【健康記事を斬る!】170726がん抑制に「ウコン」の力? | 中野瑞樹『5300日フルーツ物語』the Japanese Fruitarian

中野瑞樹『5300日フルーツ物語』the Japanese Fruitarian

元東大教員 体を張るフルーツ研究家
Mizuki Nakano Official Blog
”Let's pass cleaner batons to the next generation by eating fruit!”

世の中には健康情報が氾濫しています。

あまりにも情報が多く、結局のところ何がいいのかわからないと戸惑う方も多いはず。

そこで、13年間のフルーツ講座のキャリアをもつ中野瑞樹が、健康ニュースを斬っていきます^^

 

がん抑制に「ウコン」の力…抗がん剤と遜色なく

 YOMIURI ONLINE(2017年07月26日)

『がん抑制に「ウコン」の力 』

 読売新聞夕刊(2017年07月26日)

 

●記事概要

・ウコンに含まれる成分「クルクミン」について、体内で有効成分に変わる、クルクミンの化合物を合成。従来よりも血中濃度を高めることに成功

・動物実験(人の大腸がんを移植したマウス8匹に、開発成分を注射)では、3週間後の腫瘍の大きさが、治療しないマウスの半分以下に抑制され、目立った副作用はなかった

・研究結果は、7月27日に学会発表される

・「安全性が高く、既存の抗ガン剤と遜色ない効果も期待できる。ベンチャー企業と抗がん剤開発を目指す」(開発研究者)

 

●研究発表のタイトル

記事には、研究タイトルが記載されていなかったので、記事に書かれていた、日本臨床腫瘍学会のWebサイトより調べてみました。

おそらくは、『プロドラッグ型クルクミンを用いた新規抗がん薬の開発』 (京都大学医学部)だと思われます。

 

●ウコンの安全性

・ウコンは、世界的に被害報告があり、日本でも、高脂血症、肝障害、急性薬剤性劇症肝炎など、数多くの被害事例があります(国立健康・栄養研究所)。2004年には、肝硬変の60代女性が粉末ウコン摂取をきっかけに死亡した事例もあります(産経新聞2004年10月19日)。医療機関を受診されている方は、摂取に際し、必ず医師にご相談ください。

 

またウコンの健康情報について、詳しくお知りになりたい方は、 「健康食品」の素材情報データベース(国立健康・栄養研究所)をご覧ください。「すべての情報を表示」を押せば、詳細な情報を読むことができます。

ウコン

クルクミン

 

健康食品を摂っている方、また摂ろうとされている方は、国立健康・栄養研究所のデータベースで調べてみるのがおススメです。

 

●研究の、健康情報としての科学的信頼度(0~6段階)

 記事の内容ではなく、研究自体の科学的信頼度について、

 動物実験であるため、信頼度は低く、レベル1。

 マウスで効果があっても、また副作用がなくても、人間では、そうでないことは多々あります。

 また学会発表であり、おそらくは査読と呼ばれる、専門家の検証を受けていない可能性が高いです。その場合は、信頼度はレベル0。

 信頼度については、また改めて書きます。

 いずれにせよ、初期段階の研究なので、研究自体、健康情報としての信頼度は大変低いです。

 

●中野瑞樹の記事批評

 

・がん患者や家族には切実

 実は最近、私の身内が大腸がんで手術しました。ご自身やお身内が、末期の大腸がんに罹患されている方は切実です。記事を読んで、「抗がん剤には副作用があるので、抗がん剤並みに効果があり、しかも副作用もなく安全なら、毎日しっかり摂りたい(摂らせたい)」と思われる方がいてもおかしくありません。

 

・ウコンの健康食品

 ウコンの健康食品はたくさん出ています。しかし過去には、ウコンでの死亡事例もあります。だからたとえ善意であっても、安易に人に勧めてしまうと、取り返しがつかないことになる恐れもあります。大腸がんに限らず、医療機関を受診されている方は、摂取に際しては、必ず、かかりつけの医師にご相談ください。

 

・タイトル

 タイトルを読んで、内容はさっと流し読みされる方が多くいらっしゃると思います。 

 オンライン版の記事タイトルは、”がん抑制”の他、”抗がん剤と遜色なく”とあるので、読者の目を引きやすいです。しかも、有名健康食品を思わせます。取材した研究者も「既存の抗ガン剤と遜色ない効果が期待でき、抗がん剤開発を目指す」と言っているにも拘わらず、タイトルのせいで、ウコンを摂れば(研究では注射)、抗がん剤並みに効果があるのかと、読者に誤解させる恐れがあります。

 

・記事内容

 記事を読んで、ウコンを大量に摂取する方がいるかもしれないので、誤解を与えないような内容にしなければという配慮がありません。

 

・記事の発信について

 科学研究なので、取材された側の大学研究者も、記事のチェックをしたものと思います。そもそも、新薬を開発することが目的の、初期段階の研究(マウス実験)です。 大学側も読者を混乱させる恐れがあるとの認識がないです。ウコン摂取の注意を書かないのであれば、一般紙(ネットニュース)ではなく、一般の方が読まない業界紙のみにすべきです。

 

●記事の信頼性

・ライターの名前が記載されていない

・読者に誤解されやすいタイトル

・発表研究のタイトルなどが記載されていない

・ウコンの安全性について何も記載がない

・タイトルおよび内容共に、読者に誤解を与えないようにという配慮がない

 

●最後に

このように健康情報が氾濫しているからこそ、私たちも対応する術が必要です。それについては、いずれきちんと書きたいと思います^^

 

 

p.s. 最近、あまり寝る間もなく働いてます><

   ブログ更新がなかなかできませんでした。

   軽い内容は、twitterにあげています^^

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