社員の貢献を可視化する | A Day In The Boy's Life

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とあるエンジニアのとある1日のつぶやき。

企業内ウィキにシグネチャを: 第 1 回 ウィキサイトの規模不足を考える @ IBM developerWorks


企業内ウィキにシグネチャを: 第 2 回 シグネチャによるウィキへの参加動機の強化 @ IBM developerWorks


企業内ウィキにシグネチャを: 第 3 回 企業内ウィキでのシグネチャの役割 @ IBM developerWorks


これ読んで今まで自分が思ってたなんかもやもやした感じが晴れたような気がします。

これまで幾つか書いた記事の中を一気にまとめ上げたような記事で、読んでかなり納得してしまいました。

今まで書いたことと、このエントリを読んで感じたこをまとめて書いてみます。



Wikiを活用してくれる人の割合


1つ目は、やはりWikipediaのような情報共有ツールはそのまま持ってきてもうまくいかないのだなということ。

社員一人一人に書き込む動機がないと言う点はその通りだと思いますし、仮に動機の沸点が低い人(ちょっとしたことにやりがいを感じてくれる人)はかなりの少数派であると言うこともわかります。


- Enterprise2.0を作る人たち、支える人たち

例えばあなたが勤める情報システム部門に100名の従業員がいて、その中で自分が業務の対象としている、ある分野に対して社内のブログやWikiで積極的に情報を発信していったとします。
その他にも、積極的に情報を発信している人がいますが、その割合は全体ではそこまで多くありません。
パレートの法則に準えれば、それは2割程度の人たちによって発信されている事になります。
20名が、残りの80名のためにせっせと情報を生み出しているわけです。
そして、先の話と同じように特定分野での情報となるとさらに対応者は少なくなります。
2名か3名か、もしかしたらあなた1人でである分野について情報を発信し続ける事になります。

Wikipediaでさえ読む人から見て書き込む人の割合は、約0.003%と書いていますからこんなレベルでないことはわかります。

企業内で適当な書き込み者を求めるとなると、どれだけWikiの利用者を求めないといけなくなるか、それを考えると多くの企業ではそれが利用できないと言う判断を簡単に下すことは簡単です。



Wikiを活用する動機


社内でWikiを活用しないのは、活用事によるメリットがないと言うことになります。

もちろん自分に優位な情報は積極的に集めるでしょう。

ですがその逆の行動はなかなかとろうとしません。

結果として情報が溜め込まれないWikiは見ても変化のないもので、そこから知識を奪うだけ奪った人は無用の長物と化します。


- ナレッジを共有する!って前に考えること

Wikipediaの記事のレベルが低いって言う人がいますけど、そんな人でも共有しようと言う意識があるだけましではないかなと思います。
たとえ、それが内輪で「あの記事の内容ほとんど俺が書いたんだぜ」という程度の自慢をするために書いた、という動機であったとしても。
その人は、Wikipediaに書くことのメリットを感じているわけです。

先ほども言った動機の沸点が低い人というのはある種、特異体質の人だという印象を受けます。

自分が持っている情報の重要性を認識していたり、それを共有することで小さくとも変化を起こそうと言う前向きな姿勢を持っていたり。

ただ、全ての人にそういう意識を持てと言うのは少し酷だと思いますし、少なからず持ってたとしても、それがその行動に出る動機を超えることがなかなかありません。

その行動を取ることで得られること(例えば社内の地位や給料とか)と失うもの(例えばそれに費やす時間とか)を天秤にかけると失うものの方が上だと感じてしまいます。


例え情報共有が進み、それによって自分の仕事の労力が幾分減るとわかってても、未来の数時間を削るためにとる、今の数十分の行動のほうが無駄に感じてしまいます。

それだけ、社内のWikiを使うこと(というよりは情報共有を進めようとすること)への動機というのは見当たらないのが現状だと思います。



Wikiへの貢献度を可視化することによって得られること


最後に、その動機を作るために貢献度を可視化しようという取り組みはかなり納得がいきました。

誰が書いたエントリなのかと言うことがわかり、その名前が良く目につけば、その人の積極性が目に見えて理解できます。

そういう人を頼ろうとする社員も出てくると思いますし。


そういうことによって社内で情報の共有化を推し進める人を別の角度からねぎらうこともできます。

単に貢献度が高いからインセンティブを与えようとか、そういう方法なしに参加者の動機を上げられるのではないかなと。全てがお金で換算できれば良いと考えている人ばかりではないと思います。

自分が頼りにされているという印象を周りから得られることでモチベーションにつながりますし、一人でも感謝を告げられる人が出てくれば、その人のためにやっていると言う目的を見出すこともできます。


- 会社の人たちが仕事でWikiを使ってくれない

さらに、メールは複数人に送れるとはいえ、名指しして送ることが多いですので、1対1のコミュニケーションツールの感覚を持ちますが、Wikiの場合、不特定多数に発信するため、自分が誰のために書いているのかわからない、読まれるかどうか不安という感覚を持っているのではとも思います。

あの分野はあの人が得意だから聞いてみようという信頼感がうまれ、それによって誰かに頼りにされているという感覚とが入り混じって、情報発信者の動機は協力になっていくスパイラルが生まれるだろうなと。

こういうのは、ブログとかも同じで誰か見ず知らずの人からもらったコメントがうれしかったりしてそれが動機になって続けているという人も多いかと思います。


私でも誰かの役に立つ情報を発信できるかもしれないと言う、そういう良い循環が促進されることでWikiなど情報共有のツールって活用されていくのだろうなと。

強いては、そういう文化を社内に根付かせることが大切なのかなと感じました。