「他者との関わり」です。
 
金銭面の課題ももちろん重大なものなのですが、例えば親に十分な財産がありそれを相続できるのなら、それでいいのか、と言われるとやはり違うと考えています。
 
いくらお金があったとしても、人との関わりが無いと、孤立感を持つことになります。1人で過ごすことが好きな方もいますが、1人を選ぶことと、1人になってしまうのは別の意味を持ちます。
 
「孤独」は選ぶことができます。しかし「孤立」は、そうならざるを得ない状態にまで追い込まれて起こるものになります。
 

他者との関わりを持つことができないこと。これがひきこもりにおける最大の課題なのです。

 

▶︎従来のひきこもり対応の問題点

 

 
「待つ」ことの弊害

 

「本人が動き出すのを待ちましょう」「お子さんを信じて待つことが何より大切」という言葉がこれまでのひきこもり対応で言われてきました。
 
しかしながら、「待つ」ということが、お子さんのひきこもりの長期化につながる要因の一つにもなっています。
 
以下の図をご覧ください。私が「ひきこもりスパイラル」と名付けているものです。
 
ひきこもりスパイラル概念図
 
退職をしたこと、退学したことなどをきっかけにひきこもりが始まります。やがて時間が過ぎ、年単位のひきこもりが続きます。時間が経つことで、より一層就学・就労の壁が高くなります。躊躇している間にまた時間が経ち、さらに長期化していきます。
 
「待つ」対応をしていても、お子さんの外の世界に出るハードルは高くなる一方です。ひきこもり対応において「待つ」ことは、適切な対応とは言えないのです。
 
 

「タブー(禁句)があると思い込むことの」の弊害

「仕事や学校の話はしてはいけない」「同級生の話をしてはいけない」というように「言ってはならない、話題にしてはならない禁句(タブー)を口にしてはならない」と言われることもあります。

 

そのため心の内では「仕事はどう考えているんだろう」「これからのことはどうするつもりなのだろう」「早く働いてほしい」と思っているのに、表に出る言葉はそのことを一切口にしないようになります。つまり心の内と表に出ることが異なってくるのです。

 

お子さんは、親の心の内を常に推測しています。「ゆっくりしたらいいよ」と言われても「本当は早く働けと思っているのだろう」と疑います。些細なことをきっかけに起こる喧嘩の中で思わず「いつまでこうしているんだ!」と言われたら「ほら、やっぱり心の中では働けと思っていたのだ」と感じます。

 

タブーを設定してしまうことは、お子さんとの対話をぎこちなくさせ、疑心暗鬼を生む要因となるのです。

 

 

「働く以外の人生もある」と考えることの弊害

専門家の中にも「働く以外の生き方もある」と悟す人がいます。確かに人の生き方は多様です。その生き方に良いも悪いもありません。

 

しかしながら、現実問題として、生活していくための糧を得ることは必要なことです。糧を得られないのに「働かなくていい」というのは無責任な言葉です。借金をせずとも自己の生活が成り立つようにしていくこと。やはり生きていく上で必要な考え方です。

 

またご本人も、周りの人たちと同じように働きたいと思っている方が多いです。社会の役に立ちたいという思いも持っています。私はひきこもり対応の目標の中に「就労」を入れることはとても大切なことだと考えています(働かない生き方を選ぶ方を否定しているわけではない、という点はご留意ください)。

 

 

▶︎対応に必要な5つのポイント

ここからは、ひきこもり対応における5つのポイントについてお伝えします。
 

1. 関わりを持つようにする

 

ひきこもり状態が長期化した場合「子どもと話をすることすらできない」状態になられているご家庭もあります。

 

食事は部屋、もしくは家族と時間をずらして食べる、昼夜逆転をしているなどですれ違いの生活になります。

 

ただお子さんと話をするチャンスは、お子さんからやってくるわけではありません。親御さんから行かない限り、その機会は生まれなくなります。

 

 

こちらが親の関わりの重要性の概念図です。ひきこもり状態になると、それまでの生活と比べて、関わる人の度合いにおいて、親の比重が高まります。ほぼ100%と言っても過言ではありません。

 

つまり親の関わりがないと、生身の人間との関わりが全くなくなってしまうことになります。人は孤立していくと、考え方が極端な思考に偏るようになります。ネットやテレビの情報に簡単に左右されるようになり、自分の考えを持つことが難しくなるのです。

 

「ひきこもりは親のせいだ」という意見もありますが、私はそれには賛同しません。ひきこもりのきっかけやその背景は簡単に一つの理由に絞れるものではないためです。

 

ただ「ひきこもりの長期化」においては親御さんの働きはとても重要な影響を与えています。まずは日々の挨拶からでも良いので、関わろうとする姿勢を見せることがスタートになります。

 

 

2. 対話の「3つの力」を重視する

 

関わりを持つことができたとしても、高圧的に関わったり、また王様に対応するかのように腫れ物に触れるように関わるのはどちらも間違いです。

 

傾聴する気持ちを持ちつつ、次の3つの力を重視するようにしてみましょう。

 

対話力に必要な3つの力
 

「受容力」

対話の基本中の基本となるものです。対話に行き違いが起こるとき、その原因は「受容ができていない」ことにあります。それぞれがお互いの主張を言い合うようになり、そこに行き違いが起こります。

 

こちらの意見を伝えるのは後回しにして、まずお子さんの思いを「受容する」ことです。「なるほどそういうふうに考えているんだね」というように、どんな意見を言ったとしてもまず受けるのです。

 

人は「話を聴いてくれる人の意見を聴く」生き物です。その代わり、聴いてくれない、受け入れてくれないと感じると攻撃的になってしまうのです。

 

 

「共感力」

まず「受ける」ことがあった上で、共感を示すことも重要です。お子さんの感情を表す言葉「悲しい、辛い、苦しい」という言葉を伝え返すようにします。
 
気持ちをわかってもらえたと感じられたときに、安心感を得ることができます。安心があって初めて冷静に自分のことを考えられるようになります。
 
ただ、どうしても共感できない部分も出てきます。そのときに「私はこう思う」と意見を伝えていいものか悩まれるのではないでしょうか。そこで必要になるのが「率直力」です。
 
 

「率直力」

自分が感じている思いを率直に伝える力です。「私はこう思うよ」と親として、1人の人間として思っていること、考えていることを伝えます。世間の一般論であったり、誰かの受け売りではない、ご自身の思いを伝えることが重要です。
 
この率直力のところが誤解されやすいところです。「傾聴するためには、自分の意見を言ってはならない」と思い込まれている方が多いです。もちろんそんなことはありません。
 
きつい言い方など言い方は配慮する必要がありますが、ちゃんと聴いた上であれば、むしろ率直に親が思っている意見は伝えるようにしましょう。ただ一方的ではなく「私はこう思うけれど、あなたはどう?」とまたボールを投げ返すようなイメージで確認も取るようにしましょう。
 

3. 仕事や学校、将来の話もする

 
 
ひきこもりの対応において、将来の話をタブーにされているご家庭も多いと思います。しかしそれではいつまで経っても将来について考えるきっかけを得ることができなくなります。
 
また口では「ゆっくりしたらいいよ」と言っても、お子さんは「本当は働けと思っているのだろう」と疑います。親子がお互いに腹の内を探りながらになると、それは本音を話せる間柄になれていないということになります。
 
腹の探り合いが必要なのではありません。お互いに思っていることを率直に言い合い、聞き合うことが重要なのです。
 
2.であげた対話のポイントを押さえた上で、親御さんとして心配されているのであれば、仕事や将来の話もしましょう。
 
ただお子さんが明らかに嫌そうな態度を取ったり、苦しそうな顔つきをした際は「まだこの話は嫌かな?」とお子さんの思いを確認しましょう。そして「何が苦しめているのか、一緒に考えてみようか」と「一緒に」を強調してみましょう。将来のことについての不安や苦しみを話してくれるかもしれません。そんな気持ちを話せることは、お子さんにとっても安心感につながります。
 
仕事や将来の話をきっかけはお子さんが抱えている葛藤を知る機会にもなります。お子さんの思いを「聴く」という前提に立ちながら、親の意見も伝えるようにしましょう。
 

4. お子さんの生活に「合わせない」

 
 
ひきこもり状態が続くと、昼夜逆転が起こることが多くなります。親がいる時間を避けようと、家族が起きてくる朝方に寝て、家族が寝静まる夜中を生活のメインの時間帯にするようになります。
 
こうなるとよく起こるのが「お子さんの生活に親が合わせてしまう問題」です。朝は子どもが寝ているから、静かに朝の準備をして、物音を立てずに仕事に出かけます。休みの日もお子さんが寝ているからと、掃除機もかけられず、息を潜めて生活されます。
 
これはひきこもりの生活に家族が合わせてしまっている状態です。これの何が良くないかというと、「お子さんが家族の最上位に来ている状態」だからです。つまり家族の中で王様のような扱いを受けている状態です。
 
この状態になると、お子さんの振る舞いはエスカレートしていきます。やがて暴言、暴力を振るうようになり、家族を意のままにしようとします。
 
しかし一歩外の世界に出ると、誰も自分の思うように動いてはくれません。家の中と外に明確な違いが出来上がることになります。この状態になるとお子さんはより一層外の世界に出ることが怖くなります。
 
お子さんが昼夜逆転の生活をしていても、家族はその生活に合わせないようにします。掃除をしても、テレビを観ても構いません。それをお子さんがうるさい、と言うのであれば、お子さんの方が家族の生活に合わせるようにするように伝えます。
 
お子さんに嫌がらせをしろ、ということではありません。あくまでご家族は、家族の生活を大事にするようにしましょう。
 

5. 暴力には厳しく対応する

 
 
ひきこもり中のお子さんの中には、家族に対して暴力を振るったり、壁を蹴って穴を開けたりという行為をする場合があります。
 
暴力には徹底して厳しく対応する必要があります。4.の生活に合わせないことにも関連するのですが、暴力を受け入れてしまうと、お子さんの振る舞いはよりエスカレートしてしまうのです。そのことにより、家の中と外との大きな壁が生じるようになります。外の世界では誰も自分の言うことを聞いてはくれないからです。
 
暴力を振るわれたら(それがどれだけ些細なものであっても)、「絶対に許さない」という姿勢が必要です。ひどい場合には警察を呼ぶことや、親御さんが家を出て生活することも必要になります。
 
「暴力を振るったら、ここまで大変なことになる」ことをお子さんが理解することが必要となります。
 
ただし、暴力にはお子さんの思いがあるのもまた事実です。言いようの不安や怒りが家族の一番弱い人(多くは母親)に向かいます。その思いを受け止めることは必要です。
 
暴力は受け止めず、キッパリと対応し、お子さんの抱える思いは受け容れるようにしていきます。
 

6. 特性を理解する

 
ひきこもりの場合に見落とされがちな点が「発達障がい」です。発達障がいにはASD(自閉スペクトラム症)・ADHD(注意欠如多動症)・SLD(限局性学習症)が存在し、併発している場合もあります。
 
人間関係がうまくいかないことを理由に引きこもりが始まることもありますが、その背景には実は発達障がいが隠れていたということもあります。
 
お子さんの特性を知ることで、得意、不得意が見えてくるようになります。得意を活かし、できるだけ不得意を避けていくこと(もしくは改善できるようにしていくこと)が、お子さんがより生きやすくしていくために必要ことです。
 
発達障がいについてはこちらにもまとめているので、ぜひご参考ください。
 

▶︎「普通の家庭だったらやること」をやる

 
 
ここまでひきこもりの対応についてポイントを述べてきました。キーワードは「やってはいけないと思い込まないこと」です。むしろお子さんとの関わりを大事にしていきます。
 
「もしお子さんがひきこもりでなかったらやることは、やっていいことです」と日々のカウンセリングの中でお伝えすることがあります。
 
「将来の話をしてもいいだろうか?」「ドライブや買い物に誘っていいだろうか?」「好きなテレビ番組を一緒に観てもいいだろうか?」「ご飯を一緒に食べようと誘ってもいいだろうか?」どれも、お子さんがひきこもりでなかったら、当たり前にやることではないでしょうか。
 
理想の家族は、傾聴や対話法など意識せずとも、言いたいことを言い合えることです。ある暴力がひどいご家庭がありましたが、暴力がやみ、親子の関係が修復されてきた頃にこんな対話がありました。

 

子:「なんであの書類を出してくれなかっの!!」
母:「そんなの知らない。自分で管理しないのが悪いでしょ!!」
子:「もう最悪!!本当にムカつく!!!」
母:「こっちこそ腹たつよ!ところでご飯できたら早くおいで」
子:黙って食卓につく

 

言い合いをしても「ご飯できたら食べなさい」と言ったら黙って食卓につく。傾聴や対話法など無視したやり取りですが、ここには親子だからこそできる関係性があります。
 
目指す関係はこのような関係だと思うのです。しかし今の時点では、この関係は難しいと思います。ここに至るまでのプロセスの中に対話法を学んだり、お子さんとの関係性を見直すということが存在します。
 
いつか小難しいことを気にしなくても、言いたいことを言い合って、喧嘩しながらもやり取りができるようにしていくことが、本当の意味での親子のゴールなのです。
 
\お役立ちメルマガ登録はこちらからです/

なかがわひろか メルマガ登録

 

▶︎迷ったら一度ご相談ください

 

ひきこもりの対応は迷うことばかりです。考えすぎて、当たり前の対話ができなくなるご家庭は多いです。

 

従来の「お子さんが動き出すまで待つ」ことは弊害が多いです。待つことが必要な時期もありますが、関わりを持った上で待つことが重要なのです。

 

お子さんとの対応に迷っている方、また今のやり方に客観的なアドバイスを求めていらっしゃる方はぜひ一度当事業所にご相談ください。お子さん、そしてご家族にとって最適な方法を考えていきましょう。

 

\無料カウンセリングは👇からどうぞ/

なかがわひろか 無料カウンセリング

 

 

■プロフィール■
プロフィール写真

■略歴:
中学時代に不登校を経験。その後学校復帰。関西学院大学に合格する。大学卒業後、人材紹介会社にてマーケティング・人事を経験。

 

あるひきこもりの青年に出会ったことから、起業を決意し、専門的なカウンセリング・学習サポートを行うOFFICE NAKAGAWAを2011年2月に設立。公認心理師、産業カウンセラーの資格を有する。

 

ひきこもりや不登校、発達障がいのご当人、並びにご家族のカウンセリング、学習サポートを行う。PTA、学校関係、行政関係など講演も行う。

\ブログではお役立ち情報をお届けしています!/

フォローしてね

  

【LINE公式はこちらです!】

\ひきこもりや不登校に関するお役立ち情報をお送りしています。/

無料小冊子をプレゼント中です!

 

よく読まれているブログ

 

 

 

 

親の発達障がい受容 11の段階

 

ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如・多動症)、SLD(限局性学習症)などが「発達障がい(神経発達症)」の代表的なものとされます。

 

もし皆さんのお子さんが発達障がいと診断されたら。すぐにそのことを受け入れられるでしょうか。きっと私なら時間がかかります。親御さんが障がい受容に至るまでの段階にはどのようなものがあるでしょうか。今日はこのことについて見ていきましょう。

 

この記事でわかること

▶︎子どもが診断されたときの親の心理

▶︎親の障がい受容11の段階

▶︎これからの向き合い方

この記事を書いた人:なかがわひろか
▫️発達障がい・不登校・ひきこもり専門カウンセラー
▫️学校・PTA・自治体での不登校・ひきこもり講演多数
▫️子どもから大人までの発達障がい全般に関わる

 

▶︎もしお子さんが発達症がいと診断されたら

発達障がいにはいくつかの種類がありますが、代表的なものは以下の3つになります。
 
発達障がいの種類
この20年ほどで、発達障がいの概念はだいぶ浸透はしてきましたが、細かい分類となるとまだまだ知られていません。
 
例えばASDとADHDでもその特性は異なりますし、同じASDでも人によって特性が異なります。私たち一人ひとりの人間がそれぞれ異なるのと同じく、です。そのためここに書かれている特性もあくまで代表的なものになります。
 

 

 

最初の気づき:定期健診

発達障がいの有無については、多くは定期健診で気づかれることが多いです。法定健診として1歳半健診、3歳児健診があります。

 

特性が強いお子さんの場合は、小さい頃から症状が出ることが多いため、気づかれやすくなります。他にも保育園や子ども園などで集団生活を送る中で気づかれる場合もあります。

 

 
学校での気づき

定期健診で問題がないと判断されたとしても、学齢期になってから、課題が出てくることもあります。

 

例えば友達関係で、友達が嫌がることを執拗にしてしまったり、授業中に立ち回ったり、ときに友達を傷つけてしまうことが起こります。

 

SLD(限局性学習症)については、授業が開始されてからでないと、読み書きをする機会が少ないため気づかれにくくなります。

 

小学校に入ってから、学校からの指摘で検査を受け、診断を受けることもあります。健診で何も言われなかったから発達障がいがない、とは言い切れないことになります。

 

 

大人発達障がいは見過ごされていることがある

大人の場合は、小さい頃に発達障がいの認識が広まっておらず、認識されないまま大人になり、近年になってから実は障がいを抱えていたということがあります。
 
働き出してから、周りのとのコミュニケーションがうまく取れなかったり、不注意から忘れ物やミスが多くなることで、気づくことがあります。

▶︎親の心理

 

お子さんが小学校の場合、学校からの連絡で初めて友達に危険な行為をしてしまっていることを親御さんが知ることもあります。

 

家庭の中ではある程度統制された生活を行ったり、同年代の人がいない場合は、危険な行為を目にすることもありません。

 

しかし集団生活の中に身を置くと、課題が目立つようになります。親御さんの心理としては学校から指摘されて「まさか」という思いもあれば「やっぱり」という思いも入り混じった思いを抱くことになります。

 

学校側から専門家の助言をもらってほしい、通院してほしいと言われても、すぐには受け止められないこともあります。

 

しかしそれは当たり前の反応です。誰とて自分のことを障がいがあると言われたら混乱しますし、ましてそれがお子さんのことなら尚更です。ネットの情報などで「もしかして」と思っていたとしても、実際に直面すると頭では分かっていても気持ちは追いついてきません。

 

障がい受容は、このような混乱の状態から始まることになります。

 

▶︎親の障がい受容11の段階(「わが子が発達障害と診断されたら」を改)

実際にお子さんが発達障がいと診断されたとき、保護者の方はどのような心理を経ていくでしょうか。個人差はありますが、概ね以下のような流れを取ると言われます。

 

【親の障がい受容 11の段階】

 

1. 精神的打撃と麻痺の状態

発達障がいと診断されることで「まさか我が子が…」という思いからショックを受け、一時的に現実的な思考が麻痺する状態です。頭が真っ白になり、医師の言葉なども入ってこなくなります。

 

 

2. 否認

自分の子どもに「障がいがあるはずがない」と思い、診断が間違っていると信じようとします。発達障がいの項目に当てはまらない要素を探し出し、周りの人(非専門家)にも確認行為を行うこともあります。

 

 

3. パニック

時間が経つにつれ、発達障がいであることから目を背けることができなくなり、自暴自棄な状態になります。

 

 

4. 怒りと不当感

パニック状態が落ち着いてくると、「どうして自分たちだけがこんな目に遭わないといけないのか」と怒りの感情を持ち、不平等な苦しみを負わされたという不当感が強くなります。

 

 

5. 敵意と恨み

障がいを持たない他の家族に対し、不明確な嫉妬や羨望、そして敵意や恨みという感情の処理に苦しむ状態になります。頭では分かっていても、感情が追いついてこない状態です。

 

 

6. 罪意識

問題を直視することが進み、気持ちが冷静になってくると、自分のせいで障がいを持つことになったと感じるようになります。因果関係が不明なもの(妊娠中の飲酒や喫煙、過労や服薬など)を振り返り、「あのときの行為が原因ではないか」と苦悩します。

 

 

7. 孤独感・抑うつ感情

自分たちだけが社会から孤立しているような思いになり、また誰にも自分のことを理解されないという思いから孤独感を持ち、抑うつ状態になることもあります。周囲の援助が特に必要な時期とされます。

 

 

8. 精神的混乱とアパシー(無欲・無関心)

孤独や抑うつ感と同様の感情で、日常生活における目標を見失ったような空虚な気持ちになり、何もやる気が起こらない状態になります。この時期においても周囲の援助が必要とされます。

 

 

9. あきらめから受容

この場合の「あきらめ」は人生をあきらめるということではなく、「現実からの直視から逃げ、根拠のない希望にすがること」をあきらめる時期です。ネガティブな感情ではなく、本格的な受容につながる態度であると言えます。

 

 

10. 新しい希望・そしてユーモアと笑いの再発見

障がいがあることを受容し、その特性を「笑い」に変えることができる時期です。障がいを受け入れた上で、どう付き合っていくかについて考えられる時期でもあります。

 

 

11. 新しいアイデンティティの誕生

障がいと付き合うための新しい価値観やより成熟した人格を持つ状態になります。障がいへの理解が進み、周囲の人にも理解してもらえるようにと積極的な働きかけができる時期になります。

 

▶︎親が相談できる場所を持つ

 

 

お子さんが発達障がいの診断を受けたことで、多くの親御さんは「自分の子は他の子と違うのだ」と感じるようになります。そのため、ママ友・パパ友との付き合いが減り、親御さんご自身が孤立することがあります。親が孤立することで、ひいては家族そのものが孤立してしまうこともあります。

 

しかしながら、現在はみなさんがお住まいの地域にも、障がいを持つお子さんの親御さんたちが集まる場所であったり、無料で相談できる子どもセンターや発達障がいを持つ子の親御さんが集まる親の会などが設置されています。

 

最初は腰が重いかもしれませんが、こういった場所に参加することで、適切なアドバイスを得、お子さんの進路についても建設的に考える機会になります。

 

発達障がいの研究は日々進んでおり、行きつ戻りつを繰り返しながら、進歩しています。専門家とのタテの繋がりだけでなく、親同士の「ヨコ」のつながりを持つことで、情報を得られるようになります。

 

障がいを持つお子さんの親御さんにとって役立つ機関を見てみましょう。

 

▶︎発達障がいについて相談できる場所

 

発達障害者支援センター

発達障がいを抱える方への総合的な支援を行う機関です。「総合的」というのは、医療だけでなく福祉や、教育、労働環境などの分野からサポートするということになります。

 

学校に通っている間だけでなく、働くことの相談もできる機関になります。

 

【各地域の発達障害者支援センターの連絡先はこちらからどうぞ】

 

 

児童発達支援センター

地域の障がいのある児童に対し、日常生活や、自活、集団生活の適応のための訓練を行う通所型の施設です。

 

 

 

放課後デイサービス

児童福祉法に基づく福祉サービスで、障がいを抱えるお子さん(6歳〜18歳)までが利用できる通所支援サービスです。放課後や、長期休暇に利用することができます。

 

利用料金がかかりますが、自治体が発行する受給者証を取得することで、利用料の9割が給付されます(所得によります)。

 

【放課後デイサービスのガイドライン(厚生労働省)はこちらです】

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000082829.pdf

 

 

親の会

発達障がいを抱えるお子さんの親御さんたちが集まり結成されている会です。専門家ではない「ヨコ」のつながりを作ることのできる場所になります。

 

親の悩みを話したり、イベントを企画しているところが多いです。地域の親の会を検索してみると、いくつか出てくるかと思います。

 

参加することはハードルが高いと感じられる方も多いですが、同じような悩みを持っている方とのふれあいは、安心感にもつながります。専門家の情報や進学、就職の実体験の話も聞くことができる貴重な場所となります。

 

 

病院

診断を受ける場合、必ず病院と関わりを持つことになります。専門的なアドバイスをもらうこともできますし、薬を処方される場合、服用方法などの助言もしてもらえます。病院を通して親の会や福祉サービスを紹介してくれることもあります。

 

 

スクールカウンセリング

学校に所属されている場合、スクールカウンセラーが派遣されていることが多いです。週に1回から月に1回相談日が設けられています。学校での生活について、先生方とも関わってくれる存在です。無料で活用できますので、ぜひ一度利用してみましょう。

 

学校に連絡すれば、相談日時を調整してくれます。

 

 

民間のカウンセリング

私のような立場がここに属します。費用はかかりますが、より専門的なアドバイスを得ることができます。公的な相談機関はカウンセラーの異動などがあることが多いですが、民間はその頻度が少ないというメリットがあります。

 

信頼できる先生と長く付き合うことができ、安心して相談できる場所になります。

 

▶︎「依存先を増やしながら」向き合っていく

 

「自立とは、依存先を増やすこと」

 

私が大事にしている言葉です。小児科医の熊谷晋一郎さんの言葉です。熊谷さんは、脳性麻痺を持ちながら、東大に進み医師になられた方です。

 

お子さんが発達障がいの診断を受けると、親御さんは「どうして自分たちだけが…」という思いになられます。

 

ご自身だけで抱え込んでしまい、追い詰められてしまうこともあります。しかしながら、周りを見渡すと、サポート機関がいくつか存在しています。無料で利用できる場所もあります。

 

そういった機関を上手に活用しながら、つまり「依存先を増やしながら」お子さんと向き合っていくことが大切なことになります。

 

親御さんが上手にサポートを受けることができると、お子さんもそれが当たり前になります。自立とは1人で何でもできるようになることではありません。自分が苦手なことは手伝ってもらう。そして自分が得意なことは手伝っていく。こういったやりとりを行うことが本当の自立になります。

 

お子さんが将来的に丈夫に人を頼れるようにするためにも、まずは親御さんから頼ることを始めてみましょう。

 
\お役立ちメルマガ登録はこちらからです/

なかがわひろか メルマガ登録

 

▶︎迷ったらご相談ください

私もみなさんの力になれる「依存先」の一つです。お子さんの対応に迷われたり、悩まれる方は、一度無料カウンセリングをご利用ください。どうしていいかわからない、そんな方のためにOFFICE NAKAGAWAは存在します。

 

お子さんの今、そしてこれからを一緒に考えていきましょう。

 

\無料カウンセリングは👇からどうぞ/

なかがわひろか 無料カウンセリング

 

■お問い合わせ■
プロフィール写真

■略歴:
中学時代に不登校を経験。その後学校復帰。関西学院大学に合格する。大学卒業後、人材紹介会社にてマーケティング・人事を経験。

 

あるひきこもりの青年に出会ったことから、起業を決意し、専門的なカウンセリング・学習サポートを行うOFFICE NAKAGAWAを2011年2月に設立。公認心理師、産業カウンセラーの資格を有する。

 

ひきこもりや不登校、発達障がいのご当人、並びにご家族のカウンセリング、学習サポートを行う。PTA、学校関係、行政関係など講演も行う。

\フォローはこちらからです!/

フォローしてね

  

【LINE公式はこちらです!】

\ひきこもりや不登校に関するお役立ち情報をお送りしています。/

無料小冊子をプレゼント中です!

 

よく読まれているブログ

 

 

 

 

8月も中盤を過ぎ、もうすぐ2学期が始まろうとしています。不登校中の子どもたちに限らず、もうすぐ学校生活が再開することで、気持ちが落ち込んでしまうことがあります。2学期に向けて対応のヒントについてお届けします。

 

この記事でわかること

▶︎2学期を前にした子どもたちの心理

▶︎対応のヒント8

▶︎2学期に向けて気にかけておくこと

この記事を書いた人:なかがわひろか
▫️発達障がい・不登校・ひきこもり専門カウンセラー
▫️学校・PTA・自治体での不登校・ひきこもり講演多数
▫️何年、何十年にも渡るひきこもり対応の実績を持つ

 

▶︎不登校にとっての夏休み

 
 
不登校を経験している子どもたちにとって、夏休みなどの大型の休みは「やっと休むことができる期間」になります。
 
「毎日休んでいるのだから、夏休みみたいなものではないのか?」と周りは思うかもしれません。
 
しかしそれは違います。
 
同級生が学校に行っている間、自分は学校に行くことができません。好きなことをやっていたとしても、心から楽しむことができません。頭のどこかで「でも他の子は学校に行っているんだよな」と考えてしまうからです。
 
しかし、夏休みは「みんなが休み」です。他の子たちも学校には行きません。部活動に行く子はいますが、全員ではないですし、時間も半日くらいです。街を歩いていても「なんでこんな時間に学生が歩いているの?」と思われることもありません。
 
やっと、心から「休める」のが長期の休み期間なのです。そのため、夏休みになると、元気を取り戻してくる子どもたちも多いのです。キャンプに行ったり、BBQをしたり、友達と積極的に遊ぶこともあります。場合によっては、夏休みの課題も少し取り組むこともあります。
 
夏休みは比較的充実して過ごすことができるため、本人としても「2学期からは学校に行ける」という思いも抱きます。そしてそれは家族も同様です。
 

▶︎2学期を前にした心理状態

 
しかしながら、もうすぐ夏休みが終わろうとする今頃の時期になると、様子が変わってきます。
 
口数が減り、朝起きるのが遅くなります。食欲が落ちたり、楽しく取り組んでいたことをやらなくなったり、イライラして怒りやすくなったりします。不登校が始まり出したのと同じようなことが起こるようになります。
 
夏休みの前半は「2学期からは行ける!」と思っていたのが、実際に日が近づいてくると「やっぱり行けない……」という思いが強くなってきます。
 
周りからも「夏休みは元気だったのに、また行けないの?」と思われるかもしれないということもわかっています。自分に負い目があるからこそ怒りっぽくもなります。
 
想像していたのと、実際にそのとき(学校が始まる日)が来るのは違います。現実を認識するようになるからこそ、気持ちが落ち込んでいくのです。

▶︎2学期の初日は誰もが気持ちが落ち込みやすくなる

 
夏休み明けの9月1日が、18歳以下の自殺者が増える(文部科学省)と言われて久しいです。新しい年度が始まる4月の上旬も多くなりがちなのですが、9月1日は、そこからさらに1.4倍ほど数が増えます。
 
不登校を経験している子どもたちだけでなく、多くの子どもたちにとって、夏休み明けは気持ちが落ち込みやすくなる時期です。
 
「子どもが落ち込まないようにしたい」というのは親の願いだと思います。ただこの時期は、長く気楽な休みが終わり、また学校生活が始まることで、憂鬱な気持ちになることが十分に起こりうる、という理解が必要になります。
 
落ち込みやすくなる、ということを前提に、残りの夏休みの過ごし方について、また2学期の始め方について考えてみましょう。
 

▶︎2学期に向けての対応のヒント

 
 

1. 気持ちが憂鬱になることを想定しておく

対応においてまず大切になるのが「憂鬱になるのは必ず起こる」と心づもりしておくことです。
 
夏休みを充実して過ごしているのを見ると、親としてはそれが当たり前になります。それが2学期が近づいてくると落ち込んでしまうと「あれだけ楽しそうだったのに……」と困惑すると思います。
 
その困惑がお子さんを追及してしまうことにもつながります。
 
お子さんが夏休みにどれだけ元気に過ごしていたとしても、夏休みが明けようとすると気持ちが落ち込みがちになるということは想定しておきましょう。あらかじめ心づもりしておくだけでも、困惑度合いが減ります。
 
 

2. 今抱えている不安を受け止める

どんなときでも同じなのですが、不安を感じている子どもたちは、その不安を1人で抱えることに苦しさを感じています。

 

まずその思いを外に出してもらうことが重要です。

 

どうして話すことが必要か?話すことで、自分の気持ちを整理することができるからです。皆さんもお友達などに悩みを話すとき、話しながら、課題が整理された経験があると思います。

 

その整理のためには、お子さんの思いを「受け止める」ことが必要になります。「気持ちを受けてくれる」ということがあって初めて、安心して話すことができるからです。

 

【お子さんの話の聴き方についてはこちら👇もご覧ください】

 

 

3. 生活リズムを大きく崩さない

 
気持ちが落ち込んでくると、朝起きるのが億劫になり、リズムが乱れやすくなります。ある程度時間がずれるのは許容範囲として受け止めつつ、大きくずれないように気をつけます。
 
学校に通うためにリズムを崩さないのではなく、体調を管理するためのものです。生活リズムが崩れてしまうと、心も乱れやすくなります。ただでさえ落ち込んでいる気持ちがさらに沈みやすくなります。
 
変な言い方に聞こえるかもしれませんが「安定して落ち込むこと」が必要なのです。そのために基礎的な体力の維持が大事になります。
 
あくまで「大きく」崩さなければいいので、夜22時に寝て、朝6時に起きないといけないとは思わなくて大丈夫です。
 
前後2時間程度のズレは許容範囲です。起きる時間が9〜10時頃になっても構いません。ただそれより遅くなると寝る時間が遅くなりリズムが狂い出すので、目安としては遅くとも9時か10時くらいには起きるというイメージを持っておきましょう。
 
9時に起きることができれば、夜も12時くらいには寝られると思います。大きくリズムを崩すことなく過ごせるでしょう。
 
 

4. 活動し過ぎないようにする

夏休みはできるだけ活動的に過ごしてほしいと思います。ただ終わりに近づいてきたら、気持ちが落ち込むこともあるので、やり過ぎないように調整しましょう。
 
身体までしんどくなると、余計に沈んでしまうものです。好きなことを程よくやりつつ、を意識します。
 
買い物に行ったら翌日と翌々日は休む、くらいのペースがいいでしょう。
 
 

5. 宿題は先生と協議する

 
夏休みといえば宿題です。不登校を経験している子どもたちにとっては、授業に参加していない分、宿題は難しくなります。
 
宿題が終わっていないことに悩む子どもたちもいます。やるべきことをやれていないと人は多大なストレスを受けます。
 
とはいえ残り少ない日数で全部終えるのは厳しいと思います。ここは親御さんを頼りましょう。先生と話し合ってもらって、できないものもある、ということを伝えてもらいましょう。
 
 

6. 無理に行こうとは考えない

不登校を経験している子どもたちの多くは「学校は行かないといけない」という思いを強く持っていると言えます。

 

周りも「2学期からは行けるんじゃない?」と無言のプレッシャーを与えがちですが、夏休みを元気に過ごせるのは先にお伝えしたように「みんなが休みだから」です。心から元気になったからということではありません。夏休みがイレギュラーな状態である、ということは周りの理解として必要になります。

 

ご本人が「2学期からは行けるようになりたい」という場合は別ですが、無理に、ということは本人もしない、周りもしないようにします。

 

 

7. 教室に入る練習を行う

ここからは「2学期からは学校に行きたい」とお子さんが思っている場合の方法についてお伝えします。
 
休みの間(夏休みが明ける1週間ほど前くらい)に、担任の先生と連絡を取り「教室に入る(もしくは保健室、別室、または校門)練習」を提案してみましょう。
 
まずは教室の前まで行き、気持ちが落ち着くのを待ちます。それから教室に入る、という練習です。
 
不登校を経験しているお子さんにとって、学校に行く、つまり教室に入るのは非常に勇気がいるものです。入ろうとすると不安感が急激に高まっていくでしょう。
 
しかし不安感、恐怖感というのは、時間と共に薄れていきます。10分、20分と時間が経つにつれて、だんだんと落ち着いてきます。
 
このような不安感が「下がる」体験をしてみるのです。「学校は不安だ」という状態から、「学校に行くのは不安だけど、不安はいずれ落ち着く」ということを経験するのです。
 
夏休みというまだ学校に生徒さんが来ていない状態のときに、この練習をやってみることをおすすめします。
 
【不安感は時間と共に減っていく】不安は長く続かない
 
 
8. 行けるようになったとしても「休みながら行く」

お子さんによっては、始業式に行ける方もいると思います。最初ができると「もっとできる!」と気負ってしまうことがあります。しかしそれだとまた続かなくなるでしょう。

 

1日行ったら、2日休む、金曜日の6時間目だけ行く、給食だけ行く、というように「休むことを前提に通う」ことを意識するようにしましょう。

 

社会人も同じです。メンタルダウンで休職した方は、まずはリハビリ出社から行います。最初は午前だけ、徐々に午後も、徐々にフルタイム、という形です。

 

子どもたちも同じです。極端な話「1日行ったら2日休みなさい!」と強制的に休みを取らせてもいいくらいです。その方が「もっと行きたいのに」「もっとやれるのに」という思いを持続させることができるでしょう。

 

止めても止めても「行く!」となったとき、それはお子さんが学校に本格的に復帰する時期です。この言葉が出てくるまでは、しっかりと休みを取りながら、「たまに学校に行く」くらいの気持ちを大事にしましょう。

 

▶︎親御さんが学校に向けて用意しておくこと

 
 
親御さんに2学期が始まるにあたり、準備しておくと良いと考えるものは、「夏休みの様子」簡単にまとめておくことです。
 
毎日の日記にすると先生方やスクールカウンセラーの方が読むのが大変なので、おおまかにおおよそA4用紙1〜2枚くらいに様子をまとめます。

 

【まとめておく内容】
1. 夏休み行った体験(キャンプやBBQなど)
2. 全体的な生活リズム
3. 夏休み前と終わり頃に気づいた変化
4. 2学期を前にした心境
5. 2学期からの対応について
特に5. の2学期からの対応については、もう少し行けるような流れを取りたいのか、それとも継続して休ませることを大事にしたいのか親御さんの考えも伝えるようにします。
 
口頭で伝えることもできますが、全ての内容を覚えるのは至難の業です。また先生たちの中で情報を共有する際に、聞いた話をまとめるのは先生たちも大変になります。
 
長すぎず、簡潔にまとめたものをお渡しになるといいです。
 

▶︎2学期だからと言って気負いすぎない

 
2学期から再スタートという思いは、お子さんも、親御さんも、そして先生も誰しも思うことです。
 
しかしながら、間に夏休みがあっただけで、学校生活には変わりはありません。節目だからといって気持ちが簡単に変わるわけでもありません。
 
学校とも連携を取りながら、無理はさせないことが肝要です。むしろ夏休みを楽しく過ごせたなら、それが何よりです。少しでもお子さんが元気になる時間を作ることができたのなら、夏休みは大きくその役割を果たしたことになります。
 
新学期だからといって、無理をさせられなかった、ということが、子どもたちの安心につながり、学期の途中から通い出す、ということもあります。あまり気負いすぎないことが大事です。
 

▶︎残りの夏休みの過ごし方のご相談

 
ここから2学期に向けて、お子さんの対応に悩まれる親御さんも多いと思います。お一人で悩まれているときは、一度無料カウンセリングをご利用ください。
 
課題を一緒に整理するだけでも、方向性が見えてきます。「こんなことを相談してもいいのだろうか?」と思うことでも気になさらずお声がけくださいね。
 

\無料カウンセリングは👇からどうぞ/

なかがわひろか 無料カウンセリング

 

■プロフィール■
プロフィール写真

■略歴:
中学時代に不登校を経験。その後学校復帰。関西学院大学卒業後、人材紹介会社にてマーケティング・人事を経験。

 

あるひきこもりの青年に出会ったことから、起業を決意し、専門的なカウンセリング・学習サポートを行うOFFICE NAKAGAWAを2011年2月に設立。公認心理師、産業カウンセラーの資格を有する。現在大阪市スクールカウンセラーを兼任。

 

ひきこもりや不登校、発達障がいのご当人、並びにご家族のカウンセリング、学習サポートを行う。PTA、学校関係、行政関係など講演も行う。

\ブログではお役立ち情報をお届けしています!/

フォローしてね

  

【LINE公式はこちらです!】

\ひきこもりや不登校に関するお役立ち情報をお送りしています。/

無料小冊子をプレゼント中です!

 

よく読まれているブログ

 

 

 

 

限局性学習症 学習の助けになる17の方法限局性学習症(Specific Learning Disorder)とは知的な発達に遅れがないにも関わらず、読む・書く・話す・聞く・計算する・推論するなどの能力の中で苦手とするものがある場合を指します(学習症、学習障害とも言われます)。

 

これらの能力は学校での学習に大きな影響を与えるものとなります。算数はできるのに国語の点数が低かったり、その逆があったり、読み間違いや板書(黒板の文章を写すこと)が極端に苦手な場合もあります。

 

知的な発達の遅れがあるわけではありませんが、学習症があるために、勉強がうまくいかず、落ち込み、それが不登校につながることもあります。

 

そこでこのブログでは学習症について理解し、課題を解決するヒントについてご紹介していきます。

この記事でわかること

▶︎限局性学習症について

▶︎学習症の種類

▶︎学習の助けになる17のヒント

この記事を書いた人:なかがわひろか
▫️発達障がい・不登校・ひきこもり専門カウンセラー
▫️学校・PTA・自治体での不登校・ひきこもり講演多数
▫️子どもから大人までの発達障がい全般に関わる

 

▶︎限局性学習症(学習症)とは何か

限局性学習症(以下学習症)とは、「読む・書く・話す・聞く・計算する・推論する」という能力に苦手なものがあることを指します。

 

以下の症状のうち、少なくとも1つが存在し、6ヶ月間持続しているものであり、暦年齢に期待されるよりも、低い学業、職業遂行能力、日常生活活動に障害を引き起こしている状態の場合に診断されます。

 

学齢期の子どもたちの5~15%、成人においても4%が有していると推定されます。

 

【学習症の診断基準(DSM-5改)】

 

▫️読むことが不的確または速度が遅く、努力が必要である

 :単語を間違って、またはゆっくりと音読する、言葉をあてずっぽうに言うなど
▫️読んでいるものの意味を理解することの困難さ
:読んでいるもののつながり、関係、意味するもの、またはより深い意味を理解できないなど
▫️つづり字の困難さ
:母音や子音を付け加えたり、入れ忘れたり、置き換えたりする
▫️書字表出の困難さ
:文法または句読点の間違い、段落のまとめ方が下手、思考の書字表出に明確さがない
▫️数学の概念、数値、または計算を習得することの困難さ
:数字、その大小、関係の理解に乏しい。一桁の足し算を指を折って数えるなど
▫️数学的推論の困難さ
:定量的問題を解くために、数学的概念、数学的事実、数学的方法を適用することが非常に困難である

これらの能力は学校という現場においては、どれも非常に重要なものとなります。国語の授業では、音読で当てられることがあります。宿題では漢字の書き取りも出ますし、年齢が上がってくると文章題も増えてきます。

 

元々の能力が低いわけではないのですが、特に苦手とすることがあることで、学習に成果が伴わないことがあります。

 

知能検査(WISCやK-ABC)を受けることで得意、不得意が明らかになりますが、検査をしなければ見落とされ「怠けている」「やる気がない」とみなされることがあります。

 

学校生活において勉強が苦手というのは子どもたちの自信を失わせる大きな要因になります。自己肯定感が低くなることで、学校に行くことにしんどさを感じ、不登校になるケースもあります。

 

不登校になることで初めて学習に困難さがあることがわかる場合が多いです。宿題の国語の教科書の音読が苦手だったり、連絡ノートの記述がうまく書けていなかったりする場合は、もしかしたら学習に対して苦手とすることが隠されているかもしれません。

 

▶︎学習症の要因

学習症に限らず、ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如・多動症)などの発達障がいに関して「親の育て方が悪い」などは理由になりません。

 

元々も脳の働きにおいて「苦手」とすることがある先天的なものとなります。理由がはっきりと解明されているわけではありませんが、脳の中枢神経に要因がある脳機能障害と言われています。

 

そのため文字を読むことに困難がある子どもたちに対して「もっと集中すれば読める」などの対応は、的が外れた対応となります。「読む」という脳の機能がうまく働いていないため、「ちゃんと読みましょう」と言われても、子どもたちはただただ混乱するだけになります。

 

「生まれつきの脳機能の課題によって苦手がある」という点をまず意識するようにしましょう。

 

▶︎学習症の3つの種類

 

 

識字障がい:ディスレクシア(dyslexia)

 

▫️文字がぼやけたり、滲んだり、歪んだりして見える

▫️単語の音と内容がリンクしないなど

 

学習症として、もっとも有名なものとなります。ディスレクシアを抱えることによって、音読や板書の困難さ、作文を書くことの困難さが生じます。

 

書字表出障がい:ディスグラフィア(dysgraphia

▫️漢字などの文字を書くことの困難さ

▫️マス目をはみ出して書いてしまう

▫️鏡文字になることがある

 

私がこれまでお会いしてきた中では漢字の書き取りに困難さを抱えている方が多いです。日本後の漢字は、さまざまな形が組み合わさって作られます。高学年になるほど複雑になり、形を認識することが難しくなることで、より書き取りにも困難さが出てきます。

 

また高学年になるほどマス目が小さくなり、さらに年齢を経ると罫線だけのノートに書きとることを求められます。書く範囲が狭くなることで、より書くことの困難さが現れることがあります。

 

算数障がい:ディスカリキュリア(dyscalculia)

▫️計算が苦手で、九九が覚えられないことがある

▫️計算式を立てることが苦手

▫️数の大小の把握が難しい

 

ディスレクシアに比べると数は少なくなりますが、数の概念に困難さを抱える子どもたちも存在します。ここに挙げたものの他に時計を読むことが苦手、数字の暗記が苦手ということも挙げられます。

 

▶︎学習症の対応

学習症を抱える子どもたちの多くは、「自分は勉強ができない」と思い込んでいることがあります。特に学校生活においては、勉強ができないことは大きなハンデと感じるようになります。

 

ただ間違ってはいけないのは勉強が「できない」のではありません。学習症は知的な発達の遅れは伴いません。つまりIQとしても、問題ないということになります。大半の子どもたちと同じ方法ではできないかもしれないけれど、やり方を工夫することで平均、もしくはそれ以上の学力を発揮することもあります。

 

読み取りが苦手だったお子さんが、先生に問題文を読み上げてもらったら、それまで30点台しか取れなかったテストで満点が取れるようになった、というケースもあります。

 

けれども配慮がなされなかったら、お子さんは自分に自信を失い、それが不登校につながることもあります。やり方を変えることで、成果を上げることは十分に可能です。お子さんに合う方法を試すようにしてみましょう。

 

ここからは学習症に見合った道具についてご紹介していきます。お子さんの学習の参考にしていただけたら嬉しいです。

 

▶︎学習症の対策:「読み」編

 

アプリを使って漢字を読む

読みにくい漢字などは、Googleレンズを活用することで、辞書を調べなくてもすぐに知ることができ、手間が省けます。無料で使用できますので、スマホやタブレットに入れておきましょう。

 

注意点としては、漢字の上にルビを打つことです。学習症は文字が見づらい状態です。そのためルビを打つと余計に読みにくくなることがあります。ただ、ルビがある方が勉強しやすい方の場合は、その限りではありません。お子さんのやりやすさを重視して使い分けましょう。

 

ダークモードで文字を白抜きにする

スマホやタブレットで簡単にできる方法です。多くの人は、文字を黒く、背景を白っぽい設定にされていると思います。スマホのライトで目が疲れてしまうことがあるので、背景をダークモードにし、文字を白抜きにしてみてみましょう。

 

こんな感じです。こちらの方が読みやすい方は、早速ダークモード設定にしてみましょう

▶︎iphoneのダークモード設定方法

▶︎Androidのダークモード設定方法

 

学習症を抱える方にとって、ITの活用は学習環境を大きく改善してくれるものです。学校とも話しながら、例えば国語の教科書をタブレットから見られるようにし、ダークモードで文字を見やすくする方法も検討してみましょう。

 

 

リーディングトラッカーを活用する

教科書の読みたい行に当てるだけで読みやすくしてくれる道具です。学習症において特に読みに苦手がある方は、文字が大量にあると、揺れたり歪んだりして見えます。そのため読んでいるところがわからなくなり、同じところを読んだり、読み飛ばしたりします。

 

リーディングトラッカーを活用することで、読みたい行だけ集中して読むことができます。お子さんの目に合った色を選ぶことができますし、持ち運びもしやすいです。

 

▶︎リーディングトラッカーの例

 

 

読み上げアプリを利用する

ハリウッドの映画俳優の中には読みを苦手とする人がいます。その方たちは、セリフは全て音声に置き換えて覚えると言います。

 

読み上げアプリを活用することで、耳からの情報を活用し、書かれている内容を理解することができます。

▶︎読み上げ「ゆっくり棒読みトーク」

▶︎読み上げアプリ(かわりに喋る)

 

読み上げアプリはたくさんの種類があります。使ってみながら、お子さんに合うものを選んでいきましょう。

 

▶︎学習症の対策:「書き」編

 

 
漢字は「パーツに分けて」書けるようにしてみる

 

日本語の漢字は、いくつかのパーツが組み合わさって成り立っています。学習症を抱えるお子さんの場合、文字が歪んで見えたりすることで、画数が抜けたり、逆に必要のない線を付け加えてしまうことがあります。

 

例えば「外」という漢字であればカタカナの「タ」と「ト」を書けるようにして、合体させるという方法です。漢字は組み合わせできているため、「パーツに分ける」ことができれば書きやすく、また覚えやすくなります。

 

また「春」であれば「三人の日」というように口に出しながら書くことで覚えやすくなります。

 

▶︎こちらもおすすめです「ミチムラ式」漢字練習

 

 

お子さんに合ったマス目・ノートを使う

小学生も高学年くらいになるとマス目の小さなノートを使うことになります。中学生になるとマス目がないノートを使うことも増えてきます。

 

マス目がないことで、文字のバランスがうまく取れず、書くことの苦労が重なることがあります。お子さんの見合ったマス目・ノート選びを行うようにしましょう。

 

マス目についても、大きすぎると書きづらいという方もいます。使ってみながら、ちょうどいいバランスのものを見つけていきましょう。

 

 

英語は「筆記体を覚えてみる」

例えば英語の小文字の「b」と「d」は書き間違えが多いものになります。また書くことに苦手さを抱えているお子さんの場合、単語と単語の間が空くことで集中量が削がれてしまうことがあります。

 

筆記体であれば一つの単語を一気に書くことになるので、一つ一つを分けて書くよりも書きやすくなるかもしれません。

 

近年は学校でも筆記体を習うことが減ってきていますが、書くことに苦手さを抱えるお子さんは一度練習してみてもいいかもしれませんね。

 

 

事前にプリントを用意してもらう

ノートに問題文を書いたりすることは、書くことに苦手を感じている子どもたちにとってはかなり疲れるものになります。

 

あらかじめ要点をまとめたプリントを用意してもらい、穴埋めで必要な項目を書いていく形であれば負担を減らすことができます。

 

またこれは学習症を抱える子どもたちだけでなく、すべての子どもたちにとっても効率的に学習を進めるために効果的です。先生の手間は増えますが、板書が長くなってしまうような場合において用意してもらうといいです。

 

ブラインドタッチを身につける

ここでもタブレットなどの活用は有効です。特にブラインドタッチを身につけることで、書くことの負担はかなり抑えることができます。

 

学校との協力体制が必要になりますが、授業においてもノートを取る際にタブレットによるブラインドタッチや、カメラで板書を写すなどができるように働きかけてみましょう。

 

書くことに苦手さを抱える子どもたちは、ノートを写すだけで、疲れてしまうことがあります。ノートテイクの負担を減らすだけでも授業への意欲が変わってきます。

 

▶︎デジタルメモ「ポメラ」

 

こちらは、パソコンやタブレットのように「余計な機能がついていないメモに特化したパソコン」です。立ち上がりも早く、メールが入ったりすることもないので、集中しやすくなります。値段にも幅がありますので、用途に合わせて活用しても良いですね。

 

▶︎学習症の対策:「聞く」編

学習症だけでなくADHDの場合において「ワーキングメモリー」と呼ばれる脳の機能に苦手さを抱える子どもたちもいます。

 

ワーキングメモリーとは、作業や動作に必要な情報を一時的に保持する機能です。情報は聴覚や視覚を通して得られます。ワーキングメモリーの機能に苦手さがある場合、先生からの指示が頭の残っていなかったり、計算途中で何をやっているかがわからなくなることがあります。

 

注意の声をかけてもらう

耳からの情報を得ることが苦手なお子さんは、不特定の人に対しての「こっちに集まって!」や「そっちは危ないからここにいてね」という指示が耳に入らないことがあります。

 

先生や周りの人から「⚪︎⚪︎さん、こっち見てくれる?」と注意を促してから、「ここに来てくれるかな」と指示を出すようにすると、理解しやすくなります。

 

慣れてきたら手を振るなどの動作で注意喚起してから話す、という方法に変えていきます。

 

順番を図にする

作業を促す場合において、耳だけの情報だと理解することが難しい場合あります。その場合において視覚的な情報で「今何をしていて、これから何をするか」を提示すると理解しやすくなります。

 

【例:発表の手順】

学習症 ワーキングメモリーの対策

口頭だけでなく、視覚的情報があると、理解しやすくなります。またこれは特定の子どもたちだけでなく、多くの子どもたちにもわかりやすいものとなります。

 

メモを取るくせをつける

もっとも基本的な対応になりますが、スタンダードな方法でもあります。付箋などに要点を書いて机やパソコンに貼っておき、順番に取り組み、終わったら捨てる、という方法などがあります。

 

ただメモをしたことを忘れてしまうことがあるので、可能であればスマホのリマインド機能を活用して、時間がきたらタイマーで知らせてもらうという方法もいいでしょう。授業で用いるのが難しい場合は、付箋に書いて机に貼っておいたり、友達に声をかけてもらうのもいいですね。

 

また、時間がきたら必ず見返すノートを作っておいて、そこにメモをしておくという方法もあります。

 

▶︎くり返しメモできるふせん

▶︎デジタルメモ

 

▶︎学習症の対策:「話す」編

話したいことをまとめるのが苦手で、どう伝えていいのか固まってしまうこともあります。頭の中で考えるのではなく、「外に出して整理する」ことを第一に考えてみましょう。

 

発表の台本を作る

お子さんが読みやすいノートに、発表で話す順番をつけた台本を用意します。

 

【台本の例:クラスでの発表の場合】
①クラスのみんなの顔を見るように前を向いて一礼
②「今から⚪︎⚪︎についての発表をします」
③「私たちは⚪︎⚪︎について調べました」
④「これがそのグラフです」(グラフを指差す)
⑤「結果はこのようになりました」
⑥「以上で発表を終わります」
⑦みんなの方を向いて一礼

 

最初は細かく決めておいて、練習をしながら、読まなくてもできることを増やしていきます。また事前に先生に目を通してもらってアドバイスをもらうとより良い発表を行いやすくなります。

 

うまくいったところをノートに書いておく

学習症に限らず、人前で話すのは緊張するものです。人前での話がうまくなるには「場数を踏む」ことに尽きます。やってみると思ったよりも緊張せずにできた、声を大きくしたら自信を持って発表できた、などうまくいったことはノートに書いておきましょう。

 

それが今後の発表の自信につながっていきます。もしうまくいかないことがあっても「チャレンジしたからうまくいかないことがわかったんだ」と考えるようにしてみましょう。

 

どんなにお話が上手い人でも、最初はみんな失敗しています。数を重ねることで、必ずうまくなります。できることを一つ一つ増やしていきましょう。

 

▶︎学習症の対策:「算数」編

学習症を抱えるお子さんが一番つまづくのは国語の授業だと思います。そのため見過ごされやすいのですが、実は算数につまづいているお子さんもいます。

 

特に現れやすいのが「九九」や「筆算」「四則計算」などの複雑な計算、そしてなんといっても文章題でしょう。それぞれの対応について見ていきましょう。

 

九九の暗記

耳からの情報が苦手な子の場合、視覚的な情報から答えを導き出す練習をしていきます。例えば単語カードに「3 ×  4」と書いて、裏面に「12」と答えを書くようにします。

 

たくさんの情報が書かれていると混乱しがちなので、1問ずつ取り組むようにします。カードでなくとも、スマホのアプリや画像を使って取り組むこともできます。

 

▶︎おすすめアプリ「九九を覚えてモンスター図鑑あつめ!」

 

耳からの情報を得るのが得意な子は、音声で録音したものを何度も聞きながら覚えるのもいいでしょう。

 

人によっては、順唱(1から順番に言う)はできるけれど逆唱(九から遡って言う)が苦手なお子さんもいます。完璧を目指さず「掛け算の答えがわかればいい」というスタンスで取り組むことが重要です。

 

複雑な計算が苦手なとき

例えば「(13+7)×4÷5+1」のような四則計算に混乱してしまう子もいます。ワーキングメモリーに苦手さを抱えているお子さんの場合、計算しているうちに、何をやっているかがわからなくなることがあります。

 

この場合、答案用紙や別紙の余白部分に

①まず( )の中の13+7(答え20)を計算する

②次に20×4(答え80を計算する)

③次に80÷5(答え16)を計算する

④最後に16+1(答え17)を計算する

と一息に計算するのではなく部分ごとの計算を行うようにします。そして答案用紙には最後の答え17を書くようにします。

 

正確な式を書くとしたら

=(13+7)×4÷5+1

=20×4÷5+1

=80÷5+1

=16+1

=17

となりますが、これだとこんがらがってしまうことが起こります。先生とも話して、式の書き方については、配慮してもらい、部分について余白で計算する方法を取れるように伝えてみましょう。

 

文章題が苦手なとき

「読み」の部分でお伝えした方法を活用しつつ、ポイントを押さえながら情報を整理していきます。

 

例えば「山田さんは、20円のガムを5個と、35円のあめを2個買いました。合計いくらはらったでしょう」という問いがあるとします。ポイントになる数字にチェックするようにします。

 

学習症の算数文章題の解き方

絵に描いてみたり、表で整理したりするとよりわかりやすくなります。まずは絵を自分でも書いたり、表に記入したりという方法から整理することを試してみましょう。

▶︎お困りの方は一緒に考えましょう

ここに挙げたものは、ごく一部の方法となります。学習症と言っても、お子さんそれぞれに何を苦手にしている方は異なります。お子さんに合った方法を試しながら見つけていきましょう。

 

なかなかヒントが見つからないという方は、一度無料カウンセリングをお試しください。その際にWISCなどの検査データがありましたら、そちらもお見せいただけるとより具体的なアドバイスをお送りできます。

 

\無料カウンセリングは👇からどうぞ/

なかがわひろか 無料カウンセリング

 

 

【おすすめ参考図書】

▶︎LDの子が見つけたこんな勉強法

 

 

\お役立ちメルマガ登録はこちらからです/

なかがわひろか メルマガ登録

 

■お問い合わせ■
プロフィール写真

■略歴:
中学時代に不登校を経験。その後学校復帰。関西学院大学に合格する。大学卒業後、人材紹介会社にてマーケティング・人事を経験。

 

あるひきこもりの青年に出会ったことから、起業を決意し、専門的なカウンセリング・学習サポートを行うOFFICE NAKAGAWAを2011年2月に設立。公認心理師、産業カウンセラーの資格を有する。

 

ひきこもりや不登校、発達障がいのご当人、並びにご家族のカウンセリング、学習サポートを行う。PTA、学校関係、行政関係など講演も行う。

\ブログのフォローはこちらからです/

フォローしてね

  

【LINE公式はこちらです!】

\ひきこもりや不登校に関するお役立ち情報をお送りしています。/

無料小冊子をプレゼント中です!

 

ADHDの子育て 7つのヒント今回はADHD(注意欠如・多動症)について取り上げます。ADHDは落ち着きがない、忘れっぽい、いつもそわそわしている……などの特徴がある発達障がいの一つです。

 

ADHDの基本について学び、お子さんの対応や、特性の活かし方について見ていきましょう。

この記事でわかること

▶︎ADHDの基本について

▶︎ADHDの対応の7つのヒント

▶︎特性の活かし方

この記事を書いた人:なかがわひろか
▫️発達障がい・不登校・ひきこもり専門カウンセラー
▫️学校・PTA・自治体での不登校・ひきこもり講演多数
▫️子どもから大人までの発達障がい全般に関わる

 

【不登校の対応の基本についてはこちらの記事👇もご覧ください】

 

▶︎ADHD(注意欠如・多動症)について

ADHD(注意欠如・多動症:Attention Dificit / Hyperactibity Disorder)は、発達障がいの主な3つ(ASD・ADHD・SLD)のうちの一つです。

動症)い

ADHDの説明

 

ADHDの診断基準

 

以下のDSM-5の項目で、17歳未満はそれぞれ6個以上、17歳以上の場合は、それぞれ5個以上を満たしており、これらの症状が6ヶ月以上続き、12歳以前、2つ以上の状況で存在した上で、学校や職場で問題化している場合に診断されます。(DSM-5:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders,Fifth Editionより)

 

 

A. 不注意

▫️不注意な間違い:細部の見過ごし、作業が不正確
▫️注意の持続困難:長時間の講義や会話に集中し続けることができない
▫️聞いていないように見える:心ここにあらずのように見える
▫️指示に従えず、やり遂げることができない:課題を始めても、やり遂げられない
▫️順序立てることができない:資料や持ち物の整理ができない、時間の管理が苦手、締め切りが守れない
▫️精神的努力の持続が必要な課題を避ける:宿題や、報告書の作成、書類を漏れなく記入するなどを嫌う
▫️なくしてしまう:学校の教材や、財布、書類、携帯電話などをしばしばなくす
▫️気が散ってしまう:外的な刺激によって気が散る
▫️忘れっぽい:約束、お使い、電話の折り返し、支払いなどを忘れる

 

指示を聞いても、最初に指示されたことを忘れやすかったり、一つのことを集中力を持って取り組むことが苦手な側面があります。

 

B. 多動性-衝動性

▫️手足をもじもじさせる:手足をそわそわ動かす、トントン叩いたりする

▫️席を離れる:教室や職場でとどまるべき場面で、自分の席を離れる

▫️走り回る、高いところへ登る:不適切な状況で走ったり、高いところに登る

▫️静かに遊ぶことができない:じっと遊ぶことができない

▫️じっとしていられない:教室や会議で長時間とどまることができない

▫️しゃべりすぎる

▫️質問が終わる前にしゃべり出す:他の人たちの言葉の続きを言ってしまう、遮る

▫️順番を待つことが困難:列に並ぶことが苦手

▫️他人を妨害し、邪魔をする:会話、ゲームを邪魔する、他人のしていることに口を出す

 

じっと授業を聞いていることが苦手で、いつも何かを触ったり、身体が動いていたりします。また話を遮って、話すこともあり、集団の中で「浮いて」しまうことがあります。

▶︎ADHDによくあること

学校生活で起こりやすいこと

▫️授業中に立ち歩いてしまう

▫️授業中に大きな声を出してしまうことがある

▫️危険な行為(屋根の上に登ったり、危険な道具を使ったり)をする

▫️忘れ物が多い

▫️計算問題などを解いている途中に他のことを考えてしまう

▫️気が散ってしまうとそちらに意識が向き、先生の話を聞いていないことが多い

▫️授業中にそわそわと身体を動かす

▫️イライラと衝動的にクラスメイトを叩いたりしてしまう

注意力を持続させることが苦手なため、先生の指示を聞き漏らし、他の子はできているのに自分だけができていないことにイライラとしてしまうことがあります。イライラすることで衝動的な行動(クラスメイトを叩く、ものを壊す)になる場合もあります。

 

家族が感じること

▫️宿題を終えるのに時間がかかる

▫️一つのことをやっていても、すぐに気が散ってしまう

▫️一度集中すると、いつまでも取り組んでしまう(過集中)

▫️片付け、整理整頓ができない

▫️イライラしやすい。きょうだい喧嘩が多い

集中力を持続させることが苦手なため、宿題を終えられず、そのことを理由に家族で喧嘩になることがあります。またきょうだい喧嘩も日常茶飯事になります。

 

ワーキングメモリーの弱さがある

 

ADHDについて理解するときに「ワーキングメモリー」についての理解は重要な観点となります。

 

ワーキングメモリーとは"行動を起こす際に必要な情報を、一時的に記憶し、処理する力"を指します。

 

例えば「机の上にあるノートをランドセルに直して、その後机の上を拭いて、雑巾は絞ってかけておいてね」という指示があったとします。

 

これらの行動を終えるまでの間、私たちは指示されたことを頭に残しながら行動を行います。そして行動を行いしばらくすると指示の内容は忘れます。

 

一時的に情報を貯蔵する容量のことをワーキングメモリーと呼びます。この力が高い人は、例えば他者と話をしている際も、前の話を記憶しながら、情報を整理し、相手が伝えたいことを的確に把握することができます。

 

ADHDを抱えるお子さんの場合、このワーキングメモリーが弱いため、複数の指示を与えられると、最初の方に言われたことを忘れやすいです。最初を忘れると、初めの行動が取れないため、右往左往してしまうことがあり、周りから叱責されることもあります。

 

ADHDを抱えるお子さんの場合、ワーキングメモリーの苦手さがあることをまず理解しておくことが重要となります。

 

ADHDのお薬による治療

 

ADHDの場合、状態を落ち着かせるために、薬が処方されることがあります。これらの薬は厳格な基準のもとに処方されます。薬物治療を取り入れることで、日中の不注意、多動性を落ち着かせ、学業成績の向上、職場での集中力を高めることができます。ただし食欲不振、頭痛などの副作用もあるため、すべての方に効くわけではありません。ご本人の生活に大きなメリットがある場合に処方を検討されます。薬については必ず医師の指示を受けるようにしましょう。

薬品名

(商品名)

作用機序 副作用

メチルフェニデート

(コンサータ)

ドパミン、ノルアドレナリンの再取り込みを抑える 睡眠障害、食欲不振、体重減少

アトモキセチン

(ストラテラ) 

ドパミン、ノルアドレナリンの再取り込みを抑える 食欲不振、下痢、イライラ

グアンファシン

(インチュニブ)

交感神経の働きを抑え、過剰な活動性や攻撃性を抑える 血圧低下、眠気、ふらつき

リスデキサンフェタミンメシル

(ビバンセ)

ドパミン、ノルアドレナリンの再取り込みを抑える 睡眠障害、いらつき、めまい、眠気

 

▶︎ADHDの得意なこと

ADHDと聞くと問題行動をイメージする方も多いと思いますが、ADHDの特性があることで、武器になることもあります。

 

ADHDを抱えるお子さんの得意なこと

▫️フットワークが軽い・行動力がある

▫️人懐っこい

▫️好奇心が強く、チャレンジ精神が強い

▫️発想力が強い

▫️ひとと異なる視点で物事を考えられる

▫️企画力が高い

▫️初対面の人でも臆せず話をすることができる

人それぞれ特性は異なりますが、愛嬌を感じさせる方が多いのが特徴の一つです。接客のお仕事や、企画力が求められること、営業力などが高く、社会に出てからも能力を発揮することができる可能性が高いと言えます。

 

忘れ物が多く、細かいところの気配りが苦手なところもありますが、持ち前の愛嬌の高さで補っている方もいます。

 

一方で、先のことを見通して考えることが苦手で、大人の方の場合、稼いだお金を散財してしまい、借金を背負ってしまうこともあります。

 

周りのサポートがあると、存分に自分の力を発揮することができるでしょう。

 

▶︎ADHDの対応のポイント

 

 

 

①注意の前に、特性を知る

ADHDを抱えるお子さんの場合、忘れ物や、うろうろと動いてしまったり、授業を聞けていないことがあるため、ADHDを抱えていないお子さんに比べて叱責される機会が増えやすいです。

 

叱責されることが増えると、「自分は他の子と比べて、できない人間なんだ」と自己肯定感を低めることにつながります。

 

自信を失うことで、ときに反抗的な性格形成がなされることがあります。適切な対応がなされず思春期を迎えた場合「DBDマーチ」と呼ばれる状態に進むことがあります。

 

【DBDマーチ】

DBD(Disruptive Behavior Disorder)と呼ばれるもの。

ADHDから始まり

▶︎反抗挑戦性障害(ODD:Oppositional Defiant Disorder)

▶︎行為障害(素行障害)(CD:Conduct Disorder)

▶︎反社会性人格障害(APD:Antisocial Personality Disorder)

に帰着する流れのことです。

 

ADHDという先天的なものに、さまざまな逆境体験が後天的に重なることで、反社会的な行為に進む可能性があると言われます。

この状態を防ぐために必要なことが「特性を理解すること」です。できていないことや、やってしまったことを叱責するだけでは自信を失っていきます。背景にどのような特性があり、その特性があるがゆえに行ってしまう行為があることの理解が対応のスタートになります。

 

②「分かっていてもやってしまう」思いを知る

ASD(自閉スペクトラム症)との違いとして、ADHDの場合は「分かっていてもやってしまう」ことが挙げられます。

 

ASDの場合「どうしてそれが駄目なのかわからない」ということがありますが、ADHDの場合は「それはやってはいけないことだと分かっているけれど衝動的にやってしまう」のです。

 

例えば太っている人が目の前にいたとします。ASDを抱えるお子さんが「あの人太っているね」と言うことがあります。これは「実際に太っている人に太っていると言って何が悪いのか?」という思いがあります。

 

一方でADHDの場合は「太っている人に太っていると言うのは失礼なのは分かっているけれど、つい反射的に言ってしまう」状態になります。

 

やってはいけないということは理解できていることが多いので、くどくどと一から注意されると耳が痛い思いになります。やってはいけないと分かっていないからやるのではなく、分かっていてもやってしまうので、やってはいけない理由の説明よりも、行動してしまいそうになるときに「一呼吸する」など時間を置くことを教える方が効果があります。

 

 

③指示は短く、明確に

ADHDを抱えるお子さんはワーキングメモリーが弱いことが多いことについてお伝えしました。そのため、長い指示や、何を言いたいかわからない内容を理解することに困難さを抱えています。

 

複数の指示を同時に行うのではなく、一つ一つ、もしくは1〜2つの指示を行うにとどめる方が理解しやすくなります。

 

どうしても複数の指示を行う場合は、メモを取るように伝える、もしくはメモを渡すようにします。メモを取ったことを忘れてしまうこともあるので、例えば朝学校に行く前はメモを見直す、などを習慣化すると忘れ物をしにくくなります。

 

 

④耳よりも「目」にアプローチする

ワーキングメモリーは聴覚的な情報の処理に関わる機能です。ここに苦手さを感じるのは耳からの情報処理を苦手とすることです。

 

そのため、視覚的なアプローチが有効です。口で説明するだけでなく、図やフローチャートなどを見せることで、今何をするか、これから何をするかがわかりやすくなります。

 

ただし、視覚的な情報が多過ぎると、そちらに気を取られてしまいます。伝えるべきことだけをシンプルに見せることを意識して作成するようにしましょう。

 

視覚的なアプローチが有効な分、目に入るものに気を取られることも多いので、不必要な情報は視界に入らないようにすることも有効です。黒板や机の周りには、勉強に関係のないものは置かないなどの環境づくりが効果的です。

 

私もADHDを抱える方に学習サポートを行う際は、環境設定を大事にしています。机に座ったとき、目に入るものの量を減らし、勉強に関係のないものは視界に入らないようにします。一つの勉強が終わったら、カバンや本棚にしまい、今やるべきことだけを机に出すようにすると集中しやすくなります。

 

 

⑤呼吸法を身につける

呼吸法はマインドフルネスとも言われます。仏教では「坐禅」「瞑想」という表現されることもあります。

 

やり方は簡単ですので、ADHDに限らずどなたも身につけてほしいものになります。

 

【呼吸法の手順】

①ゆったりと腰かける(電気は薄暗く、目は軽く閉じる)

②まず息を吐き出す

③鼻からゆっくりを息を吸う

④鼻もしくは口からゆっくりと息を吐き出す(吸うよりも倍くらいの長さ)

⑤3~5分ほど繰り返す

授業や宿題を始める前に行うと効果的です。私も学習サポートの際に活用しますが、これをやった場合とやらない場合では如実に違いが現れます。

 

呼吸法を取り入れてから学習に取り組むと集中力を維持しやすくなります。一方でやらないで取り組むとすぐに気持ちがあちこちに飛んでしまいます。場所を選ばずどこでもできることなので、ぜひ取り組んでみてほしいと思います。

 

 

⑥集中力は「切れる前に切る」を意識する

いろんなことに気が散って、集中力を保つことが苦手な特性があります。そこで集中力については「切れる前に切る」という意識を持つようにしてみます。

 

「1時間集中しよう」というのは、ADHDを抱える子どもたちにとっては苦行になります。しかしその半分なら、なんとかなるかもしれません。そこで使えるのが「ポモドーロテクニック」です。

 

【ポモドーロテクニック】

 

ポモドーロテクニック

勉強に取り組む際に、25分をやったら、5分休憩というように、強制的に25分で切るようにします。休憩を取ったら、また25分やって、休憩、そしてまた25分やったら、休憩し、最後に25分勉強したら、長めの休憩を取るようにします。

 

1時間集中し続けるのはなかなか難しいものです。しかし25分なら、「そのくらいなら頑張ろう」と思えやすくなります。

 

最初は25分も長いかもしれませんので、10分くらいから始めてみましょう。休憩時間はこの表の通りで結構です。

 

5分より長くしてしまうと、今度は勉強に戻ってくるのが大変になります。休憩の例は以下のものが挙げられます。

 

▫️5分休憩

・トイレに行く

・軽いストレッチをする

・ちょっとした軽食を食べる

▫️30分休憩

・散歩をする

・好きな音楽を聴く

・仮眠(寝る前にカフェインを摂るようにする)

・好きな動画を観る(タイマーセット)

 

ADHDを抱えるお子さんの場合、休憩をするとそこに意識が向いてしまい、戻ってこられなくなることがあるので、タイマーをセットし、時間が来たら音が鳴るようにしておきます。

 

集中力は「切れる前に切る」を意識しながら、ワンセットを何度か繰り返すという形で取り組んでみましょう。

 

 

⑦好奇心の強さを活かす

ADHDの得意なことでも挙げましたが、新しいことに取り組んだり、発想することが得意な面があります。

 

逆にいうと同じことを繰り返すのはあまり好きではありません。繰り返しはほどほどにし、新しいことにチャレンジできる環境作りは、お子さんの得意を伸ばすために有効になります。

 

親子で、新しいことに取り組むことで、お子さんの可能性をより広げることにもつながります。本当にお子さんが得意なことというのは、やってみないとわかりません。すぐに飽きてしまうこともありますが、やってやらなくなるのと、初めからやらないのとは全く違います。

 

旅行に行ったり、いつもと違う非日常の体験をしたり、親子でもお子さんの特性を「楽しむ」発想を持ってみましょう。

 

【子育てに疲れた親御さんへのメッセージはこちらです👇】

 

▶︎迷ったら一度ご相談ください

ADHDを抱えるお子さんの7つのヒントについてお伝えしました。まずは基本情報を集めることを大事にして、「理解すること」を第一に考えていきましょう。

 

私たちは「知らないから恐れてしまう」「過剰に反応してしまう」ことがあります。「知る」ことによって対応がわかり、それが未来につながるようになります。

 

お子さんに発達に課題があるかどうかを明らかにするのは、親御さんにとっても勇気の必要な行為になります。

 

迷われている方は、一度当事業所にご相談ください。お子さん、そしてご家族にとって最適な方法を考えていきましょう。

 

\無料カウンセリングは👇からどうぞ/

なかがわひろか 無料カウンセリング

 

■お問い合わせ■
プロフィール写真

■略歴:
中学時代に不登校を経験。その後学校復帰。関西学院大学に合格する。大学卒業後、人材紹介会社にてマーケティング・人事を経験。

 

あるひきこもりの青年に出会ったことから、起業を決意し、専門的なカウンセリング・学習サポートを行うOFFICE NAKAGAWAを2011年2月に設立。公認心理師、産業カウンセラーの資格を有する。

 

ひきこもりや不登校、発達障がいのご当人、並びにご家族のカウンセリング、学習サポートを行う。PTA、学校関係、行政関係など講演も行う。

 
よく読まれているブログ

 

 

 

\フォローお待ちしております!/

フォローしてね

  

【LINE公式はこちらです!】

\ひきこもりや不登校に関するお役立ち情報をお送りしています。/

無料小冊子をプレゼント中です!