不登校は「怠けているのではないか?」という意見も聞かれます。このブログでは不登校とは甘えではなく、毎日が葛藤の中に置かれている状態であることをご説明します。

 

お子さんのことをより深く理解したい方、学校の先生やお子さんを取り囲む方へのご説明のヒントにしていただけたらと思います。

 

この記事でわかること

▶︎不登校が怠けではない理由

▶︎子どもたちの毎日の心理

▶︎子どもたちをありのままに受け入れること

 

この記事を書いた人:なかがわひろか
▫️不登校・ひきこもり専門カウンセラー
▫️学校・PTA・自治体での不登校・ひきこもり講演多数
▫️自身も中学時代に不登校を経験

 

▶︎不登校は怠けているんじゃないか?

 

「遅くまで起きて、お昼過ぎまで寝ている」「家にいるときはゲームばかりやっている」「家のことも何もしようとしない」そんなお子さんの状態を見て「不登校は怠けているんじゃないか?」と疑問に思われることもあると思います。

 

また祖父母や親戚からも「甘やかしているんじゃない?」と指摘を受けることもこれまであったのではないでしょうか。

 

確かに好きな時間に寝て、起きて、好きなことをやり、家のことも家族任せの様子を見ると怠けているようにも見えます。

 

「怠けさせたらいけないから、厳しく接したほうがいいんじゃないか?」「無理矢理でも学校に行かせるように登校刺激したほうがいいのだろうか?」親としての対応にも迷われるでしょう。

 

ここでは「怠け」とは何かについて考え、その上で「不登校は怠けているわけではない」という点について説明します。

 

▶︎不登校の大原則とは

「怠け」はこのように言われます。

 

なすべきことをしない。働かない。ずるける。(goo辞書

 

ここで着目する点は「しない」「働かない」という点です。つまり「怠ける」には「意思」があると考えられます。

 

意思を持って、自分はその行動(学校に行く、働く、勉強する)を「しない」ことが「怠ける」という意味になります。

 

では不登校はどうなのか。不登校の基本的な考え方は学校に「行かない」のではなく「行けない」状態であるということです。

 

強い意思を持って「学校に行かない」場合は、「怠けたい」という思いが背景にあることもあります。一方でやりたいことがあり、学校に行っているのが勿体無いので、意欲的にやりたいことをやることもあります。

 

しかし不登校は「行かない」ではなく「行けない」なのです。つまり「行けるものなら行きたいけれど、それができない状態」と言えます。

 

積極的に行きたいわけではないけれど、皆が行っているので行かないといけないとは思う。しかしそれができない。それが不登校のリアルな思いになります。

 

不登校を考える際にはまずこの心理に着目する必要があります。しなくちゃいけないけれどもできない。子どもたちが抱えているのは怠けたい気持ちではなく「葛藤」なのです。

 

▶︎不登校が怠けではない5つの理由

この原則をもとに、不登校が怠けではない理由は次のものが挙げられます。

 

【不登校が怠けではない5つの理由】

1.  好きなことをやる気力が湧かない

2. 家にいても楽しそうではない

3. 学校や勉強、進路のことを気にしている

4. 気持ちに波がある

5. 同級生のことを強く意識する

 

 

 
1. 好きなことをやる気力が湧かない

 

「怠け」の場合は、やるべきことをやらないという意思があるため、好きなことには意欲的に取り組みます。

 

しかし不登校の特に始まり出した頃は、抑うつ状態が強く、「何かをやろう」という気持ちが乏しくなります。

 

それまで好きだったゲームやネット、漫画など好きなことにも意欲が湧きません。休んでいても頭の中では学校のことを気にしています。学校のことを考えるだけで一日が過ぎているといっても過言ではないのです。

 

 
2. 家にいても楽しそうではない

好きなことをやる気力が湧かないため、気持ちも晴れやかになることがありません。家の中でも笑顔が減り、会話も途切れがちになります。

 

部屋に閉じこもることも増え、昼夜逆転になることもあります。もし「怠け」であるならば、もっとのんびりと自由な時間を過ごすことができます。

 

しかし内心では「学校に行かないといけないのに、どうして自分にはできないのか」の思いが強くあります。

 

 
3. 学校や勉強、進路のことを気にしている

このまま学校に行けなかったら成績や進学はどうなるのか。その不安も常に持っています。楽しい動画を観ていてもふと学校のことがよぎります。

 

そこから学校に行けていない自分が、この先どうなるのか見通しが立たず、気持ちが減退していきます。

 

 
4. 気持ちに波がある

行かないといけないのに、行けないことで、イライラが溜まってきます。些細なことで急にキレたり、泣き出したりすることがあります。

 

夜中に布団にくるまって、ずっと自問自答を繰り返すこともあります。かと思うと急に多弁になり、朝まで親を相手に話をすることもあります。

 

心が休まっていないため、気持ちの波にお子さん本人も翻弄されます。

 

 
5. 同級生のことを強く意識する

特に中学生にとって、同級生との関係性はもっとも重要なものになります。部活をやったり、勉強をしたりしている同級生と自分との違いを強く意識します。

 

考えないようにしていても、SNSなどで情報を得ることもあります。楽しそうにしている同級生、進路のことを考えている同級生、テストに文句を言っている同級生。

 

そんな同級生と自分を比べ、自分は何もできないと感じたり、一方で少しでも勝てているところを必死になって探すようになります。

 

【お子さんとの上手な対話法についてはこちらもご覧ください】

 

▶︎四六時中学校のことを考えている

 

不登校状態になると、子どもたちはここにあげたようなことを常に四六時中考えることになります。

 

周りから見ると学校にも行かず、好きなように寝て起きて、自由に生活しているように見えるかもしれません。

 

しかし頭の中では常に(常にです)今の自分のこと、学校のこと、勉強のこと、進路のこと、同級生のことを考え続けています。

 

気楽そうに見えるのは外側だけで、頭の中はずっと不安と悩みが渦巻いている状態なのです。

 

怠けている子はこうはなりません。意思を持って怠けているので、好きなことにも意欲的に取り組みますし、他と自分を比べることもしなくなります。

 

ここまで述べておわかりいただけたように、不登校は怠けではないのです。

 

▶︎むしろ怠けられるようにする

私はむしろ「怠けられるようにする」ことが大事だと考えています。毎日葛藤の中にいると心は休まることはありません。

 

しかし少しずつ周りが自分の状態を受け入れてくれることによって、葛藤に向き合えるようになります。

 

完璧主義になっていたところや、もう少し緩めて考えてもいいところが見えてくるようになります。

 

葛藤状態がほぐれてきたときに、やっと心は休めるようになります。休息することができると、心に余裕を持てるようになります。やがて暇を感じるようになり、好きだったことにも取り組めるようになります。

 

つまり「怠ける状態」になれるということです。怠けられるようになるのは、葛藤状態がほぐれ、心がリラックスできているということです。

 

リラックスすることができると、学校の捉え方も悲観的だったものから変化していきます。「学校なんて二度と行きたくない」と考えていたのが「放課後くらいだったら行ってみようかな」と思えるようになります。

 

不登校は怠けているわけではありません。むしろしっかりと休息することで「怠けられる状態」を目指していくものなのです。

 

【親子の基本的な関わり方はこちらをご覧ください】

 

▶︎上手に怠けられる方法を知る

人生フルパワーで何事も全力に生きていくことは理想かもしれません。しかしハードに使い続けた車のタイヤが摩耗するように、全力を続けているといつかパンクしてしまいます。

 

ときに気持ちを抜きながら、上手に怠けることができるようになること。人に迷惑にならない程度にさぼることを身につけること。実はこれがこれからのお子さんの人生を生きていく上で必要な力になります。

 

不登校は怠けで起こるものではありません。むしろ怠けることができないからこそ、限界まで追い詰められて引き起こされるものです。

 

怠けられないから、心と身体が疲弊していきます。むしろ上手な怠け方を身につけられるようにしていくことが不登校状態を解消する一助になります。

 

「子どもは怠けているようにしか見えない」と思われた方は、今日の記事をお読みいただいた上で、お子さんの様子をもう一度よく見てみましょう。

 

お子さんに笑顔があるでしょうか。趣味を楽しめているでしょうか。気持ちの波は穏やかでしょうか。

 

もしこれらの状態が見えないようであれば、お子さんは無理をして日々を過ごしています。心の中で学校に行かないといけないのに行けていないことへの強い葛藤を抱いています。

 

お子さんの心の奥深くになることを知ることで、怠けの捉え方が変わってきます。むしろ上手に怠けられるようになることを目指していくことの重要性をとらえていきましょう。

 

▶︎お子さんを受け入れることから始まる

怠けではないことが十分にご理解いただけたら、まず行うことは一つであることに気づかれると思います。

 

それは「受け入れる」ということです。お子さんは日々葛藤の中にいます。そのため心の元気を失い、生活リズムが狂い、周りから見ると「怠けている」ように見える状態になります。

 

そのお子さんの状態を受け入れることから始まります。うまく説明できない葛藤があるということを知り、まずお子さんが安心して葛藤の中に身を置ける状態を作ることが第一歩になります。

 

この状態のときに、「どうして学校に行けないのか?」「学校に行かないと大変なことになる」と言ってもお子さんは追い詰められた気持ちになります。

 

お子さんも十分に理解しています。だから葛藤するのです。うまく説明できない心の動きがあることを丸ごと受け入れることで、お子さんは自分の思いと向き合うようになるのです。

お子さんの思いに共感し、受容すること。まずはここから始めましょう。

 

 

【不登校の対応の基本についてはこちらの記事👇もご覧ください】

 

▶︎お子さんへの接し方に困ったら

 

「これは怠けなのだろうか?それとも苦しんでいるんだろうか」と迷われたときは、一度ご相談ください。OFFICE NAKAGAWAでは無料相談を行っています。

 

どこにも相談するところがない、親としてどう対応していいかわからないときは一度ご利用ください。課題を整理し、より良い方法を考えていきましょう。

 

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■略歴:
中学時代に不登校を経験。その後学校復帰。関西学院大学に合格する。大学卒業後、人材紹介会社にてマーケティング・人事を経験。

 

あるひきこもりの青年に出会ったことから、起業を決意し、専門的なカウンセリング・学習サポートを行うOFFICE NAKAGAWAを2011年2月に設立。公認心理師、産業カウンセラーの資格を有する。

 

ひきこもりや不登校、発達障がいのご当人、並びにご家族のカウンセリング、学習サポートを行う。PTA、学校関係、行政関係など講演も行う。

 

初めまして、不登校・ひきこもりカウンセラー(公認心理師)なかがわひろかです。

 

今このブログをお読みいただいている方は、お子さんの不登校のことで日々悩んでいらっしゃると思います。

 

私はあるひきこもりの青年と出会ったことをきっかけに「心の問題で悩む人たちの助けになりたい」と思い心理相談室OFFICE NAKAGAWAを2011年に立ち上げました。これまで12年以上にわたって親子のサポートや8050問題にも取り組んでいます。

 

学校に行けなくなったとき、お子さんも親御さんもどうしていいかわからなくなると思います。

 

私が得意としている分野は次の3つです。

1. 不登校やひきこもり、またそのご家族のケア

2. 心理療法を応用した学習サポート

3. 親子の関わり方

今が一番辛い時期だと思います。でもきっと脱け出すことができます。どうやったらいいのかという「具体的な方法」について一緒に考えていきましょう。

 
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