ある時、私は、ふと思いました。
今生きている世の中は、本当に実在しているのかと。なぜなら、時々現実味がなくなる瞬間があるからです。
もしかしたら、ずっと夢を見ているのかもしれない。あるいは、とうに世の中は滅んでしまって、私の魂だけがさ迷っているのかもしれない。
もしくは、世の中は実在しているが、私が実在していないのかも。
いずれにせよ、そう思ってからの私は、起きていても変な感覚が続き、なにをやるにも打ち込めず、ミスが増えるようになってしまいました。
現実味がなくなる瞬間はいつも決まっていて、仕事でミスをして、上司に叱責されている時に訪れます。
そう言うと、現実逃避だと思うだろうが、決してそんなことはありません。
自分で言うのもなんだが、私は責任感の強い男です。
そんな私が、仕事をミスしたからといって、現実逃避なんてするわけがし、そもそも、責任感の強い私が、大切な仕事でミスなんてするはずがないのです。
そこからして、この世の中はおかしい。
ねえ、そう思いませんか?
「なんとも、酷いですね」
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