日本で観測されたオーロラの怪
「寒冷期」の猛威
もちろん、火山噴火説にせよミランコビッチ理論にせよ、理論上の可能性に過ぎず、状況証拠の域を出ていない。
しかし、地球の寒冷化が確実に進んでいることを示すハッキリとした証拠が、他ならぬこの目本で見つかっているのだ。
2003年10月末に群馬県や岐阜県で、2004年も11月8日北海道陸別町で相次いで観測された「オーロラ」がそれだ。
オーロラは通常、北極や南極に近い極地圏でのみ観測される。
オーロラは太陽から飛来するプラズマ粒子という物質が大気と衝突することで発生する現象だが、プラズマ粒子が大気圏に届くのは極地圏に限られているからだ。
カギは地磁気が形成する「磁場」が握っている。
磁場が強いところではプラズマ粒子が跳ね返されて大気圏に入ってくることができず、オーロラは発生しない。
地球で磁場がもっとも弱いのが極地圏で、同地域でのみオーロラが発生するのはそのためだ。極地圏にほど遠い日本でオーロラが観測された事実はなにを意味しているのか。
丸山氏によれば、「地球全体の磁場が弱くなっている証拠」だという。
実はこの磁場の弱体化こそ、寒冷化促進の原因となるのだ。
磁場が弱まることで、低緯度地帯を含む地球の広い範園で大量のプラズマ粒子が入り込んでくる。
プラズマ粒子は大気中の水分を集めて雲を作りだす。無数のプラズマ粒子それぞれが大量の雲を生み出すことで、地球表面の大部分は雲に覆われてしまう。
先の火山灰と同様、これらの雲が太陽光線を遮ることで地球の温
度がドソドン失われていくと考えられる。
活発化する火山活動、ミラソコピッチ理論、そして磁場の弱体化=地球が寒冷化に向かう条件はいやというほど揃っているのだ。
寒冷化に絡み、穏やかならざる指摘をするのは、異常気象に詳しい科学ジャーナリストの大官信光氏だ。
近年、北極圏に端を発する「寒冷渦」と呼ばれる自然現象が、猛威を振るっているという。
「寒冷渦とは、北極から送り出される強大な低気圧のことです。北極圏の大気が、周辺を走るジェット気流が作る 『空気の壁』 に閉じ込められて冷やされることがあります。
こうなると、冷えた大気の塊がジェット気流とともに渦を形成し、『極渦』 と呼ばれる低気圧が発生する。
極渦は、北半球の中緯度地帯(日本が位置するあたり)から北極までのエリアで、大気が南北に揺さぶられる 『北極振動』 という現象によって増幅され、強大化して南下する。これが寒冷渦です」(大宮氏)
寒冷満が発生すると、局地的な集中豪雨や豪雪、雷、激しい落雷などが発生する。
2004年7月、福島、島根、栃木などの各地で、落雷による停電、火災、事故が続発したが、これらも寒冷渦との関連性が考えられる。
寒冷化をキーワードに、地震や火山噴火に加え、台風や局地的豪雨、落雷など、〝招かれざる客″が大挙して地球を襲う可能性が高いのだ。