脂肪酸の摂取もバランスよく! その2 | 春月の『ちょこっと健康術』

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おはようございます ニコニコ


「月経前症候群の症状改善に不飽和脂肪酸?」 からの続きで、「脂肪酸の摂取もバランスよく!」と題して、脂肪酸についてお届けしています。昨日はその1 で、脂肪酸の構造から見る分類でした。


「飽和脂肪酸:一価不飽和脂肪酸:多価不飽和脂肪酸を、3:4:3で摂るのが望ましい」ということなんだけど、飽和・一価・多価のそれぞれ、具体的にどんなものがあるか? 今日はそれについて。


本題に入る前に、なんで栄養素のことなんかを書くか?というと、それはね、このブログが私の備忘録だからなの。私が勉強したことを、こうして皆さんにおすそ分けするつもりで「書く」ことで、私の身になるってことなのよ。


五十路ともなると、記憶を定着させるには、そりゃあもう努力が必要。ブログ記事にするとなると、ちゃんとしたことを書かなくちゃいけないから、自分だけで勉強するよりも熱心になるし、記事に書く中で何度も読むから、勉強したことが自然と頭に入ってくるってワケ。便利です。


どうして栄養素を?っていうと、からだに触れる仕事をしてると、どうしたって「健康」にまつわるアレコレの知識が必要だからにほかなりません。だって、「からだ」って、「食べた物」でできあがってるのよ。で、「食べた物」が「からだ」にどう影響するか?を知るには、まず「栄養素を知る」ことだって思うワケ。


さて、本題です。飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸には、構造的な違いがあることはわかっていただけましたよね。構造が違うってことは、からだに対する働きも違うってことです。ということで、脂肪酸の種類とその働きを見ていくことにいたしましょう。


1 飽和脂肪酸


春月の『ちょこっと健康術』-飽和脂肪酸


おもな飽和脂肪酸は、酪酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸で、炭素数は順に4、12、14、16、18。欠けている水素(H)がないので、炭素(C)の二重結合はありません。


飽和脂肪酸を多く含む食品は、パーム油、やし油、豚脂(ラード)、牛脂(ヘット)、バターなど。血液中のコレステロール(誘導脂質)や中性脂肪(単純脂質)を増やします。


2 不飽和脂肪酸


春月の『ちょこっと健康術』-不飽和脂肪酸


(1) 一価不飽和脂肪酸


n-9系(オメガ9)であるオレイン酸が、その代表格です。炭素数は18で、n-9に炭素(C)の二重結合がひとつあります。オリーブ油の中からみつかったので、オレイン酸と名付けられました。


オレイン酸を多く含む食品は、オリーブ油、キャノーラ油(菜種油)、種実、調合サラダオイルなど。血液中のコレステロールを低下させて動脈硬化を予防し、胃酸の分泌を調整します。


(2) n-6系(オメガ6)不飽和脂肪酸


① リノール酸


炭素数18で、二重結合が2ヶ所あります。サフラワー油(紅花油)、ひまわり油、綿実油、大豆油、コーン油、ゴマ油、クルミなどに多く含まれます。


体内で合成できない必須脂肪酸のひとつで、プロスタグランジンや細胞膜脂質の原料になるため、食品からの摂取が不足すると、創傷治癒の遅れ、髪のパサつき、抜け毛の原因に。


ほどよく摂取すれば、血液中のコレステロールを低下させ、動脈硬化を予防しますが、摂り過ぎると、逆に動脈硬化を招き、血圧を上昇させます。また、摂り過ぎは、アレルギーを悪化させたり、大腸がんのリスクをあげたりします。


② γ-リノレン酸


炭素数18で、二重結合が3ヶ所あります。月見草油、母乳に多く含まれます。ヒトは、体内でリノール酸から合成できるけれど、多くは食品から摂取しているようです。


血中コレステロールを低下させ、血圧を下げる作用があります。また、糖尿病性神経障害の緩和、関節リウマチの炎症、乳がんなどへの効果が知られています。アトピー性皮膚炎や湿疹にもよいとの説がありますが、これはまだ議論の的になっているようです。


③ アラキドン酸


炭素数20で、4ヶ所に二重結合。伊勢海老、アワビ、サザエ、卵白、レバー、母乳などに多く含まれます。体内で、リノール酸を原料として、γ-リノレン酸を経て合成され、細胞膜のリン脂質に含まれます。


アラキドン酸カスケードと呼ばれる脂質代謝のもとであって、プロスタグランジン、トロンボキサン、ロイコトリエンなどの生理活性物質の原料となります。


免疫機能を調節する、学習能力・記憶力・認知応答力に関与する、血圧を調節するなどの作用が示唆されていますが、アラキドン酸単独の効果かどうか、まだ確認されていません。


(3) n-3系(オメガ3)不飽和脂肪酸


① α-リノレン酸


炭素数18で、3ヶ所に二重結合。シソ油、エゴマ油、亜麻仁油、キャノーラ油(菜種油)、ゴマ、大豆、クルミ、コケモモ、スベリヒユなどに多く含まれます。


リノール酸と同じく、必須脂肪酸です。リノール酸とα-リノレン酸は、互いにその作用を抑制・補完しあう関係にあるため、バランスよく摂ることが勧められています。


IPAやDHAの原料になり、アレルギー疾患を改善する、がんの発生を抑制する、高血圧や心疾患を予防などの働きがあると言われています。


② IPA(イコサペンタエン酸)


炭素数20で、5ヶ所に二重結合。養殖ハマチ、マイワシ、ホンマグロ脂身、サバ、養殖真鯛、ブリ、ウナギ、サンマ、母乳などに多く含まれます。体内でα-リノレン酸から合成されますが、日本人は魚からの摂取が多いかも。


魚やアザラシを常食するイヌイットでは、脂肪摂取量が多いにもかかわらず血栓症や心疾患が非常に少ないことから注目された栄養素です。動脈硬化・高脂血症・血栓症・高血圧症・認知症などの予防や改善によい、アトピーや花粉症などのアレルギーを改善する、前立腺がんのリスクを下げる、などの報告があります。


サプリメントなどによる過度の摂取は、血液を固まりにくくするため、出血が止まらなくなったり、ゲップ・吐き気・鼻血・軟便などの副作用が出たりします。米国FDAの限定的健康表示規格では、「サプリメントからの摂取はDHAとEPAを合わせて1日2gを超えないように」とされております。


③ DHA(ドコサヘキサエン酸)


炭素数22で、6ヶ所に二重結合。ホンマグロ脂身、養殖真鯛、ブリ、サバ、養殖ハマチ、ウナギ、サンマ、サワラなどに多く含まれます。IPAと同じく、体内でα-リノレン酸から合成されます。


脳や網膜、精子のリン脂質に含まれる脂肪酸の主要な成分で、不足すると、脳内セロトニンの量が減少し、多動性障害を引き起こすという報告があります。


中性脂肪を低下させて動脈硬化・高脂血症・血栓症・高血圧症・認知症・肥満などを予防・改善する、アトピーや花粉症などのアレルギーを改善する、脳の発達によい、がんの発生や転移に効果がある、ストレスを受けている人の攻撃的な行動を抑制する、などの報告があります。摂り過ぎによる危険性は、IPAと同様です。


こうして見てくると、リノール酸→γ-リノレン酸→アラキドン酸、α-リノレン酸→IPA・DHAと、それぞれ体内で形を変えることがわかりますね。広い意味では、n-6系3種とn-3系3種、すべてが必須脂肪酸とも言えるんだけど、リノール酸とα-リノレン酸が代表になってるってことだわ。


脂肪酸の摂取バランスは、

飽和脂肪酸:一価不飽和脂肪酸:多価不飽和脂肪酸 … 3:4:3

n-6系(リノール酸):n-3系(α-リノレン酸) … 4:1

です。具体的な量については、年齢や性別でも違ってくるので、厚生労働省の栄養摂取基準 (2010年版)から計算してみてね。


一天一笑、今日も笑顔でいい1日にしましょう。


春月の『ちょこっと健康術』-花蘇芳
花蘇芳


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