<緊急>週刊現代特別取材班編 


巨大地震と地震雲


 予兆現象はXデーを警告する



緊迫の「南開東沖」'首都圏を囲む3大空白域、 そして2000の活断層「時・空ダイアグラム理論」を読み解く


「私は長年、地質学研究に取り組み、火山の噴火と地震の関係を克明に調べてきました。

その結果、プレ1-の応力(プレ-トの移動に伴うエネルギー)はマグマ溜まりを押すなどして火山活動を活発化させるものの、その応力による一連のストレスのすべては火山噴火で解消されるのではなく、その火山の周辺で起きる大きな地震によって解消するという考えに至りました」

こう語るのは、琉球大学理学部教授・木村政昭氏だp 「『地震発生のメカニズムは火山活動とは無関係』とする地震学の見地とはl線を画す研究ではありますが、私はこの考え方をもとに地震発生の中・長期的予知へ火山噴火の予知に取り組んできました。

そしてもこれまでに三宅島噴火(1983年)、伊豆大島二二原山噴火(1986年)の予知を果たしたのを皮切りに多くの地震発生に警鐘を鳴らしてきました。

最近では2004年10月の新潟県中越地震の予知にも成功しました。

私は、大地震が『いつ』『どこで』起きるかを割り出すために、『噴火と地震の時・空ダイアグラム』という独自理論を用いています。

この理論は、火山が主噴火を起こすと、その時期から数年内は噴火した火山から距離の遠い場所で大地震が起きやすく、しかも想定した大地震が起きない場合でも、噴火した火山と大地震の起きやすい場所との距離は、時間が経つにつれ、むしろだんだんと縮まって来るという現象を捉えたものです。

特定の火山からの距離と、その火山の主噴火からの時間経過を軸にしたグラフを 『予知曲線』 と名付けていますが'過去の大地震はほぼこの曲線上に表すことができます。

また、時間の経過は火山活動の変化を目安としているのが、私の理論の特徴のひとつです。

それにはまず、火山活動を大きく三つの活動期(p1 P2、P3) に分けp1はマグマ溜まりにマグマが溜まりはじめる噴火の前駆的活動期。

p2は'主噴火を含む火山活動のピーク期。

p3は主噴火の後始末的な活動期という評価区分をしています。

どの火山も例外なくこの繰り返しをしていますが'とりわけp2,P3という段階が地震発生時期と相関するのです。

例えば、年の新潟県中越地震を予知する根拠となった火山活動は、浅間山の噴火2004年9月) にありました。

噴石や火山性微動も確認された中爆発でしたが、火口から半径o E離れた円形地域で火山性地震が認められないため、熔岩がさらにどんどん上がっている状態ではないと判断できました。

したがって浅間山を、2 1年前の噴火がp2、現在はプレート活動のストレスを取り去っていないp3の段階と分析し、そこで「時・空ダイアグラム理論による予知曲線」を適用したわけです。

その結果,浅間山から半径約200km以内の場所、つまり内陸部で大地震が起きる可能性が非常に高いことが判明しました。

そのうえで、大地震の起きやすい場所を検討したところ4カ所が該当しましたが'とりわけ佐渡島対岸付近から浅間山にかけての新潟県内陸部が危険だという印象を強-持ちました。

つまり'私の地震予知の手法には、いずれは地震が起きるだろうおおよその場所、つまり『大地震の起きやすい場所』 を複数箇所特定することが欠かせません。

繰り返される大地震には過去の履歴が存在し、各地震にはそれぞれに特徴があることが多いことに着目し、これらを分析することで割り出しています。

例えば、過去に大地震が発生した場所でありながら、その繰り返しのパターンから長期的に見て再び地震が起きそうなエリアを、地震学上は 『空白域(または第l種空白域)』 といいます。

あるいは、規模の小さい地震活動が活発化しているのに、その震央(震源真上の地上箇所) を地図上にポイソ-で累積記録してみると、地震が起きていない円形のエリアができていて'ドーナツ形を形成するケースもある。


この現象が出れば'研究者としてはそう遠くない将来にそこで地震が起きる可能性を疑います。


このようなドーナツ現象が現れたエリアを『第二種空白域』と呼んで区別しますが、私は、第二種空白域がさらに警戒の度を増すと、ドーナツ内側の縁付近に集中して地震が起きるのを捉え、『ドーナツ・アイ現象』 と呼んで検討対象箇所にしています。


このようにして、中・長期的に見て大地震の起きやすい場所を複数特定することは、いつ、どこで地震が起きるかを時・空ダイアグラム理論で探る際の重要な前作業になっているわけです」