総集編-2 京都紅葉便り2010 | 西陣に住んでます

総集編-2 京都紅葉便り2010

西陣に住んでます-清水寺

(清水寺)




京都紅葉便り2010の最後の記事では、

2010年の京都の紅葉の全体的なトレンドを振り返ってみたいと思います。




今年の京都の夏は、他の日本の地域と同じように恐ろしく暑く、

大文字山吉田山ナラの木が枯れてしまったり[→記事]

10月後半になって平安神宮左近の桜が開花してしまったり[→記事]

紅葉がどうなっちゃうのか、ホントに心配しました。


そんな心配のさなか、11月の初旬の段階では、

平年にはぼちぼち紅葉している高雄の神護寺・西明寺や鷹峯の光悦寺で

紅葉が大幅(1週間くらい)に遅れるという現象が見られました[→記事]


11月の2週目には比叡山の紅葉も遅れていました。

ただし、高雄ほどの遅れではなく、

やや遅れが少なくなってきたような気がしました。


11月の3週目に入ると、紅葉はやや遅れているものの

去年とそんなに変わらない程度にまでになってきました。

また、逆に今熊野観音寺などではやや早い紅葉が観測されました。


4週目になると、ほぼ去年並みのペースで紅葉が進み、

5週目には、長楽寺など去年よりも速いペースで進んでいる箇所が

いくつか認められました。


以下、このような現象のメカニズムをロジカルに検証してみたいと思います。


下の3つのグラフは、

平年、2009年、2010年の9月-11月期の京都の気温変化を

日平均気温、②日最高気温、③日最低気温の別に比較したものです。


西陣に住んでます-2010年の日平均気温の変動

西陣に住んでます-2010年の日最低気温の変動

西陣に住んでます-2010年の日最高気温の変動


これらのグラフを見ると、今年(赤)は9月~10月にかけて平年(黄)よりも暑く、

11月はだいたい平年並みだったことがわかります。


ここで、「ある程度寒くなってくると紅葉が始まる」と仮定します。

この仮定が合理的で実現象と違和感がないことは自明です[→記事]


このような仮定の下で

「ある程度寒くなってくる」ということを数値で表現するために

移動平均という方法を使います。


まず、11月1日~11月30日までの1日ごとに、

その日からさかのぼって過去10日間、20日間、30日間、40日間の

気温の平均値(移動平均)を求めます。

この値を求めておくと、

その日までどのくらい寒かったか、または暑かったかがわかります。


次に、2009年と2010年で

同じ日の移動平均値を比較してグラフにプロットすると、

次の3つのグラフが得られます。


西陣に住んでます-日平均気温移動平均


西陣に住んでます-日最高気温移動平均


西陣に住んでます-日最低気温移動平均


これらのグラフで斜めの点線よりも上側に値がプロットされるとき、

2010年の方が2009年の同じ日よりも暖かい環境に置かれていたと言え、

斜めの点線よりも下側に線がプロットされるときには、

2010年の方が2009年の同じ日よりも寒い環境に置かれていたと言えます。


さて、上の3つのグラフには全部で12個のラインがありますが、

このうち、今年の京都の紅葉の進行を強く支配したものとして

私が着目するのは、日平均気温の前40日間の移動平均値のライン↓です。


西陣に住んでます-日平均気温移動平均(前40日)


この赤いラインは、

「京都の紅葉の進行度合いは過去40日間の気温に影響される」

と仮定した場合の紅葉の進行度合いを説明するものです。


このように仮定すると、今年の紅葉の進行プロセスについて

次のようにめちゃくちゃ合理的に説明することができるんです。


右矢印2010年11月の初旬は、2009年よりも過去40日間の気温が高かったため、

  紅葉の進行が遅れた。


右矢印2010年11月中旬以降は過去40日間の気温が2009年と近づいていき、

  そのため紅葉の進行の遅れも少なくなった。


右矢印2010年11月20日頃になると、過去40日間の気温が2009年とほぼ一致し、

  紅葉の進行が去年並みになった。


右矢印2010年11月の最終週は、2009年と比べて過去40日間の気温が低く、

  紅葉の進行が早まった。


以上のことから、来年以降は、過去40日の平均気温をインデックスとして

より科学的に紅葉の予測をしてみたいと考えます(笑)。



ところで・・・



今年の京都の紅葉は平年に比べてとっても鮮やかに感じました。

特に元々鮮やかなものがより鮮やかに染まっていたと思います。


西陣に住んでます-直指庵

(直指庵)


モミジが鮮やかに染まるかどうかのカギとなるのが、

葉を赤くするアントシアニンの形成です。


このアントシアニンの形成に影響を与えるファクターとしては、

日照量が考えられます。


日照量が多ければアントシアニンの量も増えるわけです。

残念ながら気象庁のWebsiteには日照量の値が公表されていないので

代わりに公表されている日照時間を見てみたいと思います。


西陣に住んでます-日照時間


このグラフを見ると、今年は10月後半に日照時間が極端に少なく、

平年よりもむしろアントシアニンの形成量は当初少なかったものと
考えられ、紅葉の鮮やかさの理由を説明できません。


それではどうして今年の紅葉は鮮やかに感じたのでしょうか?


私が思うに、

それは11月の昼夜の寒暖差が非常に大きかったためだと思います。


過去記事の[紅葉を科学しちゃう] でディスカッションしたように

「昼夜の寒暖差が大きい」ことは「一気に寒くなって日がよく照る」ことを

示すものであり、紅葉をキレイにする大きなファクターでもあります。


下のグラフを見るとわかるように、今年(赤)は平年(黄)に比べて

11月の昼夜の寒暖差が非常に大きかったことがわかります。


西陣に住んでます-日気温差


・・・というようなわけで、


今年の紅葉のトレンドは、

科学的にもだいたい説明できることがわかるかと思います。


まぁ、科学的なことはさておき(笑)、

最後に、京都の紅葉の最後を飾る下鴨神社糺の森の未公開写真を

紹介したいと思います。


西陣に住んでます-下鴨神社糺の森

西陣に住んでます-下鴨神社糺の森

西陣に住んでます-下鴨神社糺の森

西陣に住んでます-下鴨神社糺の森

西陣に住んでます-下鴨神社糺の森

西陣に住んでます-下鴨神社糺の森

西陣に住んでます-下鴨神社糺の森

西陣に住んでます-下鴨神社糺の森


ホントにキレイですね~ でもちょっぴりさびしいです・・・(笑)




最後の最後になりましたが、

今年も京都紅葉便りにご訪問いただきましてありがとうございました!


今年は、京都紅葉便りの英語版を作成するという

無謀なトライアル(笑)も行い、私自身かなり楽しんで記事をアップしました。


そして、何よりも!

皆様にご訪問いただけたこと、

そして皆様からいただいた一つ一つのコメントが

何より記事をアップするモチベーションになりました。


ブログにご訪問いただけた皆様、

そして、コメントを残していただけた皆様には、

ここに心から深くお礼する次第です。

(コメント返しが遅れていて大変恐縮です)


今年の京都の紅葉もホントにドラマチックでした~!


ちなみに私が今年見た中で特に印象に残ったのはこちらです。

(順不同)→


来年もまた楽しみです~




[京都紅葉便り2010総合案内]
[京都紅葉攻略作戦2010]

[Fall Foliage in Kyoto - English Guide]