猫の扁平上皮癌【状態・治療】~とらこの場合~ | とら婆 さび姐 新米なぎ

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(2017/9)

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メモはじめに
老齢、すでに転移している可能性などを考え、摘出手術、放射線治療は行わず、症状を抑え進行を遅らせる処置(ターミナルケア)を選択。
サプリメント、オゾン治療等、迷ったが試さなかったものもある。
あくまで、とらこという個体のケースなので、ご了承いただきたい。

半月ごとにまとめたので、多少わかりづらい部分があるかもしれない。
ビックリマーク」は自分の主観なので、参考程度に読んでいただきたい。
終わりに、お世話になった主治医について、自分なりに書いてみた。

メモ状態・治療
診断~半月 最初の診断
$とらこが大好き【診断】
検診時、手が汚れていたことから、主治医が口腔を診察。右下顎外側に直径1センチ強の木苺状の腫れを確認。口腔癌の可能性を示唆。悪性黒色腫(メラノーマ)、扁平上皮癌、線維肉腫のうち、メラノーマは除外。腫瘍部を傷つけると進行が早まるため、病理検査はなし。歯がややぐらついていたが、抜歯も悪化の原因となるため様子見。最近の変化と患部の状態から、扁平上皮癌の可能性が高いと診断。

【1~2ヶ月以内に気付いた変化】
・口臭が強くなった(2ヶ月)
・ドライフード(直径 9mm)を食べなくなった(1ヶ月)
・水を飲むのが下手になった(半月)
多尿多水もあったが、原因が腎臓か癌かは不明。
ビックリマーク前足の汚れは頻繁に口を拭っているサイン、口内の病気の早期発見に繋がる可能性あり。

【治療】
非ステロイド系粉薬。癌の進行を遅らせることが目的。
腎臓に負担がかかるので、通常処方する量の半分。2日に1回。
「3日に1回になってもいいが2日続けては厳禁」と釘を刺され、偶数日を薬日に。

診断後 半月~1ヶ月 むら食い
【状態】
体重変化なし。むら食いが目立つ。ドライフードを食べなくなる。
口の周りの腫れが目立ち始める。
行動、水、排泄は普段通り。人間の手や顔を舐めなくなる。
口臭に膿のにおいが混ざっている。患部側からよだれを流す。
ビックリマーク口を拭うときに傷をつけ少量出血することがあるので、爪の状態も要チェック。

【治療】
自宅での投薬続行。
化膿止めの抗生剤を注射するため2週間に1度通院

診断後 1ヶ月~1ヶ月半 また出血
【状態】
体重変化なし 3~3.2キロ。むら食い+好みが毎日変わり、1回の食事量が減る。
自壊が始まる。出血量が多くなかなか止まらない。
出血直後は食欲がある。食べたがる時は食べさせていいそうだ。
口の周りから顎(喉)にかけても腫れが目立ち、触ると大きなしこりがあるのがわかる。グルーミングはほとんどしない。よだれは前ほど垂らさない。
ビックリマーク何かを口に含んでいる時ではなく、ベッドや椅子から飛び降りる、という動作の後に出血が見られた。小さな衝撃がきっかけになっているのかもしれない。

【治療】
自宅での投薬、抗生剤の注射続行。
大量出血後は、病院で止血のためビタミンk、トランサミン(トラネキサム酸)、アドナを注射。3本の相乗効果ではなく、血が止まりにくい(凝固しない)様々な原因に個別に働きかける。この中の1本が吐き気をもたらし、血液を飲み込んでいると、黒ずんだ吐瀉物が出る。

診断後 1ヶ月半~2ヶ月 試行錯誤~
【状態】
体重減少 2.9~3キロ。食欲低下。うんちが減る。
自分の場所にこもっていることが多い。
腫れが一層大きくなる。口を拭う以外のグルーミングをしなくなる。
自壊で大量出血する。出血後は食欲あり。
病院で出血処置時、組織片が採れたため検査したところ、扁平上皮癌であることを確認。
ビックリマーク四肢の毛が血液が付着する。皮膚炎の原因になるので、できる範囲で拭いたほうがよい。

【治療】
変わらず。自宅での投薬、抗生剤の注射続行。出血後は注射3本。

診断後 2ヶ月~2ヶ月半 長い夜
【状態】
体重激減 2.5~2.9キロ。貧血、脱水が見られるので薬を変える。以後、出血なし。
点滴以降、食欲、行動ともに病気以前に近い状態に戻る。
首まわりの腫れが引いている。

【治療】
自宅での投薬中止、抗がん剤に切り替える。抗生剤の注射は続行。
一時的に癌の進行を遅らせ、体力回復の時間稼ぎをするのが目的。
当初、扁平上皮癌には抗がん剤は効かない、と説明されていたが、
この薬はがん細胞の栄養源を絶つ、がんを兵糧攻めにする種のもの。
ステロイドと併用するが、効果が期待できる期間は1ヶ月と短い。
副作用は極めて低いとのこと。 2013/2/16 扁平上皮癌と抗がん剤(猫)
2月23日~
水分200ml+食欲増進剤(人間にも処方される精神安定剤の一種を相当薄めたもの)を点滴。
ビックリマーク点滴は一時的な処置だと思ったが、2月23日から4月4日まで毎日この点滴を受けることになる。とらこの場合、幸い皮膚がボロボロになることも、穴が塞がらず点滴が漏れてしまうこともなかったが、毎日の通院は不可能、あるいは点滴の針が刺せなくなってしまう、というケースもあると思う。脱水の処置は長い目で見て考えるのがよいと思う。

2ヵ月半~3ヶ月 ベビーフード
【状態】
体重減少 2.2~2.5キロ。脱水状態が続く。水はあまり飲まない。
貧血で、動作が不安定になることがある。
また、トイレ以外の場所で排泄することがある。
口元、顎の腫れは大きくなり、口の周りや顎の毛は殆どなくなってくる。
食欲旺盛だが、食べる⇒腫れる⇒食べれない⇒膿が大量に出る⇒食べる の繰り返し。食事の時に粘りのあるヨダレを流すことが多い。
患部からの出血はなし。少量の膿は日常的に出ている。
ビックリマーク何をどうすれば食べるのか試行錯誤。食べたいときは諦めずに見つけてあげて欲しい。

【治療】
点滴続行。浮腫みの症状が出ると、状態にあわせ100~150ml。
通院が毎日なので、抗生剤は自宅での投薬ではなく注射。
3度目の抗がん剤(ガン細胞を兵糧攻めにする種のもの)の目立った効果はない。
薬の効果を持たせるためステロイドの一種も点滴に混ぜている。

3ヶ月~3ヵ月半 ターミナルケア
【状態】
体重減少 2.0~2.3キロ。脱水、貧血状態が続く。
点滴の水分が余ってしまうこともあり、浮腫みの多くは左足に見られた。
舌の裏にできた水泡が腫れ始め、飲み込むことが困難になる。
食欲旺盛というより、食べ物が腹まで満足に届かず、頻繁に食べ物を欲しがる。
声が出ないこともあり、動きも鈍い。
昼はトイレやペットシーツの上で排泄するが、晩はおねしょしてしまう。
うんちの頻度は減り、軟便~下痢へと変わってくる。
ビックリマーク「おねしょ」は自分が一緒に寝ていたせいかもしれない。「間に合わない」「動けない」のではなく、眠ったまましてしまうことが多かった。

【治療】
通院続行。点滴は体調を見ながら、都度先生が判断。

3ヵ月半~ 下々の事情とらこが大好き
【状態】
体重減少 1.8~2.1キロ。
ゆるやかに下降線をたどっているのがわかる。
4月2日 22時頃、アクシデントがあり出血
4月3日 夕方まで出血が続く
4月4日 体調悪化
4月5日、日付が変わって間もなく、飼い主が抱いている腕の中で最期を迎える

【治療】
4月4日まで点滴のため通院。
午後、体調悪化のため主治医に電話で相談。
カリウム注射の選択肢があったが、そのままとらこの家でとらこと過ごした。
※追記:この時のカリウム注射の選択肢は安楽死を目的としたものではない。

メモ主治医
今の先生がとらこの主治医になってから、まだ10年経っていない。
主に犬たちがお世話になっていたが、今回は本当にとらこの力になってくださった。

診断直後は、他の病院への紹介状を書いていただこうと、相談に行った。
診察時間内だったが、時間をかけて色々教えていただき、
最終的に自分達はターミナルケアを選んだ。

どんな手術にしても、大きな引き算のあとからの足し算、
老猫の苦痛を根本から取り除くことができないのなら、したくない。
とらこの命で「賭け」はしたくなかった。
主治医と自分の考えが近かったので、助けられたことが多かった。

毎日点滴をするようになってからは、休診日も毎回診てくださり、
費用の面でもご厚意をいただいた。
混んでいるときでも、自分が何か聞くと丁寧に説明してくださった。
他の患者さんに対しても同じなので、長い時間待つこともあったが、
信頼できる先生だ。

家族が「口以外から栄養を入れれないか」という相談をしたときも
静脈点滴は血管がぼろぼろになる、チューブは貧血があるので現実的ではない、
との理由から、勧められることはなかった。

これらはあくまで自分達のケースだが、
積極的な治療、手術、ターミナルケア、どんな選択をするにせよ、
飼い主と主治医が時間をかけて話をすることは大切なことだと思う。


※加筆、修正をすることがあります