鍼灸治療って、いつ始まったの? | 春月の『ちょこっと健康術』

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おはようございます ニコニコ


先日あるお客様から、「鍼灸っていつ始まったの?」とのご質問。「鍼灸の基本となる『黄帝内経』ができあがったのが2000年前で、そのときすでに鍼灸治療があったわけですから、それよりも古いってことになりますね。ざっと4000年前って言われてますけど…。」なんてお答えをしたのですが、ここはきちんと調べておかないとね。


歴史的な物証としては、新石器時代の遺物から、「へん石」と呼ばれる道具が発見されていて、これが鍼の原型ではないか?と言われています。石器を削ってつくられたもので、矢じりみたいなもの。それが、やがて動物の骨とか、竹や木、陶土なんかで加工されるようになり、殷商の時代(紀元前1600年ごろ)に冶金が発達して金属製の鍼が登場したという次第です。


誰が最初に使い始めたか?は、そんな古い記録はないのでわかりませんが、甲骨文とか金文とかの、漢字の原型から考えて、殷商時代の初期には、すでに鍼や灸を使った治療が盛んだったと推測されています。今からおよそ3600年前ですね。


もともとは、石器時代、狩りの途中で、石とかトゲとかで、小さな引っかき傷ができたときに、それ以前からあった痛みが不思議と消えた…なんていうことの積み重ねで、始まったんでしょうね。それが人々の間に広まって、じゃぁ、わざと石で押したり切ったりしたら?ってことになったんでしょう。


お灸のほうは、火を使うようになって、たき火にあたってたら腰痛が治ったとか、温めた石を抱えてたら腹痛が治ったとか、ちょっとした火傷をしたらかえって元気が出たとか、そんなことの積み重ねかな。そのうち、足やうで、背中なんかで枯れた薬草を燃やしてみたりして、これいいじゃ~んなんてことになったんでしょう。


こうした鍼灸の歴史は、そのままツボの歴史にもなります。石や枯れ草を使うにしても、すでに「この病気にはここ!」というルールが、すでに殷商時代にはあったみたいですから。


人々の間に伝わったそんなこんなも、いずれ医学として集積されて、春秋戦国時代(B.C.770~222年)には、周易の理論と合体させて、鍼灸理論の原型ができあがったのでした。1973年に発見された『馬王堆帛書(まおうたいはくしょ)』に記述があります。


中国の歴史は、王朝の存在が認められているのが、夏王朝からで、これがB.C.2100年。夏王朝以前は、司馬遷の『史記』のような書物には書かれているものの、その存在が明確に示される物証がないので、伝説の時代とされています。


伝説の時代には三皇五帝がいて、そのひとり、伏羲(ふくぎ)が、古代九鍼をつくったと伝わっています。この伏羲さん、人面蛇身だったと言いますから、人間じゃなくて神様なのか?人間なんだけど神秘性を持たせるためにそう表現されたのか?どっちでしょうね。この方、易の八卦や婚姻制度を定め、網を発明して漁業を教えたとも言われています。


三皇五帝には、神農(しんのう)もいて、『神農本草経』があることからもわかるとおり、医薬の祖と言われています。神農さんは、牛頭人身で、農業の神様として今も祀られてます。そして、『黄帝内経』の黄帝も、また、三皇五帝のひとりに数えられています。『神農本草経』と『黄帝内経』については、「良医には医学十年の労」 をご参照くださいね。


日本がまだ縄文時代だった間に、こうして中国では医学体系ができあがってたわけです。もしかしたら日本でも、人々の間では似たような経験を積んでたかもしれません。が、何しろ文字を持っていて、学問として成立させてたところが、中国のすごいところ。そのおかげで、鍼灸漢方が医学として確立された形で、A.D.500年ごろ日本に入ってきたわけです。


ってことで、鍼灸の歴史はざっと4000年、日本に入ってきて1500年です。西洋医学の歴史はどうなってるんでしょうね。一天一笑、今日もいい1日にしましょう。


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