【転記】韓国併合・合法論を斬る! 第一部 ~日記に現れた合法論者の反論を中心に~ | 矯正知力〇.六

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以下、mixiの猫王さんの日記より転記。

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『韓国併合・合法論を斬る!』 第一部
~日記に現れた合法論者の反論を中心に~

■世界は韓国併合をどうみたか? ~国際法を含め~

日記に現れた合法論者(以下H氏)は、次のようなコメントを残しています

>「2008年09月10日 21:28 日本は朝鮮半島を侵略してませんし合法的に両政府の同意の下、全世界の賛同のもと併合しております」

これについて斬っていきます


◆韓国併合は、全世界の賛同のもとに行われた?

日本が韓国併合したことの、合意を取り付けたのは
米、イギリス、ロシアの僅か三ヶ国です
H氏が言うような、全世界ではありません


◇米の合意について

一九〇五年七月二十九日に結ばれた協定
「桂・タフト協定」のことです

総理大臣・桂太郎は
日本がフィリピンに侵略しないことを開陳し
タフト米陸軍長官は
「日本が朝鮮に対して宗主権を設定」することを認めました

要は
日本は米のフィリピン支配を
米は日本の朝鮮支配を
それぞれ容認したものです


◇イギリスの承認

一九〇五年八月十二日に結ばれた
「第二次日英同盟協約」のことです

同協約の第三条でイギリスは
「日本国は韓国に於いて政治上、軍事上及経済上の卓絶なる利権を有する」ことを認め

第四条で、今度は日本側が、イギリスに対して
「印度領地を擁護せがむ為、必要と認むる措置を執るの利益を承認」したものです


◇ロシアの容認

一九〇五年八月十二日の「ポーツマス条約」のことです
(一九一〇年の「第二回日露協約」も)

第二条、ロシア政府は
「日本国が韓国に於いて政治上、軍事上及経済上の卓絶なる利益を有することを承認し」
日本の朝鮮支配に干渉させないことを約束させています


●これらをどう見るか

条約の引用をご覧になっていただければ、そのまんまなのですが
「国際承認を得た」などと言ってみたところで
帝国主義国同士の、武力を持って世界を分割することを
互いに承認することで正当化しようとているにすぎません

もちろん、相互不干渉で
自分の版図に邪魔をされないことを確約しあったのもあるでしょう

H氏の言うような、「全世界が認めた」というには
程遠い内容です


◆韓国併合は、合法であるとのすべての国際法権威が認めている?

H氏は、次ぎのようなコメントをされております

>「2008年09月10日 21:11 国際法上合法に併合がなされております。
それは、世界の国際法権威である、ジェイムスクオウフォード氏や
他のすべての国際法権威が認めていることであります」

※読みづらいので、私の方で改行させていただきました

まず、「ジェイムスクオウフォード」なる国際法の学者など存在しません
これはおそらく、ケンブリッジのジェームズ=クロフォード氏のことでしょう


◇世界の国際法学者の考え

・仏のフランシス=レイ

一九〇六年六月二日の論文「韓国の国際状況」には、次ぎのような内容が記されております

この条約は、国王および大臣が日本兵の圧力と
伊藤(博文)、林(権蔵)らの精神的、肉体的暴力により強制され~(略)
「この条約が調印された特殊な状況から乙巳条約(韓国側の条約の名称)の無効を
断定することを私はためらわない」
としています


◇日本の法学者の論争

早稲田大学教授・有賀長男は
日本の韓国支配の要となった「※第二次韓国協約」が成った際に
その正当性を主張するために『保護国論』を記しました

しかしこれでは、日本による韓国支配を正当化できないと危惧した
東京帝国大学法科大学教授・立作太郎が
論文「国家ノ独立ト保護関係」を記し、日本の韓国支配の正当化を試みました

これによって有賀と立の間で、「保護国論争」が起りました
ひょっとしたら、時代の制約の中、有賀は日本の不当性を訴えたかったのかも知れません


以上、紹介しましたように
とてもじゃないけど、H氏のおっしゃるような
「すべての国際法権威が認めていることであります」
というような状況ではありません

国際法学者の間で、様々な意見があったのです

ジェームズ=クロフォードなんて、帝国主義国イギリスの学者ですから
上述した「第二次日英同盟協約」もありますし
日本を擁護しますわなw


※「第二次韓国協約」とは
日本による韓国支配を決定付けた協約で
韓国併合は合法か否かで論争する際に、扱われるものです
この協約によって韓国の主権は、事実は奪われてしまうので
併合条約自体は、単なる最後の仕上げ、手続きにすぎないので
戦後から今日までの、日韓、日朝の協議に置いても
問題に挙げられるのは「第二次韓国協約」なのです


◇日本の国際法学者の、「強制」についての考え

次ぎに、条約締結に際しての「強制」が有効か
日本の法学者の考えをみていきます
それは、韓国併合が合法か否かを問う際に
強制されたモノか、そうでないかが
焦点になっているからです


・倉知哲夫・外務省参事官(併合したときの政務局長)

日本法律学校講義録『国際公法』(一八八九年)で
条約締結の際
国家に対する強制は、『場合によっては必要に応じ』認められるが
代表個人に対する強制は、認められないといっております

これは
国家には武力で強制したが、代表者には強制していないとして
合法論者の論拠になっております

しかし、都合よく
『場合によっては必要に応じ』という部分をすっ飛ばして
『認められる』と解釈する、間違いを犯しております
いつもの確信犯かな?w


・松原一雄法学博士 
彼の著作『国際法要義』の中で
倉知哲夫のような、「国家か個人か」という区別なく
「脅迫や詐誤(詐欺)により、自由もしくは真性は失われた場合」
としてその調印による条約は無効だと述べております



◇では、実際の国際法について見てみましょう

・「万国公法」

これは一九世紀半ばから、広く国際的に知られていたと言われる国際法で
第四○九条で次ぎのように規定されております
「もし、他人の脅迫を受け自由でない状態でなされた条約はすべて廃棄できる」


・「条約法に関するウィーン条約」

これは、一九六九年年五月二三日にウィーンで採択された
国家間の条約法に関する一般条約です
日本は、八一年に加入しています

この条約には、次ぎのように記されております

第五十一条 国の代表者に対する強制

条約に拘束されることについての国の同意の表明は、
当該国の代表者に対する行為又は脅迫による強制の結果行われたものである場合には、
いかなる法的効果も有しない。


第五十二条 武力による威嚇又は武力の行使による国に対する強制

国際連合憲章に規定する国際法の諸原則に違反する武力による威嚇
又は武力の行使の結果締結された条約は、無効である。


第五十三条 一般国際法の強行規範に抵触する条約

締結の時に一般国際法の強行規範に抵触する条約は、無効である。
この条約の適用上、一般国際法の強行規範とは、
いかなる逸脱も許されない規範として、
また、後に成立する同一の性質を有する一般国際法の規範によつてのみ
変更することのできる規範として、
国により構成されている国際社会全体が受け入れ、かつ、認める規範をいう。


そして、特筆すべきは
この条約を作る際、一九六三年の国連国際法委員会に
ウォルドックが提出した第二報告書には
条約締結の際に、国家の代表者個人に対して
強制や威嚇が行われた場合
国家が条約を破棄することは一般に認められたことであるとし

ここからが重要!

歴史的実例として
「第二次日韓協約」をあげています


倉知哲夫の国際法の中で、強制についての記述を
合法論者が都合よく解釈した意見ですら
このウィーン条約は否定しております

「第二次日韓協約」も、個人への強制があったと見做されているのです


以上、国際法について見てきましたが
H氏のおっしゃるような

「国際法上合法に併合がなされております。それは、世界の国際法権威である、ジェイムスクオウフォード氏や他のすべての国際法権威が認めていることであります。」

などというようなモノとは、程遠い状況です


次ぎから
実際に日本がいかに韓国に対して強制したか
軍事的脅迫を持って、条約を結ばせていったかについて
第二部として、決定的な史料も紹介しながら記していきます


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>猫王さんは、正しいことってなんだと思いますか?
多数決?
公共の福祉?
個人の人権?

これに対する私の返答です


「正しいこと」というのは、限定された場で判断されることだと思います
裁判の場で、「公共の福祉」と「個人の人権」が対立するとき
どちらが正しいのかを問う人がいますが
その問い自体が間違っていると思います
事例によって結論が異なるからです
事実を丹念に列挙していけば
どちらを優先すべき事柄か、明白になりますよね

「人権は、他者のそれを侵害する恐れがあるときや、公共の福祉に反する
場合は制限される」
この文面じたいは正しいです

しかし、実際の事例について、法の判断を下すことは
この文面だけを適用すればいいものではありません

「本当に公共の福祉に反するのか」
「そうだとしてどの程度?」
「公共の福祉にとって問題がある程度なのか?」

そういったものを、事実を列挙してそれを基に考え
判断を下すのです

「理屈では公共の福祉にちょっとだけ触れるけど
人権を抑制するのはよくないし、この程度なら人権優先を認めてもいいんじゃない」
という判断もあるでしょう
実際にはその逆が多いですけどね(笑)

公共の福祉と人権、どちらが正しいかと問われるようなものではありません
ちょっと暴言かな?
○○さんが、そういう単純な問いをなされているとは思っていませんが
とりあえず、迷いながらこんな事を書いてみました


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「正しいこと」が発露する「限定された場面」というのは
裁判の場だけでなく、学問などもそうですよね
歴史学、哲学、経済学

それらは最近、専門的になることに拘りすぎて
時に「正しい」ことからずれることがあります

別の場所で書きましたが
選挙で議員を選び、議会で多数決を取れば民主主義なのか?
そうじゃありません
法律や制度なんて、為政者にとってなんとでもなるからです

ミャンマーの軍政が、国際的な批判をかわすために
普通選挙制度を導入しようとしていますが
そのための法律を作ろうとしています
その法律の中身は、自分たちの既得権を守ろうとするものです

普通選挙で議員を選び、議会で多数決など
独裁者の体のいい隠れ蓑でしかありません
民主主義とは、もっと厳しい規定があるのです

しかし、法という分野でのみ観ていると
ミャンマーの軍政が作ろうとしているみせかけの民主主義は
法的には「正しい」となってしまう事もありえます

【転記】安保法案強行採決~民主主義は多数決のことではない


日韓併合について、学術的な国際議論が現在あります
それも、「当時の国際法に照らし合わせてみれば違法じゃない」
という主張があります
その主張は、容易に「だから日本は何も悪い事はしていない」
という主張に結びつき、歴史学がそれを正当化することに加担してしまうかも知れません

専門的な狭い解釈が横行する今の学問では、真実(ここでは正しい歴史観)と
逆行する現象が起りえます


学問をもってしても「正しいこと(真実)」は導き出せない
ではどうすればいいのか?

「人類が長い歴史の中で得た、普遍的な真理」を
自分の立ち位置において、物事をみなければいけません
そして学問を、道具として使役するのです


「普遍的真理」といえるのモノの一つに
「戦争は犯罪だ」というものがあります
これは二十世紀なって得た、人類の到達点でもあります

その観点からみて、日韓併合を歴史的に解釈する場合
「当時の国際法に反してないので、日本は悪い事をしていない」
などという間違った結論は出てくる余地もありません
本当に当時の国際法に反していないのかどうかはまた別です
かなり疑問ありです

※現代の価値観で、当時の良し悪しを判断して良いのか
【転記】今の時代の感覚で、歴史を観てはいけない?


人間が原初的な社会をつくって、それが今日まで発展してきた歩みは
人権獲得の歩みでもあります
二十世紀にそれを「人類の真理」として発見、認知、(一部)獲得され
二十一世紀は、それが更にそれが発展していくでしょう

その真理からみれば、「民主主義とは何か」「多数決とはなにか」
という疑問は、おのずと解消されます
以前、ここで「戦前の日本は民主主義だった」と主張される方がいて
それは違うとご説明したことがあります

「普遍的な真理」という立ち位置から、学問を使役してみるなら
世界中のみせかけの民主主義も、即座にその正体を見抜けるでしょう


戦後の民主主義日本を真剣に作ろうとされていた世代の人には
当たり前とされることが、今ではそうでなくなっているようです

【転記】差別をなくすには 差別は社会構造から生まれる
人類の人権獲得の歩み


しかしこの「人類がこれまで獲得してきた普遍的な真理」というものも
永遠なものではありません

「人を殺してはいけない」

これなんかも真理といえるでしょう
原始の時代、飢えをしのぐために他の部族に攻め入り人肉を食した
そういう時代においては
「人を殺していけない」なんて意見は、正しいことではありません

そういう時代性、言い換えるなら「科学性」を無視して
「普遍的な真理」というものを述べているのではないのですよ
そういった時代性とは別けながら
今を生きる私たちにとっての真実とは何かを
科学に依拠して、人類がひとつひとつ獲得してきた
「正しいとこと」を、そう呼んでいるのです

獲得する前の時代はそれが「正しいこと」とは限りませんしね


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【転記】韓国併合・合法論を斬る! 第二部 ~力を背景にして強制された調印の実態~
【転記】韓国併合・合法論を斬る! 第三部 ~日本は韓国支配で大損をこいた?~

【転記】「日本が侵略戦争しなければ、外国の植民地にされた」諭を斬る
日本の植民地支配・史料集

【転記】「朝鮮半島植民地化は問題無かったんだ!」と正当化する詭弁の例


【転記】今の時代の感覚で、歴史を観てはいけない?
【転記】今時、南京事件がなかったなどと中二でも言わない
【転記】慰安婦問題・日本側の公文書だけを見ても強制の事実は覆らない


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