一から学ぶ東洋医学 No.16 東洋医学を支える三大理論③ 五行学説(1) 五行の関係 | 春月の『ちょこっと健康術』

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おはようございます
 

長らくほったらかしだったブログ、ようやく再開のめどが立ちました。 久しぶりに開いてみれば、エディタが変わっていてビックリ! 画像のアップロードが簡素化されていてビックリ! 浦島太郎気分(笑)。

 

振り返れば、「一から学ぶ東洋医学」シリーズの No.12 気の思想と陰陽をリニューアルアップしてから早2年。 こんなに経っていたなんて…と、またまたビックリ! とりあえず、前振りなしに、No.13 陰陽の分類No.14 陰と陽の関係No.15 医学への応用を、アップしておきました。 一部書き換えたり、付け加えたりしていますので、見返していただければ幸いです。


さて、陰陽論は、人も宇宙も、陰陽という二つの気の相互作用で生み出されたものという考えでしたね。 それに対し、五行論は、物質世界を構成する基本物質には五種類あって、その五種類が互いに支え合い、制御し合うことで、物質世界が成り立っていると考えます。

基本物質は(もく)、(か)、(ど)、(こん)、(すい)で、これを五行と呼びます。 

古代中国の日常生活と生産活動の中で、この五種類は欠かすことのできない物質だという認識から、五行論は出発しています。 陰は壮大な宇宙論でもあったけど、五行は身近なところから始まっている。


五行は当初、五材と呼ばれていました。 儒教の『春秋左氏伝』には「天は五材を生み、それを民は使う。ひとつも欠かすことはできない。」とあり、『尚書(書経)』には「水と火は百姓が飲食するものである。金と木は百姓が作業するものである。土は万物を生み出すもので、人が使うものである。」とされています。

この五材から世の中を眺めてみると、いろんなものを五材に似たものとして分類できて、しかもそれぞれの間に、何らかの法則が働いている…と考えると、アレコレうまいこと説明がついた。 そうして、五材を抽象化して、拡大解釈していって、五行に発展させたっていうことのようです。

これは、中国という広大な土地で、四季があり、地域差もあってこそ発展したんだろうと思います。 だって、陰陽は大丈夫ですけど、五行はそのまま日本に持ってくると、理屈に合わないこともありますもの。

たとえば、中国の東方は現在の山東省。 樹木が茂って、緑豊かな地域であり、その東側は海です。 西方は、砂漠の広がる乾燥地域。 北方は寒さが厳しく、南方は冬でも暖かい。 そして、中央部は二つの大河に挟まれた肥沃な土地。 ね? 五つに分けられるでしょ? 東西南北、周りはぜ~んぶ海の細長い日本じゃそうはいかない。

五行が互いに制御するという相克(そうこく)関係を最初に主張して、王朝交代理論に用いたのは、春秋戦国時代末期の鄒衍(すうえん)だと言われています。 秦漢の時代には、五行が陰陽と合体して、政治や社会活動の規範として使われ、さらに人体の生理や病理の説明にも使われ、医学にも応用されるようになりました。

五行のごくごく基本的な性質は、↓以下とされております。 木火土金水の文字盤の色分けには理由があるのですが、その件については追々わかりますよ。

は曲直(きょくちょく)

木が成長する姿で、幹や枝が曲がったり真っ直ぐになったりしながら、上へ外へと伸びていく様子。 ここから、ぐんぐん成長するとか、伸び伸びとした姿とかを連想するものを「木」に入れた。

は炎上(えんじょう) 
まさに火が熱く燃え盛り、炎が上がる様子。 ここから、温熱性のもの、上昇するものを「火」に分類。

は稼穡(かしょく) 
稼穡とは、土に種をまき、農作物を収穫すること。 ここから、何かを生み出す、変化させる、収穫するようなものを「土」とした。

は従革(じゅうかく) 
従革は変革を意味する。 ここから、清潔なもの、収斂するものを「金」に分類した。 「金」はマネーじゃなくて金属のことです。

は潤下(じゅんか)
水は冷たく、のどや土を潤し、高いところから低いほうへ流れ下って行く。 ここから、寒涼性のもの、湿ったもの、下降するものを「水」とした。

 

五行の「行」は、「めぐる」という意味で、五行は循環することを示しております。 順々に生みだす関係に、互いをコントロールする関係。 生態系の循環。 五行の関係は、↓こんなふうに図式化されます。

 

相生

 

1 五行の相生(そうせい)

 

「ひとつの素材が別の素材を生み出す」ことであり、それがめぐりめぐって元へと戻る、つまり循環する関係です。 木は火を生じ、火災が土を生じ、土から金属がつくられ、金属に水の粒がつき、水が木をはぐくむ。 木生火、火生土、土生金、金生水、水生木と表現します。

 

2 五行の相克(そうこく)

 

相互に制約しあう関係です。 ジャンケンのように勝ち負けが決まっているので、相勝ともいいます。 木は土から栄養を吸い上げ、土は水を埋め、水は火を消し、火は金属を溶かし、金属で木を切ることができる。 木克土、土克水、水克火、火克金、金克木と表現します。

 

3 五行の相乗(そうじょう)

 

相克が過剰になった状態をさします。 相乗が生じるときは、五行の相生と相克が異常になった状態ですから、医学的には病的な状態。 相克関係にある五行の「克す側」が強すぎるときは木乗土。 「克される側」が弱ったために、相対的に「克す側」が強くなったときは土虚木乗。 

 

4 五行の相侮(そうぶ)

 

相克関係で、本来は「克す側」が「克される側」に侮られて、負けてしまう状態。 反克ともいいます。 これも、相生・相克の異常ですから、病的な状態。 「克す側」が弱ったために、「克される側」が相対的に強くなったときは木虚土侮、「克される側」が強すぎるときは土侮木です。

 

ここまで読んで、気づかれた方もいらっしゃるんじゃないかしら? 相乗と相侮は、同時に発生する可能性があるってことに。 たとえば、木が強すぎるとしましょう。 先ほど述べたように、木乗土となります。 そして、木侮金にもなってしまう。 では、金が弱りすぎたとしましょう。 金虚木侮になりますね。 同時に、金虚火乗になるってことです。

 

相生・相克と相乗・相侮の関係、おわかりいただけましたか? ちょっとややこしいかもしれませんが、五行の医学への応用の回に、五臓の話もからめて、もう一度お話ししますね。


一天一笑、今日も笑顔でいい1日にしましょう。

スズラン 
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