できちゃう子不登校って何だろう?お子さんが学校に行きづらくなったとき、その理由を明らかにしたいと親御さんは思われます。しかしいくら考えてもその理由がよくわからないケースも存在します。もしかしたらお子さんは「できちゃう子不登校」かもしれません。

 

今日は「友達も多いし、勉強も平均以上にできる。部活動もできているし、何が理由なのかよくわからない」という不登校のお子さんのヒントをお届けします。

この記事でわかること

▶︎「できちゃう子不登校」とは何か?

▶︎その対応のヒント

▶︎学校との向き合い方

この記事を書いた人:なかがわひろか
▫️不登校・ひきこもり専門カウンセラー
▫️学校・PTA・自治体での不登校・ひきこもり講演多数
▫️自身も中学時代に不登校を経験

 

【家庭内でよくある不登校のあるあるについてはこちらをご覧ください】

 

▶︎できちゃう子不登校とは何か?

「できちゃう子不登校」とは聞きなれない言葉だと思います。これは近年私の元へのご相談の中である特徴を示す子どもたちについて私が名付けた言葉です。お子さんの様子を見ていて、こんなことを感じたことはないでしょうか?

 

▫️友達も多くて、休みの日などもよく遊びに行く

▫️勉強面はそれほど必死にやるわけではないけれど、平均点くらいは取る

▫️不登校中であっても大きく生活リズムが狂うわけではない

▫️学校に行けない間も趣味など自分の好きなことをやっている

 

お子さんが学校に行きづらくなると、親御さんもいろんなことを調べると思います。しかし上記に当てはまるお子さんの場合「うちの子はあまり当てはまらないものが多い」と感じ「どうして不登校になったのだろう?」と悩まれることもあると思います。

 

通常不登校とは、大きく以下の5つの側面の理由が複雑に絡み合いながら起こると考えられます。

 

不登校の理由

【不登校の要因】

1.    心理面:落ち込みや不安定

2. 身体面:起立性調節障害・過敏性腸症候群

3. 社会面:いじめ、先生との関係

4. 個人面:発達障がい・HSP

5. 家庭環境:親子関係・虐待・ヤングケアラー

【不登校の対応の基本についてはこちらの記事👇もご覧ください】

 

「できちゃう子不登校」もこれらの要因がないわけではないのですが、それぞれの要因が「弱い」タイプが多いと考えられます。

 

すごく落ち込んでいるわけでもなく、朝も起きることができ、いじめもなく、先生との関係性も悪くない状態で、発達障がいというわけでもなく、家庭環境も問題とは言えない状態です。勉強面も大きな問題があるとは言えません(むしろ成績は大して勉強していなくてもできます)。

つまり「できちゃう子不登校」とは、学校生活や人間関係や学力に問題がないにも関わらず学校に行きづらくなってしまう不登校のことを指します。

▶︎できちゃう子不登校あるある

これまでお会いしてきた中で「できちゃう子不登校の特徴」としては以下のことが挙げられます。

▫️勉強は頑張らなくても平均以上が「取れちゃう」

▫️授業を聞かなくても、勉強が「わかっちゃう」

▫️スポーツや部活動も「レギュラークラス」で「できちゃう」

▫️友達も多く、人気者で、みんなを盛り上げ、リーダーシップを「取れちゃう」

▫️先生からの受けも良く、人間関係をそつなく「こなせちゃう」

家庭の中でも、思春期特有の暴言や、乱暴な行動は見られることはありますが、特に何か問題があるわけではありません。幼い頃も育てにくい、ということもないことが多いです。

 

ギフテッドとは違う

ここまで読まれた方の中には「これってギフテッドではないの?」と思われた方もいらっしゃるでしょう。

 

「ギフテッド」と呼ばれる子どもたちの定義は、IQ130以上(人口の2%ほど)と言われます。ただ「できちゃう子不登校」は、ギフテテッドのことは指しません。天才的に物事ができるわけではなく「平均よりちょっと上のレベル」が「それほど努力しなくても」できてしまう状態です。

 

定期テストで言えば5科目合計350点〜400点弱というあたりです。一位を取るほどではないけれど、5~10番目くらいには入れる、通知表は3~4でちょっと4が多いかな?たまに5があるかな?という状態です。

 

ギフテッドのお子さんの場合は、おそらく満点に近い高得点を取ることが多いでしょう。そこまでできるわけではない、という点がポイントになります。

 

特に困りごとがないからこそ理由がわからなくなる

お子さんが暗い顔つきで、落ち込んでいる状態があると、親御さんも「今この子はしんどい思いをしている」と感じられます。いじめがある場合も、お子さんの気力は減退するので、やがてわかることがあります。

 

ただできちゃう子不登校は、「問題がない」と思われている子に起こるため、周りは困惑します。「何が理由なんだろう」と親御さんも先生も迷われます。考えても思い当たることがない。それができちゃう子不登校の特徴でもあります。

▶︎できちゃう子不登校の心理

「どうしてこの子が不登校に!?」と思う子の中にできちゃう子不登校がいることが多いです。通常不登校を経験するお子さんの場合、集団生活に馴染めなかったり、学力の課題が合ったり、人に気を遣いすぎて疲れてしまうことが挙げられます。

 

できちゃう子不登校の場合もこれらのことが当てはまらないわけではないのですが、また少し種類の違う悩みを持っています。例えば以下のようなものです。

 

【できちゃう子不登校の受けるストレス】

▫️毎日決まった時間に学校に行かなければならないこと

▫️決められた時間の間授業を聞くこと

▫️皆と同じことをしないといけないこと

▫️自由度が低いことを強制されること

▫️理不尽なルールを押し付けられること

▫️大人の顔色を見て行動しないといけないこと

共通点は「自由度」です。できちゃう子不登校の場合、教科書を10分も読めば、勉強のことは理解できます。問題演習も数問解けばパターンがわかります。

 

そのため、50分じっと椅子に座って、授業を聞かなければならない授業を苦痛に感じることがあります。しかもそれが6時間あり、それが5日間(私立の場合は5日半)続くことになります。

 

自由度が低く、皆と同じことをしないといけないということについて「理不尽なルール」を押し付けられているように感じますし、受験生の場合内申点を気にすることも出てきます。大人(親や先生)の顔色を見て行動しないといけないことにも強いストレスを感じます。

 

発達障がいともまた違う

このようにお伝えすると「それは発達障がいがあるのではないか?」というご意見も出てくると思います。端的にいうと、発達障がいとはまた異なります。

 

発達障がい(特にASD)と異なるのは、友達関係です。発達障がいを抱えるお子さんの場合、人間関係にトラブルが起きることが多いです。

 

できちゃう子不登校の場合は、良好な関係性を築くことが多く(たまに学校に行くとクラスメイトに囲まれたりするほど人気があることもあります)、リーダーシップを発揮することもあります。物事をそつなくこなすことができるため、発達障がいとは言えないケースです。

 
できてしまうが故の苦悩がある

何をやらせても、平均以上にできてしまうからこそ、皆と同じにやらないといけない、足並みを合わせないといけないということにストレスを感じるようになります。

 

できちゃう子不登校にあるのは「学校を決して嫌っているわけではない」ということです。むしろ行けるときは全然行っても問題ない、と思っています。嫌っているわけではないけれど、毎日同じことを繰り返さないといけないことにつまらなさを感じてしまうと言った方がいいでしょう。

▶︎できちゃう子不登校の日々

できちゃう子不登校の場合、不登校中の生活においても、それほど大きな乱れがあるわけではありません。

 

一時的に夜遅く寝て、昼過ぎるまで寝ることは起こり得ますが、かなり早い段階で生活のメリハリをつけることが多いです。

 

一般的に不登校と昼夜逆転はセットになりやすいです。朝方に寝て、夕方頃に起きてくることもあれば、毎日就寝時間や起床時間がズレることもあります(今日は朝8時に起きたけれど、翌日は昼14時に起きる、など)。

 

ただできちゃう子不登校の場合、ここまで狂うことはあまりありません。あくまで一時的なもので、早い段階で規則正しい生活(9時〜10時頃には起きることが多い)を送ります。

 

起きているときは、好きなことに時間を費やします。趣味が多い方は、漫画や動画鑑賞、ゲーム、はたまた運動をしたり、楽器の練習を何時間もしたり、プログラミングに精を出すこともあります。

 

通常不登校は気力が減退することが多いのですが、ある程度休むことができたら、自分の好きなものに情熱を注ぎ、学校に行っていないけれど、忙しく日々を過ごすようになります。ある子にはこう言ったことがあります。「学校行ってる暇ないね?」。そのくらいやりたいことが多く、1日をフル活用するのが、特徴です。

 

自分の好きなことについては、周りが何も言わずとも情熱を持って熱心に取り組みます。ただやりたくないこと(その最たるものは勉強です)はなかなか手をつけようとしません。「やったらできる」こともわかっているので、コツコツと勉強することは苦手な方も多いです。

▶︎できちゃう子不登校にフリースクールや別室が合わないわけ

学校が合わないのであれば、フリースクールや、別室登校の方が合っているのではないか?と思われると思います。

 

確かに一時的には「こんな場所もあるんだ!」と喜んで行くこともあります。ただあくまで一時的にです。

 

フリースクールはその名の通り、自由度が高い学校ではあるものの、その分制約も少ないです。実はこれができちゃう子不登校にとっては、味気ないものになります。

 

初めは新鮮でいいのですが、慣れてくると「刺激がない」と感じるようになります。自由度が高いことは理想なのですが、かと言って自由過ぎるのも困るのです。ある程度適度な刺激がある環境の方が、合っていると言えます。

 

別室や保健室登校も、一時間くらいは行きますが、それ以上は「飽きて」しまいます。適応教室も同様です。ある程度の刺激がある中で、自分の裁量権もある環境が、適している状態となります。そのため、フリースクールや、別室、適応教室は、実は不向きになります。

 

▶︎できちゃう子不登校対応の3つのヒント

ここまで読まれて、「うちの子も当てはまる」と感じられた方はきっとこう思われているでしょう。「じゃあどうしたらいいんだ?」

 

学校のように決まりきったことをやるのも嫌、かといって制約がないフリースクールも嫌となれば、親御さんとしても困ってしまいます。

 

しかし大事なことは「できちゃう子不登校」が抱える特性をうまく活かしていくという発想です。

 

程よい刺激は必要なのです。なので学校に全く行かないというのもつまらないのです。ここからはどのような接し方が必要かについて考えていきましょう。

 

①本人の裁量を最大限尊重する

できちゃう子不登校は、周りからこうしろ、ああしろと言われることを嫌います。一方で、自分で何をすればいいかを考える力は強いです。そのため、本人の考えを尊重する姿勢が重要です。

 

「こんなことをやるより勉強してほしい」という思いも出てくるかと思いますが、まずはお子さんの思うようにやってもらうことを大前提とします。

 

そして提案するならば、「他の子がやっていないこと」を伝えるのもいい刺激になります。過去には小説やエッセイの賞に応募したり、学校では学ぶことのない音楽理論について熱心に取り組んだ方もいます。

 

絵が得意な方は、SNSに画像を掲載して、仕事の依頼を受けるようになった方もいます。ネット犯罪に巻き込まれないようにするのは大前提ですが、危険のない範囲で、オンラインも活用した展開は十分に可能です。

 

「学校に行っていないのに、こんなことをさせていいのだろうか」とつい親御さんとしては感じてしまうと思います。犯罪に触れないこと、本人に危険がないことを前提とできるならば、むしろやってみることをお勧めします。「人と違うことをやっている」ことがモチベーションにつながるからです。

 

②学校は「大学」のように考える

大学に行ったことのある方は、大学の持つ自由度をよくご存知だと思います。理系などはカリキュラムが厳しいので、余裕はあまりありませんが、文系の場合、本人の裁量権が非常に大きいです。

 

授業の取り方によっては、土日祝以外に、週に1日〜2日休みを作ることができます。例えば月水金は朝から最後まで授業をフルに入れて、火木はオフにする、ということもできます。午前中に授業を固めて、昼からはアルバイトや部活に精を出すこともできます。

 

学校は授業の時間割がきっちりと決められていますが、大学は自分で決めるところです。高校の場合は単位の問題があるので、自由度は低くなりますが、小学校や特に中学校においては「自分が好きな科目だけ行く」というような「大学方式」に発想を転換してみることもお勧めしています。

 

例えば数学は好きなので、数学の授業は出るけれど、国語はあまり好きじゃないので、その時間は別室や保健室で過ごしたり、早退したりするようなイメージです。

 

学校の先生とも話し合いながら、学校に行きづらい段階においては、このような方法で通うことを提案してみるのもいいです。「他の生徒に示しがつかない」と言われた場合は「学校に行きづらい状態を少しでも改善するための方法ということでご説明をお願いしたい」と伝えてみましょう。

 

できちゃう子不登校の場合、中学や高校はよく欠席をしていたけれど、大学の授業には真面目に取り組む方も実は多いです。真面目どころかGPA(大学の成績)においても、上位30%以内に入る方も少なくありません。その後倍率の高い専門職に就く方も多いのです。

 

自由裁量があることで生き生きとする傾向が高いのができちゃう子不登校の特徴でもあります。大学のシステムのように考えてみましょう。

 

③特別な課題を出してもらう

できちゃう子不登校の場合、学校程度の勉強だとそれほど努力せずとも平均点くらいを取ってしまいます。そのためあまり面白くありません。

 

例えば宿題の出し方においても、通常のものだけでなく「エッセイを書いてみよう」などを特別課題(自主勉強の形で構いません)として出すと嬉々として取り組むことがあります。

 

通常、学校は学期末のテストが終わった後であれば、授業も進まないこともあります。例えばその一時間の授業を企画してもらうのも喜んで取り組むことがあります。

 

「学校に来れていないから、あまり任せてはいけない」ではなく全く逆の発想で「むしろ任せてみる」ほうが生き生きと取り組むこともあるのです。

 

ある程度責任と裁量権を任されることが良い刺激になることがあります。この辺りも先生と話し合いながら、可能な限り対応していただくようにしましょう。

 

▶︎学校の捉え方を斬新な切口で考えるのがポイント

できちゃう子不登校の場合、学校という存在の捉え方を変えることがポイントになります。学校は我慢してみんなと同じことをしないといけない場所、ではなく、同級生が多くいる場所で、いろんな人と関われる場所、として捉えてみます。

 

家で一人でやりたいことをやるのも得意ですが、そればかりだと刺激がなくなります。人と会うことが大きな刺激となるので、たまにそれを味わいに行くというように捉えてみるのです。

 

「学校に行かないといけないものだ」と考える方が今も多いと思います。大人の方が発想を柔軟にする必要があります。「大学のように考えてみる」「友達に刺激を受けに行く場と考えてみる」というように学校の存在を多角的に捉えるようにしてみましょう。

▶︎お子さんに合った学校との付き合い方を考えてみる

できちゃう子不登校のお子さんは、学校を蔑ろにしているわけではありません。むしろ友達と過ごすことのできる場所は必要なものだと考えています。

 

けれど、毎日通うのはしんどく感じることがありますし、自由度が低い活動が続くのもつらくなります。

 

かといってずっと休むのも本意ではありません。毎日、毎時間の強制が苦しいので、たまに行ったりするのはむしろ望んでいることでもあります。

 

学校の捉え方を見直し、学校での役割も担いながら、お子さんのペースに合った形で学校に通う方法を考えてみましょう。

 

「でもこんなことを続けていると怠け癖がつくのではないか?」と思われると思います。そんなことはありません。むしろ「完璧にしないといけないのに、それができていない」ことにストレスを感じています。

 

怠けてはならない、ではなく「怠けるくらいがちょうどいい」のです。うまく力を発散し、「今日は行く日。今日は休む日。」と考えられるようになると学校への負担が減ります。負担が減ると、自然と学校に行く頻度が増えるようになります。

 

自発的に自分の行動を考える力を持っているので、お子さんにある程度の裁量権を持ってもらいながら、学校との付き合い方を考えてみましょう。

 

【怠けているように見えても実はそうではありません。その理由は👇からどうぞ】

 

▶︎できちゃう子不登校でお悩みの方はご連絡ください

できちゃう子不登校の場合、柔軟な発想力が必要とされます。従来の不登校対応では対応しきれない部分が出てきます。対応が難しいと感じる方は、一度ご連絡くださいね。

 

頭を柔らかくして、お子さんのこれからについて一緒に考えていきましょう。

 

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プロフィール写真

■略歴:
中学時代に不登校を経験。その後学校復帰。関西学院大学に合格する。大学卒業後、人材紹介会社にてマーケティング・人事を経験。

 

あるひきこもりの青年に出会ったことから、起業を決意し、専門的なカウンセリング・学習サポートを行うOFFICE NAKAGAWAを2011年2月に設立。公認心理師、産業カウンセラーの資格を有する。

 

ひきこもりや不登校、発達障がいのご当人、並びにご家族のカウンセリング、学習サポートを行う。PTA、学校関係、行政関係など講演も行う。

 

初めまして、不登校・ひきこもりカウンセラー(公認心理師)なかがわひろかです。

 

今このブログをお読みいただいている方は、お子さんの不登校のことで日々悩んでいらっしゃると思います。

 

私はあるひきこもりの青年と出会ったことをきっかけに「心の問題で悩む人たちの助けになりたい」と思い心理相談室OFFICE NAKAGAWAを2011年に立ち上げました。これまで12年以上にわたって親子のサポートや8050問題にも取り組んでいます。

 

学校に行けなくなったとき、お子さんも親御さんもどうしていいかわからなくなると思います。

 

私が得意としている分野は次の3つです。

1. 不登校やひきこもり、またそのご家族のケア

2. 心理療法を応用した学習サポート

3. 親子の関わり方

今が一番辛い時期だと思います。でもきっと脱け出すことができます。どうやったらいいのかという「具体的な方法」について一緒に考えていきましょう。

 
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