安全神話は崩壊! 都市特有の弱点
油断できない首都圏大津波
では、今後、東海、東南海、南海地震クラスの巨大地震が起きた場合、どれほどの津波が日本列島を襲うのか。
歴史史料や過去の地震観測データ、さらに専門家の検証結果などから全国各地の要警戒の危険エリア(左ページのイラスト)を拾い出してみた。
■伊豆半島
下田など、伊豆半島の全域を津波が襲う。
宝永地震では、海抜1・4mの下田市街に、5mの津波が押し寄せた。
当時の人目約3000人のうち、約120人が犠牲となった。
半島の東側、相模湾でも海面が3mほど上昇する。
「江ノ島の観光地に3mの波が上がってくる可能性もあります。観光客の多くが渡に巻き込まれる危険性が
ある。葉山などには無人のボートやクルーザーが係留されていて、これが津波と一緒に押し寄せると被害はさらに増えます」(郡司助教授)
■静岡県・沼津、焼津
東海地震、東南海地震による津波の被害がもっとも危慎されるエリア。沼津市の最新被害想定では、10mの津波まで考慮されている。
約8mの津波を生んだと考えられる宝永地震では、現在のlR焼津駅あたりまで津波が押し寄せたという記録がある。清水湾も津波の直撃を受けた。
現在のこの地域は、当時とは違い、造船所やパルプ工場の密集地となっている。
海面に浮かんだ大量の材木が津波に押されて市街地に侵入すれば、甚大な被害をもたらす。
■三重県・尾鷲
東海、東南海、南海地震の三つが同時に起きた巨大な宝永地震の津波では、町全体が一瞬にして消えた。
死者も600人にのぼった。尾鷲市に残っている古文書に、1707年以前のものが一切ないのはそのためだ。
尾鷲市の少し南にある九鬼浦では、津波が10m以上に達したという記録も存在する。
■高知県の海岸線
高知県南部を襲った過去の南海地震において、津波の高さは平均で8m、高いところでは13mにも及んだことがわかっている。
「1605年の慶長地震(M7・9)では、室戸岬の周辺に10mを超える津波が襲来しました。
土佐市の海岸線に宇佐というところがあって、高台にあった民家1軒を残して、人口1000人の村全部を津波がさらっていったと書き残されています。
古文書に見られる 『亡所』という言葉は『村全体が消えた』 という意味で、高知県には 『亡所』がいたるところにあります」(高知大学理学部・岡村頁教授)
ここまで、インド洋大津波のような巨大津波が襲う可能性の高いエリアを中心に見てきたが、湾内にある東京や大阪は大丈夫なのか。
まず大地震の発生が危惧されている三宅島周辺だ。
この地域で警戒を忘れてならないのは、相模トラフ北側で誘発地震が発生することだ。
近年は空白域となっているこの地域も、かつて歴史に名を残す巨大地震を
引き起こしている。1703年の元禄地震と123年の関東大震災だ。
元禄地震(M7・9~8・2)は、大津波によって江戸中を水浸しにし、小田原城下を壊滅させたと伝えられる。
死者は江戸から下田にかけ、数千人に及んだともいわれる。
また、M7・19の関東大震災は、東京、神奈川、千葉、静岡にかけて全壊家屋約13万戸、全焼家屋約45万戸、被害総額は当時の国家予算の1年分を超える甚大な被害をもたらし、被災者190万人、死者・行方不明者約14万200‥人を数えた。
関東大震災では、震源が東京湾より西にはずれた相模湾にあったため、熱海で12mの津波が観測されたものの、都内沿岸部では錮cm程度にとどまった。
しかし、もし東京湾の正面で地震が起きれば、より大きな規模の津波が押し寄せることは容易に想像できる。
東京都心から離れた海だからといって、悠長に構えてもいられない。
琉球大学理学部の木村政昭教授が警鐘を鳴らす。
「M7・2程度の地震といっても、震源の深さは10~訓玩。しかも、蒜辰源の位置は東京湾の真正面。津波にょる災害や、ウォーターフロントの埋め立て地では、液状化による被害も心配されます」
前田の東京大学地震研究所・郡司助教授も危慎する。
「東京湾は入り江となっているためエネルギーが分散され、大きな波にはなりません。しかし、元禄地震では、2mの津波が深川まで押し寄せました。ベイエリアには海抜Omの地帯が広がっていますから、この地
域では、地下施設への被害も含め、軽視することはできません」
大阪湾も油断はできない。
JR大正駅の近くには、安政地震の直後に建てられた石碑がある。
そこには、安政東海・南海地震の津波で多くの犠牲者が出たことが記され、後世に津波の恐怖を伝えている。
殺人津波が襲いかかる危険なエリアはまだ他にもある。
房総半島南方沖や千葉県銚子沖、北海道北西海域、北海道奥尻島の南部、男鹿半島沖などは、多くの専門家が近い将来に発生する地震津波の危険性を指摘している。
このうち千葉県・銚子には、1703年の元禄地震で、海岸から数百m離れた陸地にさえ6mの津波が押し寄せたという記録がある。
「元禄地震では、震源の位置からして直接には影響の少ないはずの九十九里浜まで津波が押し寄せました。
遠浅の海のため、津波の到達までにほ時間がありますが、数十血におよぶ海岸線なので逃げ場がないのです。
宝永地震のような規模の地震が起きた場合、津波の被害を最小限に抑える努力しかできません。
ひたすら高いところに逃げることがもっとも賢明な対策です」(郡司助教授)
日本の場合、幸いにして沿岸部の低地部分は狭く、すぐ近くまで山が迫っている。逃げ場所は存在するわけだ。
しかし、2004年9月に起きた紀伊半島沖地震では、津波警報が三重、和歌山両県に出されたものの、対象となった42市町村のうち、住民に避難勧告を出したのはわずか12市町にすぎなかった。
自治体の危機意識の低さや対応の遅れから、思いもかけない事態を招きかねない。
インド洋大津波と同じょぅな未曾有の惨事が日本でも起こりうる事実を、いまこそ直視すべきだ。
説明:
政府の中央防止会意はゼ三煙や北海道東部て大地震が発生した場合の重職の規模を想定し「最大で28m超になる」と公表したが(149ページ参照)日本列島のも岸約3万5080kmは 全域とこても雪波の危険にさらされている
この図表は 大地題か起きた場合の 全国の辛皮の規模を智定したもので とくに危検度が高い地域をまとめた宇佐乗頴夫著『新編日本被害地震総覧」(乗手大学出版会刊)青森海上保安部HPなとを参考としさらに専門家による歴史的地震被害の事例を参昭し 津波の高達を推定した 図のように 大きな津波被害が予習されているのたが たとえ低いとされる地域ても 地盤や街の施療や嫡造によっては甚大癖も発生し力ねない 万全の警戒頓勢力必要だ