「あんたなんか大嫌い」

 俺は、彼女から痛烈な平手打ちをくらい、こっぴどく振られた。

 これで、女性に振られるのは、99人目だ。

 あと一人で、記念すべき100人目となる。

 だからといって、自慢しているわけじゃない。

 本当は、一人の女とずっと一緒に居たいんだが、なぜか、数回もデートすると、こうなってしまうのだ。

 別に、浮気をするわけでもないし、けちけちしているわけでもない。

 自分で言うのもなんだが、ルックスもいけてるほうで、頭も切れるし、勤め先も一流企業で、出世街道まっしぐらだ。 

 友人に俺の悩みを相談すると、そこまで彼女を作れるおまえは凄いと言われるのみで、なんで振られるのかはさっぱり解決しない。

 友人の言う通り、ルックスも金も地位もある俺は、彼女を作るのには不自由しない。ちょっと声を掛ければ、大抵の女は付き合ってくれる。

 そんな俺がある日、とうとう振られる原因がわかった。

 ちょうど、100人目の彼女に振られたときだ。

 その時は、喫茶店だったが、俺達の席の横に、ミラーが取り付けてあった。

「自分の顔、鏡で見てみたら」

 そう言って、100人目の彼女は席を立った。

 鏡に映る俺の顔は、赤ずきんちゃんを狙う狼のように、欲望を丸出しにしていた。

 

 

 

 

 

 

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