『養生訓』 甘い野菜の食べ方(巻四20) | 春月の『ちょこっと健康術』

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「大根、菘(菜)、山芋、芋、くわい、人参、南瓜、白ねぎなどの甘い菜は、大きく切って煮て食べると、つかえて気を塞ぎ、腹痛を起こすことがある。薄く切って食べるほうがよい。あるいは辛いものを加えるたり、ものによっては酢を少し加えるのもよい。再度煮ることがよいことは、先に(巻三12)書いたとおりである。

 またこのようなものは、一度に二、三品を食べてはいけない。甘い菜類やその他、つかえやすいものを続けて食べてはいけない。生の魚、脂っこい肉、味の濃いものなども、続けて食べてはいけない。」


今朝の記事で、「七五三にゴロゴロ野菜のシチューはいかが?」 なんて書いたのですが、益軒先生は、「根菜類の調理」「魚と野菜の調理」 と同じように、ここでも薄く切って食べるようにおっしゃっています。どうしましょう。


益軒先生がそのようにおっしゃるのは、何度も繰り返しご説明しているように、日本は湿気の多い土地柄のため、日本人には脾胃の弱い人が多く、そのため、甘いもの、脂っこいもの、味の濃いもの、生もの、冷たいものなどを一度に多食すると、湿を生じて脾胃に滞り、調子をくずしやすいからですね。


しかも、気の短い江戸っ子は、「めしなんざぁ、ザカザカッとかっこんじまえば、いいんでぇ~。」なんてことを言いそうですから、あえて注意喚起のために、薄く切るようにと細かく指導されているのかもしれません。なので、ともかくよく噛んで食べることさえ心がければ、ゴロゴロ野菜もいいんじゃないかと思います。一口最低30回噛めば、薄切りにしたのと同じよね。


甘いものに辛いものを加えるのは、五行の土に入る甘味の影響が強くなりすぎないように、相生関係の土の子である金に入る辛味でバランスを取ろうというもの。酢を少し加えるのは、五行の木に入る酸味で、相克関係にある土の甘味の作用を抑えようとするものでしょう。


五行についてはこちら→No.4 「五行論」その1 五行とは

五味についてはこちら→No.5 「五行論」その2 自然界における五行

五行の相生・相克についてはこちら→No.7 「五行論」その4 五行の相互関係


『養生訓』の原文はこちらでどうぞ→学校法人中村学園 『貝原益軒:養生訓ディジタル版』


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