発達障がいの種類 ASD・ADHD・SLD「発達障がい」は「神経発達症/神経発達障害」とも言われます。発達において脳機能に生まれ持っての課題があり、対人コミュニケーションでトラブルが起こったり、特定の物事に過度にこだわる、落ち着きがなく、多弁であったり、学習に課題があります。

 

発達障がいという言葉は、ずいぶん一般化したと思いますが、ひとくくりに発達障がいということはできません。それぞれに特徴がありますし、対応が異なることもあります。

 

このブログでは「今さら聞けない発達障がい」と題し、基本について学んでいきましょう。

 

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この記事でわかること

▶︎発達障がいの種類について

▶︎診断の基準について

▶︎相談機関について

この記事を書いた人:なかがわひろか
▫️発達障がい・不登校・ひきこもり専門カウンセラー
▫️学校・PTA・自治体での不登校・ひきこもり講演多数
▫️子どもから大人までの発達障がい全般に関わる

 

【不登校の対応の基本についてはこちらの記事👇もご覧ください】

 

▶︎発達障がいの種類について

 
代表的な発達障がいの種類としては、次の3つが挙げられます。「ASD(自閉スペクトラム症)」「ADHD(注意欠如・多動症)」そして「SLD(限局性学習症)」です。
 
発達障がいの種類

この他にも「知的能力障がい」「協調運動症」「チック症」「吃音」なども含まれます(ここでは細かくなりすぎるため上記の代表的な3つに絞ってお伝えします)。

 

「発達障がい」というと「あの人はASDの人だからこんな特性がある」「ADHDの人にはこう接しよう」などと言われることが多いですが、特性や苦手、得意とするものは人それぞれ違います。ひとくくりに捉えられるものではない、という大前提を大事に一つ一つ見ていきましょう。

 

▶︎ASD(自閉スペクトラム症)について

ASD(自閉スペクトラム症)について

 

対人コミュニケーションや、強いこだわりがある場合、自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder:以下ASD)の可能性があります。

 

幼児期に診断を受けていなくても、大人になってからわかる場合もあります。人間関係でつまづくことが多く、二次障害(発達障害を一次障害とし、その影響でうつ病などの障害が出ること)で苦しまれている方もいます。

 

ASDの診断基準

 

 

以下の症状が、Aは3つとも、Bは2つが該当し、かつ幼少の頃から(大人になってから明らかになる場合もあります)あり、学校生活や、仕事場で支障をきたしている場合に診断されます。(DSM-5:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders,Fifth Editionより)

 

 
A. 社会的コミュニケーションの障がい

▫️社会的相互反応の問題

他者と社会的なやり取りをしたり、気持ちを伝え合うことが難しい。会話のやり取りがうまくいかない。「暗黙のルール」がわからない、など

 

▫️非言語コミュニケーションの問題

表情の変化で物事を伝えることや、アイコンタクト、ジェスチャーで自分の意図を伝える際の困難さを抱える

 

▫️対人関係の問題

人間関係を発展させ、維持させることの困難さ、友人を作ることの困難さ、など

 

思ったことを言ってしまったり、字義通りに言葉を受け取るため例えが伝わらなかったり、表情を読み取るのが苦手で、いわゆる「KY(空気が読めない)」状態になることが多いです。

 

B:限定された反復的な行動様式

▫️常同反復性

ものを並べたり、飛び跳ねたり、同じ言葉を何度も使ったり、相手の言ったことをおうむ返ししたり、状況と関係のない言葉を発する、など

 

▫️儀式的な行動、思考

常に同じであること、決まって手順を踏むことに強くこだわる、ゼロ100思考、思考の柔軟性の無さなど

 

▫️限定的な興味

特定のものに対しての強いこだわり(特定のものを集める)など

 

▫️感覚の過敏さ/鈍感さ

音、匂い、光などへの過敏さ、もしくは鈍感さなど

 

いわゆる「こだわり」の強さを示します。例えばこだわりが強いため、板書に時間がかかってしまうことがあります。毎日決まったルーティンができないとイライラしやすくなることもあり、臨機応変の対応が苦手です。

 

ASDを抱える方は、人口中で約1%いると言われています。一般的には男性の方が多いと言われますが、女性にもいらっしゃいます。以前は「自閉性障害」「アスペルガー障害」「特定不能の広汎性発達障害」「小児期崩壊性障害」などと分類されていましたが、現在はASDに統一されています。

 

▶︎ADHD(注意欠如・多動症)について

 

ADHDの診断基準

 

以下のDSM-5の項目で、17歳未満はそれぞれ6個以上、17歳以上の場合は、それぞれ5個以上を満たしており、これらの症状が6ヶ月以上続き、12歳以前、2つ以上の状況で存在した上で、学校や職場で問題化している場合に診断されます。

 

 

A. 不注意

▫️不注意な間違い:細部の見過ごし、作業が不正確
▫️注意の持続困難:長時間の講義や会話に集中し続けることができない
▫️聞いていないように見える:心ここにあらずのように見える
▫️指示に従えず、やり遂げることができない:課題を始めても、やり遂げられない
▫️順序立てることができない:資料や持ち物の整理ができない、時間の管理が苦手、締め切りが守れない
▫️精神的努力の持続が必要な課題を避ける:宿題や、報告書の作成、書類を漏れなく記入するなどを嫌う
▫️なくしてしまう:学校の教材や、財布、書類、携帯電話などをしばしばなくす
▫️気が散ってしまう:外的な刺激によって気が散る
▫️忘れっぽい:約束、お使い、電話の折り返し、支払いなどを忘れる

 

掃除や片付けができない、指示が達成できない、予定を忘れてしまう、時間の管理がうまくできず遅刻を繰り返してしまうなどが当てはまります

 

B. 多動性-衝動性

▫️手足をもじもじさせる:手足をそわそわ動かす、トントン叩いたりする

▫️席を離れる:教室や職場でとどまるべき場面で、自分の席を離れる

▫️走り回る、高いところへ登る:不適切な状況で走ったり、高いところに登る

▫️静かに遊ぶことができない:じっと遊ぶことができない

▫️じっとしていられない:教室や会議で長時間とどまることができない

▫️しゃべりすぎる

▫️質問が終わる前にしゃべり出す:他の人たちの言葉の続きを言ってしまう、遮る

▫️順番を待つことが困難:列に並ぶことが苦手

▫️他人を妨害し、邪魔をする:会話、ゲームを邪魔する、他人のしていることに口を出す

 

授業を聞いていてもいつも体が動いていたり、席に座っていられない、場の空気にそぐわない場面で話をしてしまうなどが当てはまります。

ADHDのお薬による治療

 

ADHDの場合、状態を落ち着かせるために、薬が処方されることがあります。これらの薬は厳格な基準のもとに処方されます。薬物治療を取り入れることで、日中の不注意、多動性を落ち着かせ、学業成績の向上、職場での集中力を高めることができます。ただし食欲不振、頭痛などの副作用もあるため、すべての方に効くわけではありません。ご本人の生活に大きなメリットがある場合に処方を検討されます。

薬品名

(商品名)

作用機序 副作用

メチルフェニデート

(コンサータ)

ドパミン、ノルアドレナリンの再取り込みを抑える 睡眠障害、食欲不振、体重減少

アトモキセチン

(ストラテラ) 

ドパミン、ノルアドレナリンの再取り込みを抑える 食欲不振、下痢、イライラ

グアンファシン

(インチュニブ)

交感神経の働きを抑え、過剰な活動性や攻撃性を抑える 血圧低下、眠気、ふらつき

リスデキサンフェタミンメシル

(ビバンセ)

ドパミン、ノルアドレナリンの再取り込みを抑える 睡眠障害、いらつき、めまい、眠気

 

▶︎SLD(限局性学習症)について

 

 

限局性学習症(Specific Learning Disorder:以下SLD)は、従来学習障害と言われていたものです。知的な問題がないにもかかわらず、学習課題でつまづきが出てくる場合、SLDの可能性があります。

 

主に、読み書き障害(ディスレクシア)、書字障害、算数障害の3つが、代表的なSLDです。

 

識字障害:ディスレクシア(dyslexia)

 

▫️文字がぼやけたり、滲んだり、歪んだりして見える

▫️単語の音と内容がリンクしないなど

 

書字表出障害:ディスグラフィア(dysgraphia

▫️漢字などの文字を書くことの困難さ

▫️マス目をはみ出して書いてしまう

▫️鏡文字になることがある

 

算数障害:ディスカリキュリア(dyscalculia)

▫️計算が苦手で、九九が覚えられないことがある

▫️計算式を立てることが苦手

▫️数の大小の把握が難しい

SLDの診断基準

以下の症状のうち、少なくとも1つが存在し、6ヶ月間持続しているものであり、暦年齢に期待されるよりも、低い学業、職業遂行能力、日常生活活動に障害を引き起こしている状態の場合に診断されます。

 

▫️読むことが不的確または速度が遅く、努力が必要である

 単語を間違ってまたはゆっくりと音読する、言葉をあてずっぽうに言うなど
▫️読んでいるものの意味を理解することの困難さ
読んでいるもののつながり、関係、意味するもの、またはより深い意味を理解できないなど
▫️つづり字の困難さ
母音や子音を付け加えたり、入れ忘れたり、置き換えたりする
▫️書字表出の困難さ
文法または句読点の間違い、段落のまとめ方が下手、思考の書字表出に明確さがない
▫️数学の概念、数値、または計算を習得することの困難さ
数字、その大小、関係の理解に乏しい。一桁の足し算を指を折って数えるなど
▫️数学的推論の困難さ
定量的問題を解くために、数学的概念、数学的事実、数学的方法を適用することが非常に困難

知的水準は平均並にあるにもかかわらず、読み・書き・聞く・話す・計算する・推論することに苦手さを感じることが特徴となります。テストで点数を取れない場合、音読で問題文を読むと高得点が取れることもあります。

▶︎発達障がいの相談場所

 

「もしかしてうちの子は発達障がいがあるかもしれない」と思われた方は、「どこに相談したらいいだろう」と悩まれると思います。

 

一歳半検診や、三歳児検診で発達の課題が見つかるお子さんもいますが、そこでは引っかからず、就学してから、場合によっては就労してから「もしかして…」と思うこともあります。

 

その場合の相談場所について代表的なものは以下のものになります。

 

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学校のスクールカウンセラー

各小学校や中学校、高校にはスクールカウンセラー(以下SC)の方がいらっしゃいます。週に1回から、月に1回程度巡回されていることが多いです。

 

まずはこちらに相談し、そこから支援センターなどに繋げてもらうのがスムーズな方法となります。

 

学校での様子や、家での様子を整理し、どんなところに相談に行けばいいかも聞いていただけます。無料で活用できるものですので、第一選択として考えてみましょう。

 

ただもしSCの面談日程がいつも埋まっていて相談できない事態がある場合においては、以下のものも参考にしてみてください。

 

 

児童発達支援センター

地域の障がい児や家族の支援を行う場所です。社会的スキルなど集団生活に馴染むためのトレーニングを受けることもできます。「お住まいの地域名+児童発達支援センター」で検索してみてください。

 

 

発達障害者支援センター

子どもだけでなく、大人の相談も受けられる場所です。都道府県・指定都市自ら、または、都道府県知事等が指定した社会福祉法人、特定非営利活動法人等が運営しています。

 

こちらも「お住まいの地域名+発達障害者支援センター」で検索してみてください。

 

 

発達障がいを専門とする民間のカウンセラー

有料のカウンセリングルームを指します。「最初はどう動いていいかわからない」など最初の一歩を踏み出すことが難しい場合は、民間のカウンセリングルームも活用できます。相談することで、どの機関につながることが適切かがわかります。

 

また継続してカウンセリングによるサポートを受けることができます。

 

 

その他の機関

子育て支援センターや、各自治体の窓口(市役所子育て支援課など)に連絡することで、道筋を知ることができます。

 

ネットの情報だけに惑わされるのではなく、専門家の目から助言を受けるようにしましょう。

【お子さんとの向き合い方はこちらもご覧ください】

 

▶︎発達障がいの診断

診断を受ける場合は、医療機関に行き、医師による診断を受ける必要があります。注意いただきたいのは診断は医師にしかできない、という点です。

 

もしカウンセラーなどから診断のようなことを言われたら、それを鵜呑みにするのではなく、まずは医師に診てもらうことを第一に考えましょう。

 

 

診断までの流れ

①医療機関に相談し、問診を受ける

②子どもの様子を診てもらう

③検査(WISCなどの知能検査・発達検査)を受ける

④観察や、検査結果によって診断を受ける

 

一見簡単に診断されそうですが、検査を受けるまで、また検査を受けてから結果が出るまでに少なくとも1ヶ月、長ければ数ヶ月かかることもあります。

 

特別支援教室や、学校に配慮を求める場合、行政からの支援を受ける場合は、それぞれに期間が存在します。

 

もし気になる場合は、早め早めに行動するようにしましょう。

 

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▶︎迷ったら一度ご相談ください

発達障がいに関しての基本的な考え方、動き方についてはここに述べたものが代表的なものになります。

 

まずは基本情報を集めることを大事にして、「理解すること」を第一に考えていきましょう。

 

お子さんに発達に課題があるかどうかを明らかにするのは、親御さんにとっても勇気の必要な行為になります。

 

迷われている方は、一度当事業所にご相談ください。お子さん、そしてご家族にとって最適な方法を考えていきましょう。

 

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■略歴:
中学時代に不登校を経験。その後学校復帰。関西学院大学に合格する。大学卒業後、人材紹介会社にてマーケティング・人事を経験。

 

あるひきこもりの青年に出会ったことから、起業を決意し、専門的なカウンセリング・学習サポートを行うOFFICE NAKAGAWAを2011年2月に設立。公認心理師、産業カウンセラーの資格を有する。

 

ひきこもりや不登校、発達障がいのご当人、並びにご家族のカウンセリング、学習サポートを行う。PTA、学校関係、行政関係など講演も行う。

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